博多南線

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JR logo (west).svg博多南線
博多南駅に到着する100系
博多南駅に到着する100系
概要
起終点 起点:博多駅
終点:博多南駅
駅数 2駅
運営
開業 1975年3月10日 (1975-03-10)(回送線として)
1990年4月1日(旅客営業開始)
所有者 JR logo (west).svg 西日本旅客鉄道(JR西日本)
(全線 第一種鉄道事業者
使用車両 #使用車両の節を参照
路線諸元
路線総延長 8.5 km (5.3 mi
軌間 1,435 mm (4 ft 8 12 in)
電化 交流25,000V・60Hz 架空電車線方式
運行速度 最高120 km/h (75 mph)
路線図
Hakata-Minami Line map.png
停車場・施設・接続路線
STR
山陽新幹線
STR STR
JR九州鹿児島本線
KRZt KRZt
福岡市地下鉄空港線
HUB61
0.0 博多駅
HST STR
竹下駅
STRlf KRZo
JR九州:鹿児島本線
KRZo
西鉄天神大牟田線
ABZlf ABZq+r STRlg
STR KBHFe STR
8.5 博多南駅
STR KDSTe
9.2 博多総合車両所
STR
JR九州:九州新幹線

博多南線(はかたみなみせん)は、福岡県福岡市博多駅から福岡県春日市博多南駅までを結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線幹線)である。全線が福岡近郊区間に含まれる。

概要[編集]

山陽新幹線の博多駅から南に9.2km[1]の所にある車両基地博多総合車両所)までの回送線を旅客線化した路線である[2]

新幹線用の設備を使用し、新幹線車両を使用するが、「全国新幹線鉄道整備法」の定義から外れるためJR西日本では「新幹線鉄道」ではなく「普通鉄道」として当時の運輸省(現在の国土交通省)に認可を申請した経緯から「在来線」としている[3]。一方、施設そのものは新幹線の構造物であるため新幹線特例法の対象となっているほか、当路線の列車を運転するのに必要な動力車操縦者運転免許の種類は「新幹線電気車」であり、在来線電車の「甲種電気車」免許では運転できない。

博多駅 - 博多南駅・博多総合車両所間のキロポストは、博多総合車両所への回送線用の東京基点のものと[注釈 1]、博多南線用の博多基点のものとの、2種類が設置されている。

博多南線と同じく新幹線用設備を使用し、旅客営業上は在来線として運行する路線に、東日本旅客鉄道(JR東日本)の上越新幹線から分岐し、上越線の支線として扱われる越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅間が、博多南線と同じく車庫への回送線を旅客化したものとして、東京地下鉄(東京メトロ)の千代田線支線(綾瀬駅 - 北綾瀬駅間)がある。

路線データ[編集]

全線が新幹線管理本部の管轄で、駅の管理はその下部組織である福岡支社が担当する。

運行形態[編集]

博多南行き列車の行き先表示
「こだま」「ひかり」などの列車名の表示がない

朝の上りは1時間あたり2 - 4本、夕方以降の下り列車は1時間あたり2 - 3本、それ以外の時間・方向は1時間あたり1本の頻度となっており、通勤・通学に合わせたダイヤとなっている。

多くの列車が「こだま」として、上りの始発列車が「ひかりレールスター」としてそれぞれ山陽新幹線と直通運行しているが、一部の列車は博多南線内のみの運行となっている。列車番号は、山陽新幹線直通列車は「こだま」の番号がそのまま用いられ(「ひかりレールスター」として直通する列車は2400番台が与えられている)、線内完結列車は別に2800番台が与えられている。なお、博多南線は在来線の扱いであるが、新幹線用の運行設備・車両での運行のため、全列車特急列車扱いである。しかしJRグループの特急列車では唯一、列車名の設定がない。博多駅の発車標では「623号」のように号数のみが表示され、列車の行き先表示には「博多」もしくは「博多南」のみ表示される。また、全列車特急列車であるため種別の案内もない。

博多南駅行きの列車に対しては、博多駅ホームの自動放送では「小倉広島新鳥栖熊本方面には行きませんのでご注意下さい」と注意喚起がなされている。

全列車が特急列車であるため、利用には運賃のほかに特定特急料金として100円が別途必要になる。普通列車の運行はないが、石勝線海峡線の一部区間のような乗車券のみで特急列車に乗車できる特例はないため、博多南線は青春18きっぷなどの普通列車しか利用できないフリー乗車券での乗車はできない[注釈 2]

博多駅を発着する九州新幹線鹿児島ルートとは、同駅で乗り換えとなる。また、博多総合車両所の北方分岐までの共用区間をのぞいて、同線の営業用列車は博多南線に乗り入れない[注釈 3]

使用車両[編集]

山陽新幹線・九州新幹線で使用される車両・編成が限定使用される。なお、車両の配置区所はJR西日本博多総合車両所とJR九州熊本総合車両所である。

現在の使用車両[編集]

  • 500系8両編成(V編成)
  • 700系8両編成(E編成)
  • N700系8両編成(S編成・R編成)

大半の列車は500系・700系が使用されており、ごく一部にN700系を使用する列車がある。編成両数は8両編成に統一されている。博多南駅のホーム有効長が8両分しかないため、16両編成は使用されない。

本路線では500系およびN700系の喫煙ルームも含め全車禁煙で、全席自由席である。「こだま」として直通する列車であっても、本路線内では同様の扱いとなる。

2011年3月12日のダイヤ改正では、半室グリーン車があるN700系8両編成を使用する列車が上り1本のみ設定され、同年8月31日からは新たに下り1本が設定された。これにより本路線にグリーン車を連結した列車が運行されるようになった。当該列車のグリーン券は当該列車車内と博多駅・博多南駅のみどりの窓口で発売する。当初は車内でのみの発売であったが、2011年11月30日から新たに2往復が設定されたときに博多駅・博多南駅のみどりの窓口でもグリーン券を発売するようになった[5]

