機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還

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機動戦士ガンダム MSV-R
ジョニー・ライデンの帰還
ジャンル ガンダム
漫画
作者 漫画:Ark Performance
原作:富野由悠季
原案:矢立肇
メカニックデザイン:大河原邦男
出版社 角川書店
掲載誌 ガンダムエース
レーベル 角川コミックス・エース
発表期間 2010年6月号 -
巻数 既刊9巻(2014年9月現在)
テンプレート - ノート

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(きどうせんしガンダム エムエスブイ‐アール ジョニー・ライデンのきかん)は、Ark Performanceによる日本漫画作品。原作:富野由悠季、原案:矢立肇、メカニックデザイン:大河原邦男角川書店の漫画雑誌「ガンダムエース」にて2010年6月号より連載されている。

概要[編集]

雑誌「ガンダムエース」にて連載しているメカニックデザイン企画『MSV-R』を題材にしたMSV公式続編である[1]宇宙世紀0090年を舞台に、歴史に埋もれた『MSV-R』に登場するメカニックの解説と模型企画『モビルスーツバリエーション』のエースパイロット「ジョニー・ライデン」の行方の解明を織り交ぜて描いた内容となっている。

なお、同作者の漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』、『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』とは設定を共有している。

あらすじ[編集]

一年戦争で散逸した情報や資料を、収集編纂し保存する組織であるFederation Survey Service(略称FSS)に所属していたレッド・ウェイラインは、シミュレーションでのMS戦闘データ調査中に、撃墜したはずのゲルググが青く変色し「我々は・・・あなたの帰還を歓迎する・・・ジョニー・ライデン」との通信を受けるとともに撃墜される。シミュレーションを精査したが、データ中にその青いゲルググは存在しないものだった。不審に思ったレッドはチームのリミア・グリンウッドと共にジョニーのことを調べ始めるが、FSSやキマイラの謎に包まれていく。そんな折、レッドは陸戦高機動型ザクの性能調査中にゲリラの戦闘に巻き込まれ、そこで現実の青いゲルググを駆るユーマ・ライトニングに襲撃を受け追い詰められたが、操縦経験が薄いはずのジオン軍製のMSを窮地で巧みに操り撃退した。

この事件により、かつてジョニー・ライデンが所属していた「キマイラ」の残党から、レッド・ウェインラインはジョニー・ライデンである可能性が高いと判断され、様々な接触が図られていく。レッドがコアブースターのテスト飛行中にキマイラ残党のイングリッド0が操縦するギャプランに襲撃され撃墜したが結果として共に環境改善プラントに墜落してしまう。ジョニーであるとレッドとイングリッド0を確保しようとする勢力がプラント上で戦闘を繰り広げる中、レッドと遭遇したイングリッド0は共に戦闘を終結するために行動するうちに、レッドがジョニー・ライデンであるとの認識を強めていく。イングリッド0は「ジャブローへ」と言い残して雇い主ゴップの元へと帰っていき、戦闘を止めたレッドは戦闘で撃墜されたユーマを回収することになる。

様々な勢力が絡み合う中、キマイラの残党であるジャコビアス・ノードは、レッドとリミアにキマイラがカウンターニュータイプ組織として作られたことを話し、解体された今は既に探るようなものは何も無いと告げて手を引くことを求める。しかし連邦もネオジオンもキマイラも、キマイラの運用を可能にしたMS開発システムと機材、情報を求めて「ミナレット」とザビ家の遺産、そしてその鍵となるジョニー・ライデンを求めて互いに動きを見せていくことになる。

登場人物[編集]

FSS[編集]

