鄭明析

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鄭 明析
Jungmyungseok.png
生誕 (1945-03-16) 1945年3月16日(72歳)
大日本帝国の旗 朝鮮 忠清南道錦山郡珍山面
国籍 韓国の旗 韓国
職業 宗教家詩人画家
団体 キリスト教福音宣教会
鄭 明析
各種表記
ハングル 정 명석
漢字 鄭 明析
発音: チョン・ミョンソク
日本語読み: てい めいせき
ローマ字 Jung Myung Seok
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鄭 明析(チョン・ミョンソク、Jung Myung Seok、1945年3月16日[1] - )は、韓国の宗教団体「キリスト教福音宣教会」(摂理)の創設者。詩は韓国詩大辞典に掲載されており[2]、絵画はアルゼンチンのアートフェアにおいて代表作家として選出される[3][4][5]など詩人、画家としての一面も持っている。キリスト教福音宣教会は、1999年に元信者の女性を拉致・監禁したことが明らかになり[6]、教祖・鄭明析による女性信者への性的暴行があったことが次々判明し[6]、海外逃亡した鄭は2007年に北京で拘束され[7]、2009年に女性信者への強姦及び準強姦罪で懲役10年の実刑判決を受けた[7]

経歴[編集]

韓国の忠清南道錦山郡珍山面で、七人兄弟の三男として生まれる。1978年6月にソウルで宣教を始め、1981年3月に現在の「キリスト教福音宣教会」の前身である「MS宣教会」を立ち上げる[8]。1999年に現在の「キリスト教福音宣教会」(CGM)を発足する[8]。1989年7月から会員と共に自身の故郷を月明洞(ウォルミョンドン)として開発し、岩や木、水など自然によって作り上げた聖殿「自然聖殿」を建築する[9]

2001年6月、韓国での女性信者に対する強姦容疑などで国際手配され、2007年5月11日に中国で捜査当局により婦女暴行の容疑で逮捕され、犯罪人引渡し条約により韓国に送還される。2008年1月11日韓国大法院(最高裁判所)において慰謝料約700万円の支払いが確定した[10]2009年4月23日、韓国大法院が鄭明析の上告を棄却し、懲役10年の判決が確定[11]なお、この10年の刑に関しては裁判の有効性を疑問視する声もある[要出典](後述⇢冤罪が指摘される裁判)。

作品[編集]

鄭明析は、創作活動にも熱心で、多くの詩と絵画などの作品を残している。詩は月刊<文芸思潮>を通して登載されるなどしており、2011年には韓国詩文学100年史を網羅した<韓国詩大辞典>に詩10編が記載されている。詩集は数冊発行されている。絵画は構想美術館に数多く展示されている。[12]

また鄭明析の著した絵画『運命』が、2011年、アルゼンチン・アートフェアにおいて代表作品として選考された。[13][14][15]

2013年に発刊した詩集「詩の女」と「詩で語る」は教保文庫の詩部門において1位と2位になっている[16]。また数万におよぶ箴言を残しており、出版されているものもあるほか、詩集や陶芸品等、ジャンルは多岐に及ぶ。

裁判[編集]

99年3月の韓国テレビ局のドキュメンタリー番組の報道で、鄭明析による女性信者へのわいせつ行為・性的暴行が一気に社会問題になり[7]、報道直後に鄭は国外逃亡[7]。2007年に中国公安当局が遼寧省鞍山市郊外の鄭明析の隠れ家を強制捜索し、翌月鄭を拘束[7]。2008年に中国国務院は鄭の身柄引き渡しを決定し、2月に韓国のソウルに送還されソウル拘置所に収容された[7]。2009年に鄭は女性信者に対する強姦及び準強姦罪で懲役10年の実刑判決を受けた[7]。韓国最高裁は鄭の上告を棄却し刑が確定した[7]

