本格ミステリ・ベスト10

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『本格ミステリ・ベスト10』（ほんかくミステリ・ベストテン）は、探偵小説研究会編・著の推理小説のランキング本。毎年12月に原書房より刊行される。

概要

本格推理小説を対象とするこのランキングは、1997年、東京創元社の雑誌『創元推理』16号で「1996年日本本格ミステリ・ベスト10」を選出したことに端を発し、その翌年から探偵小説研究会が編著者となり、同社から年刊の『本格ミステリ・ベスト10』の刊行が始まった。

1998年版～2000年版の3冊を刊行後、2001年版（2000年12月刊行）より版元が原書房移行された。その際、いくつかの企画は東京創元社の『本格ミステリこれがベストだ!』（同じく探偵小説研究会編著、2001年～2004年）が引き継いだ^[1]。

ランキングの集計方法は、研究会が本格ミステリに関する有識者と考える人々に投票を依頼し、1位から5位を決めてもらうというもの。「本格」の定義は投票者に一任されている。

海外作品については、当初からアンケートや作品紹介はあったものの、ランキングが始まったのは2001年版からである。また、2002年版からはインターネット読者投票による国内ランキングも掲載されている。

ランキング一覧

1997年版

対象：1996年1月〜12月発行書籍

鉄鼠の檻（京極夏彦）
絡新婦の理（京極夏彦）
星降り山荘の殺人（倉知淳）
すべてがFになる（森博嗣）
どちらかが彼女を殺した（東野圭吾）
名探偵の掟（東野圭吾）
時の誘拐（芦辺拓）
人格転移の殺人（西澤保彦）
「吾輩は猫である」殺人事件（奥泉光）
-
龍臥亭事件（島田荘司）

1998年版

対象：1997年1月〜12月発行書籍

鴉（麻耶雄嵩）
ガラスの麒麟（加納朋子）
未明の悪夢（谺健二）
續・日本殺人事件（山口雅也）
メルカトルと美袋のための殺人（麻耶雄嵩）
冤罪者（折原一）
硝子の家（鮎川哲也・編）
三月は深き紅の淵を（恩田陸）
朱色の研究（有栖川有栖）
封印再度（森博嗣）

1999年版

対象：1998年1月〜12月発行書籍

人狼城の恐怖第四部完結編（二階堂黎人）
塗仏の宴宴の支度・宴の始末（京極夏彦）
殉教カテリナ車輪（飛鳥部勝則）
邪馬台国はどこですか?（鯨統一郎）
-
ブードゥーチャイルド（歌野晶午）
十三番目の陪審員（芦辺拓）
天啓の器（笠井潔）
グランド・ミステリー（奥泉光）
-
神曲法廷（山田正紀）
朝霧（北村薫）

2000年版

対象：1999年1月〜12月発行書籍

法月綸太郎の新冒険（法月綸太郎）
ハサミ男（殊能将之）
どんどん橋、落ちた（綾辻行人）
盤上の敵（北村薫）
象と耳鳴り（恩田陸）
プリズム（貫井徳郎）
メイン・ディッシュ（北森鴻）
黄金色の祈り（西澤保彦）
白夜行（東野圭吾）
-
-
そして二人だけになった（森博嗣）

2001年版

対象：2000年1月〜10月発行書籍

国内

奇術探偵曾我佳城全集（泡坂妻夫）
火蛾（古泉迦十）
壺中の天国（倉知淳）
木製の王子（麻耶雄嵩）
美濃牛（殊能将之）
少年たちの密室（古処誠二）
依存（西澤保彦）
幽霊刑事（有栖川有栖）
倒錯の帰結（折原一）
怪人対名探偵（芦辺拓）

海外

ドン・イシドロ・パロディ六つの難事件（ボルヘス & ビオイ＝カサーレス）
サム・ホーソーンの事件簿 I （エドワード・D・ホック）
自殺じゃない! （シリル・ヘアー）
夜の記憶（トマス・H・クック）
死体のない事件（レオ・ブルース）
白鳥の歌（エドマンド・クリスピン）
さまよえる未亡人たち（エリザベス・フェラーズ）
国会議事堂の死体（スタンリー・ハイランド）
タラント氏の事件簿（C・デイリー・キング）
-
納骨堂の多すぎた死体（エリス・ピーターズ）
冷えきった週末（ヒラリー・ウォー）
ベウラの頂（レジナルド・ヒル）

