謎の円盤UFO

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この項目に含まれる文字は、オペレーティングシステムブラウザなどの環境により表示が異なります。

謎の円盤UFO』(なぞのえんばん ユー・エフ・オー 原題UFO)は、イギリスのAPフィルムズ(後の21世紀プロダクション)が製作したSF特撮ドラマ。日本では、1970年10月3日から1971年3月27日まで日本テレビ系列にて放送された。「UFO」という言葉を一般に紹介する先駆的役割を果たした。

目次

[編集] 概要

宇宙の彼方よりUFOで飛来する謎の宇宙人とその侵略行為を阻止する組織の戦いを描く。これは古今SF物の王道とも言うべきテーマである。

同社がそれまでにヒットさせた『サンダーバード』や『キャプテン・スカーレット』等がスーパーマリオネーションと呼ばれる人形劇であったのに対し、本作は俳優が演ずる同社念願の実写ドラマ(ライブ・アクション)である。その為、より人間ドラマとしての側面が強調されており、やや陰鬱な雰囲気すらも漂う独特のムードを持った作品である。

製作当時、10年後の未来像(1980年)として作品中に登場したコードレス電話が実現・普及するのはさらに下って1990年代以降である。女性の社会進出像(あくまで男性中心の視点を残しつつ)や70年代テイスト主体だが単なるレトロフューチャーにはならないスタイリッシュなファッション等も含めて、本作における先見性は作品フォーマットを創りあげたジェリー&シルヴィア・アンダーソン夫妻(当時。後に離婚)、特にシルヴィアの功績によるものが大きい。

バリー・グレイ担当の音楽では、それまでの壮大なオーケストレーションのみにとどまらず、オープニングテーマはコンボバンド編成との融和を図った野心作である。また『ジョー90』他の過去の作品からの流用も多く見られる。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


[編集] 時代設定

放送当時としては近未来にあたる1980年代。物語の舞台となる地球防衛組織はS.H.A.D.O.(シャドー、Supreme Headquarters Alien Defence Organisation:異星人防衛機構最高司令部)と呼ばれ、ロンドン郊外のとある映画会社の地下に本部を置く。シャドー司令官のエド・ストレイカーは、表向きは映画会社の専務として行動している。これは、異星人が既に地球に侵入していることを一般の人々が知るとパニックが起きかねない、との配慮から、すべての任務を極秘のうちに遂行する必要がある為である。また、特殊機材を持ち込む際など、周囲からは映画のセットと思われるというメリットもある。ロバート・マイアルによるノベライズを翻訳したハヤカワ文庫SF版では、映画は敢えてヒットしないような作品を制作しているのだが、ある作品がまぐれで当たってしまったため、ストレイカーが激怒したというエピソードがある(注:予算獲得に支障をきたすため)。

[編集] S.H.A.D.O.の防衛網

S.H.A.D.O.は、地球外の第1次防衛網として、電子計算機を搭載した偵察衛星SID(シド、Space Intruder Detector:宇宙侵入者探知機)及び月面に前線基地となるムーンベースを配置。ここより発進するミサイル邀撃機インターセプターで迎撃する。インターセプターは3機編隊で行動し、各機首に搭載された核ミサイルによって、UFOを攻撃する。ムーンベースも対空砲搭載月面装甲車ムーンサンダー他の自衛用装備を持つ。第1次防衛網を突破し、地球の大気圏内に侵入した場合は、第2次防衛網として、潜水艦と戦闘機の複合マシンであるスカイダイバーによる迎撃を行う。スカイダイバーは7つの海に配置されており、空中の敵に対しては艦首に搭載の戦闘機スカイ1(スカイワン)を分離発進させ攻撃する。スカイダイバー本体も水中のUFOを攻撃する能力を持つ。更にUFOが着陸してしまった場合には第3次防衛網としてハイテク戦車シャドーモービルが出動しこれを撃退する。モービルの展開にはダミー航空会社、SHADAIR所属の輸送機モービルキャリアや地上搬送用のトレーラー、モービル・トランスポーターが使われる。その他、人員・物資の搬送用の装備として、ムーンベース - 地球間を結ぶシャトルクラフト、ルナ宇宙艇とその大気圏内での飛行を支援するルナキャリア、シャドーメンバーの移動用のシャドーカーなどがある。

