アイアムアヒーロー

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アイアムアヒーロー
ジャンル 成年向け青年漫画
サスペンスホラー漫画
漫画
作者 花沢健吾
出版社 小学館
掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
発表号 2009年22・23合併号 - 連載中
発表期間 2009年4月20日 - 連載中
巻数 既刊13巻
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アイアムアヒーロー』(I am a HERO)は、花沢健吾による日本漫画。漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2009年22・23合併号(2009年4月20日発売)から連載中。

作品概要[編集]

謎の感染病による平凡な日常の崩壊を描いたホラー漫画。当作品は「生ける死体」を題材とした作品ジャンルの一つではあるが、同じジャンルの作品とは違い「ゾンビ」という言葉は直接使っていない。

ほぼ一巻すべてを主人公の日常を描く事に割き、パンデミック後も「日常性の崩壊」と「災害」が仔細かつ淡々と描かれる。さらに主人公を始め、様々な形で「これまでの社会に劣等感を抱いていた者」の行動にスポットを当てている。

マンガ大賞2010で4位、マンガ大賞2011で3位。第58回(平成24年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞[1]

あらすじ[編集]

物語序盤のモデルとなった三原台一丁目陸橋から見た関越自動車道方面の眺望[1]

主人公・鈴木英雄は、漫画家のさえない35歳。デビュー作は連載開始後半年で早々に打ち切られ、借金も背負い、アシスタントをしながら再デビューを目指しネームを描いては持ち込む日々が3年を経たが、依然として出版社には相手にされない悶々とした日常を過ごしている。職場の人間関係も上手く行かず、さらに夜になれば何者かが忍び寄る妄想に囚われ、朝方まで眠れぬ生活が続いていた。そんな無為な日常の中の救いは、恋人である黒川徹子の存在。だがその彼女もすでに売れっ子漫画家になった元カレを何かと引き合いに出し、さらには酔うたびに英雄の不甲斐なさをなじる始末。

その一方、社会では2009年のゴールデンウィークシーズンを前にして、不穏な兆候を示す出来事が相次いで起こっていた。全国的に多発する噛み付き事件、町に増えてゆく警官の数、厚労相の入院と入院先での銃撃戦といった報道。英雄も深夜、練馬区石神井公園付近の雑木林で、タクシーに轢かれて両腕と右足が潰れ首が真後ろに折れても運転手に噛み付き奇声を発し立ち去る女性を目撃する[2]。だが、日々の生活で手一杯の英雄らにそれらを気に留める余裕などあるはずもなかった。

そしてある日、そんな日常は思いもよらない形で崩壊を始める。英雄の眼前に繰り広げられるのは、周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延、彼らに噛み付かれた者は感染者となり次々と増えて行く悪夢のような光景であった。恋人や仕事仲間も犠牲となり、世界がパニック拡大と秩序崩壊へと覆われるパンデミックの中、英雄は果たして「英雄(えいゆう)=ヒーロー」となり得るか。

登場人物[編集]

名前の読みや本名(フルネーム)は明確に判明していない限りそのまま表記する。

主要キャラクター[編集]