2002年版

対象：2000年11月〜2001年10月発行書籍

国内

ミステリ・オペラ（山田正紀）
時の密室（芦辺拓）
黒祠の島（小野不由美）
未完成（古処誠二）
硝子細工のマトリョーシカ（黒田研二）
三人目の幽霊（大倉崇裕）
ロシア幽霊軍艦事件（島田荘司）
絶叫城殺人事件（有栖川有栖）
模倣犯（宮部みゆき）
巫女の館の密室（愛川晶）

海外

ジャンピング・ジェニイ（アントニイ・バークリー）
騙し絵の檻（ジル・マゴーン）
最上階の殺人（アントニイ・バークリー）
学寮祭の夜（ドロシー・L・セイヤーズ）
-
密室殺人コレクション（二階堂黎人・森英俊共編）
四人の申し分なき重罪人（G・K・チェスタトン）
第三の銃弾［完全版］（カーター・ディクスン）
死の殻（ニコラス・ブレイク）
女占い師はなぜ死んでゆく（サラ・コードウェル）
魔の淵（ヘイク・タルボット）
他言は無用（リチャード・ハル）

2003年版

対象：2001年11月〜2002年10月発行書籍

国内

オイディプス症候群（笠井潔）
法月綸太郎の功績（法月綸太郎）
マレー鉄道の謎（有栖川有栖）
鏡の中は日曜日（殊能将之）
GOTH リストカット事件（乙一）
僧正の積木唄（山田正紀）
グラン・ギニョール城（芦辺拓）
奇偶（山口雅也）
聯愁殺（西澤保彦）
魔神の遊戯（島田荘司）

海外

第四の扉（ポール・アルテ）
レイトン・コートの謎（アントニイ・バークリー）
家蠅とカナリア（ヘレン・マクロイ）
踊り子の死（ジル・マゴーン）
サム・ホーソーンの事件簿 II （エドワード・D・ホック）
ウィッチフォード毒殺事件（アントニイ・バークリー）
イリーガル・エイリアン（ロバート・J・ソウヤー）
死者を起こせ（フレッド・ヴァルガス）
髑髏島の惨劇（マイケル・スレイド）
囁く谺（ミネット・ウォルターズ）

2004年版

対象：2002年11月〜2003年10月発行書籍

国内

葉桜の季節に君を想うということ（歌野晶午）
スイス時計の謎（有栖川有栖）
月の扉（石持浅海）
七度狐（大倉崇裕）
陰摩羅鬼の瑕（京極夏彦）
神のロジック人のマジック（西澤保彦）
くらのかみ（小野不由美）
赤い月照（谺健二）
OZの迷宮（柄刀一）
-
ネジ式ザゼツキー（島田荘司）

海外

死が招く（ポール・アルテ）
捕虜収容所の死（マイケル・ギルバート）
ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎（アントニイ・バークリー）
歌うダイアモンド（ヘレン・マクロイ）
魔法人形（マックス・アフォード）
探偵術教えます（パーシヴァル・ワイルド）
テンプラー家の惨劇（ハリントン・ヘクスト）
暗黒大陸の悪霊（マイケル・スレイド）
闇に問いかける男（トマス・H・クック）
半身（サラ・ウォーターズ）

2005年版

対象：2003年11月〜2004年10月発行書籍

国内

生首に聞いてみろ（法月綸太郎）
暗黒館の殺人（綾辻行人）
螢（麻耶雄嵩）
紅楼夢の殺人（芦辺拓）
硝子のハンマー（貴志祐介）
イニシエーション・ラブ（乾くるみ）
水の迷宮（石持浅海）
アルファベット・パズラーズ（大山誠一郎）
天城一の密室犯罪学教程（天城一）
キマイラの新しい城（殊能将之）

海外

赤い霧（ポール・アルテ）
サム・ホーソーンの事件簿 III （エドワード・D・ホック）
蛇の形（ミネット・ウォルターズ）
絹靴下殺人事件（アントニイ・バークリー）
大聖堂は大騒ぎ（エドマンド・クリスピン）
閘門の足跡（ロナルド・A・ノックス）
イデアの洞窟（ホセ・カルロス・ソモサ）
殺意のシナリオ（ジョン・フランクリン・バーディン）
荊の城（サラ・ウォーターズ）
-
海のオベリスト（C・デイリー・キング）
誰でもない男の裁判（A・H・Z・カー）

