岳 みんなの山
岳 みんなの山 | |
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漫画 | |
作者 | 石塚真一 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | ビッグコミックオリジナル ビッグコミックオリジナル増刊 |
レーベル | ビッグコミックス |
発表期間 | 2003年19号 2007年7月 - |
巻数 | 16巻 |
映画:岳 -ガク- | |
監督 | 片山修 |
制作 | 「岳」製作委員会 (東宝、テレビ朝日、小学館ほか) |
封切日 | 2011年5月7日 |
上映時間 | 125分 |
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『岳 みんなの山』(がく みんなのやま)は、石塚真一による、山岳救助を題材とした漫画作品。なお、単行本での題は『岳』である。
『ビッグコミックオリジナル』2003年19号に初掲載された。その後、同誌および『ビッグコミックオリジナル増刊』にて不定期連載を開始し、2007年7月からは『ビッグコミックオリジナル』に毎号連載となった。
マンガ大賞2008、第54回(平成20年度)小学館漫画賞一般向け部門を受賞している。
実写映画化され、2011年5月に公開されている。
作品の概要
山に魅せられた男、島崎三歩。若くして世界の巨峰を登頂した後、三歩が選んだ道は日本での山岳救助ボランティア隊員だった。非常事態や緊急場面では、常に最善の結果を求めて冷静に救助活動を行う三歩。そのために非情で冷酷とみなされたり、はからずも「救助担当者の力が及ばず遭難者は助からなかった」と遭難者の関係者に責められることもある。しかし基本的に三歩は、登山者や遭難者に対して明るく優しく大らかに接し、山の素晴らしさをたくさんの人に知って欲しいと常に願っている。島崎三歩の救助活動の他に、山小屋の手伝い、県警警備隊関係者への訓練などを通して山の安全に関わる人々と、山を訪れる人々との交流を描いている。
登場人物
主な登場人物
- 島崎 三歩(しまざき さんぽ)
- 民間の救助ボランティア団体である山岳遭難防止対策協会(遭対協)に参加しているボランティアの救助隊員。高校卒業後に実家のりんご畑を継がず海外に出て、多くの世界名峰を登頂、豊富な登山経験と技術、知識を持つ。ホットコーヒーとバナナを好む。山を愛するゆえ遭難者を決して責めず、仮に救助対象者が遺体であったとしても「よくがんばった。」と労わりの声をかける。ヨセミテ国立公園にて、仲間からもらった[1]「岳」と書かれた帽子をかぶっている。北アルプス山中にてテントなどに寝泊まりして暮らしている。長野県小諸市出身。千歩という姉がいる。身長187cm、体重80kg。
- 野田 正人(のだ まさと)
- 長野県警察の山岳遭難救助隊チーフ。長野県にある北部警察署の地域課所属の警察官。三歩とは幼馴染で高校山岳部の同期でもある。冷静に責任を持って作業にあたるため、一見「冷たい」と誤解されがちだが、非番の日には捜査打ち切りになった行方不明者を自主的に三歩と共に捜すなど、熱い人物。阿久津の遭難事故の責任を問われ異動となる。
- 椎名 久美(しいな くみ)
- 長野県警察の山岳遭難救助隊隊員。長野県にある北部警察署・地域課所属の警察官。山を好きになれずにいた新米隊員だったが、山岳救助の経験を積み重ねるうち、葛藤しながらも成長していく。
- ザック・ウェザース (Zack)
- 元ティートン・レスキューチームのクライマー。ティートンでは三歩がリーダーを務めていたチームに所属。チームメイトのピッツィーと共に来日したが、そのまま日本に残り、現在は松本市内の居酒屋「ケルン」でアルバイト勤務の傍ら救助のボランティア出動もしている。椎名久美に好意を持つ。クライマーの妻をヒマラヤで亡くしている。
