ミラノ風ドリア

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ミラノ風ドリア
ミラノ風ドリア
ミラノ風ドリア
発祥地 日本の旗 日本
地域 千葉県
考案者 日本の旗正垣泰彦
誕生時期 1983年
主な材料 ホワイトソースミートソース粉チーズターメリックライス
521[1] kcal
その他の情報 塩分:2.5g[1]
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ミラノ風ドリアをすくった写真

ミラノ風ドリア(ミラノふうドリア)は、イタリアンファミリーレストランチェーンのサイゼリヤで提供される商品。「サイゼリヤの代名詞」[2]、「看板商品」[3]として知られる。

特徴[編集]

ホワイトソースミートソース粉チーズターメリックライスに加えた料理である[4]。そのうち、ホワイトソースには1食あたり500ミリリットルという多くの生乳を使用している[3]。調理には約6分ほどかかる[5][注釈 1]ミラノ風という名称ではあるものの、イタリアには存在しない[3][7]

この「ミラノ風ドリア」という名称は、使用されているミートソースに由来する[3][4]。すなわち、ミートソースがイタリア・ボローニャ地方のものであることから、その近隣のミラノの名をとったとされる[4]。あるいは、ミートソースがミラノの郷土料理を参考にしたことが名称の由来だともいわれる[3][注釈 2]

1食299円という極めて安い価格で販売されている[注釈 3][4]。このような低価格での提供が実現しているのは、オーストラリアの自社工場で原料調達を行っているためである[3][4]。低価格での提供には、他の料理と合わせて注文することを可能にするという目的もある[4]。また、サイゼリヤ社長の堀埜一成は、ミラノ風ドリアを安く提供する理由として、単価を安くすることで食の選択肢を広げ、外食における格差をなくすという企業理念の実現を挙げている[9]

管理会計論研究者の長坂悦敬は、こうした低価格でも利益が上がる背景として、作業方法の効率化を担当するチームの存在、重要作業のマニュアル化によるコスト削減、品切れを防ぐ発注管理システムの整備にあると論じる[2]。そして、ミラノ風ドリアが通常のライスの代わりにオーダーされることで、客単価の上昇をもたらしていると述べる[2]

円相フードサービス専務の料理人である稲田俊輔は、イタリア料理店を標榜するサイゼリヤにおいて、イタリア料理でないミラノ風ドリアは看板メニューでありつつも、昭和感を感じる「なぜある系メニュー」の一つだと述べている[7]。稲田はサイゼリヤのメニューのなかでミラノ風ドリアを低く評価しつつも[10]、ミラノ風ドリアなどで利益を確保しているために、サイゼリヤは価格に比して質の高い生ハムやサラミ、ワインを提供することが可能になっていると評している[11]

沿革[編集]

ミラノ風ドリアはもともとは従業員がまかない食として食べていたものだったとされる[3][4]。ライスにホワイトソース・ミートソース・粉チーズをかけたもので、常連客の要望で裏メニューとして提供されたものが人気を博し、通常のメニューに採用された[4]。はじめは「ミートグラタン」という名称で提供されていたが、メニュー数の増加を受けて、取り違いを避けるために、前述のとおり、ミートソースを使用していることからミラノ風ドリアと呼称するようになった[4][注釈 4]。当初のメニューでは、「カニドリヤ」やピラフなどとともに、リゾットの区分に載せられていたという[12]

創業から間もない1969年頃からサイゼリヤに存在したともいわれるが[4]、現在のミラノ風ドリアは1983年に発売されたともされる[3][13]。ミラノ風ドリアが長くに渡ってメニューに残った背景には、メニュー改定を抑制的に行い、既存のメニューをより良いものとして提供することに注力する方針があったためである[12]

そして、1999年には価格を4割下げたことが評判となった[3]。これは、低価格戦略推進の一環のなかで、ミートソースの安定供給が可能なことを背景に核商品の創出を狙いとしたものであった[14]。当時の社長の正垣泰彦は、新たな価格290円を「『値頃』を通り越して,もはや『驚き』の価格」と位置づけ、特定の商品に注文を集中させることで、効率性の向上および収益構造の改善を意図したものと述べた[14]。実際に、ミラノ風ドリアは料理の品質を下げていないのにも関わらず、190円値下げの290円という価格となったことで、従来のほぼ3倍の売上を達成するようになった[2][注釈 5]

2002年になると、前述のとおり、ミラノ風ドリアの原料を製造するための食品加工工場をオーストラリア・メルボルン郊外に作っている[4]。オーストラリアを選んだのは、日本よりも肉や乳製品が安く調達できるためであった[3]。こうした工夫に加え、通算で1000回ほどの内容の改良が行われている[3]

