第9地区

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第9地区
District 9
監督 ニール・ブロムカンプ
脚本 ニール・ブロムカンプ
テリー・タッチェル
製作 ピーター・ジャクソン
キャロリン・カニンガム
製作総指揮 ケン・カミンズ
ビル・ブロック
出演者 シャールト・コプリー
音楽 クリントン・ショーター
撮影 トレント・オパロッチ
編集 ジュリアン・クラーク
製作会社 ウィングナット・フィルムズ
配給 アメリカ合衆国の旗 トライスター・ピクチャーズ/MGM
日本の旗 ワーナー・ブラザーズ/ギャガ
公開 オーストラリアの旗 ニュージーランドの旗 2009年8月13日
アメリカ合衆国の旗 カナダの旗 2009年8月14日
日本の旗 2010年4月10日
上映時間 111分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
言語 英語
チェワ語
アフリカーンス語
製作費 $30,000,000[1]
興行収入 $210,819,611[1]
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第9地区』(だいきゅうちく、原題: District 9)は、2009年8月に公開されたSF映画。日本での公開は2010年4月。

地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立をドキュメンタリー風に描いた作品。舞台となった南アフリカ共和国でかつて行われていたアパルトヘイト政策が反映されたストーリーになっている。物語は、エイリアンの研究物質に誤って触れ、所属していたエイリアン管理組織から追われる身となった男を中心に、アクションを交えつつ展開する。

ストーリー[編集]

1982年、南アフリカ共和国ヨハネスブルク上空に突如宇宙船が出現した。しかし、上空で静止した巨大な宇宙船からは応答や乗員が降りる様子はなく、人類は宇宙船に乗船しての調査を行うことを決定。知的生命体との接触に世界中の期待が集まる中行われた調査であったが、船内に侵入した調査隊が発見したのは、支配層の死亡と宇宙船の故障により難民となった大量のエイリアンであった。

乗船していたエイリアンたちは地上に移り、隔離地区である「第9地区」で難民として、MNU (Multi-National United) と呼ばれる超国家機関による管理・監視のもとで生活することになったが、文化や外見の違いから人間とエイリアン達との間では小競り合いが頻発する。人間達のエイリアンへの反発や差別は強まり、やがて彼等に対しては「エビ」(外見がエビ[=PRAWN]に似ているため)という蔑称が定着するようになった。

そして宇宙船出現から28年後、ついにエビ達を新たに用意された彼ら専用の居住区域である第10地区に移住させることが決定し、MNUの職員であるヴィカスは、立ち退き要請の同意を得るため第9地区を訪れるが、エイリアンの家で見つけた謎の液体を不注意により浴びてしまう。

登場人物[編集]

MNU[編集]

エイリアンの管理を任された超国家組織。エイリアン居住区の警戒監視とエイリアンによる犯罪の取り締まりを主な任務としているが、エイリアンの中絶を目的とした通称「スネーク」部隊の存在や、同意が曖昧なまま移住を強制しようとするなどエイリアンの人権を無視した活動を行っている。装備に関してはキャスパー装甲兵員輸送車やヘリを多数保有しているほか、第9地区に光学照準タイプのレイピアミサイルシステムを設置するなど軍隊並みである。

母体になっているのは世界最大の軍事企業で、世界第二位の兵器開発事業を行っている他民間軍事会社も運営しており、エイリアンの持つ強力な兵器の研究を極秘に進めている。物語の舞台になった南アフリカ共和国は世界初の民間軍事会社エグゼクティブ・アウトカムズが誕生した国でもある。

ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ
今作の主人公。MNUのエイリアン対策課職員であり、エイリアンの第10地区への立ち退き交渉の現場責任者として任命される。妻の父親はMNUの幹部を務めている。
第9地区での立ち退き交渉の最中、クリストファー・ジョンソン(エイリアン)の小屋の隠し部屋に置かれていた容器を不用意に取り上げ、中の液体(宇宙船用の液体燃料)を浴びたことで身体に変異を来たす。以後は研究対象としてMNUに追われる立場となる。
平凡な一般人として描かれており、逃走・潜伏中にも妻恋しさから連絡を取り居場所を探知されるなど、追われる身となってからの言動は冷静さを欠く。
クーバス大佐
MNU傭兵部隊「第1大隊」の大佐。違法行為をとったエイリアンを殺す自らの仕事を好んでいる。
武器に関してはMNUの標準装備であるベクター CR21では無く、R5を使用している(どちらの銃も南アフリカ製)。

エイリアン[編集]

外見が地球の甲殻類を思わせ、人間達は「エビ」というスラングで呼んでいる。怪力を持ち、ゴムとキャットフード、生肉が大好物。雌雄同体で旺盛な繁殖力を持ち(劇中でミミズと同じと語られる)第10地区への移住前の総数は180万。

社会性昆虫に似た生態を持ち、宇宙船内のエイリアンの指導層は何らかの理由で死亡し、下の階層を構成するエイリアンだけが船内に閉じ込められて衰弱して生き残っていた。生き残りのエイリアンは、本来は命令される側の階層であったため全般的に主体性が乏しく、意思疎通も単純なものが多い。地球のスクラップで様々な超兵器やマシンを作っており、知能は決して低くはないが、反乱ではなくキャットフードとの交換目当に製造しているなど、どこか抜けた部分がある。彼らが居住している第9地区は道路も未舗装で、粗末な小屋が立ち並びゴミの散乱するスラムと化している。