レッド・ウェイライン (Led Wayline)
FSSに所属するテストパイロット。ルナツーにおけるFA-78-1Bのデータを使用したシミュレーション中、何者かの接触を受ける。本人曰く「ジオン系の機体は歩かせるのが精一杯」だが、知らない筈の「FCS(火器管制システム)の手動操作による設定変更」を行ったりするなど(これには本人も疑問を感じている)、レッド本人は否定しているが周囲の人間も疑惑を感じている。本人は「一年戦争で死に掛けた結果、多少は物を考えるようになった」と言うが、時折一介のパイロットとしてはかなり深く、広い見識を披露する事もある。
U.C.0056年生まれ(34歳)、北米オハイオ出身で母親も存命、一年戦争中の所属などの軍歴もハッキリ残っていると言うが、作中で言われている通り、当時のデータの多くは消失しており、決定的な証拠とは言えない。名前は「Red」ではなく「Led」で「よく赤いヤツの方に間違えられる」とは本人の弁で、最近は自身をジョニー・ライデン呼ばわりする人間を誰彼かまわず怒鳴ったり殴ったりしている。
ゴップ議長がレッドの操縦データをジョニー・ライデンの操縦テレメトリーと比較検証した結果、「89.972%」の一致を見た。
連邦に引き渡されれば十中八九研究所送りになるユーマに仏心を出したリミアにせっつかれて彼に逃亡を促し、それを「追跡(実質は同行)」することでジャブローを目指す。ユーマが手配したユーコン級潜水艦内部に秘匿していた「紅いゲルググ(ユーマの機体と同様に最新の部材・技術で建造された最新鋭機)」と呼び集めた戦力全てを委譲された。
リミア・グリンウッド (Rimia greeenwood)
レッドの所属するチームの技術担当。サイド3(ジオン共和国)出身。U.C.0086年に人材交換プログラムの一環でやって来た大学院生。頭脳労働専門なためか、甘味と食事に関しては並々ならぬこだわりがある。ジオンマークが入ったハロを所有、それに記録したデータ、度々引き起こされるトラブルから「レッドの正体」に関心を持って調査テストが認められたコア・ブースターをメンテするついでに「紅く塗ったり」している。
環境改善プラントで保護されたユーマにインタビューするが、ユーマにはレッドとの仲を勘繰られたりした末に「姐さん」と呼ばれる様になる。
リミアが一年戦争終戦の日にズム・シティで体験したエピソード(防空壕に避難させられ、とても寒かった)は、『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』で描かれた事件に基づく。
アマリアという姉がおり、今でも頭が上がらない。終戦時に行方不明となった一年戦争時のエースパイロットロイ・グリンウッドの娘である[1]
アシュレイ・ブラウン・ブランドン(Ashley Brown Brandon)
通称・ボブ(リミアとの初対面時に第一印象のみで決定した)。レッド、リミアの同僚。リミアには顎で使われている。元は軍属で多少肥えた体の割りに身のこなしは早い。一年戦争当時はまだ大学生だった。
スコット・アンデルセン
リミアとは別のチームに属しており、整備マニュアルなど文書データ等の調査・収集を担当。スキンヘッドと染めた顎鬚が特徴でリミアに対してかなり慇懃な態度で接する[2]
FSSの裏にも通じており、本名は「スコット・ウォレス」。元キマイラ隊の主計官であり、今でも元キマイラ隊の面々やジオン共和国下院議員レオポルド・フィーゼラーとも繋がっている。地球に降りてきたエメとクリストバルにMSとジャブローまでの足を都合するが、堪忍袋緒が切れたフーバーに現地まで付き合わされることになる。
アイシュワリヤ (Aishwaya)
FSSに所属するコンピュータ関連の専門家。ストレートのロングヘアを流して眼鏡をかけた褐色の女性でFSS内でも指折りのハッカーだが、少々天然が入っている。
ジル・ブロッケン・フーバー (Jill Brocken Hoover)[3]
FSS会長を務める、自称「情報屋」。一年戦争当時は連邦軍MS部隊の大隊長で、レッドの元上官でもあった。陽気でおおらかな性格だが、昔から軍内部の裏道に詳しく、それを悪用して様々な便宜を図っていた(主に補給物資の横流しに関与していたらしい)。
連邦の技術・機材を流用したと思われる“謎のゲルググ”の調査を進めるリミアに、過去の戦争で壊滅した(記録上は「MIA(行方不明)」扱いで、なおかつ所属隊員の個人情報が紛失している)部隊になりすます「ニセ部隊の絡繰り」に関する裏話を教唆した。
実は一年戦争でジョニー・ライデンと戦い、負傷していた彼を捕らえた「ウェイライン隊」隊長で現在の名は偽名、あるいは変名である。社員の独走もかなり多目に見ていたが、さすがに堪忍袋の緒が切れたか、自らも腰をあげてジャブローへの足として強襲巡洋艦アーガマを引っ張り出してくる。

地球連邦政府[編集]

作品の舞台となるU.C.0089は第二次ネオ・ジオン抗争前夜で、アデナウアー次官によるネオ・ジオン崩壊後のアクシズ接収について触れられている他、「スウィート・ウォーター」に不穏分子が集結しているなども語られている。

