鯛めし
鯛めし(たいめし)は、鯛と飯を組み合わせた日本料理の一つである。
概要[編集]
鯛と米は日本人にとって古来より馴染み深い食品の代表格であり、これらを用いた料理は全国各地に見られる。現在の日本で一般的にイメージされる鯛めしは、鯛を一尾まるごと飯に炊き込んで作ったものを指す。鯛は臭みを取り香ばしさを出すために予め焼かれ、米飯の味付けには醤油、塩、酒、みりん、昆布出汁などが用いられる。炊飯には土鍋が使われることも多い。炊き上がったら骨を外し、身をほぐして取り分ける。薬味には木の芽や針生姜などをあしらう。湯茶をかけて鯛茶漬けとしても美味である。
上記以外にも、味付けした鯛そぼろを乗せた飯や、鯛の刺身を乗せた飯のことを鯛めしと呼ぶ例がある。
駅弁[編集]
鯛めし弁当は現在、今治駅、神戸駅、敦賀駅、大船駅、横浜駅、箱根湯本駅、小田原駅、熱海駅、三島駅、沼津駅、静岡駅[2]などで販売されているが、今治駅など西日本の駅弁が鯛の身をほぐして混ぜ込んだ炊き込みご飯であるのに対し、神奈川県、静岡県など東日本では茶飯の上に甘く味付けしたおぼろを散らしたものを鯛めしと呼んでいる。
宇和島鯛めし[編集]

鯛めしは愛媛県の郷土料理の一つとして知られるが、地域によって、大きく二つの種類に分けられる。 東予地方や中予地方では一般的な焼き鯛の炊き込みご飯を鯛めしと呼ぶが、宇和島市を中心とする南予地方では鯛の刺身を、醤油を主体としたタレに生卵、ゴマ、きざみねぎなどの薬味を混ぜたものに和え、ご飯に載せたものを鯛めしと呼ぶ。
同地方にはひゅうが飯という味付けした刺身を米飯に載せて食べる料理があり、「鯛めし」はその鯛バージョンを指す名称であった。 元々は宇和島市の一部に伝わる家庭料理であったが、昭和50年代に、当時の津島町(現・宇和島市)に「六宝」という名称でひゅうが飯を出す店が現れ、他地域の人々にも知られるようになった。その後「生の鯛めし」は松山市など宇和島市以外の県内に広がり、やがて南予地方の名物とされるようになっていった。 昭和60年代には「鯛めし(ひゅうがめし)」と記載する例が多かったが、やがて「鯛めし」の名称に統一されていった[3]。
2007年(平成19年)、「宇和島」の地名を冠した「宇和島鯛めし」として農林水産省の「郷土料理百選」に選ばれた。地元の飲食店などでつくる協同組合が地域団体商標を登録している。元は、宇和海にある日振島を拠点とする海賊が、船上で火を使わず食べたことが始まりとする伝承もある[4]。
松山市では平成21年に「活き鯛めし」の名称を使い、松山市の郷土料理として大々的に「鯛めし」を紹介したが、現在は宇和島が発祥の地と変更されている。