コンテンツにスキップ

「宇宙戦艦ヤマト」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
582行目: 582行目:
* [http://digilander.libero.it/robottoni/serietv/nonrobots/starblazers/nomi.htm 海外版との役名対照表]
* [http://digilander.libero.it/robottoni/serietv/nonrobots/starblazers/nomi.htm 海外版との役名対照表]
* [http://www.leijiverse.com/jp/ Leijiverse(レイジヴァース)]
* [http://www.leijiverse.com/jp/ Leijiverse(レイジヴァース)]
* [http://asianbeat.jp/xoops/modules/xf0section/article.php?articleid=437&category=5 asianbeat(松本零士スペシャルインタビュー]
* [http://asianbeat.com/ja/archive/archive_20080608_143257.html 松本零士スペシャルインタビュー(asianbeat)]
* [http://www.dot-anime.com/tb/yamato/index.html TORNADO BASE 宇宙戦艦ヤマト特集ページ]
* [http://www.dot-anime.com/tb/yamato/index.html TORNADO BASE 宇宙戦艦ヤマト特集ページ]



2008年7月6日 (日) 16:53時点における版

宇宙戦艦ヤマト』(うちゅうせんかんヤマト)は、1970年代日本で作成されたテレビアニメーションおよび、劇場用アニメーション映画作品。もしくは、それらに登場する架空の宇宙戦艦の名称、および主題歌(作詞:阿久悠、作曲:宮川泰)のタイトル。

英語表記として使われるのは『Space Battleship Yamato』である。また、一時期は『Space Cruiser Yamato(宇宙巡洋艦ヤマト)』ともされた。アメリカでは、『Star Blazers』という題名でテレビ放映されたため、現在でも公式にはそう呼ばれている[1]。また、アメリカから再輸出された国々(オーストラリアイタリアなど)でもそう呼ばれている。

概要

第1作は1974年讀賣テレビ放送日本テレビ放送網で放映されたテレビアニメとして制作された。

本作品の設定は1970年代のアニメーション作品としては斬新であり、当初すぐには視聴者に受け入れられず、裏番組『アルプスの少女ハイジ』などの影響もあって視聴率が上がらなかったため、予定の回数を待たずに打ち切られた。しかし、近畿地方から始まり、のち全国的に実施された再放送で改めて注目され、人気が急上昇。再編集した劇場映画が公開される頃には社会現象とも言える大ブームとなっていた。その後の『銀河鉄道999』『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』などのアニメブームの先駆けであり、映画レコード小説漫画ラジオドラマキャラクター商品など、多くの足跡を残した。また、後にビデオCDLDDVDテレビゲームなどもリリースされている。

戦争としての戦闘や主人公の成長、人間ドラマなどが多く盛り込まれた連続SFドラマであり、一話完結的なエピソードはほとんどない。スペースオペラの代表例の一つである。

宇宙戦艦ヤマトシリーズ

劇場映画

  • 『宇宙戦艦ヤマト』 - 1977年公開。初回上映された"スターシア死亡編"と1978年のテレビ放送時に一部再編集し、1979年以降の再上映用となった"スターシア生存編"の2編が存在する。DVDに死亡編として収録されているものは不完全なものであるため、公開時に見られた死亡編は現在のところ完全な形ではソフト化されていない。
  • さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』 - 1978年公開。
  • ヤマトよ永遠に』 - 1980年公開。
  • 宇宙戦艦ヤマト 完結編』 - 1983年3月19日公開。一部の劇場ではフィルムが間に合わず20日からの公開となった。初回上映された"35mm版"と宇宙戦艦ヤマト 完結編 "完全版"(70mm版)が存在。"35mm版"のラストで描かれた森雪と古代進のラブシーンを、"完全版"では抽象的なシーンに差し替え。また、一部の地方劇場で『オーディーン 光子帆船スターライト』と併映された"特別篇"(35mm版を短縮したもの)も存在する。

