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「世界平和統一家庭連合/log20230102」の版間の差分

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この教義が浸透している為、信徒は共産党と、“系列”と看做した団体を徹底的に攻撃する。
この教義が浸透している為、信徒は共産党と、“系列”と看做した団体を徹底的に攻撃する。


=== 「血分け」に関する論争 ===
教団の救いに関する教えの核心はメシアによる「血統転換」である。「血統転換」とは人類始祖の堕落により、[[サタン]]の血統を受け継いだ人類が神の血統に[[接ぎ木]]されることを言う。


イエス・キリストが無原罪の神の血統の息子として生まれた理由を、母[[イエスの母マリア|マリア]]が婚約者の[[ヨセフ]]を裏切り、親族である大祭司長の[[ザカリヤ]]と性的関係を持つことにより、血統転換がなされたとして説明しているが、文鮮明自身のメシアとしての無原罪性の根拠については今日まで語られたことはない。

文鮮明が女性信者と「血統転換」の実践としての性的な儀式である「血分け」(ピガルム)をしていると草創期から言われて来た。

それは文鮮明が関わった、李龍道(イ・ヨンド)、[[白南柱]]、[[金聖道]]、[[黄国柱]]、金百文などの「[[混淫派]]」、「[[霊体交換派]]」などと呼ばれる韓国独自の[[キリスト教]]の影響を受けたと見られている。
[http://66.102.9.104/search?q=cache:dJ-xhkL5JLsJ:www.geocities.jp/c0327jkn/clt/shinpishinrei.pdf+%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%95%B0%E7%AB%AF%E3%80%80&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1&lr=lang_ja&inlang=ja]
教団はそのような主張をする者を名誉毀損などで訴え、勝訴し、謝罪文を書かせたりしてきた。[http://www.chojin.com/ronsetsu/chiwake.htm]しかし、「血分け」の存在を肯定する信者たちの証言も根強くある。また、弟子の中には「血分け」をした者もおり、教団が「血分け」をしていると見ている分派もある。また、統一教会(統一協会)に2年ほど在籍していたことのある[[鄭明析]](チョン・ミョンソク)は「[[摂理 (宗教団体)|摂理]] 」(モーニングスター、JMS、MS)という教団を作り、『原理講論』と似た教理を教え、自らを「再臨主」と信じる多くの女性信者と性的関係を持ったと言われ、韓国において、[[強姦]]容疑などで国際指名手配され、逃亡していたが、2007年5月11日、中国で捜査当局に婦女暴行の容疑で逮捕された。日本の「摂理」の女性信者にも同様の被害が出ており、統一教会(統一協会)との関係が取りざたされるが、統一教会(統一協会)は自分たちの教団より、一般のキリスト教会の影響が大きいとして、教えの類似性を指摘するメデイアに再三抗議を行っている。[http://www.uc-japan.org/news/newsetc.aspx]<ref>『[[週刊文春]]』[[2006年]]6月1日号</ref>

また、文鮮明の長男の元妻の洪蘭淑の告発本によると洪蘭淑が韓鶴子に夫が女性と関係を持つことは父の浮気と同様に神の摂理であると言っていることを告げると、夫、文鮮明の場合は神の計画だが、孝進の場合は違うと答えたという。文鮮明自身も韓鶴子と同様のことを繰り返し語ったという<ref name=wagatiti>[[洪蘭淑]](著) [[林四郎]](訳)『わが父 文鮮明の正体』([[文藝春秋社]] 1998年)</ref>。

一時は文鮮明の側近の朴正華が『六マリアの悲劇 真のサタンは文鮮明だ!!』で、教祖が多くの女性信者と「血分け」をしていることを告発したが、後に出版した本でそれを否定した。彼の使った「血代転換」という言葉は『原理講論』の元になった『原理原本』に出ているという。

しかし、反対者からは、その後来日したときに、『六マリアの悲劇』で述べた事実が真実である旨証言したとか、一部の信者向けに、「血分け」は事実であるが、原理的な意味があったものだという特別の講義がなされたと言われている。[http://www1k.mesh.ne.jp/reikan/japanese/siryou/kougi/kougi.htm]<ref>全国統一協会被害者家族(編)『自立への苦悩 統一協会を脱会して』教文館 2005年</ref>
[[2005年]]6月に、韓国歴史編纂委員会発行の「史報・通巻号」に掲載された金明熙の証しの一部が機関誌『ファミリー』に載ったが、金明煕の証は実際に、“血分け“があったともとれるようなものである。

金明煕に幻に現れたイエス・キリストが自分が愛する女性と三角関係になっても、最後まで自分を愛しなさいと言ったという。それで、金明煕は夫に愛する女性が出来たとき、互いに愛し合っているならば、2人を結婚させてあげるのが愛であるというように考えるようになったという。宿で2人きりになった席で、妻のいる文鮮明が「理想相対に会いたくないですか?」などと、“露骨なみ言葉”を語ったので、「噂どおりに怪しい人だ」と思ったという。文鮮明は「人間的に考えてはいけない」、「間違えばサタンが侵犯するようなものだ」と言ったという。[http://www.geocities.jp/c0327jkn/clt/kimminhi.pdf 参照]


== 勧誘や教化 ==
== 勧誘や教化 ==
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*教団関連の会議やイベントなどには著名人が参加することが多いが、本人が教団との関連をまったく知らないで参加し、後から世間から批判を受けることがこれまでもしばしばあった。
*教団関連の会議やイベントなどには著名人が参加することが多いが、本人が教団との関連をまったく知らないで参加し、後から世間から批判を受けることがこれまでもしばしばあった。


== 赤報隊事件との関連性 ==


朝日新聞阪神支局が襲撃され小尻知博記者が散弾銃により射殺された事件の3日後の1987年5月5日 朝日新聞東京本社に事件で使われた銃弾と同一の[[薬莢]]2個を同封した脅迫状が届いた。そこには'''「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」'''<span id="t2">[[#b2|[2]]]</span>と記してあり、以前から[[朝日新聞]]を厳しく批判していた統一教会の関係者の関与も疑われ、捜査の対象になった。

ジャーナリストの[[有田芳生]]が[[赤報隊事件]]について、[[朝日ジャーナル]]が当時まだタブー視されていた[[統一教会]]批判に乗り出したことへの報復の可能性を報じており、殺害された小尻記者が統一協会の[[霊感商法]]を取材していたとも報じている。有田が特に指摘したのは教団関連企業の「[[統一産業]]」が[[韓国]]から大量狩猟用[[散弾銃]]を輸入したことがあり、信者の多くが全国各地で鉄砲店で経営している事実である。

捜査は難航し2002年には時効が成立した。[[統一協会]]と政界の癒着構造([[岸信介]]元首相、[[勝共推進議員]]など)は広く知られるところであり、この事実が捜査の進展を阻んだという説も存在する。


== その他の活動 ==
== その他の活動 ==
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[http://www1k.mesh.ne.jp/reikan/japanese/hanketu/tokyo3/tokyo2.htm]
[http://www1k.mesh.ne.jp/reikan/japanese/hanketu/tokyo3/tokyo2.htm]


==== 婚姻の無効性 ====

* ([[1993年]]10月7日 福岡地裁で、統一教会(統一協会)の合同結婚式に参加し、教会の指示により婚姻届をした日本人女性が婚姻意思の不存在を理由とした日本人男性との[[婚姻の無効]]の訴えが認められる。信者の福岡高裁への控訴・最高裁への上告共に棄却。[[1968年]]4月25日。婚姻届をした後に脱会した元信者による婚姻無効の確認を求める裁判は、 [[1999年]]4月時点で、約50件程がその主張通り認められている。


==== 強制改宗をめぐる記事の信憑性 ====
==== 強制改宗をめぐる記事の信憑性 ====

2007年9月6日 (木) 08:02時点における版

世界基督教統一神霊協会(せかいきりすときょうとういつしんれいきょうかい)は、韓国発祥のキリスト教新宗教団体。一般に、統一教会(とういつきょうかい)または統一協会(とういつきょうかい)との名前で知られる。ただし一般のキリスト教会はキリスト教の一教派とは認めておらず、異端としている。詳細は教義の節を参照。

長老派キリスト教徒であり、抗日活動家でもあった文鮮明により、1954年5月1日韓国ソウルで創設された。世界本部はニューヨーク(かつては韓国のソウル)にあり、世界193か国に支部(協会)がある。

韓国では1997年4月に、名称を「世界平和統一家庭連合」に変更した。韓国ではこれまで「統一教(トンイルギョ)」と呼ばれてきた。日本では、1959年10月2日に設立され、1964年7月15日に宗教法人として認可された。現在の日本の本部は渋谷松涛にあり、公認教会数は日本全国で103(2006年8月現在 )ある[1]

2006年現在、日本の教会長は大塚克己(おおつか かつみ)。教団の活動は「統一運動」または「原理運動」とも呼ばれる。

統一教会
各種表記
ハングル 통일교회
漢字 統一敎會
発音 トンイルギョフェ
日本語読み: とういつきょうかい
ローマ字 Tongil Gyohoe
英語: Unification Church
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教団の歴史については、世界基督教統一神霊協会の年表を参照。

略称

略称は「統一教会」と「統一協会」の2通りがあるが、教団側は前者を、反教団側は後者を使う傾向がある。

しかし、教団側も過去には「協会」の略称を使っていた時期がある。これは同教団が『超宗教的団体であって単なる一宗教ではない』と自らを位置づけていることによる。逆に当時は、批判者も含めて教団の部外者が「教会」と記述する例が多かった。

しかしその後、教団側での略称は「統一教会」(英名 Unification Church)として定着していった。これに対し反教団側は『世間に教団を普通のキリスト教の一教派と見せかけるために、意図的に「統一教会」と名乗るようになったのではないか』との見方から、それに対抗して「統一協会」の呼称を使う者が多くなった。

本記事においては、正式に略称を示す場合は「統一教会(統一協会)」と表記し、それ以外は単に「教団」とした。

概略

統一教会(統一協会)」の教祖、文鮮明イエス・キリストからの御旨を果たす使命を託されたという。すべての宗教の中心であるキリスト教徒が自分を再臨キリストメシア)として受け入れれば、7年間で地上天国が完成したが、それが果たせなかったので、その代わりに設立したのが「統一教会(統一協会)」だとする。

そのために、教団の正式名称である「世界基督教統一神霊協会」はキリスト教の統一を目指すという意味が込められている。

しかし、韓国では教団設立から43年目にして、「世界平和統一家庭連合」という宗教色のない名称に変更した。(日本の統一教会(統一協会)も名称変更を望んでいるが文化庁は未だ変更を認めていない)[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。しかし、教団自体は国内のほとんどのキリスト教会からは依然として異端とみなされており、名称変更に関しては、「正体を隠して活動するためだ」といった批判もある。

教団の目的はの理想とする地上天国を実現することである。そのために、全宗教・思想の統一を初め、政治経済文化言語等、様々な分野に向けて活動を展開している。

言語に関しては、メシアであり、全人類の真の父母である文鮮明が話す韓国語が未来において世界共通語になるべきだとされており、信者は韓国語をマスターすることが奨励されている。

教団は宗教活動以外に、多国籍企業を上回るほどの、実に幅広い事業を手がけ、多くの関連企業や関連団体を持つ。それらの資金は「日本には“母の国”として、韓国を初め世界に経済的貢献をすべき責任がある」という教えに従う日本の信者の献金や経済活動に負うところが大きい。しかし、これらの企業や団体は教団との関連を注意深く隠したり、否認することが多いので、社会的評判の悪さを隠して活動するための偽装団体だという批判がある。

教団は草創期から社会との摩擦が絶えず、韓国では、「洗脳している」、「家庭を破壊する」、「“血分け”をしている」と言われたりして世間を騒がせた。

日本においても、信者が学業や職業を捨てて、教会活動に献身するため、「親泣かせ原理運動」などと呼ばれ、家庭を破壊する団体という社会的批判を浴び、反対運動をする父母の会までできた。

また、一部の親族が教団から子供を取り戻すために、キリスト教の牧師や精神科医師などの相談をあおぎ、ホテルや病院などの施設に長期間監禁して子供を説得すること(「デプログラミング(脱洗脳)」)が頻発した。これを教団側は、特定の牧師や医師が積極的に関与し、監禁の方法などを指導していることから「信者に対する拉致監禁・強制改宗」であり、「信教の自由」を犯す人権問題だと非難し、訴訟も起している。(詳細は「教団をめぐる裁判」の節を参照)

1970年代からは、文鮮明はアメリカに居を構えて、伝道と経済活動を活発に行い、政治的には共和党保守新聞ワシントン・タイムズ』などのマスメデイアで一貫してバックアップし、政界を初め、各界との関係を深めてきたが、多くの反対も受け、文鮮明は脱税の罪で、1年余りの懲役刑を受けるということも起こった。[2]

1980年代には日本において、(キリスト教を標榜しながら)多宝塔などを先祖の因縁話などを使って法外な値段で売る、いわゆる「霊感商法」による被害が社会問題となり、国会でも、その取締りを求める質疑が幾度もなされた。この霊感商法の最盛期には一時は月に100億円を韓国に送金していたという。