月刊誌「民政」によると、裁判中、原告の証人の有効性に疑問がある複数の理由が挙げられている。代表的なものに以下がある。

  • 原告の一人は当初の訴えについて、偽証であったと告白しており、法廷が刑罰を警告してさえも、その原告は他の原告も同様に、強姦の事実はなかったと宣言している。[17]
  • 法廷は証拠によらず、証人の証言のみで有罪判決をくだしている。[18]
  • 2006年のEXODUSによって開かれた記者会見において、4人の素性不明な女性が、治療が必要なほどJMSに暴行を行われたと申し出た。しかし、訴訟を手助けしたEXODUS代表はJMSに「J総裁、私はあなたを陥れ、中傷し、スキャンダルを広め、あなたを深く傷つけてしまったことを深くお詫びします。」と謝罪文章を書いている事実がある。[19]

韓国高等裁判所裁判官は本件に法律を適用しないという理由のもと告訴人は出廷せず陪審団の審理もなく2008年1月、告訴人側の前後不一致の証言のみで裁判にかけていた。 なお2012年政経ニュース6月号で引用した鄭明析の談話として、「真相判明は神様の裁きに委ね、ただ十字架の道を行くのみだ」と引用した。その特集記事の後、現在鄭総裁の司法事件は全て嫌疑なしで終了した。

大韓民国のニュース専門テレビ局であるYTNは2015年3月16日に過去の報道内容に関する訂正報道文を発表しており、報道内容の一部を修正している。まず、放送は”チョン・ミョンソク牧師が性的問題がある宗教指導者”という印象を与えるために1995年主日礼拝”感謝する生活”というチョン・ミョンソク牧師の説教内容の中で、命の十分の一を意味する”10のうちの1つ、伝道しなさい”という部分を、どういう言葉なのか聞き取れないように音声を変え、”女性一人伝道しなさい”と字幕を入れて放映した。次に、摂理の行事場面において、女性たちだけが映っている画面だけを切り取り編集することで、視聴者にまるでチョン・ミョンソク牧師が女性だけを相手にしているかのような印象を与えるように放映した。3番目として、チョン・ミョンソク牧師を教祖として信奉しているという印象を与えるために、摂理の中で使われていた愛称であるJesus Morning Star(イエス様の明けの明星)というイニシャルであるJMSをチョン・ミョンソク牧師のローマ字イニシャルであり摂理の公式名称であるかのように放映した。しかし、実際に摂理はJMSという名称を一度も公式的に使ったことはなかった。また、チョン・ミョンソク牧師が海外でもわいせつ行為を日常的にしていたという内容を放送し、台湾の検察とのインタビュー内容を捏造した。放送では、インタビュー内容を“今、具体的にお話するのは難しいですが、一部被害者の陳述を確保した状態です・・・”と翻訳したが、台湾検察は”被害者”という表現を使ったことはなかった。台湾検察は”相関人物”つまり、関係者という表現を使用したが、放送では、韓国語で”被害者”と翻訳することで、台湾でのわいせつ行為の疑惑が事実のごとく糾明されたように報道した。しかし、台湾の事件は後になって嫌疑なしということが明らかになり、台湾メディアに虚偽事実を撒き散らした情報提供者は新聞に謝罪署名を発表したりもした。[20]

年譜[編集]