[編集] UFO

UFOの飛来目的、策源地は必ずしも明らかではないが、優れた技術力をもっており、衰えた肉体の臓器を地球人のものによって代替(後に地球人の肉体それ自体に意識を移植)する目的が示唆されている。宇宙人はそのままでは宇宙旅行に耐えられないらしく、全身が緑色の液体で満たされた宇宙服を着用して搭乗している[1]。また、UFO自体も地球の大気に長時間触れると分解してしまうという、不安定な物質を材料として造られている。かつて、策源地を探るべく超光速通信装置を応用したカメラが用いられたが、倍率データなどの詳細情報が受信出来なかったために縮尺の評価が行えず失敗に終わった(注:女性の肌を超拡大画像でみると、惑星表面に見えるというシーンで説明されている)。
宇宙人による侵略の事実や対抗するS.H.A.D.O.の存在とその活動内容については、全世界レベルでの機密事項とされ、これを維持するための方策として上記のS.H.A.D.O.本部のカムフラージュをはじめ、記憶を消去する薬など多数の隠蔽工作が施されている。また、S.H.A.D.O.の機密保持を軸にストーリーが展開することも多い。

[編集] ストーリー展開

物語は、司令官であるストレイカーを中心に、シャドー各メンバーによる異星人との戦いや、時には私生活も絡めて展開する全26話で一話完結のドラマである。
「気が滅入るようなストーリー展開」や「救いのない結末」を迎えるエピソードなどもあり、明らかに子供向けの番組とは言えないという意見があるが、逆に、それらについても作品のリアル指向を示すものとして評価する向きが多いのも事実である。例として、ストレイカーの任務(女性隊員との面談)が、妻の誤解を受け離婚されたり、別れた息子の命を救うためにアメリカから治療薬をシャドー所属の輸送機で空輸中、宇宙人の信号をキャッチしたことから当該輸送機をミッションに投入、到着が遅れて結局息子が亡くなってしまったことなど、ストレイカー個人にとっても辛い結末となるエピソードが多々見られた。

