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JR東日本E491系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
JR東日本E491系電車
East i-E
登場時のE491系電車(2007年9月19日)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 日立製作所(Mzc・Tzc車)
近畿車輛(Mz車)
製造年 2002年3月27日(新製)
製造数 3両
投入先 勝田電車区→勝田車両センター
主要諸元
編成 3両編成(2M1T
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1,500V
交流20,000V(架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h
車両定員 非営業車両(事業用
車両重量 45.4 t(Mzc車)
46.7 t(Mz車)
43.2 t(Tzc車)
編成重量 135.3 t
全長 21,770 mm(Mzc車/Tzc車)
20,500 mm(Mz車)
全幅 2,900 mm
全高 4,051 mm(観測ドーム高さ)
3,980 mm(パンタグラフ折りたたみ)
車体高 3,277.5 mm
床面高さ 1,140 mm(Mzc車/Tzc車)
1,210 mm(Mz車)
車体 アルミニウム合金
ダブルスキン構造
台車 コイルばね + 円筒積層ゴム軸箱方式ボルスタレス台車ヨーダンパ付)[1]
DT68/DT68A(Mzc車)
DT65(Mz車)
TR253/TR253A(Tzc車)[1]
主電動機 かご形三相誘導電動機 MT72A
主電動機出力 145 kW
歯車比 17:96(5.65)
制御方式 PWMコンバータ + IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 日立製作所製 CI 8D形主変換装置
制動装置 回生発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ耐雪ブレーキ直通予備ブレーキ
保安装置 D-ATC, ATC-10, ATS-P, ATS-Ps, ATACS
備考 出典[2]
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E491系電車(E491けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流事業用電車East i-E(イーストアイ・ダッシュイー)の愛称を持つ。

概要

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老朽化した193系443系およびマヤ34形の置き換えとして、2002年(平成14年)に日立製作所近畿車輛で製造された[3][4]。3両編成1本(3両)が勝田車両センターに配置されている。

車体はアルミニウム合金製のダブルスキン構造を持ち、耐寒耐雪仕様を採用している[4]。塗装は「清潔・厳正」をイメージした白色をベースとし、「探求・情熱」をイメージした赤色のサンレッドを配色している[4]。East i-E(イーストアイ・ダッシュイー)の愛称は、「イースト」はJR東日本(東)を表し、「アイ」は「intelligent」(知能の高い)、「integrated」(統合された)、inspection」(検査)の意味を表し、在来線電車であることから「-E」(電車を示すEC)を付けている[4]

クヤE490形とモヤE490形の間に建築限界測定車マヤ50 5001を連結して4両で走ることも可能。

構造

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先頭部はE231系近郊タイプを基本としたもので、踏切事故時の安全対策として衝撃吸収用のアルミハニカム材を配置し、後位寄りにはクラッシャブルゾーンを設置する[4]前照灯シールドビーム灯とHID灯を併用する[4]運転台は左手操作式ワンハンドルマスコンを採用する[4]

制御方式(主変換装置)はIGBT素子を使用した日立製作所製の3レべルPWMコンバータ + 3レべルVVVFインバータ制御(1C4M制御)とした[5]。補助電源装置はMzc車に走行用の160kVA静止形インバータ(SC73形)を、Tzc車に測定用の100 kVA静止形インバータ(SC74形)を搭載する[5]。出力電圧は三相交流440Vである[5]

冷房装置はMz車は床上(室内)搭載の集約分散式AU405形(17.44 kW ≒ 15,000 kcal/h)を2基、Mzc車とTzc車はAU405形とAU403-G2形(13.95 kW ≒ 12,000 kcal/h)を1基ずつ搭載する。乗務員室には専用のAU205形空調装置を搭載する[5]

ブレーキ

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付随車(本系列の場合はTzc)遅れ込め制御が可能な回生発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ装置を有するほか、抑速直通予備、耐雪の各ブレーキを装備している[5]

故障時は他の自動ブレーキ車・電気指令式車と非常ブレーキの読替が可能なように救援ブレーキ装置を有する[5]

台車

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新設計のコイルばね + 円筒積層ゴム軸箱方式とした東急車輛製造[注 1]ボルスタレス方式空気ばね台車ヨーダンパ付)で、動台車は2軸駆動のDT68(Mzc車 前側)・DT68A(Mzc車 後側)・DT65(Mz車)、従台車はTR253(Tzc車 前側)・TR253A(Tzc車 後側)となっている[5][1]。車体支持は動台車が1本リンク式、従台車がZリンク式で、軸距は2,100 mm[1]


