光速エスパー

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光速エスパー』(こうそくエスパー)は家電メーカー東芝のマスコットキャラクター[1][2]。また、これを題材とする漫画、特撮テレビドラマ。

概要[編集]

家電メーカー東芝のマスコットキャラクターとして1964年に漫画家あさのりじのデザインで制作され、漫画連載の後、同社をスポンサーとして子ども向けの特撮テレビドラマが企画された[1]。このキャラクターの導入は、未来的かつ親しみやすいイメージ戦略を展開する意図があったものとされる[3]。主人公「東ヒカル」の命名は同社のイメージソングの一節「光る東芝」から採られている[4]。同様のネーミングから「芝光子」というガールフレンドも登場する[要検証]

サザエさん』に先行する東芝のマスコットキャラクターとして、1964年から1970年代まで全国の東芝の電気店のシャッターにイラストが描かれ、店頭に販促用のディスプレイ人形が設置された[5]

また「エスパー」は同社の電動鉛筆削り器のペットネームとしても使用された。

漫画版[編集]

1966年から1968年まであさのりじによる漫画が『少年』(光文社)にて連載された。

また、テレビドラマ版の再放送時には松本零士による漫画が1968年から1969年まで『少年ブック』(集英社)及び『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された[1]。松本版は仕事を受けるにあたって「好きにやらせてくれるなら」という条件を出したこともあり、全くのオリジナルストーリーになっており、のちに主人公名が『宇宙戦艦ヤマト』に流用され[注釈 1]、主人公の境遇は『銀河鉄道999』の星野鉄郎のキャラクター原型の一つとなった。

この松本版も東芝オフィシャルなものとして扱われ、広告や系列電気店のシャッター図案も後期は松本のデザインしたキャラクターに差し替えられている。

強化服と一体のフルフェイスヘルメットをかぶり、耳のアンテナがレシーバの中心を通っていないのがあさのりじのデザインしたキャラクター、ブーツとレシーバとショルダージェットが特徴的にディテールアップされウエストにベルトのある強化服、レシーバの中心軸と合ったアンテナをつけたジェット型のヘルメットをかぶり、極端なパースがつけられて左右の瞳の大きさが異なる絵が松本のデザインしたキャラクターである。

松本版[編集]

故郷バシウト星(後ろから読むとト・ウ・シ・バ…)の政変により難民となった宇宙人少年、エスパーが地球にたどり着き、異端の科学者古代博士の養子となる。

古代すすむと名乗ることになった少年は、本星で邪悪な政権打倒のためにレジスタンスとして戦う両親を想いながら、博士の開発した強化服(バシウト星人の卓越した体力をもってしか着こなせない未完成な代物)を身につけ「光速エスパー」として、拡大政策をもって地球に侵攻してきたバシウト星人と戦う。

マグナムDという相棒の巨大ロボットも登場する。独裁者を倒した後、本名のエスパーを名のって下宿していたり、なぜか小さくなって(50センチくらい)カプセルのなかに収納されていたりする、漫画版独自のストーリーも展開された。

テレビドラマ版[編集]

光速エスパー
ジャンル テレビドラマ
放送時間 火曜19:00 - 19:30(30分)
放送期間 1967年8月1日 - 1968年1月23日(26回)
放送国 日本の旗 日本
出演者 三ツ木清隆
オープニング 「光速エスパーの歌」
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1967年8月1日から1968年1月23日まで日本テレビ系で全26話が放送された。宣弘社製作。

自力で超人的な主人公が奇抜な扮装をしているのではなく、特徴的な装束そのものが能力(こちらは超能力に近い)を持っている、という、日本で「強化服」の概念を広めた先駆的な作品[5][3]また素性がまったく普通の少年であることは、当時一層視聴者に親しみと憧れをかきたてた。[要出典]

