ラー・カイラム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Anakabot (会話 | 投稿記録) による 2022年10月27日 (木) 08:29個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (セクションリンク修正)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ラー・カイラムRa Cailum[1])は、アニメ作品群『ガンダムシリーズ』のうち、宇宙世紀を舞台にした作品に登場する架空の兵器。地球連邦軍所属のラー・カイラム級(一部の資料ではカイラム級とするものもある)機動戦艦1番艦である。艦長はブライト・ノア

設定解説

諸元
ラー・カイラム
Ra Cailum
分類 機動戦艦、(大型)巡洋艦[2]
艦級 ラー・カイラム級 または カイラム級
所属 地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル隊(旗艦)
全長 487m[1]
全幅 165m[3]
武装 連装メガ粒子砲×4(前方3基、後方1基)[注釈 1]
連装メガ粒子砲×5(前方3基、後方2基)[注釈 2]
艦首ミサイル発射管×6
艦尾ミサイルランチャー×1[注釈 3]
連装対空機銃×22[注釈 4]
乗員 390名(最大640名)
艦長 ブライト・ノア大佐

十分なモビルスーツ (MS) 運用能力と高い砲戦能力(連装メガ粒子砲4基搭載)を両立させた高性能艦。

地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル隊の旗艦であり、砲撃戦能力とMS運用能力[注釈 5]を重視した、新たな連邦軍の主力艦艇である。対MS戦闘における対空戦闘能力も高く、劇中ではネオ・ジオン軍のMSの接近をほとんど許さなかった。そのため、前線においても単艦で充分に戦線を構築することができる。通常ブリッジと戦闘ブリッジ[注釈 6]の2つの艦橋を持っており、戦闘ブリッジは脱出ポッドとしても機能する。艦の両舷に1基ずつ発進用カタパルトを持ち、後部には着艦専用甲板を持つ。また、船体左右のエンジンブロック下部に艦の全長の半分ほどの長さを持つ大型放熱板を1基ずつ、計2基装備している。

その設計や武装・エンジン配置などの随所には、サラミス級マゼラン級アレキサンドリア級など歴代の連邦軍宇宙艦艇の面影が見られ、それらの集大成ともいうべき艦となっている。

また、同時期に就役したクラップ級とは、艦橋構造物、エンジンおよびその配置、2枚の放熱板や各種武装などの基本設計が共通しており、連携した運用が行われていた。

なお、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』と『機動戦士ガンダムUC』ではデザインに若干の差異があり、各種砲塔が近代化改修後のネェル・アーガマと同型のものに換装されていること、後部着艦専用甲板裏面に連装メガ粒子砲が増設されていることに加え、各所のカラーリングが変更されている[注釈 7]