鈴木英雄(すずき ひでお)
本作の主人公。35歳。泡沫の漫画家であり、プロ漫画家の松尾の下で作画アシスタントとして働いている。練馬区三原台近く関越自動車道高架沿いに在住。クレー射撃を趣味としており、散弾銃を所持していることが後々、極限状況を乗り越えることの武器となる。
鈴木はかつて漫画の連載を持っていた時期があったが、打ち切りになってしまい、単行本は2冊で終わる。再デビューを果たすべく、出版社にネームの持込みを繰り返している(ペンネームは「鼻糞林檎」)。趣味は射撃で、銃砲所持許可証を持ち散弾銃を所持している。その管理は部屋の鍵を二重にかけたり、隠し扉の奥に閉まっておくなど、過剰なほどである。極度に肥大した妄想癖があり、深夜は寝室隣の高速道の騒音さえ聞こえなくなるほどの恐怖に毎夜囚われている。彼の想像にだけ存在する男「矢島」を話相手にしたり、周囲から賞賛されているような妄想をするが、端から見ればそれは単なる独り言であり、それが原因で現実には周囲に倦厭されている(特に三谷からはたびたび独り言をやめるように言われていた)。「自分は世界の脇役で、自分自身の人生でさえ主役になる事はない」というコンプレックスに陥っている。以前は内向的かつ臆病で、助けを求められても自分を優先し見捨てるような行動が見受けられるも、比呂美と知り合ってからは彼女のために銃を抜くことも厭わなくなる(平常時なら発砲はもちろん街中で銃を出すだけでも違法である)。射撃の腕は確かで、感染者へ発砲するシーンでは上下2連散弾銃を器用に扱っており、廃莢したシェルが地面に落ちる前にポケットから散弾を抜いて装填を済ませる早技を見せた。アウトレットモール脱出後は比呂美、小田と行動を共にしており、東京に向かうという目標の元で場所を転々としている。また、道中の箱根湯本の温泉街の鉄砲店からスラッグ弾使用のミロクMSS-20ボルトアクションライフルを入手した。
矢島(やじま)
英雄が作り出した妄想上の存在。外見は小柄で小太りで童顔。英雄が呼べばどこにでも現れ、基本的に英雄の言葉に賛同するようなことしか言わないが、てっこが感染した後には実体のないもやのような存在で登場し、英雄に対し諭すような言葉を残し姿を消す。同作者の作品『ルサンチマン』、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の矢島に酷似。
早狩比呂美(はやかり ひろみ)
右目の下に泣きぼくろがある、髪の長い女子高生。ゴールデンウィーク中の林間学校富士山麓に来ており、同室のクラスメイトとのじゃんけんで行くことになった樹海での肝試しで、逃れてきた英雄と遭遇する。おとなしい性格ゆえに学校では地味な印象で、クラスメイトにイジメの対象にされていたが、感染者と思われる首吊り自殺体にも臆せずに救いの手を差し伸べ、感染した紗衣を安楽死させるべく自ら英雄の銃で撃つ事を志願するなど、度胸がある一面を見せた。英雄と共に富士山へ向かう集団のパニックから逃れる際、感染した新生児に首筋を噛まれる。新生児には歯が生えていなかったため他の感染者のような急激な感染は避けられたが、一夜明けた後に発症する。他の感染者とは異なり、英雄達を襲うことは無く意識の混濁したまま同行している。
アウトレットモールで伊浦に頭部をクロスボウで撃たれ、アウトレットモール脱出後も意識を失っていたが、小田の懸命の手術により意識をとりとめ、感染以前のように行動をする事ができるようになった。また、感染により「遠く離れた覚醒者やZQNとの意思疎通」や「身体能力の向上」などが見られた
藪(やぶ)/小田つぐみ(おだ -)
アウトレットモールに避難していた女性。表面的には伊浦やサンゴに従っていたが、本心では彼らのやり方を快く思っておらず、たびたび英雄達を手助けする。元は近辺の病院に勤めていた看護師で、非番だったため感染を免れた。発症後も英雄達を襲わない比呂美の事を、感染パニック解決の鍵になるのではないかと考えている。コミュニティの崩壊後、英雄・比呂美と共にアウトレットモールからの脱出に成功。その際に本名を明かす(「」の呼び名は注射が下手な事や子供が苦手な事に由来)。
モール脱出後、比呂美の手術に成功し、英雄と行動を共にしており、車の運転をしている。比呂美と同様「温泉に行く」という目標を掲げている。

サブキャラクター[編集]

