特例市

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:政令指定都市       :中核市       :施行時特例市

特例市(とくれいし)とは、日本地方公共団体のうち地方自治法第252条の26の3第1項に定める政令による特別指定を受けた。日本の大都市制度の一つであった。指定要件は、「法定人口が20万人以上」となっていた。特例市の廃止により、現在は施行時特例市と呼ばれている。

概要

日本の大都市制度には、政令指定都市中核市・特例市の別があり、特例市は2000年(平成12年)から施行された。いずれも都市の規模に応じて、市に都道府県の事務権限の一部を移譲する制度である。特例市には中核市に準じた事務の範囲が移譲されている。

特例市は、関係市からの申出に基づき、市議会及び都道府県議会の議決を経て、政令で指定される。一度指定されると、法定人口推計人口が減少して20万人以下になったとしても指定解除されない。また、逆に法定人口が30万人以上になった場合でも自動的に中核市にはならない。

中核市との区別を無くそうという意見が中核市市長会全国特例市市長会の双方から出されており、これらの問題を取り扱う国の地方制度調査会側も前向きな姿勢を見せた[1]。その結果、2014年(平成26年)5月23日可決・成立の改正地方自治法(当該部分の施行は2015年4月1日)により、特例市制度が廃止されるとともに、中核市の人口要件を「20万人以上」に緩和し双方を統合することとなった。なお、改正法施行の時点で既に指定されている特例市(「施行時特例市」と呼ばれる)を対象とする経過措置として、従来の特例市の事務権限を引き続き保持するとともに、前述の改正法施行後5年間(2020年4月1日まで)に限り、人口が20万人未満になっていたとしても中核市に移行できるものとしている。

施行時特例市一覧

2016年4月1日現在、以下の37市が施行時特例市に指定されている。

地方 都道府県 特例市 指定日 特記事項
北海道 該当市無し

東北地方

青森県 八戸市 2001年(平成13年)4月1日 2017年1月1日の中核市移行を目指している。
山形県 山形市 2001年(平成13年)4月1日 県庁所在地、2019年4月1日の中核市移行を目指している。
関東地方 茨城県 水戸市 2001年(平成13年)4月1日 県庁所在地、2019年4月の中核市移行を目指している。
つくば市 2007年(平成19年)4月1日
群馬県 伊勢崎市 2007年(平成19年)4月1日
太田市 2007年(平成19年)4月1日
埼玉県 川口市 2001年(平成13年)4月1日 施行時特例市の中で最も推計人口が多い[2]
2018年4月1日の中核市移行を目指している。
所沢市 2002年(平成14年)4月1日
草加市 2004年(平成16年)4月1日
春日部市 2008年(平成20年)4月1日
熊谷市 2009年(平成21年)4月1日

神奈川県

小田原市 2000年(平成12年)11月1日 2019年4月の中核市移行を目指している。
大和市 2000年(平成12年)11月1日
平塚市 2001年(平成13年)4月1日
厚木市 2002年(平成14年)4月1日
茅ヶ崎市 2003年(平成15年)4月1日 2018年4月の中核市移行を目指している。
中部地方 新潟県 長岡市 2007年(平成19年)4月1日
上越市 2007年(平成19年)4月1日
福井県 福井市 2000年(平成12年)11月1日 県庁所在地
山梨県 甲府市 2000年(平成12年)11月1日 県庁所在地、2019年4月の中核市移行を目指している。
長野県 松本市 2000年(平成12年)11月1日
静岡県 沼津市 2000年(平成12年)11月1日
富士市 2001年(平成13年)4月1日
愛知県 春日井市 2001年(平成13年)4月1日
一宮市 2002年(平成14年)4月1日
三重県 四日市市 2000年(平成12年)11月1日
近畿地方 大阪府 吹田市 2001年(平成13年)4月1日
茨木市 2001年(平成13年)4月1日
八尾市 2001年(平成13年)4月1日 2018年4月の中核市移行を目指している。
寝屋川市 2001年(平成13年)4月1日
岸和田市 2002年(平成14年)4月1日 2018年4月の中核市移行を目指している。
兵庫県 明石市 2002年(平成14年)4月1日 2018年4月の中核市移行を目指している。
加古川市 2002年(平成14年)4月1日
宝塚市 2003年(平成15年)4月1日
中国地方 鳥取県 鳥取市 2005年(平成17年)10月1日 県庁所在地。施行時特例市の中で最も推計人口が少ない[2]
2019年4月の中核市移行を目指している。
島根県 松江市 2012年(平成24年)4月1日 県庁所在地、2018年4月の中核市移行を目指している。
四国地方 該当市無し
九州地方 佐賀県 佐賀市 2014年(平成26年)4月1日 県庁所在地

