ザクI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ザクIZAKU I)は、アニメ作品の「ガンダムシリーズ」のうち、宇宙世紀を世界観としたシリーズに登場する架空の兵器(「I」はローマ数字の1)。ジオン公国軍の量産型モビルスーツ(型式番号:MS-05B)。

単に「ザク」と言った場合には本機を改良したザクIIを指すことが多いため、旧ザクとも呼ばれる。本体色は主に藍色と濃緑色。


注意以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] 機体解説

機体諸元
ザクI(旧ザク)
型式番号 MS-05B
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック社
頭頂高 17.5m
本体重量 50.3t
全備重量 65.0t
ジェネレーター出力 899kW
スラスター総推力 40,700kg
センサー有効半径 2,900m
装甲材質 超硬スチール合金
武装 105mmマシンガン
280mmザク・バズーカ
ヒートホーク
クラッカー
主な搭乗者 ガデム
ランバ・ラル
黒い三連星
エリオット・レム
ジオン公国軍一般兵

ジオン公国軍は地球連邦軍との開戦に向けて本格的な軍事用モビルスーツ(MS)の開発を決定した。量産型MSの正式採用に際して競作が行われた。ジオニック社は先に開発した試作機(MS-04)を大幅に改良、量産化を見据えて装備類を簡略化したザク(YMS-05)を提出した。一方、ツィマッド社はそれよりも高性能なヅダを開発したが、トライアル中に空中分解事故が発生、その結果安定した性能を発揮したザクIが採用された。この決定にはジオニック社の政治的な働きも関わっていると噂されている。

ザクは宇宙世紀0074年2月に試作機が完成、翌年7月に量産化が決定し、8月には1号機がロールアウトしている。開発にはジオニック社からジオン公国軍に佐官待遇で出向したエリオット・レムとスミス・オニザワが携わっている。宇宙世紀0075年11月には初期生産型(MS-05A)27機によって教導大隊が編成。グラナダに配備され、開戦に向けての搭乗員育成や戦技研究、各種試験が行われ、モビルスーツという兵器体系を確立した。このデータを基にコクピット、装甲材質などの一部改良を施され、MS-05Bとして本格的な量産化が行われ、総生産数は793機に及んだ。当初ロールアウトの際、藍色のカラーリングの予定だったが、スミス・オニザワの強い要望によりグリーン主体のカラーになった。

しかし機体各部の動力パイプを全て装甲内へと内蔵したことやジェネレーター出力の低さから十分な運動性能を発揮することができず、軍、特にキシリア・ザビはこの機体の性能と生産性をより向上させたタイプの開発を要求する。その結果、出力向上と冷却装置の強化、それに伴い性能全般が向上したMS-06ザクIIが完成、この機体と区別するためMS-05はザクIと呼ばれるようになった。開戦時には一部をザクIIと入れ替えた部隊があったものの、生産されたほぼ全ての機体が実戦参加をしている。しかしザクIIが主力として大量生産・配備されると、機動性の異なるザクIとの混成部隊を編成するのは難しくなった。そのため、ザクIはルウム戦役以降は艦隊決戦後のコロニー内の制圧や、後に補給作業などの二線級任務に回されることとなった。ただし、大戦後期になってもザクIを継続して愛用したベテランパイロットもまた多く、最終決戦の舞台となったア・バオア・クーでも新鋭機と共に配備され、実戦参加している。

[編集] 武装

ザクIの標準装備としては以下のものがある。

105mmマシンガン
ザクI専用に開発された電気作動方式のマシンガン(型式番号:ZMP-47D)。試作型のものとは異なり、ドラム式マガジンは横付けとなっている。装弾数は145発。宇宙空間での使用を前提として開発されたため、重力下での使用では給弾に不具合が発生する恐れが生じた。マガジンのレイアウトにも操作面での問題点を抱えていた。これは開発当初は口径105mmの砲弾だったが、開戦直前にはより高い攻撃力が求められ口径120mmへとボアアップされている。
280mmバズーカ
対艦攻撃用装備。開戦当初は核弾頭も用いられた。射出の際、反動で肩関節へ負荷が掛かることがあったため、右肩部にはバズーカラックが増設されている。
ヒートホーク
白兵戦用装備。開戦当初は対MSより、敵の艦や戦闘機に肉薄した際に使用された。これはザクIIでも継続して採用されている。

このほか、ザクIIのシールドを流用したスパイクシールドやシュツルムファウストなども使用されている。

[編集] 劇中での活躍

初登場は『機動戦士ガンダム』の第3話で、補給部隊の老兵ガデムが自分の補給艦「パプア」を護衛するためにこの機体に乗って出撃する。補給活動にも手を貸し、任務自体は成し遂げるも補給艦は沈没。そのまま手持ち武器を持たずに肩から突進するなど肉弾戦でアムロ・レイの乗るガンダムに攻撃を仕掛けるが、MSの操縦もろくに慣れていないはずのアムロに撃破されてしまう。ここは新旧のMS、そしてパイロットの世代交代を思わせる場面でもある。