- 小田 草介(おだ そうすけ)
- 会社を辞めエベレスト公募登山隊に参加した青年。学生時代に杜撰な装備のまま冬の穂高岳に入り遭難したが三歩に救助されている。ローツェに向かう途中の三歩とネパールのルクラで再会した。 度重なるトラブルに見舞われ遭難寸前に陥った公募隊の中で体力を残した数少ないメンバーとなり、ヒマラヤ遠征編では実質準主役となっている。
その他
- 谷村 文子(たにむら ふみこ)
- 北アルプスで山小屋を女手一つで営む女性。亡き夫が経営する山小屋を継ぎ、北アルプスを訪れる登山者達を迎える。三歩の良き理解者。
- 阿久津 敏夫(あくつ としお)
- 長野県警山岳遭難救助隊の新米隊員。椎名久美の後輩。懸垂下降が大の苦手、訓練時にアイゼンを付ける向きを間違うなど、失敗が多い。自身の山岳救助隊への適性も疑うが、ある出来事をきっかけに奮起し、徐々に救助隊員としての力を付けていく。救助活動中に2次遭難し、一時危篤となる。
- 安藤(あんどう)
- 長野県警察の山岳遭難救助隊隊員。長野県にある北部警察署の警察官。椎名久美の先輩。阿久津の遭難の責任を取り異動した野田に代わり、隊長に就任。
- 牧 英紀(まき ひでのり)
- 燕レスキュー所属の救助隊員。少しでも救助の確率をあげるため、そして再発を防ぐため遭難者に厳しく接する人物。山岳救助の業務を取りやめようとする,会社の決定に葛藤していたが、燕エアレスキューという会社を立ち上げて今でも三歩らに協力している。
- 高校生のときに山岳警備隊になるのを夢見ていた後輩が冬季登頂中に滑落・遭難してしまい、その後1年近く捜索し続けた後に遺体を発見したという経験がある。モデルは東邦航空の故・篠原秋彦。
- 青木 誠(あおき まこと)
- 燕レスキュー所属のヘリコプターパイロット。救助作業にあたっては牧と共に行動している。
- スコット・フェイバー (Scott)
- かつては三歩と共に8000m級の山を渡り歩いていたが、4000m前後から高山病を発症するようになり、レスキューの仕事からも撤退する。某年、初冬のマッキンリーで消息を絶つ[2]。三歩がローツェに遠征した際に遺体発見の報が寄せられた。愛称スクーター。
- アンディ (Andy)
- 三歩の元同僚。3度のエベレスト挑戦を、すべて他の登頂隊救出のために断念という経歴を持つ[3]。ソロ(単独登山)でヒマラヤに挑戦し、死去[4]。
- 横井 ナオタ(なおた)
- 父一人子一人の父子家庭で育っていた小学生。北アルプスで父親は遭難・死亡。その時に救助に当たった三歩を「山のお兄ちゃん」と呼び慕う。父親の遭難死という辛い出来事にも負けない逞しい性格。現在は祖父母と共に暮らす。
- オスカー
- 現在はヒマラヤでガイドをしている三歩の旧友で小田が参加した公募登山隊の隊長。豊富な経験で小田達を登頂に導くが、参加者の体調不良や他隊の無謀な行動などでヒラリーステップに足止めを食った末に天候悪化に巻き込まれ遭難寸前に陥る。
- ピート
- オスカーとチームを組んでいるガイド。ヒラリーステップに取り残されたオスカー達を救うために酸素ボンベを背負ってサウスコルを出るが雪庇を踏み抜き転落して負傷。三歩と小田により救出される。
- アンジェラ
- セブンサミット(七大陸最高峰制覇)を目指しオスカー率いる公募登山隊に参加したスペイン人の女性医師。紛争地でNGO活動をしていたが、治療の甲斐なく亡くなった子供達に背中を押されるように山へ戻った。公募隊参加メンバーの中では屈指の実力者で小田とともに登頂に成功。
- マイクとリンダ
- 再婚者同士の夫婦で新婚旅行としてエベレスト公募登山隊に参加。リンダは登頂に成功したものの、マイクは高山病を発症し脱落。
- テンジン
- オスカー率いる公募登山隊のガイド。シェルパ族。
その他
