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ニート

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ニートイギリス英語: Not in Education, Employment or Training, NEET)は、就学就労していない、また職業訓練も受けていない若者(15-29)を意味する用語である[1]。そのためOECD定義では、労働力人口若年失業者; 就職活動を行っている)と非労働力人口(就職活動を行っていない)の両者[2]が含まれる[3]

ほぼすべてのOECD諸国において、ニート率は男性よりも女性のほうが4ポイントほど高い[1]。女性は教育を受けられないリスクが高いため、それが非就学・非就業につながっているとされる[4]。また、年齢層が高いほど子供を持つ可能性が上がるため、男女差も顕著になる。このため、女性が無報酬の家事や子供の世話をすることが多いという、ジェンダーに関連した伝統的な役割分担(シャドウ・ワーク)が背景にあるとOECDは指摘している。

元々はイギリスの労働政策において出てきた用語で、1999年に同国の政府機関社会的排除ユニット (Social Exclusion Unit) が作成した調査報告書『Bridging the Gap』の中にある一文「Bridging the Gap: New Opportunities for 16-18 years olds not in education, employment or training」(日本語訳「ギャップを埋める:教育、雇用、職業訓練に参加していない 16〜18歳の若者に対する新しい機会」)の「not in education, employment or training」という部分の頭文字を取り、『NEET』と略したものが始まりである[5][6][7][8]

日本では、非労働力人口(無職であり求職活動を行っていない)のうち、通学家事を行っていない者を指しており若年無業者と呼称している[9]。日本におけるニートの定義は若年失業者(無職であるが就職活動を行っている)を除外するため、注意が必要である。

統計

OECDによる統計

OECDの統計による、雇用、教育、訓練に参加していない若者(NEET)の割合[3]。雇用に就いたとは、OECD/ILO定義による「調査週に最低1時間の有給労働に参加した(もしくは休業)した」者である[3]。教育を受けているとは、フルタイム・パートタイム教育が含まれるが、ノンフォーマル教育や非常に短時間の教育は踏まれない[3]

日本は、2014年の値であるが、ニート比率がOECD諸国の平均値より低く、諸外国と比較して比較的低い国となっている。

OECD定義によるニート比率(2018年)
国名 総計 男性 女性
15~19歳 20~24歳 15~29歳 15~19歳 20~24歳 15~29歳 15~19歳 20~24歳 15~29歳
オーストラリアの旗 オーストラリア 5.3 11.9 10.8 6.8 10.1 9.1 3.8 13.7 12.6
オーストリアの旗 オーストリア 5.3 12.5 11.1 5.6 13.7 10.6 4.9 11.2 11.6
ベルギーの旗 ベルギー 3.9 14.6 12.8 3.8 16.7 12.2 4.0 12.4 13.3
カナダの旗 カナダ 5.9 13.4 11.9 7.1 14.4 12.2 4.7 12.4 11.7
チリの旗 チリ 11.7 21.8 18.4 9.9 17.2 13.9 13.6 26.4 22.9
チェコの旗 チェコ 2.4 8.8 10.0 2.3 5.7 4.2 2.5 12.1 16.0
デンマークの旗 デンマーク 3.5 11.9 10.8 3.7 11.5 10.9 3.3 12.3 10.7
フィンランドの旗 フィンランド 4.6 14.2 11.9 4.9 14.8 10.9 4.3 13.6 13.0
フランスの旗 フランス 6.8 20.3 16.1 7.8 21.0 15.3 5.8 19.6 16.9
ドイツの旗 ドイツ 3.4 10.4 9.2 3.1 9.4 7.2 3.7 11.4 11.3
ギリシャの旗 ギリシャ 8.1 22.9 21.5 7.5 22.9 18.5 8.7 22.8 24.4
ハンガリーの旗 ハンガリー 6.8 15.4 13.5 5.3 9.1 7.7 8.3 22.1 19.7
アイスランドの旗 アイスランド 3.9 6.5 6.1 4.8 4.9 5.4 2.9 8.3 6.8
アイルランドの旗 アイルランド 6.0 13.6 11.7 6.4 12.4 10.4 5.6 14.7 13.1
イタリアの旗 イタリア 11.0 28.4 23.9 11.2 27.5 21.6 10.8 29.3 26.3
日本の旗 日本 3.7 10.1 9.8 3.9 8.7 7.3 3.5 11.5 12.5
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 1.5 10.1 8.4 3.1 8.8 6.4 1.4 11.4 10.4
メキシコの旗 メキシコ 13.7 23.2 20.9 7.6 9.2 8.2 20.0 36.6 33.2
オランダの旗 オランダ 3.3 7.7 7.0 3.6 7.2 6.2 2.9 8.1 7.7
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 5.1 12.4 10.2 6.0 10.6 8.1 4.1 14.4 12.4
ノルウェーの旗 ノルウェー 2.5 10.3 8.7 2.7 11.5 8.6 2.4 8.9 8.7
ポーランドの旗 ポーランド 3.5 14.5 12.7 3.3 11.8 8.4 3.6 17.3 17.2
ポルトガルの旗 ポルトガル 4.0 16.8 11.6 4.1 18.6 12.4 3.9 14.9 10.8
スロバキアの旗 スロバキア 6.7 14.7 15.1 7.3 11.4 10.6 6.0 18.1 19.9
スペインの旗 スペイン 8.7 22.0 19.1 9.5 23.3 18.7 7.9 20.7 19.4
スウェーデンの旗 スウェーデン 6.8 10.0 8.9 6.8 9.8 8.5 6.8 10.2 9.2
スイスの旗 スイス 4.1 10.0 8.1 4.1 12.2 8.2 4.1 7.6 7.9
トルコの旗 トルコ 15.3 31.2 26.5 10.2 17.7 13.8 20.9 44.8 39.8
イギリスの旗 イギリス 8.9 14.2 12.6 9.6 13.1 10.7 8.3 15.4 14.6
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 7.1 14.8 12.7 7.2 14.0 10.8 7.0 15.6 14.6
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 14.1 25.0 20.4 12.8 17.8 14.1 15.5 31.8 26.6
ブラジルの旗 ブラジル 18.7 29.8 24.9 15.9 22.9 19.0 21.6 36.7 30.9
コロンビアの旗 コロンビア 19.4 26.3 22.7 14.0 14.6 13.0 25.1 37.3 32.5
エストニアの旗 エストニア 9.0 12.2 12.7 10.6 12.7 9.8 7.3 11.7 15.9
イスラエルの旗 イスラエル 8.9 17.0 13.3 9.5 15.4 11.7 8.2 18.7 15.0
ラトビアの旗 ラトビア 2.9 14.0 11.2 3.4 13.2 9.6 2.3 14.9 12.9
リトアニアの旗 リトアニア 2.6 14.6 10.5 2.9 14.4 10.0 2.2 14.7 11.0
ロシアの旗 ロシア 4.9 14.7 12.2 5.1 12.3 8.7 4.7 17.2 15.7
スロベニアの旗 スロベニア 1.9 12.0 9.7 1.9 10.4 8.3 2.0 13.9 11.2
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 13.5 48.6 37.7 11.8 44.9 34.2 15.2 52.3 41.2
コスタリカの旗 コスタリカ 18.6 24.9 23.1 18.4 15.7 16.1 18.9 36.5 31.0
OECD平均 6.3 15.1 13.0 6.2 13.4 10.5 6.5 16.8 15.6