テレビシリーズ

テレビスペシャル

スタッフ

放映リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出助手 作画監督 背景 作画
1 SOS地球!!
甦れ宇宙戦艦ヤマト
藤川桂介 松本零士 井内秀治 芦田豊雄 椋尾スタジオ 友永和秀
林和男
川筋豊
柳井純
吉橋節
野田拓実
酒井明雄
望月敬一郎
谷田部雄次
石黒 篤
白土理徳
谷川さち子
2 号砲一発!!
宇宙戦艦ヤマト始動!!
白土武
3 ヤマト発進!!
29万6千光年への挑戦!!
石崎すすむ 芦田豊雄
(作画演出)
水野尾純一 正延宏三
野館誠一
泉口薫
4 驚異の世界!!
光を飛び越えたヤマト
富野喜幸 腰繁男 白土武 東篠俊寿 伊勢田幸彦
寺田直明
武田政夫
小野しげる
5 浮遊大陸脱出!!
危機を呼ぶ波動砲!!
松本零士 石崎すすむ 芦田豊雄 水野尾純一 スタディオ・メイツ
飯山豊
坂元弘
野口大蔵
6 氷原に眠る
宇宙駆逐艦ゆきかぜ!
田村丸 安彦良和 井内秀治 白土武 東篠俊寿 友永和秀
内山正幸
林和男
甘粕浩滋
川筋豊
操寛徳
柳井純
辻左衛世
7 ヤマト沈没!!
運命の要塞攻略戦!!
藤川桂介 松本零士 腰繁男 芦田豊雄 水野尾純一 正延宏三
石黒篤
吉橋節
谷川さち子
野田拓実
谷田部雄次
スタジオJ・A
8 決死のヤマト!!
反射衛星砲撃破せよ!!
安彦良和 石崎すすむ 小川隆雄 東篠俊寿 野館誠一
酒井明雄
望月敬一郎
伊勢田幸彦
飯山嘉昌
9 回転防禦!!
アステロイド・ベルト!!
腰繁男 小泉謙三 水野尾純一 スタジオ・メイツ
小泉謙三
朝倉隆
山崎タケル
安藤範雄
岡本力
10 さらば太陽圏!!
銀河より愛をこめて!!
田村丸 池野文雄 井内秀治 白土武 東篠俊寿 友永和秀
内山正幸
林和男
甘粕浩滋
川筋豊
操寛徳
柳井純
辻左衛世
11 決断!!
ガミラス絶対防衛線突入!!
藤川桂介 安彦良和 腰繁男 芦田豊雄 水野尾純一 正延宏三
野館誠一
泉口薫
酒井明雄
吉橋節
谷田部雄次
望月敬一郎
野田拓実
12 絶体絶命!!
オリオンの願い星・地獄星
田村丸 石崎すすむ 白土武 東篠俊寿 タイガー・プロ
伊勢田幸彦
飯山嘉昌
13 急げヤマト!!
地球は病んでいる!!
藤川桂介 小泉謙三 長谷川康雄 小泉謙三 スタジオ・メイツ
小泉謙三
朝倉 隆
山崎タケル
安藤範雄
岡本力
14 銀河の試練!!
西暦2200年の発進!!
安彦良和 腰繁男 芦田豊雄 水野尾純一 正延宏三
野館誠一
泉口薫
酒井明雄
吉橋節
谷田部雄次
望月敬一郎
野田拓実
15 必死の逃亡!!
異次元のヤマト
白土武 石崎すすむ 白土武 友永和秀
内山正幸
林和男
甘粕浩滋
川筋豊
操寛徳
柳井純
辻左衛世
16 ビーメラ星、
地下牢の死刑囚!!
山本暎一 安彦良和 野村和史 岡迫亘弘 東篠俊寿 伊勢田幸彦
泉口薫
小川隆雄
17 突撃!!
バラノドン特攻隊
藤川桂介 松本零士 腰繁男 白土武 友永和秀
内山正幸
林和男
甘粕浩滋
川筋豊
操寛徳
柳井純
辻左衛世
18 浮かぶ要塞島!!
たった二人の決死隊!!
安彦良和 石崎すすむ 芦田豊雄 正延宏三
野館誠一
泉口薫
酒井明雄
吉橋節
谷田部雄次
望月敬一郎
野田拓実
19 宇宙の望郷!!
母の涙は我が涙
山本暎一 石黒昇 腰繁男 岡迫亘弘 神宮さとし
土屋幹夫
星野赫子
20 バラン星に
太陽が落下する日!!
安彦良和 長谷川康雄 小泉謙三 スタジオ・メイツ
小泉謙三
朝倉隆
山崎タケル
安藤範雄
岡本 力
21 ドメル艦隊!!
決死の挑戦状
藤川桂介 寺田和男 坂本三郎 スリー・ナイツ
山崎和夫
武市正勝
長谷川稔
22 決戦!!
七色星団の攻防戦!!
- タイガープロダクション
23 逐に来た!!
マゼラン星雲波高し!!
山本暎一 松本零士 石崎すすむ 芦田豊雄
小川隆雄
(作監補佐)
正延宏三
野館誠一
吉橋節
谷田部雄次
野田拓実
酒井明雄
望月敬一郎
石黒篤
白土理徳
谷川さち子
24 死闘!!
神よガミラスの
ために泣け!!
安彦良和 腰繁男 小泉謙三 スタジオ・メイツ
小泉謙三
朝倉隆
山崎タケル
安藤範雄
岡本力
25 イスカンダル!!
滅びゆくか
愛の星よ!!
石崎すすむ 岡迫亘弘 アニメ・ルーム
土屋幹夫
星野赫子
楠田 悟
26 地球よ!!
ヤマトは帰ってきた!!
藤川桂介 松本零士 - 白土武
芦田豊雄
岡迫亘弘
森田浩光
宇田川一彦
話数 サブタイトル 劇場版への流用
1 SOS地球!!
甦れ宇宙戦艦ヤマト
冥王星会戦と
イスカンダルからの
メッセージを中心に使用
2 号砲一発!!
宇宙戦艦ヤマト始動!!
ヤマト始動の部分を
中心に使用
3 ヤマト発進!!
29万6千光年への挑戦!!
2話の部分と統合しつつ
発進のいきさつを使用
4 驚異の世界!!
光を飛び越えたヤマト
ワープテストを
中心に使用
5 浮遊大陸脱出!!
危機を呼ぶ波動砲!!
波動砲テストを
ダイジェストで
6 氷原に眠る
宇宙駆逐艦ゆきかぜ!
未使用
7 ヤマト沈没!!
運命の要塞攻略戦!!
冥王星基地攻略戦を
ダイジェストで
8 決死のヤマト!!
反射衛星砲撃破せよ!!
同上
9 回転防禦!!
アステロイド・ベルト!!
シュルツの戦死と
アステロイドベルト
を使用
10 さらば太陽圏!!
銀河より愛をこめて!!
太陽系との別離
のみ使用
11 決断!!
ガミラス絶対防衛線突入!!
ガミラスの作戦会議を
12話と統合して使用
12 絶体絶命!!
オリオンの願い星・地獄星
オリオン星の戦闘と
沖田の発病を使用
13 急げヤマト!!
地球は病んでいる!!
ドメル登場シーン
のみ使用
14 銀河の試練!!
西暦2200年の発進!!
未使用
15 必死の逃亡!!
異次元のヤマト!!
未使用
16 ビーメラ星、
地下牢の死刑囚!!
未使用
17 突撃!!
バラノドン特攻隊
未使用
18 浮かぶ要塞島!!
たった二人の決死隊!!
未使用
19 宇宙の望郷!!
母の涙は我が涙
未使用
20 バラン星に
太陽が落下する日!!
バラン星基地の
カットなどを一部使用
21 ドメル艦隊!!
決死の挑戦状
七色星団戦への
導入部を使用
22 決戦!!
七色星団の攻防戦!!
ほぼノーカットで使用
23 逐に来た!!
マゼラン星雲波高し!!
ガミラス星の話を使用
24 死闘!!
神よガミラスの
ために泣け!!
ほぼノーカットで使用
25 イスカンダル!!
滅びゆくか
愛の星よ!!
イスカンダル到着後の
大半を新規撮影
26 地球よ!!
ヤマトは帰ってきた!!
新規作画を交えて使用。
デスラーの逆襲と
雪の戦死はカット