2006年版

対象：2004年11月〜2005年10月発行書籍

国内

容疑者Xの献身（東野圭吾）
扉は閉ざされたまま（石持浅海）
弥勒の掌（我孫子武丸）
ニッポン硬貨の謎（北村薫）
神様ゲーム（麻耶雄嵩）
摩天楼の怪人（島田荘司）
交換殺人には向かない夜（東川篤哉）
-
三百年の謎匣（芦辺拓）
ゴーレムの檻（柄刀一）
模像殺人事件（佐々木俊介）

海外

骨と髪（レオ・ブルース）
悪女パズル（パトリック・クェンティン）
カーテンの陰の死（ポール・アルテ）
ストップ・プレス（マイクル・イネス）
愚か者の祈り（ヒラリー・ウォー）
斬首人の復讐（マイケル・スレイド）
クライム・マシン（ジャック・リッチー）
骨の島（アーロン・エルキンズ）
最後の審判の巨匠（レオ・ペルッツ）
柳園の壺（ロバート・ファン・ヒューリック）

2007年版

対象：2005年11月〜2006年10月発行書籍

国内

乱鴉の島（有栖川有栖）
顔のない敵（石持浅海）
厭魅の如き憑くもの（三津田信三）
夏期限定トロピカルパフェ事件（米澤穂信）
邪魅の雫（京極夏彦）
シャドウ（道尾秀介）
骸の爪（道尾秀介）
福家警部補の挨拶（大倉崇裕）
向日葵の咲かない夏（道尾秀介）
仮面幻双曲（大山誠一郎）

海外

魔王の足跡（ノーマン・ベロウ）
間違いの悲劇（エラリー・クイーン）
赤髯王の呪い（ポール・アルテ）
オックスフォード連続殺人（ギジェルモ・マルティネス）
ヴードゥーの悪魔（ジョン・ディクスン・カー）
ひよこななぜ道を渡る（エリザベス・フェラーズ）
奇術師の密室（リチャード・マシスン）
証拠は眠る（オースティン・フリーマン）
ローリング邸の殺人（ロジャー・スカーレット）
毒杯の囀り（ポール・ドハティー）

2008年版

対象：2006年11月〜2007年10月発行書籍

国内

女王国の城（有栖川有栖）
首無の如き祟るもの（三津田信三）
密室キングダム（柄刀一）
インシテミル（米澤穂信）
離れた家（山沢晴雄）
密室殺人ゲーム王手飛車取り（歌野晶午）
収穫祭（西澤保彦）
夕陽はかえる（霞流一）
リベルタスの寓話（島田荘司）
心臓と左手（石持浅海）

海外

狂人の部屋（ポール・アルテ）
悪魔はすぐそこに（D・M・ディヴァイン）
死の相続（セオドア・ロスコー）
切り裂かれたミンクコート事件（ジェームズ・アンダースン）
ジョン・ディクスン・カーを読んだ男（ウィリアム・ブリテン）
大鴉の啼く夜（アン・クリーヴス）
虚空から現れた死（クレイトン・ロースン）
リヴァイアサン号殺人事件（ボリス・アクーニン）
議会に死体（ヘンリー・ウェイド）
サム・ホーソーンの事件簿 V （エドワード・D・ホック）

2009年版

対象：2007年11月〜2008年10月発行書籍

国内

山魔の如き嗤うもの（三津田信三）
ラットマン（道尾秀介）
完全恋愛（牧薩次）
聖女の救済（東野圭吾）
青銅の悲劇瀕死の王（笠井潔）
裁判員法廷（芦辺拓）
妃は船を沈める（有栖川有栖）
ペガサスと一角獣薬局（柄刀一）
エコール・ド・パリ殺人事件（深水黎一郎）
官能的四つの狂気（鳥飼否宇）
狐火の家（貴志祐介）

海外

ウォリス家の殺人（D・M・ディヴァイン）
霧と雪（マイケル・イネス）
七番目の仮説（ポール・アルテ）
ナポレオンの剃刀の冒険（エラリー・クイーン）
ロジャー・マーガトロイドのしわざ（ギルバート・アデア）
ケンブリッジ大学の殺人（グリン・ダニエル）
ポッターマック氏の失策（オースティン・フリーマン）
道化の町（ジェイムズ・パウエル）
検死審問（パーシヴァル・ワイルド）
絞首人の手伝い（ヘイク・タルボット）

