ウィリアムズ・FW16
グッドウッド・フェスティバルでデビッド・クルサードがドライブするFW16B、2009年 | |||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||
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コンストラクター | ウィリアムズ | ||||||||
デザイナー |
パトリック・ヘッド(テクニカルディレクター) エイドリアン・ニューウェイ(チーフデザイナー) | ||||||||
先代 | ウィリアムズ・FW15C | ||||||||
後継 | ウィリアムズ・FW17 | ||||||||
主要諸元[1] | |||||||||
シャシー | カーボンファイバー アラミド モノコック | ||||||||
サスペンション(前) | ウィリアムズ インボード・トーションスプリング, ダブルウィッシュボーン, プッシュボード・ベルクランク | ||||||||
サスペンション(後) | ウィリアムズ インボード・コイルスプリング, ダブルウィッシュボーン, プッシュボード・ベルクランク | ||||||||
トレッド |
前:1,670 mm (66 in) 後:1,590 mm (63 in) | ||||||||
ホイールベース | 2,920 mm (115 in) | ||||||||
エンジン | ルノー RS6 / RS6B / RS6C, 3493cc, 67度 V10, NA, ミッドエンジン, 縦置き | ||||||||
トランスミッション | ウィリアムズ 横置き 6速 セミAT | ||||||||
燃料 | エルフ | ||||||||
タイヤ | グッドイヤー | ||||||||
主要成績 | |||||||||
チーム | ロスマンズ ウィリアムズ ルノー | ||||||||
ドライバー |
0. デイモン・ヒル 2. アイルトン・セナ 2. ナイジェル・マンセル 2. デビッド・クルサード | ||||||||
コンストラクターズタイトル | 1 (1994年) | ||||||||
ドライバーズタイトル | 0 | ||||||||
初戦 | 1994年ブラジルグランプリ | ||||||||
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ウィリアムズFW16 (Williams FW16) は、ウィリアムズが1994年のF1世界選手権で使用したフォーミュラ1カー。パトリック・ヘッドとエイドリアン・ニューウェイが設計した。第9戦ドイツGP以降はBスペックのFW16Bが使用された。
FW16
FW16ではリアエンドのエアロダイナミクス処理に工夫がなされた。ダブルウィッシュボーンのアッパーアームをアクスルセンター位置まで下げ、ドライブシャフトを覆う翼状のカバーを兼ねる事により、ディフューザー上面へ気流がスムーズに通過するようにした[2]。また、リアウィングの下段ウィングは中央が隆起するブーメラン形状となった。
空力的に攻めたデザインだったが、レギュレーション変更によりアクティブサスペンションが禁止された影響で、路面のバンプを越える時のピッチング(車高変化)に対して神経質な挙動を示した[3]。そのため突然リアが滑って、ドライバーがスピンを喫する場面が幾度か見られた。
本格的なテスト開始が開幕直前まで遅れ、開幕から2戦連続でベネトンの後塵を拝した。第3戦サンマリノGPではアイルトン・セナが事故死をしてしまうという悲劇のマシンになってしまった。
セナの事故は「激しい底打ち(ボトミング)によりダウンフォースが失われた」「パワーステアリングが故障したため操縦不能になった」という説など諸説語られたが、イタリアの裁判所は「セナの希望によりステアリング位置を調節するため、メカニックがステアリングシャフトを切断して溶接し直したが、それが不完全だったため、走行中にその部分で破断・操縦不能になった」という原因を認定した。(詳しくは1994年サンマリノグランプリ#裁判を参照)。
第5戦スペインGP以降、ディフューザーの短縮、フロント翼端板のボーテックスジェネレーター撤去、エンジンカバーの開口(ラム圧減少)、コクピット開口部の拡大といった矢継ぎ早のレギュレーション変更への対応に追われた。
スペック
シャーシ
- シャーシ名 FW16
- 全長 4,200 mm
- ホイルベース 2,990 mm
- 前トレッド 1,670 mm
- 後トレッド 1,600 mm
- クラッチ AP
- ブレーキキャリパー AP
- ホイール O・Z
- タイヤ グッドイヤー
エンジン
FW16B
第9戦ドイツGPではダウンフォースを削減するため、車体底面に厚さ10mmの木製の板(スキッドブロック)を装着することが義務付けられた。FW16Bはこのタイミングに合わせて投入された。おもな改良点はサスペンションジオメトリーの修正、サイドディフレクターの大型化、サイドポンツーンの小型化などで、新たにショートストローク化したRS6Bを搭載した。
このマシンでは、シーズン序盤に見せたセンシティブなマシン挙動は影をひそめ、ウィリアムズはコンストラクターズチャンピオンの死守に成功した。しかし、ドライバーズランキングはデイモン・ヒルが惜しくも1ポイント差で2位に終わった。
スペック
シャーシ
- シャーシ名 FW16B
- 全長 4,200 mm
- ホイルベース 2,990 mm
- 前トレッド 1,670 mm
- 後トレッド 1,600 mm
- クラッチ AP
- ブレーキキャリパー AP
- ホイール O・Z
- タイヤ グッドイヤー
エンジン
- エンジン名 ルノーRS6B
- 気筒数・角度 V型10気筒・67度
- 排気量 3,500cc
- スパークプラグ チャンピオン
- ギヤボックス 6速セミオートマチック
- 燃料・潤滑油 エルフ
FW16C
FW16Cは翌年からレギュレーションが改定されエンジン排気量が3リッターになることから、それに向けたエンジンを搭載したテストカー。1994年12月20日から22日にかけてポール・リカールでテストが行われ、デイモン・ヒル、ジャン=クリストフ・ブイヨン、エマニュエル・コラールがドライブした。
記録
年 | マシン | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | ポイント | ランキング |
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BRA |
PAC |
SMR |
MON |
ESP |
CAN |
FRA |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
POR |
EUR |
JPN |
AUS | ||||||
1994 | FW16 | 0 | ヒル | 2 | Ret | 6 | Ret | 1 | 2 | 2 | 1 | 118 | 1位 | ||||||||
2 | セナ | Ret | Ret | Ret | |||||||||||||||||
クルサード | Ret | 5 | 5 | ||||||||||||||||||
マンセル | Ret | ||||||||||||||||||||
FW16B | 0 | ヒル | 8 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | Ret | |||||||||||
2 | クルサード | Ret | Ret | 4 | 6 | 2 | |||||||||||||||
マンセル | Ret | 4 | 1 |
脚注
- ^ “1993 Williams FW15C Renault - Images, Specifications and Information”. Ultimatecarpage.com. 2010年8月23日閲覧。
- ^ これと似た発想がシムテック・S941のフロントサスにもあり、気流が通過しやすい様に、ロワアームをアクスルセンターの位置まで上げていた。
- ^ 『F1速報 1994 総集編』、ニューズ出版、1995年、40頁。