黒川徹子(くろかわ てつこ)
愛称「てっこ」。英雄の恋人で、かつて松尾の漫画アシスタントをしていた。英雄のアパートや松尾の職場すぐ近くの、古いモルタルアパートに一人暮らしをしている。アシスタント時代、同僚だった中田コロリと交際していた。別れた現在も元彼の才能に心酔し、連絡も取り合っており、その事を英雄は不快に感じている。眼鏡と口元のほくろが特徴。黒髪のロングヘアーだが、松尾の同じアシスタント仲間として英雄と出会った頃は金髪のショートだった。酒乱であり、よく英雄を翻弄する。事件の発端となった交通事故現場付近で感染者と思われる少女に噛まれた事で、自身も感染者となってしまい、そのまま自室で発症。クレー射撃に向かう前に自室を尋ねてきた英雄に襲いかかり噛み付くも、直前に歯が全部抜けるまで玄関のドアを噛んでいたため英雄は感染せずに済んだ(後に英雄は、彼を感染させないように彼女が自ら歯を落としたのではないかと推測する[3])。自らの死期を悟ったかのように「すっぴんの死に顔は見ないで欲しい」という遺書めいたメモを残しており、自室内も英雄の単行本を本棚に整列させ、中田の単行本を纏めて捨てるなど、中田への想いを断ち切り、英雄に本格的に愛情を寄せるようになった身辺整理的な行動が見られた。感染した後も英雄に襲い掛かろうとする他の感染者を倒し英雄を守ろうとしたが、最期は「もう彼女は救えない」と矢島に諭された英雄の手により、首を切断された。
中田コロリ(なかた -)
てっこの元交際相手で、3年前に英雄と入れ替わる形で松尾のアシスタントを辞めて漫画家デビュー。実家は渋谷の土地持ちで、祖父は松濤の高級老人ホームに入居出来ていたほど裕福。英雄の漫画家としての才能を買ってくれている。パンデミック以来、東京都豊島区の高層ビルの最上階に籠城しており、苫米地と無線で交信をしていた。
松尾(まつお)
英雄のアシスタント先の漫画家。妻子がいるにもかかわらず、みーちゃんと不倫していた。三谷によれば、「職場に来る女性には手当たり次第手を出していた」という。感染者となったみーちゃんに噛まれて感染し、しばらくは平静を装っていたが、後に発症し、三谷に撲殺された。
三谷(みたに)
松尾のチーフアシスタント。40歳代。18歳のときに漫画界に入ったものの、デビュー出来ずに年だけとってしまった事を嘆いている。態度が大きく、その性格を英雄は嫌っている。女子アナオタクで、そのため職場でもニュース番組をよく見ている。同じ職場のみーちゃんに好意を持っており、たびたびアプローチを仕掛けていたが、まったく相手にされていなかった。YouTubeを通して街の非常事態について何らかの情報を得ていたため、臨機応変に対応して感染を免れた。英雄と共に生存をかけ東京からの脱出を図るが、三原台一丁目の歩道橋に上がる途中で街の感染者に襲われ、墜落するジェット旅客機の車輪に頭部を巻き込まれ即死した。
パッシー
英雄のアシスタントつながりの知り合い。関西弁を話す。英雄とは一緒に飲みに行く仲であった。英雄との通話の中で、アシスタント先の師匠が感染したと思しき会話があった。
佐田和也(さだ かずや)
通称「カズさん」。超学館週刊ストリップ編集者。英雄のかつての担当編集であり、松尾を担当していた。英雄や三谷の持ち込みネームはことごとくボツにしている。作品世界での2009年4月29日の業務終了の後直帰、5月1日に台湾で新人漫画家のカオリと共に取材旅行(実質的には不倫旅行)をしていた。現地で発症した彼女と格闘した際に手を引っ掻かれて感染、発症。
同僚アシスタント
松尾プロの男性アシスタント。眼鏡と前分けの髪型が特徴。松尾と共に、みーちゃんと付き合っており、三谷は彼を「クソ虫」と蔑んでいた。みーちゃんと松尾の感染後に三谷に最初に撲殺されるが、本人が「あの狭い仕事場でも二人が感染した」と発言していた為、本当に感染していたかどうかは不明である。
みーちゃん
