西澤保彦
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西澤 保彦(にしざわ やすひこ、1960年12月25日 - )は、日本の推理作家。
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[編集] 経歴と作品
高知県生まれ。高知県立安芸高等学校を卒業後、米国の私立エカード大学で創作法を専攻。 帰国後は、高知大学の助手や女子校の講師などをつとめるかたわら推理小説を執筆。江戸川乱歩賞や小説現代新人賞などに投稿を続ける。
1990年、第1回鮎川哲也賞に応募した『聯殺』(れんさつ)が最終候補に残る(ちなみにこのときの受賞作が、芦辺拓の『殺人喜劇の13人』で、佳作入賞が二階堂黎人の『吸血の家』である)。受賞はしなかったが、招待された受賞パーティーの席で島田荘司と出会い、「いいものがあったら見てあげます」と言われる。 その後、仕事を辞めて執筆活動に入り、『解体諸因』を島田に送ったところ、それが講談社に渡り、1995年デビュー。
第3作『七回死んだ男』は、時間のループにとらわれ同じ一日を9回繰り返してしまうという特異体質の持ち主である少年が祖父の死を食い止めようとする推理小説で、SF設定で本格推理作品が成立することを示した。この作品は、ビル・マーレイ主演のアメリカ映画『恋はデジャブ』にインスパイアされたものである。この作品は第49回日本推理作家協会賞長編部門の候補作となった。その後も、複数人で中に入ると玉突き式に人格が入れ替わってしまうという謎の装置の中で起こる連続殺人事件を描いた『人格転移の殺人』、一定量のアルコールを摂取することで瞬間移動を行うことができる主人公の登場する『瞬間移動死体』、触れた生き物のコピーを作ってしまうという謎の壁が登場する『複製症候群』など、SF的設定を導入した世界で論理的に謎を解く<SF新本格ミステリー>と呼ばれる作品を発表し、「ヘン本格の雄」、「アチャラカ・パズラー」などと呼ばれる。こうしたある種「反則」的な能力の存在が明示されてはいるが、作中においてその能力の規則性や陥穽があまさず明かされたうえでロジカルに物語が展開する。またロバート・J・ソウヤーなどのようなSFより、ピーター・ディッキンソンなどのロジック主体のミステリとしての側面が強い。 また、いわゆる「新本格」の作家の中でも、他の作家がやや淡泊に思えるほど登場人物の心理に深いこだわりを見せる点が異色とも言える(これは西澤が傾倒している都筑道夫、殊に『退職刑事』シリーズなどの影響によるものと思われる)。
シリーズとして、酒を飲むほど推理が冴え渡ってくるという匠千暁(タック)をはじめ、高瀬千帆(タカチ)、辺見祐輔(ボアン先輩)、羽迫由起子(ウサコ)ら地方大学生4人組(卒業後のエピソードも適宜混在する)を主人公とする<タック&タカチ>シリーズや、「超能力者問題秘密対策委員会」(通称「チョーモンイン」)の捜査員である神麻嗣子(かんおみ つぎこ)(一見中学生風美少女だが年齢不詳)が男性ミステリー作家の保科匡緒(ほしな まさお)、美人警部の能解匡緒(のけ まさお)らとともに超能力を用いておこなわれた犯罪の捜査に挑む<チョーモンイン>シリーズなどがある。特に後者は西澤の珍名ネーミング(主に姓)が通行人程度の端役まで徹底しており、山田、田中クラスはもちろん、高瀬、辺見程度の名前もまず登場しない。稀に吉川といった名前が出て慣れた読者を戸惑わせるが、意図は不明である。
[編集] 作品リスト
[編集] 匠千暁シリーズ
- 解体諸因(1995年1月 講談社ノベルス / 1997年12月 講談社文庫)
- 彼女が死んだ夜(1996年8月 カドカワノベルズ / 2000年5月 角川文庫 / 2008年6月 幻冬舎文庫)
- 麦酒の家の冒険(1996年11月 講談社ノベルス / 2000年6月 講談社文庫)
- 仔羊たちの聖夜(イヴ)(1997年8月 角川書店 / 2001年8月 角川文庫 / 2008年10月 幻冬舎文庫)
- スコッチ・ゲーム(1998年3月 角川書店 / 2002年5月 角川文庫 / 2009年2月 幻冬舎文庫)
- 依存(2000年6月 幻冬舎 / 2001年11月 幻冬舎ノベルス / 2003年10月 幻冬舎文庫)
- 謎亭論処(めいていろんど) 匠千暁の事件簿(2001年3月 祥伝社ノン・ノベル / 2008年3月 祥伝社文庫)
- 黒の貴婦人(2003年11月 幻冬舎 / 2005年10月 幻冬舎文庫)
- 身代わり (2009年9月 幻冬舎)
[編集] 神麻嗣子の超能力事件簿
- 幻惑密室(1998年1月 講談社ノベルス / 2003年6月 講談社文庫)
- 実況中死(1998年9月 講談社ノベルス / 2003年11月 講談社文庫)
