飛鳥部勝則

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飛鳥部 勝則 (あすかべ かつのり、1964年10月18日 - )は日本小説家。新潟県出身。新潟大学大学院教育学研究科修了。

1998年、第9回鮎川哲也賞受賞作『殉教カテリナ車輪』でデビュー。

目次

[編集] 書籍

  • 殉教カテリナ車輪
  • バベル消滅
  • N・Aの扉
  • 砂漠の薔薇
  • 冬のスフィンクス
  • ヴェロニカの鍵
  • バラバの方を
  • ラミア虐殺
  • レオナルドの沈黙
  • 誰のための綾織
  • 鏡陥穽
  • 堕天使拷問刑

[編集] 作品

デビュー作『殉教カテリナ車輪』で、絵画図版を用い、図像学を本格的に推理小説に導入。その後『バベル消滅』や『ヴェロニカの鍵』などの本格物を発表し、『レオナルドの沈黙』は名探偵物。また『N・Aの扉』『冬のスフィンクス』などの幻想小説風の推理小説や『ラミア虐殺』といった怪奇SFよりの推理小説が平行して書かれ、『鏡陥穽』は長編ホラー。短編は怪奇的なものが多く、「お菊さん」「王国」といった作品を《異形コレクション》に発表。「プロセルピナ」や「デッサンが狂っている」などの短編ではホラーと本格物が融合。


[編集] 『誰のための綾織』(原書房)絶版問題

[編集] 絶版への経緯

2005年5月、飛鳥部勝則の『誰のための綾織』が出版。デビューより単行本十作目のアンフェアに挑戦した意欲作であり、好評を博したが、一部の読者によりブログ上で三原順の『はみだしっ子』に類似表現があると指摘される。なお類似箇所はプロットやストーリーではなく、作中作での単語や文節が類似しているとのことである。

2005年9月初旬、匿名掲示板2ちゃんねる内の三原順スレッドにおいて、上記ブログの内容に関した意見を求める書き込みが行われた。投稿者は「盗作」と断定しており、一週間前に上記ブログのアドレスをつけて出版社に抗議メールを送ったとのこと。

2005年9月25日後に「検証サイト」[1]と呼ばれるサイトの管理人が、比較資料として作成したhtml形式のホームページを検索避けをつけた上でネット上に用意し、URLとともに意見を求めるメールを出版社へ送る。

2005年10月22日「検証サイト」管理人が検証避けをはずしサイトを公開。同日検証サイトの管理人が、三原順スレッド他、匿名掲示板2ちゃんねるに大量にURLを書き込む。

2005年10月31日発売元の原書房より、「三原順の『はみだしっ子』の類似表現を確認した」と告知され、『誰のための綾織』の出荷が停止される。

2005年11月7日原書房により『誰のための綾織』が絶版・回収となった。

[編集] 絶版に際して著者のコメント

飛鳥部が盗作であることを認めた形跡はない。盗作騒動の際の本人のコメントは以下である。

膨大な素材カードの一部に問題の表現と思しき文章が紛れ混乱を招いたこと並びに参考文献一覧表の欠落を自省し各位に陳謝致します。

その後、本人からの声明は『「誰のための綾織」(原書房)絶版に関しまして』と題し公式ホームページ[2]にて以下となっている。

 上記の件に関しまして、抗議の矢面に立たれました出版社様、ご気分を害されたであろう著作権者様ならびに三原順先生のご遺族と愛読者様、少数の熱心な拙著読者様など、あるいは関係者様も含め、すべての皆様のご心情をご推察し、この場にて、状況を混乱させたことに対するお詫びを掲載致しました。その心情に嘘偽りはございませんが、物書きとして、どうしても、自己の作品をこのような形で絶版にされることについては腑に落ちない点があり、また、当方も事態が急展開する中、著作権法に関する充分な理解もなく、場当たり的な対応をして来たことも事実です。そこで、このたび専門家と相談の上、今回の問題に対する対処を考えることになりました。今後改めて、この場にて、この件に関しご報告をさせて頂きます。 飛鳥部勝則

[編集] 絶版・回収騒動後日談

[編集] 平成の表現狩り

2005年11月弁護士の山口貴士はこの「検証サイト」と絶版・回収問題について、自身のホームページブログ[3]において、「特に著作権的に見て問題となるような類似性があるとは思え」ないとし、「自らの行為が表現行為を萎縮させ、表現文化の圧殺の一端を担っている」として、「検証サイト」の危険性について警鐘を鳴らした。ブログは全三回にわたって続けられる。

2006年1月弁護士の山口貴士は、別冊宝島に掲載されたインタビュー[4]において、この事件での原書房の対応の不当性を述べている。山口はまず、「検証サイトが比較していた箇所については著作権侵害じゃないですね」とし、類似表現については「僕の印象では、飛鳥部さんの表現にまで昇華していると思いました」と述べた上で、「表現の自由の一翼を担う出版社として、著作権侵害があれば回収措置を取ることは当然なんですが、でも著作権侵害がないならば、違うとはっきりいうのが、僕は筋だと思うんです」として絶版回収処分に異議を呈し、「問題は原書房の対応にあります」という見解を提示している。

[編集] 技法説

2007年3月堀川成美は、自身のホームページに掲載した論文[5]で、『はみだしっ子』の引用は、技法として故意に行った引用ではないかという意見を提示した。堀川は、作家本人も認めたとされる絶版・回収後のコメントに関しては、「よく読むと」実際は認めてはいないとした上で、引用は綿密に調査、考察された上で用意され、また横溝正史 本陣殺人事件アガサ・クリスティー そして誰もいなくなったアガサ・クリスティー アクロイド殺しもモチーフとして大量に引用していること、さらに丸写しの他の文献に関しては全く取りざたされていない問題などをあげ、元々この作品は、「複数の作品をモチーフとして用いる」ことを「目的として書かれた作品であるのに、その中にある作品から複数の引用があるといって盗作とするのはナンセンス以外の何ものでもない。」として、盗作認定の妥当性について疑問を呈している。また、わずか2か月で個人研究を相手に絶版・回収の結論を出す出版社の性急さも問題視している。

[編集] 脚注

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外部リンクのリンク先もあわせて参照のこと。

  1. ^ 「飛鳥部勝則氏「誰のための綾織」における、三原順氏「はみだしっ子」との類似点比較」[1] 個人研究であるが、事件の発端となる経緯を確認するためあえて参照する。現在は抹消されている。ミラーは外部リンク参照。
  2. ^ 「飛鳥部勝則美術館」[2] 現在閉鎖
  3. ^ 「平成の表現狩り検証サイト問題」[3]
  4. ^ 「出版社の安易な絶版・回収は自由な表現を萎縮させるだけだ!! 」(『「盗作・パクリ」スキャンダル読本』宝島社1月21日発行)
  5. ^ 「『飛鳥部勝則『誰のための綾織』盗作認定は妥当か~回避を強要されたプレテクストとしての『はみだしっ子』~[4]  個人研究ではあるが、事件発端の経緯に即し参照する。

[編集] 外部リンク