オクスナー・クリフ (Oksner Cliff)
連邦政府首相補佐官。一年戦争時はレビル大将の幕僚の1人で当時は大佐。FSSの前身である連邦軍兵器群調査委員会の初代委員長でもあった。政界では次期首相の有力候補とされているが、自身は戦乱の時代を「運良く生き延びただけ」と自嘲し、派閥を持たず傍観している。知恵の輪やルービック・キューブなどのパズルを手慰みにする癖がある。
裏ではジャコビアス等「猟犬」を飼っており、「ジョニー・ライデンと呼ばれる存在」に関して警戒している。
シドニー出身で、当初は開戦論者であったが、戦後に故郷の惨状(シドニーはコロニー落しの被災地)を見て、人類の底知れぬマイナス面を強く意識する。その後、人類存続の助力になればと政界に転身。「人類の存続」という目的はゴップ議長と共有しているが、そのために目論んでいる手法は「ザビ家の復讐装置」を用いて、全てのスペースコロニーを居住不可能な状態にすることで、現存人類全てを一度地球に戻し、宇宙世紀を一旦終了させる。棄民同様に始まった現在のスペースコロニーを廃棄し、改めて人々の希望と祝福による宇宙開発をやり直すことで、アースノイドとスペースノイド間のわだかまりや争いを無くそうというものである。
スモリアノフ
オクスナーの秘書。秘書としての表の仕事だけではなく、彼の裏の仕事にも携わっている女性。
ゴップ (Gopp)
『機動戦士ガンダム』に登場するキャラクター。本作では連邦議会議長を勤めている。オクスナーの選挙のために根回しを進めているが、同時に「キマイラ隊の生き残り」を監視しており、「ジョニー・ライデン(コードネーム〔イングリッド0〕)」と呼ばれる少女を派遣する。
一年戦争時は連邦軍の将官だったが、軍政を担当し、前線に出ることはなかった。連邦軍の管理運営者として、必要とされる資金、物資を確保し、必要とされる場所に配備することに成功してきた。これは一年戦争に従軍していたヴァースキ大尉(後述)も作中で認めるところである。一年戦争後に退役し連邦議会議員に転身する。一年戦争から紛争の続いた10年をティターンズエゥーゴのいずれにも与せず生きのびて、結果として連邦議会の最大派閥を形成するに至った老獪さは高く評価されている。作中での行動に対して彼自身はスペースノイド・アースノイドの区別なく「人類の存続」を望んでおり、アースノイドにとって重要な地球環境を維持・改善するプラントを不要と言い放つが、彼自身は自分が人類社会の寄生虫であり、自分が得た利益も人類社会あっての物である事も理解している。
イングリッドを表向き「養子」として引き取っており、曰く「娘は持った事が無く、新鮮な毎日」との事。あちこち連れまわしている。これは「幼女を養子にして喜んでいる俗物」と周囲の目を欺き、政敵の油断を誘う意味と、表面的なものに騙される人となりであるかを判別するために行っている。また、どこまで本気かは不明だが、イングリッドの将来(嫁ぎ先)に関してはよく話題にしている。
「ミナレット」に関しては破壊することを望んでおり、オクスナーとはその点では対立しているが、「人類の存続」についてより良い案をオクスナーが提供できるのならば、例え意見が異なっていても手を貸す(オクスナーを連邦首相の座につけるよう議会協力を行う)度量も持ち合わせている。

地球連邦軍[編集]

