パロディ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ProfessorPine (会話 | 投稿記録) による 2020年10月18日 (日) 02:33個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (改稿第2弾。殆ど加筆できませんでしたが、期限超過のためいったん{{工事中}}を外します。)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ミケランジェロ作『アダムの創造』のパロディ作品。パロディ宗教英語版空飛ぶスパゲッティ・モンスター教を象徴する[1]

パロディ英語: parodyギリシア語: παρωδια)とは、他者によって創作された文学音楽美術演説などを模倣し、意図的に滑稽さや皮肉を付け加えて作り替えられた作品、あるいは作り替える行為そのものを指す[2][3][4][注 1]。このうち、自身や自作をパロディ化した場合はセルフパロディと呼ばれることがある[5][6]。パロディの歴史は紀元前にまで遡り、古代ギリシャ古代ローマ文化にも見受けられるが、当時は必ずしも滑稽さや皮肉、批判などのニュアンスが込められたものばかりではなく、カジュアルな文脈での単純な模倣や類似作品もパロディの定義には含まれていた[7]。本項では、現代におけるパロディの類語である盗作 (剽窃、盗用パクり)、引用モンタージュオマージュ風刺もじりモンデグリーン (空耳)、バーレスクカリカチュアパスティーシュインターネット・ミームなどとの定義の相違点についても解説する。

パロディの本質は模倣であることから、現代の著作権商標権上でどこまで法的に許容されるのか、各国で合法性が問われることがある。これは、パロディの元となった著作物商標を無断で盗用・翻案 (改変) していると解されれば、権利侵害に当たる可能性があるためである。一部の国・地域 (特に欧州連合加盟国) ではパロディを著作権侵害の例外として法律上明記しているものの[8][9]、具体的にどのような要件を満たせばパロディ作品が合法と認められるのか、司法判断の場ではケースバイケースで線引きされている。本項ではパロディに関連する各国の代表的な判例も紹介する。

定義および類語との相違点

パロディ (parody) の語源である "parodia" は、古くは紀元前4世紀のギリシャ哲学者アリストテレス詩学』に記されており、これが概念用語としてのパロディの初出とされる[10]。以降、パロディの定義は変遷していき複数存在するが、辞書的な意味合いとしては以下の特徴を有する[11]

  • パロディの元となった作品が一般的に知られており、何を模倣したのかがあからさまであること
  • パロディの元となった作品のスタイルや特徴を残しつつ、改変していること
  • パロディ化によって滑稽さや風刺が感じられること

しかし、『パロディの理論』を記したカナダ文学理論研究家リンダ・ハッチオン英語版 (1947年 -) は、元ネタが著名であることをパロディの必須要件としておらず、類似性よりも差異性 (ギャップ) の際立つ模倣であることに重点を置いた定義を用いている[12][13]:202

また、滑稽さが全くない、ごく真面目で重厚な作風もパロディの範疇に含めることがある。その典型例がドイツ出身でノーベル文学賞受賞者のトーマス・マン (詳細後述) である[14][15]:657。マンは教養小説の作家に分類されているが[16]、同時にゲーテなどを下敷きにしたパロディ作家の側面もある[17]

