オルタネーター

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20世紀初頭にハンガリーブダペストで製造され、水力発電所で利用されているオルタネーター

オルタネーター (: alternator) は発電機の一種で、エンジンなどから伝達される機械的運動エネルギーを交流 (: alternating current) の電気エネルギーへと変換する装置である。自動車オートバイ、小型航空機などに搭載されているものは、一般にはダイオードなどを使った整流器直流へと整流されるので、整流器を含めてオルタネーターと呼ぶことが多い。

概要

オルタネーターの基本原理はコイルの内側の磁界の強さを変化させて、コイルに電流を発生させる電磁誘導である。多くの場合は永久磁石を回転させてコイルに磁界の強弱を与えるが、直線的に動作させるリニアオルタネーター(en:linear alternator)が使われる場合もある。

自動車などで利用されるオルタネーターは、制御系機器や前照灯(ヘッドライト)、その他電装部品の電源を供給する。エンジンよりベルトを通じて動力を得ることによって電力を発生させる。発生した電力はバッテリー(蓄電池)に蓄えられる。古くは直流整流子発電機ダイナモ)が用いられてきたが、1960年代から性能面・保守面で優れる交流同期発電機をベースに開発されたオルタネーターへと置き換えが進んだ。オルタネーター内部には整流器が内蔵されており、交流発電機によって発生した交流電力は直流電力に変換され出力される。近年の自動車ではオルタネーターを車両の減速時に集中的に稼働させるように制御がなされ、簡易的な回生発電を行うことで、極力エンジンではなく車両の持つ運動エネルギーを電力に変換し、燃費を向上させるものも存在する。オルタネーターは発電機の特性上負荷が多かった(より高出力の電力を得ようとしてプーリー比を変えたり回転子の電力を上げ磁力を増すと発電時の抵抗が増す)が、固定子の改良により負荷が軽減されたものが社外品として発売されている。

構成

オルタネーターは交流発電機と、発生した交流電力を直流電力に変換する整流器によって構成される。

発電機部分
オルタネーターの交流発電機部分として用いられるのが、界磁(ローターコイル)を回転子とし、固定子(ステーター)の電機子より三相交流電力を取り出す回転界磁形の電磁石同期発電機である。出力電圧を一定とする電圧調整器が併設されている。
整流器部分
交流発電機より出力された三相交流電力を直流電力に変換する装備。シリコンダイオードを用いた半導体整流器である。レクチファイアとも呼ばれる。
その他
オルタネーターには発電能力を調整(車両の電力不足の時には増やし、エンジンが高回転の時に規定電圧よりオーバーしかねない時には減らす)するレギュレーターが付いている。古くはリレー抵抗器を用いて界磁電流を段階制御していたが、近年の物はIC化されている。また、これらを収納するケースは一般的に鋳造アルミが用いられ、冷却用にフィンが付いた形状をしている。

関連項目

参考文献