また文鮮明の長年の悲願である朝鮮半島の「南北統一」へ向けて、民団朝鮮総連など、在日コリアンへの働きかけも行ってきた。

また、教祖が何代も前の先祖の因縁などを見抜いてカップルを決める「合同結婚式」はこの教団独自のものであり、世界平和の基礎となる理想家庭を創ることを目的として、国際カップルを含む多くのカップルを結びつけてきたが、多くの家庭問題が起こって来たことへの批判もある。また、元信者によって、献金や勧誘や合同結婚式における違法性を訴える民事訴訟が起され、統一教会(統一協会)自体に使用者責任があるとされ、損害賠償を命じた判決が出ている。 1990年代に入ってからは、アメリカでの入獄のため、日本を初め文鮮明が入国できない国での運動を進めるために、妻の韓鶴子(ハン・ハクジャ)が表舞台に出るようになり、世界各地で講演を行っている。

この頃から、献身者の制度が解消され、それぞれが、故郷に戻って、定職につき、親族を伝道するように方針転換がなされた。

1991年の文鮮明の訪朝後は北朝鮮の国営ホテルの経営を任されるなど、北朝鮮との関係が深まったため、警察公安からも注視され、1994年からは日本政府の監視対象になっている。

1997年の韓国の経済危機のあおりを受けて、韓国の統一グループの企業の多くが倒産したり、経営が危うくなった。 この頃から、日本の信者に対し、いろいろな名目での多額の献金要請がしばしばなされるようになった。

また南米に地上天国のモデルを作るとして、韓国を中心にするこれまでの方針を転換し、ブラジルのジャルジンに信徒たちのための集団村を建て、夫婦で参加する修練会を行ったり、南米各地に女性宣教師を送って活動した。

また、文鮮明が再臨主であることを主張する本を出したり、霊界の宗教者や政治家達が文鮮明をメシアと崇めているという「霊界通信」本を続々と出している。

2004年からは「人類の家族的な統一にはモンゴル蒙古斑族)が重要な役割を果たす」として、モンゴルに関して運動を進めている。近年は韓国のリゾート地買収に力を入れているほか、2006年には韓国で「本殿聖地」という王宮を建てた。学校、病院、老人ホームなどが揃うこの地域一帯に、宗教と人種を超越した『平和村』を作る計画だという。 文鮮明は高齢になったこともあって、アメリカから韓国に戻り、公の場に出るのは控えてゆくという。

教団は世界各国に進出しているが、日本の信者が最も多いと思われる。教団に否定的なマスコミ報道や度重なる多額の献金要求、文鮮明の実の娘や嫁などが文鮮明ファミリーのスキャンダルをマスコミで告発した影響もあって、信者数は減少したといわれる。また、教祖存命中にもかかわらず、分派の活動が盛んになり、教団は対策に力を入れている。

統一教会(統一協会)は設立以来50年以上、世界各地で活動してきたが、依然として社会的には洗脳(マインド・コントロール)を行うカルト宗教と見られることが多い。フランスの「反セクト法」(2001年6月制定)を初めとして、ヨーロッパではセクトカルト)による人権侵害を規制する対策が進んだが、それは1980年代に、EC議会が、頻発する統一教会(統一協会)の問題の対策に関する決議にその端緒を発している。[3]

しかし、1960年代冷戦時代にあって、北朝鮮の南侵に危機感を覚える韓国、ソ連の脅威と対峙するアメリカ、安保闘争のような社会的混乱を押さえ込もうとする日本になどにおいては、共産主義対策は切実な問題であった。そのような時代に、教団は韓国と日本で「国際勝共連合」という政治団体を設立し、それぞれの政府が推進する反共運動に協力して来たため、世間での強い批判がある一方、韓国、日本、アメリカにおいて、それぞれの与党を初めとした保守勢力との関係を築いてきており、教団関連の団体に著名な政治家や学者や宗教家などが参加したり、協力したりすることも多い。

文鮮明の後継者は、本来の候補であった長男の文孝進(ムン・ヒョウジン)が教団の教えにもとる様々な不祥事を起こしたため、教団の青年団体「World CARP」(世界大学原理研究会)の会長などを務める三男の文顕進(ムン・ヒョンジン)が先頭になり、他の息子たちが、芸術・政治・宗教・経済など様々な分野に分かれて引き継ぐ予定である。

信徒数

2006年現在、教団は「世界 190余ヶ国に宣教師を送り、150万名の信者がいる」としている。 過去の年代における信徒数については、(1995年)12月31日現在の文化庁統計によれば、日本の信徒数は47万7000人。

教団の元広報局長であった副島嘉和1984年の告発手記[4]によれば、「日本に8000人、米国と韓国にそれぞれ2000人、ヨーロッパ全体で2百数10人」と言われ、浅見定雄1987年の著書では「多めに見て日本が数万、米国と韓国が2000から5000、ヨーロッパ全体で1000そこそこ」としている。[5]

教典

外部からも信者からも、『聖書』よりもはるかに頻繁に使われる『原理講論』が経典と思われがちだが、教団は公式的には、キリスト教会で用いる旧・新約聖書を教典とし、『原理講論』(著者は世界基督教統一神霊協会)を「教理解説書」としている。

文鮮明教祖の教えを劉孝元という弟子が理論的に編集した『原理講論』は文鮮明が若い頃に学んだ金百文の表した「基督教原理」と用語や構成が似ているので、それを盗作したのではないかという指摘があるが、教団は内容が違うことに加え、執筆年代からしても盗作はあり得ないと否定している。また、以前から『原理講論』の記述や内容に間違いや矛盾があると反対者から指摘があったが、近年、その教えを独自に解釈した分派などが、いくつか出現してからは、対策として、『原理講論』に書いてある通り以外の講義はしてはならないと、教祖直々の通達があった。

そんな中で2001年からは教祖自身の説教を集めた『天聖経』を“天の聖書”として最重要視すべきとした。(聖経とは朝鮮語で「聖書」を表す)これにより、『原理講論』よりも文鮮明の直接語った言葉が最優位とする立場を鮮明にした。また、2003年6月9日には、そのような分派活動を防ぐために、み言葉の出版、翻訳、および氏名・写真の使用等に関する諸権利を韓国の教団(韓国世界平和統一家庭連合)に授権・委任した。

教義

教団はキリスト教を自称するが、その教義は伝統的なキリスト教とは重要な部分で異なっている。そのため、一般的なキリスト教会にとって共通の正統信仰の基本となっている基本信条(世界信条)とは相容れない。カトリックや東方正教会エホバの証人モルモン教異端であると宣言しているが、統一教会(統一協会)に対しては異端ですらない、非キリスト教である旨宣言している。

教団の教義は「統一原理」と呼ばれ、神が世界を創造された目的や法則を述べた「創造原理」、人間の罪の起源を説いた「堕落論」、本来、神が創造されようとした世界を再建するための原理を説いた「復帰原理」の3部からなり、聖書では比喩や象徴で表されていた真理を明らかにしたものとされる。統一原理の詳細は『原理講論』という本にまとめられているが「(原理講論の内容は)その真理の一部分であり、今までその弟子たちが、あるいは聞き、あるいは見た範囲のものを収録したにすぎない。」との記載がある。

宗教的な「統一原理」を哲学的に体系づけたものは「統一思想」と呼ばれる。また、共産主義のとの理論闘争のため、その間違いや矛盾を指摘したものは「勝共理論」と呼ばれる。1980年代後半からは、右翼保守)も左翼共産主義)も神の愛によって包含するとする“頭翼思想”(「神主義」(Godism) とも呼ぶ)を唱えた。

「統一原理」は朝鮮半島地域の民間信仰である陰陽道との習合がしばしば指摘されるが、既存のキリスト教神学との最も顕著な差異は、主に堕罪論(堕落論)、救済論(復帰原理)、キリスト論にある。

キリスト教では、アダムとイブが蛇(= サタン)に唆されて「善悪の知識の木」(教団の教典では「善悪知るの木」と表記)の実を食べて、エデンの園を追われたという創世記失楽園物語を、信仰的寓話とするか史実と主張するかはともかく、文字通りに神の命令に背いたことが罪の起源だと解釈している。

対して教団では、「善悪を知る木」をエバの象徴と解し、蛇の誘惑によってその実を食べた物語は、サタンこと天使長ルーシェルとエバが不倫なる霊的性関係を結んだ事(霊的堕落)の比喩であり、その実をアダムにも分け与えたことを、アダムとの時ならぬ肉的性関係を結んだ事(肉的堕落)の比喩であるとし、そのように聖書に暗示されている霊的堕落と肉的堕落による血統的な罪こそが人間の罪の根源(罪の根)であるとしている。したがって人類の罪の根源がそのような血統的な問題であるがゆえに、人類の父母としてこられるメシヤによってしか罪の根源の問題は解決しない、ということになる。

文鮮明の妻である韓鶴子の母、洪順愛も「原理を学んでみると、聖主教団で聞いていた内容や、腹中教で聞いていた内容と、あまりにも似ていると思いました」と語ったが、このような教義は文鮮明のオリジナルではなく、彼が若い頃通った教会や修道院や平壌で接した「混淫派」、「霊体交換派」と呼ばれる神霊集団の影響だという指摘がある。[1]

一般にキリスト教では、ナザレのイエス十字架の死と復活によって救済を完遂した救世主(メシア= キリスト)にして「子なる神」として信仰の対象にしている(三位一体)。また、この世の終わりにはイエス自身が再臨するとしている。

対して教団では、十字架による救済は神の本来の予定ではなく、用意されたイスラエル選民が不信したためにやむなく行われた摂理であると説く。十字架の摂理によりイエスは自ら十字架に向かい壮絶な死を遂げた後、霊的に復活し、霊的な真の父母として「霊的救い」の道をひらいたのであるがイエスは既に肉体を失ってしまっために地上においては救いを完成しえなかった。パウロが「肢体(肉体)に存在する罪の法則の中にわれわれを虜にしているのをみる。」と慨嘆したのはこのことである。本来はイエスは十字架で死ぬべきではなく、生きて地上で真の母を妻に迎えて結婚し、肉体をもった実体の真の父母となり、オリブの枝を接木するようにすべての人類を接木して霊肉ともに救われる道をひらくべきであった。イエスはイスラエル選民の不信により本来的使命を成せなかったために、再臨が必要になり、再臨主は「霊肉ともの救済」を完成させなければいけない。聖書に記載されているゲッセマネでのイエスの祈祷の内容をみれば十字架の摂理が神の本来の予定ではなく、他に方法がないためにやむなくいかれた道であるということがわかる。以上が教団の説く内容である。

また、教団関連の政治団体である「国際勝共連合」が大東亜戦争を肯定的に評価したり、憲法9条の改正や核武装を訴える右寄りの主張とは裏腹に、教団自体は、過去の日本の朝鮮半島中国東南アジア諸国に対する統治を侵略行為・戦争犯罪とし、その時代に日本は反民主主義的な全体主義によってドイツ、イタリアと結託し、サタンの側に立って、民主主義によって結託した天の側の米、英、仏と戦ったとしている(『原理講論』P546)。特に、韓国に対しては、歴史的に侵略、迫害して来たことを国家的に償わなければならないという。中でも、再臨のキリストのために準備されていた韓国の乙女達を日本が従軍慰安婦として蹂躙したため、その悪霊が日本の信者に無数に取り憑いているため、その怨みを解かないといけないと言われる。このため日本の信者は保守的でありながら左翼のように戦争責任を告白することが多く、一般の保守派の人々とは違いがあるが、そのことは表面上伏せられている。実際、当初、日本語版の『原理講論』の「再臨論」には韓国版にはある韓国中心主義と天皇家批判のくだりは訳出されていなかった。そのことを日本共産党から批判され、2年以上経った1981年度版からようやく載せるようになった。[5]

この教義が浸透している為、信徒は共産党と、“系列”と看做した団体を徹底的に攻撃する。

「血分け」に関する論争

教団の救いに関する教えの核心はメシアによる「血統転換」である。「血統転換」とは人類始祖の堕落により、サタンの血統を受け継いだ人類が神の血統に接ぎ木されることを言う。

イエス・キリストが無原罪の神の血統の息子として生まれた理由を、母マリアが婚約者のヨセフを裏切り、親族である大祭司長のザカリヤと性的関係を持つことにより、血統転換がなされたとして説明しているが、文鮮明自身のメシアとしての無原罪性の根拠については今日まで語られたことはない。

文鮮明が女性信者と「血統転換」の実践としての性的な儀式である「血分け」(ピガルム)をしていると草創期から言われて来た。

それは文鮮明が関わった、李龍道(イ・ヨンド)、白南柱金聖道黄国柱、金百文などの「混淫派」、「霊体交換派」などと呼ばれる韓国独自のキリスト教の影響を受けたと見られている。 [2] 教団はそのような主張をする者を名誉毀損などで訴え、勝訴し、謝罪文を書かせたりしてきた。[3]しかし、「血分け」の存在を肯定する信者たちの証言も根強くある。また、弟子の中には「血分け」をした者もおり、教団が「血分け」をしていると見ている分派もある。また、統一教会(統一協会)に2年ほど在籍していたことのある鄭明析(チョン・ミョンソク)は「摂理 」(モーニングスター、JMS、MS)という教団を作り、『原理講論』と似た教理を教え、自らを「再臨主」と信じる多くの女性信者と性的関係を持ったと言われ、韓国において、強姦容疑などで国際指名手配され、逃亡していたが、2007年5月11日、中国で捜査当局に婦女暴行の容疑で逮捕された。日本の「摂理」の女性信者にも同様の被害が出ており、統一教会(統一協会)との関係が取りざたされるが、統一教会(統一協会)は自分たちの教団より、一般のキリスト教会の影響が大きいとして、教えの類似性を指摘するメデイアに再三抗議を行っている。[4][6]