盗作、引用、オマージュとの違い
盗作 (剽窃パクり) や引用とは異なり、元ネタから何らかの改変がなされ、滑稽さや風刺が効いているものを一般的にはパロディと呼んでいる。しかし、改変は全体的に行われている必要はない。たとえば紀元前のホメーロス作品の一節と、17世紀フランスで活躍したピエール・コルネイユの代表的悲劇『ル・シッド』では単語1つ置き換えただけで残りは完全に一致する箇所がある。このようなケースもパロディとみなされている[18]。一方で、ディズニーの『ライオン・キング』は手塚治虫の『ジャングル大帝』と類似性が高いことから、パクリだとの批判を受けることも多い[19][注 2]。これらの例からも分かるように、どこからが盗作になるのか線引きは曖昧である[21]
特に映画業界ではオマージュ (: homage) が盛んに行われているとされるが[20]、オマージュとは元来「尊敬の意を表すること」とされている[22][23]。そこから転じて、尊敬する作品から影響を受けて別の作品を創作する行為もオマージュと定義される[22][23]。一例を挙げると、米国の西部劇映画『荒野の七人』は黒澤明監督の映画『七人の侍』のオマージュだとされている[24]:1
したがって、元ネタとの類似性という観点では盗作、オマージュおよびパロディ間で共通し、識別は個々人の感性に委ねられている[24]:2。しかしあえて相違点を挙げるとするならば、公に発覚することを恐れるのが盗作、公 (または元ネタの作者) に発見してもらいたいと願うのがオマージュ、公に気づいてもらわないと困るのがパロディとも言える[25]。オマージュもパロディも、鑑賞する者が元ネタを知っている (知っていてほしい) 前提で創作されている[26][11]。しかしオマージュと違ってパロディの場合、必ずしも元ネタに対する尊敬の念だけが創作の動機とはならず、元ネタの作者から反感を買う恐れのあるような作風もパロディには包含される[27]
風刺との違い
先述のとおり、パロディには皮肉・風刺 (satire) のニュアンスが付け加えられることがあるが[4]、パロディと風刺の両者を定義上明確に区別することがある[28]アメリカ合衆国の1994年連邦最高裁判決 (通称: プリティウーマン判決、詳細後述) によると、パロディと風刺では批評する対象が異なると指摘されている。つまり、パロディが元ネタとなった "作品" に対する批評・コメントであるのに対し、風刺が向く矛先は元ネタ作品そのものではなく "社会" である。このような違いから、風刺は必ずしも他の作品に依拠せずに成立しうる。そして、社会を批判する目的で他者の作品を踏み台に利用していることから、パロディと比べて風刺は著作権侵害の判定を受けやすいとも言われている (米国の場合)[28]
モンタージュとの違い
モンタージュ (: montage、組み立ての意) とは、映像 (とりわけ映画) の世界では複数の映像カットを組み合わせ、何らかの意味を持たせて一つの作品に仕上げる手法を指す[29]。また、モンタージュ写真 (あるいはフォト・モンタージュ) と言えば、複数の写真の中からそれぞれ一部を切り取って合成する手法であり、事件捜査現場では指名手配犯の合成写真作成のことを指す場合もある[30]。これに関連して、フォト・モンタージュ技法を用いた作品がパロディなのか著作権侵害なのかが問われた日本の1980年最高裁判決「パロディ・モンタージュ写真事件」が知られている (#日本の著作権法で後述)。本件では引用の要件についても法的に検討された[31][32][33]
文学の世界では、前述のトーマス・マンが自身の執筆手法を「モンタージュ技法」と呼んでいる。過去の様々な文芸作品から一部分を引用 (無断で剽窃) してきて、自作に溶け込ませる手法である[15]:655。マン流のモンタージュ技法は「どこかから取ってきたとは普通読む方は気づかない」ことを特徴としており[15]:655、パロディのようにどこから取ってきたのか意図的に明確にした上で模倣する手法[11]とは異なる。
カリカチュア、パスティーシュとの違い
カリカチュアの例。風刺雑誌に掲載されたダーウィンの顔とオランウータンの体 (1871年作) 1869年のダーウィン (ジュリア・マーガレット・キャメロン撮影)
カリカチュアの例。風刺雑誌に掲載されたダーウィンの顔とオランウータンの体 (1871年作)
1869年のダーウィン (ジュリア・マーガレット・キャメロン撮影)
カリカチュアとは、特に人を描く際に特徴の一部を誇張して、滑稽さやコミカルさを表現する手法と定義される。模しているという意味ではパロディと共通するが、カリカチュアには写実性がかけ、馬鹿馬鹿しいほどに貧弱な模倣だとされる[34]パスティーシュはカリカチュアのように人物にフォーカスすることはなく、広く芸術作品や芸術家、あるいは時代を何らかのスタイルで模倣する行為を指す[34]
欧州連合 (EU) の著作権法を構成する2001年情報社会指令によると、著作権侵害の例外としてカリカチュア、パロディ、パスティーシュの3つが同列で扱われていることから、別々の概念として認識されている[8]。またイギリス知的財産庁 (UKIPO) が2014年に発行した著作権法の公式ガイダンス文書によると、パロディはユーモアないし風刺を効かせていること、そして模倣しているものの元ネタから大きく改変されていることを要件として挙げている。パスティーシュは様々な作品から組み合わせて作風や時代の特徴を取り入れているものを指し、特に音楽著作物がこれに該当する。カリカチュアは政治目的と娯楽目的、侮辱と称賛のいずれもありうるが、描く対象を簡略化ないし誇張する手法に特徴がある[35]
バーレスクとの違い
バーレスク (burlesque) は「馬鹿げた・奇妙なパロディ」(grotesque parody) と定義されることもある[13]:202。バーレスクの意味は時代と共に変遷しているが、17世紀から18世紀にかけてのイギリスでは、文学や演劇、音楽作品などを風刺したパロディを指した。特に演劇ではまじめな題材や有名人を茶化したり滑稽化する大衆向けの見世物である[36]。しかし時代が下がると、次第に批判や風刺の要素は薄れ、特に米国ではストリップショーの要素が加わった[36]

パロディの種類

音に着目したパロディ

文芸におけるもじりとは、一つの語句に複数の異なる意味を持たせることで滑稽さを生み出す手法である[37]。特に同音または類似音を用いた語呂合わせなどを指し、有名な詩や和歌、歌謡などを元ネタにして笑わせる目的で創作されることから、パロディの一種としての側面がある[38]:ⅰ。たとえば鎌倉時代藤原定家が選定した『小倉百人一首』を元にして、江戸時代には「もじり百人一首」が登場し、大衆に親しまれた[38]:ⅰ。また、替え歌も原曲の歌詞をもじってパロディ化させたものと定義されている[39]

狂歌とは和歌の一種であり、滑稽で日常卑近の生活などを題材として詠まれることから[40]、替え歌、もじり歌、パロディの要素がが狂歌に含まれる[41]:77。特に『万葉集』の戯笑歌、『古今集』の誹諧歌や軍記物語中の落首などが狂歌として知られている[40]。狂歌は一般的に卑俗さが特徴とされるものの、 歌麿の『絵本百千鳥狂歌合はせ』などには文学的に洗練度の高いものも存在する[41]:80

単なる聞き間違い (空耳) が偶然にも意味や文脈を持ち、ユーモアにつながることもある[42]。これはモンデグリーンとも呼ばれ[43]、1954年が初出と比較的新しい造語である[42][44]。たとえば日本のテレビ番組の一コーナー「空耳アワー」では、英語の歌詞が日本語で全く異なる意味に聞こえるネタを数多く扱っている。一例を挙げると、"By reaching inside, reaching inside" が「わるいチンゲンサイいいチンゲンサイ」に空耳するといった具合である[45]:19。このようなモンデグリーンを言語学弁別素性の観点から学術的に解明する研究も行われている[45]:19

美術パロディ

17世紀バロック期に活躍したスペイン画家ベラスケスの代表作『ラス・メニーナス』(女官たち) は後世の画家に大きな影響を与え、特にピカソは45点もの翻案を行っており[46]、これらの連作はパロディとみなされている[47][13]:202。また2017年に英国ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ (RA) が発表した「最もパロディ化された芸術作品10選」では、絵画や彫刻などの名作が様々なパターンでパロディ化されている様が見て取れる[注 3]

真面目なパロディ

ドイツ出身で1929年にノーベル文学賞を受賞[16]したトーマス・マンは、パロディと切っても切れぬ関係にあった小説家である[14]。長編小説『魔の山』(1924年) には、ゲーテの教養小説『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』(1795年 - 1796年) をパロディ化した要素が含まれている[17]。『ファウストゥス博士』(1947年) では、小説の登場人物を介してパロディとは何であるかを語らせているが、必ずしも「滑稽な」模倣に限定されるものではないとしている[49]。また『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』(1954年) も複数の作品を下敷きにしたパロディとみなされているが、これらマンの作品は滑稽さと皮肉さが同居しているとの特徴が指摘されている[14]。当時は1929年からの世界恐慌によってドイツ経済も疲弊し[50]、政治的にもナチスが台頭して国粋主義化 (反ユダヤ感情とドイツ至上主義) が進行した[17]。このような閉塞感の中、マンは1932年にアメリカ合衆国に亡命し[16]、真面目なパロディ作品の創作を通じてユートピア的な世界観を表現したとされる[17]。なお、古代パロディとして挙げられるサチュロス劇のことを「茶番劇」だとマンは語っている[51]