本名不明。松尾プロの女性アシスタント。眼鏡をかけており、三つ編みにそばかす顔が特徴。松尾とは不倫関係にあった。感染者となって松尾に襲いかかり、彼の男性器を食いちぎるが、包丁で松尾に刺され、水が入った浴槽に沈められ放置される(この際に生体としては既に死亡していたと思われる)。その後、水を含んで肥大化した醜悪な姿で復活し、三谷に可燃性のガスが入ったスプレーを噛まされ、即席火炎放射器によって頭部を爆破され活動停止。
紗衣
比呂美の同級生。親が有力者で学校にも影響を持つ。比呂美に好感を抱きつつも、実は隠れて比呂美イジメを行う中心人物だった。発症した教師に手を噛まれたことで感染。発症後は比呂美を探し回りつつも襲うことは無く、同じく発症した可奈子から比呂美を守ろうとした。可奈子と共食いの末、比呂美か英雄の発砲により活動停止。
可奈子
比呂美の同級生。紗衣の取り巻きの一人で恰幅が良い。比呂美イジメの一員。発症後、比呂美のところまで紗衣に引きずられて来た。紗衣に喰われて活動停止。
荒木(あらき)
自称通販カタログ専属カメラマン。感染パニックの撮影で世界的な報道カメラ賞の受賞を狙って、妻子を残して富士山五合目へ向かっていたところ、散弾銃を持っている英雄達を目にし、行動を共にすることになる。御殿場アウトレットモールで非感染者がコミュニティを形成しているとの情報を得て、英雄・比呂美とともにアウトレットモールに避難したが、コミュニティの崩壊時に英雄達と分断される。最期はもう一人の生存者である少年を生かす為に感染者を道連れに焼死した。
伊浦(いうら)
アウトレットモールの屋上で籠城している非感染者コミュニティの裏の支配者で高い洞察力を持つ。ピストルクロスボウを所持し、反逆者や気に入らない者を感染者の多数徘徊する地上に落として処刑してきた。フードコートへの食料調達に参加していたが、作戦失敗のどさくさにまぎれて一人だけで帰還。驚異的な分析能力の高さで駐車場内に藪が停めた場所まで推理してみせた。藪の停めている車の近くで待ちぶせしていたが、藪が比呂美を背負って駐車場に着いた頃には既に発症していた。比呂美によって顎を外されて駐車場の最上階から転落し、徘徊していたところを薮の運転する車にはねられる。英雄・藪・比呂美がアウトレットモールを脱出した後、かつて自分達が散々嬲ってきた女性の感染者に首をもがれる。比呂美の症状に興味を抱き、感染をコントロール出来るのではないかと考えていた事が伊浦が発症した時に露わになった。
サンゴ
元・引きこもりで、アウトレットモールの非感染者コミュニティの支配者(実際は伊浦が上で、サンゴは裸の王様)。英雄の散弾銃に目を付け奇襲を試み、英雄から銃を奪うのに成功したものの、フードコートに食料調達に向かった際に返り討ちに遭い、感染者に首をもがれ死亡。首は「燃えないゴミ」用のゴミ箱に投棄される。
目白
サンゴと組む武闘派。女子高生に電車で痴漢に仕立て上げられた過去がある。英雄と藪に危害を加え、比呂美が感染した事が露になった際に自慢の腕力で撃退しようとするものの、手と足を折られる。その後、藪の説得により人間としての心を開き、藪と比呂美を助けるべくアウトレットモールに背面跳びで進入して来た感染者の囮となる。
ブライ/村井正和(むらい まさかず)
モールに籠城するメンバーの1人。ミリタリーオタクでエアーガンを所持。サンゴが散弾銃を英雄から奪った後の食糧調達隊の1人になる。調達部隊の危機に際し、覚悟を決め英雄に本名を明かす。英雄を援護してフードコートからの脱出に成功するが、感染者を殲滅しながら撤退する中で弾丸を撃ち尽くし、橋から飛び下り自決。
黒沢
アウトレットモールの元従業員。伊浦、サンゴ、ブライ、英雄と共にフードコートにある食料庫に案内するが、冷蔵庫に潜んでいた感染者に頭部を噛まれ、手遅れと判断された村井(ブライ)によって冷蔵庫に閉じ込められる。
田村
目白と同じサンゴの手駒、食料の調達時に見張り役として働いていた。
カオリ
新人の女性漫画家。週刊ストリップで連載枠の候補に挙がっていた。編集者の和也とは不倫関係にあり、彼との子を身ごもったと語る。台湾で不倫旅行中に士林夜市で子供に足を噛まれて感染し、翌日訪れた九份で発症、逃げる和也を追う途中観光バスに轢かれる。