注:チリとルクセンブルク(15~19歳男性)は2017年のデータである。また、日本は2014年のデータである。

ILOによる統計

ILOの統計データ[10]によれば、15~24歳層のニート比率は、日本(総合:3.11% 男性:2.70% 女性:3.71% [2019年])において、世界全体や高所得全体におけるニート比率より低く、データの有る世界にある172の国・地域の中で、総合・女性は最も低く、男性はフォークランド諸島に次いで低い2番目に低い国である。但し、日本のデータは新型コロナウイルス感染症流行による経済悪化前の数値であることに注意する。2020年は、後述のように経済悪化によるパート・アルバイトで働く若年層の解雇が相次いだため、特に10代後半のニート推定人数が前年に比べて、10代後半男性は約1.7倍、10代後半女性は約2.3倍増加している。

そして、世界のニート比率は2020年で約23.34%(男性:15.37% 女性:31.47%)であり、人口で2019年時点で約2億6700万人もおり、約3分の2を女性が占めていた。ILOは、ニートが発生する理由を世界経済の減速や学歴に合った仕事が不足していることなどを挙げ、「あまりにも多くの若者教育労働市場から離れており、自国の経済発展を損なう可能性がある」と警鐘を鳴らした[11]

ILOデータによる15~24歳層のニート比率(2009年以降最新年度)[10]。ニート率の高さは、赤>黄>緑>青である。北欧および中欧諸国で低い傾向にある。
ILOデータによる15~24歳層の男性ニート比率(2009年以降最新年度)[10]。ニート率の高さは、赤>黄>緑>青である。北欧および中欧諸国で低い傾向にある。
ILOデータによる15~24歳層の女性ニート比率(2009年以降最新年度)[10]。ニート率の高さは、赤>黄>緑>青である。北欧および中欧諸国で低い傾向にある。逆に南アジア中東諸国・北アフリカ諸国は高い傾向にある。
ILOデータによる15~24歳層のニート比率の男女差(2009年以降最新年度)[10]。男性の方が女性よりニートになる割合が高い順に赤>黄>緑>青である。イギリスおよび東欧除くヨーロッパ諸国およびカナダで低い傾向にあり、女性より男性の方がニートになる割合が高い。逆に南アジア中東諸国・北アフリカ諸国・コロンビアベネズエラ中米諸国はその逆である。
ILOデータによる15~24歳層のニート比率(最新年度)
国・地域 総合(%) 男性(%) 女性(%) 男女差(倍) 最新年
世界 23.34 15.73 31.47 2 2020
低所得国[注 1] 23.27 16.69 29.96 1.8 2020
低中所得国[注 2] 26.99 16.11 38.67 2.4 2020
高中所得国[注 3] 21.52 16.38 27.1 1.65 2020
高所得国[注 4] 12.29 11.59 13.03 1.12 2020
アフリカ 22.94 18.18 27.78 1.53 2020
アメリカ大陸 20.97 16.53 25.54 1.55 2020
アラブ諸国 35.64 21.02 51.4 2.45 2020
アジア及び太平洋諸国 24.8 14.73 35.89 2.44 2020
ヨーロッパ及び中央アジア 15.32 13.67 17.05 1.25 2020
アフガニスタンの旗 アフガニスタン 53.76 32.16 74.01 2.3 2020
アルバニアの旗 アルバニア 25.82 26.2 25.45 0.97 2019
アルジェリアの旗 アルジェリア 20.95 10.94 31.69 2.9 2017
アンゴラの旗 アンゴラ 27.9 21.71 33.56 1.55 2014
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 22.33 21 23.67 1.13 2020
アルメニアの旗 アルメニア 27.66 26.99 28.38 1.05 2020
アルバの旗 アルバ 16.56 17.4 15.64 0.9 2010
オーストラリアの旗 オーストラリア 8.94 8.89 8.96 1.01 2017
オーストリアの旗 オーストリア 7.95 9.03 6.88 0.76 2020
バングラデシュの旗 バングラデシュ 27.39 9.81 44.55 4.54 2017
バルバドスの旗 バルバドス 4.82 5.46 4.19 0.77 2016
ベラルーシの旗 ベラルーシ 9.18 9.99 8.32 0.83 2020
ベルギーの旗 ベルギー 9.21 9.77 8.63 0.88 2020
ベリーズの旗 ベリーズ 24.88 14.7 34.82 2.37 2019
ベナンの旗 ベナン 35.1 28.96 40.68 1.4 2018
バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島 6.79 8.18 5.48 0.67 2010
ボリビアの旗 ボリビア 13.7 9.43 17.89 1.9 2020
ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ 21.81 20.41 23.27 1.14 2020
ボツワナの旗 ボツワナ 39.27 38.5 40.05 1.04 2020
ブラジルの旗 ブラジル 23.49 18.75 28.37 1.51 2021
ブルネイの旗 ブルネイ 21.43 20.3 22.76 1.12 2020
ブルガリアの旗 ブルガリア 14.44 13.72 15.21 1.11 2020
ブルキナファソの旗 ブルキナファソ 41 30.45 49.1 1.61 2018
ブルンジの旗 ブルンジ 6.19 6.44 5.98 0.93 2017
カンボジアの旗 カンボジア 10.74 9.38 11.97 1.28 2019
カメルーンの旗 カメルーン 17.01 10.54 23.07 2.19 2014
カナダの旗 カナダ 12.94 14.27 11.52 0.81 2021
カーボベルデの旗 カーボベルデ 27.99 27.1 29 1.07 2019
チャドの旗 チャド 37.05 24.81 46.38 1.87 2018
チリの旗 チリ 16.4 14.37 18.5 1.29 2021
コロンビアの旗 コロンビア 23.95 15.55 32.37 2.08 2019
コモロの旗 コモロ 27.58 21.35 33.13 1.55 2014
コンゴ民主共和国の旗 コンゴ民主共和国 21.36 16.43 25.79 1.57 2012
コンゴ共和国の旗 コンゴ共和国 21.86 21.21 22.39 1.06 2009
クック諸島の旗 クック諸島 12.49 8.33 16.91 2.03 2019
コスタリカの旗 コスタリカ 19.19 16.23 22.82 1.41 2021
コートジボワールの旗 コートジボワール 10.81 7.78 13.69 1.76 2019
クロアチアの旗 クロアチア 12.24 12.19 12.3 1.01 2020
キュラソー島の旗 キュラソー島 17.46 18.81 16.08 0.85 2020
キプロスの旗 キプロス 14.36 15.3 13.53 0.88 2020
チェコの旗 チェコ 6.61 4.27 9.09 2.13 2020
デンマークの旗 デンマーク 7.44 7.7 7.18 0.93 2020
ジブチの旗 ジブチ 19.32 14.51 24.05 1.66 2017
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国 37.71 31.09 44.16 1.42 2020
エクアドルの旗 エクアドル 18.48 10.57 27.15 2.57 2021
エジプトの旗 エジプト 30.19 17.2 43.97 2.56 2020
エルサルバドルの旗 エルサルバドル 26.74 15.33 37.87 2.47 2020
エストニアの旗 エストニア 8.86 7.97 9.76 1.22 2020
エスワティニの旗 エスワティニ 35.46 29.85 41.19 1.38 2016
エチオピアの旗 エチオピア 10.48 5.66 15.13 2.67 2013
フォークランド諸島の旗 フォークランド諸島 3.25 2.55 3.97 1.56 2012
フィジーの旗 フィジー 20.09 10.83 29.59 2.73 2016
フィンランドの旗 フィンランド 9.25 10.34 8.16 0.79 2020
フランスの旗 フランス 11.38 11.66 11.1 0.95 2020
ガンビアの旗 ガンビア 29.38 29.07 29.66 1.02 2018
ジョージア (国)の旗 ジョージア 24.91 23.58 26.37 1.12 2020
ドイツの旗 ドイツ 7.43 7.63 7.21 0.94 2020
ガーナの旗 ガーナ 20.38 18.46 22.32 1.21 2017
ギリシャの旗 ギリシャ 13.21 13.11 13.32 1.02 2020
グアテマラの旗 グアテマラ 28.19 9.51 45.75 4.81 2019
ギニアの旗 ギニア 10.76 7.16 13.49 1.88 2019
ギニアビサウの旗 ギニアビサウ 24.3 18.3 29.85 1.63 2018
ガイアナの旗 ガイアナ 35.69 25.7 45.27 1.76 2019
ハイチの旗 ハイチ 18.19 12.68 23.67 1.87 2012
ホンジュラスの旗 ホンジュラス 26.8 12.24 40.93 3.34 2019
香港の旗 香港 9.12 9.8 8.43 0.86 2020
ハンガリーの旗 ハンガリー 11.71 9.46 14.09 1.49 2020
アイスランドの旗 アイスランド 6.03 6.21 5.84 0.94 2020
インドの旗 インド 28.23 13.55 44.5 3.28 2020