  • 1945年
    • 3月16日 第二次世界大戦末期で、まだ日本の統治下にあった朝鮮忠清南道(チュンチョンナムド)の 錦山郡(クムサングン) 珍山面(チンサンミョン) 月明洞(ウォルミョンドン)で、6男1女の三男として生まれる。
  • 1966年
  • 1969年
    • 9月 軍役を終え、故郷で過す。
  • 1978年
    • 6月 ソウルに上京し、宣教を始める。
  • 1981年
    • 3月 「MS宣教教」設立[8]
  • 1983年
  • 1985年
    • 「ウェスレー神学院」を開設。
  • 1989年
    • 月明洞自然聖殿の開発を始める。
  • 1995年
    • 月刊<文芸思潮>に詩が登載される。
  • 1999年
    • 「キリスト教福音宣教会」発足[8]
  • 2002年
    • 8月、教団はソウル放送に対して、放送禁止を求める仮処分を申請し、損害賠償訴訟を起こした。結果、1)メディアは告発人などから提供される片方だけの情報を使用してはならない。2)メディアは放送の48時間前にはその組織に通知しなければならない。3)メディアは放送時間の5%は、反論を述べるために教会側に確保しなければならない。4)仮にこれらの命令が侵害されたなら、メディアはそれぞれの侵害行為に対して3000万ウォンを支払わなければならない。との判決が出された。[要出典]
  • 2007年
    • 5月 中国・北京市内で公安当局に身柄を拘束される。韓国の捜査当局は中国政府に身柄の引き渡しを要求。
  • 2008年
    • 1月 中国国務院が鄭明析の身柄の引き渡しを正式決定。
    • 1月11日 韓国大法院(最高裁判所)において強姦被害者に対する慰謝料約700万円の支払いが確定。
    • 2月 韓国に送還され、ソウル拘置所に収容される。マレーシア、中国、香港の女性信者5名に対する強姦致傷の罪で韓国検察により起訴される。
  • 2009年
    • 4月 韓国大法院が鄭明析の上告を棄却し、懲役10年の高等法院判決を確定。
  • 2011年
    • 3月 韓国100年史詩人に公式登載される[21]

脚注[編集]