- 本作の題名は雑誌掲載時のみ『岳 みんなの山』となり、単行本では『岳』と表記されている。単行本表紙や扉絵などに書かれる英文の副題も異なる表記となっている。雑誌掲載時は「CLIMB EASY AND FIND YOUR OWN ADVENTURE!」、単行本では「COOL, AWESOME, ASTONISHING STORY ABOUT CLIMBERS AND RESCUERS! CLIMB EASY AND FIND YOUR OWN ADVENTURE!」である。
- 野田正人らの勤務する北部警察署の所在地は、「長野市内」(単行本1巻 第0・2歩、3巻第1・3歩)と「松本市内」(単行本4巻 第3・6歩)の2通りの表記がされている。単行本2巻 第0歩で野田正人と椎名久美は松本市内を巡回している。なお、現実の世界にて長野市と松本市は隣接していない。
- 雑誌『ダ・ヴィンチ』2007年4月号の「今月のプラチナ本」にて紹介された[5]。
単行本
- 第1集 - 2005年6月1日発行(2005年4月26日発売)、ISBN 978-4-09-187571-6
- 第2集 - 2006年11月1日発行(2006年9月29日発売)、ISBN 978-4-09-180730-4
- 第3集 - 2007年2月1日発行(2006年12月26日発売)、ISBN 978-4-09-181003-8
- 第4集 - 2007年5月2日発行(2007年4月27日発売)、ISBN 978-4-09-181207-0
- 第5集 - 2007年10月3日発行(2007年9月28日発売)、ISBN 978-4-09-181470-8
- 第6集 - 2008年2月4日発行(2008年1月30日発売)、ISBN 978-4-09-181719-8
- 第7集 - 2008年7月5日発行(2008年6月30日発売)、ISBN 978-4-09-182029-7
- 第8集 - 2008年12月3日発行(2008年11月28日発売)、ISBN 978-4-09-182248-2
- 第9集 - 2009年3月4日発行(2009年2月27日発売)、ISBN 978-4-09-182380-9
- 第10集 - 2009年9月2日発行(2009年8月28日発売)、ISBN 978-4-09-182590-2
- 第11集 - 2010年3月4日発行(2010年2月27日発売)、ISBN 978-4-09-183073-9
- 第12集 - 2010年7月5日発行(2010年6月30日発売)、ISBN 978-4-09-183218-4
- 第13集 - 2010年12月5日発行(2010年11月30日発売)、ISBN 978-4-09-183527-7
- 第14集 - 2011年5月3日発行(2011年4月28日発売)、ISBN 978-4-09-183819-3
- 第15集 - 2011年10月5日発行(2011年9月30日発売)、ISBN 978-4-09-184085-1
映画『岳-ガク-』
岳-ガク- | |
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監督 | 片山修 |
脚本 | 吉田智子 |
製作総指揮 |
市川南 平城隆司 大西豊 |
出演者 |
小栗旬 長澤まさみ 佐々木蔵之介 石田卓也 市毛良枝 渡部篤郎 |
音楽 | 佐藤直紀 |
主題歌 | コブクロ『あの太陽が、この世界を照らし続けるように。』 |
撮影 | 藤石修 |
編集 | 松尾茂樹 |
製作会社 | 「岳 -ガク-」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2011年5月7日 |
上映時間 | 126分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 16.3億円[6] |