主題歌

補足

『宇宙戦艦ヤマト』に使用されたオープニング曲は4バージョン存在し、うち2バージョンは、イントロの部分が違うだけでそれ以外は同じなのに対し、あとの2バージョン(イントロが合唱の曲)は、ささきの歌は同じ音源(但し、軽くエコーが掛かっている)だが、コーラスや、曲そのもののミックスが先のバージョンと異なり、またエンディングのコーラス部分(と長さ)やアニメーション、歌詞表記の有無で、2バージョンに分ける事が可能である。

『宇宙戦艦ヤマト2』で使用されたオープニング曲は、『宇宙戦艦ヤマト』で使用されたバージョンとほぼ同じで、イントロの部分のサウンドエフェクトのみ異なっている。

『宇宙戦艦ヤマトIII』で使用されたオープニング曲は、『宇宙戦艦ヤマト2』と同じバージョンながら、最後の部分("銀河を離れ"以降)を、『宇宙戦艦ヤマト』の別バージョンのものと差し替えてミックスした曲で、エンディングも短くなっている。

コーラスグループは初回盤ではミュージカル・アカデミーだったが、再販の際にロイヤル・ナイツへと変更された。(CDの解説等では本来の名前に戻しただけと記載されている。)その後の商品化ではロイヤル・ナイツ版(の『宇宙戦艦ヤマトIII』のOP曲)を収録するのが通例となっていた。ミュージカル・アカデミー版は2000年春に通信販売限定で発売された『松本零士音楽大全』で初回盤以来の商品化(初CD化)が実現した。

  • Star Blazers-Iscandar(Star Blazersの最初の主題歌、歌手不明)
  • Star Blazers-Comet Empire
  • Star Blazers2
  • Space cruiser YAMATO(ささきいさお)

キャラクター

登場勢力

メカニック

ストーリー


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


時に西暦2199年地球は宇宙の彼方の謎の星ガミラスからの侵略を受け、遊星爆弾による無差別攻撃にさらされていた。すでに海は蒸発し尽くし地上の全生命は死滅、残された人類は地上の放射能から逃れるため生存圏を地下に求め、「人類の奴隷化か死か」を要求するガミラスに必死の抵抗を続けていた。しかし圧倒的な科学力の差の前になす術もなく、放射能汚染の進行による全人類の絶滅まであと一年余りと迫る中、最後の地球防衛艦隊が冥王星付近でガミラス宇宙艦隊との交戦により壊滅し、人類生存の希望は完全に潰えたかに見えた。

そんな折、遠く離れた星イスカンダルから救いのメッセージが届いた。そこで人々は、イスカンダルから送られた設計図を元に波動エンジンを製造、それを地球脱出用に極秘裏に改造中だった旧大戦の戦艦大和に搭載し、超光速で航行可能な「宇宙戦艦ヤマト」を完成させた。

地球脱出という目的から放射能除去装置コスモクリーナーD受け取りへと目的の変わったヤマトは、14万8千光年彼方の大マゼラン星雲イスカンダル星に向けて、最後の希望を託されて発進する。1年以内に帰還しなければならないという状況のもと、ガミラス帝国との壮絶な死闘を繰り広げ、未知なる宇宙空間に翻弄されながら、一路イスカンダル星を目指す。

放映と影響

同作品の第一作は、1974年10月6日から1975年3月30日まで26回にわたり讀賣テレビ放送をキー局として放映された。

放映当時は公害問題やオイルショックなど大規模な社会問題が頻発し、『日本沈没』や『ノストラダムスの大予言』など、“滅亡”をテーマにした作品がブームとなっていた。地球の滅亡と復活という内容には、そうした世相が企画当初から意識されていた[2]

スタッフの編成は、企画・原案・製作・総指揮は西崎義展、監督は山本暎一と漫画家でもある松本零士(美術・設定デザインも担当)、チーフディレクターは石黒昇。富野喜幸(富野由悠季)、安彦良和らが絵コンテを担当(富野は第4話のみ)。松本のキャラクター原案を元にしたキャラクターデザインは岡迫亘弘。SF設定は豊田有恒。スタッフの多くが虫プロダクションの出身者により占められた。

当初は最大39回の放送を予定し、小マゼラン基地撃破編などの未製作1クール分のシノプシス(あらすじ)も用意されていた。しかし、裏番組として『アルプスの少女ハイジ』および特撮SFドラマ『猿の軍団』も存在し、そのいずれにも視聴率が及ばなかった。そのため、第3クールへの延長は早々に断念され、全26話に再構成の上で製作・放映された。なお、全39話版シノプシスにあった終盤への伏線は第1クール中から既にオミット(除外)されている。

