キムパプ
| キムパプ | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| ハングル: | 김밥 |
| 漢字: | - |
| 発音: | キンバプ(標準発音) キンパプ(通用発音) |
| 文化観光部2000年式: | Gimbap |
キムパプ(Gimbap,김밥)は、朝鮮の海苔巻きのこと。キムは「海苔」、パプは「ご飯」の意。韓国語の発音をカタカナ表記すると「キンバプ(kimbɐp̚)」または「キンパプ(kimp͈ɐp̚)」[1]に近い。朝鮮では、1月15日に海苔でご飯を巻いた具無しのキムパプをナムルと共に食べれば、目が良くなるという俗説がある。
起源[編集]
日本の海苔巻きに由来し、日本との行き来が盛んになり始めた19世紀末から朝鮮でも日本の海苔巻きが食べられ始め、韓国併合以降の朝鮮半島で、ごま油を使うなどのアレンジが加えられ派生したものである[2][3][4]。「三国時代 (朝鮮半島)の「쌈(サム)」の一種で「福裏・보쌈(ポッサム)」と呼ばれる食品が起源とする意見もあるが[5]、「쌈(サム)」とは茹で豚を野菜で包んで食べる料理である。おかずなしで手軽に食べることができることから、携行食やファーストフード的なものとして韓国では1960-70年代から流行し始めた[3]。
キムパプは、戦前戦後も日本語式に「ノリマキ」と長らく呼ばれていたが、1948年に韓国政府の国語醇化政策により「김밥(キムパプ)」と呼ぶよう指定された。しかし1990年代に至るも一般では「ノリマキ」と呼ばれており、「朝鮮語の国語純化」として、国立国語院が『日本語式生活用語純化集(1995年発行)』の中で「生活用語として朝鮮語の中に残っている日本語的語彙」のひとつとして「ノリマキ」を挙げ、これを「キムパプ」と置き換えて表記するよう推進し、それ以降「キムパプ」と言う呼び名が定着した[6][7]。
製法・食べ方[編集]
あぶった板海苔の上に米飯を均一に薄く敷き、その上に細長い形に整えられた具材を載せる。米飯は、塩やごま油で味を整えるのが一般的である。具材は、複数の材料を用いることがほとんどである。一般的に使用される具材には、ニンジン、ホウレンソウ、キムチ、エゴマの葉、たくあん、牛肉、ハム、ツナ、カニかまぼこ、チーズ、卵焼きなどがある。この他、具なしのキムパプ(後述の忠武キムパプ)や刻んだニンニクのチャンアチ(醤油漬け)のみを米飯に混ぜてから海苔で巻いたキムパプもある。最後に、米飯と海苔で具材を巻き込み、海苔の表面にごま油を塗ったり白胡麻を振ったりして風味付けをする。
できあがったものを輪切りにし、何もつけずにそのまま食するのが一般的であるが、焼いて食べたり、卵液をつけたものを焼いて食べることもある。トッポッキの汁を付けて食べる人も多い[8]。キムチやたくあんなどの漬物およびスープが共に供される場合が多い。
巻き簾を使用する調理法などは、日本の海苔巻きと同じであるが[9]、キムパプには酢飯が使用されず、ごま油が加えられていることが一般的であり、また中に入る具材が日本の海苔巻きに比べて多く、生魚も使用されない等の違いがある[10]。
種類[編集]
具材の種類や料理形態には様々な種類があり、地方や店によるバリエーションも豊富である。1990年半ばまでは高級化路線が人気を集めたが、IMF経済危機後から昔スタイルの簡素なものが流行し始めた[3]。以下、代表的な種類を紹介する。
- 一般的なキムパプ
- 具材を米飯と海苔で円柱状に巻いたもの。中に入る具材により様々な種類と名称がある。一般的なものとしては、「モドゥムキムパプ(普通のキムパプ)」、「チャムチキムパプ(ツナが多めに入っている)」、「野菜キムパプ」「チーズキムパプ」「キムチキムパプ」などがある。
- 忠武(チュンム)キムパプ(충무김밥)
- 具の入っていない一口サイズの握り飯に海苔を巻いた(あるいは散らした)ものを、イカの甘辛い和え物やカクトゥギと共に食する。慶尚南道の忠武(現在の統営市)が発祥の地とされていることから、この名前がついた。
- コマキムパプ
- 一口で食べられる、小さなサイズのキムパプ。コマ(꼬마)は、朝鮮語で子供の意。
- ヌードキムパプ
- 海苔に米飯を敷き、米飯を外側にして具材を巻いたキムパプ。海苔と米飯を裏巻きにする方法はカリフォルニアロールと同じである。韓国で近年登場した比較的新しい種類。
- 三角(サムガク)キムパプ(삼각김밥)
- 具材の入った三角形の握り飯に海苔を巻いたもの。日本の三角おむすびである。詳細は、おにぎり(各国における現状)を参照。アボカド入りのキムパブなどもある[11]。
流通・消費形態[編集]
主食にも間食にもなる手軽なメニューとして、朝鮮内では広く流通し、幅広い層に消費されている。家庭では食卓に乗るメニューとしてより、遠足やハイキングなどの野外活動の弁当のメニューとして作られることが多い。屋台やコンビニエンスストア、高速道路のサービスエリア、登山客向け施設などでもキムパプは販売されている。駅や列車内では、駅弁の定番メニューとなっている。
また、朝鮮にはキムパプの専門チェーン店が存在する。1990年半ばにソウルの大学路で出店されたものが最初とされる。以降、1000ウォンの低価格で販売する店舗が現れ、競争が激化した。現在、50あまりのチェーン店が展開されており、市場規模は6000億ウォンとされる[12]。大手のチェーン店には、キムガネ(김가네)、鐘路キムパプ(종로김밥)、キムパプ天国(김밥천국)、キムパプナラ(김밥나라)などがある。
朝鮮以外の国や地域では、韓国料理として限定的に流通している。
脚注[編集]
- ^ 김밥 - forvo
- ^ 国立国語院編集 『韓国伝統文化事典』 趙完済, 三橋広夫訳、教育出版、2006年1月。ISBN 978-4316801032。
- ^ a b c (韓国語) 農水産物流通公社 (2010年8月26日). “김밥”. 大韓民国文化体育観光部. 2013年4月6日閲覧。
- ^ 鄭銀淑 『韓国・下町人情紀行』 朝日新聞社〈朝日新書〉、2007年6月。ISBN 978-4022731500。
- ^ 1938年1月05日東亜日報 「正初行事」
- ^ 財団法人自治体国際化協会「国語純化運動」
- ^ 2009年3月17日 PRESSian1995年発行「日本語式生活用語純化集」紹介記事(朝鮮語)
- ^ ソウルナビ
- ^ 西日本新聞 韓流 - わかなの韓式クッキング: 「日本人以上に人気の海苔巻き」(2005年5月13日)
- ^ 2009年6月8日中央日報 ウナギの尻尾にこだわるアナタは韓国人
- ^ How to open a samgak kimbap - YouTube
- ^ 韓国・小商工人振興会「김밥2007」