頭取野崎修平

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頭取野崎修平』(とうどりのざきしゅうへい)は、周良貨原作、能田茂作画の漫画。2003年から2007年にかけてビジネスジャンプ集英社)に連載されていた。

概要[編集]

監査役野崎修平』の続編に当たる。

ちなみに現実のあおぞら銀行2001年に現在の行名になっており、2003年連載開始の本作品とは名称がかぶるが、前作からの流れで引き続き「あおぞら銀行」の名称を用いている。

物語[編集]

あおぞら銀行が国有化されてから2年、思うように収益が回復しないあおぞら銀行に、産業再生機構において多くの企業を立て直してきた再建請負人として、かつての同行監査役・野崎修平が頭取に就任。金融再編の流れに取り残され中位行に転落したあおぞら銀行を「真のお客様のための銀行」として育て上げるべく奮闘する。

しかし行内は国有化後の2年間ですっかり疲弊してしまっていた。また、かつての大手銀行だった時代の再来を夢見る人間も多く、「無駄に規模を拡大するよりは身の丈にあった経営を」と考える野崎の方針に反発する人間も少なくない。その中で野崎は徐々に支援者を増やしていく。

主な登場人物[編集]

※原則として、前作より継続して登場している人物については人名に振り仮名を振っていない。

あおぞら銀行[編集]