インドネシアの旗 インドネシア 22.45 18.89 26.1 1.38 2021
イランの旗 イラン 29.4 18.26 41.49 2.27 2020
イラクの旗 イラク 40.64 16.88 65.49 3.88 2012
アイルランドの旗 アイルランド 12.02 12.7 11.31 0.89 2020
イスラエルの旗 イスラエル 17.26 17.4 17.12 0.98 2020
イタリアの旗 イタリア 18.93 19.09 18.75 0.98 2020
ジャマイカの旗 ジャマイカ 29.57 27.77 31.42 1.13 2020
日本の旗 日本 3.11 2.7 3.71 1.37 2019
ヨルダンの旗 ヨルダン 35.38 30.6 41.08 1.34 2020
カザフスタンの旗 カザフスタン 9.49 2016
ケニアの旗 ケニア 19.67 14.97 24.29 1.62 2019
キリバスの旗 キリバス 49.6 50.25 48.89 0.97 2019
コソボの旗 コソボ 33.41 33.72 33.07 0.98 2020
キルギスの旗 キルギス 21.67 13.36 30.31 2.27 2020
ラオスの旗 ラオス 42.08 39.07 44.92 1.15 2017
ラトビアの旗 ラトビア 7.06 6.94 7.19 1.04 2020
レバノンの旗 レバノン 23.52 17.91 28.89 1.61 2019
レソトの旗 レソト 35.15 28.2 42.14 1.49 2019
リベリアの旗 リベリア 44.49 41.22 47.22 1.15 2017
リトアニアの旗 リトアニア 10.76 12.25 9.19 0.75 2020
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 6.55 8.27 4.75 0.57 2020
マカオの旗 マカオ 4.96 5.56 4.32 0.78 2016
マダガスカルの旗 マダガスカル 3.79 3.31 4.27 1.29 2012
マラウイの旗 マラウイ 29.59 21.6 37.19 1.72 2020
マレーシアの旗 マレーシア 13.63 12.6 14.75 1.17 2020
モルディブの旗 モルディブ 27.6 25.21 30.03 1.19 2019
マリ共和国の旗 マリ 30.86 15.21 43.32 2.85 2020
マルタの旗 マルタ 9.23 10.37 7.98 0.77 2020
マーシャル諸島の旗 マーシャル諸島 41.17 37.14 45.19 1.22 2019
モーリタニアの旗 モーリタニア 35.53 22.69 45.21 1.99 2017
モーリシャスの旗 モーリシャス 41.72 36.14 47.65 1.32 2020
メキシコの旗 メキシコ 18.35 10.15 26.73 2.63 2021
ミクロネシア連邦の旗 ミクロネシア連邦 23.69 18.3 29.13 1.59 2014
モルドバの旗 モルドバ 35.7 38.85 32.24 0.83 2015
モンゴル国の旗 モンゴル 18.5 16.33 20.65 1.26 2020
モンテネグロの旗 モンテネグロ 21.09 21.51 20.65 0.96 2020
ミャンマーの旗 ミャンマー 13.78 7.79 19.32 2.48 2019
ナミビアの旗 ナミビア 31.76 29.27 34.2 1.17 2018
ナウルの旗 ナウル 36.4 22.05 51.3 2.33 2013
ネパールの旗 ネパール 34.76 21.16 45.82 2.17 2017
オランダ領アンティルの旗 オランダ領アンティル 4.77 4.58 4.95 1.08 2011
オランダの旗 オランダ 4.52 4.66 4.38 0.94 2020
ニューカレドニアの旗 ニューカレドニア 33.02 33.49 32.53 0.97 2020
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 11.88 11.14 12.66 1.14 2021
ニカラグアの旗 ニカラグア 24.49 8.49 40.07 4.72 2014
ニジェールの旗 ニジェール 68.56 56.86 77.1 1.36 2017
ナイジェリアの旗 ナイジェリア 28.13 25.33 30.99 1.22 2019
北マケドニア共和国の旗 北マケドニア共和国 19.81 19.67 19.96 1.01 2020
ノルウェーの旗 ノルウェー 4.9 5.4 4.37 0.81 2020
パレスチナ国の旗 パレスチナ国 31.51 26.62 36.61 1.38 2021
パキスタンの旗 パキスタン 29.71 7.6 52.54 6.91 2019
パラオの旗 パラオ 12.92 11.13 14.39 1.29 2014
パナマの旗 パナマ 19.3 15.72 22.96 1.46 2021
パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア 27.68 26.44 28.98 1.1 2010
パラグアイの旗 パラグアイ 18.06 9.61 27.32 2.84 2017
ペルーの旗 ペルー 25.88 23.03 28.82 1.25 2020
フィリピンの旗 フィリピン 18.62 15.88 21.49 1.35 2020
ポーランドの旗 ポーランド 8.63 7.79 9.52 1.22 2020
ポルトガルの旗 ポルトガル 9.06 9.35 8.77 0.94 2020
レユニオンの旗 レユニオン 28.59 29.35 27.83 0.95 2012
ルーマニアの旗 ルーマニア 14.75 11.57 18.11 1.57 2020
ロシアの旗 ロシア 12.41 10.32 14.59 1.41 2016
ルワンダの旗 ルワンダ 28.85 24.94 32.66 1.31 2020
セントルシアの旗 セントルシア 29.87 32.12 27.35 0.85 2019
サモアの旗 サモア 37.93 34.58 41.54 1.2 2017
サウジアラビアの旗 サウジアラビア 22.31 16.41 28.75 1.75 2020
セネガルの旗 セネガル 32.71 21.61 44.22 2.05 2019
セルビアの旗 セルビア 16.18 17.2 15.09 0.88 2020
セーシェルの旗 セーシェル 25.62 29.43 21.75 0.74 2020
シエラレオネの旗 シエラレオネ 8.9 8.74 9.04 1.03 2018
シンガポールの旗 シンガポール 4.46 3.41 5.58 1.64 2020
スロバキアの旗 スロバキア 10.65 9.71 11.65 1.2 2020
スロベニアの旗 スロベニア 7.68 6.93 8.53 1.23 2020
ソロモン諸島の旗 ソロモン諸島 7.04 5.1 8.94 1.75 2013
ソマリアの旗 ソマリア 43.73 37.23 49.73 1.34 2019
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 32.94 31.25 34.64 1.11 2021
スペインの旗 スペイン 13.87 14.77 12.93 0.88 2020
スリランカの旗 スリランカ 21.21 13.34 28.97 2.17 2019
スーダンの旗 スーダン 32.81 19.98 46.42 2.32 2011
スリナムの旗 スリナム 14.65 10.71 18.82 1.76 2016
スウェーデンの旗 スウェーデン 6.47 6.57 6.34 0.96 2020
スイスの旗 スイス 6.36 7.71 4.94 0.64 2020
タジキスタンの旗 タジキスタン 42.2 30.42 52.37 1.72 2009
タンザニアの旗 タンザニア 14.93 10.62 19.04 1.79 2014
タイ王国の旗 タイ 15.13 11.83 18.53 1.57 2020
東ティモールの旗 東ティモール 20.95 16.23 25.69 1.58 2016
トーゴの旗 トーゴ 25.08 18.28 31.53 1.72 2017
トンガの旗 トンガ 27.92 25.36 30.39 1.2 2018
トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 52.05 45.87 58.62 1.28 2013
チュニジアの旗 チュニジア 30.42 26.74 34.17 1.28 2014
トルコの旗 トルコ 28.32 21.21 35.72 1.68 2020
ツバルの旗 ツバル 28.96 21.71 37.41 1.72 2016
ウガンダの旗 ウガンダ 15.31 10.53 19.75 1.88 2017
ウクライナの旗 ウクライナ 16.47 13.46 19.65 1.46 2017
イギリスの旗 イギリス 10.52 10.48 10.57 1.01 2019
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 12.2 11.79 12.62 1.07 2021
ウルグアイの旗 ウルグアイ 17.58 15.26 20.08 1.32 2019
バヌアツの旗 バヌアツ 34.5 30.13 38.7 1.28 2019
ベネズエラの旗 ベネズエラ 22.75 14.99 30.9 2.06 2017
ベトナムの旗 ベトナム 18.26 16.47 20.12 1.22 2021
イエメンの旗 イエメン 44.77 22.05 69.69 3.16 2014
ザンビアの旗 ザンビア 45.11 38.9 50.36 1.29 2020
ジンバブエの旗 ジンバブエ 29.37 22.63 36.17 1.6 2019