芸術以外のパロディ

ノーベル賞のパロディと位置付けられ、独創性に富む研究や発明などに贈られるのがイグノーベル賞である。物理学や化学、医学といった自然科学のほか、経済学や平和なども受賞部門に設けている[52]。イグノーベル賞はユーモア科学雑誌『ありそうもない研究年報英語版』が主催している[52]

市販される商品がパロディの対象となったこともある。通称「面白い」恋人事件は、北海道・札幌名物の洋菓子「白い恋人」を模して、お笑い芸人を多数擁する吉本興業が大阪名物「面白い恋人」の商品名で売り出したことから、2011年に訴訟へと発展している。当初からパロディとして商品企画されており、パッケージデザインにも共通性が感じ取られることから、商標権および不正競争防止の観点が法的に問われることとなった[53]

パロディの起源

古代ギリシャ語でパロディは ϖαροδια と記され、ϖαραοδος に分解できる[18]。前半部分の ϖαρα には「歌うこと」の意味が含まれており、具体的には韻文の詩を元来は指していた[54]。その後に散文もこの用語の範疇として含まれるようになった[54]。また後半部分の οδος には、アイディアに対する共感・類似性、あるいは糾弾、反論や見解の相違を表現するとの意味もあった[54]。したがってこれらを複合すると当時のパロディは、歌唱あるいは作曲されるものであり、元となった作品と何らかの差異が認められるものを指していたと考えられる[54]。そして一般庶民は、原作よりもくだけた対象やシチュエーションでこのようなパロディの手法を用いた[54]。ただし、現代の意味するところのパロディとニュアンスは異なり、古代では必ずしも過去の偉大な作品を嘲笑する目的に限られるものではなかった[55]。以下、具体的な作品例を見ていく。

紀元前5世紀に活躍したエウリピデスはギリシャ三大悲劇詩人の一人と評されるが[56]喜劇も手掛けており、『キュクロプス』は完全な形で現存する唯一のサテュロス劇とされる[57]サテュロスとはギリシャ神話に登場する半獣半人であり、陽気で酒飲みの好色キャラクターとして描かれている[58]。このサテュロスが登場する喜劇がサテュロス劇であり、下品な下ネタなどが使われている[57]。しかし『キュクロプス』と比較対象となる他者の元作品が物理的に確認不可能なことから、『キュクロプス』を何らかのパロディと呼ぶべきか判定困難だとされている[59]。また、紀元前5世紀 - 4世紀のギリシャ喜劇詩人アリストパネスはパロディ作品を生み出したことで一般的に知られ[60]、先述のエウリピデス (生誕はアリストパネスより30年ほど前の人物)[56]の作品を下敷きにしていると言われるが、この見解については異論も出ており、アリストパネスをパロディ作家と呼べるか断定できていない[61]

学説上、パロディ作品だと確認がとれている古典作品としては、『蛙鼠合戦』("Batrachomyomachia"、古代ギリシア語: Βατραχομυομαχία) が挙げられ[62][18]、パロディの中でも特にバーレスク的であるとも分類されている[63]。『蛙鼠合戦』は長短短の6歩格で構成される韻文であり、トロイア戦争を扱ったホメーロスイーリアス』を嘲笑するような文体で知られ[64][62][注 4]カエルネズミの争いに置き換わっている[18]。また、主神ゼウスを始めとするオリュンポス十二神も、スキャンダラスな逸話がたびたび伝えられていることから、格好のパロディ材料となった[66]。他にも紀元前4世紀半ばに活躍した喜劇作家のエウブロス英語版[67]、紀元前3世紀 - 2世紀の古代ローマ喜劇作家プラウトゥス[注 5]などがパロディ作家として知られている[69]

格調高い文体で下賤なトピックを扱うパターン、あるいは下賤な文体で高尚なトピックを扱うパターン (擬似英雄詩など) のどちらも古代のパロディに見られる[66]

英文学におけるパロディ

オックスフォード英語辞典では、パロディという言葉の最初の用例として、ベン・ジョンソンの喜劇『十人十色』(1598年)の「パロディだ、パロディだ! 元詩をより不条理にすることだ」という一節が引用されている[要出典]。次の注目すべき用例は、1693年ジョン・ドライデンの著作から引用される。ドライデンが説明を加えていることから、パロディという言葉が一般に使われていなかったことが分かる。"Preface to the Satires"の中で、ドライデンは「パロディ、すなわち偉大な詩から継ぎ合わされ、元詩の著者の意図とは別の意味に変えられた韻文を用いた風刺詩の存在を、我々は見出せるかもしれない」と述べている。

その結果として、ドライデンの定義は彼が風刺を意味した先の用例から発展し、さらに、まだ名前を持っていなかった擬似英雄詩(mock-heroic)という近代文学のサブジャンルに、他言語の用語「パロディ」を適用した。

18世紀に先立つパロディは、音楽における「引用」(例えばモーツァルトが鳥の声を模している一方で、メンデルスゾーンはモーツァルトを模していた)と概ね同じような、表現上の効果、あるいは装飾とされていたが、『マクフレクノー』でドライデンは完全にパロディによる嘲笑を意図した詩を創作した。『マクフレクノー』はウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』を模したパロディ詩であるが、二流の戯曲家トマス・シャドウェルについての詩でもある。ウェルギリウスの英雄詩の形式と、英雄とは程遠いシャドウェルの暗黙の対照が、シャドウェルをより悪し様に見せている。アイネイアスの着物を身に纏う場面では、シャドウェルは全く馬鹿のように見える。

