タンタンの冒険

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英国ロンドンコヴェントガーデンのタンタンショップ

タンタンの冒険』(タンタンのぼうけん、: Les Aventures de Tintin)は、ベルギーの漫画家・エルジェによって描かれた漫画バンド・デシネ)。主人公の少年記者タンタンと相棒の白い犬スノーウィ[1]が世界中を旅行し、事件に巻き込まれる。

かつては『タンタンの冒険旅行』(タンタンのぼうけんりょこう)などの邦題でも知られていた(後述)。

掲載と出版[編集]

この漫画は1929年1月10日、『20世紀新聞』(Le Vingtième Siècle) の子供向け付録『20世紀子ども新聞』(Le Petit Vingtième) に初掲載されて以来、以下の新聞、雑誌にて連載されたのちアルバム化(単行本)された。当初はモノクロで執筆されていたが、1942年の『ふしぎな流れ星』よりカラー化され。それに伴い以前の作品も加筆、修正してカラー化された(『タンタン、ソビエトへ』を除く)。

  • 『20世紀子ども新聞』(1929年 - 1940年
  • 『ル・ソワール・ジュニア新聞』(1940年 - 1941年
  • 『ル・ソワール新聞』(1941年 - 1944年
  • 『タンタン・マガジン』(1946年 - 1976年

原作はフランス語だが、80か国語以上に翻訳され、世界中で親しまれている。シリーズの全世界での発行部数は3億5,000万部以上になる。

日本語版[編集]

日本語版は1968年主婦の友社から『ぼうけんタンタン』(さかたひろお訳)の邦題で3冊が出版されたが、当時はほとんど注目されなかった。なお、当時このシリーズは、保護者が子供たちに買い与えるものと位置付けられており、当時流行していた漫画に対抗する意味合いで企画された。1983年以後は福音館書店から『タンタンの冒険旅行』シリーズ(川口恵子訳)として全24冊が日本語に訳された。福音館書店は、2011年4月のシリーズリニューアルにともない、邦題を『タンタンの冒険』に改めた[2]

日本の福音館書店版は2011年12月時点でハードカバー版が約107万部、ペーパーバック版が約26万部を発行している[3]

タイトル[編集]

日本語版タイトルは福音館書店版に拠る。また刊行順序が大きく異なるため、オリジナル版の順番の横に日本語版刊行順序を示す。

順番 日本 刊行年 タイトル 原題(フランス語) 備考
1 21 1930年 タンタン ソビエトへ Tintin au pays des Soviets 唯一カラー化されなかった作品
2 22 1931年 タンタンのコンゴ探険 Tintin au Congo デュポンとデュボンが登場(カラー版:1946年)
3 20 1932年 タンタン アメリカへ Tintin en Amérique (カラー版:1946年)
4 8 1934年 ファラオの葉巻 Les Cigares du pharaon ラスタポプロスが登場(カラー版:1955年)
5 14 1936年 青い蓮 Le Lotus bleu チャン・チョンジェンが登場(カラー版:1946年)
6 16 1937年 かけた耳 L'Oreille cassée アルカサル将軍が登場(カラー版:1943年)
7 1 1938年 黒い島のひみつ L'Ile Noire (カラー版:1943年→再カラー版:1965年)
8 17 1940年 オトカル王の杖 Le Sceptre d'Ottokar カスタフィオーレ夫人が登場(カラー版:1947年)
9 18 1941年 金のはさみのカニ Le Crabe aux pinces d'or ハドック船長が登場(カラー版:1943年)、2011年12月公開映画の関連作品
10 2 1942年 ふしぎな流れ星 L'Etoile mystérieuse 最初からカラーで執筆されるようになる
11 3 1943年 なぞのユニコーン号 Le Secret de La Licorne 2011年12月公開映画の関連作品
12 4 1944年 レッド・ラッカムの宝 Le Trésor de Rackham le Rouge ビーカー教授が登場、2011年12月公開映画の関連作品
13 6 1948年 ななつの水晶球 Les Sept Boules de cristal
14 7 1949年 太陽の神殿 Le Temple du Soleil
15 10 1950年 燃える水の国 Tintin au pays de l'or noir
16 12 1953年 めざすは月 Objectif Lune
17 13 1954年 月世界探険 On a marché sur la Lune
18 15 1956年 ビーカー教授事件 L'Affaire Tournesol ランピョンが登場
19 11 1958年 紅海のサメ Coke en stock チェッが登場
20 5 1960年 タンタンチベットをゆく Tintin au Tibet
21 9 1963年 カスタフィオーレ夫人の宝石 Les Bijoux de la Castafiore
22 19 1968年 シドニー行き714便 Vol 714 pour Sydney
23 23 1976年 タンタンとピカロたち Tintin et les Picaros 次巻である「タンタンとアルファアート」執筆中にエルジェが死亡した為、実質上完成した物語の中では最後の作品となる
24 24 1986年 タンタンとアルファアート Tintin et l'Alph-Art エルジェの死後に刊行された未完作品