日本の定義における統計

総務省統計局労働力調査」詳細集計(2018年以降)の就業状態の分類

 
 
 
 
 
 
 
 
15歳以上人口
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
労働力人口
 
 
 
 
 
 
非労働力人口
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
就業者失業者
 
 
潜在労働力人口その他
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
従業者
 
休業者
 
拡張求職者
 
就業可能非求職者

日本における若年無業者(ニート)の算出方法は、厚生労働省『特定調査票集計』の中の「詳細集計」(総務省労働力調査)に基づいており、そのうち、非労働力人口[12]の中から、専業主婦主夫を除き、求職活動に至っていない者と定義している。すなわち若年失業者(求職活動を行っている)は除外される。

いわゆる「家事手伝い」については、現在の厚労省の定義ではニートに含めていない(下記[13][14]

フリーターや失業者との区別
厚労省の定義では、求職活動を行っている無業者は、労働力人口の「完全失業者」に分類されており、無業であっても求職活動を行っていれば「ニート」には分類しないこととしている。フリーターについては、失業しており求職活動行っていない者を「ニート状態にあるフリーター」に分類している[13]
引きこもりとの重複
2010年に厚労省が別途に実施した調査では、いわゆる「引きこもり」の状態にある者(20〜49歳)が全国でおよそ32万世帯いると推定されており、同省ではこれらの者たちをニートの「就業希望を有しない者」に含めている。つまり、引きこもりを「ニート」として扱っているわけである[13]。しかしながら、内閣府が2010年に実施した15歳〜39歳までの若年層[15][16][17]を対象に調査した初の引きこもり全国実態調査では、引きこもりに該当する者は69.6万人おり、さらに「予備軍」がおよそ155万人いると推計された[18]。これは前述の厚労省統計によるの「ニート」に含まれている引きこもりの数を大きく上回っているものだが、厚労省研究班班長として引きこもり新ガイドラインを作成した齊藤万比古は、この数値に異論を唱えている[19]
内閣府による過去の定義

かつて内閣府では、ニートを「独身であり、普段収入になる仕事をしていない、15歳以上35歳未満の個人」と定義していた。これは、2005年に内閣府が実施した『青少年の就労に関する研究調査』において見ることができ、1956年から総務省(1956年当時は自治庁)がほぼ3年毎、1982年以降は5年毎に実施している『就業構造基本調査』を根拠にしていた。この定義は、現行の厚労省による定義と大差は無いが、「家事手伝い」を含めていた点で異なっている[14]。これは、同研究調査の企画分析委員長だった前述の玄田有史が定義したもので、その理由として「女性の若年無業者が家庭外での社会参加活動をしていない場合、自らの現状を表す言葉に窮し、『家の手伝いをしている』と回答する者が多く見受けられたため」だとしている[20]。同年の内閣府による調査では、家事手伝いや病気・ケガで療養中の者などを含めて、ニートの数はおよそ80万人と推計していた[21]

フリーターについても、厚労省と内閣府が二重に統計していたが、2006年3月22日の参議院経済産業委員会において、民主党山根隆治参議院議員(当時)から、「ニートとフリーターの数について、政府で統一をして頂きたい」との要望がなされ、当時の同省・職業安定局次長が答弁で「この政策(ニート及びフリーターの支援等)に私どもが責任を持っており、政府全体の基本的見解としては、私ども厚生労働省の試算値を政府内で取っているというふうに理解をし、そのように取り扱っている」と回答した[22]。これを受けて、内閣府によるフリーター及びニートの推計調査は、2005年に行った『若年無業者に関する調査』を最後に実施されなくなった(ただし、前述のように、内閣府は現在も引きこもりに関する全国実態調査などを別個に実施している)[14]