また、文鮮明の長男の元妻の洪蘭淑の告発本によると洪蘭淑が韓鶴子に夫が女性と関係を持つことは父の浮気と同様に神の摂理であると言っていることを告げると、夫、文鮮明の場合は神の計画だが、孝進の場合は違うと答えたという。文鮮明自身も韓鶴子と同様のことを繰り返し語ったという[7]

一時は文鮮明の側近の朴正華が『六マリアの悲劇 真のサタンは文鮮明だ!!』で、教祖が多くの女性信者と「血分け」をしていることを告発したが、後に出版した本でそれを否定した。彼の使った「血代転換」という言葉は『原理講論』の元になった『原理原本』に出ているという。

しかし、反対者からは、その後来日したときに、『六マリアの悲劇』で述べた事実が真実である旨証言したとか、一部の信者向けに、「血分け」は事実であるが、原理的な意味があったものだという特別の講義がなされたと言われている。[5][8] 2005年6月に、韓国歴史編纂委員会発行の「史報・通巻号」に掲載された金明熙の証しの一部が機関誌『ファミリー』に載ったが、金明煕の証は実際に、“血分け“があったともとれるようなものである。

金明煕に幻に現れたイエス・キリストが自分が愛する女性と三角関係になっても、最後まで自分を愛しなさいと言ったという。それで、金明煕は夫に愛する女性が出来たとき、互いに愛し合っているならば、2人を結婚させてあげるのが愛であるというように考えるようになったという。宿で2人きりになった席で、妻のいる文鮮明が「理想相対に会いたくないですか?」などと、“露骨なみ言葉”を語ったので、「噂どおりに怪しい人だ」と思ったという。文鮮明は「人間的に考えてはいけない」、「間違えばサタンが侵犯するようなものだ」と言ったという。参照

勧誘や教化

勧誘方法

草創期は街頭で黒板講義などをして、教団名を出して伝道していた。 また、印鑑や壺や多宝塔などの霊感商法を切っ掛けに伝道される人も多かったが、世間での評判が悪くなった1982年頃から、教団名を隠した伝道方法を取るようになった。この頃から、自己啓発のビデオセンターという体裁での伝道方法を取るようになった。街頭で生活意識のアンケートなどを切っ掛けに、ビデオセンターに連れて行く。相当教義を受け入れるようになるまでは宗教であることも、統一教会(統一協会)であることも隠し、聞いても完全に否認する。また、ここに通っていること自体を誰にも話さないように口止めさせられる。

ビデオセンターでは最初は、自己犠牲を賞賛するものや、宗教に関連ある作品などで、「情操教育」を行なう。(「情操教育」というよりマインドコントロールの下地作りであるとの指摘もある)。

そして、教団の名前は出さないが、シリーズ化された「統一原理」のビデオ講義を試聴させる。そうする中で、無料の食事を提供したり世間話をしたりして、来訪者との親近感を持とうとする。これは、「来なければいけない」という意識を芽生えさせ、そこに継続して通い続けるように心理的に束縛する為とされている。

ある程度学んだ段階で、合宿形式の修練会に参加させる。それは一日間の修練会(ワンデイ)と3日間の修練会(スリーデイズ)か、2日間の修練会(ツーデイズ)と4日間の修練会(フォーデイ)など、2回に分けて参加させることが多い。1回目の修練会では「再臨のメシア」が来るという話までで、2回目の修練会の直前または最後に、その「再臨のメシア」]が文鮮明であると明かすという方法をとることが多い。かつては7日間の修練会(セブンデイズ)を行い、その最終日には一人一人、献身する誓いを立てさせられたという。修練会の期間中は、スタッフや参加者同士との会話以外、基本的には外部と連絡させないようにしている。それらについて反対者からは、洗脳しやすくするために軟禁状態にしているとか、教団が最初は正体を明かさず、こういった段階的な勧誘方法を採っているのは、教団自身が反社会的なことをやっていることを自覚しているからだという批判がある。

修練会の後は、ホーレンソウ(報告・連絡・相談)や、「為に生きる」訓練をさせ、祈りを始めさせる「ライフトレーニング」や、住み込みの教義研修などを行う「新生トレーニング」、教団の教義を伝道や経済活動で実践学習していく「実践トレーニング」などのプロセスを経て教化する体制になっている。

教団は、経済活動の実践が困難な身体の不自由な者や病人などは伝道の対象からはずすようにと指示していた。この事実が教団の違法性を問う裁判で、勧誘の目的は献金や無償での物品販売活動等をさせ、経済的利益を上げることを目的としており、宗教の本来の目的から逸脱しているとして、勧誘・教化行為が違法であるという判断の材料になった。(平成14年(2002年)10月28日 新潟地方裁判所 )

教団の社会的評判が悪くなってからは、キリスト教を自認する教団でありながら、日本人に浸透しやすい仏教を利用する戦略で、文鮮明を信奉するようになった川瀬カヨの率いていた弘法大師を奉ずる教団を、弥勒を奉ずる天地正教という宗教法人に鞍替えし、、その団体を通じて統一教会(統一協会)につなげようとしてきた。

「霊妙慈経」というお経は、『原理講論』を要約したような内容であり、その解説書では随所に「再臨のメシア」という言葉が出てくる。教えを深く受け入れた信者に対して、文鮮明夫妻を弥勒の化身として紹介するようにしていた。

勧誘の窓口

  • 占い : 「霊感商法」で壷などを買わせるきっかけも、最初は手相や姓名判断などの占いであった。最近でも、繁華街の街頭やターミナル駅のコンコースなどで「手相占い」などをきっかけに水晶玉や数珠や、印鑑などを買わせ、上記の「段階的な勧誘方法」の手順を踏んで勧誘したりしている。一時には日本テレビなどの報道が教団の行う「手相占い」を報道したために、一時は活動は控えめになっていたが、近年、再び「手相占い」を装った勧誘を活発化させている。運勢鑑定を無料でしますという内容のはがきを各戸の郵便受けに入れて誘うことも多い。最近は風水を通じての勧誘に力を入れている。
  • ボランテイア : 近年はNGONPO法人などのボランティア団体をいくつも作って、「純潔運動」や「家庭再建運動」などを切っ掛けに伝道を目指している。また「世界平和のための婦人たちの連合」や「世界平和女性連合」という女性向けの団体を立ち上げ、女性への浸透を図っている。
  • 展示会 : 宝石や毛皮、絵画、着物などの展示会をきっかけに
  • 整体やエステ :
  • 純潔運動

マインドコントロール

桜田淳子らと共に合同結婚式に参加した翌年の1993年山崎浩子が、統一教会(統一協会)からの脱会記者会見で「わたしはマインドコントロールされていました。」と衝撃の告白をし、同日、元信者であったスティーヴン・ハッサンの書いた「マインドコントロールの恐怖」が発売されてベストセラーになったことから、日本でも「マインドコントロール」という言葉が広く知られることになった。従来の洗脳は具体的な物理的手段を用いた強制的なものだが、マインドコントロールは物理的手段を用いないので、本人が気づかないうちに取り込まれてしまうというカルトなどによる巧妙な手法を認識される概念として登場した。教団も信者にマインドコントロールや洗脳を行なっていると批判され、大きく報道もされた。

これに対し教団側は、「マインドコントロール」という理論は、もともとアメリカで宗教運動から信者を強制的にやめさせるための理論として出現したものであり、非科学的理論であり、反宗教的なイデオロギーに基づいた空論だと反駁している。(増田義彦著『「マインド・コントロール理論」に虚構』光言社 参照)

統一教会(統一協会)側は米国心理学会では「非科学的」と否定された学説であると述べているが、実際は米国心理学会はその学説自体の客観的な検証が難しいので、肯定も否定もしないで、態度を留保しただけとも言われる。

ビデオセンターに誘い込まれた者の内、献身に至る者は少なく、多くは離れていくのだから、根拠はないと教団は言うが、札幌地裁での「青春を返せ裁判」で、教団の「元教育部長」は「教義が頭に浸透してしまえば、あとはやめる者はほとんどない」という証言した。

「マインドコントロール」はカルトのみならず、自己啓発セミナーやマルチ商法まがいのビジネスなどでも使われていると言われているが、学問的には諸説があり、まだ確立された学説とはなっていない。

強制改宗“親子の話し合い”か?“信教の自由の侵害”か?

教団に入信した信者は実家や住んでいたアパートを出て、教団の施設で共同生活に入ることが多かった。親にとっては連絡がほとんど取れなくなり、会えなくもなる。

子供は無償で教団の活動に奉仕する献身者になるために、学校を辞めたり、就職しないようになったり、勤めていた会社を辞めたりする。その際に、教団に勧められて、貯金を下ろしたり、保険を解約したりして、財産をすべて献金したりもする。

子供は街頭や個別訪問で販売活動に励む。場合によれば、キャラバン・カーに寝泊りしながら、全国を回ったりしている。福祉を装った募金活動や販売活動や詐欺的な「霊感商法」を行っていることを親が知る。

衣食住には困らないが、毎月1万5000円の小遣いだけで、給与はなく、保険や年金もかけていないことなどを知る。献身者でなくても、銀行やサラ金でお金を借り、多額の献金をしたり、親に無心をしたりする。中には教団の指導によって、まったくウソの理由を作り、緊急な入り用があると無心することもある。また、突然、教祖の指名で見知らぬ人と結婚をすると言い出す。(国際結婚の場合もある)また、海外宣教として、何ヶ月も外国へ行くこともあり、子供たちを夫や親に預けて、旅立った者も多くいた。

「親の背後にはサタンがいる」とか「話し合うこと自体が罪だ」などと指導されているので親の話にもまったく聞く耳を持たなくなっているわが子を見るとき、親は大きな不安を感じるようになる。

教団は信者を実家に帰らせることはほとんど許さなかったので、親はなんとかして、子供と話し合いの場を持とうとし、中には実力行使で連れ戻し、監禁してでも話し合いの場を作って奪還しようとする者もいた。教団は比較的屈強な男性信者をそのような時の対策に当たらせていた他、そのような親がいる信者に対しては、親に居場所を知られないために、信者の中でも偽名を使わせたりもした。

キリスト教の牧師の中で、そのような親たちの相談に乗る者がおり、監禁が可能なように改装された実家やホテルやマンションの一室での話し合いの場で、それらの牧師が『聖書』を用いて教団の教えの間違いや矛盾を指摘したり、教団の隠している情報を提供したりして協力した。

教団はそれらの牧師が強制的に改宗させるのは「信教の自由」を侵害することであり、信者本人の意思を無視して、連れ去るのは“拉致”であり、脱会を決意するまで、“監禁”していると非難し、批判本を出したり、刑事告訴したりしたが、警察が取り上げることはなかった。そのため、1999年1月以降、信者に自らの親や協力している牧師を民事訴訟で訴えるを裁判を起こさせるようになった。(「教団をめぐる裁判」を参照)

1999年9月9日の米国務省の人権白書の中で「統一教会信者に対する拉致監禁を日本の警察が取り締まらないのは人権侵害である」という指摘がなされた。

2000年4月20日の国会質疑において田中節夫・警察庁長官(当時)が「(統一教会信者に対する拉致監禁事件について)たとえ親族間の問題であっても、違法行為は厳しく取り締まる」旨の発言をした。これらは統一教会(統一協会)を初めとして、カルトとみなされて、社会的反対を受ける教団らの政府への働きかけの成果と見られる。

献金・経済活動

教団には地上天国を実現するために“すべてのものを神に返す”という「万物復帰」という教えがある。特に日本は「エバ国家」、「母の国」として、夫である「アダム国家」の韓国を初め、子供たちである世界の国々に経済的貢献をする責任があるとされている。信者は、自分の財産だけでなく、すべて人の財産を神の側に捧げることが救いの条件になると教えられるので、そのためならば、人をだますことも、この世的には違法であっても、天的には善になると指導されており(=確信犯)、これが様々な反社会的な問題を起してきた。 国会でも「法的な目から見た場合には、これは旅行ビザでも違うビザをもって来てそれは献金活動とか商売とかそれはできないようになっておる。しかし、これは法的にひっかかっても、アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法にはひっかからない。」と講演会で発言した文鮮明を、福田赳夫を初めとした国会議員が賞賛し、協力することには問題であると国会でも追及された。(横山利秋議員の発言[9]

訪問販売活動

これまで、信者たちは「万物復帰」の教えの実践として、様々な経済活動をして来た。草創期はパンの耳を食べて、リヤカーを引いて廃品回収を行っていた。また街頭や個別訪問で花、ボールペン、高麗人参、ハンカチや化学雑巾、コーヒーなど様々な物を販売したり、「北方領土返還」や障害者難民の救済などの福祉の名目で募金活動をした。また、数名で「マイクロ隊」と呼ばれる隊を組み、マイクロバスやワンボックスタイプのライトバンに寝泊りしながら、全国を募金や珍味やハンカチ等の販売で回った。

1970年代からは献身者を集団でマンション等に住みこませて、経済活動を行う「店舗」と呼ばれる拠点を全国的に作り、印鑑や高麗人参 茶(エキス)等を販売した。

無償で教団に奉仕する献身者が大多数だった頃は、委託販売形式を利用して、帳簿上は信者に給料を支払ったことにするが、実際は毎月1万ほどの小遣いだけを渡すというような方法で、組織的な脱税ともみなされかねないことを行ってきた。(「[6]」「甲第六号証 資料Iハッピーワールド販売促進資料」参照)「店舗」