登場人物[編集]

主要人物[編集]

※声優は、日本語版のもの。

タンタン (Tintin)
声 - 草尾毅-(1994-1995) -やなせなつみ-(2001ゲーム-2011)浅井清己-(2002シリーズ繰り返し)
本作の主人公。少年ルポライター。ベルギー出身。ブリュッセルのラブラドル通り26番地で愛犬かつパートナーでもあるスノーウィと暮らしている。
くるっと跳ね上がった髪の毛とニッカボッカが特徴。この風貌は、作者の弟であり職業軍人であったポールの風貌をモデルにしているとされる。
正義感が強く色々な事件に首を突っ込むため、警察に容疑をかけられたり、殺し屋、麻薬売人など悪者に命を狙われたりと、何かと波乱が絶えない。また大怪我を負ったり死にかけたりすることも多々ある。
ハドック船長登場以降は彼との交友関係を主軸とする生活面が濃く描かれるようになり、事件に首を突っ込むというよりは巻き込まれる形になることが多くなる。唯一、ハドック船長が後半から登場する「燃える水の国」では、久々に自ら調査に乗り出している[4]
過去に『タンタン新聞』にて、「タンタンの年齢はいくつくらいか?」という質問が挙がり、エルジェはそれに関して「最初は14歳くらい…あと最終的には17歳かな」と答えていた。
スノーウィ (Milou)
声 - スーザン・ローマン(1994-1995 世界共通)
タンタンの相棒のホワイト・フォックステリア犬(実際はワイアー・フォックス・テリアがモデル)。少々ドジでおっちょこちょいな面があり、またかなりの酒好きで骨にも目がなく、その上いつも猫を追いかける(ムーランサール城の猫も追い掛け回すが、仲良くなったのか二匹寄り添ってるシーンもある)ため、そのたびにタンタンの悩みの種になっているが、いざという時はタンタンにとって頼もしい存在になっている。蜘蛛が苦手。原作では人間語のセリフが付いており、何かとぼやいたりするが、この言葉はタンタンにしか通じないらしい。アニメではスノーウィ独自の台詞は一切なく、原作にあるようなスノーウィからの視点も省かれている。
フランス語版での名前は「ミルゥ」。各国語に翻訳される際、それぞれ親しみやすい名前に変更されている。英語・日本語版では「スノーウィ」、ドイツ語では「シュトルッピー」(Struppi)、オランダでは「ボビー」(Bobbie) 、ウェールズ語では「スウィーティン」(switin)、スロバキア語では「スノー」(snow)、中国語では「白雪」である。
ハドック船長 (Capitaine Haddock)
声 - 内海賢二-(1994-1995) - 玄田哲章-(2002シリーズ-2011映画)
本名:アーチボルド・ハドック(Archibald Haddock)。なお、Haddockは、フランス語では「アドック」と読む。初登場は「金のはさみのカニ」。
顎鬚を生やしたいかにも船乗りらしい偉丈夫で、大の酒好き。パイプも愛用する。初登場時は貨物船カラブジャン号の船長で、配下のアランに利用され麻薬の密輸を手伝わされていた。事件を追っていたタンタンと出会い、彼の頼れる仲間として以降、数々の冒険や事件を共にする。
船員禁酒連盟会長にもかかわらず、コルクが開いた音だけでウィスキーだと分かるほどの大酒飲み。酒を飲むなと言われながら酒を持ち込んだり、自分の用意した酒を飲み損ねて嘆いたり怒ったりする場面がしばし見られる。カラブジャン号の船長時代にアランが好き勝手に行動できたのもアルコールが原因である。なお、実質最終巻である『タンタンとピカロたち』にて、ビーカー教授の発明した酒が不味くなる薬を飲んで、酒を受け付けない体質となった。
非常に口が悪く、地口掛詞)を多用した悪態をつくことが多い。中でも「コンコンニャローのバーロー岬」「何とナントの難破船」はよく登場する。なお、元は「Tonnerre de Brest!」と叫ぶセリフの日本語版独自の意訳である。これは直訳すると「ええい、またか、忌々しい城砦の大砲め!また凶悪犯が逃げやがったぞ!」。脱走者が頻発し、その度に大砲が鳴らされていた刑務所が建つフランスの城砦・軍港都市ブレストの住民感情に因み、引用されている。
アドック卿という先祖がおり誇りにしている。「なぞのユニコーン号」「レッドラッカムの宝」は、アドック卿の隠し財宝を巡ってタンタンと行動を共にし、最終的にアドック卿の居城であったムーランサール城を手に入れ、自分の家としている。
デュポンとデュボン (Dupond et Dupont)
声 - 永井一郎