2020年11月には、ミラノ風ドリアを主に提供するファーストフード店「ミラノ食堂」を新業態として実験的に開いている[6]。新型コロナウイルスの流行を受け、小型店舗にすることで賃料を抑えることで、新たな事業の柱にすることを狙ったものだった[17]。ミラノ風ドリアのサイズを1.5倍とすることで、単品での満足感を高め、顧客回転率を向上させ[6]、また提供時間の短縮によりテイクアウト利用の比率を4割まで拡大させることを意図したものとされている[5]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ なお、後述のとおり、ミラノ風ドリアを主に提供する系列店にミラノ食堂があり[6]、ミラノ食堂でのミラノ風ドリアの調理時間はより短い約4分である[5]
  2. ^ この他、ミラノ風リゾットと同じく、米が黄色いことが名前の由来であるともいう[8]
  3. ^ 2020年7月以降は1円値上げされ、税込み300円となっている[3]
  4. ^ ただし、読売新聞の記事では、まかない食ではあるものの、もともとあった「ミラノ風グラタン」という名称のメニューから、パスタをライスに代えることで成立したと説明している[3]
  5. ^ ただし、サイゼリヤは2003年以降に中国にも進出しているが[15]、中国ではドリアの知名度が低いためあまり注文されないメニューとなっている[16]

出典[編集]

  1. ^ a b グランドメニュー:電子カタログ”. サイゼリヤ. 2021年2月14日閲覧。
  2. ^ a b c d 長坂悦敬『Excelで学ぶ管理会計』オーム社、2020年、18頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 「[ヒットの秘密]1983年発売 ミラノ風ドリア 飽きない味 低価格で」『読売新聞』2020年7月27日付、東京朝刊、11頁。。G-searchにて閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k “外食史に残したいロングセラー探訪(29)サイゼリヤ「ミラノ風ドリア」”. 外食レストラン新聞 (日本食糧新聞社) (357). (2009年5月4日). https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/tanakak20090511030243609 2021年1月30日閲覧。 
  5. ^ a b c 大宮弓絵 (2020年11月13日). “テイクアウト利用比率4割をめざす! サイゼリヤ「ミラノ風ドリア」に 特化した新業態の狙い”. ダイヤモンド・チェーンストア. ダイヤモンド社. p. 2. 2021年1月30日閲覧。
  6. ^ a b c 大宮弓絵 (2020年11月13日). “テイクアウト利用比率4割をめざす! サイゼリヤ「ミラノ風ドリア」に 特化した新業態の狙い”. ダイヤモンド・チェーンストア. ダイヤモンド社. p. 1. 2021年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月30日閲覧。
  7. ^ a b 稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』扶桑社〈扶桑社新書315〉、2019年、57頁。ISBN 9784594083380
  8. ^ 和才雄一郎 (2015年9月24日). “「ミラノ風ドリアを下さい」とイタリアのレストランで言ったら “サイゼリヤのアレ” とは全く違うものが出てきた”. 2020年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月5日閲覧。
  9. ^ 福田悠 (2020年3月16日). “サイゼリヤのミラノ風ドリアが299円の理由”. 日刊SPA!. 扶桑社. 2021年1月30日閲覧。
  10. ^ 稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』扶桑社〈扶桑社新書315〉、2019年、89頁。ISBN 9784594083380
  11. ^ 稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』扶桑社〈扶桑社新書315〉、2019年、15-16頁。ISBN 9784594083380
  12. ^ a b 稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』扶桑社〈扶桑社新書315〉、2019年、58-60頁。ISBN 9784594083380
  13. ^ 3時のヒロイン かなで&ゆめっち サイゼリヤ“幻のドリア”を実食!”. 沸騰ワード10. 日本テレビ (2020年10月16日). 2021年2月5日閲覧。
  14. ^ a b 「ニュース&ダイジェスト 4〜サイゼリヤ,さらに低価格戦略を推進 「ミラノ風ドリア」を480円から290円に」『日経レストラン』第279号、1999年10月1日、79頁。G-searchにて閲覧。
  15. ^ 岩間一弘「上海の日本食文化 : メニューの現地化に関するヒアリング調査報告」『千葉商大紀要』第51巻第1号、千葉商科大学国府台学会、2013年、 29頁、 NAID 110009624020
  16. ^ 岩間一弘「上海の日本食文化 : メニューの現地化に関するヒアリング調査報告」『千葉商大紀要』第51巻第1号、千葉商科大学国府台学会、2013年、 31頁、 NAID 110009624020
  17. ^ サイゼリヤ、「ミラノ風ドリア」中心の小型店”. 日本経済新聞 (2020年10月14日). 2021年1月30日閲覧。