野崎修平
主人公。外部で企業再建を手がけてきた影響もあってか人間的な凄みを増しており、森島曰く「どこか甘さのあった昔の野崎さんじゃない 仏鬼同体だ」とのこと。
雪国銀行の救済合併の際には京極春樹からは「少しは父の気持ちがわかったんじゃないですか」と指摘され、「最後はトップが決めるしかない」という点で「当たっているところもある」とそれを認めている。実際雪国銀行が経営破綻する直接の原因となった道央リゾートの再建に関しては、かつて北国大学に在学していた縁から、当時のコネをフル活用して北海道の支援を引き出したりもした。漫画の中でも、野崎の背景に京極元頭取の姿が見えるようなコマが多く描かれ、野崎が京極に似てきたことを示唆している。
森島らによるクーデター騒動の際は、極秘裏に金融担当大臣の田村と接触して合併提案を否決するよう依頼するなど、経営者として策を弄する場面も出てきた。
西條進
本作では本店営業統括部長として登場。あおぞら銀行をかつての上位行の地位に蘇らせその頭取となることを夢見ているが、その拡大志向ゆえに野崎と事あるごとに対立する。後に野崎の意向で個人営業部長に異動となるが、あまりのやる気のなさに支店長会議で吊るし上げを食らう。しかしそれを受けて、一晩で溜まった案件を処理するなど、業務処理能力は相変わらず高い。
結局「法人担当に戻してくれないのならあおぞらを辞める」として京極春樹に直訴し、経営企画本部に異動するが、森島の指示で不良債権に関する資料隠しを行っていたとして調査役に降格。その後しばらくは自ら資料室にこもっていたが、実務能力を買われあおぞら銀行存続のための緊急対策チームに加わり、大規模増資による債務超過の解消を発案した。
森島博
かつては人事部長だったが、本作ではあおぞら銀行専務。
当初は野崎と二人三脚であおぞら銀行を立て直すべく努力していたが、野崎との考えの違いや京極春樹らの口車により、かつての上位行の地位に返り咲くことを夢見るようになり、反・野崎のクーデターのリーダーとなる。しかしクーデターは失敗。それは不問に処されるが、副頭取に昇進かつ不良債権処理担当を命ぜられる。
金融庁の検査に対し重要資料を隠すよう指示。これによって金融庁から検査忌避の疑いを持たれ、銀行を危機に陥れたため、野崎により懲戒解雇される。最後は自分の行為が間違っていたと行員に話し、銀行を去っていった。
坂本正義
本作では札幌支店の課長代理。坂本から上がってきた融資の稟議(融資部では否決されていた)をたまたま野崎が目にしたことで再び関わりを持つようになる。雪国銀行の経営危機が表面化した際には、頭取直轄の「北海道再生本部長」となり、石原とともに雪国銀行やJ&Fグループとの交渉窓口となった。
その問題が一段落したところで、森島の意向で、大手総合商社ながら不良債権を大量に抱え経営危機に陥っていた鈴木商事に出向(これには野崎に対する人質としての意味合いもある)。結局鈴木商事は民事再生法の適用を申請して事実上倒産するが、その中でも採算部門を救済するためのファンドを設立することを提案し野崎の了承を得た。
竹林
本作ではシステム開発部長に昇進。自ら「日本の銀行で最も進んでいる」と自負するあおぞらオンラインのシステムを地銀向けに外販したりしている。かつてのシステム障害の際に一緒に闘った仲ということで、野崎とは非常に仲が良い。
しかし経営者となった野崎の変化は敏感に感じ取っており、作品中盤以降、坂畑の提案で裏切り者をあぶりだすために「一見端末上からはデータが削除されたように見えるが、実はデータは保存されており、かつ誰が削除指示を出したかがわかる」システムを導入した際には「以前の監査役ならこんなシステムには絶対反対しただろうに…」とボヤく場面も見られた。
岩田桜子(いわた さくらこ)
初登場時は巣鴨支店の一窓口担当行員。苗字に加え、体が大きく岩のような顔をしているという理由で、通称は「ガンコ」。口座の移管手続きをしに来た(頭取就任前の)野崎を怒鳴りつけたことで野崎に強い印象を与え、頭取秘書に抜擢される。実は英検1級・上級フィナンシャルプランニング技能士・証券アナリスト・柔道二段・裏千家師範などかなりの資格持ち。
石原(いしはら)
本店融資部の調査役として登場。「かつて銀行をつぶした人間がのうのうと戻ってきた」として、当初は野崎のことをよく思っていなかった。さらに「苦しくてもビジョンのある企業を応援したい」という野崎の考えを、「いくら頭取だからってそんな勝手は許されない」としてはねつけ野崎と全面対決。結局中小企業向け融資の新しい評価基準を作ることになるが、ライバル行の評価基準をほぼ丸写ししたことがばれ、「取引先のことを全く考えていない」と野崎に怒られる。
本人は左遷も覚悟したが、何と頭取室に異動。その後野崎の意向で坂本とコンビを組まされ、ぶつぶつ文句を言いながらも二人でさまざまな案件を処理していく。後に融資企画部に移り、新たに考案した中小企業向け融資の審査システムの運用を担当する。
京極春樹(きょうごく はるき)
かつてのあおぞら銀行頭取・京極雅彦の息子。財務省では主計局でエリートコースに乗っていたが、あえてそれを捨ててまで金融庁を経由し、出向であおぞら銀行の役員に就任した。役員就任時点でまだ43歳と若い。
能力が高くエリート意識は強いものの、父に対する感情が屈折しており、父を否定する方向へと物事を考えがちである。
春日洋八(かすが ようはち)
調査部員として登場。雪国銀行との合併の際に「今後は地方と手数料収入に特化すべき」との過激な経営提案を行い野崎に注目される。
白川(しらかわ)
生え抜きの常務で広報・IR担当。「お客様のための銀行」を唱える野崎に共鳴する一人。
大仏太郎(おさらぎ たろう)
元々自動車メーカーのトミタ出身で、関連会社の立て直しを10年間手がけてきた。その経験から、なぜ金融業界の企業の立て直しがうまくいかないのか疑問に思い、それを実践するためあおぞら銀行の役員となる。
体が非常に大きく、風貌は西郷隆盛似。
前職時代、関連会社では過激な立て直しを行ったため、結局どこの会社からも追い出されるようにトミタ本社に戻らざるを得なかった経緯があるほか、一度再建した会社も大仏がいなくなって数年経つとまた業績が悪化するという問題があった。あおぞら銀行でも支店の窓口で(しかも客のいる前で)行員を怒鳴りつけたりといった行動を頻繁に取ったことから、一部ではクレームも出た。
坂畑俊也(さかはた としや)
コンビニエンスストア業界出身で、前職ではPOSシステムの構築を手がけていた。その際の経験を生かし、金融業界できめ細かいシステムを利用したサービスを構築したいとしてあおぞら銀行への転職を希望。リテール分野の強化を考えていた野崎の眼に留まり、あおぞら銀行の最高情報責任者となった。
後に99.99%の精度で日次決算が行えるシステムを構築し、あおぞら銀行が急激に収益を回復しつつあること(=野崎の方針の成果が出てきたこと)を実証した。
柳沢秋保
あおぞら銀行前頭取。前作の最後で副頭取からヒラの取締役まで降格していたが、そのため経営責任を問われることなく銀行に居た。その後、頭取に就任するが、経営はうまくいかず1期2年でその座を追われ、後任に野崎が就任した。