怪獣ブーム以降の作品にもかかわらず、巨大怪獣が登場するのではなく、劇中で起きるのは怪事件・怪現象であり、従来の少年ヒーローにSF要素を加味した作風となっている[6][3]。エスパーが基本的に等身大ヒーローであることもあるが、東芝の意向もあり[1][4]、当時としてはSFテイストをもったプロットが多く投入され「科学時代に相応しい(当時のキャッチフレーズ)、科学が問題を解決する明るい未来の物語」に仕上がっている[1]

宣弘社が初めて手がけたカラー作品であり、少年が主人公であるのも同社初である[3]。宣弘社は過去にも東芝の提供でSF作品『遊星王子』を制作している[3]。本作品は、大正製薬から宣弘社へ移籍した松本美樹が東芝専属の部署として設立した「東芝分室」の初仕事であった[4]。スタッフは宣弘社の常連だけでなく、前年まで国際放映で『忍者部隊月光』を担当していたスタッフらが多く参加している[3]。宣弘社作品の常連監督であった田村正蔵は、パイロット版を監督した後に急性肝炎で1ヶ月入院したため、監督としての参加は1本に留まり、基本的には編集の手伝いをしていたという[4]

当時はカラーテレビ販売のために各家電メーカーがカラー番組の制作に携わっており[注釈 2]、本作品は東芝初のカラー作品である[2]。東芝一社提供番組のいくつかは、タイトル前に「光る東芝」が流されたが、本番組の冒頭のそれは他の番組と異なり、エスパーが飛び回る本作品専用のアニメーションで作られていた。

1966年に900万円の製作費でパイロットフィルムが製作された[7]が、劇場映画の手法で制作されたものの、時間と経費が掛かり失敗の連続であった[7]。なお、パイロット版は近未来が舞台となっている[8]

監督の田村正蔵は、本作品で予算を使いすぎたため、次番組として企画されていた『カムイ外伝』が実写からアニメに変更されたと証言している[9]

ストーリー[編集]

ごく普通の中学生、東ヒカルは、両親と共に気球の遊覧飛行を楽しんでいる際に墜落事故に遭ったが、全員奇跡的に一命を取りとめた。

事故の真相は、ギロン星人に母星を滅ぼされ、地球にたどりついた善意の宇宙人エスパー星人の夫妻の飛行音波の衝撃で気球が爆発して起こったもので、実はヒカルの両親はその際に死亡しているが、エスパー星人の夫妻がヒカルへの贖罪の意味も込めヒカルにも秘密で憑依しており、以後、家族として生活している。

そして、ギロン星人も地球にやってきたことを察知したエスパー星人らは、光波エネルギー研究所で強化服を開発中の朝川博士(ヒカルの叔父)に、ひらめきを模したテレパシーを送り、エスパー星の科学力を反映させて強化服を完成させる。

そして、強化服装着者に選ばれたヒカルは「光速エスパー」として、小鳥型サポートロボット「チカ」を介して常に共にあるエスパー星人の母と共に、ギロン星人の地球侵略作戦ほか数々の怪事件に挑戦していく。

キャラクターとメカニック[編集]

エスパー
ヒカルが「イー・エス・パー」の掛け声によって瞬時に朝川博士開発の強化服を装着した姿。下記の7つの能力を持つ[10]
高速飛行
背中に装備したL動力ロケットと重力の作用を受けない反重力ブーツにより空を飛ぶ[10]光速での飛行も可能だが、体力を消耗するため1分間が限界である[10]
ミクロ能力
強化服に装備されている超特殊半導体TMDにより、30分間体を縮小する[10]。理論上は無限に小さくなるとされる[10]
テレパシー
強化ヘルメットでエスパーの能力を増幅し、人間や動物の思考を読み取ったり、相手に自分の考えを送信する[10]。増幅前では効果は半径10メートル以内だが、増幅後は半径10キロメートルに拡大される[10]
コピー能力
非生物を再生・複製する[10]
残像視力
透視能力により、死者や気絶した人間が最後に目撃したものを見ることができる[10]
戦闘能力
手袋のレーザーガン、ヘルメットのショック波銃、腰に装備したエネルギーガンを駆使する[10]
スクリーン
強化服全体を覆う防護スクリーン[10]。これによりあらゆるショックに耐え、真空や深海を自在に活動することができる[10]。ただし、高熱を長時間耐えることはできない[10]
撮影用スーツはゴム製のウェットスーツが用いられ、照明でスタジオ内は40-50度になるため、演じる三ツ木清隆は2度ほど失神したという[11]。その後、布製の衣裳が作られたが見栄えが悪いためすぐに使われなくなり、バストアップ時に上半身のみのスーツが用いられるようになった[12]
エスパー2号
光一がエスパーに似た服を着た姿。エスパー並の能力はないものの、作品の中盤以降エスパーと共に活動する。
ラスター号
光波エネルギー研究所所員が外宇宙での探索活動などに用いられる宇宙船。バリアが主な武器。
スーパー2号
エスパー2号専用機。ラスター号同様バリアーをはることができる。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