王政復古期から18世紀前半のその他のパロディは、低級あるいは愚劣な人物や慣習を笑いのめすために、真摯かつ崇高な作品の模倣を使用していた点で、ドライデンのパロディと似通っていた。この概ねサミュエル・バトラーと彼の詩『ヒューディブラス』に代表されるジャンルは、一般に擬似英雄詩と呼ばれていた。意識して組み合わせた場合は、非常に真摯あるいは高尚な形式と、非常に軽薄あるいは無益な主題の対照がパロディとなる。この組み合わせが意識されない場合は、ベイソス(bathos)(偽ロンギヌスアレクサンダー・ポープによるパロディ、『ペリ・ベイサス』に由来)となる。

ジョナサン・スウィフトは物語体の散文にパロディという言葉を用いた最初のイギリス人作家である。パロディという用語があらゆる軽侮の意図による文体模写を示すための用語であると見なされるようになったのは、おそらくはスウィフトによるパロディの定義への誤解による。『桶物語』の1705年の版に追加された序文「その他の弁解」において、パロディとはある著者の本質を暴露するための模倣行為であると、スウィフトは述べた。この発言の本質は、パロディを茶番(バーレスク)や嘲弄とほとんど差異のないものであると見なすことにあった。そしてスウィフトの言語に対する注意力に鑑みるに、スウィフトがこの意味を承知していた可能性は充分にある。実際は、スウィフトによるパロディの定義は、説明や言葉の借用という、ドライデンにより想定されたパロディの定義と同一のものかもしれない。

ジョナサン・スウィフト以降、パロディという用語は専ら嘲笑的な言及、特に物語による言及に使用された。

より古い語義では、ある作品の要素をその作品の文脈から取り出し、別の作品に再使用する場合も、パロディと見做すことができる。そのような意味ではパスティーシュは、ある作品に属するキャラクターや設定をユーモラスな手法で他の作品に使用する、パロディの一形式である。

例えばフラン・オブライエンの小説『スウィム・トゥ・バーズにて』では、狂王スウィーニーフィン・マックール、妖精プーカカウボーイ達といった面々が、ダブリンの宿屋で一堂に会する。日常的な設定と、神話の登場人物やジャンル小説のキャラクターの混交から得られたユーモアは、いかなる元作品のキャラクターや原作者から演出されたものではない。この確立かつ確認されたキャラクター達を新しい設定で組み合わせるというパスティーシュの手法は、ポストモダンにおける、架空の歴史的キャラクターをその文脈から取り出し、隠喩的要素の提供のために用いる慣習と同じものではない。しかしながらブランク・パロディ(無表情なパロディ)は、作家が他の芸術作品から骨格形式を採用し、新たな内容を備えた新たな文脈の中に配置するという手法において、ポスト・モダンと共通するものを持っている。

幾人かのジャンル映画理論家達は、任意の(特に映画作品の)作品ジャンルにおける発展過程の産物としてパロディを認識している。例えば、古典演劇では慣習的なジャンルと定義されている西部劇の舞台設定は、同じく慣習的に風刺文学と定義されているパロディ作品の舞台にも応用された。古典的な西部劇を経験してきた多くの観客は、西部劇ジャンルに対する固定観念を抱いており、パロディ西部劇はそれらの固定観念を裏切ることによって、観客の笑いを誘ったのである。

パロディの評判が元作品のそれより長く続く場合がある。小説における有名な例にヘンリー・フィールディング小説ジョセフ・アンドリュース』(1742年)がある。これはサミュエル・リチャードソンの陰鬱な書簡体小説パミラ』(1740年)のパロディである。また、『いい年なのに、ウィル親父』などに代表されるルイス・キャロルの多数のパロディは、いずれも元作品より広く知られている。

日本文学におけるパロディ

誹諧歌では古典や時事風俗に対する諧謔を詠み込んだ狂歌があり、江戸時代天明期に大きく流行した。宿屋飯盛の「歌よみは下手こそよけれあめつちの動き出してたまるものかは」は、『古今和歌集』の仮名序「ちからをもいれずして、あめつちをうごかし」のくだりを茶化した狂歌である。天明期を代表する狂歌師として、他に大田南畝(蜀山人)が知られている。

日本漫画におけるパロディ

日本においても古くから文芸や音楽、美術の分野でパロディ創作は行われていたが、日本の漫画業界に商業的にパロディ要素が出始めたのは1960年代に入ってからである。1960年代初頭に米国のパロディコミック雑誌『MAD』が日本でも紹介されるようになり、続いて1968年には『漫画アクション』誌にダディ・グース (後の矢作俊彦) のパロディ作品が、同年に『COM』誌上に永井豪のパロディ作品が登場している。部分的なパロディ要素ではなく、作品全体がパロディと呼べる日本の漫画は、これらが初出と考えられている[70]

日本の漫画におけるパロディは、1969年フジオ・プロ長谷邦夫が『COM』(虫プロ商事)に連載した『バカ式』(曙出版)が先駆的作品と考えられる[疑問点]。長谷はつげ義春の『ねじ式』をはじめとする有名無名の同時代の漫画、文学・芸術作品の徹底的な引用(長谷は引用を敢えて「盗作」「盗用」と表現)により類例のないパロディ漫画を発表した。長谷により発表されたパロディ漫画の原稿量は1000頁を越している。長谷による一連のパロディ漫画は、当時流行っていた漫画評論におけるギャグ漫画軽視や過剰解釈に対する強烈なメッセージであった。

ほぼ同時期の1970年からは雑誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)に赤瀬川原平による『櫻画報』が連載された。本作が描かれた時代背景に当時の学生闘争でこれといった思想もなく暴動へ参加する野次馬学生へ向けていたもので、人気を博した。この作品には多くのパロディーや言葉遊びが含まれていて、現代のパロディーの原点も見受けられる。

だが『朝日ジャーナル』1971年3月19日号掲載された当該漫画に「アカイ アカイ アサヒ」という戦前の国定教科書を摸したフレーズと『朝日新聞』の題字と重ね合わせ、さらに「朝日は赤くなければ朝日ではないのだ」とキャプションをそえた描写が、当時「新左翼の機関誌」とも言われた『朝日ジャーナル』の左偏重を朝日新聞上層部が危惧していた状況下で発表されたことから朝日新聞社上層部の逆鱗に触れ、常務会は全員一致で、同誌の自主回収を決定した。回収された打ち切り最終話には「サテ今度は……ドコを乗っ取るかナ?」と新聞雑誌名が300種以上手書きで記載されたのも版元上層部の神経を逆撫でしたとされている。この事件で編集長が更迭された他、連載の打ち切り、朝日新聞出版局では61名の人事異動がなされ、『朝日ジャーナル』自体も2週間にわたって休刊した。この事件は後々「朝日ジャーナル回収事件」として語り継がれることになる。