その他[編集]

新堂
日本電気通信電話(NDD)社長で野崎の友人。野崎を柳沢の後任の頭取に推す。
沖田浩二
本作では雑誌社・金融業・人材派遣等を手がける経営者として登場。しかし一方では相変わらず総会屋として、かつてのあおぞら銀行時代の人脈を使い、本来漏らしてはいけない顧客のさまざまな情報を入手している。松崎と海藤を対面させる場を作ったりもしたが、野崎の仕掛けで偽情報を流され、仕手戦で一財産を失い、松崎の傘下に入った。
板垣
かつての「ケンカ板垣」も、小樽出身ということで、請われて北海道の地銀である雪国銀行の頭取に就任。しかしバブルの遺産のリゾート案件の処理等に苦しんでいた。あおぞら銀行による吸収合併の後、森島の解雇で役員が手薄になったこともありあおぞら銀行に戻り専務となる。
橘祥子
あおぞら銀行初の女性役員と目された女性だが、現在は辞職し、本作では外資系投資ファンド・J&Fグループの日本法人のNo.2として登場(本人曰く「国内は私が取り仕切っている」とのこと)。
雪国銀行が抱えるリゾート案件の処理などで何度となくライバルとして登場する。
あおぞら銀行が倒産したあとで買収し、その頭取になることを望んでいる。
海藤義己
かつての総会屋も刑務所から出所。あおぞら銀行、特に自らを潰した張本人である野崎への復讐を狙っている。
一方で鈴木商事が手がける再開発案件であるアラカワ・パワー・プロジェクト(APP)の裏側での取り仕切りを任されていたが、その過程で同案件の土地の土壌が汚染されている事実をつかみ、鈴木商事を恐喝する。
しかし野崎・武田らに搦め手から資金源を絶たれ窮地に陥り、鷹山光司郎の手を借りて野崎暗殺を狙う。だがこれも結局失敗したため自殺を試みるも一命を取り留めた。
松崎源陽
総会屋。海藤が出所したのに伴い、預かっていた関東の利権を海藤に返却したが、あおぞら銀行に関するものだけは手元に残したために海藤と対立する。
上條力也
首都新生銀行(かつての新日本銀行が、あおぞら銀行離脱後行名を変更)の頭取。あおぞら銀行に再合併を持ちかける。しかしその後金融庁の検査に抵抗を示したため更迭された(ただ10巻の冒頭で「頭取」として紹介されており、記述に矛盾がある)。
武田真吾
かつてのあおぞら銀行頭取で、現在はインターナショナル・リスク・マネジメント(IRM)という会社を経営。鈴木商事関連の案件で行員に危害が及ぶことを予想した野崎が、それに対する防御策として警備等を依頼した。
リハビリに成功したらしく、車椅子ではなく普通に歩行できるようになっている。
佐藤剛士
総会屋の息子で弁護士。現在は武田の部下としてIRM社で働いている。野崎には一目置いており、「海藤を潰したい」という要求に対しいろいろと知恵を出す。
若槻(わかつき)
四季銀行頭取。温厚に見えるが野心家。
銀行の経営者としては異質な野崎に興味を抱き、最終的にあおぞら銀行の増資の呼びかけに応じた。
田村(たむら)
金融担当大臣。「学者上がり」と馬鹿にされることが多いが実はかなりの策士。モデルは竹中平蔵
京極雅彦
あおぞら銀行の元・頭取。かつてはカリスマ的独裁者だったが、今は葉山に隠居している。
物語中盤で一応、財界に復帰。あおぞらの頭取に戻る計画が持ち上がるも、鷹山の失脚により頓挫。
直接の出番はほとんど無く、セリフは1つも無し。
鷹山光司郎
元首相。京極雅彦の学生時代の同期で、強いつながりがある。
あおぞらを潰し、その頭取に再び京極を据えることを計画するが、野崎や京極(息子)らの奔走でスキャンダルを暴かれ失脚し、計画は頓挫。その復讐として海藤を使い野崎の命を狙った。