しかし、当時のアニメとしては抜きん出たSF性が評価され、日本SF大会のファン投票で星雲賞を受賞するなど、放映当時から本作を評価するファンは少なくなかった。本放送終了後、全国で行なわれた再放映は好視聴率を得て、全国各地でファンクラブが結成される[3]。ファンクラブは最盛期には全国で851団体、15万人を数えたという[4]。プロデューサーの西崎義がファンクラブにリクエストするよう働きかけたエンディング主題歌「真っ赤なスカーフ」がニッポン放送で1位になる[5][6]。ニッポン放送では、後にクリスマスシーズンの「交響組曲宇宙戦艦ヤマト」の発売にあわせて、『オールナイトニッポン』で4時間のスペシャル番組が放送された。 アニメ雑誌がない時代において、サブカルチャー雑誌としてスタートした「月刊OUT」が、同人活動を行なっていたファンをライターに起用し、1977年6月号(創刊第2号)でヤマト特集を刊行[7]。同年8月に発売されたテレビランド増刊「ロマンアルバム宇宙戦艦ヤマト」のヒットとあわせて、後の「アニメージュ」に繋がるアニメ雑誌の流れを作るとともに[8]御園まこと編著『図説テレビアニメ全書』原書房、1999年、p31-33.、ファンクラブに入ってない層からの多大な反響を得て、ヤマトのブームを決定付けた。映画公開と前後してグッズ類も多数作られ、本作に引き続く形で『銀河鉄道999』『機動戦士ガンダム』が人気を得たことで、ヤマトブームに終わらず、アニメブームの火付け役との評価が定着している[9][10]

特に『機動戦士ガンダム』への影響については、『宇宙戦艦ヤマト』がそれまでにない中高校生といったハイティーンのコアなファン層が形成されたことから『宇宙戦艦ヤマト』を研究して企画された[11][12]。さらにバンダイが発売して大ヒットした『機動戦士ガンダム』のプラモデル、ガンプラは、先にバンダイが発売して大ヒットした本作のプラモデルの成功と反省が活かされたものであった[13][14]

1977年にテレビ放映版を再編集した劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が公開。これは、テレビ放映では商業的に失敗に終わったヤマトを海外輸出向けに舛田利雄と山本暎一らの協力で再編集したもので、西崎プロデューサーはこれを最後にアニメから手を引き、ファン向けに1週間だけ劇場公開するつもりだったという[15][16]。ところが、東急系の劇場4館のみで公開したところ、公開初日から徹夜する人が現れるなどマスコミでも一躍話題になる。日本の映画で初めて徹夜組が出たのはこのヤマト劇場版第一作だと言われている。この反響により、公開は東映系に拡大されて、全国ロードショーとなり、9億円の配収をあげる[17]。翌年1978年に公開された劇場用アニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』は劇場用アニメ映画としては日本映画史上記録的な大ヒットで、スタジオジブリが制作した『魔女の宅急便』(1989年)が公開されるまでこの記録は破られることは無かった。低年齢層向けと見られていたアニメが年齢層を超えて楽しめるものと認識されるきっかけを作った映画でもある。また、日本では1978年に公開された『スター・ウォーズ』と並んでSFブームの牽引役となった。

また、宮川泰によるフルオーケストラ(第1作は正確にはビッグバンド型式)による主題歌(作詞家阿久悠とのコンビ)やBGMも特徴である。大編成のオーケストラの採用は西崎義展の意向とされる。ヤマト以前は予算の制約からそのような例は多くなかった。その後、劇場映画化に向けてのブームの中で、主要場面の音声を収録したLPレコードが発売され、ホームビデオが未普及の時代の中で大ヒットした。また、劇場映画化を期に交響組曲と称する音楽作品が企画され、アニメ発の同種企画の先駆けとなった。これらの企画は「宇宙戦艦ヤマト三部作」として、日本レコード大賞企画賞を受賞している。

主題歌は今でも高校野球の応援曲としても非常に人気が高く、阪神甲子園球場などでブラスバンドが頻繁に演奏しているほか、海上自衛隊の海外派遣の際、見送りに使用された。また、Jリーグ柏レイソルの応援歌としても採用されており、柏のゴールの直後に歌われる事が多いので、柏の応援席は歌っている間は異様に盛り上がる。2007年のリーグ戦ではこのアニメのネタを引用して、試合に勝利するたびに「地球滅亡まで勝ち点○○」という横断幕が掲げられた。2006年3月に宮川泰が亡くなったときには、本人の希望で、葬送の曲として使われた。携帯電話の着メロでも定番である。

スキャット川島和子主題歌のささきいさお、そして声優陣など本作品で人気がブレイクした関係者も多い。

制作の経緯

本作品の著作のクレジットはオフィスアカデミーであり、小説や漫画などの形で先行した、いわゆる原作が存在しない。現在、制作会社等が原作者となるオリジナル作品が多くあるが、本作品はその先駆けである。後の著作者人格権訴訟では「企画書」を原作としている。

本作の企画は、瑞鷹エンタープライズ(当時)でスタートしており、瑞鷹の西崎義展、SF作家の豊田有恒とスタジオぬえのメンバーが参加して練られたものである。テレビアニメ草創期にアニメの脚本を執筆していた豊田は、当時アニメ界から離れていたが、西崎と本作監督の山本暎一の要請に応える形で参加した。

豊田を中心とした企画では、小惑星そのものを宇宙船とした岩石宇宙船「宇宙船イカルス」や岩石宇宙船の内部に戦艦が内蔵された「アステロイドシップヤマト」なるアイディアが検討されていた(その名残りが本放映中のアステロイドリングに見られる)。 宇宙船のデザインは、戦艦三笠をイメージして、スタジオぬえの松崎健一が行い、企画書に描いたのは背景監督の槻間八郎だった。豊田は『西遊記』を下敷きにして遠い異星に人類を救う放射能除去装置を取りに行くという基本ストーリーを考案[18]。この段階では敵はコンピュータだった。

その後、作家の石津嵐、脚本家の藤川桂介、イラストの斉藤和明、背景美術の槻間八郎が加わり検討が繰り返された結果、敵は異星人となり、放射能汚染された地球を救うためヤマトが放射能除去装置を求めてイスカンダル星を目指すという大筋が完成した。ワープ航法や波動砲というヤマトを象徴するギミックも考案されている。