過去の使用車両[編集]

  • 0系 - 開業当時に使用されていた車両。4両編成のQ編成と、6両編成のR編成があった。Q編成は2001年9月30日、R編成は2008年11月30日限りで定期運用から離脱した。
  • 100系 - 0系に代わり使用開始。4両編成のP編成は2011年3月11日限りで、6両編成のK編成は2012年3月14日限りで定期運用離脱。P編成が運用離脱したことで全列車が6両編成または8両編成となり[6]、K編成も離脱したため全列車が8両編成に統一された。

歴史[編集]

車両基地建設以後、基地のある那珂川町は次第に市街化してゆき、発展した。しかし、当時この地域は福岡市中心部への交通アクセスが悪く、西鉄バスでは1時間近く要するため、地元住民から「回送線に乗せて欲しい」との要望が山陽新幹線を運営していた日本国有鉄道(国鉄)に寄せられるようになった[2]

しかし、国鉄改革時に「九州内の在来線はJR九州が経営する」という取り決め[注釈 4]があったため、その整合性が問題となり、JR側と地元住民との間での調整は難航した。最終的に「線路の保有と列車の運行・管理はJR西日本、博多南駅の営業業務はJR九州に委託する」ということで決着し、開業するに至った。その結果、博多駅への所要時間は、バスでは1時間ほどかかっていたものが10分程度へと大幅に短縮されて利便性が向上した。その後、博多総合車両所周辺は急速に宅地化が進んでいる。

なお、2010年(平成22年)4月1日から博多南駅の営業業務はJR西日本の直営となり、みどりの窓口が設置された。

年表[編集]

九州新幹線との設備共用問題[編集]

2011年平成23年)3月12日に全線開業した九州旅客鉄道(JR九州)の九州新幹線鹿児島ルートは、博多南線 8.5km のうちほとんどの区間(約8.2km[8])を九州新幹線の本線として使用するため、開業前には「博多南線の運行本数が大幅に減らされるのではないか」などと懸念する声が出て[9]、福岡都市圏広域行政推進協議会から福岡県知事へ「博多南線の存続並びに利便性の維持向上に向けて」積極的に働きかけるよう提言書が出された[10]。これに対しJR西日本は2010年9月時点で「住民のライフラインとして定着している路線。利便性維持に可能な限り努力していきたい」と述べ[9]、九州新幹線全線開業時のダイヤ改正では休日朝の上りが2本削減されたのを除き、運行本数は据え置かれた[6]

なお、九州新幹線の列車も、博多南線との共用区間では120km/hの速度制限がかかる[11]

駅一覧[編集]

駅名 営業キロ 接続路線 所在地
博多駅 福 0.0 西日本旅客鉄道山陽新幹線
九州旅客鉄道九州新幹線鹿児島本線
福岡市交通局Subway FukuokaKuko.svg 空港線
福岡市博多区
博多南駅 8.5   春日市

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 博多駅 - 回送線分岐点間で共用する九州新幹線用のキロポストも、東京基点のものである。
  2. ^ 以前発売されていた、周遊きっぷの九州ゾーンなど博多近辺をフリー区間としているものも本路線はフリー区間には含まれていなかった。ワイド・ミニ周遊券では「九州」「九州北」のワイド周遊券と「福岡・唐津」のミニ周遊券で山陽新幹線小倉駅 - 博多駅間がもともと自由周遊区間に含まれていたため、本路線も自由周遊区間に含まれていた。また、在来線の特急列車という扱いであるため、この両ワイド周遊券では特急券なしで乗車できた。
  3. ^ 不定期な運用差し替えで、JR九州所属のN700系R編成が博多南線列車に使用された例はある。
  4. ^ 日本国有鉄道改革法第6条第2項。同法は現在も有効な法律である。

出典[編集]

  1. ^ 『新幹線高速鉄道技術のすべて』山海堂 2003年 p.161
  2. ^ a b 『読む・知る・愉しむ 新幹線がわかる事典』日本実業出版社 2005年 p.337
  3. ^ 南谷昌二郎『山陽新幹線』JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉、2005年 p.150 - p.151
  4. ^ 鉄道事業ダイジェスト - 西日本旅客鉄道
  5. ^ 「JR時刻表」2011年12月号p.50
  6. ^ a b 平成23年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道株式会社新幹線管理本部・福岡支社プレスリリース 2010年12月17日
  7. ^ 『JR気動車客車編成表』91年版 ジェー・アール・アール 1991年 ISBN 4-88283-112-0
  8. ^ 『新幹線高速鉄道技術のすべて』、p.223。
  9. ^ a b 290円の新幹線「博多南線」廃止? 地元通勤客ら懸念[リンク切れ] - MSN産経ニュース 2010年9月17日
  10. ^ 平成20年度提言書 (PDF) - 福岡都市圏広域行政推進協議会 2007年11月
  11. ^ 【図説】日本の鉄道特別編成 山陽・九州新幹線ライン(講談社)ISBN 9784062700733 p.61

参考文献[編集]

  • 原口隆行編著『読む・知る・愉しむ 新幹線がわかる事典』日本実業出版社、2005年6月。ISBN 4534039158
  • 高速鉄道研究会編著『新幹線 高速鉄道技術のすべて』山海堂、2003年10月。ISBN 4381015487

関連項目[編集]

外部リンク[編集]