『岳 -ガク-』のタイトルで実写映画化され、2011年5月7日に公開された。監督は『ヒートアイランド』の片山修。主演は『シュアリー・サムデイ』で監督デビューした小栗旬。詳細発表当時に刊行済みであった単行本11巻までのうち、前半のエピソードを基にしたオリジナル作品となる。
キャッチコピーは「生きる。」「標高3,190m 気温-25℃ 命は、命でしか救えない。」。
全国315スクリーンで公開され、2011年5月7、8日の初日2日間で興収2億6,465万6,200円、動員20万8,416人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第1位となった[7]。4割の観客が原作を読んだことのある読者であり、ぴあ初日満足度ランキング(ぴあ映画生活調べ)でも第1位となっている。
この作品が東宝スタジオNo.1ステージで撮影された最後の映画となった(東宝スタジオ#略歴も参照)。
あらすじ
世界の名峰を制覇した後、日本へ戻り山岳救助ボランティアとして活動していた島崎三歩のもとに、椎名久美が北部警察署山岳遭難救助隊の新人としてやって来る。三歩の指導を受けて訓練をこなしていた久美だが、実際の現場で遭難者を救うことが出来ずに自信を失っていた。そんなある日、猛吹雪の雪山で多重遭難が発生する。久美は仲間と共に現場へ向かうが、そこには想像を絶する雪山の脅威が待ち受けていた。
キャスト
- 島崎三歩 - 小栗旬
- 椎名久美 - 長澤まさみ
- 野田正人 - 佐々木蔵之介
- 阿久津敏夫 - 石田卓也
- 座間洋平 - 矢柴俊博
- 安藤俊一 - やべきょうすけ
- 関勇 - 浜田学
- 守屋鉄志 - 鈴之助
- 横井修治 - 宇梶剛士
- 青木誠 - 森廉
- 横井ナオタ - 小林海人
- 遭難者の父 - ベンガル
- 梶一郎 - 光石研
- 梶陽子 - 中越典子
- 遭難する青年 - 尾上寛之
- 三歩の親友 - 波岡一喜
- 椎名恭二 - 石黒賢
- 谷村文子 - 市毛良枝
- 牧英紀 - 渡部篤郎
スタッフ
- 原作 - 石塚真一
- 監督 - 片山修
- 企画・プロデュース - 臼井央
- 共同プロデュース - 大村信、高野渉
- プロデューサー - 遠藤学、前田光治
- 脚本 - 吉田智子
- 音楽 - 佐藤直紀
- 製作 - 島谷能成、神山郁雄、亀井修、佐藤政治、熊谷玄典、雨宮俊武、小林昭夫、堂馬隆之、菊地誠一、石田耕二
- エグゼクティブプロデューサー - 市川南、平城隆司、大西豊
- Co.エグゼクティブプロデューサー - 本間英行、桑田潔、梅澤道彦、白井康介
- ラインプロデューサー - 傳野貴之
- プロダクション統括 - 金澤清美
- プロデュース協力 - 山田兼司、高瀬一郎
- 撮影 - 藤石修
- 美術 - 新田隆之
- 録音 - 湯脇房雄
- 照明 - 川辺隆之
- 編集 - 松尾茂樹
- 助監督 - 櫻井宏明
- 製作担当 - 菊島高広
- 音楽プロデューサー - 北原京子
- VFXスーパーバイザー - 石井教雄
- キャスティング・ディレクター - 杉野剛
- 音響効果 - 大河原将
- 装飾 - 秋田谷宣博
- スクリプター - 谷恵子
- 山岳コーディネート - 大森義昭
- 製作委員会メンバー - 東宝、テレビ朝日、小学館、トライストーン・エンタテイメント、小学館集英社プロダクション、KDDI、博報堂DYメディアパートナーズ、毎日新聞社、長野朝日放送、日本出版販売
- 製作プロダクション - 東宝映画
- 配給 - 東宝
主題歌
脚注
外部リンク
- 小学館コミック -ビッグコミックオリジナル- - ビッグコミックオリジナル 公式サイト
- ビッグオリジナル:岳 - 作品紹介
- 小学館:コミック - 小学館サイト内 単行本紹介ページ(第1巻の詳細ページから、冒頭8ページ閲覧可)
- マンガ大賞 - マンガ大賞実行委員会
- 映画『岳-ガク-』オフィシャルサイト - 映画版公式サイト