[編集] 日本での放映

  • 日本放映時には、放送順が一部変更されていた。一話完結とは言え、シリーズ全体では放映順に物語内の時間が経過していたため、日本での放送順序で見ると前後関係がおかしい箇所があった。例えば放送20話「謎の発狂石」や7話「スカイダイバー危機一髪」と同25話「宇宙人・地球逃亡!」は前後が逆である。放送時には辻褄を合わせるために25話をふまえた部分をカットしていたが、20話は25話のエピソードが下敷になっているため、カットされたままでは20話で主人公が精神的に追い詰められるシーンの背景が解らない(1話でUFOに攻撃されるシーンのフィルムだけを見て精神的に苦しんでいる)、といった問題があった。7話のカット部分にも25話の回想シーンが存在する。また、25話の後であれば22話「シャドーはこうして生まれた!」でのストレイカーの回想の理由や傷心の深さもより鮮明となる。放送順を何故オリジナルから変えたのかは不明だが、シリーズの初期エピソードで主人公である組織の最高責任者が任務を優先させた結果実子を失い、それをトラウマとして後々まで引きずる、という過酷な設定にスポンサー側からクレームがついた可能性は否定できない。ストレイカーの悲劇性を和らげる日本的な演出上の配慮だったのかどうかは今後の調査が待たれる。放映順の入替に伴って、エリス中尉の登場エピソードとレイク大佐の登場エピソードが入り乱れる形となり、演出意図が分かりにくい印象だが、撮影順で見ると、エリス中尉が前半で降板し、レイク大佐がその後任的な位置についたことが分かる(ゲイ・エリスを演じたガブリエル・ドレイクの後年のインタビューで、他の作品とのスケジュール調整による降板であると明らかにされた)。
  • UFOのタイトルロゴを初め、オープニングおよびエンディング・クレジット、更には作品中でのスカイダイバーやシャドーモービルの機体に記されたSKYDIVERS.H.A.D.O. 1等の文字に使われていたのは1950年代に考案された'Microgramma'というサンセリフのローマ字書体である。Bold ExtendedおよびMedium Extendedが使われたが、現在も各方面で商業利用されている著名なフォントで、作品世界のスタイリッシュな印象を高めるのに大いに貢献した。ただし、オープニングではこの字体は使われておらず、その不統一は惜しまれる所である。
  • 放送時間の都合によりエピローグ部分など、カットされている部分も多いが、番組エンディングには「小森のおばちゃま」こと映画評論家の小森和子が現地で取材した映像を紹介するコーナーがあり、出演俳優の素顔を垣間見る事ができた。またこのコーナーでは後述のプラモデルを視聴者プレゼントとしていた。
  • オープニング、および本編各所での矢島正明によるナレーションや、インターセプター発進シーンでの「サンダーバード」オープニングテーマ曲の使用等は日本語吹替版独自の演出である。英語版音声で作品を見る際に違和感を覚える部分もないとは言えないが、概ね日本国内での作品評価を高める大きな要素となったと言ってよいだろう。後年、矢島正明は同じ日本テレビ系列の「木曜スペシャル」で矢追純一プロデュースのUFO・宇宙人もののナレーションも担当するが、本作の作品世界の雰囲気をそのまま継承したかのような印象だった。
  • お化け番組といわれたザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」の裏番組であった為地味な印象もあるが、熱心なファンが多く、2003年には東北新社よりDVD-BOXとして発売された。また、2004年にはSEGAより本作のインタラクティブムービーDVDが発売された。これは視聴者の選択により独自のストーリーが展開するもので、映像はオリジナルの物を使用しながら、音声は新規に(しかもできる限り当時の声優を配して)録り直したものを使っている。放送から30余年経って尚、このような凝った製品が作られ発売される点からも、本作の根強い人気がうかがえる。
  • 現在、DVD等の映像ソフトやCS放送で放送された際の1エピソードの番組構成は21世紀プロのロゴに続けて、
    1. オープニング(「1980年、既に人類は~」の矢島正明のナレーション)
    2. アヴァンタイトル(エピソード導入部からUFOのタイトルロゴまで)
    3. 本編(オープニング・クレジット以降)
    4. エンディング・クレジット
の順であるが、オリジナルは、アヴァンタイトル→オープニング→本編→エンディングの順である。エモーションによるLD-BOXの発売の際、上記の構成で収録、リリースされて以降、これを踏襲していると見られるが、その経緯は不明である。
  • 当時、日本のSF特撮テレビ番組は『マイティジャック』のような例外を除けば全て子供向けであった。そのような中で放映された本作は、その後の日本におけるSF映像作品に大きな影響を与えた。
  • 『謎の円盤UFO』という邦題は、「謎の円盤」と「UFO」の重ね言葉である。これは、放映当時(1970年)には「UFO」という言葉がまだ世間でさほど認知されていなかったため、いわゆる「空飛ぶ円盤」を連想させる説明的な番組タイトルが必要だったためではないかと言われている。なお、オリジナルの台詞(英語)では既に「ユーフォー」と発音されていたが、吹替およびナレーションでは「ユー・エフ・オー」と読んでいた。また、放映開始に先駆けて日本語のタイトルが募集されたが、結局「謎の円盤UFO」になった。
  • ドラマのストーリー自体は大人向けと評価される中、本放送に並行する形でバンダイからプラモデル(スカイダイバー、インターセプター、ムーントランスポーター、UFO)、さらに今井科学教材からも三種類のキット(スカイ1、シャドーモービル、ムーンベース)が発売された。これらはサンダーバードほどのヒットにはならなかったが、番組放映終了後も数年ごとに再発売されていた。今井の製品は後に知名度で勝るサンダーバードのブランドで発売され、またムーンベースは日本の特撮『マッハバロン』の基地のプラモデルとして金型改修が加えられ、現在はアオシマに移管されている。
  • 初回放映当時、正式な主題歌ではなくあくまでカバーソングの位置づけで『謎の円盤UFO』『シャドーのマーチ』の2曲が若子内悦郎の歌唱によりリリースされている。全くの日本独自の企画であり、グループサウンズ調のメロディは、テーマ曲のフレーズらしきものが一瞬聞こえる他はバリー・グレイの音楽との接点はほとんどないが、UFOの飛行音などのオリジナルの効果音が挿入されている。
  • 1991年にエモーションから発売されたビデオ「サンダーバード・ヒストリー」(ITCの配給作品の日本語版および英語版のオープニング/エンディング・タイトル集)において、広川太一郎はエド・ストレイカー本人が各作品を紹介する、という設定で、ナレーターを務めた。
  • 2005年9月2日~2005年10月7日まで、スーパーチャンネルにてカットされた部分を字幕で補った「デジタルリマスター完全版」を放送。