豊田と西崎はテレビ局へ企画を持ち込み、『宇宙戦艦ヤマト』の放映枠は日本テレビ系の日曜19時半に決まったが、フジ系の裏番組『アルプスの少女ハイジ』が同じ瑞鷹だったため、道義上の問題から本作はオフィス・アカデミーで企画製作を行うこととした。

松本零士は、1974年の4月頃デザインのスタッフとして参加依頼を受けた。これは、設定制作の野崎欣宏の推薦によるものだった。結果的に、キャラクターや個々のストーリー作りなど作品制作に深く関わるようになる。さらに石黒昇のサポートを受けながら監督も務める。これは、監督を務める予定だった山本暎一が、他の仕事のため1974年6月末にヤマトから抜けることになったのが理由である。また、松本のオリジナルキャラクターであるキャプテンハーロックの登場も企画されたが、視聴率低迷の影響で話数が削減され、アニメーション作品には登場していない。ちなみにハーロックは古代進の兄、古代守が正体というのが当初の設定だった。

テレビ放映と同時期に、松本零士による漫画雑誌「冒険王」(1974年11月号より)での漫画版や、豊田有恒原案[19]、石津嵐執筆(通称 石津版)による小説版(1974年12月20日初版刊行)が出版されている。松本の漫画や石津の小説は原作と誤解される場合があるが、一般的には松本の漫画は二次的著作物、石津の小説は新たな著作物と解釈される。

石津嵐の小説は、西崎義展著作の企画書作成時に没とされた豊田有恒らの案を元に石津嵐が著したものとされ、ストーリー展開的に企画書に近い部分もある(終盤の設定の一部が劇場版に生かされたが、続編と話が繋がらなくなるため、劇場版はテレビ放送以降、現在のヴァージョンに再変更された)。当時の出版事情から、地球滅亡編(1974年12月20日刊)、地球復活編(1975年2月3日刊)の入稿時期は、少なくとも松本零士の漫画版の入稿より早いと推測される。これらの存在より宇宙戦艦ヤマトの創作著作者は豊田有恒で、映画の著作者は西崎義展・松本零士と考えられるとする意見もある。ただし豊田有恒は著作権を主張しておらず、著作者人格権をめぐる紛争では松本零士を支持した。

前後番組

日本テレビ系(ここまで読売テレビ製作) 日曜19:30枠
前番組 番組名 次番組
宇宙戦艦ヤマト(第一作)

作品間の関係

初代ヤマト関連作品の時系列(アニメ)
1 テレビ:『宇宙戦艦ヤマト
ガミラス帝国の侵略に立ち向かい、14万8千光年の彼方のイスカンダルへ放射能除去装置コスモクリーナーDを求めて、250年の眠りからよみがえったヤマトが宇宙戦艦となって旅立つ。
(映画『宇宙戦艦ヤマト』には、映画向けの改編の結果、後の作品へのストーリー上の影響の点でいくつかの不足点が見られるため、テレビ版を基本としておく)
2 映画:『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち テレビ:『宇宙戦艦ヤマト2
危機を訴えるかすかな通信を受信したヤマトのクルーは、平和を謳歌する地球を後に電波の発信元・テレザート星を目指し、強大な白色彗星帝国との戦闘に突入していく。
(映画『さらば』とその後に作られたテレビ『2』は、同じストーリーを元にしつつも結末が異なり、これ以降の作品は主要クルーのほとんどが生存しヤマトも健在で残った『2』が基本になる)
3a テレビ特番:『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
故郷であるガミラス星に戻ってきたデスラー総統以下ガミラス残存艦隊は、無人のガミラス星で地下資源を採掘している暗黒星団帝国と遭遇、交戦中にガミラス星が崩壊した余波で、ガミラスと二重惑星を構成していたイスカンダル星が軌道を逸脱して暴走をはじめた。
新兵の訓練航海中だったヤマトは、デスラー総統からの救援要請を受け再びイスカンダルへ向かい、ガミラス艦隊とともに暗黒星団帝国との戦闘に突入する。
3b 映画:『ヤマトよ永遠に
外宇宙から巨大な光球飛行物体が飛来し地球に着陸するとともに、暗黒星団帝国の大艦隊が侵攻、地球の都市は次々に制圧されてしまう。英雄の丘に集結したヤマト乗組員たちは地球を脱出し、真田志郎の待つ小惑星イカロスでパワーアップされたヤマトと再会する。光球飛行物体が地球上の全生物の脳細胞を破壊する重核子爆弾であることを知ったヤマト乗組員たちは、その起爆を阻止すべく、暗黒星団帝国の母星デザリアム星へ旅立つ。
4 テレビ:『宇宙戦艦ヤマトIII
銀河を二分するガルマン・ガミラス帝国ボラー連邦の星間戦争の余波で惑星破壊プロトンミサイルが太陽に突入、太陽の核融合の異常増進により危機に陥った地球から、新たな移住惑星探査と対策調査のためにヤマトが旅立つ。
5 映画:『宇宙戦艦ヤマト 完結編

異次元断層から現れた別の銀河が地球を含む銀河と衝突し、多くの星々が消滅した。水惑星アクエリアスにより母星を失ったディンギル帝国は、そのアクエリアスを操ることにより地球の都市を水没させてその後に移住をしようと企む。ヤマト・地球艦隊はアクエリアスの接近を阻止するため、ディンギル帝国軍と戦う。