ブロイ・リゲラ
NRX-004 アッシマーを駆る連邦軍中尉。第100MS飛行中隊隊長。一年戦争中期(当時の階級は少尉)「RB-79M ボール機雷散布ポッド装備タイプ」に搭乗し、地球衛星軌道上での機雷散布任務中にジョニー・ライデン率いるMS隊と接触し、所属していた隊は艦隊ごと壊滅。その際に通信とはいえジョニー・ライデンと言葉を交わし、ユニコーンの紋章を譲り受けた(現在は彼が率いる中隊の部隊章となっている)。
しかし、その正体は連邦軍内部へ潜り込んだ元キマイラ隊の工作員である[4]
レッド達に語った内容自体は事実だが、ブロイ(正確には、現在ブロイ・リゲラを名乗っている人物)は艦隊を壊滅させた側である。その話を餌にジョニー・ライデンに関して探りを入れている者や「ジョニー・ライデン候補」に接触するのが主な任務となっている。
ヴァースキ
連邦軍特殊部隊「ナイト・イェーガー」の中隊長を務め、後にゴップ議長に引き抜かれて少数精鋭の独立部隊(ゴップの私兵部隊)「ヴァースキ隊」の指揮官となる。階級は大尉。
「ナイト・イェーガー」所属時はジムIIIをベースに作り上げられた「RGM-79V ジム・ナイトシーカー」のカスタム機(特殊装備「海ヘビ」も装備している)を駆り、環境改善プラントにおいてイングリッド0救出作戦で遭遇したユーマのゲルググと激闘を繰り広げる。
その作戦後、ゴップからの召喚を受け、イングリッドの帰還に同行した後、ゴップの依頼を受けてジャブロー攻略作戦を行う。ジャブロー攻略作戦では「ORX-005 ギャプラン」を乗機として受領している。
その正体はアニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場するヤザン・ゲーブルで、「ヴァースキ」という名前は偽名、またはコードネームであるが、遠まわしに認めつつも本人はあくまで別人であると韜晦している。
バレンスタイン、カワセ
ナイトイェーガーに所属するパイロット。環境改善プラント作戦後、ヴァースキに引き抜かれ、ジャブロー攻略作戦に参加する。デチューンされているとは言えギャプランを乗りこなしヴァースキのサポートを任されるなど腕は確かだが、レッドの乗る「紅いゲルググ」に出会いがしらに大破させられた。
ミシマ
ゴップ子飼いの部隊である第104空挺師団師団長で階級は准将。ゴップの要請に従い部隊をプラントに派遣する。「ナイト・イェーガー」を指揮下に収めるが、彼としては彼らをあまり使いたくない模様。

キマイラ隊関係者[編集]