来栖一味[編集]

来栖(クルス)
本名・年齢不詳の自称「自宅警備員」で、作品世界のネット上では「小学生時代から引きこもりで個人特定出来ず」とうわさされている青年風の人物。パンデミックの3週間前(作品世界では2009年4月上旬)時点で「感染した自分の母親をバットで何度もフルスイングする」映像をYouTubeにアップしていた(当初この映像は「フェイクドキュメンタリー映画の宣伝か」とも噂されていた)。映像を通して呼びかけていた「俺達の時代」「世界は俺達のもの」という言葉は、ネット上に多くの賛同者を生み、その熱狂的ファンを指して「クルス信者」という呼び名まで出来ていた。埼玉県久喜市周辺でアジトメンバーと共に活動。常に裸にブリーフのみの姿。
アジトメンバーが学校に逃げ込んだ際に、(崇が襲われているのを見物していたため)遅れて現れる。羽生兄妹を殺害した後、崇とスコップの男に勝負を挑むも、激昂した崇に敗れる。
江崎崇(えざき たかし)
埼玉県久喜市に住むひきこもり青年。母親が感染者になった後、自室にバリケードでたてこもりネットの掲示板を見て過ごしていた。来栖一味が仲間を募った書き込みに応え、救出してもらう。その際、来栖に「母親の首を切断しろ」と命令され苦悩しながら切り落とす。江崎家から脱出の際周りの感染者が集まりはじめたため、毅と共にアジトに向かう。
アジトが感染者にに襲撃された際に彼らを引き付けるため外に出て、争いの末に噛みつかれて感染、川に落ちる。しかし感染後も意識があり運動能力が飛躍的に上昇している。来栖に羽生兄妹を殺害されたことで激昂。来栖達を破り新しい『クルス』となった。
毅(こわし)
江碕を救出しに来たメンバーの一人。江崎の家到着時には来栖と共に家の中に入った。来栖の右腕的な存在で常に冷静。救出後は、江崎と共に逃げた。武道を習得しているようで逆上した春樹を簡単に押さえ込む。
ダニエリ
江碕を救出しに来たメンバーの一人。片言の日本語を話す外国人(台詞は全てカタカナ)。江崎の家に着いた後は江崎家の玄関前を女と2人で見張る。江崎の隣の家にいた感染者が騒いだため、女の命令で毅に報告しに家の中へ。救出でモタモタしている事に全滅を危惧し心配する。バラバラに逃げた際、来栖と共に逃げたが感染し、来栖に殺された。
江崎を救出しに来たメンバーの一人。周りに自分のことは言わず他のメンバーと距離を取っていて名前は不明。言動から性同一性障害を持っている可能性がある。江崎の家に着いた後は玄関前をダニエリと見張る。江崎の隣の家にいた感染者が騒いだため殺害、ダニエリに毅に伝えるよう命令した後も1人で玄関前を見張る等、戦闘経験は豊富にある模様。アジトの中では風呂場で小説を読んで過ごす。風呂場で小説を顔に乗せ寝ていた際、顔の半壊した感染者が雨戸を破り窓から侵入し取っ組み合う。苫米地の一言で風呂場で監禁されていた際に発症し、窓から外に逃げた。
苫米地(とまべち)
来栖達のアジトにいるひげをはやした男性。メンバーでの武器の製造を担当する。アマチュア無線により、他の生存者と連絡を取り合っていた。アウトレットモールの伊浦が発見した「生前の生活習慣をトレースしている」などの他に、「感染者は極めてゆるやかだが南へ移動している」などの発見をしている。嫌味を交えながらも冷静な発言をする。
おばちゃん
中年女性の主婦。本名は不明でアジトのメンバーには「おばちゃん」と呼ばせている。メンバーの飯炊き係。パンデミック後も電気が使える事や、原発に不安を持つなど主婦ならではの疑問を持つ。アジトの風呂場から感染者が侵入した際は包丁を二刀使い、首をためらうことなく切断した。
春樹
来栖達のアジトに居た男子中学生、江崎の母校の生徒(6年後輩)であり制服を着ている。江崎の中学生時代、江崎をいじめていた親戚を持つ。元々は平凡な少年であるが、短気で攻撃的な性格の持ち主。
城(キズキ)
来栖達のアジトに居たメンバーの一人。春樹と同級生の女子中学生。家族が避難したと届いたメールを信じ、避難所の学校に望みをかける。おばちゃんの料理の手伝いや皿洗いをしている。
羽生兄妹
兄は江碕救出の際、後援部隊としてクロスボウ(TAC-15)で感染者達を狙撃した男性。また陽動作戦として花火を放ったりした。アジトの近くの田んぼの物置小屋を改造して、普段はそこにいてアジトの門に近づく感染者を駆除する。アジトとは携帯ゲーム機のチャット機能を使い交信する。妹は小型のクロスボウを持ち物置小屋で見張っていた。何らかの理由で来栖一派を信用しておらず、地元民の江崎を独自の避難計画に誘う。学校に逃げ込んで苫米地を脅迫している際、やってきた来栖の気まぐれで兄妹ともに殺害される。
スコップの男
本名不明。スコップ2本を武器にしており、学校で来栖を待ち構えていた。かつてスーパーでバイトをしていたときに感染者に噛まれたが、自分に対しては誰も心配されなかったことに憤りを感じ、いくら人助けをしても「ヒーロー」になれなかったことをコンプレックスに思っている。その後は避難所を転々と回り、自分より格上に見える人間を次々と殺害していった。感染後の崇同様意識はあり、自身を「人間を超越した」と語る。