移譲される事務

法令上は、「中核市が処理することができる事務のうち、『都道府県が一体的に処理すべき』とされた事務以外のものを処理する」と定義される。

行政分野ごとに個別にみると、特例市は環境保全行政・都市計画行政の分野において、中核市に近い権限を持つことになる。中核市との大きな相違点(中核市に認められ、特例市には認められないもの)としては、民生行政(社会福祉関係の事務)、保健衛生行政(中核市は自ら保健所を設置して処理)、地方教育行政(中核市は県費負担教職員に対して研修実施の権限)に関する事務などがあげられる。特例市に指定されると、移譲を受けた事務権限を行使するために必要な財源として、地方交付税が増額される。

特例市に移譲される権限は、すべて列挙すれば1000件程度にのぼるため、ここでは主要な権限のみを抜粋して掲載する。なお、ここに掲げるのはあくまでも標準的な特例市の例であり、都道府県が独自の条例を制定して、更に多くの権限を移譲することも可能である。

事務 特例市が移譲される事務 中核市との違い(中核市に認められ、特例市に認められない事務)
民生行政に関する事務

特例市に移譲される事務はない

特例市に該当するものはない。
保健衛生行政に関する事務

特例市に移譲される事務はない。中核市は、自ら保健所を設置。政令市と同様の権限

特例市に該当するものはない。
都市計画に関する事務

都市景観の保全を除き、中核市と同様の権限

左記の特例市の事務に加えて、

環境保全行政に関する事務

中核市の権限の一部

左記の特例市の事務に加えて、

地方教育行政に関する事務

特例市に移譲される事務はない。中核市は、県費負担教職員に研修を実施する権限

特例市に該当するものはない。
中核市は、県費負担教職員の研修権限がある[3]
行政組織上の特例・その他
  • 計量法に基づく勧告・定期検査(計量法関係)

関与の特例については、該当なし。

計量法事務は中核市にも該当。中核市として移譲された事務については、通常都道府県知事の監督が必要とされる場合でも、その監督を受ける必要がなく、直接主任の大臣の監督となる。  

指定の要件に関する事項

かつての特例市

2000年11月1日指定、2005年10月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2003年4月1日に中核市だった旧静岡市と新設合併して現在の静岡市となり、同日中核市に移行、2005年4月1日に政令指定都市移行
旧清水市の区域は全国で唯一、一般の市、特例市、中核市のすべてに移行してから政令指定都市に移行した区域。
2002年4月1日指定、2005年2月13日に菊川町豊田町豊浦町豊北町との新設合併のため再指定、2005年10月1日に中核市移行
2000年11月1日指定、2008年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2008年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2009年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2009年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2009年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2011年4月1日に中核市移行[4]
2001年4月1日指定、2012年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2014年4月1日に中核市移行
2003年4月1日指定、2015年4月1日に中核市移行
2000年11月1日指定、2016年4月1日に中核市移行
2001年4月1日指定、2016年4月1日に中核市移行

脚注

  1. ^ 「中核市」と「特例市」の統合をDAILYSPORTONLINE2012年11月7日配信記事(同年11月8日閲覧))
  2. ^ a b 2008年(平成20年)4月1日現在の推計人口(参照:日本の市の人口順位)。
  3. ^ 中核市には、教職員の研修実施の権限のみがある。ただし、中核市市長会から「研修権限のみでは成果を得にくい」との要望が出ており、文部科学省では、中核市にも人事権を移譲する検討を進めている。(読売新聞平成19年5月2日付)
  4. ^ 群馬県高崎市が中核市に 来年4月に施行 閣議決定(朝日新聞2010年10月15日付)

関連項目

外部リンク

※以下に示す法令は総務省行政管理局提供の法令データ提供システムにより閲覧可能。

  1. 地方自治法第二百五十二条の二十六の三第一項の特例市の指定に関する政令(平成12年8月30日政令第417号)