ジョニー・ライデン
本作の中心人物。これまでの「ジョニー・ライデンを描いた諸作品」を前提とした上で、謎の人物となっている。作中にはレッドを含めた12名の「ジョニー・ライデン」候補が存在し、既に5人までは処分済みとのこと。
ジャコビアスによると「真紅の稲妻」の異名に違わず、常に最速にして最短経路の行動をとると判断されているなど、一年戦争から10年を経てもキマイラ隊メンバーからの信頼は篤い。外科手術などで如何に外見を変えても、その身に纏った気配は誤魔化し様がなく、「腹芸」は到底不可能なタイプらしく、キマイラ隊メンバーなら直接会えば判るらしい。
ユーマやイングリッドのフリーダム振りを見たリミアは「底抜けにデカイ器か、我慢強さの持ち主」だったんじゃないかと評している。
イングリッド0
「ジョニー・ライデン」と呼ばれ、アマゾン・ジャブロー近辺で戦うユーマとジャコビアスを監視していた精々ミドルティーンといっても良い年齢の少女。ゴップ議長の命令で動いているようだがつまらない事で呼び出されるのは不本意らしく、笑顔を崩さぬまま監視兵を脅しつけ、本気で戦っている訳ではないユーマとジャコビアスのいた座標に上空のガルダ級から対地ミサイルの雨を降らせていた。
一年戦争末期にキマイラ隊に配属された強化人間、クローン技術を用いた生まれながらにして強化された点に後のプルシリーズとの共通点を見い出せる。キマイラが捕獲された際にゴップ議長に分配された(表向きはゴップの養子)。ごく最近まで冷凍睡眠していたため最新情勢などの情報に疎く[5]、自身の本名も覚えていないが、プラントでレッドと直に顔を合わせた際に「ジョニ子」と呼ばれると憤慨した。「ジョニ子」と呼ばれるようになったきっかけは、レッドとの交戦中に通信で「私も“ジョニー・ライデン”て呼ばれてるよ」と名乗ったことに起因している。
キマイラ隊所属時はジョニー・ライデンの隊に属しており、上司と部下というより師弟関係に近い間柄だった。
「コア・ブースタープラン004」を飛行試験中のレッドを改造したギャプランで襲撃するが、相撃ちとなり環境改善プラントに墜落した。プラント内で共に行動し、制御室での会話を経てレッドがジョニーである事を確信している。迎えの部隊が来た事で別行動をとるが、別れ際に「ジャブローへ」と言い残す。一旦ゴップの元へ帰還した後、ジャブロー攻略作戦に参加する為の機体として各部をアップデートしバイオセンサーを搭載した「FA-78-2 ヘビーガンダム」を受領して出撃。ジャコビアスを撃破するが、続いて現れたレッドの駆る「紅いゲルググ」との戦闘に突入する。「ミナレット」に封印された「ザビ家の復讐装置」の存在に気付いており、テミス、ヴァースキ隊も出しぬいて、サングレ・アスルを手に入れ、レッドを連れて行きミナレットを破壊しようとしている。
ジャコビアス・ノード (Jacobius Node)
民間軍事会社「テミス」社長で、オクスナーに「猟犬」と呼ばれる男。ジョニー・ライデン候補の選別を命じられ、レッドとも接触するが「ジョニー・ライデンかもしれない」という自身の判断をオクスナーには伝えなかった。キマイラ隊MS第一小隊[6][7]元隊員(階級は大尉)で、一番のスナイパーであり三連式多目的カメラモジュールを装備したMS-14C-1Aを駆る。戦時中に愛用のライフルを失ったらしく、連邦製ロングレンジライフルを使用していた[8]
建前上、社長の椅子に就いてはいるが、パイロット気質からなのかデスクワークは苦手な上、大損覚悟で“目的”を“仕事(表の業務)”として成立させるため、営業に損益度外視で契約を取ってくるよう無茶振りする事もある。
ジャブローでは立場の違いからユーマとの戦闘になったが、環境改善プラントでのユーマの危機に際してはヤンチャな息子を嗜めようとする父親の如き感情を見せる[9]。これはイングリッドに対しても同様で、わざわざ戦場に戻ってきた彼女を「大馬鹿者」と呼んでいる。
プラントの戦いの後、自身の知る「キマイラ隊の概要」をFSSで証言した。証言内容の真偽については不明。証言に依れば、キマイラへ転属する前は、ガルマ・ザビ麾下の地球方面軍に所属[10]。ガルマ戦死後にオデッサに転属となり、オデッサ作戦後にキマイラに招聘された。
現在(コミックス6巻以降)はジャブローに秘匿されたザンジバル級「サングレ・アスル」の警備に就いている。ゴップ議長が手配した部隊の攻撃に際し、自ら出撃してヴァースキが操るギャプランと激闘を繰り広げるが、出撃してきたイングリッドのヘビーガンダムに機体を撃破されて自身の「歳」を感じている。
ユーマ・ライトニング (Uma Lightning)
青いゲルググを駆り、ジョニー・ライデンと「ミナレット」と呼ばれる物を探す人物。元隊員でも最年少の若手(当時10代前半でイングリッドと同い年)だがライデンと互角の腕を有する強化人間で、「青き雷光」の異名を持つ。連邦軍第202技術試験大隊隊長の軍籍(大尉)を手に入れ、連邦軍部隊を装いながら組織だった活動を行う[11]
彼の運用するゲルググは連邦軍の最新技術素材とジオン系技術で改修された高度なハイブリッドカスタム機となっている。既に中身は別物になっている筈なのにゲルググの外見にこだわるのは「(自分だと)ジョニーに気付いてもらう為」。この事も含めてエースパイロット、軍人としての冷徹な部分と少年の様な無邪気さが混在している。
環境改善プラントにてナイトイェーガーのヴァースキと戦うが、一瞬の差で海ヘビによる電磁攻撃を喰らい昏倒。ガンペリー墜落によって発生した火災に巻き込まれるが、レッドがプラントの最終エマージェンシーシステムを開放して起こした大放水でかろうじて生存し、FSSに回収された。回収される際、気を失う直前にレッドと邂逅。ヘルメットを外したレッドを「ジョニー」と呼んだ[12]。イングリッド同様にレッドが「ジョニー・ライデン」であると確信している(本人曰く、レッドの乗る「陸戦高機動型ザク」と戦い、マゼラトップ砲で肩を撃たれた時にそう悟った[13])。
FSSに入院加療と調査を建前に保護されたが、連邦軍からは軍歴詐称を始めとした服務規程違反等で引き渡し命令が来ていた。ジャブロー行を画策するレッドたちの手引きによって脱走。南米行きに際しては事前に示し合わせていた段取りで手配したユーコン級潜水艦を呼び寄せる。ジョニー(レッド)とようやく再会できた事でかなり浮かれており、呼び集めた戦力全てをレッドに委譲し、自身はアッガイに搭乗している。
ジーメンス・ウィルヘッド
キマイラ隊MS第二小隊[6]元隊員。階級は大尉。10年の技術差をモノともせず、(少なくとも外見は)旧式のゲルググで最新鋭機ジムIIIを撃墜する。ユーマからの要請でザンジバル級改「キマイラ」を母艦として地球からの打ち上げ軌道上の宙域を押さえている。
ジーメンスはキマイラ隊創設時から配属された古参。戦後は、後述のエメと結婚し、サイド1でパン屋を営んでいた。「スペースノイドはキャリアからリタイアするとパン屋を始めたがる」とはクリストバルの言。
現在の彼らは表向き「アナハイムの社員」と言う事になっており、アナハイムから提供される援助と引き換えに試作・開発された各種部材のテストも行っている。
クリストバルに留守を任せてエメと二人でスゥイート・ウォーターに向かい、ホルスト・ハーネスと接触した結果、「ミナレット」に自分たちも知らない秘密があると分かり、ジャコビアスと接触して情報を得んとクリストバルとエメを地球に派遣する。なんと地球に下りる建前は「新婚旅行」である[14]
エメ・ウィルヘッド
ジーメンスの妻にして、キマイラ第二小隊のNo.2。旧姓はディプロム、階級は中尉[15]。キマイラ隊唯一の女性パイロットだった。
中々に茶目っ気のある女性でクリストバルをイジって楽しんでいる他、作戦中バックアップをする立場であるとは言え亭主であるジーメンスも結構扱き使っている。
クリストバル
キマイラ第二小隊隊員。アフリカ戦線・カラカル在籍時はロイ・グリンウッドの部下であり、その後キマイラに引き抜かれた。エース級のパイロットではあるが、小隊では一番下っ端である為、苦労が絶えない。
ジェラルド・サカイ、マイヤーメイ、ガーニム
元隊員。
ジェラルドはキマイラ隊々員としては数少ない「公式に所在が確認されている人物」とされており、サイド3(ジオン共和国)で情報収集を担当している。他のメンバーに名前のみ語られ、劇中では描写されていない。また、フルネームについては触れられていない。
マイヤーメイ、ガーニムは別行動をとっていたが、9巻でジーメンスらと合流した。
ジェラルド・サカイは『モビルスーツバリエーション』でもキマイラ隊所属パイロットとして設定が存在する。
ヒュー・マルキン・ケルビン
ジオン公国突撃機動軍情報統括局局長。大佐。キマイラ隊の編成責任者で、「オールドタイプによるニュータイプ殲滅部隊の研究と開発。そしてその運用」と言う構想からキマイラ隊設立をキシリア・ザビに上申した。
エイシア・フェロー
キマイラ隊関係者の間で度々出てくる名前で、ジョニー、ヒュー大佐と並んで部隊内でもトップ3に入る立場である船医長。ユーマ・ライトニングの言によれば、死亡している。