この際の「肩タックル」はザクIの代名詞的ポーズとなっている。当初のテレビシリーズではこのたった一回だけであり、事実上のゲストメカ扱いだった。映画版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』ではア・バオア・クーにザク・マシンガンを持って立っている場面が見られ、旧式にもかかわらず一年戦争最後期まで使われていたことがわかる。

漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にも登場。高性能だがコスト高により採用が見送られたMS-04の代わりとして量産され、ミノフスキー博士の亡命を巡っての連邦MS部隊との衝突「雨の海海戦」において、1機のMS-04を含む5機で、ガンキャノン初期型2個中隊を壊滅させる一方的大勝利を収めた。これは、ランバ・ラルシャア・アズナブル黒い三連星といった後のエースパイロットたちによって隊が編成されていたことも大きな勝因だが、他の兵器を火力支援することを目的に設計されたガンキャノンに対し、同じMSを接近戦で駆逐することを目的としたザクの設計思想の勝利でもあった。なお映像作品では逆で、むしろザクの方がMS以外の敵と戦うことを想定して設計されている。

この後、MS-06の配備後もハッテ(サイド2)制圧・ブリティッシュ作戦ルウム戦役にも参加している。TVシリーズ同様ガデム少佐(TV版では大尉)も使用するがガンダムとの対決は無く、ガンキャノンを追い詰めるものの突然現れたガンタンクに撃たれ撃破されている。また、ハモンたちラル隊残党を支援するため、情報部のタチ中尉が調達し自ら乗り込んだのもこのザクIであり、やはりガンタンクに撃たれ破壊された。

機動戦士ガンダムΖΖ』では、タイガーバウムを支配するスタンパ・ハロイの民間払い下げMSコレクションの一つとして登場。内部は改造を施してあり、操縦系統は最新機に近くなっている。武装はハイザック用のザク・マシンガン改を装備し、塗装はザクIIと同系統のものになっていた。また、スタンパの館の門にはこれとは別に、まさに阿吽の像よろしく装飾された2体の悪趣味なザクIがそびえ立っていた。

OVA『機動戦士ガンダム第08MS小隊』作中では、第6話でのシロー・アマダの回想場面にて、サイド2に乗り込み毒ガス弾を発射した機体として登場している。また、第8話にてゲリラの村に迷い込むトップ小隊の隊長機もザクIであり、こちらの機体には隊長機を示す角も付けられている。

OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』第2巻では地上の物資集積所の警備用として登場、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079』第3巻では最初にア・バオア・クーに取り付いた2機のジムを攻撃、撃破する場面がある。

漫画『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』では第4話「蝙蝠はソロモンにはばたく(中編)」にて義勇兵としてジオン軍に加わったエンマ・ランチェらの搭乗機として登場。多くのトラブルを抱えた旧式機であるザクIを与えられ冷遇されている姿が描かれている。第7話「南海に竜は潜む(後編)」ではギュンター・ローズマン曹長が搭乗。偽装船に搭載され、連邦軍の貨物船を拿捕するが、フィッシュアイによる攻撃で海中に落ちている。また、第8話「軌道上に幻影は疾る(前編)」ではヅダとの主力機評価試験においてYMS-05が登場している。

漫画『Developers(デベロッパーズ)機動戦士ガンダム Before One Year War』ではジオニック社の下請け工場「ホシオカ」の技術者たちがザクIの試作機を開発するために奮闘する姿が描かれている。中盤以降ジオニックのテストパイロットエリオット・レムも登場し、ホシオカ社長令嬢にして同社テストパイロットの主人公、ミオン・ホシオカとコンペティションで2人が競い合う姿が描かれている。ちなみに、同コンペに軍から視察に来たギレン・ザビ総帥を始め、ドズル・ザビの婚礼を伝えるテレビ番組なども描かれており、ジオンの歴史を垣間見ることもできる。最終的にザクI(劇中ではザク)が完成し、ジオニック社本社工場にてロールアウト初号機が作業機械として発表されている。