双子でもなく、親戚でもないのに顔も名前もそっくりなインターポール (ICPO) の刑事。初登場は「ファラオの葉巻」だが、「タンタンのコンゴ探険」でも登場している[5]。イギリス風の紳士服をきている。
黒いスーツと山高帽、ステッキというおそろいのファッション。2人の見分け方はヒゲにあり、ヒゲの両端が跳ね上がっているのがデュポンで、垂れ下がっているのがデュボンである。
職務に忠実ではあるのだがいつもドジばかりしており階段から落ちたり床で滑って怪我をするのは日常茶飯事。人目に立つ奇異な変装をする(『めざすは月』ではその変装のせいでギリシャの革命党員(シルダビアの民族衣装と思っていた)間違われ逮捕されている)、どんな機密事項もあっさりと喋ってしまう、護送中に居眠りをして逃げられる、市場へスリを捕まえようとしたときに自分が財布をすられた挙句置き引きと間違われる、警護任務をうっかり忘れる、骨格標本を逮捕する、挙句の果てには午前と午後を取り違えて月ロケットに乗り込んでしまい、誤って宇宙に飛び立ってしまったこともある(この時にはロケットが酸素不足となりタンタン・ハドック・ビーカーらを窮地に追い込む)など、刑事らしからぬ行動がかなり目立つが、最終的には(タンタンの活躍によって)任務を果たすため、優秀な刑事の扱いをされている。
登場初期は、タンタンを麻薬密売人や強盗と勘違いして逮捕してしまうことが多々あった(命令によってやむを得ず逮捕したこともある)が、最終的には和解し、今では彼に事件の情報を与えるほど信頼している。
各言語版で名前は異なるが、英語版ではトムソンとトンプソンであるなど、いずれもよく似た(紛らわしい)名前が付けられているという点は共通である。また、発音が紛らわしい言語版ではしばし何らかの区別読みを行う場合がある。例えば日本語版では「イカレポンチのポン」「ボンクラのボン」という形で、フランス語版ではDupondとDupontともにありふれた姓であり、加えていずれも発音が同じ「デュポン」であるため、語尾の文字を取って「デュポン・デー」(d)、「デュポン・テー」(t) と区別する。2人をまとめてLes Dupondtと称する。
ビーカー教授 (Professeur Tryphon Tournesol)
声 - 辻村真人
本名はビルフリート・ビーカー。潜水艦や原子力ロケットを発明した天才科学者、それ故に「ビーカー教授事件」では誘拐されてしまい、また自分の発明が悪に使われることを嫌っており時にはその対象となった発明品を自ら破壊することもある。初登場は「レッド・ラッカムの宝」。潜水艦「サメマリン号」の特許を国に売って手に入れた法外な額のお金でムーランサール城を買い取った、その為かムーランサール城の敷地内に研究室を持っている。植物の栽培にも長けており「ビアンカ」(下記のカスタフィオーレ夫人が由来)という新種の白薔薇を開発している。好奇心は旺盛なほうで「七つの水晶球」・「太陽の神殿」では黄金の聖なる腕輪を付けた為に誘拐され生贄に捧げられそうになる。
耳が遠いためか、話の噛み合わないことが非常に多く、事件に巻き込まれることも多い。普段は補聴器をつけるのを嫌がっており、月旅行の際以外は基本的に何も付けていない。劇場版ではなぜか耳は普通に聞こえている。
本人の温厚な性格と耳の遠さで、ハドック船長に怒鳴られても平然としている。しかし、その分怒った時の剣幕は凄まじく、船長が圧倒されるほど。ことに「バカ」という言葉に敏感で、自分の研究をバカにされると本気で怒る。
小柄で比較的痩せ型であるが、学生時代はスポーツに励んでいたためか、見かけによらずかなりの力持ちでもある。「めざすは月」ではハドック船長の言葉に激怒し自分より明らかに体格の大きい人物を持ち上げている。運転免許も取得しており、運転技術はかなりのもの(アニメ版で、タンタンをして「プロも顔負けですね!」と言わしめるレベル)。
フランス語版では、本名が「トリフォン・トゥルヌソル」(Tryphon Tournesol) とされており、通常は「プロフェスール・トゥルヌソル」(Professeur Tournesol) と呼ばれている。「トゥルヌソル」(tournesol) はヒマワリの意。こちらも各国語に翻訳される際名前が変更されており、英語版では「カスバート・カルキュラス」(Cuthbert Calculus)、ドイツ語版では「バルドゥイン・ビーンライン」(Balduin Bienlein) とされる。
モデルとなったのは、一時期ブリュッセル自由大学の教授でもあったオーギュスト・ピカールとされる。