関連作品

小説

題名 著者 発行元 装丁 発行日 備考
宇宙戦艦ヤマト 地球滅亡編 作:石津嵐
原案:豊田有恒
朝日ソノラマ 並装 1974年10月20日 1975年11月10日にソノラマ文庫に地球滅亡編・地球復活編を合本して再録。朝日ソノラマから刊行されたこの小説版は本作品の企画段階で没とされた豊田等の案を元に構成されており、ストーリー・設定が大幅に異なっている。例を挙げると、スターシアがコンピュータであり、デスラーはスターシアにより創造された仮生命体である事。ヤマト乗員の殆どはイスカンダル星に到着迄に戦死又は事故死する事。放射能汚染された地球は回復不能でその環境に適応するよう生態改造を行う旨を告げられる事。仮生命体であるデスラーを倒すため、創造主たるスターシア(イスカンダル)を破壊する等である。
宇宙戦艦ヤマト 地球復活編 1975年2月3日
宇宙戦艦ヤマト 1 発進編 構成:西崎義展 朝日ソノラマ 並装 1977年7月20日 1978年12月30日にソノラマ文庫に再録
ヤマト大全集1~3として再録(出版日不詳)
宇宙戦艦ヤマト 2 死闘編 1977年8月1日
宇宙戦艦ヤマト 3 回天編 1977年8月10日
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 上 文:三浦清史 集英社ファンファン文庫   1978年8月15日 1978年8月25日にモンキー文庫からも出版
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 下 1978年8月30日
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1978年8月19日  
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 1 構成:西崎義展 朝日ソノラマ 並装 1978年9月1日 1979年3月15日にソノラマ文庫に再録
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 2 1978年9月15日
宇宙戦艦ヤマト 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1978年9月20日  
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 文:牧美智瑠
監修:西崎義展
集英社 並装版 1978年10月5日  
宇宙戦艦ヤマト 文:牧美智瑠
監修:西崎義展
集英社 並装版 1978年11月10日  
宇宙戦艦ヤマト 総集編 文:三浦清史
監修:西崎義展
集英社モンキー文庫 B6版 1978年11月10日  
熱血小説 宇宙戦艦ヤマト 著者:高垣眸 オフィス・アカデミー 並装版 1979年7月4日  
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1979年9月14日  
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 1 構成:西崎義展 朝日ソノラマ 並装版 1979年9月14日 ヤマト大全集6,7に再録
ソノラマ文庫に1/2巻を合本して再録
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 2
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 文:三浦清史
監修:西崎義展
集英社モンキー文庫 B6版 1979年9月30日 ファンファン文庫からも出版の可能性有(詳細不詳)
宇宙戦艦ヤマト2 上(ヤマト大全集4) 構成:西崎義展 朝日ソノラマ   1980年8月1日 1981年3月26日にソノラマ文庫に上下巻を合本して再録
宇宙戦艦ヤマト2 下(ヤマト大全集5)
ヤマトよ永遠に 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1980年8月15日  
ヤマトよ永遠に 上 文:三浦清史
監修:西崎義展
集英社モンキー文庫 B6版 1980年9月1日  
ヤマトよ永遠に 下 1980年9月10日
ヤマトよ永遠に 上(ヤマト大全集8) 構成:西崎義展 朝日ソノラマ   1980年9月20日  
ヤマトよ永遠に 下(ヤマト大全集9) 1980年9月25日
宇宙戦艦ヤマトIII 1 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1981年5月15日  
宇宙戦艦ヤマトIII 2
宇宙戦艦ヤマトIII 文:三浦清史
監修:西崎義展
集英社モンキー文庫 B6版 1981年6月  
宇宙戦艦ヤマトIII 1(ヤマト大全集10) 構成:西崎義展 朝日ソノラマ      
宇宙戦艦ヤマトIII 2(ヤマト大全集11)
宇宙戦艦ヤマトIII 3(ヤマト大全集12)
宇宙戦艦ヤマト完結編 1 文:若桜木虔
監修:西崎義展
集英社文庫コバルトシリーズ 文庫版 1982年12月15日  
宇宙戦艦ヤマト完結編 2 1983年3月15日
宇宙戦艦ヤマト完結編 1 文:岬兄悟 徳間書店アニメージュ文庫 文庫版 1982年12月31日  
宇宙戦艦ヤマト完結編 2 1983年4月15日
宇宙戦艦ヤマト完結編 1 構成:西崎義展 朝日ソノラマ ソノラマ文庫 文庫版 1983年2月15日  
宇宙戦艦ヤマト完結編 2 1983年3月
宇宙戦艦ヤマト完結編 上 文:三浦清史
監修:西崎義展
集英社ファンファン文庫 B6版 1983年3月15日  
宇宙戦艦ヤマト完結編 下 1983年4月10日

漫画(オリジナル)

宇宙戦艦ヤマト(作画:松本零士)
アニメの放映と同時に「冒険王」誌の1974年11月号から1975年4月号まで連載。単行本化の際に60ページ余りが加筆されたが、月刊誌での掲載によるペースの遅さに加え、途中でアニメが打ち切りとなったため、ストーリーはかなり省略され、松本自身がダイジェストと自認する内容となっている[20]。「冒険王」連載終了後に「プレイコミック」誌の1976年8月号で短編のサイドストーリー「永遠のジュラ編」を執筆。唯一デスラーの妻子が描かれている。
宇宙戦艦ヤマト(作画:ひおあきら)
1974年から1975年にかけて朝日ソノラマのサンコミックスから全3巻で発行されたコミカライズ作品。アニメ版の脚本を担当した藤川桂介が原作を担当。アニメ版ではオミットされたハーロックが活躍を見せ、沖田十三が航行途中で死亡し宇宙葬される(以降は古代が艦長)など、アニメ版のストーリーに比べオリジナルな展開を見せている。
宇宙戦艦ヤマト(作画:聖悠紀
幼年向け雑誌テレビランドの1974年11月号から1975年3月号まで連載。
新宇宙戦艦ヤマト(松本零士)