パロディ漫画家の地位を確立した田中圭一手塚治虫の絵柄で下ネタギャグを展開する作風を確立(手塚プロダクションの公認済)。更に藤子不二雄宮崎駿つげ義春本宮ひろ志永井豪松本零士などの絵柄を織り交ぜ、現在も下ネタ漫画で活躍中。近年はサラリーマン経験を活かした作品も多い。

かつてはパロディ漫画を専門に扱う漫画雑誌として『アニパロコミックス』(みのり書房)が1982年から1993年まで刊行されていた。本誌のパロディ漫画は、その“元ネタ”となっている作品とは完全に独立しているとし、ライセンス許諾を得ないスタイルを取っていた。現在ではパロディというよりは二次創作物として取り扱われる様な内容のものが多くを占めていた。本誌は1993年3月号をもって休刊した。最終号に掲載された作品すべてが最終回の体裁を取っておらず、当該号での休刊が急遽決定した状況が窺われるものであった。本雑誌が急遽休刊した背景には、パロディを元ネタとした作品の氾濫をきっかけに大手のアニメ制作プロダクションが著作権の管理を強化したことから制作継続が困難になったという説が存在するが、仮説の域を出ない。

パロディに対する法的取り扱い

パロディが原著作物の二次的著作物になると判断される場合、原著作物の著作権者の許諾なしに創作することが法的に許容されるかについては法域により異なる。

アメリカ合衆国の著作権法

アメリカ合衆国におけるパロディの創作行為は、米国著作権法を収録した合衆国法典第17編の第107条において、フェアユース (公正利用の法理) の抗弁に基づき許容される場合がある[71]

映像外部リンク
Oh, Pretty Woman - 著作者ロイ・オービソンの原曲 (本人公式YouTubeより)
Luther Campbell of 2 Live Crew's Historic Supreme Court Parody Case - パロディ作者・被告キャンベルによる "Big Hairy Woman" への変形経緯解説 (ケーブルテレビ局VH1公式YouTubeより)[72]

米国著作権法のパロディに関するリーディングケースとしては「キャンベル対エイカフ・ローズ・ミュージック裁判英語版」(1994年の連邦最高裁判決、510 U.S. 569) が知られている[71][73]。本件では1990年公開映画『プリティ・ウーマン』の主題歌 "Oh, Pretty Woman" (歌手ロイ・オービソン、音楽レーベルはエイカフ=ローズ・ミュージック) を使用して、ヒップホップグループの The 2 Live Crew がパロディ曲を製作し、25万枚のセールスを記録した事件である (被告ルーサー・キャンベル英語版はこのメンバーの一員である)[74]。原曲 "Oh, Pretty Woman" (あぁ、可愛い女性) がパロディでは "Big Hairy Woman" (デカい髪型の女性) に変形されている[72]。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した[75]。パロディとして使用された箇所 (原曲の冒頭部) は有名であり原曲の中核をなすと認定されたものの、パロディはこのような中核を用いることが常であると判断された。そしてフェアユース第1基準の定める「変形的利用英語版」(transformative usetransformativeness) が、同じく第1基準で例示される非営利性に勝り、第4基準の市場代替性を損なうことがないと解されている[76]

2001年に、第11巡回区連邦控訴裁判所は、サントラスト銀行対ホートン・ミフリン社の裁判において、『風と共に去りぬ』と同じ物語を、スカーレット・オハラから解放された奴隷女の視点から描いたパロディ、“The Wind Done Gone”(en)を出版したアリス・ランドールの権利を支持した。

欧州の著作権法

欧州連合 (EU) では、加盟各国の著作権法の水準を揃えることを目的として、各種の著作権指令が出されている。このうちパロディに関しては、2001年可決の情報社会指令 (2001/29/EC) 第5条(3)(k) で著作権侵害の例外としてパロディ目的が挙げられている[9]。しかしながらこの指令の条項を導入 (国内法化) するかはEU加盟各国に委ねられていることから、国によってパロディの法的取り扱い状況は異なる[8]

著作権侵害を事由とした訴訟は、基本的には各国の裁判所で審理されるが、一部の訴訟は欧州司法裁判所 (CJEU) に意見照会されることがある。以下、各国の法整備の状況と代表的なパロディ判例について述べる。

欧州司法裁判所 (CJEU)
画像外部リンク
原告ヴァンダースティーンの原画 - 欧州司法裁判所提出資料より[77]
パロディ関連ではデックメイン対ヴァンダースティーン裁判英語版 (Deckmyn v Vandersteen, Case: C-201/13, 2014年CJEU判決) が知られている[78]ベルギー右派ポピュリズム政党フラームス・ベランフ[注 6]に所属する政治家ヨーハン・デックメインオランダ語版は2011年、新年の祝賀会でカレンダーを参加者に配布したが、この表紙に使われた絵画がヴァンダースティーンの描いた作品に類似しているとして、著作権侵害でデックメインと政党後援会組織がベルギーの裁判所に提訴された。ヴァンダースティーンの作品は元々、コミック本『Suske en Wiske英語版オランダ語版』に登場するキャラクターの一人を表紙に描いたものであり、白色のチュニックをまとって空中からコインをばら撒いている構図である。この表紙絵は "De Wilde Weldoener" (「強制的な恩恵を施す者」の意) と題された[77][78]。一方カレンダーの表紙は、キャラクターがヘント市の市長ダニエル・トゥルモント英語版 (左派政党のフラマン系社会党) に差し替えられており、コインを集めようとする周囲の民衆はイスラム教の女性が肌を隠すために被るブルカ (ベール) を身にまとい、有色人種に置き換えられる差別的な内容であった[77][78]第一審裁判所英語版 (Rechtbank van Eerste Aanleg) は著作権侵害を認めて5,000ユーロの損害賠償を命じたが[注 7]、被告が控訴している。二審の控訴裁英語版 (Hof van beroep) もベルギー著作権法で定められたパロディの例外規定の要件を満たさないとして棄却しつつ、CJEUに意見照会を求めた[77]
フランス
フランス著作権法では、第122条の5(4)項にて、パロディは著作権侵害でないと明文規定されている(パロディ条項)。
"La parodie, le pastiche et la caricature, compte tenu des lois du genre"
フランスにおけるパロディのリーディングケースが SAS Arconsil v Moulinsart SA (パリ控訴裁 2011年2月18日判決、no 09/19272) である[8]2011年に漫画タンタンの冒険シリーズの原作者が、『タンタンチベットをゆく』のパロディ小説『サン・タン絞首台に行く』を海賊版としてパロディ作家ゴルドン・ゾーラフランス語版を訴えた事件では、パリ控訴院は「主観的要因(ユーモアの意図)」「客観的要因(混同のおそれの有無)」の要件を満たしており、「当該分野の決まり」を守らなかったという証拠が確立していないことから『サン・タン絞首台に行く』はパロディ小説であると認め、少部数で商業的な影響も少ないことから著作者・出版社の権利を不当に侵害していないと決定した[79]