悪役[編集]

ラスタポプロス(Rastapopoulos
声 - 青森伸-(1994-1995) 難波圭一 (2001ゲーム- 2002TV)
本名:ロベルト・ラスタポプロス。「暗黒街の顔役」として悪名高い、タンタンの宿敵。禿げ頭に大きい鼻が特徴的。片眼鏡をかけている。
正式な初登場は『ファラオの葉巻』。以後タンタンシリーズにおいて数々の事件に関与し、タンタンを苦しめている。 表の顔は映画ビジネス会社の社長や、船舶王やメディア王としてその名を轟かす大富豪ゴルゴンゾラなどであるが、その裏の顔は麻薬密輸組織のボス、奴隷商人、武器商人、果てはハイジャック犯などと様々である。また、悪役ながらその逃走能力も非凡なものであり、『紅海のサメ』では沈むモーターボートから小型艇によって脱出し、結果逮捕を免れている。『シドニー行き714便』で本人の発言により三人の兄弟と二人の姉妹がいることが判明したが彼によって両親と共に不幸のどん底に落とされたという。また同作のラストには部下たちと共にUFOによりどこかへ連れ去られていった。
なお、タンタンとの関わりは『ファラオの葉巻』から始まるが、『タンタン アメリカへ』において、タンタンと一応の対面はしている。
アラン(Allan
声 - 小島敏彦
本名:アラン・トンプソン。ラスタポプロスの右腕ともいうべき腹心の部下。麻薬密輸や奴隷貿易など、やはり様々な悪事に関与し、タンタンらと幾度となく対決している。
初登場は『ファラオの葉巻』。ラスタポプロスを頭領とする麻薬密輸の計画に関わり紅海にて麻薬の取引を行うが、警察の発見を恐れ、麻薬と間違えてタンタンらの入った棺桶を捨ててしまう。
その後、『金のはさみのカニ』にて、貨物船「カラブジャン」の一等航海士として登場。船長であるハドックをアルコール中毒にしてこの船を思うがままに操り、麻薬の密輸を行っていたが、その事実が露見しタンタンとの追走劇の末、逮捕された。
『紅海のサメ』では、貨物船「ラモナ号」の船長として、奴隷貿易に関与。ボスであるゴルゴンゾラ(ラスタポプロス)の命によって計画の邪魔になるタンタンとハドックを爆薬で葬ろうとするが、失敗に終わる。その後デンマークで当局によって逮捕された。
『シドニー行き714便』ではラスタポプロスと共に大富豪カレイダス誘拐計画に関与。ソンドネシア人(架空の人種)を率いタンタンらと銃撃戦を繰り広げる。なおこの作品の終盤ではそのソンドネシア人にリンチを喰らっている。
ドクター・ミュラー (docteur Müller)
声 - 桑原たけし
『黒い島のひみつ』に登場する悪役。その後『燃える水の国』『紅海のサメ』にも登場する。
スコットランドにある「黒島」を本部とする偽札組織のメンバーとして初登場。本部から届けられる偽札を受け取っていた。タンタンにそれを見破られ黒島へと逃亡するが、島に乗り込んだタンタンの活躍により警察に逮捕された。その後、『燃える水の国』にて、中東の架空の国「ケメド」で暗躍し、反体制派が首長エザブの政権打倒のために起こしたガソリン爆発事件に関与する。『紅海のサメ』ではムル・パシャと名を変えて、変わらず反体制派に組し、ケメドにやってきたタンタンの命を狙うが失敗する。なお、初登場時は小ざっぱりとした風貌で敬語主体の紳士的な言動だったが、再登場してからはワイルドな風貌になり言動も荒っぽくなっている。またアニメ版『紅海のサメ』では味方から誤爆されている(マンガ版でも誤爆は起きているがミュラーは部隊に同行していない)。