ガンダム世界を舞台にした魔法少女漫画『魔法の少尉ブラスターマリ』(作:池田恵)には「1日ザク」(いちにちザク、愛称「1日号」)なる機体が登場する。サイド3のとあるコロニーのジオン軍基地で、戦力として数えられることなく格納庫にしまってあった機体だが、謎の女性士官ブラスターマリ少尉が搭乗し、数度にわたりコロニーの危機を救っている。胴体部がザクII改のボディになっているのが特徴。武装は全くされておらず、おかしな格好をした魔法使いからもらった「魔法の布団叩き」「魔法のハエ叩き」を武器に戦う。なお「1日~」の名称はブラスターマリの正体であるマリコ・スターマインが子供向けMS図鑑の「旧ザク」という記述を読み間違えたことに由来する。登場した作品の性格上、オフィシャルにはなりえない荒唐無稽な機体ではあるが、そのネーミングの秀逸さから知名度は高い。

∀ガンダム』にはボルジャーノンのギャバン・グーニー専用機として登場している。ルジャーナ・ミリシャによって発掘され、実戦に投入された機械人形の殆どはザクIIに似た形状をしていたが、1機だけ旧ザクに似た形状の機械人形も発掘され、ルジャーナ・ミリシャのスエサイド部隊の隊長だったギャバンの愛機として活躍している。

[編集] 設定の変遷

ザクIは放映以後しばらく「旧型ザク」の名称で呼ばれ、「動力パイプが内蔵されているため動きが鈍く、戦闘には向いていない作業用モビルスーツ」といった解説がなされていた。

「ザクI」というネーミングは1981年発行のムック「ガンダムセンチュリー」が初出の非公式設定だったが、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 一年戦争秘録』第3巻において初めてこの名で呼ばれ、四半世紀を経てようやくサンライズ公式の名称となった。

ザクマシンガンの弾倉はドラムマガジンと呼ばれているが、トンプソンM1928PPsH-41などが使用している現実世界における円筒型のドラムマガジンとは内部構造が全く異なり、むしろルイス軽機関銃en)やDP28軽機関銃のような円盤型のパンマガジンに近い。『ガンダムセンチュリー』以来この名称で呼ばれ続け、未だに改められていない。なお105mmザクマシンガンのような、縦にパンマガジンを装備する機関銃は実在する[1]

[編集] バリエーション

  • MS-01 モビルスーツ(クラブ・マン)
    史上初めての人型機動兵器として建造された機体。
  • MS-04 プロトタイプ・ザク
    MS-03の重量や出力不足等の問題を改良すべく作られた機体。この機体から核融合炉を搭載し、実用化に目処が付けられる事となる。
  • YMS-05
  • MS-05A ザクI(前期生産型)
    ザクIの初期型として生産された機体。訓練用に27機生産された。一般に知られているものとはカラーリングが異なっている。
  • MS-05B ザクI
    生産ラインに乗ったという意味での初の実戦型量産機。記事参照。
  • MS-05L ザクI・スナイパータイプ
    旧式化したザクIを長距離狙撃用に改修した機体。
    詳細は『ハーモニー・オブ・ガンダム』 ザクI・スナイパータイプの項を参照。
  • MS-06 ザクII
    ザクIをより実戦向けにするため、改良を施された機体。詳細はザクIIを参照。
  • MS-05 ザクI(コロニー制圧戦仕様)
    ブリティッシュ作戦の為、海兵隊がコロニー制圧用としてGGガス弾を装備したザクⅠ。
    主な搭乗者はシーマ・ガラハウ
  • ランド・ザック
    戦後民間で改修された農地開拓用のザクI。地面を耕すためのドリルとスコップを装備している。

[編集] パーソナルカスタム機

  • MS-05 ザクI(ランバ・ラル専用機)
    ランバ・ラルが開戦当初に乗っていた機体。青のカラーリングで、両肩にショルダーアーマーがついている。胸部のデザインが量産型と少し違う。のちにドズル・ザビ中将専用ザクII に装備される大型ヒートホークを標準装備している。
  • MS-05 ザクI(黒い三連星専用機)
    のちの黒い三連星が開戦以前より愛機としていた機体。短い期間にダークグレー、ダークシーブルーなどの数回のカラーリング変更が確認できる。その後の彼らはMS-06C、MS-06Sと機体を乗り換えるが、開戦後の0079年3月の教導機動大隊の特別演習ではレストアされブラック、パープル、グレーに再塗装された機体で演習に参加している。
  • MS-05 ザクI(ゲラート・シュマイザー専用機)
    ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』に登場。量産型ザクIと違い両肩にショルダーアーマーを装着している。小説版では一方の肩にキャノン砲を装備。白のカラーリング。闇夜のフェンリル隊独自のセンサーを導入したMS戦術と共に、視神経に戦傷の後遺症を抱えたシュマイザー用に音響センサーを増設したカスタム機。スモーク等によって敵を欺きガンダム6号機を撃破した。宇宙世紀時系列的には、ガンダムを史上初めて倒したザクである。

[編集] 関連項目

他の言語