- 念力密室!(1999年1月 講談社ノベルス / 2004年4月 講談社文庫)
- 夢幻巡礼(1999年9月 講談社ノベルス / 2004年10月 講談社文庫)
- 転・送・密・室(2000年12月 講談社ノベルス / 2005年2月 講談社文庫)
- 人形幻戯(2002年8月 講談社ノベルス / 2005年8月 講談社文庫)
- 生贄を抱く夜(2004年12月 講談社ノベルス / 2007年12月 講談社文庫)
- ソフトタッチ・オペレーション(2006年11月 講談社ノベルス / 2010年1月 講談社文庫)
[編集] 森奈津子シリーズ
[編集] 腕貫探偵シリーズ
- 腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿 (2005年7月 実業之日本社 / 2007年12月 ジョイ・ノベルス / 2011年12月 実業之日本社文庫)
- 腕貫探偵、残業中 (2008年4月 実業之日本社)
[編集] その他
- 完全無欠の名探偵(1995年6月 講談社ノベルス / 1998年5月 講談社文庫)
- 七回死んだ男(1995年10月 講談社ノベルス / 1998年10月 講談社文庫)
- 殺意の集う夜(1996年3月 講談社ノベルス / 1999年11月 講談社文庫)
- 人格転移の殺人(1996年7月 講談社ノベルス / 2000年2月 講談社文庫)
- 死者は黄泉が得る(1997年1月 講談社ノベルス / 2001年2月 講談社文庫)
- 瞬間移動死体(1997年4月 講談社ノベルス / 2001年8月 講談社文庫)
- 複製症候群(1997年7月 講談社ノベルス / 2002年6月 講談社文庫)
- ストレート・チェイサー(1998年4月 光文社カッパ・ノベルス / 2001年3月 光文社文庫)
- 猟死の果て(1998年6月 立風書房 / 2000年12月 ハルキ文庫)
- 【改題】殺す(2011年10月 幻冬舎文庫)
- ナイフが町に降ってくる(1998年10月 祥伝社ノン・ノベル / 2002年3月 祥伝社文庫)
- 黄金(きん)色の祈り(1999年3月 文藝春秋 / 2003年11月 文春文庫)
- 夏の夜会(2001年9月 光文社カッパ・ノベルス / 2005年6月 光文社文庫)
- 異邦人 fusion(2001年10月 集英社 / 2005年1月 集英社文庫)
- 聯愁殺(れんしゅうさつ)(2002年3月 原書房ミステリー・リーグ / 2010年9月 中公文庫)
- ファンタズム(2002年12月 講談社ノベルス / 2006年11月 講談社文庫)
- リドル・ロマンス 迷宮浪漫(2003年3月 集英社 / 2006年4月 集英社文庫)
- 神のロジック・人間(ひと)のマジック(2003年5月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫)
- 笑う怪獣 ミステリ劇場(2003年6月 新潮社 / 2007年1月 新潮文庫)
- いつか、ふたりは二匹(2004年4月 講談社ミステリーランド)
- パズラー 謎と論理のエンタテインメント(2004年6月 集英社 / 2007年9月 集英社文庫)
- 収録作品:蓮華の花 / 卵が割れた後で / 時計じかけの小鳥 / 贋作「退職刑事」 / チープ・トリック / アリバイ・ジ・アンビバレンス
- 方舟は冬の国へ(2004年8月 光文社カッパ・ノベルス / 2007年9月 光文社文庫)
- フェティッシュ(2005年10月 集英社 / 2008年10月 集英社文庫)
- 春の魔法のおすそわけ(2006年10月 中央公論社 / 2011年3月 中公文庫)
- 収穫祭(2007年7月 幻冬舎 / 2010年10月 幻冬舎文庫【上・下】)
- 夢は枯れ野をかけめぐる(2008年8月 中央公論社 / 2010年12月 中公文庫)
- スナッチ(2008年10月 光文社 / 2011年9月 光文社文庫)
- マリオネット・エンジン(2009年2月 講談社ノベルス)
- 収録作品:シュガー・エンドレス / テイク / 家の中 / 虫とり / 青い奈落 / マリオネット・エンジン
- 動機、そして沈黙(2009年7月 中央公論新社)
- 収録作品:迷い込んだ死神 / 未開封 / 死に損 / 九のつく歳 / 動機、そして沈黙
- こぼれおちる刻の汀(2010年3月 講談社)
- からくりがたり(2010年8月 新潮社)
- 幻視時代(2010年10月 中央公論新社)
- 必然という名の偶然(2011年5月 実業之日本社)
- 赤い糸の呻き(2011年8月 東京創元社)
- 収録作品:お弁当ぐるぐる / 墓標の庭 / カモはネギと鍋のなか / 対の住処 / 赤い糸の呻き
- 彼女はもういない(2011年10月 幻冬舎)
