豚丼

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豚丼の一例

豚丼(ぶたどん、とんどん)とは、豚肉を調理したものをどんぶりご飯の上に載せた丼物料理である。

家庭料理の他、牛丼チェーン店のメニューで、牛丼の具を豚肉にしたもの、また北海道道東地方(主に十勝地方)の郷土料理として食べられている。

概要[ソースを編集]

かつてすき家が販売していた豚丼

豚肉を牛丼に似たタレ味に調理しており、豚肉用に調合されたタレで煮込んだものをご飯の上に載せた丼物である。 十勝帯広発祥の豚丼は豚の焼肉を使用しており、また牛丼チェーン店などでは割り下で煮込んだ「豚丼」も存在した。 割り下で煮込んだ豚丼と焼肉系の豚丼はかなり味わいの異なるものになるが、これらを含め「豚丼」として区別されないこともある。

家庭で作られる事の他、専門店や牛丼チェーン店で提供されており、かつては牛丼屋で多く見られた。

近年では東京において新規開店[1]するなど、各地で広く食べられている。

中食[ソースを編集]

セイコーマートの豚丼(店内調理)
  • スーパーマーケット等の惣菜コーナー、コンビニエンスストア、持ち帰り弁当店などでは「豚丼弁当」を販売している例もある。中には、配達サービスを行う店舗もある。
  • 豚丼を販売する各牛丼チェーンでは、持ち帰り用の容器を用意しており「豚丼弁当」としても販売している。

調理[ソースを編集]

  • 手軽に調理できるレトルト冷凍「豚丼の素」がグリコS&Bマルハソラチ等の食品メーカーや牛丼チェーンの松屋や吉野家からも発売されている。
  • あらかじめ調合された「豚丼のタレ」も各食品メーカーより発売されているが、こちらは「帯広系豚丼」のものが多い。
  • 豚丼のレシピというと「帯広系豚丼」を指したものが多いが[2]、前述の牛丼チェーンの豚丼の影響もあり、そちらに類似した味を目指したレシピも増えつつある[3]

豚丼の日[ソースを編集]

前述の食品メーカーソラチが、2010年2月に2月10日を「豚丼の日」として日本記念日協会に登録し、PRや消費拡大活動を行っている[4]

牛丼チェーン店[ソースを編集]

BSE問題により牛丼の代替品として導入

2003年(平成15年)12月のアメリカBSE問題による牛肉の調達困難を受けて牛丼チェーン各社が相次いで牛丼の代わりに導入した、豚肉煮込みを使用した代替商品の丼物の総称も豚丼と呼ぶ。

当初は、牛丼にできるだけ近い味を目指した商品であった。豚肉の特性に合わせた調理法・味付け・オペレーションが不十分・不徹底だった影響により低評価を下した客も少なくなかったが[5]、その後地道な改良を重ねて豚肉により合った調理法とオペレーションを築き上げ、独自の味付けに変化することで牛丼とは別の顧客が開拓された[5][6]

各社での呼び方は少しずつ異なっており、松屋「豚めし(ぶためし)」、吉野家「豚丼(ぶたどん)」、すき家「豚丼(とんどん)」、なか卯「豚どんぶり(ぶたどんぶり)」となっていた。

BSE問題解決により販売終了

その後、オーストラリア産牛肉の輸入やアメリカ産牛肉の輸入再開により、牛丼の販売が再開されたため、なか卯は2005年10月で豚どんぶりの販売を終了した[6]。吉野家・松屋・すき家では牛丼の販売再開後も豚丼の販売を続けてきたが、まずすき家が「牛丼の代替品の役目を終えた」[7]、「主力の牛丼とカレーを値下げするため」[6]として、2009年4月23日に豚丼の販売を休止した。

吉野家は2011年12月8日に帯広系豚丼である焼味豚丼の販売を開始し、従来タイプの豚丼の販売を終了した。また松屋も2012年1月9日に店頭メニューとしては販売を終了し、店頭およびインターネットでの冷凍個食パックの販売のみ継続している。

牛丼に似せた代用品として販売開始された商品であったが、牛丼の再開後も豚丼を好む客層があった[6]。牛丼より価格が安いことのほか、「味があっさりしていて食べやすい」「豚丼が好き」「牛肉があまり好きではない」などの声もあったという[6]。2009年にすき家が豚丼の販売を休止したときもすき家では「一定比率の売上はあった」としていたほか、吉野家・松屋でも牛丼に次ぐ売り上げがあった[6]。上記3社とも牛丼の代用品としての豚丼の販売は休止したが、牛丼の代用品とは異なる形で豚肉を使用した丼物(吉野家の焼味豚丼など)の販売を継続している。また松屋は期間限定販売という形で豚めしの提供を行っている。

