回転寿司

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回転寿司店内

回転寿司(かいてんずし)とは、各種の寿司を載せた小皿を客席沿いに設置されたチェーンコンベア上に連続して循環させ、客は寿司を皿ごと自由に取り上げる、半セルフサービス型の安価な寿司店の形態。

概説[編集]

対面型回転寿司店。客の面前で職人が調理しているのが分かる。
非対面型回転寿司店。左側にあるのがカウンター席で右側がテーブル席。

価格は通常、皿の色柄によって何種類かに分かれており(全皿均一価格の店もある)、食後に皿の枚数を数えることで精算を行う。欲しい種類の寿司が流れてこない時や、汁物、飲み物などは、客が別途注文を出すことになる場合がある。既に回っている種類の寿司であっても、新たに頼んで握ってもらうこともできる。

客席はコンベアの高さにカウンターが設置された席と、ややコンベアより低い高さにテーブルとソファーが設置されたボックス席とがある。客層として家族連れなどが多い店は相対的にボックス席の比率が高い。

寿司以外には副食類や飲み物、デザートなどを回している店もある。客層に児童や高齢者を含んだ家族連れを想定し、わさび抜きや量を控えめに握ってある店舗では、追加用の無料わさびが回っていることもある。

形式[編集]

店内の形状には、飲食スペースと同じ室内に寿司職人が位置し、これを囲むようにコンベアと客席が配置された対面型のものと、飲食スペースと厨房が分離され、飲食スペースには厨房内から延びたコンベアと客席のみが設置されている非対面型のものとがある。前者の対面型は従来のカウンター式寿司店と似た形状であり、初期の回転寿司店は皆この形態をとっていたが、客の目の前で調理するため寿司職人未経験者や機械の導入がしづらく、低価格店を中心に後者の非対面型が増えている[1]

非対面型店舗の場合、客が接する店員は少数の給仕要員に限られることから、客席にはインターホンや液晶タッチパネルが設置されており、個別の注文や、精算時の給仕店員の呼び出しなどはこれで行う。全皿100円の低価格が売りの「100円寿司」が増えている一方で、一皿数百円の価格設定で寿司ネタの質が相対的に高めの店は対面型店舗の形態が主である。

歴史[編集]

元禄寿司・本店

大阪の立ち喰い寿司店経営者・白石義明が、ビール製造のベルトコンベアをヒントに、多数の客の注文を低コストで効率的にさばくことを目的として「コンベヤ旋廻食事台」を考案し、1958年大阪府布施市(現・東大阪市)の近鉄布施駅北口に最初の回転寿司店である「元禄寿司」(元禄産業株式会社)を開いた。「コンベヤ旋廻食事台」は、1962年12月6日に「コンベヤ附調理食台」として白石義明の名義で実用新案登録(登録第579776号)されている。

西日本で店舗展開していた元禄寿司に対して、宮城県の企業(現在のジー・テイスト平禄寿司」に、(ジー・コミニュケーションに、経営吸収))が東日本での元禄寿司の営業権契約を獲得し、一号店の誕生から10年後の1968年仙台市に元禄寿司のフランチャイズ店が開店した。元禄産業によると、これが「東日本で初めての回転寿司店」だという。1970年に開催された日本万国博覧会に元禄寿司が出展し表彰されると一気に知名度が高まり、従来の寿司店の高級化傾向に対し、廉価さ、手軽さ、会計の明朗さで大衆客のニーズをとらえた。1975年には、北関東の元禄寿司フランチャイズ事業者(元気寿司の前身企業)が郊外への出店を始め、これが郊外型店舗が増加するきっかけとなった。1970年代以降、元禄寿司のフランチャイズは全国的に広まり最盛期には200店を超えた。

さらに、1978年に「コンベヤ附調理食台」の権利が切れると、現在の大手となる企業など新規参入が相次ぎ競争が激化。また元禄寿司をフランチャイズ展開していた企業も、自前の店名ブランドを掲げ独立していった。元禄産業は飲食店の名称として「まわる」「廻る」「回転」などを商標登録しており、後発の他店は「回転寿司」の名称を利用できない状況が続いていたが、1997年に元禄産業は飲食店における「回転」の使用を解放している。

設備[編集]

コンベア[編集]