[編集] 製作スタッフ・キャスト

[編集] 放送タイトルリスト(日本放映時)

日本版話数 英国版話数 制作話数 サブタイトル サブタイトル原題
1 1 1 宇宙人捕虜第一号 IDENTIFIED
2 2 5 シャドー秘密指令 EXPOSED
3 15 4 我が友宇宙人 SURVIVAL
4 5 6 円盤基地爆破作戦 CONFLICT
5 13 13 惑星Xクローズ・アップ作戦 CLOSE UP
6 3 16 ストレイカー暗殺指令 KILL STRAKER!
7 10 17 スカイダイバー危機一髪 SUB-SMASH
8 4 19 猫の目は宇宙人 THE CAT WITH TEN LIVES
9 7 18 湖底にひそむUFO THE SOUND OF SILENCE
10 18 9 宇宙人フォスター大佐 ORDEAL
11 6 15 超能力!!UFO探知人間 E.S.P.
12 12 2 宇宙人捕虜第二号 THE COMPUTER AFFAIR
13 17 3 UFO月面破壊作戦 FLIGHT PATH
14 9 11 UFO攻撃中止命令 THE SQUARE TRIANGLE
15 19 21 人間ロボット殺人計画 THE MAN WHO CAME BACK
16 14 22 人間爆弾 THE PSYCHO BOMBS
17 11 20 地球最後の時 DESTRUCTION
18 22 10 ムーンベース衝突コース THE RESPONSIBILITY SEAT
19 26 23 UFO大編隊接近中 REFLECTIONS IN THE WATER
20 16 25 謎の発狂石 MINDBENDER
21 20 7 ムーンベース応答なし! THE DALOTEK AFFAIR
22 25 14 シャドーはこうして生まれた CONFETTI CHECK A-O.K.
23 24 12 フォスター大佐死刑 COURT MARTIAL
24 21 24 UFO時間凍結作戦 TIMELASH
25 8 8 宇宙人・地球逃亡! A QUESTION OF PRIORITIES
26 23 26 眠れる美女の怪奇 THE LONG SLEEP

[編集] 書籍

[編集] 関連項目

  • キャプテン・スカーレット - 『謎の円盤UFO』より前に作られたアンダーソン作品だが、日本語版では最終エピソードにあたる「ミステロン宇宙船あらわる!」(Attack on Cloudbase)に登場するミステロンの宇宙船は、デザイン・飛び方・効果音などが『謎の円盤UFO』とほとんど同じである。
  • 決死圏SOS宇宙船 - 本作の直前に製作された映画で、エド・ビショップ、ジョージ・シーウェル等の出演、本作でシャドーカーとして登場した車両も使われるなど、本作のパイロット・フィルムであるかのような印象が強い作品。
  • 新世紀エヴァンゲリオン - 作中に登場する「特務機関ネルフ」の設定をはじめ、本作の影響が大きい。
  • THE ビッグオー - セカンドシーズンのオープニングがカット割り・音楽共に本作のオープニングほぼそのまま。
  • ピート・ナムルック - S.H.A.D.Oという題名のアンビエント作品が2作ある。曲名にも作中の用語を用いている。

[編集] 注釈

  1. ^ 拉致した地球人を搭乗させる際にも液体づけにしたことがある。この技術は液体換気法(リキッド・ベンチレーション)と呼ばれ、制作時点では宇宙旅行技術として検討されていた
[ヘルプ]

[編集] 外部リンク

前制作:
ロンドン指令X
アンダーソン作品 次制作:
プロテクター電光石火
日本テレビ 土曜20時枠
前番組 番組名 次番組
謎の円盤UFO
星雲賞映画演劇部門
第1回 1970年度
プリズナーNo.6
デヴィッド・トンブリン製作
まごころを君に
ラルフ・ネルソン監督
第2回 1971年度
謎の円盤UFO
ジェリー・アンダーソン製作
第3回 1972年度
アンドロメダ…
ロバート・ワイズ監督