放送リスト[編集]

参照:岩佐陽一 2001, p. 181, 「光速エスパー ON AIR LIST」、石橋春海 2014, p. 61

話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 登場宇宙人他
1 1967年
08月01日
エスパー誕生 池田和雄 石川義寛
福原博
ギロン星人
2 08月08日 大彗星M現わる 伊上勝 福原博
3 08月15日 原子炉のカビ 山崎忠昭 石川義寛
福原博
4 08月22日 グローブモンスターの襲撃 池田和雄 ギロン星人
グローブモンスター
5 08月29日 金属をたべる宇宙植物 中西隆三 福原博 ギロン星人
6 09月05日 超生命フロスター 山崎忠昭 ギロン星人
フロスター
7 09月12日 ゆがんだ太陽 石川義寛
福原博
ギロン星人
8 09月19日 ジュピター星のトゲ 中西隆三 福原博 ギロン星人
トゲモンスター
9 09月26日 地球をおおう虹 ギロン星人
10 10月03日 金星は地獄だ 山崎忠昭 山田健 ギロン星人
泡状の怪物
11 10月10日 宇宙マラブンタの来襲 中西隆三 福原博 ギロン星人
12 10月17日 ウイルスの恐怖 池田和雄 石川義寛
福原博
13 10月24日 まぼろし円盤撃滅 山崎忠昭 福原博
14 10月31日 宇宙から来た幽霊船 陶山智
15 11月07日 エスパー2号誕生 田村多津夫 山田健
16 11月14日 月面基地応答なし 中西隆三 福原博
17 11月21日 氷の星からきた男 田村多津夫 山田健 グラソン星人=リーダー・ジョージ大原(演:岩下浩)ほか
18 11月28日 宇宙人破壊部隊 外山徹
19 12月05日 超能力を持つ少女 田村正蔵 和(演:宮かおり
和の母(演:柳川慶子
20 12月12日 ラスター号出撃 外山徹 ギロン星人
クレプス人
ガリン星人
21 12月19日 脳波生物ザボール 中西隆三 福原博 ザボール
22 12月26日 気球よあがれ 田村多津夫 山田健 所長=謎の宇宙人(演:松本朝夫
23 1968年
01月02日
我等宇宙の仲間 所長=謎の宇宙人
ブーペ星人(演:劇団ブーケ)
宇宙海賊のボス(声:加藤精三)
24 01月09日 ノアの箱舟のゆくえ 岩城其美夫 ノア星人(演:飯田覚三高杉玄ほか)
25 01月16日 アストロ星の兄弟 福原博 アストロ星人=アルタ(演:石川竜二
アロザ(演:大橋一元
ノヴァ(演:丹羽又三郎)ほか
26 01月23日 宇宙の果まで 外山徹 アルゴル星人(演:野口ひろし、平島正一ほか、声:加藤精三)

ネット局・放送時刻[編集]

※1967年9月時点の放送局[13]

映像ソフト化[編集]