ボリス侍従長 / ヨルゲン大佐(colonel Boris / Colonel Jorgen)
声 - 大塚明夫
東欧の架空の国「シルダビア」の侍従長。初登場は『オトカル王の杖』。その後『めざすは月』『月世界探検』に登場する。
隣国のスパイで、シルダビアの王権の象徴である「オトカル王の杖」を奪取し王政の打倒を画策するが、タンタンの活躍によって失敗に終わる。その後ヨルゲンと名を変え(アニメ版では元からヨルゲン)、シルダビアのロケット計画に絡む陰謀に加担し、月ロケットの乗っ取りと計画に加わっているタンタンへの復讐を企む。ロケットに密かに乗り込みタンタンらを殺そうとするが、内通者のヴォルフ(声 - 清川元夢)ともみ合った末に銃が暴発し死亡する。死体は宇宙に棄てられた。
スポンツ大佐 (Colonel Sponsz)
声 - 藤本譲
シルダビアの隣国「ボルドリア」の軍人でボルドリア警察庁長官を勤める。階級は大佐。右目に片眼鏡を掛けてるのが特徴で髪型は半分坊主で頭の真ん中に髪の毛が立っている。
初登場である『ビーカー教授事件』にて、ビーカー教授が発明した震動兵器を奪うため教授をボルドリアに拉致するが、ボルドリアに潜入したタンタンとハドック船長にビーカー教授を助け出され、計画は破綻する。またカスタフィオーレ婦人の大ファンであり自身の地位を利用して面会したりしている。またその際にカスタフィオーレに極秘情報と喋ってしまいそれを盗み聞きしていたタンタン達に反撃のチャンスを与えてしまうことになる。
その後、『タンタンとピカロたち』にて、南米の架空国家「サン・テオドロス」の警察顧問として赴任し、反政府ゲリラ「ピカロ党」の殲滅と「懇意の仲」のタンタンへの復讐を企む。タンタンをおびき寄せるため、サン・テオドロスの公演に訪れたカスタフィオーレ婦人と護衛であるデュポン&デュボンに無実の罪をでっち上げて逮捕するが、タンタンの協力によってアルカサル将軍による無血革命が成功、企みは失敗に終わる。そしてタンタンによってボルドリアへ強制送還された。
ドーソン (J.M.Dawson)
声 - 小山武宏
本名J.M.ドーソン。オールバックの髪型にメガネ、チョビ髭といったビジネスマン風の外見が特徴、時折歯をむき出して笑うことがある。上海共同租界にて警視総監を務めたことのある人物であり、その地位を利用しタンタンを幾度となく陥れた。
『青い蓮』では、上海共同租界警視総監として初登場。欧米人のメンツのためにタンタンを逮捕させてリンチをかけさせようとしたり、日本軍と結託してタンタンを捕らえたりと、タンタンを何度も陥れている。
『紅海のサメ』ではラスタポプロスの武器密輸に関与し、戦闘機などを売る「死の商人」として再登場。エザブの政敵バブエルエルに戦闘機モスキートを売りつけてクーデターを起こすように仕向けたり、アルカサル将軍とも取引を行っていた。タンタンに悪事をかぎつけられると、ケメドに向かうタンタンが乗る飛行機に時限爆弾を仕掛けてタンタンを亡き者にしようとする。(飛行機のエンジン・トラブルによりこの企みは失敗に終わる。)