その他[編集]

ルーベンス
元ジオン公国軍のMSパイロット。FSSで回収された正体不明のザクIIを「MS-06A ザクII 初期生産タイプ」であることを確認した。12年前 (U.C.0078) には少尉で、彼はこの06Aで訓練を受けており、パイロットシートに彼を始めとするパイロット達のサインがあった。戦傷兵なのか、復員後に何らかの事故にあったのか不明だが、現在は車椅子の生活。
ホルスト・ハーネス
ネオ・ジオンの文官だが、本作品ではジオン共和国にいる様子が描かれている。「スィート・ウォーター」でジーメンスと接触し、キマイラ隊が隠匿した「ザビ家の復讐装置」と呼ばれる物の返還を求める。なおジェラルドから追放の情報が送られた際には、クリストバルに「性質の悪い軍閥官僚オヤジ」と評されている。
ユーコン級艦長(仮称)
大戦中からユーコン級潜水艦を率いている艦長。ユーマからの連絡を受けてレッドたち一行をジャブローまで送迎する。ユーマの言を真に受けてレッドを「ジョニー・ライデン」呼ばわりして殴り倒されていた。
ユーマが自分たちの正体が露見した時に備えて、軍からチョロまかしていた装備を預かり、脱出した隊員たちを回収していた。
ミリィ・チルダー
マイヤーメイ、ガーニムがジーメンスらのキマイラに合流する際に、機材と共にアナハイム社から派遣されてきた女性メカニック。「自分の派遣先はこんなのばかり」とボヤいている。
フークバルト
ミリィと共に派遣されてきた黒人男性で、アナハイム社主計局次長。アナハイム社内のキマイラ隊残党の存在を問題視している派閥から派遣されてきた「鈴」であるが、彼自身はキマイラの価値を認めていて、上層部と交渉し「茨の園」のキマイラ隊に委譲する権利を手に入れてきた。新拠点を運用する分も含めてキマイラ隊の主計業務を引き受ける。