OVA

ゲーム

  • レーザーディスクゲームタイトー
    宇宙戦艦ヤマト
    発売日 :1985年
    LDゲーム自体が短命に終わったため、現在稼働している場所は無いと言われている。
  • PCエンジンSUPER CD-ROM²)用
    宇宙戦艦ヤマト
    発売日 :1992年12月22日
    ゲーム内の音声は基本的にアニメ版のものを流用しており、富山敬が演じる古代進の声が聞ける唯一のゲームソフトである。
  • プレイステーション
    宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル
    発売日 :1999年2月4日
    さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
    発売日 :2000年5月2日
    宇宙戦艦ヤマト 英雄の軌跡
    発売日 :2000年9月28日
  • プレイステーション2
    宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶
    発売日 :2004年10月6日
    宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲
    発売日 :2005年1月27日
    宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊
    発売日 :2005年4月6日
    プレイステーション用及びプレイステーション2用はTV版や劇場公開作を土台とし新たに再構築を行ったシリーズもの。
    特に「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」にあたるプレイステーション2用ソフトは大幅にシナリオが変更されている。
  • ワンダースワン
    宇宙戦艦ヤマト
    発売日 :2001年2月8日
    ヘクス式のウォー・シミュレーションゲーム。ヤマト本体は2ヘクスを占有する。イスカンダルまでのヤマトの進行ルートが選択式になっており、テレビ(映画)版と異なるストーリーで進めることができる。その際、エンディングでコスモクリーナーDを操作するのが真田志朗であったりとマルチエンディングを迎える。

CD・レコード

交響曲宇宙戦艦ヤマト
第1楽章「誕生」
第2楽章「戦い」(スケルツォ)
第3楽章「祈り」(アダージョ)
第4楽章「明日への希望」(ドッペルコンチェルト)
羽田健太郎作曲(テーマモチーフ作曲:宮川泰、羽田健太郎)
演奏:羽田健太郎(ピアノ独奏~第4楽章)、徳永二男(ヴァイオリン独奏~第4楽章)、川島和子(ヴォカリーズ~第3楽章)、NHK交響楽団(管弦楽)、大友直人(指揮)。
1984年5月4日、五反田簡易保険ホールにおける演奏会ライブ録音・録画。LP(後にCD)/ VHS(/Beta) / LD発売、DVD復刻発売。1992年NHK衛星第二放送での宇宙戦艦ヤマト特集にて放送。
4楽章構成の交響曲で、第1楽章はソナタ形式、第2楽章はスケルツォとして『完結編』のコスモタイガーのテーマを急速な3拍子に編曲。第3楽章アダージョにはスターシャのテーマとして女声ヴォカリーズを挿入(レコードやビデオのクレジットにはジャズ用語のスキャットとして表記されているが、リズムを刻むための子音を挿むわけではないのでヴォカリーズが正しい)、そして第4楽章は作曲者羽田健太郎のピアノと当時N響のソロコンサートマスターだった徳永二男のヴァイオリンによる「ドッペルコンチェルト(二重協奏曲)」という構成になっている。アニメ劇伴をオーケストラ音楽として鑑賞する先駆けとなった作品であり、現在も評価は高い。
なお多くのモチーフは宮川泰作曲のオリジナル劇伴を流用しているが、ソナタ形式などにのっとった交響曲としての構成での作曲は羽田によるもの。第2楽章は『完結編』のモチーフを流用しており、これはもともと羽田の作曲である。
映像演出はウルトラシリーズやATG作品等で知られる実相寺昭雄。「オーケストラがやってきた」等で鳴らした腕を存分に生かした出来となっている。なお、本人曰く「N響を撮った民放ディレクター一番乗り」との事だった。
交響組曲宇宙戦艦ヤマト
宮川泰作曲・編曲、演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト(特別編成オケ)
全12曲構成で「交響曲」とは別もの。
第一作劇場版後の1977年12月に発売され記録的なヒットとなった。この成功以後日本コロムビアでは、アニメ、特撮の劇中音楽をステレオ録音、アルバム化して続々とリリース。後発のキングレコードも機動戦士ガンダムで追随する等、日本アニメーションの音楽、またメディアミックス戦略に多大な影響を与えた。
  • 宇宙戦艦ヤマト 2000年11月 (サミー
  • CR宇宙戦艦ヤマト 2007年12月(藤商事

