フィリップス・レコード

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フィリップス・レコードPhilips Records)は、オランダの電気メーカー「フィリップス」により創設されたレコード・レーベル

フィリップスがオランダのバーンに近代的な工場を設立し、Philips Phonografische Industries(PPI)を通じてレコード事業に乗り出したのは1951年のことだった[1]クラシック系ではアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、ハーグ・フィルハーモニー等、ポピュラー系ではジュリエット・グレコイヴ・モンタン等を擁していた。

解説

アメリカ市場では1953年米コロムビアフィリップスと提携してエピック・レコードを創設、販売窓口となっていた[2]。現在はユニバーサル ミュージック グループの一部にある。

フィリップス・クラシック・レコードは同社のクラシック音楽部門であったが、現在はユニバーサルミュージックのデッカ・レコードに統合されている。長らく茶色の横帯がジャケットに入るのが特徴だった。

沿革

現状

資本的にフィリップス系列を離れたことから、これまでフィリップスレーベルで発売された音源の内、クラシック以外は順次マーキュリー・レーベルに切り替えられた。クラシックのみフィリップスレーベルが存続していたが、2009年からは、順次デッカレーベルで再発売されている。

フィリップスへ録音している主な演奏者(クラシック)

日本での事業

日本では、1956年日本コロムビア系列の日蓄工業よりエピック・レコードとして発売されたのが最初である。但し、この時点ではオランダ・フィリップスとの直接契約ではなく、米コロムビア経由の発売であった。[5]その為、エピック・レコードの中には、オランダ・フィリップスにはない米独自の原盤によるものも含まれていた(ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の録音など)。日蓄工業は当初発売も販売も自社で行っており、1956年7月27日に日本レコード協会にも加盟していた。[6]

1959年3月新譜より日蓄工業の販売元が日本コロムビアに移り、エピック・レコードも日本コロムビアの月報に掲載されるようになった。[7]

その後、日本ビクターとオランダ・フィリップスが提携し、1960年10月新譜を第1回目として販売を開始する。国内でフィリップスのレーベルが登場したのはこの時が最初だった。尚、日本コロムビアから発売されていたエピック・レコードに関しては、オランダフィリップス原盤によるものはカタログから消えたが、米コロムビア原盤のものはそのまま日本コロムビアからの継続販売となっている。従ってエピックというレーベルが消滅したわけではない。[8]

1966年3月新譜より、国内制作の邦楽レコードの販売を開始。第1弾はザ・スパイダースの『ノー・ノー・ボーイ』だった。[9]邦楽制作開始当時は、新興楽譜出版社(現:シンコーミュージック・エンタテイメント)が原盤の共同制作に当たっていた。

1970年6月1日にオランダ・フィリップス、日本ビクター(現:JVCケンウッド)及び松下電器(現:パナソニック)の三社合弁で「日本フォノグラム株式会社」が設立され、日本ビクターから独立する。業務開始は同年6月21日からである。[10][11]

これに伴い、フィリップス・レコード月報の発行会社が、1970年7月号より従来の日本ビクターから日本フォノグラムに変更されている。

1984年に自社販売から、ポリドールに販売元を移管する。

1979年から1987年までは、「ベルテルスマン」が買収した「アリスタ・レコード」の発売を担当していた。その後、ポリグラムの買収によりグループの一社となる。海外アーティスト・クラシックの販売業務などについては1993年までに日本ポリグラム(現:ユニバーサル ミュージック)に事業移管される。1988年頃、邦楽部門から撤退。1992年から邦楽部門再開。8cmCD規格パーティには当初加盟しなかった。

1995年にマーキュリー・ミュージックエンタテインメントに社名変更し、2000年には親会社にあたるユニバーサルミュージックに事業譲渡して解散。レーベルおよび制作部門は旧キティ・エンタープライズと合流した社内カンパニーキティMME」を経て「ユニバーサルシグマ」となっている。

PHILIPSロゴが停止したのに伴い、日本フォノグラム時代より発売されているキャロルのアルバムやCD選書などの旧譜のカタログは規格品番・価格変更はないが、随時ユニバーサルレーベルロゴと制作元のクレジットがユニバーサルミュージック・USMジャパンに変更された上で、製造出荷されている。

フィリップス・レコード、マーキュリー・ミュージックエンタテインメント、キティMMEからリリースされた楽曲の原盤権は、基本的にユニバーサルミュージックが承継している。

所属していたアーティスト

あ行
伊藤敏博とあみんの原盤権はヤマハミュージックパプリッシングが所持しているため、現在伊藤はテイチクエンタテインメントから、あみんはキングレコードから発売中。
か行
さ行
た行
な行
は行
いずれも日本ビクター時代(※は日本フォノグラムとして独立後も在籍)。原盤権シンコー・ミュージック・エンタテイメントが所持しているため、現在はクロニクルから発売中。
ま行
や行
ら行
わ行

脚注

  1. ^ フィリップス・レコード第1回発売月報(日本ビクター発行)による。
  2. ^ 岡俊雄著「マイクログルーヴからデジタルへ」上巻 1981年ラジオ技術社
  3. ^ この録音のCDは現在、日本のユニバーサルミュージックから発売されている(CD番号:UCCP-3336)
  4. ^ この録音のCDはかつてCD番号:411 473-2で発売されたことがあるが、現在は廃盤である。
  5. ^ エピックレコード第1回発売月報 1956年9月号(日蓄工業株式会社発行)
  6. ^ 日本レコード協会五十年史 1993年3月1日発行
  7. ^ 日本コロムビア・レコード月報1959年3月号
  8. ^ 日本コロムビア・レコード月報1959年4月号以降の各月
  9. ^ フィリップス・レコード月報1966年3月号 日本ビクター発行
  10. ^ レコードの一世紀・年表 森本敏克編(沖積舎発行 1980年)
  11. ^ こういった企業形態が誕生するきっかけは、外圧による日本の資本の自由化である。レコード業界では、1968年3月11日に発足したCBS・ソニーレコード(現:ソニー・ミュージックエンタテインメント〈SMEJ〉)が第1号企業だった(米CBSと日本のソニーとの合弁)

外部リンク