推移

厚生労働省の定義による若年無業者(ニート)の総数(単位:万人)
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 15~34歳計 15~39歳計
1993 8 13 10 9 - 40 -
1995 9 13 12 11 10 45 55
1996 9 12 10 9 10 40 50
1997 9 12 11 10 10 42 52
1998 9 13 13 11 10 46 56
1999 9 15 13 11 10 48 58
2000 9 12 13 10 10 44 54
2001 8 13 15 13 11 49 60
2002 12 17 18 17 15 64 79
2003 11 16 18 18 15 63 78
2004 10 18 19 18 17 65 82
2005 9 16 20 19 17 64 81
2006 10 17 18 18 18 63 81
2007 9 16 18 18 19 61 80
2008 9 16 18 19 20 62 82
2009 10 16 18 18 21 62 83
2010 9 15 17 17 21 58 79
2011 9 15 18 18 20 60 80
2012 9 17 18 18 21 62 83
2013 9 15 17 18 20 59 79
2014 8 14 16 18 20 56 76
2015 8 14 17 17 19 56 75
2016 9 14 16 18 20 57 77
2017 7 14 15 17 18 53 71
2018 7 14 15 17 18 53 71
2019 9 15 14 18 18 56 74
2020 19 18 14 18 18 69 87
厚生労働省の定義による若年無業者(ニート)の性別と年齢別の総数(単位:万人)
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 15~34歳計 15~39歳計
男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性
2000 5 3 8 4 8 5 7 3 7 3 28 15 35 18
2001 5 3 9 4 9 6 9 4 8 3 32 17 40 20
2002 7 5 11 6 12 7 11 6 10 5 41 24 51 29
2003 7 4 10 6 12 6 12 6 10 6 41 22 51 28
2004 6 4 11 7 13 6 12 6 11 6 42 23 53 29
2005 6 3 10 6 13 7 13 6 11 6 42 22 53 28
2006 6 4 10 6 12 6 12 6 12 6 40 22 52 28
2007 5 4 10 6 12 7 11 7 12 7 38 24 50 31
2008 6 4 10 6 12 6 12 7 13 7 40 23 53 30
2009 6 4 10 6 12 7 12 6 14 7 40 23 54 30
2010 6 4 10 6 11 7 11 6 13 8 38 23 51 31
2011 5 4 10 5 11 7 11 7 13 7 37 23 50 30
2012 6 3 10 7 12 7 12 6 14 7 40 23 54 30
2013 5 3 10 5 11 6 12 6 13 7 38 20 51 27
2014 5 3 8 6 10 6 12 6 12 7 35 21 47 28
2015 5 3 9 5 11 6 11 6 13 6 36 20 49 26
2016 5 3 8 5 10 5 13 6 13 7 36 19 49 26
2017 4 3 9 5 10 6 12 6 12 6 35 20 47 26
2018 5 3 9 5 10 6 11 6 12 6 35 20 47 26
2019 6 3 9 6 9 5 11 6 11 6 35 20 46 26
2020 10 8 11 7 9 5 11 7 12 7 41 27 53 34
15~39歳人口に占める若年無業者の割合
男女計 男性 女性
2000 1.3 1.6 0.9
2001 1.4 1.8 1.0
2002 1.9 2.4 1.4
2003 1.8 2.4 1.4
2004 2.0 2.5 1.4
2005 2.0 2.5 1.4
2006 2.0 2.5 1.4
2007 2.0 2.4 1.6
2008 2.1 2.6 1.5
2009 2.1 2.7 1.6
2010 2.1 2.6 1.7
2011 2.2 2.7 1.7
2012 2.3 2.9 1.7
2013 2.2 2.8 1.5
2014 2.2 2.6 1.6
2015 2.2 2.8 1.5
2016 2.3 2.8 1.6
2017 2.1 2.7 1.6
2018 2.1 2.8 1.6
2019 2.3 2.7 1.6
2020 2.7 3.2 2.1
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査による15~49歳人口に占める非求職無業者の人数と割合
非求職無業者数(千人) 非求職無業者の人口比(%)
15-34歳計 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 15-34歳計 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳
男女計 1992年 479 159 154 99 68 1.9 9.5 2.1 1.2 0.9
1997年 525 133 172 138 83 2.0 10.9 2.4 1.5 1.0
2002年 647 100 190 193 164 2.6 10.5 3.4 2.1 1.7
2007年 577 73 160 171 173 161 138 2.6 10.9 3.4 2.3 1.9 1.7 1.7
2012年 564 68 143 191 161 194 207 3.0 11.7 3.7 2.8 2.1 2.1 2.2
2017年 535 69 141 164 161 174 215 217 3.1 13.0 3.7 2.7 2.3 2.2 2.3 2.3
1992年 312 121 97 52 42 2.5 12.7 2.8 1.3 1.1
1997年 326 92 104 77 54 2.5 13.0 3.1 1.6 1.3
2002年 397 60 116 117 104 3.2 11.4 4.4 2.5 2.2
2007年 363 48 100 105 111 101 93 3.3 13.0 4.4 2.8 2.4 2.1 2.3
2012年 348 43 87 117 102 125 130 3.6 12.9 4.6 3.4 2.6 2.6 2.7
2017年 333 45 85 102 101 116 143 147 3.8 14.1 4.6 3.3 2.8 2.9 3.0 3.1
1992年 167 38 56 47 25 1.3 5.3 1.4 1.2 0.7
1997年 199 41 68 62 29 1.5 8.0 1.8 1.3 0.7
2002年 250 39 74 76 60 2.0 9.2 2.6 1.7 1.3
2007年 213 25 60 66 62 60 45 1.9 8.4 2.4 1.8 1.4 1.3 1.1
2012年 216 26 57 75 59 68 78 2.3 10.1 2.8 2.2 1.5 1.5 1.7
2017年 202 24 56 62 61 58 72 69 2.3 11.3 2.9 2.1 1.7 1.5 1.6 1.5

注:「非求職無業者」は、無業者のうち求職活動をしていない者で、学校を卒業しているが通学しておらず、配偶者なしで家事をおこなっていない者。人口比は、在学中の者を除く同年齢階層の者に対しての割合。

  • 資料出所
総務省統計局「労働力調査(基本集計)」
厚生労働省「平成30年版厚生労働白書」[23](2019年7月)
内閣府「令和3年版子供・若者白書」[24](2021年6月)
内閣府「令和2年版子供・若者白書」[25](2020年7月)
内閣府「平成25年版子供・若者白書」[26](2015年6月)
独立行政法人労働政策研究・研修機構「資料シリーズ No.217 若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③ ―平成29年版「就業構造基本調査」より―」[27](2019年6月)

15~39歳の若年無業者(厚労省定義)の推移:若年無業者人口は1995年から2004年にかけて、後述する定義の変更もあるが、約55万人から約82万人(男性:約53万人 女性:約34万人)へと急増している。そして、2013年まで80万人前後を推移し、その年以降減少した。2020年は新型コロナウイルス感染症流行による経済悪化によりパートアルバイトで働く若年層の解雇が相次いだため[28]、前年より増加し、約87万人(男性:約46万人 女性:約26万人)であった。特に10代前半が増加した。また、同年齢層に占める割合は2002年以降、2%前後で推移しているが、2020年は前述の理由により、2%後半台に増加している。更に、2005年以降の労働経済白書でニートの定義に「家事を行わない既婚者」やいわゆる不登校の状態にある学生を新たに加え、過去の数値についても訂正した。従って、2002年以前の数値にはこれらの者が含まれていない。