  • 1995年以前にジャパンホームビデオから全6巻のVHSソフトが発売された[6]。また日本ソフトシステムからLDボックスも発売されている[6]
  • 2001年7月25日に発売パノラマ・コミュニケーションズ・販売エスモックにより全話収録のDVD-BOXが発売[14]。同年11月21日に単巻DVD全7巻が発売[14]
  • 2011年9月に全話収録のデジタルリマスター版DVD-BOXが発売。
  • 2015年11月27日にTCエンタテインメントより甦るヒーローライブラリー第16集として全2巻のBlu-rayが発売[2]

リメイク[編集]

1984年笠倉出版社コミックマルガリータ第4号から『STAND BY エクスファー』のタイトルで漫画連載された。設定は大野安之、作画はなかどくにひこ[15]、脚本はりべんじかんぱにぃ。東ヒカルの名はそのままに主人公が少年から少女に変更されている。

なお、連載の途中でコミックマルガリータが休刊したため、同出版社のコミックロリポップに連載が引き継がれている。単行本化はされていない。

第3号での企画ページにて原題の『光速エスパー』のまま、自主制作されたオープニングアニメを軸とした特集が組まれ、松本零士と大野安之の対談も掲載されている。松本はこの対談にて、「かなりイメージが違うから『光速エスパー』ではなくオリジナル作品とした方が良い」との旨の発言をしている。また第3号の時点で「光速エスパー」からの改題は決まっており、特集および次号予告にて「エクスファー」のタイトルとなる事が告知されている。

強化服のデザインは大野の漫画『That's!イズミコ』で、すーぱーひーろーぷりてぃーずとして登場した擬似超能力附加および身体機能保護、増強システム「EXPHAR」(「EX-pander of PsycHopower in Advanced Region」)バイ・ポーラー・タイプ強化服の原型である[16]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ アニメ雑誌『アニメディア』[要文献特定詳細情報]に掲載されたヒーロー相関図では、はっきりと同一人物と記されていた。
  2. ^ 三洋電機の『ジャングル大帝』、松下電器の『がんばれ!マリンキッド』など[2]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 岩佐陽一 2001, p. 180, 「光速エスパーの世界」
  2. ^ a b c d 金田益美「Blu-ray名作ガイド 東芝提供によるカラーと空想科学の特撮『光速エスパー』」、『別冊映画秘宝 特撮秘宝』vol.3、洋泉社2016年3月13日、 pp.182-183、 ISBN 978-4-8003-0865-8
  3. ^ a b c d e f 石橋春海 2014, pp. 61-63, 「1967 光速エスパー」
  4. ^ a b c d 宣弘社フォトニクル 2015, pp. 24-27, 「光速エスパー」
  5. ^ a b 全怪獣怪人』上巻、勁文社1990年3月24日、pp.112 - 113。C0676。ISBN 4-7669-0962-3
  6. ^ a b c 『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』 竹書房/イオン編、竹書房1995年11月30日、67頁。C0076。ISBN 4-88475-874-9
  7. ^ a b 『福島民報』1967年7月23日。
  8. ^ 『宇宙船』 VOL・10 朝日ソノラマ、1982年、15頁。
  9. ^ 石橋春海 2014, p. 62, 「制作現場「光速エスパー」 あのとき私は 田村正蔵 制作・監督(当時)」.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m 宣弘社フォトニクル 2015, p. 27, 「光速エスパー7つのちから」
  11. ^ 石橋春海 2014, pp. 64-67, 「宣弘社作品のヒーローたち Interview 三ツ木清隆」.
  12. ^ 宣弘社フォトニクル 2015, p. 26, 「インタビュー 三ツ木清隆」.
  13. ^ 『朝日新聞』1967年9月5日、9面。
  14. ^ a b 「綴込特別付録 宇宙船 YEAR BOOK 2002」、『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ2002年5月1日、 169頁、 雑誌コード:01843-05。
  15. ^ コミック・マルガリータ”. 漫画ブリッコの世界 (2013年12月19日). 2018年8月26日閲覧。
  16. ^ 『That's!イズミコ』第5巻84-85頁。

参考文献[編集]

日本テレビ 火曜19:00枠
前番組 番組名 次番組
光速エスパー