感染者(ZQN)[編集]

病状が発症すると全身の血管が浮き出た外見となり、感染していない人間(非感染者)に噛みつきで襲いかかる。発症後は驚異的な身体能力を持つ(腰の曲がった老婆の感染者が全力で疾走する英雄と比呂美に追いついていた)。また痛覚がないのか、指で自分の目をつぶすなどの自傷行為に及ぶことがあり、車にはねられたり階段や高所から落ちたりしても、何事もないかのように動き回る。ただし生命維持活動は停止しているのか、感染から時間がたつと腐敗により体が脆くなる(前述の老婆はあわや噛み付くかというところまで行ったが、足の骨が耐え切れず折れてしまった)。また四足歩行(ブリッジ姿勢)で走るなど肉体的に不可思議な行動をとる者もいる。

感染者は、以前の生活習慣や行動様式に関連した言動が見受けられる。例えばアパートの大家は「やちん(家賃)」と言葉を発したり、てっこは他の感染者から英雄を守る行動、紗衣は比呂美に対して攻撃を行わずあたかもイジメを告白するかのような行動をとった。感染時に心残りであったことを満たしてやれば、非感染者への殺傷摂食衝動が抑えられる傾向が見られる。感染者は銃声や金属音など大きな音に反応して集まる習性もあり、アウトレットモールのコミュニティではこの習性を利用して陽動を行っていた他、目の前に非感染者が居る場合であっても、より離れた位置にいる大きな音を出す非感染者を優先して襲う例が見られた。

感染者に噛みつかれた人間は新たな感染者となり、発症後に他の非感染者を襲う。感染から発症までの時間には個人差があり、噛まれてから数時間から数日程度の時間を経て発症する者もいれば、噛まれた直後から即座に発症に至る者もいる。現状では感染者による咬傷擦過傷以外の感染経路は明示されておらず、人間以外の動物の症例もはっきりとは描写されていない為、人獣共通感染症であるかどうかは不明である。しかし、歯のない感染者に噛まれて皮膚に直接の外傷を受けなかった場合には感染せず、感染者の血飛沫などから血液感染する可能性がある事等は作中で示唆されている。