  • 蕩減(とうげん)商品

教団では日本の朝鮮統治時代の罪を蕩減(とうげん、清算の意)するためとして、韓国の教団関連企業の商品を日本の「ハッピーワールド」を通して、需要や売れ行きに関係なく、一定数の商品を強制的に仕入れさせてきており、これを「蕩減商品」と呼んだ。蕩減商品には、大理石壷、多宝塔、高麗人参茶(エキス)、「メッコール」等の清涼飲料水や、 工作機械等がある。

霊感商法

1980年代初めから、占いなどを切っ掛けに、ゲストを「霊場」と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が聞き出した本人や家族の不幸の原因を先祖の因縁話を使って説明し、先祖が救われるとか、このままでは不幸なるなどと不安を煽り、法外な値段で壷、多宝塔などを買わせてきた。この詐欺的な商法を「しんぶん赤旗」が「霊感商法」と名づけ、マスコミ等で批判を浴びた。 国民生活センターや各地の消費生活センター等に多くの苦情が寄せられ、、多額の金銭的被害を生んだこの商法は大きな社会問題となった。教団の関連施設などに、警察の捜査が及び、信者は証拠書類が渡らないように、逃げ回ったという。

また「霊感商法」に関係した各地の販社は、設立後2~3年で次々と解散し、遠隔地に住所移転したり、社名を変えた。

国会でも、幾度も論議され、警察庁の刑事局保安部生活経済課長が「この種の商法というのは人の弱みといいますか、人の不安につけ込むというもので、悪質商法の中でも最も悪質なものの一つということで、全国の警察に繰り返し厳しく取り締まるように指示をしておるところでございます。」と答弁した[10]

元信者によれば、霊感商法は高麗人参を効能を謳って販売していたことが薬事法違反に問われ、販売に行き詰まっていたことと、美術品としてはあまり売れなかった韓国の大理石壺の売り上げを上げるために、教義を使って売って行こうということになったという。 [11] 教団側は信者に向けては、日本を共産主義の間接侵略から守るために国際勝共連合が推進してきたスパイ防止法制定運動を攻撃するために、共産党および社会党が「スパイ防止法」制定運動の資金源が統一教会(統一協会)であると誤認し、教会攻撃のために引き起したのが“霊感商法問題”だと説明した。[12] [13] 一方、世間に向けては「教会一切の収益事業はおこなっておらず、教会員の献金によってのみ運営されています。・・・個人の職業に対しては一切関与するものではありません。ゆえにいかなる商法とも教会は関連ありません。」と教団の関与を全面否定してきた。(同上)また、民事裁判では、「“しあわせサークル連絡協議会”という統一教会とは法律上も活動も別個である信者による組織が行ったのであって、教団は,信者がいかなる伝道活動をしているか,いかなる企業を経営し経済活動を行っているかなどについて知る立場にはない」などと主張してきた。(平成14年(2002年)10月28日 新潟地方裁判所)

『中和新聞』1996年12月15日号での「霊感商法問題に関する統一教会の見解」によれば、 販売の際に使用したセールストークは、教団の教義とは似て非なるものであり、、家系図や、手相姓名判断、四柱推命などの易学や因果応報などは仏教的な教えであり、聖書の教えを根本とする教団の教えとはないとして、教義との関連を否定したが、霊感商法販売マニアルの「ハッピーワールド販売促進資料」には壺の型は文鮮明自ら考案したの作品であり、御言を受け入れていない人達の救いのための条件物として作られたことを説明しており、教会活動の一環として霊感商法が行われていたことの証拠となった。

1994年7月12日、日本社会党(当時)の北村哲男が「霊感商法」などの反社会的な事を行う統一教会に対する政府の考えを質す質問主意書を政府に提出したが、政府は村山富市首相名で「宗教法人法第七十九条は、宗教法人が行う公益事業以外の事業の停止命令について規定しているが、統一協会の所轄庁である東京都知事は、いわゆる霊感商法については、現在、統一協会の規則には事業として記載されておらず、また、統一協会が行っている事業であるという確証もないことから、現在のところ、同条を適用することは基本的に困難であると判断している。」と回答した。(答弁書第九号 内閣参質一二九第九号 平成6年(1994年7月12日 ) しかし、民事訴訟では霊感のない信者を“徳の高い霊能者の先生”に仕立てて売るための詳細なマニュアルがあったことや、「連絡協議会」の存在を教団が主張し始めたのは、民事訴訟が提起されから7年も経ってからであり、当時の「連絡協議会」の存在を示す実体もないと認定されたりしている。(2001年6月29日 札幌地裁

1993年平成6年)5月27日の福岡地裁の判決以来、詳細な事実認定に基づき、実質上、統一教会(統一教会)の指揮監督によって霊感商法を初めとした経済活動が組織的、計画的にに行われたとして統一教会(統一協会)の使用者責任を認定し、損害賠償を命じた判決がいくつも出ている。 東京地裁 2000年4月24日判決

霊感商法以外の問題も含めた統一教会(統一協会)の使用者責任を認めた判決]は2003年11月5日時点でも15もある。[7]

「霊感商法」が社会問題化したことで、表向きは販売を中止したが、その後も「霊石愛好会」や「天地正教」などを通じて、続けれられた。近年も、再び大理石壺を「天運石」と称し、家の中の悪霊を吸いとってくれると言って、信者に買わせ、その壷を韓国の清平(チョンピョン)修練所に持って行き、解怨してもらうように勧めている。

定着経済

「霊感商法」が社会的な問題になった頃から、信者達は着物、貴金属、絵画、毛皮、高麗人参等の商品を展示会形式で販売するようになった。これらの販売方法は「霊感商法」で行った方法を踏襲している。ゲストを連れて行った信者は商品を説明するトーカー(アドバイザー)の協力者となり、トーカーは席を外し、「タワー長」と呼ばれる指揮者にゲストの状況を報告し、指示を仰ぐ。既に教団の教えを学んでいる信者も展示会に動員され、「この〇〇を買えばメシア(文鮮明)を受け入れることになる」、「この〇〇を買えばあなたも家族も救われる」等と「霊感商法」と同様の説得をして購入させたりもした。

献金

一般のキリスト教は収入の10分の1を献金する伝統があるが、統一教会(統一協会)では1990年代頃からは10分の3献金をすべきとされた他、様々な名目での献金要請が頻繁にある。 内部用語「HG」は“早く現金”の略だと言われ、金融機関から借金して教団に献金することが奨励された。 融資の審査が通るように、架空の名目で見積書や企画書を作ったりもした。 「名義貸し」教団が返済をするので名義を貸してほしいと要請された信者が本人名義で銀行やクレジット会社から借りた金を教団に貸し付ける。返済は毎月教団がが本人に金を渡し、借入先に支払う約束をするが、利息分は本人の自己負担となったり、教団に「献金」を勧められて、結局本人が全額借金を返済することにされることもある。また、教団の必ず返済しますとの約束を信じたものの、借用書の借主は信徒会の信者(一人で、複数の信者から借金したことになっている者もいた)の名前になっていることも多く、教団が返済しないので、金融機関から厳しい支払督促を受けたり、差し押さえ(強制執行)を受けて自宅を奪われたり、自己破産を余儀なくされ、絶望して自殺をした信者が少なからずいるという。 また、教団に入信した妻が、夫の財産を無断で引き出して献金することが家庭問題を引き起こすこともあり、献金したことが家族に知られると行方をくらます事例もあるという。

  • 「救国献金」(1993年) : 110万円。韓国での16万人女性修練会に参加した女性信者が払う献金。複数回行った者はその回数分を要請された。
  • 「翼献金」(1999年) : 文鮮明が世界を巡回するための専用ジェット飛行機を購入するための献金。
  • 「総生畜献金」(2001年) : 神の怨みを解き、天国に入るための条件としての献金。160万円。
  • 「聖本」 : 3000万を献金した信者の信仰を称えるものとして、文鮮明のサインの入った説教集(既刊の説教集をまとめて収録したもの)を授けた。
  • 「天聖経」 : 430万を献金した信者の信仰を称えるものとして、文鮮明のサインの入った説教集(既刊の説教集をまとめて収録したもの)
  • 「愛天愛国献金」 : 300万円
  • 「本殿聖地建築献金」 : 韓国の清平に文鮮明一族が住む王宮を建設するための献金。140万円

これらの献金は韓国の文鮮明の元に集められるが、1988年の合同結婚式の際、信者は「白い封筒に現金50万円ほどを持たされて、韓国に運んだ」と多くの元信者が話している。[8]中には教団の関連会社の責任者からの指示で5、6人のグループで体中にガムテープでお金を巻きつけ、多い時は1億円もの現金を香港や韓国へ運んだ信者もいたという[14]。(言うまでもなく外国為替及び外国貿易法違反)

  • 文鮮明の長男の元妻である洪蘭淑は自著『わが父文鮮明の正体』で、日本人の教会幹部が、現金の詰まった紙袋をもって「イースト・ガーデン」に定期的に訪れており、その金を文鮮明は懐に入れるか、教団関連の企業の重役たちに配っていたと書いている。
  • 教団側は文鮮明夫婦だけではなく、彼らの13人の子女もまた、「統一教会内に自分たち名義の器物を一つももたない」と説明する。 子女たちに譲る財産も、また子女たちが譲り受けた財産もないと言っている。[15]
  • 文鮮明は法人税が極端に安いため高所得の外国人や外国企業のペーパーカンパニーが税金逃れに集まるので有名な、西ヨーロッパの小国リヒテンシュタイン公国に口座を持っているという[7]

合同結婚式

合同結婚式(ごうどうけっこんしき)は教団が主催する結婚式である。正式名称は国際合同祝福結婚式であるが、信者の間では「祝福」と呼ばれることが多い。教祖である文鮮明が霊感で、信者の7代前までの先祖の背景を見て、夫婦となるに相応しい男女を推薦するという。それは個人的に相性がよいということより、それぞれの先祖が怨讐関係である男女が一つになることによって遺伝的罪が清算されるのがよいという。

草創期は目の前で教祖がカップルを指名したり、信者に希望する相手を書かせたりもしていた。1988年頃から参加人数が多くなったこともあって、写真を見てカップルを決めるようになった。 教祖の推薦は断ることも許されているが、多くの信者にとって絶対的権威である文鮮明の推薦した相手を断ることは非常に難しいので、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」という憲法(24条)に反しているとの批判もある。 また、信者が親などに連れ戻されたときに、夫婦として「人身保護請求」できる権利を得るためとか、外国に入国し長期間滞在するために、夫婦としての生活の実態がないのに便宜上に入籍届けを出させることへの批判もあり、元信者が「婚姻の無効」 を求めた訴訟で、原告の訴えの多くが認められている。 信者同士が結ばれる本来の祝福の他に既婚者で祝福を受けた場合を「既成祝福」、夫婦どちらかが亡くなっている場合を「独身祝福」と言う。(現在は「霊界祝福」と言う)また、一時は伴侶に先立たれた信者を他の信者と再婚させ、夫婦として祝福する「慰労祝福」というものもあったが、文鮮明は本来の原則にはないものとして、行わなくなった。

いずれ教祖直接の祝福ができなくなることから、近年は信者自身に「祝福を行う権能」が与えられ、将来的には信者の親同士の推薦で、子供たちを結婚させる計画になっている。

1960年に第1回の合同結婚式が行われて以来、教団の発表では参加者数は回数を重ねるごとに増えているようだが、1997年以降からの祝福は参加条件が次第に緩くなった。必須条件とされた事前の7日間断食や21日修練会への参加や「霊の子」(自分が伝道した信者)を一定数持つこと、女性の年齢が33歳以上等の従来の条件が緩和、ないし撤廃され、一度破局した者の再参加や既婚者で相手の十分な了承なく一人で参加することや、教会員にならなくても、他の信仰を持ったままでの参加も許されるようになった。また参加せずとも、教義上飲むことが必須であるとされる「聖酒」を意味も知らずに飲まされたり、「聖酒」をキャンデーにしたものを舐めただけの人までカウントされたりしたこともあるので、実質上の数は不明である。

式に参加するには、渡航費用の他、「祝福(感謝)献金」と呼ばれる100万円前後の献金が義務付けられているので、反対者からは金集めのイベントだという批判がある。1992年の桜田淳子、山崎浩子、徳田敦子の3人は合同結婚式への参加表明の記者会見で、いずれも、60万円だけで、他に献金はないと答えるなど「祝福献金」の存在を隠したコメントをした。

1995年の合同結婚式では、参加者を集めるために、嫁不足に悩む韓国の農村の男性達を日本人の嫁がもらえると宣伝して、信仰もない“にわか信者”と日本人女性を多数結びつけたことで、結婚した後で、相手に愛人や子供がいることや、病気や借金があることが判明し、夫の酒、たばこ、ギャンブル、家庭内暴力に苦しみ、生活苦を訴える信者が少なからずいることはよく知られる。韓国の幹部も後にその過ちを懺悔した。