知的財産権に関する特記

著作権者
本作品群の著作権等は1996年に東北新社に包括譲渡契約され、1998年に西崎義展及びウェストケープコーポレーションの破産管財人が契約の履行を選択、2000年に東北新社と破産管財人との間で譲渡代金の支払につき裁判上の和解が成立し、著作権者は東北新社である事が確定。
商標権者
本作品の商標の最初の出願は1974年3月15日にされている。出願された艦体の意匠は本放送のものとは異なるが、商標の意匠文字は本放送時のものと極めて類似している。
西崎義展及びウェストケープコーポレーションの破産に前後して、本作品の商標権を西崎義展から西崎義展の長男に移転したため、破産管財人が否認権を行使し商標の移転登録の抹消及び譲渡契約の履行により東北新社に商標権を移転した。
※『新宇宙戦艦ヤマト』及び『新・宇宙戦艦ヤマト』の商標は西崎隆二郎なる人物が1999年~2001年に登録している。
同一性保持権及び翻案権
本作品の包括譲渡を受けた東北新社がバンダイバンダイビジュアルに制作・販売を許諾したプレイステーション用ゲームソフトにつき、西崎義展が東北新社・バンダイ・バンダイビジュアルに同ゲームソフトの制作・販売の中止及び1億円の損害賠償を求めたが請求を棄却され、控訴審にて西崎義展が宇宙戦艦ヤマトの著作者である旨を公表しても異議を唱えない事のみを条件に司法和解が成立(但し、著作者表示以外の著作者人格権につき原則不行使とした原審の判示により、本司法和解は西崎義展の事実上の敗訴となった)。
松本対西崎の訴訟
1999年、松本零士は東京拘置所で勾留中のプロデューサー・西崎義展に対して
  • 宇宙戦艦ヤマトの著作権者を松本と認める事。
  • 西崎は、これまでの宇宙戦艦ヤマトの著作権者であるとの発言を訂正し、新聞に謝罪広告を掲載する事。
などを求めて訴訟、西崎も著作者人格権の確認を求めて反訴した(平成11年(ワ)第20820号 著作権侵害差止等請求事件、同12年(ワ)第14077号 著作者人格権確認反訴請求事件)。
2002年、一審は松本の請求を棄却、西崎が求めた著作者人格権を認める判決を下した。松本はヤマト以前に描いた漫画『電光オズマ』に「宇宙戦艦大和の巻」を描き、『光速エスパー』の主人公の名前を本作と同じ「古代すすむ」を用いていたことを根拠の一つとして、原作権を主張したが、名称が同じなだけでデザインはロケット型であり、著作物としての類似性はないとして主張は退けられた。松本は判決を不服として控訴したが、控訴審中の2003年に法廷外和解した。これにより映画の著作者は西崎義展・松本零士の共同著作であり、代表して西崎義展が著作者人格権を有することが確認された。
なお、前述の通り著作権者である東北新社に著作者人格権の原則不行使等を含む著作権等譲渡がされており、著作権者を除く制作当事者間での映画の著作者の確定の影響は少ない。
また本和解条項では、西崎がこれまでの宇宙戦艦ヤマトシリーズを利用した新作(仮題『宇宙戦艦ヤマト・復活編』)を、松本がこれまでの宇宙戦艦ヤマトシリーズとは関係の無い新作(仮題『大銀河シリーズ 大ヤマト編』)を夫々別個に作成する事を相互に確認しているが、前述の著作権等の包括譲渡契約に「将来作品」に関する内容が含まれており、履行には東北新社の許諾を要する限定的な確認と考えられる(和解書確認書)。
三共対東北新社の訴訟
2004年、東北新社はパチンコメーカー三共ビスティ及びインターナショナル・カード・システムに対し、パチンコ「CRフィーバー大ヤマト」(スロット機を含む)プレイステーション2用ソフト・アニメーションソフトの「大銀河シリーズ大ヤマト零号」等が東北新社の有する宇宙戦艦ヤマトの著作権を侵害したとして損害賠償を請求した(平成16年(ワ)第13725号 損害賠償等請求事件)。
2006年12月27日東京地方裁判所は判示にて宇宙戦艦ヤマトの東北新社への包括移転契約前の映画の著作権は訴外西崎義展ではなく訴外オフィス・アカデミー又は訴外ウエスト・ケープとし、西崎義展と東北新社との間の映画の著作権の包括移転契約は無効とされた。
西崎義展及びウエストケープコーポレーションの破産管財人が履行を選択し、破産管財人により東北新社への譲渡代金を司法和解した移転内容が否定されたため、東北新社は著作権確認請求訴訟等を起こす可能性がある。
著作権等の使用者は、真正の著作権者が不明となったために使用料の支払を供託する可能性、法人の破産終結・閉鎖登記を理由に著作権者不在として使用料の返還を求める可能性がある。
東北新社以外の第3者が真正の著作権者とされた場合に損害賠償請求を受ける可能性が生じた。

参考文献

脚注

  1. ^ Star Blazers公式サイト(英語)
  2. ^ 豊田有恒『日本SFアニメ創世記 虫プロ、そしてTBS漫画ルーム』TBSブリタニカ、2000年、p225。
  3. ^ 竹熊健太郎編『庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン』太田出版、1997年、p25。
  4. ^ 猪俣謙次『ガンダム神話』ダイヤモンド社、1995年、p90。
  5. ^ 池田憲章編『アニメ大好き! ヤマトからガンダムへ』徳間書店、1982年、p100。
  6. ^ 竹熊健太郎編『庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン』太田出版、1997年、p23。
  7. ^ 氷川竜介『世紀末アニメ熱論』キネマ旬報社、2000年、p54.
  8. ^ 尾形英夫『あの旗を撃て アニメージュ血風録』オークラ出版、2004年、p42-56.
  9. ^ 津堅信之『アニメーション学入門』平凡社新書、2005年、p81
  10. ^ 増田弘道『アニメビジネスがわかる』NTT出版、2007年、p119、p112。
  11. ^ 日本サンライズに在籍していた飯塚正夫と山浦栄二の証言(『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年、p63-p64、p70)
  12. ^ 猪俣謙次『ガンダム神話』ダイヤモンド社、1995年、p24。
  13. ^ 猪俣謙次、加藤智『ガンプラ開発真話 そして市場勢力図は塗り替えられた』メディアワークス、2006年、p190
  14. ^ 松本悟、仲吉昭治『俺たちのガンダム・ビジネス』日本経済新聞出版社、2007年、p66、p104。
  15. ^ 池田憲章編『アニメ大好き! ヤマトからガンダムへ』徳間書店、1982年、p90.
  16. ^ 佐藤利明、高護編『映画監督舛田利雄 ~アクション映画の巨星 舛田利雄のすべて~』ウルトラ・ヴァイヴ、2007年、p292.
  17. ^ スタジオジブリ責任編集『ナウシカの「新聞広告」って見たことありますか。ジブリの新聞広告18年史』徳間書店スタジオジブリ事業本部、2002年、p110-111.
  18. ^ 豊田有恒『日本SFアニメ創世記 虫プロ、そしてTBS漫画ルーム』TBSブリタニカ、2000年、p225。
  19. ^ 原案と表記されている豊田有恒の『あなたもSF作家になれるわけではない』(徳間書店、1979年、p70)によれば、この小説版は、99.9%石津の仕事とのこと。
  20. ^ 松本零士『宇宙戦艦ヤマト第2巻』(秋田書店サンデーコミックス、1979年)カバーの著者松本零士の言葉。

外部リンク

星雲賞映画演劇部門
第5回 1974年度
第6回 1975年度
宇宙戦艦ヤマト
松本零士総監督
第7回 1976年度