アルファ化米

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アルファ化米の製品写真、炊込みおこわ。上は開封直後の乾燥状態、下は注水後の復元状態。

アルファ化米(アルファかまい)とは、精白米を炊飯し急速的な乾燥処理を行った乾燥加工食品のことである。日本国内では、アルファ化米よりも、アルファ米(α米)の通称で呼ばれる事のほうが多い。

形質的に似たものとして、古くは(ほしい・ほしいい:乾飯とも)と呼ばれる保存食非常食も存在するが、こちらはアルファ化されていない。本稿では便宜的に双方に言及する

目次

概要 [編集]

米成分の大部分は、炭水化物(デンプン)である。ブドウ糖が数十個から数千個ぐらいに長くクサリ状に連なってできたアミロース(Amylose)と、他アミロースの分子が枝状に分かれてできた、ブドウ糖の数が数百から数万個もある分枝状分子のアミロペクチン(Amylopectin)とが、固く結合して出来上がるのがである。

米の分枝状分子結合は極めて強く常温では水が入り込めず、生米・冷や飯(無加熱のレトルト米飯)の消化が悪いのはこの為で、このような状態をベータ化デンプン(β)という。

アルファ化米とは生米デンプンに水を加えて加熱処理を行い、アミロースアミロペクチンの順分枝状分子結合を崩し、加水分解が容易に行われ消化しやすい状態(アルファー化デンプン)を経て、急速乾燥させた加工米のことであり、アルファー化デンプン米ともいう。

今の日本で市販・利用・備蓄されているアルファ米の多くは、個別包装を行い常温5年間保存でき注水するだけで実食可能な製品が一般的である。


糒(ほしい) [編集]

炊いた飯を水で軽くさらし天日で乾燥させた食品で、古くは炊き過ぎた米を保存するためにも利用された。また、米以外にもの糒も存在していた。

例えば伊勢物語の「東下り」の段で在原業平が糒の上に涙をこぼしてふやけてしまうという場面は良く知られている。鎌倉時代よりは「糒」の漢字が使われるようになったが、それ以前には「干し飯」(ほしめし・ほしいい)とも呼ばれていた。

そのまま水といっしょに食べたり、あるいは水を加えて炒めたり、茹でて戻したり、粉末にしてあられ落雁などの菓子の材料にも用いられた。和菓子材料の道明寺粉も餅米の糒である。また仙台糒のように地域の特産品として作られたりもしていた。

軍事活動など大人数の食糧をまかなう上では、保存性に優れた食品が選択される傾向があるが、糒はその意味で保存性がよく軽量で運びやすいこともあって、広く利用された。軍坊令においては、兵士に対して1人あたり糒6斗と塩2升の携帯を義務付けている。保存性においては、倉庫令には稲・穀・粟の保存期間を9年、その他雑穀を2年と規定しているのに対して糒は20年の保存期間が設定されている。この20年間という保存期間が伊勢神宮の式年遷宮の根拠になったという説もある。

現存する正税帳には糒の項目が記載されている。更に蝦夷征討に関連して宝亀11年(780年)に坂東諸国と能登越中越後の各国に対して糒3万斛の調達を命じている。この他にも延喜式には、新嘗祭の供御料や最勝王経斎会の供養料として大膳職で作られた糯糒・粟糒が支出される規定がある。

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軍事食料から、平和的な備蓄食料へ [編集]

第二次世界大戦当時の日本軍より、「火力を利用せず、炊飯を行わずに食べられるご飯」の依頼があり開発されたのがアルファ化米である。終戦までに6,200トン(7千万食分)を納め、類似商品まで含めると27,300トン(約3億食分)が軍事食糧として提供された。 終戦後からは、日本の食糧事情を支える長期保存食糧として平和的食糧へ役目が移り変わり、アウトドア用品として、キャンプ・登山・旅行などに利用されている。また、2005年からは日本国内初の宇宙食にも採用されている。


非常食や保存食として [編集]

阪神・淡路大震災までは乾パンが日本式備蓄食の代名詞であったが、震災直後から「日本人の米への要求(ニーズ)」が非常に高く、食への不満が多く寄せられていた。 その際、主にアウトドア用品として販売されていたアルファ化米が被災地に届けられ好評を博し、新たな日本式備蓄食の代名詞となった。今では、全国自治体・上場企業だけでなく、一般的な家庭にまで備蓄されている。


利便性 [編集]

自然災害が発生すると一般的に普及しているライフラインの内、電気・都市ガス・水道が一時的に若しくは中長期的に利用できなくなる。 その為に被災後から、日常の食事や衛生的な食器を利用した食事を口にする事は、やや困難となる。

しかし、アルファ化米は水又はお湯を注ぐだけで、日常と遜色のない米飯を食べることも、衛生的に食べることも可能となる。 また、食後は廃棄物の量が削減できる為に衛生面、環境面でも見直されている。


調理方法 [編集]

カップ麺と同じく、注水線まで水分を注ぐだけで出来上がる。 但し、お湯では20分程度、水では60分程度の調理時間は掛かる。

東京都帰宅困難者対策条例と企業の消費方法 [編集]

平成25年4月から施行される東京都帰宅困難者対策条例に伴い、主食であるアルファ化米の流通量・備蓄量が飛躍的に伸びてきている。 大手企業もアルファ化米を更に多く備蓄したのだが、今後は賞味期限到来時の消費方法について問題が控えている。

各企業でも、賞味期限到来前に「フードバンクへの寄付」や「海外出張の社員に配布」などの一定した消費・消化方法を模索中である。


主なメーカー [編集]

  • 尾西食品株式会社   (本社所在地・東京都:アルファ化米の開発、工場生産のパイオニア)
  • 株式会社サタケ    (本社所在地・広島県:食品産業総合機械及び食品の製造販売)
  • アルファー食品株式会社(本社所在地・島根県:中国にも進出しているメーカー)


関連項目 [編集]