F・W・クロフツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

フリーマン・ウィルス・クロフツFreeman Wills Crofts, 1879年6月1日 - 1957年4月11日)は、アイルランド生まれのイギリス推理作家・元鉄道技師。リアリズムを重視した一連の推理小説で知られる。

経歴[編集]

1879年にアイルランドダブリンに生まれる。英国陸軍医師だった父親の死後、母親の再婚相手が北アイルランドの寺院副監督だったため、北アイルランドで育つ。その後当地で鉄道技師となり、33歳で結婚したが、40歳の時入院。その療養後に手慰みに書いた処女作『』(1920年発表)は、彼に名声を与え、推理作家への仲間入りを果たした。毎年1作ずつ新作を発表し、50歳まで本業の技師を続けるが、体調悪化により退職。その後はロンドン近郊に転居して作家専業になり、英国芸術学士院の会員になった[1]

作風[編集]

推理小説の犯罪解明法を「アリバイくずし」に軸をおいた点で注目されることが多いが、密室殺人を扱ったものや冒険小説的色彩が強いものなどもある。共通して言えることは、探偵が決して天才的ではなく、地道に捜査を続けていく「足の探偵」ということである。それゆえ、クロフツの小説は「リアリズム推理小説」と呼ばれることがある。テンポが遅いためしばしば退屈と評されることがあるが、日本においては戦前からS・S・ヴァン=ダインらとともに人気を集めていた。

『樽』は処女作にして最上の作品として評価されるほか、倒叙推理小説も発表し、特に長編『クロイドン発12時30分』は倒叙の三大傑作のひとつとして名高い。5作目の長編『フレンチ警部最大の事件』からは探偵ジョジフ・フレンチ警部(後に首席警部→警視→主任警視に昇進)が登場し、以後、シリーズ探偵として有名になった。推理小説以外では新約聖書の四福音書を伝記風にまとめた作品がある。

著作一覧[編集]

邦題は、各作品の最新の訳題に拠った。

長編[編集]

  • 1920年』(The Cask
  • 1921年 『ポンスン事件』(The Ponson Case
  • 1922年 『製材所の秘密』(The Pit-Prop Syndicate
  • 1923年 『フローテ公園の殺人』(The Groote Park Murders
  • 1925年 『フレンチ警部最大の事件』(Inspector French's Greatest Case
  • 1926年 『フレンチ警部とチェインの謎』(Inspector French and the Cheyne Mystery
  • 1927年 『スターヴェルの悲劇』(Inspector French and the Starvel Tragedy
  • 1928年 『海の秘密』(The Sea Mystery
  • 1929年 『フレンチ警部と紫色の鎌』(The Purple Sickle Murders
  • 1930年 『マギル卿最後の旅』(Sir John Magill's Last Journey
  • 1931年 『英仏海峡の謎』 (Mystery in the Channel
  • 1932年 『二つの密室』 (Sudden Death
  • 1932年 『死の鉄路』 (Death on the Way
  • 1933年 『ホッグズ・バックの怪事件』 (The Hog's Back Mystery
  • 1934年 『クロイドン発12時30分』(The 12.30 from Croydon
  • 1934年 『サウサンプトンの殺人』 (Mystery of Southampton Water
  • 1935年 『ギルフォードの犯罪』 (Crime at Guildford
  • 1936年 『ヴォスパー号の遭難』 (The Loss of the Jane Vosper
  • 1936年 『船から消えた男』(Man Overboard!
  • 1937年 『フレンチ警部と漂う死体』(Found Floating
  • 1938年 『シグニット号の死』(The End of Andrew Harrison
  • 1938年 『フレンチ警部と毒蛇の謎』(Antidote to Venom
  • 1939年 『フレンチ警部の多忙な休暇』(Fatal Venture
  • 1940年 『黄金の灰』(Golden Ashes
  • 1941年 『山師タラント』(James Tarrant, Adventurer
  • 1941年 『蜘蛛と蠅』(The Losing Game
  • 1942年 『チョールフォント荘の恐怖』(Fear Comes to Chalfont
  • 1943年 『二重の悲劇』(The Affair at Little Wokeham
  • 1945年 『見えない敵』(Enemy Unseen
  • 1946年 『列車の死』(Death of a Train
  • 1947年 『少年探偵ロビンの冒険』(Young Robin Brand, Detective) 
  • 1951年 『フレンチ警視最初の事件』(Silence for the Murderer
  • 1956年 『フレンチ油田を掘りあてる』(French Strikes Oil
  • 1957年 『関税品はありませんか?』(Anything to Declare?

リレー作品[編集]

  • 1931年 『漂う提督』(The Floating Admiral)- 第8章を担当。
  • 1939年 『ホワイトストーンズ荘の怪事件』(Double Death) - 第2章を担当。

短編集[編集]

  • 1947年 『殺人者はへまをする』(Murderers Make Mistakes
  • 1955年 『クロフツ短編集』1(Many a Slip
  • 1956年 『クロフツ短編集』2(The Mystery of the Sleeping Car Express

その他[編集]

  • 1949年 The Four Gospels in One Story - 未訳

脚注[編集]

  1. ^ クロフツ とは - コトバンク