その他

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  • モニタリング装置としてMON11を搭載する。
  • 先頭車は双頭連結器を装備するほか、前記したようにマヤ50形測定車を組み込むことも可能である。
  • 遅くとも2016年までに、先頭車正面にカメラを追加設置する改造がなされている[6]
  • 埼京線で導入されている保安装置ATACSにも対応し、同線の検測にも用いられる(仙石線は後述の通りキヤE193系が行う)。

形式・検測内容

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クモヤE491-1(Mzc・製造:日立製作所)
信号・通信関係
  • 地上信号機器・通信機器の測定装置を有するほか、測定用の下枠交差式PS96A形パンタグラフを備える[4]。また検測等必要に応じて1台車の主電動機カットを行うことができる。
モヤE490-1(Mz・製造:近畿車輛)
電力関係
  • 架線測定用の装置を有する。パンタグラフは集電用のシングルアーム式PS32A形を2基備え、編成の進行方向に応じて使い分ける[7]。屋根上には架線観測ドームを備えている[7]。車内にはトイレを1か所設置している[4]
クヤE490-1(Tzc・製造:日立製作所)
軌道関係
  • 軌道状態測定用の装置を有するほか、測定用の下枠交差式PS96A形パンタグラフを備える。

編成表

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車両番号 クモヤE491
(Mzc)
モヤE490
(Mz)
クヤE490
(Tzc')
搭載機器 CI,SIV1 MTr,CI SIV2,CP,BT

凡例

  • MTr:主変圧器、CI:主変換装置、SIV1:補助電源装置(走行用160kVA)、SIV2:補助電源装置(測定用100kVA)、CP:空気圧縮機、BT:蓄電池

運用

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主に電化路線の軌道架線信号の検測で運用されている。

標準軌改軌された奥羽本線福島 - 新庄間(仙山線左沢線の列車が乗り入れる山形 - 羽前千歳間の狭軌部分は運転・検測が可能)および大曲 - 秋田間(普通列車が走る狭軌部分の運転・計測は可能)と田沢湖線全線、接続する電化路線がない仙石線[注 2]など特殊な条件でない限り、狭軌電化区間であれば交直流問わずどこでも運転・検測が可能である[4]

またJR東日本の各電化路線以外に、JR東日本と直通運転を行っている伊豆急行青い森鉄道IGRいわて銀河鉄道仙台空港鉄道阿武隈急行富士山麓電気鉄道北越急行しなの鉄道えちごトキめき鉄道東京臨海高速鉄道でも検測を行うことがある。

キヤE193系の脱線事故の影響により、2017年8月18日から翌19日に掛けて、本来はキヤE193系で行う奥羽本線秋田 - 青森間の検測に充当されたこともある[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 東急車輛製造は台車、軌道検測用測定枠、その他測定用部品を製作している。
  2. ^ 東北本線支線(松島 - 高城町間の仙石東北ライン接続箇所)や石巻線とレールが繋がっているが、いずれも非電化路線である。仙石線は非電化区間用のキヤE193系が運転・検測を担当する。

出典

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  1. ^ a b c d 東急車輛製造『東急車輛技報』No.52(2002年)製品紹介「JR東日本 E491系電気・軌道総合検測車・台車 East i-E」pp.68 - 71 。
  2. ^ 交友社『鉄道ファン』2002年9月号新車ガイド「JR東日本 E491系 East i-E」p.92。
  3. ^ 『RAIL FAN』第49巻第5号、鉄道友の会、2002年5月1日、19頁。 
  4. ^ a b c d e f g h i j 交友社『鉄道ファン』2002年9月号新車ガイド「JR東日本 E491系 East i-E」pp.86 - 87。
  5. ^ a b c d e f g 交友社『鉄道ファン』2002年9月号新車ガイド「JR東日本 E491系 East i-E」pp.91 - 92。
  6. ^ E491系が,えちごトキめき鉄道を検測 - 鉄道ファン、2016年9月8日(2022年12月17日閲覧)
  7. ^ a b 交友社『鉄道ファン』2002年9月号新車ガイド「JR東日本 E491系 East i-E」pp.88 - 90。
  8. ^ 「East i-E」が奥羽本線を検測”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年8月23日). 2017年9月7日閲覧。

参考文献

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  • 交友社鉄道ファン
    • 2002年9月号新車ガイド「JR東日本 E491系 East i-E」(東日本旅客鉄道(株)運輸車両部企画課 車両開発プロジェクト 斉藤 良仁)
  • 「在来線新型検測車E491系」
  • 東急車輛製造『東急車輛技報』No.52(2002年)製品紹介「JR東日本 E491系電気・軌道総合検測車・台車 East i-E」pp.68 - 71

関連項目

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