準レギュラー[編集]

2話以上に登場する人物

チャン(Tchang
声 - 西村明子
本名:張仲仁(Tchang Tchong-Jen)。中国人の少年。初登場は『青い蓮』。
孤児院にいたが嵐による洪水で川で溺れていたところをタンタンに助けられ、親友となる。以後タンタンと行動を共にし、上海で暗躍する日本人工作員ミツヒラトが関わる「青い蓮」事件の解決に貢献する。事件解決後はアヘンと戦う中国の秘密結社「小龍会(シャロンホイ)」の代表、ワン・チェンイーの養子となる。
『タンタンチベットをゆく』で義理のおじの店を手伝うためロンドンに向かう途中チベットの雪山で飛行機が墜落、遭難してしまう。
エルジェの中国人の友人チャンがモデルとされている。
カスタフィオーレ夫人(La Castafiore
声 - 此島愛子
本名:ビアンカ・カスタフィオーレ(Bianca Castafiore)
世界的に有名なオペラ歌手。初登場は『オトカル王の杖』で、他6話に登場する。登場順ではハドック船長よりも先に登場している。
白いナイチンゲールの異名を取る程の歌手であるが、彼女の歌声には耳の遠いビーカー教授を除いて皆が拒絶反応を示す。特にハドック船長は彼女の歌声を聞くと、嵐の海で死にかけた時のことを思い出すという。
ハドック船長の、唯一にして最大の女性の天敵であるが、彼女は彼のことをいたく気に入っており彼の為にはるばるムーランサールを訪れたりしたこともある。
ハドック船長の名前を正しくいえた試しがなく(パドック、ホダックなど)興奮したときにはランピョンやネストルの名前でさえも間違えてしまったこともある。
アルカサル将軍(Général Alcazar
声 - 有本欽隆
南米の架空の国「サン・テオドロス」の革命家・独裁者。ステレオタイプな政治家で頑固な性格である。また癇癪持ちで事ある毎に怒鳴り散らすが妻のペギー(声 - 片岡富枝)には頭が上がらない。
『かけた耳』ではサン・テオドロスの大統領として初登場。タンタンを副官に任命しチェスの相手をさせていたが、タンタンを敵国に協力したスパイだと勘違いし、彼を処刑しようとするが逃げられてしまう。
 その後国内で革命が起きたために亡命、『ななつの水晶球』では「ラモン・サラーテ」と名乗りミュージック・ホールでナイフ投げをしていて、タンタンと再会した。『紅海のサメ』では政敵タピオカ(声 - 玄田哲章)との戦争に使う戦闘機を買うためヨーロッパを訪れている。最終的に『タンタンとピカロたち』にて、タンタンの協力を得て無血革命に成功。タピオカから政権を奪取し改めてサン・テオドロスの大統領となった。
ネストル(Nestor
声 - 上田敏也
ムーランサール城の執事。初登場は『なぞのユニコーン号』。
非常に優秀な執事。登場時はムーランサール城の主である悪人・バード兄弟に仕えており、タンタンたちと敵対していた。しかし、バード兄弟の悪事は知らず、後にタンタンに潔白を証明され和解する。ムーランサール城がハドック船長の所有になると、そのまま彼に仕えることとなる。『ななつの水晶球』ではハドックやタンタンと共に南米へ同行しようとするが一足遅かった。
オリベイラ(Oliveira
声 - 村松康雄
ポルトガルの雑貨商人。初登場は『ファラオの葉巻』で、全3話に登場する。
弁舌巧みに商品(ときにガラクタ)を売りさばき、最初はタンタンにも売りつける。とてつもないおしゃべり・ゴシップ・ホラ話好きで、端役ながら後にも登場し、その話術で屋敷中の人間の注意を自分にそらすなどしてタンタンを助けている。
ベン・カリシュ・エザブ(Emir Ben Kalish Esab
声 - 石森達幸
ケメド国の首長。初登場は『燃える水の国』。
非常に温和な性格であるが、時には人を「あの悪魔ども」などと罵るなど激情家の一面も見せる。また、「かよわき子羊」「小さな砂糖菓子」などと呼んで息子のアブダラーを溺愛しており、アブダラーのためならどんな無理難題をも命令してしまう。アブダラーのいたずらに関しては寛容な態度を見せるが自分の高級葉巻を全部爆竹に変えられた際には激怒したこともある。
アブダラー(Abdallah
声 - 松本梨香
ケメド国の首長アミール家の王子。初登場は『燃える水の国』。初登場時の年令は8歳。
非常に我侭で、イタズラ好きの少年。爆竹やおもちゃのピストルで大人をからかうのが大好きだが、一喝されるとすぐに泣き出す。王子ということで非常に甘やかされており、上記のいたずらが咎められることはなく、むしろアブダラーを怒ると、側近(特にお供のハシム)にたしなめられる。
セラファン・ランピョン(Séraphin Lampion
声 - 仲木隆司
保険の営業マン。初登場は『ビーカー教授事件』。
いつも能天気で明るいが、場の空気が読めず迷惑がられることが多い。モータークラブの会長や、サーカス団の代表を務めることもあり、『タンタンとピカロたち』では、アルカサル将軍の革命に大きな貢献をすることとなる。
チェッ(Szut)
声 - 大滝寛
眼帯をした飛行機の操縦士。エストニア人。初登場は『紅海のサメ』。なお、アニメ版では「ビオトル・チェッ」というフルネームが登場している。
ゴルゴンゾーラことラスタポプロスの部下で、メッカに向かうタンタンらをモスキートで襲撃するが反撃を受け墜落、以後タンタンらと行動を共にすることになる。彼がどこまでラスタポプロスの悪事を知っていたかは不明であるが、その後殺されかけていたタンタン達を助け出し、ラスタポプロスが行っていた紅海での奴隷貿易に終止符を打つ手助けをする。
後に『シドニー行き714便』にてタンタンと再会したときには、大富豪ラズロ・カレイダス(声 - 大塚周夫)の専用ジェット機のパイロットになっていたが、ジェット機をハイジャックされカレイダス誘拐計画に巻き込まれてしまう。
名前が舌打ちの音に似ている為、勘違いをされてしまうことがしばしばある。

その他[編集]

エルジェ (Hergé)
作者本人。原作にはタンタンのコンゴ探検で登場し、アニメでは様々な場面で本業や別の仕事でカメオ的に登場、1回だけセリフもあった。BS放送時には「エルジェを探せ」という、彼の出演した場面を探すコーナーがあった。
ニコ
声 - 浅野まゆみ
映画『呪われた湖の謎』に登場するオリジナルキャラの少年。
ヌーシュカ
声 - 三浦智子
同上。ニコの妹。

用語[編集]

