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たくろうLIVE'73

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
吉田拓郎 > 吉田拓郎の作品一覧 > たくろうLIVE'73
『よしだたくろう LIVE '73』
よしだたくろうライブ・アルバム
リリース
録音 1973年11月2627日
日本の旗 日本東京都中野区
中野サンプラザホール
ジャンル フォーク
ロック
レーベル Odyssey/CBS Sony
プロデュース 吉田拓郎
瀬尾一三
チャート最高順位
  • 週間3位オリコン[1]
  • 登場回数42回(オリコン)
  • 売上14.3万枚(オリコン)
よしだたくろう アルバム 年表
伽草子
(1973年)
よしだたくろう LIVE '73
(1973年)
今はまだ人生を語らず
(1974年)
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よしだたくろう LIVE '73』(よしだたくろう らいぶ 73)は、1973年12月21日吉田拓郎(当時はよしだたくろう)がリリースしたライブ・アルバム[2][3][4][5][6]1973年11月2627日東京中野サンプラザホールで行われた【吉田拓郎リサイタル】のライヴ音源[2][5][4][7]。リリース時の販売価格は2000円[3]

1986年CD化された[8]1990年CD選書のほか、2006年にも再リリースされている。

解説

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「自身のヴォーカルは小さく聴こえても構わない、バンドサウンドを聴かせたい」が本アルバムのコンセプト[9]。当時の日本でトップクラスのスタジオ・ミュージシャンたちに加えて[10]ブラスストリングス・セクションをバックにした(演奏者の項を参照)[4]、当時のロックコンサートとしてのクオリティの高さで群を抜く日本のレコード史上最初の本格的なライヴアルバムともいわれる[2][10][11][12]。拓郎は以前からステージでブラス・セクション等も使ったことはあるが[3]、全体的にスタジオ録音盤に比べてはるかにビートを強くして、ロックを前面に押し出し[3]アレンジも含め各段の出来を見せる[3]。拓郎はこの年、単独と新六文銭として77本のコンサートツアーを実施しているが[2]、当時のフォークやロックのアーティストのライブは、たいてい何人かのオムニバス形式(ジョイントコンサート)で[2]、単独、しかも大ホールでコンサートツアーを実施できる人気アーティストは拓郎以外にいなかった[2]

曲名の後ろに'73がついている曲と小室等の#8「雨が空から降れば」以外はこのライブで初録音、13曲中9曲を新曲として発表、つまりライブ盤なのにオリジナル盤の気概を持つ[4]。当時、著名なアーティストでこのような形式をとったケースは稀である[13]。このライブのおよそ半年前の6月1日にアルバム『伽草子』がリリースされていたが、『伽草子』の収録曲は『LIVE'73』には選曲されていない。『伽草子』リリース直後のライブでは収録曲を演奏していたが、『LIVE'73』を録音したステージで演奏されたのは「ビートルズが教えてくれた」と「新しい朝」の2曲だけであり、「ニューアルバムを携えてツアーを引っ張る」というパターンからも外れている。

前年6月に四角佳子結婚するものの、ツアー先で婦女暴行事件容疑でこの年5月に逮捕不起訴処分となり釈放)された後に行われたライブの模様を収録。翌年には子供が生まれるその前という激動の時期に発売されている。

何故、ほとんどが新曲にしたのか、という答えは、どんなに社会的な報復を受けようが、拓郎が音楽に何を賭けようとしたか、音楽で答えを出して見せるという気合を感じさせる[10]。本人もこのアルバムについては思い入れがあるらしく、後に雑誌のインタビューで「13曲目「望みを捨てろ」は失敗だったけど、それ以外は本当に良かった」といった趣旨の発言をした。なぜ「望みを捨てろ」を失敗と評価したのかは不明。

13曲目「望みを捨てろ」が歌唱中にフェイドアウトする形でアルバムは終わっているが、カセットテープ版では歌唱終了後にフェイドアウトしているため、収録時間が1分以上長くなっている。

評価

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リリース時に街のレコード店員の間では、全てB面の「雨が空から降れば」「こうき心 '73」「望みを捨てろ」の3曲の評判がよく[7]、特に「雨が空から降れば」が女性店員の間で受けがよかった[7]。同曲はアルバム中、唯一の他人の作品[7]。『ライトミュージック』(ヤマハ音楽振興会)1974年2月号の連載「小室等のポップス談議」で拓郎が「いい歌と売れる歌とは一致しないね。『雨が空から降れば』は詩とメロディがバッチリ合って非常にいい歌なんだが、ヒットはしないのでは?」と言うと、作曲者である小室等が「そうだな」と相槌をうった[7]。さらに拓郎は「売れると思う曲は分かる。『結婚しようよ』も『旅の宿』もレコーディングするときから売れると思っていた」と話した[7]

影響

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ビーイング創業者長戸大幸は、音楽を諦めて京都ブティックを経営して、店も軌道に乗っていた23歳~25歳の時[14]、本アルバム収録の「こうき心 '73」を聴き、体に電撃が走るほどのショックを受け[14]、ブティックも結婚が決まっていた女性も友達も全部捨てて、「拓郎に会いたいと、100万円と車1台だけで1974年に再び上京した」と話している[14]dps2018年発売のメジャーデビューシングルタイムライン」は、長戸プロデューサーから教授された本アルバムからインスピレーションを受けて制作された[15]