コンベアが回っている様子。通常のコンベアの下に湯呑み用のコンベアも設置されている。

寿司を回転させるコンベアは、ほぼ100%が石川県で製造されており、金沢市石野製作所(販売は北日本カコー)が約60%、白山市横江町の日本クレセントが約40%のシェアである。1974年には石野製作所が「自動給茶機能付きコンベア」を開発し、以後「湯呑搬送コンベア」、「特急(新幹線)レーン・スタッフレスコンベア」(注文した品が通常と別のコンベアで搬送)、「鮮度管理システム」(一定の時間を経過した皿を自動的に排出)など、両社により新機構が開発されている。

対面型店舗では、皿を載せたコンベアは時計回りに回転するものが多く、これはカウンター席で箸を持った右利きの人が取りやすいようにとの配慮によるものである。ボックス席や非対面型店舗ではこの限りではない。また、前後二列で左右両方から流れてくるものは、内回り外回りの両方からとることができる店もある。コンベアのベルト長の日本最長は147m、日本最短は5mである。

独自設備[編集]

二次元バーコードが貼り付けられた皿

低価格店を中心に作業効率の向上策として、通常のコンベア以外にも様々な独自設備が盛んに導入されている。使用済みの皿を効率的に回収できるように、カウンター内部に皿回収溝が流れている店もあり、客席ごとに皿の投入口が設置され、皿を投入すると数が自動計算され価格が表示されるようになっている。客に皿を進んで投入させるために、投入した皿の数で自動的に福引をする機能がついている場合もある。

更に、皿の裏に二次元バーコードICタグを付けることにより、鮮度管理(コンベア上を一定時間以上流れたままになっている寿司を回収する)、売れ筋分析(どのネタがよく売れているか分析し、欠品や廃棄を少なくする)、会計処理効率化(ICタグリーダーで皿を読み取れば、瞬時に正確に料金が計算できる)を行うなど、IT化も進んでいる。

ネタ切れのないように店舗画像の抜き打ちチェックをしているところもある。作りたてを選べるようにコンベア上にはネタの写真が回っているだけの店や、液晶パネルに魚が海底で泳ぐ映像が流れ、目当ての魚に触れて選択することで注文ができるというユニークな店、くら寿司では挽きたてコーヒーを注文できるなど、特色を持たせる傾向が増えている[要出典]

回転寿司チェーンの展開[編集]

日本[編集]

日本国内では、「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイト)、「スシロー」(あきんどスシロー)、「無添くら寿司」(くらコーポレーション)、「はま寿司」(ゼンショーグループ)の100円均一店大手4チェーンが上位で競っている。他の回転寿司チェーンは、価格設定が高めな店と100円均一店の両業態を平行して展開する大手・中堅チェーンや、そのどちらかのみを展開する中小規模チェーンなど、多数の企業がしのぎを削っている。回転寿司発祥の「元禄寿司」も直営11店舗(2012年7月31日現在)を展開し健在である。

日本国内店舗数上位チェーン
(2013年1月10日現在)
店名 本社 国内店舗数
かっぱ寿司 埼玉県 391
スシロー 大阪府 340
無添くら寿司 大阪府 311
はま寿司 東京都 204
元気寿司、魚べい、すしおんど 栃木県 142
がってん寿司、函太郎[2] 埼玉県 107
マリンポリス、しーじゃっく 岡山県 098
銚子丸 千葉県 079
平禄寿司 宮城県 070
にぎりの徳兵衛、海鮮アトム 愛知県 066

高級回転寿司の登場[編集]

安く食べられるのが売りの回転寿司ではあるが、近年高級ネタを売りにした回転寿司屋が出てきている。立地としては漁港や海沿いの都市・県庁所在地の一等地等に店舗を構え、近海で取れる魚や高級魚を売りにした商品が多い一方、チェーン店展開により、くら寿司やスシローの様にタッチパネルを設置して、気軽に注文できるようにした店舗や、ポイントサービスの実施、デザートやコロッケ等のメニューを販売する等して、家族連れも気軽に入れるように工夫をしている。

日本以外[編集]

ロンドンのパディントン駅構内のYo! Sushi

1990年代末に、イギリスロンドンで回転寿司に人気が集まった。人気に拍車をかけたのは「Yo! Sushi」というチェーン店で、1997年にソーホーで開業し、その後、イギリス国内に次々と開店、1999年にパディントン駅構内のプラットホーム上に回転寿司屋を出店したことで注目を浴びた。開業後大きな人気を呼び、創業者のサイモン・ウッドロフ(Simon Woodroffe)はイギリスの外食産業で大きな地歩を獲得したと報道されている。寿司について、『週刊サンデータイムス』が「ロンドンで最高」と評価したこともある。