エイリアンの製造する武器は、彼らのDNAに反応して作動するため、人類には扱えない。人類の武器とは一線を画す威力を持つため、その技術はMNUおよび第9地区の一大勢力であるギャング集団の双方に狙われている。

クリストファー・ジョンソン(地球名)
第9地区に住むエイリアン。他のエイリアンより理知的で穏健、言動も比較的明晰である。一児の父。
今作の重要な鍵となるキャラクターで、追われる身となったヴィカスと行動を共にすることになる。
リトルCJ
クリストファー・ジョンソンの子供。

ギャング集団[編集]

第9地区に潜伏する黒人のナイジェリア・ギャング集団。エイリアンを食いものにしつつ共存しており、食料を売り、賭博場を開き、エイリアン相手の売春を行ってもいる。使用はできないもののエイリアンの武器には注目しており、彼らの単純さに付け込んで、大量の武器を安く買い叩いては保管している。エイリアンの体を食べることで万病を癒し、エイリアンのように強くなれるという呪術的な信仰も発達させている。

オビサンジョ
ギャング集団のボス。下肢の麻痺を煩っており、車椅子で生活している。
エイリアンの力と武器には強く執着しており、それを自身のものにすべく、殺害したエイリアンの死体を食う。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ シャールト・コプリー 川島得愛
クーバス大佐 デヴィッド・ジェームズ 谷昌樹
クリストファー・ジョンソン(エイリアン) ジェイソン・コープ 斉藤次郎
リトルCJ たなか久美
タニア・ファン・デ・メルヴェ ヴァネッサ・ハイウッド 田中晶子
ニコラス・ファン・デ・メルヴェ ジョン・ヴァン・スクール 佐々木省三
サンドラ・ファン・デ・メルヴェ マリアン・フーマン 新田万紀子
ピエト・スミット ルイス・ミナー 楠見尚己
フンディスワ・ムランガ マンドラ・ガドゥカ 川村拓央
オビサンジョ ユージーン・クンバニワ 藤真秀
トーマス ケネス・ンコースィ 木村雅史
ダーク・マイケルズ ウィリアム・アレン・ヤング 仲野裕
ブラッドナム ジェイソン・コープ 上田燿司
リヴィングストン ナタリー・ポルト 小幡あけみ
モラヌー ニック・ブレイク 宇垣秀成

製作[編集]

ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品であり、本作は同監督の自作SF短編映画アライブ・イン・ヨハネスブルグ』(英題:Alive in Joburg)を長編化したものである。ストーリーはアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を題材にしている。またDVD収録のコメンタリーでは、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と南アフリカネイティブとの確執も葛藤した上で参考にしたとも監督自らが語っている。

なお、舞台となった土地の社会情勢を下敷きにしてはいるが、上記コメンタリー内の脚本家コメントでは、監督の「これは政治的な映画ではない」との発言が紹介されている。作品の本来の目的は政治や社会への風刺、皮肉ではなく、人種対立の背景を持つ社会に新たな弱者としてのエイリアンを持ち込むという、設定の新奇さを売りにしたエンターテインメントであると語られている。実際、危険だがユーモラスなエイリアンの描き方、エイリアンの戦闘ロボットによる派手なアクションシーンなど、作品内では娯楽性が追求されている。

製作費は3千万ドルであり、ハリウッドのVFXを使った作品としては少ない。出演者はほとんどが無名俳優であり、主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人であるという。ちなみに主人公ヴィカスのセリフは、演じるシャールトによるアドリブである[2]

元々は2006年にピーター・ジャクソンがゲーム『HALO』映画化のためにニール・ブロムカンプを起用したが、映画化の予算について製作会社とゲーム開発元マイクロソフトとの交渉が決裂した。そのため、ピーター・ジャクソンはニール・ブロムカンプの短編を長編化するプロジェクトを動かすことにしたという。

VFXはイメージエンジンThe Embassy Visual EffectsZoic Studios、Goldtooth Creative、WETAデジタルが制作した。

評価[編集]

興行面[編集]

2009年8月14日に全米公開され、初週末に3735万4308ドルを稼いで1位となった[3]。日本では、ワーナー・ブラザース映画とギャガの共同配給により2010年4月10日に公開された。

批評面[編集]

映画レビューサイトのRotten Tomatoesでは、237のレビューを集め、90%の支持率を得た[4]

第82回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞にノミネートされた。

その他第67回ゴールデングローブ賞等、2009年度の多数の映画賞でノミネート、賞を受賞した。日本では2011年に星雲賞メディア部門を受賞。

コアな内容ながらも後に2012年3月16日金曜ロードショーにて地上波初放送された。ただし残虐シーンカットなどでCMを省いた放送時間は92分の放送であった

脚注[編集]

  1. ^ a b District 9 (2009)”. Box Office Mojo. 2011年8月27日閲覧。
  2. ^ District 9 director Neill Blomkamp”. A.V. Club. 2009年8月16日閲覧。
  3. ^ Weekend Box Office Result for August 14-16, 2009”. Box Office Mojo. 2009年12月16日閲覧。
  4. ^ District 9 (2009)”. Rotten Tomatoes. 2009年12月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]