ストーリー内にたびたび登場する地名・組織・架空の国を紹介する。

サン・テオドロス(San Theodoros
南米の架空国家。特定のモデルはなく、南米らしさをミックスした架空の国である。共和制で、首都はラス・ドピコス(のちにタピオカポリスになり、さらにその後アルカサルポリスになる。)。政敵同士のアルカサル将軍とタピオカ将軍が政権争いを度々繰り広げており、タンタンが巻き込まれてしまうことがしばしばある。特に『タンタンとピカロたち』ではボルドリアの支援を受けたタピオカ政権によって「ピカロ党」殲滅作戦の標的にされてしまった。長らく大統領はタピオカ将軍であったが、タンタンの協力によってアルカサル将軍が政権の奪取に成功、現大統領である。
原住民には、アルンバヤ族などがいる。
ヌエボリコ(nuevorico
南米の架空国家。サン・テオドロスとはライバル。モデルはボリビアとされる。
シルダビア(Syldavia
東欧に位置する架空国家。モデルはユーゴスラビアとされる。君主制で、首都はクロウ。現君主はムスカル12世である。「オトカル様の杖賭けて!」というセリフがある様にオトカルをとても崇めている模様。
長い間隣国ボルドリアの支配下におかれていて、オトカル王の蜂起により独立したという過去を持ち、ボルドリアとは今もライバル関係にある。王位の象徴として「オトカル王の杖」があり、これを失うと王はその資格を失うという決まりがある。
主な生産品はミネラルウォーターで、水を主に飲んでいる国民性からか酒に関しての税金は高くハドックには文句を言われていた。国内にあるツミルパチア山脈には莫大な量のウラン鉱脈があり、『めざすは月』では、ビーカー教授を招いて月ロケットの開発をしている。『ビーカー教授事件』では震動兵器を奪うべくビーカー教授を拉致するなど技術の発展を進めている面が見られる。
ボルドリア(Borduria
架空国家。モデルはブルガリアとされる。首都はショホド。「アマイフ様のヒゲ賭けて!」というセリフがある用にアマイフをとても崇めている模様。
シルダビア国とはライバル関係となっている。
「ビーカー教授事件」で戦いの舞台になった国。振動兵器を奪おうとするが、タンタン達の妨害により失敗。

ゆかりの場所[編集]

シュヴェルニー城
ハドック船長が「レッド・ラッカムの宝」で手に入れ、その後の住まいになったムーランサール城は、フランスロワール=エ=シェール県にあるシュヴェルニー城 (Cheverny) がモデルになっている。シュヴェルニー城にはタンタンの常設展があり、本の中に出てくるサメの形の潜水艦(サメマリン号)があったり、作中の色々な場面が様々な部屋で再現されたりしている。
ストッケル駅
ブリュッセル地下鉄ストッケル駅の構内の壁一面に、タンタンの登場人物たちの絵が描かれている(画像)。
ベルギー漫画センター
ブリュッセルにあるベルギー漫画センター (Centre Belge de la Bande Dessinée)にはタンタンとスノーウィの銅像がある。

カフェ&レストラン[編集]

公式なものではないものの、タンタンをモチーフにしたり、あるいはグッズや絵本、メニューなどに出てくるカフェ、ダイニング、バーなどが世界各地にある。

petite abeille
ニューヨークにあるダイニング・カフェ。タンタンの壁画や本のあるベルギーカフェがあり、世界中からタンタン・ファンが集まる。所在地:134 W.Broadway New York, NY 10013-3328

映像化作品[編集]

1940年代[編集]

2009年現在、タンタン最初の映像化作品として確認されているのは1946年から1947年にかけてベルギーのマペット作家であるクロード・ミソンヌ (Claude Misonne) による人形劇映画が最古とされている。3本製作された人形劇のうちの1編の「金のはさみのカニ」(The Crab with the Golden Claws) は、2005年にブリュッセルで開催されたタンタン・フェスティバルで記念上映された。

1950年代から1970年代[編集]

ブリュッセルのアニメーションスタジオであるベルヴィジョン・スタジオは、1955年頃にモノクロ版で『かけた耳』と『オトカル王の杖』の2本のアニメーション・フィルムを製作しているが、現時点で現存しているかどうかは不明。

その後1958年から1963年に掛けて、ベルヴィジョンはフランスのTele-Hachetteと組み、人気の高い原作を元にした5分間のカラーのテレビアニメ「Les Aventures de Tintin, d'après Hergé」(Hergé's Adventures of Tintin) を製作している。原作となったエピソードは以下の通り。

  • 『黒い島のひみつ』
  • 『ふしぎな流れ星』
  • 『金のはさみのカニ』
  • 『なぞのユニコーン号』と『レッド・ラッカムの宝』
  • 『ビーカー教授事件』
  • 『めざすは月』と『月世界探検』