日本の著作権法

日本でのパロディに対する著作権侵害が問われた判例としては、パロディ・モンタージュ写真事件がある[31][32][33]1971年写真家白川義員は、自作の雪山写真を素材として自動車公害を揶揄するパロディ作品を作り上げたマッド・アマノフォトモンタージュを、自作に対する著作権侵害として提訴した。日本著作権法は上記フランスと違い「著作権の制限」の中にパロディを挙げていないので代わりに、マッド・アマノ側は引用として許容されると主張したが[要出典]、これを受けた最高裁判所は、引用の条件を示した昭和55年3月28日判決)[32][33][80]。この裁判は2度にわたって最高裁から差し戻され[31]1987年に白川義員の主張を一部認める形で[要出典]和解が成立した[31]。この判決を受け、日本ではパロディ表現の自由が法的に狭められたとされる[81]

パロディ作品の例

注釈

  1. ^ 辞書Merriam-WebsterCambridge Dictionary英語版では滑稽さ・ユーモア (comic, ridicule, humorous) に限定しているが[2][3]Collins English Dictionaryではユーモアないし皮肉さ (humorous or satirical) と定義しており[4]、何をパロディの特徴要素に含めるかは定かではない。
  2. ^ 実際に手塚側がディズニーを相手に訴訟を計画するも、断念した経緯がある[20]
  3. ^ 10選にランクインしたのはグラント・ウッド作『アメリカン・ゴシック』、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『モナ・リザ』、葛飾北斎作「神奈川沖浪裏」(『富嶽三十六景』の1枚)、サンドロ・ボッティチェッリ作『ヴィーナスの誕生』、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』、ヨハネス・フェルメール作『真珠の耳飾りの少女』、エドヴァルド・ムンク作『叫び』、オーギュスト・ロダン作『考える人』、フィンセント・ファン・ゴッホ作『星月夜』、エドワード・ホッパー作『ナイトホークス』である[48]
  4. ^ なお『イーリアス』の作者はホメーロスとするのが通説であるが、ホメーロスは複数の人物であり、また執筆されたのも従前から考えられていた時代よりも1000年ほど前ではないかとの説がある[65]
  5. ^ プラウトゥスは古代ギリシャ劇を一部下敷きにして作品を生み出し、ラテン語で綴った古代ローマ喜劇の時代を象徴した人物とされる[68]
  6. ^ 欧州司法裁判所の判決文では、フラームス・ベランフは極右政党 (Vlaams Belang, a party of the far right) であると記されている[77]
  7. ^ 2つの絵に共通点が多いことから、カレンダーを受け取った一部の人は、カレンダーがコミック本の出版社から贈呈されたものと勘違いしたと証言している[77]