15~49歳の非求職無業者の推移:独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、15-34歳の非求職無業者は1992年から2002年にかけて増加し、2002年は約64.7万人(男性:39.7万人、女性:25.0万人)であったが、その年以降減少し、2017年は約53.5万人(男性:約33.3万人、女性:約20.2万人)であった。また49歳までの年齢層を含めた場合、2017年は約114.1万人(男性:約73.9万人、女性:40.1万人)であり、15-34歳の非求職無業者数の約2.1倍となる。更に割合の場合は、15-34歳の年齢層(在学中の者除く)では、1992年の約1.9%(男性:約2.5%、女性:約1.3%)から2017年の約3.1%(男性:約3.8%、女性:約2.3%)へと増加している。そして年齢層では、どの年も在学中の者を除いたことにより、15-19歳の年齢層が非求職無業者の割合が高く、約1割いる。

最終学歴

非求職無業者(15~34 歳)の学歴構成(%)
中学 高校 短大・専門 大学・大学院
1992年 28.8 58.4 6.9 5.8
1997年 25.2 56.1 9.6 9.0
2002年 28.1 51.2 9.5 11.2
2007年 23.8 50.0 12.7 13.1
2012年 21.3 52.3 11.3 14.6
2017年 18.1 57.2 10.9 13.2
男性 18.8 57.9 7.8 14.7
女性 17.0 56.0 15.8 10.8

注:専門学校については、修業年限「1年以上2年未満」「2年以上4年未満」「4年以上」の3つにカテゴリーに分けて調査されたが、集計に当たっては、「4年以上」は「大卒・大学院卒」に、「1年以上2年未満」「2年以上4年未満」は「短大・専門」に統合して集計している。

  • 資料出所:2019年6月 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「資料シリーズ No.217 若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③ ―平成29年版「就業構造基本調査」より―」[27]

人数では、最終学歴は高校卒(高卒)が最も多い。また同年齢人口全体では、中卒が約5%、高卒が約30%(いずれも在学中を除く)であることを踏まえれば、高卒・中卒が非求職無業者になる確率が高く、特に中卒が高いことは明らかである。更に学歴が中卒の場合、職業の選択肢が狭まるだけでなく、専門学校や教習所職業訓練施設などへの入学も制限されることと、普通自動車免許などを除き中卒でも取得可能な免許資格が制限されるため、無業者に陥る割合が高くなる。

求職活動をしない(できない)理由

理由別(年齢別)(%)2017年
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 15~39歳合計
探したが見つからなかった 3.2 5.3 5.4 7.7 7.3 6.3
希望する仕事がありそうにない 7.8 8.7 4 4 3.1 4.9
知識・能力に自信がない 5.9 13.5 12.7 13.9 9.4 11.8
出産・育児のため 1.8 1.7 2.2 2.8 3 2.4
介護・看護のため - 0.9 1.4 0.5 0.3 0.7
病気・けがのため 9.1 19.6 34.6 37.1 45.3 33.5
通学のため 0.9 0.9 0.2 0.1 0.1 0.4
学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている 26.9 9.4 5.4 2.7 2.9 6.3
急いで仕事につく必要がない 8.7 9 7.8 5.7 6.6 7.3
その他 35.6 30.9 25 24.8 21.8 25.9
  • 資料出所:総務省統計局「就業構造基本調査(基本集計)」
  • 資料出所:2020年7月・内閣府「令和2年版子供・若者白書」[29]

10代後半は学校以外で進学や資格取得などの勉強がその他を除き最も多くを占め、それ以外の年齢層は、病気や怪我など健康上の理由や回答する者がその他を除いて最も多く占めている。

生活状況

2007年に厚生労働省委託により実施された調査『ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究』 によると、出身家庭の経済状況について、3.3%が「余裕がある」、10.8%が「やや余裕がある」、47.1%が「ふつう」、28%が「やや苦しい」、8.9%が「非常に苦しい」と回答。就業経験については、過去に連続1か月以上就労した経験がある者は79%で、就労回数は平均2.6回となっている。就職活動については、75.8%がハローワークに通ったことがあり、68.2%が面接を受けるため企業に問い合わせた経験がある他、64.8%が実際に面接を受けている。メンタル面では、49.5%が現時点で引きこもりで、49.5%が精神科または心療内科を受診した経験があるという[30]

その他

  • 2006年に読売新聞社が行ったインターネットモニター調査によると、学校時代、部活動やサークル活動などの課外活動をしたかどうかの質問で、消極的なほど、その後の就労経験が乏しいという傾向が見られた[31]。具体的には、課外活動を「特にしていなかった」とした割合は、1度も働いたことがない未就労者が61.2%で最も高く、以下、就職経験のある無業者 (46.5%) 、長期アルバイト (33.6%) と、就労経験が豊富なほど消極派の割合は減った[31]

日本での歴史

日本でニートをはじめて紹介したのは社会科学リサーチャーのウィッタカー(沖田)敏恵だといわれている[32]。 2003年に厚生労働省所管の特殊法人である日本労働研究機構(略称:JIL、現在の労働政策研究・研修機構)が若者就業支援政策の国際比較研究の中で「ニート」という用語を用いて、イギリスにおける若者支援政策を紹介している[33]。 対象年齢を15~34歳に広げ、非労働力のうち通学も家事もしていない無業者をニートと位置づける等、「日本版」のニートを定義づけたのは、独立行政法人労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子である[34]。 翌2004年、そのJIL研究員で東京大学社会科学研究所(社研)助教授(いずれも当時の肩書)の玄田有史が、ジャーナリスト・曲沼美恵との共著で『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』を上梓すると瞬く間に話題となり、マスメディアで「ニート」という言葉が多用されるに至った。

一方、東京大学大学院教育学研究科教授で、著書『「ニート」って言うな!』を上梓した本田由紀は、「ニート」という言葉そのものが不適切であり、用語を広めた玄田有史及び玄田の書籍などを厳しく批判している。なお、本田はJILや社研で玄田と同僚であった。本田によると、産経新聞が2004年5月17日付の記事で「働かない若者『ニート』10年で1.6倍 就業意欲なく親に”寄生“」と題してこの書籍を取り上げたことや、テレビ番組に「ニート」として取材を受けた男性が「働いたら負けかなと思っている」などと嘯いていたことが、インターネット上を中心に話題となり、これ以後、日本における「ニート」の概念やイメージが『働く気のない怠け者』『無気力』『心を病んでいる』『親に寄生して生活している』(パラサイトシングル)などといったネガティブなものに色濃く定まってしまい、現在では「ニート」という用語が罵倒語、もしくはそれに準ずる形で用いられているとしている。このことで問題の本質が覆い隠されてしまい、経済や社会の構造的な要因が大きいにも関わらず、「若者の側に問題がある」かのように語られるという問題が起きていると述べており、また、「若者の内面に問題があるから矯正しなければならない」といった政策のミスリードを懸念している[35][36]

しかしながら本田の思いとは裏腹に、今日において「ニート」は各方面で批判や差別の対象となっている(#ニートに関する発言・見解)。ただ、テレビ視聴者の一部からは、そうした批判に対して懐疑的な見方もなされており、放送倫理・番組向上機構(BPO)などには“ニートバッシング”を批判する意見も寄せられている[37]。また、「ニート」と称してテレビ出演している者については「やらせ」も疑われている[38][39]