2010年版

対象：2008年11月〜2009年10月発行書籍

国内

密室殺人ゲーム2.0（歌野晶午）
身代わり（西澤保彦）
Another（綾辻行人）
追想五断章（米澤穂信）
新参者（東野圭吾）
鷺と雪（北村薫）
ダブル・ジョーカー（柳広司）
ここに死体を捨てないでください!（東川篤哉）
後悔と真実の色（貫井徳郎）
リバース（北國浩二）

海外

災厄の紳士（D・M・ディヴァイン）
検死審問ふたたび（パーシヴァル・ワイルド）
虎の首（ポール・アルテ）
水時計（ジム・ケリー）
サイモン・アークの事件簿 I （エドワード・D・ホック）
死せる案山子の冒険（エラリー・クイーン）
騙し絵（マルセル・F・ラントーム）
ミスター・ディアボロ（アントニー・レジューン）
幽霊の2/3 （ヘレン・マクロイ）
ポジオリ教授の冒険（T・S・ストリブリング）

2011年版

対象：2009年11月〜2010年10月発行書籍）

国内

隻眼の少女（麻耶雄嵩）
叫びと祈り（梓崎優）
水魑の如き沈むもの（三津田信三）
綺想宮殺人事件（芦辺拓）
アルバトロスは羽ばたかない（七河迦南）
貴族探偵（麻耶雄嵩）
写楽閉じた国の幻（島田荘司）
丸太町ルヴォワール（円居挽）
謎解きはディナーのあとで（東川篤哉）
こめぐら（倉知淳）

海外

ベヴァリー・クラブ（ピーター・アントニイ）
陸軍士官学校の死（ルイス・ベイヤード）
ストラング先生の謎解き講義（ウィリアム・ブリテン）
警官の証言（ルーパート・ペニー）
パニック・パーティ（アントニイ・バークリー）
悪魔パズル（パトリック・クェンティン）
殺す手紙（ポール・アルテ）
-
愛おしい骨（キャロル・オコンネル）
ロードサイド・クロス（ジェフリー・ディーヴァー）
フレンチ警部と毒蛇の謎（F・W・クロフツ）
修道女フィデルマの洞察（ピーター・トレメイン）

2012年版

対象：2010年11月〜2011年10月発行書籍）

国内

折れた竜骨（米澤穂信）
メルカトルかく語りき（麻耶雄嵩）
開かせていただき光栄です（皆川博子）
虚構推理鋼人七瀬（城平京）
鍵のかかった部屋（貴志祐介）
消失グラデーション（長沢樹）
吸血鬼と精神分析（笠井潔）
密室殺人ゲーム・マニアックス（歌野晶午）
放課後はミステリーとともに（東川篤哉）
赤い糸の呻き（西澤保彦）

海外

三本の緑の小壜（D・M・ディヴァイン）
ブラッド・ブラザー（ジャック・カーリイ）
四十面相クリークの事件簿（トマス・M・ハンシュー）
野兎を悼む春（アン・クリーヴス）
ディーン牧師の事件簿（ハル・ホワイト）
サイモン・アークの事件簿 II （エドワード・D・ホック）
紳士と月夜の晒し台（ジョージェット・ヘイヤー）
二流小説家（デイヴィッド・ゴードン）
死角オーバールック（マイクル・コナリー）
暗い鏡の中に（ヘレン・マクロイ）

インタビュー

「本格」Man of the Year

その年に活躍した作家を1人ないし2人選び、インタビューするコーナー。

1998 - 森博嗣
1999 - 二階堂黎人
2000 - 西澤保彦
2001 - 柄刀一
2002 - 山田正紀
2003 - 霞流一
2004 - 歌野晶午
2005 - 芦辺拓
2006 - 北村薫
2007 - 島田荘司
2008 - 有栖川有栖
2009 - 山口雅也
2010 - 米澤穂信
2011 - 麻耶雄嵩
2012 - 東川篤哉、深水黎一郎

注目の気鋭

2004 - 柳広司
2005 - 加賀美雅之
2006 - 石持浅海
2007 - 道尾秀介
2008 - 三津田信三
2009 - 鳥飼否宇
2010 - （なし）
2011 - 小島正樹
2012 - （なし）

脚注

^ 「会員のオススメ」コーナーやいしいひさいちのマンガなど

外部リンク

探偵小説研究会HP

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[1] 「会員のオススメ」コーナーやいしいひさいちのマンガなど

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概要