二次創作物

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二次創作物(にじそうさくぶつ)は、原典となる創作物(以下、「原作」という)のストーリー、世界観、それに登場するキャラクター道具などの各種設定を元に、二次的に創作された、独自のストーリーの漫画小説や、独自のイメージによるイラストCG、立体造形物(フィギュアなど)などの派生作品を指す。原作の媒体は、小説漫画アニメ映画など多岐にわたる。主として同人誌の分野において1990年代後半から使用されている用語であり、著作権法上の用語ではない。

目次

概要 [編集]

一つの二次創作物について原作は一つとは限らず、複数の(ときには全くジャンルの異なる)原作のキャラクターや世界を混在・交流させて新しい物語を創ることもある(クロスオーバースター・システム)。また、原作の世界観に基づいて独自キャラクターを追加することや、原作のキャラクターを用いて別世界の話を構築することもしばしばであり、これらは「パラレルもの」と呼ばれる。

その他、原作から触発されたイメージによって制作された音楽や、キャラクターのコスプレも二次創作に含むこともあり、その内容・表現は多岐に渡っている。

現在、漫画アニメに関する同人誌やWeb上のファンサイトの内容の多くは二次創作物が用いられている。

また中には、他人もしくは自己の二次創作物を元にした「三次創作物」「四次創作物」と呼ばれる作品なども見られる(⇒同人の同人)。

二次創作物と「生モノ」 [編集]

同人誌などの活動の中には、実在の有名人(主に俳優、邦楽アーティスト、スポーツ選手などが対象であるが、歴史上の人物や果ては犯罪者に至るまでおよそ有名であれば見境なく対象となる)をモデルとして創作を行うものもある。これらは「生モノ」と俗称されている。二次創作物と生モノは本質的に全くの別物であるが、現在の同人活動は二次創作物も生モノも包括して一つの活動形態となっており、しばしば「二次創作物」を語る際には無意識に生モノもその中に含んでいることがある。

しかし、生モノについては、法的な位置づけなどが二次創作物とは全く異なるため(存命している実在人物は著作物ではないのだから、生モノに著作権法は関与せず、問題となるのは肖像権パブリシティ権である)、解説の混乱を避けるため、本項の記述においては生モノを二次創作物に含めない。これについての詳細は生モノの項目を参照されたい。

二次創作物の現状と問題 [編集]

二次創作物については、著作権法やアダルト表現規制の動きなど、さまざまな問題を抱えている。これについての詳細は同人誌の項目を参照されたい。

また、主に同人誌などにおける二次創作物は権利者の許可なくしては販売が行えず著作権法違反の犯罪になる。しかし、著作権法上での損害賠償の扱いは実損害分しか賠償されない。そのため権利者が訴えるほどに赤字になる可能性があり、資金力に乏しい企業や個人が権利者の場合、著作権侵害をした二次創作物は訴訟されないことが多い。[1]

著作権法上の位置づけ [編集]

著作権者の許諾を得ていない場合を仮定して、二次創作物を作成した場合、次の著作権侵害となる可能性がある。

より具体的には、原作を利用して作成された作品は次の4つに分類される。[2]

  1. 著作物そのままを用いた作品(複製権の侵害)
  2. 著作物を改変しているが創作性が認められない作品(複製権+同一性保持権の侵害)
  3. 著作物を改変しており創作性が認められる作品(翻案権+同一性保持権の侵害)
  4. 著作物を改変し創作性が認められ、原作の本質的特徴を失っている作品(別個の著作物とみなされるため合法)

原作の絵や構図についてトレース、機械によるコピーなどを行っている、いわゆる「パクリ同人誌」は1に該当すると思われる。コラージュなどもこれに該当することとなる。これを除く二次創作物は、判例は2ないし3に該当すると判断するが、2のみに該当するとの見方もある[3]。なお、判例は二次創作物について「漫画のキャラクターにただ性行為を行わせただけ」として創作性を否定し、単に「原作を改竄し複製しただけの代物」と判断したとする見方もあるが、「創作性などを理由として著作権法違反の成立が排除されない」という趣旨とも取れる[4]

判例上、キャラクター自体は著作物ではなく、キャラクターを表した絵は「美術の著作物」に該当し、絵画の模写は著作権法上の複製に含まれるが、原作の特定の場所ではなくても複製と一見して分かる絵を描いた場合は原作の絵の複製権(創作性のある改変が行われた場合であっても、翻案権)の侵害とみなされる[5]

許諾と黙認 [編集]

著作権者の許諾(63条)があれば、許諾の範囲内で二次創作物を作成する限りにおいて著作権侵害となることはない。著作権者の中には、公式webサイトなどで二次創作物の作成を許諾する旨のコメント[6]を行っている者もいる。個々に許諾申請を求める者もおり、許諾の条件として金銭を求める場合もある。クリエイターの収入に関する問題にも絡むことがあり、二次創作を広く認める立場であっても、何らかの利益の還元を必要とする意見がある[7]。このように著作権により様々な立場や考えなどがあるのが現状である。

このような具体的な許諾を受けていなくても、著作権者が二次創作物を法的手段で規制しようとせず、黙認の姿勢を示すことがある。このような黙認は許諾あると独自に解釈している同人活動者もいる。ただし、「権利を行使しない」ことが「許諾」に自動的に変わることはなく、「権利を放棄する」ことと法的に混同されることもありえない。著作権者はいつでも自らの著作権を守るための行動に出ることができる。

また、古典作品などをはじめとしたパブリックドメインといった著作権フリーの物は、許諾をそもそも必要としない。

注釈 [編集]

  1. ^ 福井弁護士のネット著作権ここがポイント
  2. ^ 平成7年10月19日京都地裁判決(アンコウ行灯事件)
  3. ^ 平成11年8月30日東京地裁判決(ときめきメモリアル無断改変事件)には、「複製ないし翻案したもの」とある。なお、1999年(平成11年)1月13日に『ポケットモンスター』の同人誌を製作した女性が著作権法違反で京都府警に逮捕される事件があり、逮捕容疑は「複製権の侵害」である。
  4. ^ 平成11年8月30日東京地裁判決には、「同人文化の一環としての創作活動であり、著作権法違反は成立しないと主張するが、採用の限りでない。」とある。
  5. ^ 平成9年7月17日最高裁判決(「ポパイ」著作権第1事件)
  6. ^ ただし、頒布方法や性表現の有無などの条件を付け制限している場合もある。
  7. ^ 作り手を“やる気”にさせる著作権とは――島本和彦氏など語る (1/3) - ITmedia News

関連項目 [編集]