教団の機関誌、『中和新聞』1992年9月12日号では「法律的な意味で婚姻届を出した祝福家庭の離婚率は0.7 %前後です。これは社会一般の離婚率から考えると比較にならないほど低い数字であります。」と述べていたが、近年はそれらのカップルの破局も増えたと見られている。 祝福後生まれた子供は「祝福子女」あるいは「祝福二世」と呼ばれるが、既婚後に祝福を受けた両親から生まれた子供は“ヤコブ”と呼ばれ、未婚の男女が祝福を受けて生んだ子供より血統的には価値が低いとみなされていたので、両者がカップリングされることは最近まで殆どなかったが、「既成家庭」の祝福子女も次第に増加したため、2005年末の祝福では両者の祝福が行われる見通しがある。

霊界に関する教えや活動

清平修練会

教団は、1995年から、韓国京畿道の有名な観光地にある清平(チョンピョン)にある「天宙清平修錬苑」で霊的修錬会を始めた。ここでは、文鮮明の妻である韓鶴子の母、洪順愛(ホン・スネ)が再臨する(憑依のような意味)とされる金孝南(キム・ヒョウナム)という女性が修錬会を執り行う。洪順愛は文鮮明によって、娘の韓鶴子を「真の母」に育てるのに、功績があったということで、偉大な母を意味する「大母様(テモニム)」という称号を与えられた。信者にとっては、カトリックにおける「聖母マリア」のような存在である。大母様は天使を意のままに動かしたり、霊界の先祖達を地獄から連れ出すこともできる権能があるとされている。霊界では文鮮明の亡くなった次男、文興進(ムン・フンジン)が霊人達に原理講義を行うとされている。

修練所会では先祖の怨みを解く「先祖解怨式」(せんぞかいおんしき)という儀式がある。信者の先祖達の中には生前、報われないまま怨みをもって悪霊となったものがいるとされ,先祖以外でも、特に日本人信者には、過去に日本人に苦しめられた従軍慰安婦や強制連行労働者など、恨みを持った悪霊が無数に憑いていると言われ、これが不妊アトピー精神病を初め様々な病気や不幸を起こしていると言われる。(日本軍が実際に慰安婦を強制連行したか否かについては論争がある。慰安婦の記事を参照)

修練会では、悪霊を体から追い出すために、聖歌を大声で歌いながら、自分の肉体のあちらこちらを力の限りを叩く(按手であると称するが本来的なキリスト教の按手とは異なる)。そうすることで、天使が自身の身体についた悪霊を取り除くのを助けてくれるという(これを「役事」(やくじ)と言う)。

これらの悪霊に霊界で100日間の教団の教えを学ぶ修錬会を受けさたり、信者達と同様に、文鮮明による祝福を受ける「先祖祝福式」(せんぞしゅくふくしき)に参加させたり、祝福家庭としての教育のため、40日間の修錬を受ける。これらを全て通過する事によって、恨みを解かれた先祖は「絶対善霊」(ぜったいぜんれい)になり、地獄に行かないで済むようになり、地上の人間に善なる協助してくれるとされる。今日まで400回以上行われたこれらの修練会によって、2006年現在で、2800億人の「絶対善霊」が誕生したとされる。

先祖解怨式に参加して先祖を解怨するには内容によって献金する額が規定されており、最終的には210代前の先祖までを解怨すると言われている。「父方の父を辿る先祖」と「母方の父を辿る先祖」を180代前までの解怨することが望ましいとされ、このうち、1~7代前までは特に重要だとして解怨に必要な献金は70万円とされる。それ以降の献金は7代ごとに3万円。一度に解怨できるのは原則として7代だけなので、すべてを解怨するには何十回も通わないといけない。また、先祖以外の第3者(霊人)の恨みを解くことや、土地に憑依した悪霊の恨みを解くことを目的とした「特別解怨」(とくべつかいおん)もある。

金孝南(テモニム)は時折来日し、「霊界解放」や「浄火祈願祭」なる行事を執り行っている。不治の病が治る、夫婦愛が深まる、子女に恵まれるなどの口コミで、この「天宙清平修錬苑」に世界中から集められる信者の献金は新たな施設を建設する費用に充てられる。建設当初はテントやプレハブ小屋などの設備であり、いくつかの団体から反対運動があったが、国の建設許可が下りた後は、大聖殿や、老人ホームや教団や世界の指導者を育成する大学院、病院なども併設されている。

なお、今はなき「天地正教」においても先祖供養が行われた。現役信者も「先祖供養祭」などを受けるために、「天地正教」の道場に通わされた。なお、天地正教で行われた「四世代供養」は、川瀬カヨ教主が統一教会と接する以前から行っていた先祖供養をアレンジしたものだが、本来の趣旨から逸脱し、しばしば献金を集めるための手段として使われた。清平における活動に対して、反対者からは、「内部向けの霊感商法ではないか」との批判があるが、内部の信者にも同様な声があるらしく、金孝南(大母様)は「直系7代解怨がお金集めの方便だと感じる人もいるようですが、そうではないというのです。ちゃんと神様と真の御父母様の復帰のプログラムだというのです。」と信者に説明している。しかし、当初の清平では先祖供養は否定されており、日本人から効果的に献金を集める手段として、天地正教の「四世代供養」などを真似て先祖供養を取り入れた可能性が極めて高い。

霊界通信

  • 1983年に文鮮明の次男、文興進(ムン・フンジン)が亡くなってからしばらくは、興進からの霊界通信が教団の機関誌『中和新聞』にたびたび載ったほか、キリストやパウロなど、様々な霊界の住人のメッセージが伝えられた。
  • アフリカのジンバブエ共和国の一信者、クンデイオナに興進が再臨したとされ、文鮮明の公認を受けて、「コンフェション」と呼ばれる告白式を全世界的で行った。公金問題、男女問題に関する罪を信者に告白させた。その罰として、多くの信者が殴られたが、頭の骨を折った幹部の朴普煕は入院を余儀なくされた。クンデイオナは「ブラック興進様」と呼ばれていた。
  • 文鮮明の六男、栄進(ヨンジン)の死因が自殺だと報じられたときも、霊界通信で、本人がホテルのバルコニーで体操していたとき、誤って転落したと事故の状況を説明した。
  • 1998年からは、信者向けの霊界通信の本が頻繁に出版されるようになった。金英順(キム・ヨンスン)という女性信者に、亡くなった李相軒(イ・サンホン、元医者で、教団の教えを哲学的に表した「統一思想」や、共産主義の誤りを批判した「勝共理論」を確立)が現れて、霊界の様子を伝えるという体裁である。
  • 幸福の科学大川隆法は「霊界通信」の本を多数出し、教勢を伸ばしたが、統一教会(統一協会)は専ら、内部信者向けに出版されている.
  • 悪の本体である天使長ルーシェルがこれまでの罪を認め、神と「真の父母」文鮮明と人類に謝罪したという話や、霊界のイエス・キリスト、釈迦マホメット孔子の四大聖人を初め、キリスト教、儒教仏教イスラム教ヒンドゥー教の聖徒たちのみならず、マルクスレーニンスターリンヒットラーなどの独裁者たちまで、文鮮明をメシアとして受け入れ、絶対的に従って行くことを決意しているというの霊界からの報告などがなされている。
  • 2002年7月4日にはそのような、霊界のイエスや釈迦やマホメットなどの5大宗教団体の代表たちが文鮮明を再臨のメシアとして受け入れ、従って行くことを決議したという決議宣布文を『ワシントン・タイムズ』を初め主要日刊新聞に全面広告して、ハワイ、アラスカを含む全米50州の約1500万軒に直接、配逹した。

予言

『原理講論』には韓国の有名な予言書、『鄭鑑録』(チョン・カムノク)にはメシア思想があることに言及しているが、それについてはほとんど語られて来なかったが、1994年には、 南師古(ナムサゴ)の書いた韓国の別の予言書、『格庵遺録』に文氏が救世主だという予言があるとして取り上げ、高坂満津留という謎のライターによる『ついに解明された1999年』(光言社)、翌1995年には『大予言が証す救世主 奇跡の1999年』、という本を出版した。文鮮明は信者に直々に、これらを親兄弟、知人に配って自分のことを証せよと命じた。

政治活動

教団は1960年代に「勝共連合」という政治団体を組織し、韓国においては、「反共法」を制定し、北朝鮮を初めとする共産主義勢力との対決姿勢を取っていた朴正煕政権の政策に呼応する「勝共」運動を強力に行い庇護を受けたと言われる。また、各政権への資金提供やKCIA(韓国中央情報部、現・国家情報院)との関係があると言われる(教団は否定)。また、韓国でも、後に教団ナンバー2となる 朴普熈を初めとした韓国軍の高級将校が入教したりもしている。日本においても、創立から数年で、何の実績もない新興宗教の信者(西川勝)が宣教のために日本に密入国したときも、笹川良一が身元引受人になったり、日本での「勝共連合」の立ち上げにも、笹川の他、児玉誉士夫岸信介の協力を得た。

後には時の大蔵大臣福田赳夫安倍晋太郎などが来日公演に出席し、賛同を示した。これらの保守勢力の大物達が協力的だったことは色々な背後関係が考えられる。 韓国では「世界平和統一家庭堂」や「世界平和統一家庭連合」の名で、政界進出を目指してきたが、現在は 「天宙平和統一家族党」という政党をつくっているが、選挙には出ないで、国民への啓蒙活動を行うとしている。

日本では勝共推進議員とは勝共連合の趣旨に賛同する議員という意味だが、教団の教えを学ぶことを条件に、選挙で教団の支援を受けているとも言われる。実際、信者は教団の指示で、自民党議員の選挙応援に動員されて来た。特に当落すれすれの候補や組織の弱い新人などへの支援を行ってきたと言われる。

1986年の衆参ダブル選挙では、130人の“勝共推進議員”が当選したと「思想新聞」(同年7月20日号)が伝えた。又、その3年後に東京で開かれた勝共連合推進国会議員の集いには、自民・民社などの国会議員232名が参加した。 応援して来たのは自由民主党民主党がほとんどであり、総理・閣僚経験者(現職も含む)も多数。信者の中にはそのような議員の「秘書」となった者も相当数いる。霊感商法のトーカーだった阿部令子(6000双[16])は渡辺美智雄の秘書をしていた上、自らも衆議院選挙に立候補したが、3度とも落選に終わった。2000年 8月25日 保岡興治法務大臣の秘書官(1800双)が統一教会(統一協会)の信者だと写真週刊誌『フライデー』が報道したことを受けて、国会で社民党福島瑞穂議員が保岡法務大臣に質問。 保岡は秘書がかつて勝共活動で活動していたことは認めたが、現在は関係ないということを確認していると答弁した。

このような活動は、議員に恩を売ったり、弱みを握って、教団の都合のよい方向に政治を動かそうという戦略であると反対者からは見られている。 1977年に、「原理運動被害者父母の会」が当時の福田赳夫総理当てた陳情の手紙によると、統一教会(統一協会)への対策を自民党議員たちに要請した人の中には、「自民党では、この問題はタブーです」とハッキリ断られた人も居たという[17]

  • 1987年には自民党の議員達が、霊感商法をやっている教団関連企業や勝共連合から政治献金を受けていたことを新聞が報じた。 (第109回国会 法務委員会 第11号 昭和62年(1987年)9月16日 )
  • 「勝共連合」が特に力を入れてきたのは「スパイ防止法」や教科書問題、憲法・教育基本法改正問題である。
  • 中山成彬文部科学相が支部長を務める自民党宮崎県第1選挙区支部が2003年の衆院選の直前、統一教会(統一協会)の関連団体「世界平和連合」から100万円の政治献金を受け取っていた)[9]
  • 岸信介は日本統一教会(統一協会)の初期の頃から熱心に賛同しており、日本での「勝共連合」の設立にも協力したと見られている。文鮮明がアメリカで脱税により投獄されたとき、その裁判が、「宗教の自由」を侵害した不当なものであるとの意見書を提出した。[10]
  • 中曽根康弘1992年の文鮮明の来日の際に会談したり、3万組合同結婚式に祝辞を寄せた他、軽井沢で、側近の朴普熈から文鮮明の訪朝の報告を受けた。また2006年3月21日、幕張メッセで開催された、教団の関連する「天宙平和連合日本大会」にも、「文鮮明総裁の指導のもと、理想を実現することを望む」という趣旨の祝電を送った。
  • 2006年5月13日、マリンメッセ福岡で開かれた、「天宙平和連合」の「祖国郷土還元日本大会」福岡大会(合同結婚式も行われたと報じられたが教団は否定)に、安倍晋三内閣官房長官保岡興治(元法務大臣)を初めとしての各議員が祝電(安倍は肩書つきで)を打っていたことが波紋を呼んだ。この面々は安倍の唱える「再チャレンジ推進委員会」議員連盟の会員でもある。天宙平和連合の日本大会はこの後、日本各地で開かれ複数の国会議員が祝電を送っている。
  • アメリカに進出してからは、レーガンブッシュ親子など、アメリカの保守である「共和党」を『ワシントンタイムズ』でのサポートを初め、強力に応援し、関係を築いてきた。
  • フランスでは、極右政党を率いるジャン=マリー・ルペンを資金面からも人材面からも応援した。
  • ワヒド・元インドネシア大統領も教団関連のイベントに参加するなどしている。「国際的な平和活動のために、これらの著名人やいろいろな宗教界の牧師たちとの交流や対話を行なっている」と教団側は説明するが、反共産主義ということで協力しているだけとか、引退した政治家などを報酬で取り込んでいるという見方もされている。
  • 教団関連の会議やイベントなどには著名人が参加することが多いが、本人が教団との関連をまったく知らないで参加し、後から世間から批判を受けることがこれまでもしばしばあった。