その後玄田は、『ふだんずっと一人でいるか、家族としか一緒にいることのない』という生活を送る20〜59歳の未婚無業者(通学中を除く)を「スネップ」(SNEP、孤立無業者)と定義し、その実態把握と対策の必要性を2012年頃から主張し始めたが[40]、この用語についても新たな偏見や差別を招くとして、批判が起きている(スネップ#用語に対する批判参照)。

呼称変更の取り組み

大阪府では複数のNPO法人が中心となり、働く意思を持っていて就職活動に至っていないニートの若者を「レイブル」(レイトブルーマーの略で遅咲き、大器晩成の意)と言い換える取り組みが2011年に開始した[41][42]が、Yahoo!ニュースが「この呼称変更策は効果があると思うか?」という意識調査を実施したところ、「効果はある」「ある程度の効果はある」との回答が6%に止まり、「まったく効果はない」だけでも72.7%、「あまり効果はない」も18.2%に上った。「効果はない」と回答した者からは、「名前を変える以外にやることがあると思う」「働く意思のある奴はどんな呼称だろうと動く」「むしろ、もっと恥ずかしいネーミングが良い」「呼び方を変えるだけで効果が上がるなら、こんな簡単な話はない」などの冷ややかなコメントが寄せられた[43][44]

ニートに対するイメージ

就労意欲

2008年4月に横浜市の「こども青少年局」が市内在住のニートや引きこもり状態にある15〜34歳までの若年無業者およそ750人を対象に実態調査したところ、8割を超す者が就労を希望すると回答した。内訳は、「正社員の就労を希望」との回答が46.6%、「パート・アルバイト・派遣社員などの就労を希望」が1.7%、「就労希望だが不安が残る」が34.5%で、合計すると8割を超えた。一方、「就労希望だが今は休みたい」が1.7%、「就労を希望していない」も1.7%で、現状で就労意欲の無いのはごく僅かであることが分かった。一方、同市が市内の企業(約1,000社中、316社が回答)に対して実施したアンケートによると、雇用する意向のある企業は14.2%に止まった一方、83.3%の企業が「就労困難な若年無業者を雇用する意向はない」と回答しており、ニートの社会参加が厳しいことがわかった[45]

対策・支援

詳細はリンク先を参照。

厚生労働省
経済産業省
文部科学省・民間(企業NPO法人など)
内閣官房

課題・問題点

「ニート利権」問題

著書『「ニート」って言うな!』を上梓した本田由紀は、ニートの支援に関連する諸々の対策が利権の温床となっており、上に挙げたような、各省庁地方公共団体、支援に携わる特定非営利活動法人等の民間団体や企業までもが「ニートの自立支援」を名目とした予算の争奪戦を繰り広げている現状があると指摘している。本田は、「これまで引きこもりへの支援を細々と行っていたような団体が、ニートへの支援を謳い始めた途端にお金が降りて来るというような現象が起きている」と指摘、これらの者が従来行っていた“引きこもり対策”を“ニート対策”にシフトさせて利権を拡大させたと分析している[46]。実際に、経済産業省所管の就業支援事業『ジョブカフェ』において、同省からの孫請けで事業を行っていた、リクルート東京リーガルマインド日本マンパワーの民間企業3社が、スタッフ1日当たりの人件費として、プロジェクトマネジャーが120,000円、コーディネーターが90,000円、キャリアカウンセラーが75,000円、事務スタッフが50,000円という極めて高額な賃金を計上していることが、2007年に発覚している[47][48][49]。この問題は、社民党福島瑞穂参議院議員が参議院厚生労働委員会において、厳しく追及した [50]

この他にも、若年無業者の相談窓口の1つである『地域若者サポートステーション』の運営・指導・研修などを委託されている公益財団法人日本生産性本部は、民主党政権時代の事業仕分けにおいて、厚生労働省からの天下りが27人いると指摘されている。若者サポートステーション事業の予算は、2014年1月の安倍政権事業仕分けにおいて、厚労省の若者支援事業に「わかものハローワーク」や「ジョブカフェ」などの類似した事業が多いことを理由に一旦はゼロになったが、同省が補正予算で「若者育成支援事業」と名称を変えて35億円の予算を復活させていたことが判明した[51]

高額な料金負担

2009年度まで実施されていた厚労省委託の自立支援事業『若者自立塾』では、常に利用者数が募集枠を大幅に下回り、その後の利用実績も伸びなかったが、その大きな要因として「利用料金の高さ」が挙げられていた。団体によって異なっていたが、補助金から支給される運営費は要支援者1人につきおよそ300,000円(3か月分)で、これとは別に施設側が提示した「食費」や「宿泊費」の費用160,000〜300,000円(3か月分)を入所者側が負担しなければならなかった。高額な料金負担を問題視した同省は、2008年5月以降に生活保護受給世帯の若者が入塾する際、費用の大半を負担する制度を導入したが、一方で“生活保護を受けていない低所得世帯”の若者はこの恩恵に与れなかった[52][53][54]。なお、若者自立塾を取材し調査を行った人物は、「このような施設に通うことが出来る人は比較的問題が少なく、経済的に恵まれている家庭の人であると思う」との見解を示している[52]

現在厚労省委託により実施されている地域若者サポートステーションでも、やはり高額な料金負担が問題視されている。サポートステーションでは社会復帰に向けて「職場体験」や「就労訓練」などが行われているが、原則として賃金は得られない[55]。そればかりか、逆に料金の負担(出典元のケースでは50〜60万円)を求められる。ある支援団体のケースでは、利用者が給与の支払いを求めると、「働かせて頂いてるんだから、(賃金を)受け取ろうとするほうが間違っている」「仕事がしたいんなら、どうぞハローワークへ行って、勝手に仕事探してください」などと切り捨てられ、賃金の支払いには応じてくれなかったという。サポートステーションでの無償就労について労働基準監督署は、「時間拘束や指揮命令などの労働者性があれば、一般的には労働と考えられる」と指摘し、労働基準法違反に当たる可能性も示唆している[56]が、現在までに行政処分を受けた支援団体はない。

強引なアプローチ・実力行使

若年無業者(引きこもり・ニート)を立ち直らせる方法を巡っては、「家から叩き出せばよい」などと実力行使を主張する者が少なからず存在し、賛否両論がある[57][58]。支援団体の中にも、若年無業者宅へ出向いて自立訓練などへの参加を促す「アウトリーチ」(訪問)を行っている団体が多く存在している。しかし、こうした手法については、若年無業者の自宅に押しかけて本人の同意も得ずに強引に連れ出し、寮に入所させて集団生活を強いる団体が訴訟を起こされたり[59]、同じく強制的に寮に入所させられた引きこもり状態の青年が、スタッフやその意を受けた他の若年無業者らに身体拘束されたり、暴行を受けるなどして死に至った事件[60][61]、精神的に不安定だった引きこもりの入所者が自殺に至ったトラブルなども多く発生している[62][63]

