レイズ・ザ・タイタニック

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レイズ・ザ・タイタニック
Raise the Titanic!
監督 ジェリー・ジェームソン
脚本 アダム・ケネディ
エリック・ヒューズ
製作 マーティン・スターガー
ウィリアム・フライ
音楽 ジョン・バリー
撮影 マシュー・F・レオネッティ
配給 東宝東和
公開 アメリカ合衆国の旗 1980年8月1日
日本の旗 1980年12月13日
上映時間 115分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $40,000,000[1]
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $7,000,000[1]
配給収入 日本の旗 8億5000万円[2]
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レイズ・ザ・タイタニック』(原題: Raise the Titanic!)は、クライブ・カッスラー著『タイタニックを引き上げろ!英語版』を原作とした冒険アクション映画のフィクション1980年アメリカ、イギリス製作。主人公ダーク・ピットが、海底に沈む財宝を引き揚げる人気シリーズの映画化作品。

ストーリー[編集]

米ソ冷戦下、音波によるミサイル防衛システム『シシリー計画』がアメリカ大統領の秘密資金で進められている。それに不可欠な希少鉱物ビザニウム(架空の物質)は、ロシア北極圏スワトロフ島(架空の島))で採掘されたのち1912年に沈没したタイタニック号に積まれていたという。ソヴィエト政府による引き揚げ妨害工作が暗躍する中、ダーク・ピット(リチャード・ジョーダン)の調査用深海艇はついにタイタニック号の手掛かりを発見し、3,650メートルの海底から4万数千トンもの鉄の塊を引き揚げることが果たして可能なのか、という問題に挑んだ。

ピットらが操る潜水艇はタイタニックに近づき、海底爆破などにより海面への浮上に成功する。しかし、タイタニックに積まれていたのはただの石ころだった。

バイザニウムのありかを探して再調査したピットとシーグラムは、ビザニウムを掘り出したコロラド鉱山の鉱夫の墓地を訪れる。その墓にビザニウムの反応を確認するが、世界の平和に及ぼす影響を考え、ビザニウムをそっと元の土中に戻した。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
フジテレビ LD 配信版
ジェームス・サンデッカー長官 ジェイソン・ロバーズ 久米明 中村正
ダーク・ピット リチャード・ジョーダン 有川博
ジーン・シーグラム博士 デヴィッド・セルビー 堀勝之祐 小川真司
ダナ・アーチボルド アン・アーチャー 榊原良子 藤田淑子
ジョン・ビガロ アレック・ギネス 上田敏也
ブレブノフ将校 ボー・ブランディン 飯塚昭三
ヴィニー・ウォーカー兵曹長 M・エメット・ウォルシュ 加藤正之
ジョー・バーク船長 J・D・キャノン 大木民夫
デイル・バスビー将軍 チャールズ・マコーレイ 杉田俊也

スタッフ[編集]

公開[編集]

1980年12月日本公開。配給は東宝東和。

大阪市北区梅田のナビオ阪急(現:HEP NAVIO)内にオープンした北野劇場(現:TOHOシネマズ梅田 スクリーン1)では1980年10月24日のこけら落とし作品として本作が全国より早く先行上映されていた。

ロードショー公開時には「ラスト30分はご入場できません」と広告に打ち観客の好奇心を刺激する宣伝策がとられた。これは同じ東宝東和による『ナイル殺人事件 (1978年の映画)』が「結末は人に話さないでください」のキャッチフレーズでヒットさせた経験を踏まえたものだったが、実際には映画本編の終盤30分よりも前にタイタニック号の引き揚げシーンは登場してしまう。上映途中に入場した観客が、ラストシーンのあまりに腰砕けな謎解きを先に観てしまうと、あらためて冒頭から鑑賞することへの興味が失せる可能性が高く、それに対する配慮でもあった。なお実際には、観客動員数が正月映画として期待されたほどでなかったことも手伝って、実際に入場制限措置をとった上映館は少なかった。

評価[編集]

第1回ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞にノミネートされたということが評価を物語る。この事実を紹介した映画批評の「底抜け超大作」では「原作そのものがバカ」とまでコメントされていた。作者のクライブ・カッスラー自身も、「お粗末な映画に成り果てた」と著書に書いている。

実際、原作に描かれている米ソのスパイ戦、夫婦の愛憎、ソ連軍特殊部隊やハリケーンの襲来などの要素は全てカットされるか、原型をとどめないほど簡略化されていて、単に船と鉱石を探すだけの内容になっており、おまけに、鉱石をタイタニック号に積んだように偽装しなければならなかったミステリーが省略されたので(原作では、鉱石発見の時点でも米仏の暗闘があり、採掘に当たった鉱夫達がフランスから執拗に付け狙われる物語が、それなりのページ数を割いて書かれている)、結末は腰砕けにしか見えない。またタイタニック号は船体がちぎれたが、作品中では完全な形で引き揚げられた。

また、原作とはかけ離れた容貌(ひげ面)のダーク・ピット、シリーズ中の準主役というべきアル・ジョルディーノが登場しないことも不評を買った。カッスラーによれば、プロデューサーが約束した額よりもだいぶ低い製作費しか使わなかったとのことで、その怒りから自作の映画化には慎重になり、『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』まで映画化を拒み続けた。しかし、日本においては、1981年度の外国映画の興行成績で第4位となっている[4][5]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b Raise the Titanic”. The Numbers. 2013年9月27日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)400頁
  3. ^ レイズ・ザ・タイタニック (吹替版) - Amazon Prime Video
  4. ^ 興行成績一覧”. キネマ旬報. 2009年8月27日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ 日本映画産業統計”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2021年8月15日閲覧。

関連事項[編集]

外部リンク[編集]