赤報隊事件との関連性

朝日新聞阪神支局が襲撃され小尻知博記者が散弾銃により射殺された事件の3日後の1987年5月5日 朝日新聞東京本社に事件で使われた銃弾と同一の薬莢2個を同封した脅迫状が届いた。そこには「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」[2]と記してあり、以前から朝日新聞を厳しく批判していた統一教会の関係者の関与も疑われ、捜査の対象になった。

ジャーナリストの有田芳生赤報隊事件について、朝日ジャーナルが当時まだタブー視されていた統一教会批判に乗り出したことへの報復の可能性を報じており、殺害された小尻記者が統一協会の霊感商法を取材していたとも報じている。有田が特に指摘したのは教団関連企業の「統一産業」が韓国から大量狩猟用散弾銃を輸入したことがあり、信者の多くが全国各地で鉄砲店で経営している事実である。

捜査は難航し2002年には時効が成立した。統一協会と政界の癒着構造(岸信介元首相、勝共推進議員など)は広く知られるところであり、この事実が捜査の進展を阻んだという説も存在する。

その他の活動

  • 父母の日」(米祝日)制定 : 韓鶴子(文鮮明夫人)は1993年に「真の父母と成約時代」と題する講演を米国議会で行なったが、その日(7月28日)を記念して(教団はその日を記念してと言っているが、実際の関連性は不明である)米政府は「父母の日」という国民の祝日を定めた(1994年9月30日下院本会議可決、10月4日上院本会議可決、10月14日ビル・クリントン大統領の署名により正式法制化、米公法103-362)
  • 教科書の編集・発行」 : 韓国統一教会(統一協会)が発行した教科書(「宗教」中学用1・2・3、高校用1・2)が「教科書図書に関する規定」に合格、1995年12月29日、韓国ソウル特別市教育監により学校使用の教科書として認定された。
  • 独自のキリスト論により既成のキリスト教会における「十字架」を批判、米国・欧州など一部の地域の教会の十字架を撤去する運動を行っている。

多数の関連企業や関連団体

教団は多くの企業を擁しているので、韓国では財閥の一つとみなされ、文鮮明は事業家としてのイメージが強いという。韓国では、系列企業は「統一グループ」と呼ばれており、文鮮明の親族がそれらの企業の幹部になっていることもしばしばである。日本では一時、キリスト教と称しながら「霊石愛好会」や「天地正教」といった仏教色の強い団体までも作っていた。近年はNGONPO法人などのボランティア団体を通しての浸透を図っている。 教団に対する反対者が、教団が名前を伏せて、いろんな関連団体で活動することへの警戒感から関連団体との関係を指摘するからか、統一教会(統一協会)の公式ホームページのリンク集から、次第に関連団体の多くが載らなくなった。

銃の製造・販売

教団の草創期の1960年代には「統一産業(トンイル産業)」を設立し、銃の製造を始めた。韓国政府の許可を得て、コルト社のM-16を初め、その他の軍需品を製作し自国の守衛軍に提供して来た。

教団関連の「幸世物産」が1968年1月16日に空気散弾銃2500丁を輸入した。その後、空気散弾銃は猟具としての禁止するという法改正が行なわれ、その後になされた1万5000丁の申請は不許可になった。(第65回国会 地方行政委員会 第19号 昭和46年(1971年)3月26日)このような不審な銃の問題は国会でも度々、取り上げられた。

日本では神の摂理の一環として「銃砲店の摂理」と銘打って、全国各地で信者による銃砲店を経営した。批判者からは、教団は武装化しているのではとの疑念を生んだ。それらの中で、千葉のモデルガンショップの店長らが、モデルガンを実弾が撃てる短銃に改造して売りさばいたとして1992年に逮捕された。教団の草創期は信仰の訓練として、信者にハンティングをさせていたほか、銃砲訓練をさせており、文鮮明は有事の際は信者に銃を持たせ戦わせると講演したという。(「原理運動被害者父母の会 陳情書」1979年2月6日)文鮮明は、1976年6月14日付けの『ニューズウィーク』紙のインタビューで「韓国にあるあなたの工場が武器を作っているというのは事実ですか。」という質問に対して、「我々の機械工場は、防衛契約をしております。これは韓国において国民の義務であり、防衛に関係しない大企業はありません。契約として生産の5 % – 10 %が防衛目的のためのものです。」と答えた。文鮮明の四男、文国進(ムン・クッチン、JUSTIN MOON、韓国統一グループ理事長)はアメリカ・ニューヨーク州とマサチューセッツ州に工場を持つ「Kahr Arms」というガン・メーカーを経営する最高責任者である。銃のデザインも手掛けるという。

また長男の文孝進は離婚を巡る訴訟において、所有している55丁の銃器類のリストが法廷に提出された。

他の教団との関係

  • 教団はすべての宗教の統一を目指しており、それに向けて他の宗教や教団に対して働きかけてきた。また表の活動とは別に、「教団復帰」と言って、他の教団に信者を潜り込ませ、そのトップや幹部を自分達の教団の方針に沿うように働きかけているという元信者の証言がある。
  • 教団の草創期に、立正佼成会から多くの信者が入信したので、幹部には立正佼成会出身の者が比較的多い。立正佼成会は占いと霊能によって教勢を伸ばしたが、統一教会(統一協会)も同様の手法を使うのも、その影響も考えられる。
  • 生長の家とは70年安保闘争の時代に、互いの集会に参加したりするような関係であり、谷口雅春は「勝共連合は朝鮮の文鮮明と称する予言者を八紘一宇の世界の中心者とする運動だったので私たちは今まで協力できなかったが、(中略)日本中心の運動にすることが出来れば協力してもよいのである」と述べている。(『生長の家』1979年8月号)」
  • オウム真理教による地下鉄サリン事件などが起こる前までは、教団はオウムが関係した事件などについてオウムを擁護する記事を教団の機関誌や『世界日報』、『宗教新聞』で書いていた。「坂本堤弁護士一家殺害事件」後に教団は『信教の自由を守る会』という団体を作り、オウム擁護のビラを撒いた。またオウムへの強制捜査で、押収された光ディスクに「オウム真理教と統一教会の合致信者名簿」があり、16人のリスト中11人が統一教会(統一協会)の信者と同姓同名であったと言われ、両者の関係が一部で報じられた。(『噂の真相1995年7月2日)
  • また教団の幹部がオウムの教祖、麻原彰晃に会っており、「宗教的に立派な人だと評価していた」という信者の証言もあるという。 [18] また、オウムの重要幹部の早川紀代秀は以前、統一教会(統一協会)に所属していたという説もある。
  • しかし、オウムのサリン事件への関与が明らかになり、世間の非難が高まって以降は、一転してオウムに対して批判的になり、オウムの教義を仏教との比較から批判する本(竹内清治『オウム教義の批判と克服』光言社1997年)まで出版したりした。

教団をめぐる裁判

統一教会(統一協会)に対して起こされた裁判は1986年の初の提訴以来、 100件を越えており、このうち83件で和解。11件で統一教会(統一協会)側の責任を認める判決が最高裁で確定している。

教団勝訴の判例

人身保護請求が認められた事例(実質的勝訴)

  • 統一教会(統一協会)信者(30歳男性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で人身保護請求訴訟により解放された事例{昭和55年(1980年 )人ナ第1号、東京高裁・杉田洋一裁判長}
  • 統一教会(統一協会)信者(26歳女性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、高村正彦弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例{昭和55年(1980年)}人ナ第1号、高松高裁・越智傳裁判長}
  • 統一教会(統一協会)信者(25歳女性、小学校教員)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、上野忠義弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例{昭和56年(1981年)人第1号、宇都宮地裁・多賀谷雄一裁判長}

強制改宗の違法性

  • 2002年2月20日 統一教会(統一協会)の信者(31歳女性)に対して、信者の両親が信者を監禁、脱会を強要した事件において、「逮捕・監禁」は不法行為であり、脱会の説得に協力した牧師も連帯して責任を負うとの判決。上告はせず判決が確定した。(広島高裁・宮本定雄裁判長)

献金の正当性

  • 2003年11月27日 名古屋高裁、統一教会(統一協会)の献金の正当性を認め、原告の献金返還請求を棄却。
  • 教団の関連する「天地正教」の導師部長を勤めていた元信者が1000万円の献金について、「信者の因縁話によって畏怖して献金したもの」として、「天地正教」への貸付など、約3700万円の損害賠償を求めた事案。
  • (2001年)2月28日、名古屋地裁は「自主的に献金した」、「統一教会(統一協会)の信者等における脅迫等、違法な働きかけは認められない」として原告の訴えを退けた。1000万円という額についても「宗教活動として許された範囲を遥かに逸脱した違法なものとまでは言えない」と判断した。原告が控訴した名古屋高裁も一審判決を支持。2004年10月22日、最高裁への上告も棄却され、統一教会(統一協会)側が全面勝訴した。

教団側敗訴の判例

献金勧誘行為の違法性

  • 1993年(平成6年)5月27日、福岡地裁で、統一教会(統一協会)の「霊感商法」に対する損害賠償請求訴訟で、全国で初めて統一教会(統一協会)の関与と賠償責任を認め、3670万円の支払いを命じる判決が出た。信者らは2人の未亡人に対し、亡くなった夫に関して、先祖の因縁話で、不安を煽り、執拗に迫って高額の献金をさせたり、弥勒象等を購入させた。福岡地裁は「献金勧誘行為は、布教活動の一環として行われたものであったとしても、その目的、方法、結果において到底社会的に相当な行為であるということはできず、違法であり、民法七〇九条の不法行為に該当する」、「信者らと教団は実質的な指揮監督関係にあり、信者が献金勧誘行為が教団の教義である万物復帰の実践として理解していたことや献金がいずれも教団に帰属していることなどからみて、原告らに対して不法行為責任を負う」と判断し、教団に献金相当額と慰謝料の支払いを命じた。(判例時報1526号121頁 平成8年(1996年)2月19日福岡高裁控訴棄却 平成9年(1997年)9月18日最高裁上告棄却)
  • 元信者が、教団による違法な入信勧誘・教化行為によって損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を教団に求めた事案で、2002年10月28日、新潟地裁は「信者らもしくは信徒会の伝道・経済行為は,被告(統一教会)が経済的な利益を追求するという目的のもとになされ」、「信者らが,文鮮明の配下というべき教団の幹部らの意を受けてその指揮・命令の下に実行された結果と認められ,(中略)原告らに対する,法人としての教団自身の故意に基づく違法行為であると評価することができる。」として民法709条に基づいて,その違法行為による損害を賠償する責任を負うと判断された。[11]平成14年2002年)10月28 新潟地方裁判所 平成元年(ワ)374号、平成2年(ワ)389号、平成4年(ワ)389、平成5年(ワ)445 損害賠償請求)
  • 信者らの違法な献金勧誘行為により、原告らが損害を被ったとして、教団に対して、民法七〇九条又は七一五条に基づき損害賠償を請求した事案で、1997年4月16日、奈良地裁は教団の献金勧誘のシステムの特徴として、
  1. 「万物復帰の教えの下、個々の対象者からその保有財産の大部分を供出させ、被告全体としても多額の資金を集めることを目的とするものである」、
  2. 「対象者がある一定レベルに達成するまで、被告の万物復帰の教えはもちろんのこと、被告や文鮮明のことを秘匿あるいは明確に否定したまま、対象者の悩みに応じた因縁話等をして不安感を生じさせあるいは助長させる方法をとっている」
  3. 「各種マニュアル等により勧誘方法が全国的に共通していて、組織的に行われている」

教団への入会ないしは献金等については「入会ないしは献金等をしようとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げ、また、被告への入会ないしは献金等をさせるため、対象者を威迫して困惑させるものであり、方法として不公正なもの」と判断し、教団の献金勧誘のシステムは、「不公正な方法を用い、教化の過程を経てその批判力を衰退させて献金させるものといわざるを得ず、違法と評価するのが相当である。」として教団に原告2人に対する損害賠償を命じた。(平成9年(1997年)4月16日判決言渡 平成9年4月16日判決原本交付 裁判所書記官 平成6年(1994年)●第二〇七号 損害賠償請求事件)[12]

伝道に関する違法性 (青春を返せ裁判)

  • 元信者らが、教団又はその信者らの違法な詐欺的・脅迫的な勧誘・教化行為によって入信させられ、その後、長期間被告の献身信者として過酷な生活をさせられて信教の自由を侵害され、また、その過程で献金及び合同結婚式への参加を強要されて財産権及び婚姻の自由を侵害されたとして、不法行為(民法709条又は715条)に基づき慰謝料等の支払を求めた事案。

東京地裁は、信者らの伝道活動は、「相手方を畏怖困惑させ、それによって被告の教義からの離脱を困難にすることに主眼を置いていたもの」、「献金及び無償で物品販売活動等を行わせること及びそのような行為をする被告の信者を再生産することによって、経済的利益を上げることもその目的であった」、「(先祖の因縁や霊界等の)非科学的な超自然的な現象についての話は、科学的・論理的な検証が不可能であって、個人差はあっても、これを聞いて漠然とした不安を抱くことになる者がいるのは明らかであり、その上で自分や家族の具体的な事実と結び付けられると、恐怖を感じることは避けられない」「教義に深入りさせる方法としては、相当性を欠くものといわざるを得ない。」として「原告らに対する勧誘・教化行為は、不当な目的に基づく社会的相当性を逸脱した方法で、結果として原告らの自由意思を阻害しているものといわざるを得ず、原告らの信教の自由を侵害する違法な行為というべきである。」と判断した。また、合同結婚式への参加を勧めた行為についても、「信者の間では、合同結婚式への参加を断る自由があるという理解はなかったものと認められる。」として、「婚姻の自由を侵害する違法があるもの」とした。