出典

  1. ^ Jansson, Niklas (2016年3月18日). “The Flying Spaghetti Monster”. 2020年10月4日閲覧。 “I hereby (18 March 2016) release my FSM paintings into Public Domain.”
  2. ^ a b parody”. Cambridge Dictionary. ケンブリッジ大学出版会. 2020年10月4日閲覧。
  3. ^ a b parody”. Merriam-Webster. 2020年10月4日閲覧。
  4. ^ a b c parody”. Collins English Dictionary – Complete and Unabridged, 12th Edition 2014 (HarperCollins Publishers). The Free Dictonary. 2020年10月4日閲覧。
  5. ^ self-parody”. Merriam-Webster. 2020年10月4日閲覧。
  6. ^ self-parody”. Collins English Dictionary. ハーパーコリンズ. 2020年10月4日閲覧。
  7. ^ Lelièvre 1954, pp. 66–67.
  8. ^ a b c d Lagarde, Laetitia (Baker & McKenzie LLP 弁護士); Ang, Carolyn (Baker & McKenzie LLP 弁護士) (24 May 2016). "Parody in the UK and France: defined by humour?" [イギリスとフランスにおけるパロディ: ユーモアが線引き基準となるか?] (英語). Thomson Reuters. 2020年10月4日閲覧
  9. ^ a b Directive 2001/29/EC of the European Parliament and of the Council of 22 May 2001 on the harmonisation of certain aspects of copyright and related rights in the information society” [2001年5月22日に成立した情報化社会における著作権ならびに著作隣接権の調和に関する欧州議会および欧州連合理事会の指令] (英語). 欧州連合官報 (Document 32001L0029). EUR-Lex (2001年6月22日). 2020年10月4日閲覧。 “Article 5 Exceptions and limitations | 3. Member States may provide for exceptions or limitations to the rights provided for in Articles 2 and 3 in the following cases: | (k) use for the purpose of caricature, parody or pastiche; (抄訳: 第5条 - 例外・制限規定、第3項 - EU加盟国は第2条および第3条に則って以下に該当する利用は著作権者に認められる排他的権利が排除ないし制限されることとする... (中略) 第(k) 号 - カリカチュア (風刺画)、パロディないしパスティーシュ (模倣)。)”
  10. ^ Dentith 2000, p. 10.
  11. ^ a b c 文化庁パロディ報告書 2013, pp. 2–3.
  12. ^ 文化庁パロディ報告書 2013, p. 2--リンダ・ハッチオン著、辻麻子訳『パロディの理論』(未来社、1993年) p.16 の孫引き
  13. ^ a b c Hutcheon, Linda (1978). “Parody Without Ridicule: Observations on Modern Literary Parody”. The Canadian Review of Comparative Literature (Canadian Comparative Literature Association (アルバータ大学図書館英語版経由の発行)) 5 (2): 201-211. ISSN 1913-9659. https://journals.library.ualberta.ca/crcl/index.php/crcl/article/view/2353. 
  14. ^ a b c Hutcheon 2000, p. 30.
  15. ^ a b c 尾方一郎 (一橋大学教授・ドイツ文学)「モンタージュとパロディ――トーマス・マンの「真面目な冗談」について――」『一橋論叢』第115巻第3号、1996年3月、652-667頁。 
  16. ^ a b c トーマス マン”. 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊). コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  17. ^ a b c d 下程 2010, p. 132.
  18. ^ a b c d Segrest, Colt Brazill (translator); Arbor, Ann (translator). "Parody". The Encyclopedia of Diderot & d'Alembert (Collaborative Translation Project). ミシガン大学図書館. 2020年10月4日閲覧Originally published as "Parodie," Encyclopédie ou Dictionnaire raisonné des sciences, des arts et des métiers, 12:73–74 (Paris, 1765) {{cite web}}: |first1=に無意味な名前が入力されています。 (説明)
  19. ^ 時実 2016, p. 11.
  20. ^ a b 時実 2016, p. 12.
  21. ^ 時実 2016, pp. 10–11.
  22. ^ a b homage”. Merriam-Webster. 2020年10月4日閲覧。
  23. ^ a b self-parody”. Collins English Dictionary. ハーパーコリンズ. 2020年10月4日閲覧。
  24. ^ a b 新井信昭 (知財コミュニケーション研究所代表、弁理士) (2017年11月21日). “パクリ商標 | パクリは創造の扉? 絶対悪と限らず”. 日経BizGate. 日本経済新聞社. 2020年10月4日閲覧。
  25. ^ 時実 2016, p. 116.
  26. ^ 時実 2016, p. 20.
  27. ^ 時実 2016, pp. 115–116--盗作、オマージュ、パロディの一般的な相違点の定義ではなく、あくまで筆者・時実の見解として紹介されている。
  28. ^ a b 白鳥 2004, pp. 224–225.
  29. ^ モンタージュ”. 小学館 デジタル大辞泉、および平凡社 百科事典マイペディア. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  30. ^ モンタージュ写真”. 小学館 日本大百科全書 (ニッポニカ). コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  31. ^ a b c d 作花 2018, p. 876.
  32. ^ a b c 最高裁判所判例集 | 事件番号 昭和51(オ)923 | 裁判年月日 昭和55年3月28日 | 判例集等巻・号・頁 民集 第34巻3号244頁”. 日本国裁判所. 2020年10月4日閲覧。
  33. ^ a b c 環昌一 (最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官); 江里口清雄 (裁判官); 横井大三 (裁判官). 主文 原判決を破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。 (PDF) (Report). 日本国裁判所. 2020年10月4日閲覧
  34. ^ a b UKIPO 2013, p. 3.
  35. ^ Exceptions to copyright: Guidance for creators and copyright owners (PDF) (Report) (英語). イギリス知的財産庁. 2014-10. p. 6. {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明); 不明な引数|trans_title=は無視されます。(もしかして:|trans-title=) (説明)
  36. ^ a b バーレスク”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、および平凡社 百科事典マイペディア. コトバンク. 2020年10月13日閲覧。
  37. ^ もじり”. 平凡社世界大百科事典 第2版. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  38. ^ a b 武藤禎夫『江戸のパロディ もじり百人一首を読む』東京堂出版、1998年。ISBN 9784490203660http://www.tokyodoshuppan.com/book/b80010.html 
  39. ^ 時実 2016, p. 127.
  40. ^ a b 狂歌”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  41. ^ a b Rybin, Viktor V. (サンクトペテルブルク国立大学)「狂歌を弁護して」『日本文化の解釈 : ロシアと日本からの視点 (シリーズ: ロシア・シンポジウム 2007)』、国際日本文化研究センター、2009年12月15日、77-85頁、doi:10.15055/00001342 
  42. ^ a b Konnikova, Maria (2014年12月10日). “Excuse Me While I Kiss This Guy” [この男にキスしている間は邪魔しないで] (英語). The New Yorker. 2020年10月4日閲覧。 “One of the reasons that "Excuse me while I kiss this guy" substituted for Jimi Hendrix's "Excuse me while I kiss the sky" remains one of the most widely reported mondegreens of all time can be explained in part by frequency. (抄訳: ジミー・ヘンドリックスの名曲 "Excuse me while I kiss the sky" を "Excuse me while I kiss this guy" に聞き間違えたとする人は多いことから、モンデグリーンの典型例として挙げられるが、これはキスする対象が空 (the sky) ではなくこの男 (this guy) の方が実際によく耳にすることが要因の一つであろう。)”