用語・組織[編集]

FSS (Federation Survey Service)
一年戦争の終結後、軍部によって組織された兵器群調査委員会を母体とし、幾度かの改変と拡大縮小を繰り返しつつ成立した。戦争によって散逸した、データ収集と資料の編纂を行う一種の外郭団体である。予算その物は連邦政府議会から捻出されているが、それ以外にも様々な個人・団体からの寄付を受けており、大口の団体にはジオン共和国そのもの[16]や、Ark Performanceの描く別のガンダム作品に登場する人物名も含まれている。なお、同作者の描くガンダム作品にたびたび登場するが、公式設定という訳ではない[17]
人員の内約10%は幽霊役員とも呼ばれる軍部を始めとした組織からの天下りでそれらのコネもあって組織的な保護や便宜をはかられている。その引き換えとして様々な、公にできるものや極秘資料を含め記録保管庫として利用されている。保管されている極秘資料を全て公開した場合、連邦政府が崩壊するとも言われている。
公的機関や民間に対しての公開可能なレベルの調査資料の提供や、一般公開可能な資料に基づいたドキュメンタリー番組の制作・それらのソフト販売を行っている。
レッドたちの所属するチームは、調査部第一課に属しており、特にモビルスーツを始めとした機動兵器の調査を行っている。
キマイラ隊
ジオン公国突撃機動軍特別編成大隊。一年戦争中、最も有名な部隊のひとつでありながら、「最も謎の多い部隊」ともいわれている。
「オールドタイプによるカウンターニュータイプ部隊」と言う構想の元に、ザンジバル改級「キマイラ」を旗艦として、パイロット・装備・サポート要員(ジオニック社をはじめとする各MS開発、製造企業の技官)に至るまで最高の人材が揃えられており、ごく初期の物とはいえ強化人間もいた。
ジャコビアス・ノードによる作中の証言では、創設期には大隊編成に満たない規模であり、末期は大隊編成を超す規模であったため「特別編成大隊」と呼ばれている。
大きく分けて、艦隊、中核となるエースパイロットで構成されるMS隊、中核隊の予備ともされる艦隊直衛MS隊、後述のMSの製造プラント船・ミナレットを含む技術部隊「ヒュドラ」の4隊で構成される。そのMS開発研究技術的な財産は戦後10年を経てもなお、他のより大きく進んでいると目されている[18]
ミナレット
キマイラ隊が所有していた巨大プラント船。各エースパイロットの個別要望によるカスタマイズも数日で実物が完成するといったような高度な技術力、生産力を有している。
現在は無人のまま自動航行で宇宙を周回しており、その航路パターンはザンジバル級戦艦サングレ・アスルに搭載された航路検索システムでなければ突き止められない。
内部は物理的・データ的問わず細かくアクセスを制限されていて、その全貌を知るのは大隊の編成責任者であったヒュー・マルキン・ケルビン大佐、MS隊指揮官のジョニー・ライデン少佐、エイシア・フェローの三名のみ。
テミス
ジャコビアス・ノードが社長を務める民間軍事会社。キマイラ隊MS第一小隊が中核となっている。それ以外にも元連邦・元ジオン、元ティターンズなどの構成員の寄り合い所帯だが、練度は高くオクスナー・クリフから回されてくる装備(旧公国製やティターンズ系の払い下げ品)もあって一個中隊規模の戦力を維持している。
ウェイライン隊
一年戦争末期、ジョニー・ライデンが搭乗するMS-14Bと接触・交戦した連邦のMS部隊。隊長は「ウェイライン少尉」、ジム・インターセプトカスタム及びジム・ガードカスタムで編成されている。
この時のジョニー・ライデンはユーマ・ライトニングとの戦闘でMS、パイロット共に深手を負った状態にも関わらず、単騎でウェイライン隊を壊滅寸前にまで追い込んだ。
ザビ家の復讐装置
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』に登場する環境破壊兵器「アスタロス」をスペースコロニー内部に対して使用する装置。ミナレットから起動を行う。オクスナー・クリフはキマイラ隊の接収時に実際に起動確認画面を見てその存在を知っている。また、ホルスト・ハーネスもその存在を知っていたが、キマイラ隊のジーメンス・ウィルヘッドは存在を知らなかった。
茨の園
旧サイド5暗礁宙域にある破壊されたスペースコロニーや撃沈された戦艦などの残骸を中心に建造されたで基地。かつてはデラーズ・フリートが軍事拠点としていた。
デラーズ・フリートと通じていたアナハイム社常務の自殺後に常務の所持品から座標データが発見され、以後、アナハイム社が秘密の運用テストエリアとして管理していた。
軍事拠点を欲していたジーメンスらのキマイラに提供される。