損害については「過酷な経済活動や伝道活動に従事して労役の提供を余儀なくされ、さらに、献身するために勤務先の会社をやめることを余儀なくされるなど献身期間中、従前の人間関係や社会生活等を破壊された。」「文鮮明の選んだ相対者を断ると、自己や先祖の救いの道が閉ざされ、病気や怪我をしたり又は死んだりすることになるとか、死後地獄に行くことになるなどと思って苦悩し、相当の精神的苦痛を被った。」などとして、教団に対し原告の3人に対する慰謝料の支払いを命じた。被告の高裁への控訴、最高裁への上告はいずれも棄却された。(平成14年(2002年)8月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成11年(1999年)(ワ)第18400号 平成15年(2003年)5月13日口頭弁論終結)[13] (平成15年(オ)第1770号 平成15年(受)第1880号) [14]

婚姻の無効性

  • 1993年10月7日 福岡地裁で、統一教会(統一協会)の合同結婚式に参加し、教会の指示により婚姻届をした日本人女性が婚姻意思の不存在を理由とした日本人男性との婚姻の無効の訴えが認められる。信者の福岡高裁への控訴・最高裁への上告共に棄却。1968年4月25日。婚姻届をした後に脱会した元信者による婚姻無効の確認を求める裁判は、 1999年4月時点で、約50件程がその主張通り認められている。

強制改宗をめぐる記事の信憑性

  • 教団自身が敗訴した例ではないが、カルト問題の第一人者である浅見定雄東北学院大学名誉教授が宗教ジャーナリスト室生忠が、浅見を「強制説得」を指導する「全国霊感商法対策協議会」の「請負人」かつ「世話人」であると書いた記事を名誉毀損に当たるとして、記事を書いた室生とその原稿を掲載した『創』の篠田博之編集長を訴えた。

2001年12月17日、東京地裁は、「小室(室生の本名)の本件記述は、記載される個人に対する直接の取材と言う基本的ルールを無視し、これを省略して一方当事者の立場にある統一協会からの資料提供に全面依存し、その結果、事実の記載を誤るべくして誤ったものである」として金90万円の損害賠償と『創』誌への謝罪広告の掲載を命じた。2審でも浅見側が勝訴し、室生側の最高裁へ上告は棄却された。強制改宗に関する教団の主張が信憑性に問題があるプロパガンダ的なものであることが明らかになる。尚、室生の担当弁護士の一人は統一教会(統一協会)の合同結婚式(1988年の6500組)に参加した現役信者であった。[15]

  • 統一教会(統一協会)の現役信者夫婦が、日本人妻の両親と説得に関わった牧師に対し、人格権に基づき、拉致監禁、棄教強要などの差し止めと、牧師に対し約1330万円の損害賠償を求めた訴訟。

2002年3月8日 東京地裁は原告の請求を退け、牧師も両親も全面勝訴した。原告が主張した「S牧師は違法行為の共謀をした」、「原告が監禁されていることを容認した」、「説得を受けた部屋が統一教会(統一協会)信者の監禁場所として常用されていた」、「日本基督教団が統一教会(統一協会)信者を脱会させるために拉致・監禁を組織的に行っている」などがすべて否認された。S牧師が暴言的、脅迫的発言や暴行を行ったという訴えに対しては「穏当性を欠くものであったが、損害賠償請求権を発生させるほどの違法性はない」と判断した。2002年12月26日、高裁への控訴、同年6月27日、最高裁への上告は共に棄却され、被告のS牧師と両親の勝訴が確定した。

和解の事例

  • 統一教会(統一協会)の信者である夫婦が自分達を連れ去り、脱会の説得を行った親、次女、親族、牧師らの8名を被告として,自分達の意思に反する違法な拉致,監禁及び教団からの脱会の強要等の共同不法行為に基づく差止請求及び損害賠償請求を求めた事案。

2004年1月23日 横浜地裁は原告の請求を棄却した。横浜地裁は、「両親の行為がが原告の意思に反する,違法な,拉致,監禁及び統一協会からの脱会の強要とまで認めることはできない」「両親による暴行の事実があったと認めることはできない」と判断し、両親に協力した牧師の行為についても「牧師らの指示,指導があったとは言えない」「統一協会からの脱会の強要にあたらない」とし、原告の請求を棄却した。[16]

2004年8月31日、東京高裁も原告らの控訴を棄却したが、2006年3月23日、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)では「信仰の自由に干渉しないことを約束する」という内容を含んだ「法定内和解」が成立した。

    • アメリカにおいて、伝道の初期段階に教団の名前を正式に述べなかったこと(不実表示による詐欺)などについて、2人の元統一教会(統一協会)会員が被害を受けたと訴えた民事訴訟。

1審、2審が「訴訟自体が法廷を宗教問題に踏み込ませるものだ」として原告の訴えを棄却したが、カリフォルニア州最高裁は1、2審を破棄し、「たとえ宗教団体による伝道行為であっても、不実表示は伝統的な詐欺事件として扱うことができる」とし、陪審員による事実審理をするようにと差し戻した。結果的に教会と原告は和解したが、「信教の自由」があっても、伝道の方法によっては詐欺にもなり得る場合があることを示唆したものとなった.。(モルコ・リール事件 1998年10月27日 カリフォルニア最高裁)

統一教会(統一協会)をめぐる人たち

日本の歴代会長

  1. 久保木修己(くぼきおさみ、430組[16]、既成祝福)(1964年1991年9月25日)
  2. 神山威(かみやまたける、43組)(1991年 9月26日~1993年 1月6日)
  3. 藤井羑雄(ふじいみちお、777組)(1993年 1月7日~1994年4月)
  4. 小山田秀生(おやまだひでお、43組)(1994年5月~1996年5月)
  5. 桜井設雄(さくらいせつお、43組)(1995年6月7日~1996年6月25日)
  6. 石井光治(いしいみつはる、777組)(1996年6月26日~1998年3月13日)
  7. 江利川安栄(えりかわやすえ、1800組)(1998年3月14日~1999年1月13日)
  8. 大塚克己(おおつかかつみ、6000組)(1999年1月14日~2001年6月10日)
  9. 小山田秀生(おやまだひでお)(2001年6月11日~2006年8月8日)
  10. 大塚克己(おおつかかつみ)(2006年8月9日~)

現役信者

  • 桜田淳子 :元アイドル歌手女優。教団信者の姉夫婦(姉夫婦は既に脱会)の影響で、アイドル時代から入信していた。1992年に、徳田敦子・山崎浩子と共に合同結婚式に参加した。現在、3児の母である。教団のイベントや関連企業などにも用いられたりしたことで、“広告塔”になっていると批判された。桜田が所属する事務所の社長に紹介した信者が壺を売ったことや霊感商法について質問されたときに、「普通のビジネス」などと発言したことが顰蹙を買った。桜田の父(故人)は秋田父母の会「陽光会」の会長として、本間てる子と一緒に教会に対する反対運動をしていた。
  • 徳田敦子 :元バドミントン世界チャンピオン。1992年の3万組・合同結婚式に参加。相手は津谷重典氏(つや・しげのり、専修大学卒、当時教団系企業だったワコムの経理部社員)。『やっぱりこの人が一番』(光言社、1994)の著書あり。
  • ジョナサン・ウェルズ:生物学者インテリジェント・デザイン運動の指導者の一人。cf.創造科学
  • 渡辺久義:京都大学名誉教授、摂南大学教授。英文学者哲学者。統一協会の下部組織、創造デザイン学会代表。日本におけるインテリジェント・デザイン主張の第一人者。

元信者・元求道者

  • 李昌煥(イ・チャンファン) : 韓国の教団設立当時の初代会長。
  • 劉孝敏(ユー・ヒョウミン) : (三十六家庭、『原理講論』執筆者の劉孝元のいとこ)日本のテレビにも出演し統一教会(統一協会)の批判をした。
  • 金徳振(キム・トクチン) : 1950年代中頃に入教。教団の聖歌(19曲)の作曲者。教団の歌集は、彼の曲を作者不詳扱いで載せている。教団の教えを利用し、女性問題を起したことで当時の教会長である劉孝元から厳しく叱責され、教団を去ったと統一教会(統一協会)は言う。離教後、統一教会(統一協会)では「血わけ儀式」が行われていて、文鮮明自身関係を持った女性が多くいたと批判した。教団を離れた後に、警察牧師になったとも言われる。
  • 朴鍾和(パク・ジョンファ) : 草創期の弟子。文鮮明の中学の同級生。脱会した後、建築業を営む。
  • 小宮山嘉一 : 久保木修己らと共に「立正佼成会」から入信した。原理研究会を設立した教団幹部。
  • 上田利治の妻 : 野球解説者で当時は日本ハムファイターズ監督であった夫は、妻子の入信が『週刊現代』で暴露されたため、責任を感じ、娘を教団から奪回するため、優勝間違いなしと思われたほど独走していたシーズンの途中で退団した。妻は後年脱会するも、2人の娘が合同結婚式に参加、信仰を続行しており上田とその周辺を心配させていると報じられた。
  • 藤岡弘、 : 俳優。統一教会(統一協会)信者でないかと報じられたことがあったが、後に(教団関連のセミナーと多少のかかわりを持ったことはあるものの)信者ではないと判明した。しかし今なおネットには、彼を統一教会(統一協会)信者であるとする怪文書が流布している。
  • 三波春夫 : 歌手。かつては勝共連合に賛同し、積極的に応援していたが、「霊感商法」批判報道を期に離反を表明した。
  • 飯星景子 : タレント。1992年入信をめぐって失踪騒ぎを起こしたが、父親で作家の飯干晃一の強い説得で脱会。テレビでこのときのことを話したとき、「桜田さんに関しては、まず真実を分かってほしいということですね」とコメント。
  • 山崎浩子 : 新体操元選手、現インストラクタータレント。友人の誘いで入信。桜田淳子・徳田敦子と共に合同結婚式に参加し、勅使河原秀行と結ばれたが、挙式後、親族や牧師の説得を受け、脱会。「マインドコントロールされていました」という記者会見は教団に大打撃を与えた。自著「愛が偽りに終わるとき」(文藝春秋)で、それらの経緯を書いている。
  • 音無美紀子 : 女優。「神につながれば息子の病気は治る」と言われて、入教していたが、「教会に行くためには嘘をついても神は非難しません」というような教えなどに疑問を持ち、夫、村井国夫の説得を受けて脱会。[17] 村井国夫との共著、『妻の乳房 ―「乳がん」と歩いた二人の十六年』で教団との経緯を書いている。
  • 恵藤洋治 : 教団関連企業であった「ワコム」の元社長。1997年に会社の運営をめぐり、意見が対立し、脱会。1998年に除籍処分となる。
  • 仲正昌樹 現在は金沢大学教授。18歳の時から29歳まで11年半、信仰していた。 やめた理由は、人間を変えるプロセスがあまりにもプログラム化されていることに疑問を感じ,自分には合わないと考えたこと、メシアというカリスマの指導による弊害や限界を感じたことだという。 [18]
  • 早川紀代秀 : 元オウム真理教幹部。早川が所属していた「世界統一通商産業」(1992年 3月15日 設立)は統一教会(統一協会)系の企業とも言われるが、教団は入信そのものを否定している。
  • 東純一郎 : 自己啓発セミナー「加江田塾」(宮崎市)の主宰者。死体の蘇りを信じて、腎臓病の少年や乳児らに祈とうを続け死亡させた「加江田塾」ミイラ事件で、東とその妻は死体遺棄罪で「懲役7年」の実刑判決を受けた。教団は東が1986年から1989年まで教会員であったことを認めている。

