ウィリアムズ・FW16

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。219.110.21.88 (会話) による 2015年8月2日 (日) 04:29個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎記録)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ウィリアムズ・FW16
ウィリアムズ・FW16B
ウィリアムズ・FW16C
グッドウッド・フェスティバルでデビッド・クルサードがドライブするFW16B、2009年
グッドウッド・フェスティバルでデビッド・クルサードがドライブするFW16B、2009年
カテゴリー F1
コンストラクター ウィリアムズ
デザイナー パトリック・ヘッド(テクニカルディレクター)
エイドリアン・ニューウェイ(チーフデザイナー)
先代 ウィリアムズ・FW15C
後継 ウィリアムズ・FW17
主要諸元[1]
シャシー カーボンファイバー アラミド モノコック
サスペンション(前) ウィリアムズ インボード・トーションスプリング, ダブルウィッシュボーン, プッシュボード・ベルクランク
サスペンション(後) ウィリアムズ インボード・コイルスプリング, ダブルウィッシュボーン, プッシュボード・ベルクランク
トレッド 前:1,670 mm (66 in)
後:1,590 mm (63 in)
ホイールベース 2,920 mm (115 in)
エンジン ルノー RS6 / RS6B / RS6C, 3493cc, 67度 V10, NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ウィリアムズ 横置き 6速 セミAT
燃料 エルフ
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ロスマンズ ウィリアムズ ルノー
ドライバー 0. イギリスの旗 デイモン・ヒル
2. ブラジルの旗 アイルトン・セナ
2. イギリスの旗 ナイジェル・マンセル
2. イギリスの旗 デビッド・クルサード
コンストラクターズタイトル 1 (1994年)
ドライバーズタイトル 0
初戦 1994年ブラジルグランプリ
出走優勝ポールFラップ
16775
テンプレートを表示

ウィリアムズFW16 (Williams FW16) は、ウィリアムズ1994年のF1世界選手権で使用したフォーミュラ1カーパトリック・ヘッドエイドリアン・ニューウェイが設計した。第9戦ドイツGP以降はBスペックのFW16Bが使用された。

FW16

ドライブシャフトを覆うリアサスペンションアーム

FW16ではリアエンドのエアロダイナミクス処理に工夫がなされた。ダブルウィッシュボーンのアッパーアームをアクスルセンター位置まで下げ、ドライブシャフトを覆う翼状のカバーを兼ねる事により、ディフューザー上面へ気流がスムーズに通過するようにした[2]。また、リアウィングの下段ウィングは中央が隆起するブーメラン形状となった。

空力的に攻めたデザインだったが、レギュレーション変更によりアクティブサスペンションが禁止された影響で、路面のバンプを越える時のピッチング(車高変化)に対して神経質な挙動を示した[3]。そのため突然リアが滑って、ドライバーがスピンを喫する場面が幾度か見られた。

本格的なテスト開始が開幕直前まで遅れ、開幕から2戦連続でベネトンの後塵を拝した。第3戦サンマリノGPではアイルトン・セナが事故死をしてしまうという悲劇のマシンになってしまった。

セナの事故は「激しい底打ち(ボトミング)によりダウンフォースが失われた」「パワーステアリングが故障したため操縦不能になった」という説など諸説語られたが、イタリアの裁判所は「セナの希望によりステアリング位置を調節するため、メカニックがステアリングシャフトを切断して溶接し直したが、それが不完全だったため、走行中にその部分で破断・操縦不能になった」という原因を認定した。(詳しくは1994年サンマリノグランプリ#裁判を参照)。

第5戦スペインGP以降、ディフューザーの短縮、フロント翼端板のボーテックスジェネレーター撤去、エンジンカバーの開口(ラム圧減少)、コクピット開口部の拡大といった矢継ぎ早のレギュレーション変更への対応に追われた。

スペック

シャーシ

  • シャーシ名 FW16
  • 全長 4,200 mm
  • ホイルベース 2,990 mm
  • 前トレッド 1,670 mm
  • 後トレッド 1,600 mm
  • クラッチ AP
  • ブレーキキャリパー AP
  • ホイール O・Z
  • タイヤ グッドイヤー

エンジン

FW16B

シーズン途中から投入されたFW16B。コクピットサイドにバージボードを装着。

第9戦ドイツGPではダウンフォースを削減するため、車体底面に厚さ10mmの木製の板(スキッドブロック)を装着することが義務付けられた。FW16Bはこのタイミングに合わせて投入された。おもな改良点はサスペンションジオメトリーの修正、サイドディフレクターの大型化、サイドポンツーンの小型化などで、新たにショートストローク化したRS6Bを搭載した。

このマシンでは、シーズン序盤に見せたセンシティブなマシン挙動は影をひそめ、ウィリアムズはコンストラクターズチャンピオンの死守に成功した。しかし、ドライバーズランキングはデイモン・ヒルが惜しくも1ポイント差で2位に終わった。

スペック

シャーシ

  • シャーシ名 FW16B
  • 全長 4,200 mm
  • ホイルベース 2,990 mm
  • 前トレッド 1,670 mm
  • 後トレッド 1,600 mm
  • クラッチ AP
  • ブレーキキャリパー AP
  • ホイール O・Z
  • タイヤ グッドイヤー

エンジン

  • エンジン名 ルノーRS6B
  • 気筒数・角度 V型10気筒・67度
  • 排気量 3,500cc
  • スパークプラグ チャンピオン
  • ギヤボックス 6速セミオートマチック
  • 燃料・潤滑油 エルフ

FW16C

FW16Cは翌年からレギュレーションが改定されエンジン排気量が3リッターになることから、それに向けたエンジンを搭載したテストカー。1994年12月20日から22日にかけてポール・リカールでテストが行われ、デイモン・ヒルジャン=クリストフ・ブイヨンエマニュエル・コラールがドライブした。

記録

マシン No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
BRA
ブラジルの旗
PAC
太平洋共同体の旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
ESP
スペインの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
EUR
欧州連合の旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1994 FW16 0 イギリスの旗 ヒル 2 Ret 6 Ret 1 2 2 1 118 1位
2 ブラジルの旗 セナ Ret Ret Ret
イギリスの旗 クルサード Ret 5 5
イギリスの旗 マンセル Ret
FW16B 0 イギリスの旗 ヒル 8 2 1 1 1 2 1 Ret
2 イギリスの旗 クルサード Ret Ret 4 6 2
イギリスの旗 マンセル Ret 4 1

脚注

  1. ^ 1993 Williams FW15C Renault - Images, Specifications and Information”. Ultimatecarpage.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ これと似た発想がシムテック・S941のフロントサスにもあり、気流が通過しやすい様に、ロワアームをアクスルセンターの位置まで上げていた。
  3. ^ 『F1速報 1994 総集編』、ニューズ出版、1995年、40頁。