日本と同様に、商品の価格を皿の色で区別するシステムを採用している。コンベアに並ぶのは寿司のほか、刺身天ぷら焼きうどんカツカレー日本酒どら焼きなど日本食から、紅茶、パン、ケーキ、果物、また唐辛子入り鶏ラーメン、鶏の唐揚げ、餃子までを揃えて、現地の好みに合わせたメニューを工夫している。

現在、ロンドン市内のハーヴェイ・ニコルズやセルフリッジなどの高級デパート内、さらにヒースロー国際空港内など20ヶ所以上の店舗を展開し、さらにフランスや中東のドバイにも進出したほか、2006年にも新店舗を開くと発表、アメリカ合衆国進出を狙っているとする指摘も少なくない。また、オーストラリアでは「スシトレイン」がチェーン展開している。

台湾でも、現地企業の争鮮(SUSHI EXPRESS)が、台湾および中国本土において回転寿司チェーンを展開している。韓国でも、回転寿司店が見られる。

日本のチェーンも、元気寿司がハワイやアジアに数十店舗を展開するほか、マリンポリスがアメリカ本土に「SUSHI LAND」の店名で十店舗以上を出店している。

寿司種[編集]

「タネ」と言う。また、職人が使う符丁として「ネタ」と逆に読んだ。その種類は寿司#寿司種を参照の事。回転寿司では、本来寿司として使われない寿司種もあり、特殊なものや特別なものを挙げる。

  • 巻物(べったら、しば漬、田舎漬、山ごぼう、梅しそ、納豆、穴キュウ(穴子+きゅうり)、カツ、エビフライ)
  • 肉や揚物(牛カルビ、チャーシュ、ハンバーグ、ベーコン、チキン照焼、えび天、いか天、ししゃも天)
  • 太巻(かにマヨ、カリフォルニア、巾着、いなり、ばってら、押し寿司、バラ寿司、五目寿司)
  • その他の副食など(唐揚げ、フライ、煮物、お新香、そば、うどん、ラーメン、ゼリー、プリン、ケーキ、スイートポテト、ジュース)

代用魚[編集]

元々ファミリーレストランなどの外食産業の原価率は平均して30%程度程度であることと比較して、一般的な回転寿司店でのそれは50%程度と高い。そのため一部安価な店舗では代用魚が用いられることがあったが[3][4]、2003年のJAS法改訂以降はこれらの名称を使用しないこととすると定められている[5]。2005年の週刊誌記事によると、公正取引委員会は「回転寿司の場合“こんな安い値段で本物ができるはずがない”という認識を多くの消費者が持っている」として、排除命令などは出せないと回答している[6]

上記記事内に列挙されていた代用魚の例

比喩表現[編集]

ネットオークションにおいて、「入札者がないまま時間切れ→再出品」が繰り返されている状態を「回転寿司」と表現することがある。

脚注[編集]

  1. ^ 但し対面型でも寿司桶形状をした寿司ロボによりシャリ玉を自動的に作る事が出来る点を利用して、アルバイト等の職人以外の店員が接客と握りを行う例はある。この場合注文を受けると寿司ロボからシャリ玉を取り出して客の注文したネタにシャリ玉を合わせて提供するだけであり、職人に必要なシャリ玉の形成を行わない為に高給を必要とする職人が不要となる事から、低価格店での対面型に主に採用されている
  2. ^ グループ会社の吉仙(北海道)が展開
  3. ^ 週刊現代 「ニセモノだらけの回転寿司、添加物は当たり前 大特集 食べてはいけない 2010」(2010年6月8日)
  4. ^ 日経ビジネスオンライン 「あの「偽装」くらいでは驚けない~『鯛という名のマンボウ アナゴという名のウミヘビ』」(2007年11月19日)
  5. ^ 水産庁 「魚介類の名称のガイドラインについて」
  6. ^ 週刊女性 「“不当表示”追及!「回転寿司」の“ネタの秘密”をバラす!」(2005年3月1日号)
    この記事に対してくらコーポレーションが、100円回転寿司店すべてが代替ネタを使用していると誤解を与えるとして損害賠償訴訟を起こしたが、「記事はくら寿司を特定しているものではない」として棄却されている(記事中で表記されているネタ種や店舗数がくら寿司とは異なっている)。

参考文献[編集]