  43. ^ mondegreen”. Merriam-Webster. 2020年10月4日閲覧。
  44. ^ Meyers, Michelle (2008年7月8日). “ウェブスターの英語辞典、約100語が追加に--多くのIT用語も登場”. CNET. 2020年10月13日閲覧。
  45. ^ a b 三間英樹「「空耳アワー」にみる音の類似と弁別素性」『神戸市外国語大学外国学研究』第87巻、神戸市外国語大学、2015年3月1日、19-34頁、ISSN 02899256 
  46. ^ The chronology of Las Meninas of Picasso” [ピカソ作『ラス・メニーナス』の連作] (英語). El Blog del Museu Picasso de Barcelona (ピカソ美術館公式ブログ). ピカソ美術館 (2015年8月13日). 2020年10月13日閲覧。 “The series is made up of 58 works: 45 interpretations of the work Las Meninas by Velázquez... (抄訳: この連作は計58点で構成されており、うち45点はベラスケス作『ラス・メニーナス』を独自解釈して翻案されたものである)”
  47. ^ International American Studies Association. World Congress (2005). How Far is America from Here?: Selected Proceedings of the First World Congress of the International American Studies Association, 22-24 May 2003. Haen, Theo d'.; Kadir, Djelal; Zamora, Lois Parkinson (ed.). Rodopi. p. 293. ISBN 90-420-1756-2. https://books.google.com/books?id=_NDzP2fgvUoC&pg=PA293 
  48. ^ Sheen, Annabel (2017年3月31日). “10 of the most parodied artworks of all time” [時代を超えて最もパロディ化された芸術作品 10選] (英語). ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ. 2020年10月13日閲覧。
  49. ^ Hutcheon 2000, p. 29.
  50. ^ 下程 2010, p. 131.
  51. ^ 下程 2010, p. 134.
  52. ^ a b イグノーベル賞”. 日本大百科全書(ニッポニカ). ジャパンナレッジ. 2020年10月4日閲覧。
  53. ^ 時実 2016, pp. 133–135.
  54. ^ a b c d e Lelièvre 1954, p. 66.
  55. ^ Dentith 2000, p. 11.
  56. ^ a b エウリピデス”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  57. ^ a b 丹下和彦 (関西外国語大学外国語学部). “4番目の劇--エウリピデス『アルケスティス』考”. CiNii. 2020年10月4日閲覧。 “サテュロス劇とは、山野の精サテュロスが合唱隊に扮して幾分品の悪い下ネタで笑いを取る短い笑劇”
  58. ^ サテュロス”. 平凡社世界大百科事典 第2版. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。
  59. ^ Dentith 2000, p. 39.
  60. ^ アリストファネス”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2020年10月4日閲覧。 “喜劇を通じて反戦論を唱え...(中略)...個人風刺とパロディ―風な表現を自由に行った。”
  61. ^ Dentith 2000, pp. 10, 39.
  62. ^ a b Dentith 2000, pp. 10, 40.
  63. ^ Segrest, Colt Brazill (translator); Arbor, Ann (translator). "Burlesque". The Encyclopedia of Diderot & d'Alembert (Collaborative Translation Project). ミシガン大学図書館. 2020年10月13日閲覧Originally published as "Burlesque," Encyclopédie ou Dictionnaire raisonné des sciences, des arts et des métiers, 2:467–468 (Paris, 1752) {{cite web}}: |first1=に無意味な名前が入力されています。 (説明)
  64. ^ Batrachomyomachia”. Oxford Classical Dictionary. オックスフォード大学出版会. 2020年10月4日閲覧。
  65. ^ Worral, Simon (2015年1月3日). “Author Says a Whole Culture — Not a Single 'Homer' — Wrote 'Iliad,' 'Odyssey' | "It's a mistake to think of Homer as a person," says the author of Why Homer Matters.” [『Why Homer Matters』の著者が語る、『イーリアス』を執筆したホメーロスは一人の人物ではないとの説] (英語). Book Talk (著者インタビュー) シリーズ. ナショナルジオグラフィック. 2020年10月4日閲覧。
  66. ^ a b Dentith 2000, p. 40.
  67. ^ Hunter, Richard. “Eubulus (2), Middle Comedy poet”. Oxford Classical Dictionary. オックスフォード大学出版会. 2020年10月4日閲覧。
  68. ^ Plautus | Roman dramatist” [プラウトゥス | ローマの劇作家] (英語). ブリタニカ百科事典. 2020年10月4日閲覧。
  69. ^ Lelièvre 1954, p. 68.
  70. ^ 飯塚 2015, p. 75.
  71. ^ a b 山本 2008, pp. 113–115.
  72. ^ a b Luther Campbell (声、本人解説、別名: Luke Skyywalker); Jim Fitzgerald (クリエイティブ・ディレクター); Adam Vohlidka (クリエイティブ・ディレクター); Scott Padden (脚本); Orlando Lima (エグゼクティブ・プロデューサー) (7 July 2016). Luther Campbell of 2 Live Crew's Historic Supreme Court Parody Case | Hip Hop Honors (ケーブルテレビ番組のYouTubeへの転載) (英語). VH1. 該当時間: 0分45秒以降. {{cite AV media}}: |access-date=を指定する場合、|url=も指定してください。 (説明); 不明な引数|trans_title=は無視されます。(もしかして:|trans-title=) (説明)
  73. ^ 作花 2018, pp. 853–855, 875.
  74. ^ Savage, David G. (1993年11月9日). “Parody a 'Big Hairy' Mess for Courts : When 2 Live Crew redid 'Oh, Pretty Woman,' it raised hackles. But judges have had a tough time drawing the line between humor, piracy.” [「デカい髪形」のパロディ惨事訴訟: 2 Live Crewによる 'Oh, Pretty Woman' のリメイクが怒りを呼ぶ。判事らはユーモアと海賊版の線引きに苦悩す] (英語). Los Angeles Times. 2020年10月3日閲覧。 “...the pretty woman turns out to be "a big hairy woman."...sold 248,000 copies by early 1990 (抄訳: プリティーウーマンが「ビッグヘアリーウーマン」(デカい髪形の女性)に。パロディ曲を収録したアルバムは1990年初旬には24万8000枚のセールスを記録した)”
  75. ^ Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc., 510 U.S. 569 (1994)
  76. ^ 作花 2018, p. 875.
  77. ^ a b c d e f Opinion of Mr Advocate General Cruz Villalón delivered on 22 May 2014. Johan Deckmyn and Vrijheidsfonds VZW v Helena Vandersteen and Others.” [Cruz Villalón判事による2014年5月22日判決。Johan Deckmyn および Vrijheidsfonds VZW 対 Helena Vandersteen 他裁判] (英語). Court Reports - general (裁判所関連資料全般). EUR-Lex (2014年5月22日). 2020年10月4日閲覧。
  78. ^ a b c 作花 2018, pp. 873–874.
  79. ^ 時実 2016, pp. 122–124.
  80. ^ 作花 2018, pp. 331 (注2), 325.
  81. ^ 時実 2016, p. 119.
引用文献

関連文献

本項の解説の出典として直接用いていないものの、一層の理解を深めるのに寄与する文献。

法律とパロディの関係
パロディ作品紹介

関連項目