  1. ^ 鄭明析牧師の人生” (Japan). 2015年5月6日閲覧。"1945年陰暦の2月3日"
  2. ^ Mannam&Daehwa” (Japan). 2014年5月22日閲覧。"정명석 시인, 한국 100년사 詩人에 공식 등재"
  3. ^ Mannam&Daehwa” (Japan). 2014年5月22日閲覧。"キリスト教福音宣教会鄭明析(チョン・ミョンソク)総裁「絵画作品」展示会開催"
  4. ^ Youtube” (Korean). 2014年5月10日閲覧。"鄭明析《命運》獲選為2011ARTECLASICA代表畫家及代表作品"
  5. ^ Arteclásica 2011” (Español). 2014年7月28日閲覧。"Arteclásica 2011"
  6. ^ a b 櫻井・中西 2010, pp. 414-415.
  7. ^ a b c d e f g h 野方 2009.
  8. ^ a b c d 삶의 여정”. 기독교복음선교회. 2015年9月24日閲覧。
  9. ^ 月明洞とは” (Japanese). 2014年12月2日閲覧。"摂理の自然聖殿〜月明洞〜"
  10. ^ 摂理教祖に慰謝料700万円の支払い命令 韓国最高裁”. Christian Today (2008年1月12日). 2014年11月5日閲覧。
  11. ^ 新興宗教団体「摂理」教祖、懲役10年確定”. Wow Korea (2009年4月23日). 2014年11月5日閲覧。
  12. ^ Mannam&Daehwa” (Korean). 2014年5月10日閲覧。"キリスト教福音宣教会鄭明析(チョン・ミョンソク)総裁「絵画作品」展示会、チュンナムクムサンにて開催"
  13. ^ Mannam&Daehwa” (Japan). 2014年5月22日閲覧。"キリスト教福音宣教会鄭明析(チョン・ミョンソク)総裁「絵画作品」展示会開催"
  14. ^ Youtube” (Korean). 2014年5月10日閲覧。"鄭明析《命運》獲選為2011ARTECLASICA代表畫家及代表作品"
  15. ^ Arteclásica 2011” (Español). 2014年7月28日閲覧。"Arteclásica 2011"
  16. ^ 뉴스웨이브” (Korean). 2014年5月10日閲覧。"정명석 시인, ‘시의 여인’ ‘시로 말한다’ 감각적 구상 그림 돋보여"
  17. ^ 民政” (Korean). 2014年5月2日閲覧。 “何よりも注目すべき事実は、性暴行被害に遭ったと言い、法廷告訴を共に進行してきた張某さんが偽証をしたという宣言をし、告訴を取り下げたことだ。張某さんは母親の手を握って法廷に現れ、警察と検察の陳述を翻し、被害事実を完全に否認した。裁判部は「証人が告訴内容と異なる陳述をすれば、処罰されることもある」と言ったが、張某さんは「処罰されてもいい。実は性暴行を受けていない。自分と共に告訴した金某さんも強姦など性暴行を受けた事実は全くないにもかかわらず、エクソダス側の偽造によって虚偽の告訴をし、今まで虚偽の陳述をした。」とはっきりと打ち明けた。”"民政19号2010年2月15日"
  18. ^ 民政” (Korean). 2014年5月2日閲覧。 “法廷で熾烈に攻防が繰り広げられた被害者の性暴行の部分は、一般人の常識でも到底理解しがたい部分が多かった。いくつか例を挙げると、先述したように被害者に対する性暴行の真偽は中国の病院でも被害がなかったと証明されたし、韓国警察病院でも明らかに初診結果は「処女膜に全く損傷がなく、いかなる形態によっても性暴行を受けた痕跡は見当たらない。」というものだった。しかし二日後、告訴人金某さんは再び警察病院に診察を要請し、その結果、当初とは異なり、0.5cmの裂傷があると診断された。この部分につき、当時の診療担当医師は法廷で、女性が自転車を激しくこいだ場合生じうる軽微な傷だと陳述した。前後の事情をかんがみると、自ら傷をつけたと疑うしかない件だと被告の弁護人は主張した。また、金某さんは性暴行当時、膣内に水を無理やり挿入されて腹部が膨張したと自身の腹部写真を証拠として提示したが、金某さんを診察した韓国警察病院の医師は法廷で、この部分は医学的に不可能なことだと証言し、被告の弁護人はこれも被害を捏造するためのものだと主張した。”"民政19号2010年2月15日"
  19. ^ 民政” (Korean). 2014年5月2日閲覧。 “エクソダスの主導者金氏は1999年11月15日に「鄭明析総裁を陰湿に攻撃し、スキャンダルを載せ、不名誉を被らせ、深い傷を与えた点を深く反省する。」という内容の反省文を作成し、認証までし、宣教会に提出した事実があり、2005年3月17日、7月21日には鄭明析総裁に二度謝罪の手紙を送った。”"民政19号2010年2月15日"
  20. ^ YTN” (Korean). 2015年5月5日閲覧。 “정명석 총재 관련 보도에 대한 정정보도문”"본 방송은 지난 2014년 5월 22일부터 7월 26일 사이 방송된 내용 중 "JMS의 정명석 총재가 여신도들을 성폭행하고 외국으로 달아났다가 중국공안에 붙잡혀 송환됐다", "밀항했다", "여신도들에게서 성상납을 받았다"는 취지의 언급을 한 바 있습니다. 그러나 확인 결과 정 총재의 성폭행 혐의는 검찰에서 무혐의 처분됐던 것으로 정 총재는 당시 정상적으로 해외일정을 소화했고 여러 차례 입국해 검찰 조사를 받았기 때문에 관련 보도는 사실과 다르며, 성상납 혐의 또한 무혐의 처분되었기에 해당 보도를 바로잡습니다.또한 'JMS'란 칭호는 해당 선교회의 공식명칭이 아닌 것으로 확인돼 '기독교복음선교회'로 바로잡습니다. "
  21. ^ NewsWave” (Japan). 2014年5月22日閲覧。"정명석 시인, 한국 100년사 詩人에 공식 등재"

参考文献[編集]

  • 櫻井義秀中西尋子 『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』 北海道大学出版会、2010年ISBN 978-4832967205
  • 野方いぐさ 執筆、2009年、「第3部 タブーの事件簿 3.セックス・スキャンダル FILE5【摂理教祖・連続強姦事件】」、『Books Esoterica 別冊 [図説] 宗教と事件』、学研マーケティング

外部リンク[編集]