なお1964年には、TVシリーズの『ビーカー教授事件』を約1時間に編集したアニメも制作されたという。

同じく1964年には日本のフジテレビで「チンチンの冒険 (帯アニメ)」として放映された。 しかしこれはレイ・グーセンス監督によるTVシリーズなのか、それ以前の50年代半ばに作られたミニ・シリーズの編集版なのかは現在のところ不明とされている。

1969年にはタンタンの長編アニメーション映画『Tintin et le temple du Soleil(カートゥーンネットワーク放映タイトル:ななつの水晶球と太陽の神殿)』と1972年『Tintin et le lac auxrequins』(Tintin and the Lake of Sharks、カートゥーンネットワーク放映タイトル:呪われた湖の謎)) の劇場版アニメが制作された。

1990年代[編集]

19年後の1991年から1992年にかけて、カナダのアニメーション製作会社のネルバナとフランスのEllipseによりカナダ・フランス合作のテレビアニメ「Les Aventures de Tintin」(The Adventures of Tintin, 邦題:『タンタンの冒険』)が制作された。「ソビエト」「コンゴ」「アルファアート」以外のエピソードがアニメ化されている。1998年にはNHK衛星第2テレビにて水曜18:00から放送された。カートゥーン ネットワークでは2010年から、4:3映像 (SD) であるオリジナル映像に対して上下カット処理をして16:9サイズ化し、更に画素変換(約34万画素→約210万画素)アップコンバートを施す事でHD映像化されたHDリマスター版が放送されている。

21世紀[編集]

2007年5月14日スティーヴン・スピルバーグ監督率いるドリームワークスが『タンタンの冒険』をモーションキャプチャを用いたフルデジタル3Dアニメーションで映画化することを発表した。これは企画段階でアニメを実写化することには限界があると監督自身が考えた上でCGで描く事となった。スピルバーグは第1作「なぞのユニコーン号」を2011年に公開することを目標に、タンタンの3部作をピーター・ジャクソンと共同で2009年1月から撮影を開始した。ジェイミー・ベルがタンタンを、アンディ・サーキスがハドック船長を、ダニエル・クレイグが敵役である海賊レッド・ラッカム役の声で出演する。音楽はジョン・ウィリアムズに決定した。

実写版[編集]

1960年と1964年にはオリジナル・ストーリーの実写版映画も2本製作されている。

この2作ではジャン・ピエール・タルボがタンタンを演じている。

日本での展開[編集]

日本ではベルヴィジョン版のアニメシリーズが最初に放送されており、1964年から1965年に白黒で『チンチンの冒険』の題でフジテレビ系にて放映された。詳細については当該項目を参照。

また、ネルバナ版のアニメシリーズも、ソフト化やNHK衛星第2テレビジョンでの放送(初放送は1997年)がなされており、現在日本国内で一般的に知られているタンタンのアニメ作品となっている。

中国での出版差し止め[編集]

2001年に「タンタンチベットをゆく」の中国語版が「タンタン中国のチベットをゆく」と題名を著作権者に無断で変えられたため、出版が一時停止された[6]

脚注[編集]

  1. ^ 原作のフランス語版では「ミルゥ(Milou)」。
  2. ^ 福音館書店. “福音館書店|タンタンの冒険ラインナップ”. 2013年8月2日閲覧。
  3. ^ 大人の女性が「タンタンの冒険」原作にハマる最大の理由とは?、INTERNATIONAL BUSINESS TIMES、2011年12月8日6時0分更新。
  4. ^ 元々は、1940年(ハドック船長が登場する以前)に、発表する予定だった作品のため。ナチスによる侵略の影響で、一旦企画が白紙になってしまい、戦後のタンタン・マガジンで連載が開始するまでお蔵入りの状態にあった。
  5. ^ 1946年にカラー版が出版された際に加筆されたもの。元々の作品では、全く別のキャラクターが同じ台詞を喋っている。
  6. ^ フランソワーズ・ポマレ「チベット」創元社、2003年、103頁

関連項目[編集]

  • バンド・デシネ
  • 千葉銀行:日本の金融機関でタンタンをキャラクターに使用している唯一の銀行である。
  • リオの男1963年のフランス映画。脚本家は、タンタン・シリーズのうち「かけた耳」「タンタン アメリカへ」「青い蓮」などを元ネタにしたことを明らかにしている。
  • 大貫妙子1985年発表のアルバム『コパン』の1曲目に本人の作詞・作曲による「タンタンの冒険 Les aventures de TINTIN」を所収。スノーウィとハドック船長が歌詞に出演。
  • ディルク・ブロッセ:ベルギーの指揮者、作曲家。タンタン・シリーズのうち「ななつの水晶球」「太陽の神殿」によるミュージカル『タンタン』を作曲した。
  • バロー岬:ハドック船長の名ゼリフに登場。

外部リンク[編集]

公式サイト[編集]

非公式サイト[編集]