内部告発

  • 副島嘉和 : 元『世界日報』の編集局長兼、教団の広報局長。777双。『世界日報』の編集方針をめぐって教団側と対立し、暴力的に追放され、教団からも除名された。副島は元営業業局長井上博明と連名で教団の内幕を暴露した「これが統一教会の秘部だ」という内部告発の手記を『文藝春秋』1984年7月号で発表した。その直前に暴漢に刺されて瀕死の重傷を負った。
  • 西川勝 : (韓国名は崔奉春または崔翔翼) : 密入国までして日本の宣教をした功労者。日本の信者にも大変慕われ、中にはこの人がメシアでないかと思う者もいたという。本人によれば、笹川良一に大変気に入られ、自らの財団(ブルーシー・アンド・グリーンランド財団)を任せようとしたという。教団の幹部が酒やゴルフに興じるのを見て、大変憤慨したという。教団が韓国の関連企業を助けるために日本のお金を送るようにと言う方針に反発し従わなかった。お金を出せば文鮮明と写真が撮れるというような教団の拝金主義などに呆れて、脱会した[19]
  • スティーブン・ハッサン : (社会心理学者)マンハッタン地区の統一教会(統一協会)の元副教会長。教団の資金集めのチームのキャプテンとしてマイクロバスを運転していたが、その事故の治療静養中に、家族による説得を受け脱会。その後、心理学を学び、『マインド・コントロールの恐怖』という本を出版。カルト教団から信者を救出する組織、「CAN」(カルト警戒網、現在はサイエントロジー含むキリスト教系、仏教系の関連団体がその名を受け継いだまったく正反対の団体となった)で活動してきた。
  • 洪蘭淑(ホン・ナンスク) : 教団の熱心な幹部信者である親によって、幼い頃から教団の教えで育てられた。父の洪性杓は文鮮明の指示で、「一和」を設立した。兄の洪珍輝も文鮮明の長女誉進(イエジン)と結婚した。洪蘭淑も文鮮明の長男、文孝進と結婚するも、夫の暴力、薬物やアルコールの濫用、女性問題などの様々な不品行に耐えかね、5人の子供を連れて文家から逃げ出し、離婚した。1998年に文家の偽善を告発する手記『わが父文鮮明の正体』(「In The Shadow of Moon」)をアメリカと日本で出版。テレビや新聞などのインタビューにも出て、文鮮明一族の実態を語った。両親も兄も離教している。
  • 文恩進(ムン・ウンジン) : 文鮮明の四女で、教団の祝福を受けたが、乗馬のコーチと再婚した。洪蘭淑と共に、アメリカのテレビに出て、教団とは決別したこと、父親に私生児がいることなどを暴露した。
  • ドナ・コリンズ : ヨーロッパの草創期の教団幹部の娘。幼い頃から文鮮明ファミリーと間近に接して来たが、文一族の贅沢ぶりや、不道徳さ、横暴さ、無慈悲な姿を見て、「こんなのがメシアではありえない」と思うようになり、教団を離れた。両親も離教している。[19]
  • 朴悛哲(パク・チュンチョル) : 1800双 31年間、教団の指導者であったが、2001年1月9日、教団を脱会し、『奪われた30年』という本を執筆し、文鮮明を告発した。3年間に渡り、韓国の日刊紙、キリスト教の新聞60余の言論機関で、教団の実体を告発した。教団から民事訴訟、刑事訴訟を起こされた。民事訴訟は勝訴。刑事訴訟は係争中。

賛同者・シンパ

  • 岸信介(元首相)
  • 安倍晋太郎(故人・衆議院議員): 岸信介の女婿。教団は自分達に賛同的であった岸信介・ 福田赳夫の流れを汲む安倍晋太郎が総理になることに期待をかけていたが、総裁の指名権を得た中曽根康弘が、意に反して竹下登を指名したことを強く非難していた。
  • 中曽根康弘(元首相)
  • 菅原喜重郎(元衆議院議員、世界平和超宗教超国家連合共同議長)
  • 松下正寿立教大学元総長、元参議院議員):「文鮮明・人と思想」(善本社1984)等の著書あり。
  • 福田信之筑波大学元学長、理論物理学者):「文鮮明師と金日成主席」(世界日報社1992)等の著書あり。
  • ロナルド・レーガン(元米大統領)
  • ジョージ・H・W・ブッシュ(元米大統領):韓鶴子の世界平和女性連合の講演で、バーバラ夫人と共に家庭の価値を訴える。バーバラ夫人は韓国の清平で金孝南から按手を受けたといわれている。
  • 金大中(元韓国大統領)
  • エマニエル・ミリンゴ(カトリック大司教): 2001年5月27日、聖職者の結婚を禁じたカトリック教会の規則を破り、統一教会(統一協会)の合同結婚式で韓国女性ソン・マリアと結婚し。反対するローマ教皇庁から説得を受け、結婚を解消し、カトリック教会に戻り、破門を免れた。2006年7月12日、ナショナルプレスクラブの記者会見で「私の妻と私は分離する事ができないし、妻は常に私と一緒に生活している」と以前の言動を翻し、同席したカトリック司祭らと共に、司祭の結婚を禁じる制度の撤廃運動を再び表明した。
  • ジョージ・スターリングス(米国キリスト教イマニ・テンプル大司教): 文鮮明を「メシヤ」、「神の人」「神そのもの」などと積極的に賞賛している。妻は統一教会(統一協会)の合同結婚式で選ばれた日本女性。統一教会(統一協会)では“大司教”の肩書きで紹介されているが、『ニューヨーク・タイムズ』によれば、スターリングスは1989年に性的不品行を自らの教区で非難され、ワシントンの大司教(ジェームス・アロイシャス・ヒッキー枢機卿)による処分を拒否し、独自にイマニテンプル教会を開く。そして自らを大司教に任命。それ以来、スターリングスは、カトリックの教義に反して、結婚を願う聖職者を受け入れることで教会を広げようとしてきたという。
  • 山谷えり子自民党参議院議員):教団の全面バックアップで国会議員に。教団の推進する、反夫婦別姓、反ジェンダーフリー運動に取り組んでいる。しばしば『世界日報』にコラムを記載。
  • 藤本成徳:アンカレッジ教会の副教会長。

関係を疑われる現役の政治家たち

日本の国会にも多数の勝共推進議員を抱える等、政界に強大な影響力を持っている。

  • 安倍晋三(内閣総理大臣):安倍晋太郎の息子。岸信介は祖父。 地方事務局の秘書が、官房長官の肩書きを使って統一教会(統一協会)の関連するイベントに祝電を送ったが、本人と教団との具体的な関わりは特に明らかになっていない。有田芳生によれば、安倍は統一教会(統一協会)がさかんに接触し、面会を求めてくるが、会わないと語ったという(「酔醒漫録」)。
  • 福田赳夫(元首相):国会で、統一教会(統一協会)や文鮮明との関係を質された際には、文鮮明の講演が自分の以前から主張してきた「協調と連帯」に近い話であったので、賛辞を述べただけで、その人となりや思想については知らないと弁明した[20]

批判者

  • 浅見定雄(東北学院大学名誉教授)教団の草創期から反対運動に関わっている統一教会(統一協会)問題の第一人者。数々の著作がある
  • 川崎経子(元牧師)NPO法人小諸いずみ会「いのちの家」所長
  • 有田芳生フリーランスジャーナリスト)『朝日ジャーナル』で霊感商法報道に関わったことを機に、「統一教会に詳しいジャーナリスト」として著作やテレビ出演で教団を批判。
  • 山口広(弁護士)霊感商法対策の組織「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(被害弁連)を事務局長として主導して来た。
  • 紀藤正樹(弁護士)霊感商法「被害弁連」の中心的存在。テレビでも統一教会問題を取り上げた番組によく出演している。
  • 郷路征記(弁護士)統一教会(統一協会)の伝道を違法なものとして訴える違法伝道訴訟(青春を返せ裁判)の先駆者。
  • 山口貴士(弁護士)被害弁連に所属。紀藤正樹のリンク総合法律事務所に在籍。
  • 中村敦夫(俳優・元参議院議員)飯干晃一と共に反対運動に注力した。
  • 飯干晃一(作家) : 娘の飯星景子を説得して、離教させた。マスコミや批判書を通じ、統一教会(統一協会)に対する反対活動を積極的に行う。反対集会に参加しては参加者を励ましたり、渋谷の教団本部に出かけて行っては、現役の信者に一人ひとりに「君は間違っているぞ」と説得を繰り返したという。
  • スティーブン・ハッサン(社会心理学者)
  • 卓明煥(タクミョンファン)(宗教ジャーナリスト)韓国において著作や講演で統一教会(統一協会)を批判。
  • 鈴木邦男 民族派団体「一水会」の元代表。1985年に、『朝日ジャーナル』に 「勝共連合は民族主義運動の敵だ――文鮮明王朝建設に利用される日本の若者」と出した批判手記を発表。 [20]
  • 田中康夫 (前長野県知事。作家)ゲストとして出演したラジオ番組で何度か教団を名指しで批判した。

参考文献

教団側の文献

  • 世界基督教統一神霊協会伝道教育局訳編『原理講論〔第3版〕』(2003.10) ISBN 4-87656-989-4
  • 久保木修己監『為に生きる〔改訂版〕―文鮮明師講演集』(1976.12) ISBN 4-87656-017-X
  • 世界基督教統一神霊協会編『日弁連「意見書」への求釈明―統一教会の回答』(1999.11) ISBN 4-87656-083-8
  • 増田善彦著『「マインド・コントロール理論」その虚構の正体―知られざる宗教破壊運動の構図』(1996.05) ISBN 4-87656-049-8
  • 朴正華『 “私は裏切り者 その時私にサタンが入った!” 』世界日報社 1995年

批判側の文献

  • 洪蘭淑(著) 林四郎(訳)『わが父 文鮮明の正体』(文藝春秋社 1998年ISBN 4163546103
  • 浅見定雄『統一協会 = 原理運動―その見極めかたと対策』(日本キリスト教団出版局 1987) ISBN 4818421111
  • 川崎経子『統一協会の素顔 ─その洗脳の実態と対策』 (教文館 1990年) ISBN 4-7642-6264-9 ※用語集も付き、文体平易
  • 朴正華『六マリアの悲劇―真のサタンは、文鮮明だ!!』(恒友出版 1993年) ISBN 4765230732
  • 山口広『検証・統一協会―霊感商法の実態』(緑風出版 1993年3月) ISBN: 4846193667
  • 郷路征記『統一協会マインドコントロールのすべて―人はどのようにして文鮮明の奴隷になるのか』(教育史料出版会 1993) ISBN 4876522502 弁護士である著者が多数の教団の元信者からの聞き取りから、教団が行う「マインド・コントロール」による教化の詳細を説明)
  • 南哲史『マインド・コントロールされていた私―統一教会脱会者の手記』(1996年 日本キリスト教団出版局 1996) ISBN 4818402516
  • スティーヴン(スティーヴ)・ハッサン(浅見定雄訳)『マインド・コントロールの恐怖』(恒友出版 1993年)ISBN 4765230716
  • 茶本繁正『原理運動の研究』『資料編1・2』(晩聲社 1977)ISBN 4891880155 『原理運動の実態 ファッシズムへの道』(三一書房ISBN 4380792242
  • 有田芳生『統一教会とは何か』(教育史料出版会、 1992年) ISBN 4876522332、『「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録』(教育史料出版会、1997年)ISBN 4876523177
  • 青春を返せ裁判(東京)原告団・弁護団 (編著) 『青春を奪った統一協会――青春を返せ裁判(東京)の記録』緑風出版 ISBN4-8461-0011-1 C0036
  • 全国統一協会被害者家族の会 編『自立への苦闘―統一協会を脱会して 』(単行本) 教文館 2005年ASIN: 4764264072 :(脱会後も後遺症のように続く、「マインド・コントロール」の影響からの立ち直りのための方法を統一教会(統一協会)問題にっ変わって来た牧師や弁護士たちの経験から提示する)
  • 本間てる子『秋田の母ちゃん統一協会とわたりあう』 ウインかもがわ (2003年8月) ISBN 4876997691
  • 米本和広『統一教会信者「脱会」後の重い十字架 書かれざる「宗教監禁」の恐怖と悲劇』(講談社 月刊現代2004年11月号掲載):カルトを批判する立場の著者だが、統一教会(統一協会)が問題のある教団だとしても、親たちが信者を拉致、監禁とも言える強引な脱会方法はゆるされるのか? と批判)

関連項目

関連会社

外部リンク

公式サイト

賛同的なサイト

批判的なサイト

脚注

  1. ^ 「世界基督教統一神霊協会」公式ウェブサイト
  2. ^ 文鮮明の脱税に関しては教会側は宗教弾圧による冤罪であると主張している。
  3. ^ 山口広中村周而平田広志紀藤正樹『カルト宗教のトラブル対策』教育資料出版会2000年
  4. ^ 文藝春秋1984年7月号「これが統一協会の秘部だ―世界日報事件で追放された側の告発」
  5. ^ a b 浅見定雄 『統一協会 = 原理運動 その見極めかたと対策』 日本基督教団出版局 1987年
  6. ^ 週刊文春2006年6月1日号
  7. ^ a b 洪蘭淑(著) 林四郎(訳)『わが父 文鮮明の正体』(文藝春秋社 1998年)
  8. ^ 全国統一協会被害者家族(編)『自立への苦悩 統一協会を脱会して』教文館 2005年
  9. ^ 第84回国会 衆議院 法務委員会-18号 昭和53年(1978年)4月19日
  10. ^ 第108回国会 法務委員会 第3号 昭和62年(1986年)5月15日
  11. ^ 郷路征記弁護士による札幌青春を返せ訴訟・最終準備書面
  12. ^ 『中和新聞』平成4年(1992年)9月12日号
  13. ^ 『霊感商法の真相―誰もここまでは迫れなかった』世界日報1996年
  14. ^ 有田芳生『「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録』(教育史料出版会、1997年)
  15. ^ 『月刊中央』(韓国)2004年5月1日
  16. ^ a b 教団の行う「合同結婚式」はその結婚式に参加した人数を頭に添えてそれぞれ「6500組合同結婚式」、「3万組合同結婚式」などと呼ばれ、信者は自分が参加した式の参加人数によって、6500組(または6500双)、3万組(または3万双)などと呼ばれる。
  17. ^ 第080回国会 予算委員会 第2号 昭和52年(1977年)2月7日
  18. ^ 『週刊文春』1994年11月17日号
  19. ^ 別冊宝島編集部 (編集) 『カルトの正体』宝島社 1999年12月
  20. ^ 第084回国会 決算委員会 第11号 昭和53年(1978年)5月12日