通年販売として復活

その後、2015年にすき家が豚丼の販売を再開し、2016年4月6日に吉野家が豚丼の販売を再開している(代わって、「焼味豚丼」は販売終了)。

帯広系豚丼[ソースを編集]

ぱんちょう(帯広市)の豚丼

帯広系豚丼は、豚肉を砂糖醤油などで味付けした甘辛いタレで焼いたものを飯の上に載せた丼物である。主に道東で広く食されている。豚肉の部位としては主にロースばら肉を使い、調理法も味覚も牛丼チェーンの豚丼とは似て非なる料理である。

牛丼チェーンの豚丼が広まってきたため、名称における紛らわしさを避ける目的で、「帯広系豚丼」「十勝豚丼」「帯広豚丼」と呼称する場合もある。いずれの場合も「豚丼」の読みは「ぶたどん」である。

帯広観光コンベンション協会、帯広シティーケーブルなどによれば、十勝地方に特有のこの種の豚丼は、北海道帯広市の大衆食堂「ぱんちょう」創業者、阿部秀司によって1933年(昭和8年)に開発されたとされる[8]

北海道十勝地方では、明治時代末に養豚が始まり(この時代の開拓の苦労を表す言葉として依田勉三の句「豚とひとつ鍋」がある)、大正末期には豚肉料理が一般的になりつつあったが、料理法が限定され、特に豚カツなどは庶民が食べるものではなかった。阿部は庶民にも食べられる料理ということで、鰻丼をヒントにした醤油味の豚丼を開発した[9]

2011年12月8日、吉野家が「焼味豚丼 十勝仕立て」という名称で帯広系豚丼の販売を開始した(2016年4月6日の豚丼販売再開に伴い、「焼味豚丼」は販売終了)。

十勝地方の郷土料理として定着しているが、店によって白髪ネギグリーンピースなど、肉以外に載せる具にはさまざまなものがある。肉の調理法も、網焼きとフライパンで炒める場合とがある。

スタミナ丼[ソースを編集]

ニンニクをきかせた醤油だれや塩だれで味付けされた豚肉に生の鶏卵をおとして、鶏卵と一緒に食す豚丼を「スタミナ丼」として提供する店も存在する。東京国立市発祥とされる。

豚丼 (とんどん)[ソースを編集]

かつて大阪府で数店舗展開していた「とん丼亭」では、豚肉とキムチニラを独自のたれで炒めたものを載せた丼物を「豚丼(とんどん)」として供していたが、現在は1店舗のみ営業しており、メニュー名は「とん丼」と表記変更している。

大学[ソースを編集]

大学丼」として、近隣の大学に由来する地域密着型メニューになっている。大学丼祭というキャンペーンを度々行っており、近隣に知られている。上記の「とん丼亭」も、大阪学院大学のそばにある。

  • 駒沢丼「ねぎ塩豚丼」
  • かまた丼「彩り野菜のホエー豚丼」
  • 東経丼「スタミナ塩すた丼」
  • 帝京丼「ホエー豚の肩ロース丼」
  • 仙台丼「ホエー豚の焼き肉丼」
  • 中央丼「チンジャオ仕立てのホエー豚丼」
  • 一橋丼「野菜たっぷり多摩すた丼」

脚注[ソースを編集]

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  1. ^ 「伝説のすた丼屋」、「炭焼豚丼 豚野郎」、「東京チカラめし」(現在中止)など
  2. ^ 帯広発祥、甘辛味の「豚丼」のレシピ All About 2009年9月7日
    おもいッきりイイ!!テレビ年商60億円! 田中義剛秘伝のレシピ / 北海道十勝豚丼2008年11月19日放送
    「豚丼」 きょうの料理NHK)公開日:2009年10月12日、豚丼 味の素 レシピ大百科 など
  3. ^ 例として、クックパッドレシピ検索 にて「牛丼 豚丼」「めんつゆ 豚丼」「吉野家 豚丼」「チェーン 豚丼」などの検索結果を参照
  4. ^ 2月10日は「豚丼の日」”. 十勝毎日新聞社ニュース. 2012年5月14日閲覧。
  5. ^ a b dancyu 2005年7月号 特集:旨い!「丼」 / 豚丼は牛丼に勝てるか!?
  6. ^ a b c d e f 「豚丼」はどこへ行く すき家は休止したが… J-CASTニュース 2009年4月17日
  7. ^ すき家が牛丼やカレーを値下げ、そして「豚丼」を販売休止へ GIGAZINE 2009年4月16日
  8. ^ 元祖豚丼ぱんちょう 帯広観光コンベンション協会
  9. ^ 十勝毎日新聞社連載記事「十勝豚丼物語」

関連項目[ソースを編集]