神代カレー
神代カレー(じんだいカレー)は、秋田県仙北市周辺で販売されているカレーライス。正式名称はあいがけ神代カレー。昔風のカレーと現代風のカレーをひと皿に盛りつけ、ご飯を添えたものである。
2005年12月に「農業を観光や商業と連携しながら、神代地域を元気にしていこう」という目的で、秋田県仙北市の田沢湖近郊の神代地区を中心とした地域の有志30名で発足し、2008年3月よりこの神代地区の町おこしの一環として正式に活動を展開している。秋田県の地域活動支援室からの補助金を活動資金の一部としている。
カレーの発展
1950年代後半以降、秋田などの東北地方の田舎にもカレー粉が普及した。神代地区(1950年代当時:神代村)でも家庭料理としてのカレーが広まったが、1950年代後半~1960年代前半の当時は牛肉や豚肉などの畜肉が思うように入手できなかったため、具には鯖や鮭などの魚肉の水煮の缶詰や、魚肉ソーセージや地元産の野菜を使用し、鰹節のほか煮干しや昆布などでとった出汁を基本とした醤油味の和風ブイヨンで煮込み、フライパンで少量のカレー粉と大量の小麦粉を炒め合わせて作ったルゥを練り上げてカレーのソースを作っていた。21世紀初頭のカレーに比べればカレーソースのコクや香辛料の香りが弱く、後からウスターソースをかけて食べるのが一般的であった。しかしながら当時の秋田県の山間部で味わえる香辛料を用いた西洋料理はカレーライス程度だったため、子供たちから人気を博した家庭料理だった。
しかし、1960年代中盤以降に入ると「バーモントカレー」(ハウス食品)や「ゴールデンカレー」(エスビー食品)などに代表される板チョコレート状の固形ルゥの市販普及に伴い、かつての調理方法はほとんど行われなくなった。
新旧の融合
しかしながら、昔ながらのカレーは現在の一部の家庭においては「お婆ちゃんのカレー」、もしくは「父ちゃんのカレー」として認識され今日に至っている。神代カレーは、1950年代〜1960年代当時の製法をほぼ再現し、具材には魚肉ソーセージとにんじん、じゃがいも、タマネギのほか地元産のエリンギなどを用いた(1950年代〜1960年代風の)昔風パートの和風カレーとともに、もう一方はデミグラスソースを基本とし、具材にはタマネギと豚肉(主に八幡平ポークが使用されている)などを用いた現在風パートの欧風カレーを作り、両者を合掛けにしたものである。トッピングとして片面だけ焼いた目玉焼き、もしくは半熟卵が用いられ、薬味には福神漬やらっきょうの代わりにいぶりがっこ(たくあんの燻製)を添えるのが神代カレーの大きな特徴である。
参考文献
- 「神代カレーでまちおこしを! 『婆ちゃんカレー』が健在、秋田のご当地グルメ」 - ブルドックソース(2009年5月1日閲覧)
- 「風味豊かな『神代カレー』静かなブームに」 - 機敏 KIBIN(2012年1月24日閲覧)
- 「僕らの自慢のご当地グルメ『あいがけ神代カレー』を説明しよう!」 - 神代地域活性化推進協議会(2020年1月26日閲覧)