ニートに関する発言・見解

批判

  • 衆議院議員の小沢一郎は、「本人たちは『誰の迷惑にもなっていない』と言うかもしれないが、親の稼ぎで食わせて貰って、公的なサービスも享受している。病気でもないのに他人に寄生して生きているなど、とんでもない話だ」と不快感を示し、続けて「彼ら自身も問題だが、何よりも厳しくせずにただ甘やかしている親たちが問題だ。親鳥はヒナが大きくなるまでは一生懸命に世話をするが、一定の時期が来ると冷たく突き放して巣立ちさせる。それが出来ないニートの親は動物にも劣るといっても過言ではない」などの持論を展開した。また、当時政府与党が準備していた対策などについても、「政府は今後ニートの就職支援に本腰を入れるそうだが、僕に言わせれば対策は簡単だ。一定の猶予を与えて、親が子供を家から追い出せばいい。追い詰められれば、彼らも必死に考えて行動するはずだ。それでも働きたくないというなら、親には一切頼らず、他人に迷惑もかけず、公的なサービスも受けないことだ。無人島で生活すればいい」などと切り捨てた[64]
  • 国会議員や東京都知事を歴任した作家の石原慎太郎は、「ニートの問題というのは、国家の緊張感の問題に関係があると思う。例えば、韓国には徴兵制度がある。途上国には貧困や食糧の問題がある。そうした色々な問題が緊張感を生んでいる」という持論を述べた[65]。続けて、「結局、これは私たち大人の責任で、社会全体が子供たちを甘やかしすぎた。(動物行動学者の)コンラッド・ローレンツは、子供の時に(虐待ではない)肉体的な苦痛を味わわなかった子供は、大人になって非常に不幸な人間になると言っている。我慢するといった作業の中でこらえ性が身に付くのだ。日本の子供はこらえ性がないから結局ニートになってしまう。」などと批判した[66]
  • 登山家野口健は、「僕が登山のために訪れたチベットには貧しい人が沢山いる。仕事をしなければ食べていけない。僕の仲間が『(チベットの)彼らには“ニート”という発想が無いだろう』と言っていたが、その通りだと思う。日本は親がニートにご飯を食べさせているから、そういう意味ではもっと厳しくていい」などと批判した[66]
  • 写真家ジャーナリスト宮嶋茂樹は、「税金も払わない上に、三十路になっても親がせっせと部屋に「エサ」を運び続け、パソコンに向かってしか他人と会話できん奴をニートと呼ぶそうだが、そんな穀潰しが何十万も生きているのは世界広しと言えども日本だけである」となどと批判し、続けて「お隣の半島南半分ではサッカー選手から、大統領まで男は全員2年以上の徴兵される。日本でも8か月ぐらいでいい。ニートに対して規律、勇気、自己犠牲国防意識という美徳を自衛隊で徹底的に教育し直すべきである」と述べ、ニート対策として徴兵制度の導入を唱えている[67]
  • 精神科医の香山リカは、自身の連載コラムの中で、脱(反)原発運動にのめり込んでいる者の多くが「引きこもり」や「ニート」であるとし、「(反原発派は)病名をつけなければならないとしたら適応障害」「ファンタジーへの逃避で平穏を保ってきた彼らがいま原発問題にこころの平穏を見出している」などと主張した[68]。その後強い批判を受け、誤解を与えたとして謝罪した[69]
  • 元衆議院議員で現在はタレントの杉村太蔵は、女性セブン誌上の人生相談において、無職の息子を持つ主婦の相談に「ぐうたらに生きているのなら甘やかしてはいけません。兵糧攻めするぐらいの勢いで、まず食事は作らないこと。さらに厳しく“働かないなら家を出て行ってくれ”ということ。それぐらいしないと気づかないこともありますよ。」などと回答した[70]。また、著書『バカでも資産1億円 「儲け」をつかむ技術』に関する取材の中でも、ニートの中でも単なる怠け者に該当する部類の当事者について「いちばん悪いのは彼らの親です。食べるもの、寝る場所があれば、働かなくても済んでしまうわけです。これは家庭で取り組むべき問題です。親は一切の援助をやめて、子供を社会に放り出すべきです」と述べた[71]

擁護

  • 経済学者田中秀臣は「日本では、ニートはその原因を本人のやる気のなさに求める風潮にあるが、本質は不況による失業問題なのである[72]」「ニートが急速に増えたという1997年以降は、ちょうど不況が深刻化した時期である。つまり、ニートの増加は景気に大きく左右されていると考えられる[73]」と指摘している。田中は「日本の若者は駄目になったのではまったくなく、そう見えるのは逆に責任をとらない既得権益を丸出しの大人達がいるからである」と指摘している[74]。また田中は「内閣府の『若年無業者に関する調査』中間報告のニート数約80万人は『数字操作』であり、この拡張版『ニート』は求職意欲喪失者といわれる層を大きく含んで定義している」と指摘している[75]
  • 経済学者の大竹文雄は「日本のバブル崩壊以降の長期不況によって、若年層の就職が困難な時期が続いた。この経済環境が、若年層を中心に勤勉に対する価値観を崩壊させた可能性がある」と指摘している[76]
  • 経済学者の原田泰は、若年失業者の増加は経済情勢を反映したものであり、若者の性格・教育システムが変わったせいではないとしている[77]。原田は「現在ニートとなっている若者の中には経済情勢が良ければ、就職し、仕事から自身を見つけ、社会適応力を身につけることができた若者も多いはずである。何もかも構造のせいにするのは、社会問題の解決を妨げる」と指摘している[78]
  • 経済学者の飯田泰之は、高齢者がニートやフリーターら定職に就いていない若者を非難する際、「自分の若い頃は戦争でこんなに大変だった」などといった自己正当化の言葉をぶつけてくるため、反論の余地がなく議論にならないと指摘している[79]

提言

  • 衆議院議員の稲田朋美は、「ニート問題を解決するためには“徴農制度”を実施すべき。若者に農業に就かせる徴農を実施すれば、ニート問題は解決する」などと持論を述べた[80]
  • 田中秀臣は「ニート対策に効果があるのは、教育・雇用のミスマッチ解消ではなく、景気対策である」と指摘している[81]。田中は「ニート対策として公営・民間の就職相談所の活用、ニート層への課税によって労働・教育を受けるインセンティブを促すといった政策が提唱されているが、求職意欲喪失者への対策は景気対策が必要なのであり、税金を課したり、公営の説教を垂れることでは解決しない。このような政策はいたずらに社会的なコストを増やしかねない」と指摘している[82]。田中は「構造改革主義者は、ニートが働かないという経済的な非効率性のみに注目している。ニートについて、ミクロ(個人)の問題を効率性一辺倒で捉えるのではなく、マクロの視点に立って社会全体への関心として解消をはかるべきである」と指摘している[83]

揶揄

脚注

注釈

  1. ^ 2020年時点の1人当たり国民総所得(GNI)が1,035米ドル以下の国。アフガニスタンやイエメンはこの分類に当たる。
  2. ^ 2020年時点の1人当たり国民総所得(GNI)が1,036米ドルから4,045米ドルまでの国。インドやウクライナはこの分類に当たる。
  3. ^ 2020年時点の1人当たり国民総所得(GNI)が4,046米ドルから12,535米ドルの国。中国やブラジル、インドネシアがこの分類に当たる。
  4. ^ 2020年時点の1人当たり国民総所得(GNI)が12,535米ドル超の国々。

出典

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関連項目

参考文献

外部リンク