登場した機体[編集]

単行本[編集]

角川コミックス・エース(角川書店)より刊行されている。

  1. 2010年12月25日刊行 ISBN 978-4-04-715592-3
  2. 2011年 4月26日刊行 ISBN 978-4-04-715693-7
  3. 2011年10月26日刊行 ISBN 978-4-04-715812-2 - 特典にアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にてザクII(S)(ジョニー・ライデンカラー)が使用可能になるキャンペーンコードが付随。
  4. 2012年 3月26日刊行 ISBN 978-4-04-120209-8 - 特典にアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にて高機動型ゲルググ(ジョニー・ライデンカラー)が使用可能になるキャンペーンコードが付随。
  5. 2012年 9月26日刊行 ISBN 978-4-04-120450-4 - 「角川書店ニュージェネレーションキャンペーン(~2013年1月31日)」の対象書籍であり、応募券が付随。
  6. 2013年 3月26日刊行 ISBN 978-4-04-120637-9 - 特典にアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にてゲルググキャノン(ジョニー・ライデンカラー)が使用可能になるキャンペーンコードと、プレイステーション3用ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』にてジム・ナイトシーカーIIが使用可能になるキャンペーンコードが付随。また、「角川書店MSV-Rキャンペーン(~2013年4月25日)」の対象書籍であり、応募券が付随。
  7. 2013年9月26日刊行 ISBN 978-4-04-120841-0
  8. 2014年3月24日刊行 ISBN 978-4-04-121063-5
  9. 2014年9月26日刊行 ISBN 978-4-04-102105-7
  • 機動戦士ガンダムMSV-R
    1. 連邦編 2012年3月26日刊行 ISBN 978-4-04-120210-4 - 『ジョニー・ライデンの帰還 特別編』を収録。

脚注[編集]

  1. ^ 2014年2月号掲載分、コミックス8巻収録で、スコットにより娘であることが語られている。
  2. ^ 彼に限らず、ジャコビアスもかなり礼節を守った対応をした。
  3. ^ 第2巻本編ではフーパーと表記されているが第3巻以降の登場人物紹介ではフーバーとなっている
  4. ^ エース部隊ではなく、艦隊直衛のMS隊所属だった。
  5. ^ 一年戦争当時は10代前半と思われる為、目覚めたのはここ数年以内。
  6. ^ a b 6巻時点では、いずれの中隊に所属するのかは不明。
  7. ^ MS第一小隊のモットーは「諦めるな、最後まで見届けろ」。
  8. ^ ジャブローでの戦闘後、カスタマイズが施されている。ノーマルスーツのヘルメットもライフルのセンサーと同調したシステムを搭載した特製。
  9. ^ 単行本5巻38頁、42頁より。
  10. ^ ホワイトベース隊との戦闘には招集されていない。
  11. ^ ただし、配下のパイロットはキマイラ隊出身者ばかりではない模様。
  12. ^ 一年戦争終戦当時、部隊内で起きたイザコザでライデンと戦い、生身の彼を銃撃してしまった事がトラウマになっている。
  13. ^ 実際、起動するのが精いっぱいだった無調整の旧型(手に入らなかったパーツを代替品で補っただけ)で最新鋭の機体を駆るエース級パイロットと戦って見せた。
  14. ^ ジーメンス自身も新婚旅行はしていないらしくクリストパルには「MSが必要になる様な事態には陥るな」「もしもの時には現地で調達しろ」と皮肉を込めた無茶振りしていた。
  15. ^ 「機動戦士ガンダム MSV-R モビルスーツバリエーション ジオン編」 ISBN 978-4-04-121018-5 P.18
  16. ^ U.C.0084時の組織改編の際に融和政策の一環として戦史調査を共同事業化した。0086年にリミアが出向してきたのもその流れ。
  17. ^ ソフトバンククリエイティブ発行の「マスターアーカイブ モビルスーツ RX-78GP01」7頁にて、設定を拾う形で紹介されている。
  18. ^ ホルスト・ハーネスによれば、戦後ジオニックを通じて連邦、アナハイムに開示された開発データは意図的に分けられており、全てが揃っているのはミナレットだけとの事。