収録曲

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  1. 春だったね '73
    作詞:田口叔子 / 作曲:吉田拓郎
  2. マークⅡ '73
    作詞:吉田拓郎 / 作曲:吉田拓郎
    • デビュー曲ながら久しぶりの披露[3]
  3. 君去りし後
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  4. 君が好き
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  5. 都万の秋
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
    • 都万とは島根県隠岐島にあった都万村のことで、岡本おさみの隠岐の滞在体験をもとに歌詞が書かれた[17]。同村の漁港の様子を歌い、村役場は一時、チャイムに採用した[18]。地元のアマチュアバンドがコンサートで歌い継いでおり[18]、当地では若い世代にもよく知られているといわれる[17]。拓郎のレコーディングはこのアルバムのみ[3]
  6. むなしさだけがあった
    作詞:田口叔子 / 作曲:吉田拓郎
  7. 落陽
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
    有名なイントロのギターは高中正義[3]。これ以降何度も録音される曲だが、これがベストテイクとも評価される[3]。ファンからも人気の高い楽曲[8][19]
  8. 雨が空から降れば
    作詞:別役実 / 作曲:小室等
    • 拓郎は演奏後のMCで「おそらくは何十年に1曲という名曲だと思います」と語っている。
  9. こうき心 '73
    作詞:吉田拓郎 / 作曲:吉田拓郎
  10. 野の仏
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  11. 晩餐
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  12. ひらひら
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  13. 望みを捨てろ
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎

演奏者

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実際のセットリスト

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中野サンプラザホール(1973/11/27)での実際のセットリストは以下の通り。

  1. 春だったね ~
  2. せんこう花火 ~
  3. マークⅡ ~
  4. ともだち
  5. 君去りし後
  6. 都万の秋
  7. こうき心
  8. 雨が空から降れば
  9. むなしさだけがあった
  10. 子供に
  11. 新しい朝
  12. 旅の宿
  13. 心臓の歌 ~
  14. 私が生まれた時 ~
  15. ルームライト
  16. 祭りのあと
  17. パフ with
  18. 広島商科大学応援歌~早稲田大学校歌 by 拓郎~田口
  19. ある雨の日の情景 with 猫
  20. 金曜日の朝
  21. 晩餐
  22. 野の仏
  23. 襟裳岬
  24. ビートルズが教えてくれた
  25. 落陽
  26. 君が好き
  27. ひらひら
  28. 望みを捨てろ

脚注・出典

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  1. ^ 「オリコンチャートブック〈LP編(昭和45年‐平成1年)〉」ORICON BOOKS、1990年5月1日、309ページ。
  2. ^ a b c d e f #アーティストファイル「ORIGINAL ALBUM 『よしだたくろう LIVE'73』 文・田家秀樹/吉田拓郎 コンサートデータ pp.42–43,216–224
  3. ^ a b c d e f g h i #吉田拓郎これが青春「拓郎年譜1973』 pp.110–111
  4. ^ a b c d “楽庫・ライブ 吉田拓郎「よしだたくろう LIVE '73」(ソニーミュージック)”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2020年7月18日). オリジナルの2020年7月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200718070327/https://mainichi.jp/articles/20200718/dde/012/070/007000c 2022年5月11日閲覧。 
  5. ^ a b LIVE'73/よしだたくろうmora~WALKMAN®公式ミュージックストア
  6. ^ よしだたくろう「LIVE'73」”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2025年4月20日閲覧。
  7. ^ a b c d e f “オーディオスクエア レコード 売れ行き予想、軍配はどちらに”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 13. (1974年1月20日) 
  8. ^ a b 吉田拓郎「落陽」半世紀にわたって愛され続ける名曲!人生の哀愁を描いた歌詞の意味を徹底解説”. 無料歌詞検索サイトUtaTen. IBGメディア株式会社 (2023年12月27日). 2024–02–04 エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月20日閲覧。
  9. ^ #吉田拓郎読本「CD GUIDE 吉田拓郎の音源 『LIVE'73』 案内人・館野公一」 p.79
  10. ^ a b c #吉田拓郎ヒストリー「CONTENTS '73–'75」 p.28
  11. ^ 田家秀樹 『吉田拓郎』 TOKYO FM出版〈地球音楽ライブラリー〉、2007年, p. 31
    豊かなる日々 〜吉田拓郎、2003年の全軌跡〜、2004年6月、田家秀樹著、ぴあ、p7
  12. ^ TOMC (2023年7月1日). “あのアーティストの知られざる魅力を探る TOMCの<ALT View>#25 吉田拓郎とR&B~レゲエ 初期作品群におけるグルーヴと“ソウル(魂)”を振り返る”. サイゾー. サイゾー. 2024年6月22日閲覧。
  13. ^ 『70年代ノート ~時代と音楽、あの頃の僕ら~』、p142-143
  14. ^ a b c 長戸大幸さん×平澤創[対談]”. フェイス25周年記念Webサイト・スペシャル対談企画 最終回【前編】. フェイス. 2019年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月6日閲覧。
  15. ^ TVアニメ『名探偵コナン』OP曲でメジャーデビューのdps「70年代のフォークソングを意識して作りました」【インタビュー】
  16. ^ ライナーノーツには、レコーディングアレンジャーと表記されている。
  17. ^ a b “【芸能】隠岐の人々が待つ島が再び「重くなる日」 拓郎ライブ実現を熱望”. デイリースポーツonline (神戸新聞社). (2017年7月2日). オリジナルの2017年7月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170702095454/https://www.daily.co.jp/opinion-d/2017/07/02/0010333069.shtml 2017年7月10日閲覧。 
  18. ^ a b “情報ランド ふるさと新聞2001ふるさとの歌”. 読売新聞 (読売新聞社): pp. 16-17. (2001年2月21日) 
  19. ^ “落陽 売り上げに一役? フェリーターミナルでサイコロひそかに人気”. 苫小牧民報 (苫小牧民報社). (2014年5月31日). オリジナルの2015–11–17 エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151117101242/http://www.tomamin.co.jp/20140513235 2025年4月20日閲覧。  {{cite news}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)

参考文献

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関連項目

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