滷肉飯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
滷肉飯
Lurou fan(Taiwanese cuisine).jpg
各種表記
繁体字 滷肉飯
簡体字 卤肉饭
拼音 lǔròu fàn
注音符号 ㄌㄨˇ ㄖㄡˋ ㄈㄢˋ
ラテン字 Lurou fan
発音: :ルーローファン
:ローバープン、
台湾語白話字 ló·-bah-pn̄g
テンプレートを表示

滷肉飯(魯肉飯、ルーローハン、ローバープン[1])は、台湾の郷土料理[2]小吃に分類される[3]

概要[編集]

台湾人に広く愛される郷土料理である[2]。豚バラ肉を醤油のスープで甘辛く煮込み、ご飯にかけたもので、代表的な庶民料理に数えられる[4][5]。台湾では店、家庭によってバラ肉以外にも様々な部位の豚肉が用いられ、茶碗サイズの器に盛りつけることが多いので、他のおかずと共に食される[5][6]

「滷」は「」に由来し[7]、「醤油や香辛料を煮込んだスープ。またはそのスープで作った食べ物」を意味する[8]が、漢字が複雑などの理由で同音の「魯肉飯」表記も用いられる[5]

英語表記は台湾語のピンインをアルファベット表記した「Lu Rou Fan」や「Minced Pork Rice」が用いられる[5]

歴史[編集]

元々は肉屋で余ったくず肉や脂身を煮込んだ料理が発祥とされ、やがてご飯にかけて食べられるようになった[5]。別の説では、貧しかった農民が貴重な豚肉を家族均等に食べられるように、豚肉を細かく刻んで煮込み、ご飯にかけたのが始まりだとされる[9]

日本統治時代の台湾閩南語辞典には豚角煮を意味する「鹵肉」しかなく、「鹵肉飯」、「滷肉飯」は関連文献を含めて記載がない[7]。そのため、滷肉飯として屋台などで提供されるようになったのは、第二次世界大戦後ではないかと推測されている[7]

2011年発行のミシュランガイド台湾版では「魯肉飯は中国山東省が発祥」と記されたことで、台湾で抗議が起きた[9]。これは山東料理を「魯菜」と呼ぶことに起因していた[9]

作り方と材料[編集]

豚バラ肉を用いることが多いが、上述のように他の部位も使用されることがある。

付け合わせには卵や青菜が用いられ、調味料は醤油と砂糖を基本とし、紹興酒オイスターソース生姜ニンニク八角五香粉油葱酥エシャロットを油で揚げたもの)などが用いられる[5]

食べ方[編集]

そのまま食べても、混ぜて食べても良く、定まった食べ方は無い[10]。上述のように台湾では茶碗サイズの器で提供され、他の料理と共に食べることが多い[10][6]。日本で言うところの定食のご飯が滷肉飯に置き換わったと想像してもらえば良い[10]。台湾ではおかずと混ぜて食べる、スープをかけて食べるといった食べ方も多い[10]

日本の飲食店では大きな丼で提供するお店が多く、煮卵や半熟の目玉焼きがトッピングされていることがある[10]

専門店[編集]

鬍鬚張台北八德店

日本での発展[編集]

丼の情報発信サイト『うなぎ_STYLE』編集部主催の日本流行丼大賞選考委員会が選考を行い、2020年の『日本流行丼大賞』グランプリに「魯肉飯(ルーロウハン:台湾風豚角煮丼)」が選ばれた[14]

似た料理[編集]

ギャラリー[編集]

出典[編集]

  1. ^ 栖来ひかり (2020年9月26日). “前略 台湾さま。尾道より愛を込めて――価値観でつながる、コロナ時代の国際交流”. ニッポンドットコム. 2023年1月24日閲覧。
  2. ^ a b 青木ゆり子「滷肉飯(ルーローファン)」 『世界の郷土料理事典: 全世界各国・300地域料理の作り方を通して知る歴史、文化、宗教の食規定』誠文堂新光社、2020年、56頁。ISBN 978-4416620175 
  3. ^ 台湾 - 修学旅行ハンドブック” (PDF). 台湾観光局 (2021年). 2023年1月25日閲覧。
  4. ^ 「台湾の伝統料理を食べよう」 『日本通の友達と台湾華語で知る大好きな台湾文化』三修社、2022年、63頁。ISBN 978-4384060218 
  5. ^ a b c d e f MANA (2022-0-18). “魯肉飯(ルーローハン)とはどんな料理?味や食べ方、簡単レシピもご紹介”. macaro-ni. p. 1. 2023年1月25日閲覧。
  6. ^ a b c 中川明紀. “肉肉しいのに佃煮感覚?台湾の「魯肉飯」”. [[ナショナル ジオグラフィック (雑誌)|]]. p. 1. 2023年1月25日閲覧。
  7. ^ a b c d e f 《吃的台灣史》:北部「滷肉飯」與南部「肉燥飯」差別不只在名稱,外觀不同,內容也不一樣” (中国語). 関鍵評論網 (2021年11月3日). 2023年1月25日閲覧。
  8. ^ 藤本健太郎「003 ノリでイケそなパラレルワールド」 『タイポさんぽ 台湾をゆく:路上の文字観察』誠文堂新光社、2016年。ISBN 978-4416616802 
  9. ^ a b c 中川明紀. “肉肉しいのに佃煮感覚?台湾の「魯肉飯」”. [[ナショナル ジオグラフィック (雑誌)|]]. p. 5. 2023年1月25日閲覧。
  10. ^ a b c d e MANA (2022-0-18). “魯肉飯(ルーローハン)とはどんな料理?味や食べ方、簡単レシピもご紹介”. macaro-ni. p. 2. 2023年1月25日閲覧。
  11. ^ 沢井メグ (2016年8月27日). “台湾で「日本の無印良品『ルーローハン』がウマそう」と話題! 気になったので食べてみた / 米もイイが蒸しパンに挟むと更にウマイと判明”. 2023年1月25日閲覧。
  12. ^ 沢井メグ (2017年12月12日). “【台湾好き集まれ】ついにファミマから『ルーロー飯弁当』が登場! 食べた瞬間「あ~これこれ!」さらに台湾コンビニっぽい香りになっていた”. 2023年1月25日閲覧。
  13. ^ ナベコ (2020-05-26日). “台湾グルメ「ルーロー飯」の弁当、セブンイレブンで発売中 うおお…セブンのルーロー飯がおいしくて驚愕した”. ASCII.jp. 2023年1月25日閲覧。
  14. ^ 『日本流行丼大賞 2020年』 | うなぎ STYLE”. unagi-style.com. 2020年12月1日閲覧。
  15. ^ 中川明紀. “肉肉しいのに佃煮感覚?台湾の「魯肉飯」”. [[ナショナル ジオグラフィック (雑誌)|]]. p. 2. 2023年1月25日閲覧。
  16. ^ 台湾あるあるー滷肉飯?魯肉飯?”. ハオ中国語アカデミー 新宿校 (2020年9月14日). 2023年1月25日閲覧。

外部リンク[編集]