噛み付かれた後も生体として生き続けている人間の場合には、症状の進行と共に正常な思考能力や言語能力が失われていき、最終的には「生体としての」を経て周囲の非感染者を襲い始めるようになる。感染者の中にはこうした経過を辿るに当たり、自身の肉体の異常な変化に気づき、発症前に自殺を図る者や死を予見して遺書を残す者も見られた。作中のニュース番組や病院では「多臓器不全及び反社会性人格障害」という病名が公表されているが、これは前述の症状の進行を官僚の文書的に表現したものである。アウトレットモールのコミュニティでは言語・思考能力が失われる症例を元に、認知症テストに似た簡易な質疑応答を行わせる事により感染の有無を判別していた。噛み付かれた後に何らかの理由で発症前に生体として死亡していた場合であっても、その死体が後に(或いは生体としての死と同時に)感染者として攻撃行動を取る例も多く見られる。この場合、既に身体が腐敗していたり四肢や胴体が断裂していても身体機能の許す限りの行動が行えるようである。但し、いずれの例であっても「頭部を完全に破壊される」「斬首など頸椎を胴体から切り離される」といった決定的な外傷を負う事で、活動停止に至る。なお、感染前に既に死亡していた人間の死体が噛まれた場合、死体が感染者となるかどうかは現状でははっきりとは描写されていない。 また、来栖一味はサンプルとして女性のZQNを捕獲しており、苫米地によると心音・呼吸・脈無しという状態ではあるが、性器などに触る事で反応がある事や生理は行われる事を発見している。

これらの症例の唯一の例外が比呂美の症例であり、彼女の場合には発症後も生体としての死には至ってはいないようで、薮の触診では健常な人間とは大きく異なる脈拍などの生体反応を示し、ある程度以上の言語・思考能力も残っていて、英雄の指示に従順に従うなどの行動が見られる。しかし、周囲の環境や文物に対する外見認知能力は発症前と大きく変質しているようで、彼女の目には周囲の人間を異様なぬいぐるみのような異形の怪物として認識されているようである。

原因や発病メカニズムは明らかになっていないが、細菌テロ宇宙人の仕業など様々な噂が飛び交い、物語中の匿名掲示板や非感染者コミュニティ等では「ZQN」と呼ばれる[4]。なお、この「ZQN」の読み方が不明であったため、「ズキュン」と「ゾキュン」で読み方が分かれていたが、2014年3月15日にフジテレビONEで放送された、「漫道コバヤシ #8 スピリッツ編集部訪問SP」内の作者対談コーナーに出演した花沢にこの疑問が振られると、花沢本人も読み方を定めておらず、その場にいた編集者らと相談した末に、「ZQN(ズキュン)」と読むことが公式に決定した。

単行本[編集]

  1. 2009年08月28日発行、ISBN 978-4091825803
  2. 2009年12月26日発行、ISBN 978-4091827791
  3. 2010年05月28日発行、ISBN 978-4091831576
  4. 2010年08月30日発行、ISBN 978-4091833778
  5. 2010年12月25日発行、ISBN 978-4091835345
  6. 2011年05月30日発行、ISBN 978-4091838278
  7. 2011年09月30日発行、ISBN 978-4091840509
  8. 2012年01月30日発行、ISBN 978-4091842466
  9. 2012年05月30日発行、ISBN 978-4091845122
  10. 2012年10月30日発行、ISBN 978-4091847294
  11. 2013年02月28日発行、ISBN 978-4091848802
  12. 2013年06月28日発行、ISBN 978-4091852403
  13. 2013年10月30日発行、ISBN 978-4091855749
  14. 2014年02月28日発行、ISBN 978-4091858771

脚注[編集]

  1. ^ 第1話 最終ページから第21話 4ページ目まで数多く登場(『アイアムアヒーロー』第1巻、第2巻)
  2. ^ 第6話 11ページ(『アイアムアヒーロー』第1巻)
  3. ^ 第22話 11ページ(『アイアムアヒーロー』第2巻)
  4. ^ 第55話 9ページ目初出(『アイアムアヒーロー』第5巻)

外部リンク[編集]