後述のように、開発から50年以上が経過しても同型艦が運用され続けている。

劇中での活躍

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
宇宙世紀0093年を舞台とする本作では、ロンド・ベル旗艦として登場し、本艦艦長を兼任する同隊司令ブライト・ノア大佐による指揮のもと、新生ネオ・ジオンによる小惑星アクシズの地球への落下作戦を阻止すべく行動する。物語冒頭、本艦とロンド・ベル隊所属のクラップ級五隻からなる艦隊によって新生ネオ・ジオン艦隊による5thルナ落としの阻止に当たるがこれは失敗、5thルナはラサに落下した。それを受けスペースコロニーの一つロンデニオンで地球連邦政府と新生ネオ・ジオン間の極秘の和平交渉が行われた際、その陽動として襲撃してきた新生ネオ・ジオンの部隊とロンド・ベル隊は交戦、ラー・カイラムは艦首を破損している。その後ロンデニオンにて修理、補給、及びアクシズに関する情報の入手と極秘での核弾頭の受け取りを行いアクシズ追撃作戦を開始。アクシズを艦首ミサイルに搭載した核弾頭で破壊しようとするも新生ネオ・ジオンのMS隊に阻まれる。ブライト以下数名がアクシズを爆破すべく内部に侵入している間は副長メランが本艦に残って戦闘指揮を執り、ブライトの帰艦まで艦を守り切った。爆破後もなお落下軌道にあるアクシズの破片に対し、ブライトは本艦を接触させて押し返そうとするもクルーに制止され、最終的にサイコフレームの共鳴による破片の落下軌道離脱を見守ることとなった。
機動戦士ガンダムUC
宇宙世紀0096年を舞台とする本作でも引き続きロンド・ベル隊旗艦であり、『逆襲のシャア』と同じく本艦艦長と同隊司令を兼任するブライトが指揮する。OVA版では、ジオン軍残党の襲撃を受け連邦政府首都ダカールへ急行するシーンで初めて登場。トライスタージェスタ隊、そして後に合流するリディ・マーセナスが駆るデルタプラスらの母艦として、「ラプラス事変」に参戦している。ジオン軍残党がオーストラリア・トリントン基地を襲撃した際にも防衛のためにMS隊を派遣しており、戦闘終了後には同じく戦闘に参加していたユニコーンバンシィの両機を一時的に収容している。その後、ガランシェールを追跡して一度は宇宙へ上がるものの、同貨物船は囮として放棄された後であり、これによって「ラプラスの箱」の所在情報を失ってしまう。しかし、地球連邦政府上層部が独断でコロニーレーザーによる「箱」の隠滅を図っていることを知ると、そのコントロールセンター「カフカスの森」を強襲するため、再度地球へ降下している。これら劇中の活躍より、大気圏飛行能力および大気圏突入能力を持つことが明示された。
小説版ではミノフスキー・クラフト・エンジン搭載実験艦として登場し、同エンジンおよび新型MSの重力下試験のために地球へ降下している[4]が、トリントン基地へ寄航した際にはジオン公国残党のMSに奇襲され、上部砲塔3基と右舷機関部に甚大な被害を受けた[注釈 8]
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
宇宙世紀0105年を舞台とする本作の小説版では、ロンド・ベル隊を再編した第13独立艦隊に編入されている。反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」掃討作戦を行うキルケー部隊を支援するため、ビーム・バリアーを展開して大気圏内へ降下する。ミノフスキー・クラフトを使用し、重力下でも運用されている。

艦載機

宇宙世紀0093年時
宇宙世紀0096年時

乗組員

劇中で名が明かされている人物に限る。

宇宙世紀0093年時
艦長
副長
パイロット
メカニック
宇宙世紀0096年時
艦長
  • ブライト・ノア大佐
副長
  • メラン
パイロット
メカニック
その他
宇宙世紀0105年時
艦長
  • ブライト・ノア大佐
副長
  • シーゲン・ハムサット

同型艦

一部コミックスでは、2連装ハイパー・メガ粒子砲を搭載している艦もある。

アドミラル・ティアンム

漫画『機動戦士ガンダムF90』に登場したラー・カイラム級戦艦。艦長はノヴォトニーチェンバロ作戦最高司令官ティアンムの功績を讃えるべく、名が付けられた。コミック版では、カタパルト部分がラー・カイラムと異なっている。登場当初は第13独立機動艦隊を基とする第13実験戦隊の旗艦としてガンダムF90のテストを行っていたが、火星独立ジオン軍(オールズモビル)によってF902号機が強奪された後は再び第13独立機動艦隊の旗艦となり、オールズモビル掃討作戦のため、火星に派遣される。最終的には、ノヴォトニーによって味方もろとも核攻撃を行おうとしたところを、オリンポス・キャノンの直撃によって撃沈された。

エイブラム

ゲーム『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』に登場したラー・カイラム級戦艦。MSデッキのドア周りの色が青いのが特徴。第13反地球連邦組織討伐部隊の旗艦として、F90の移送及びオールズモビル討伐の任務に当たる。艦長はワイブル・ガードナー。

一部ではクラップ(クラップ改)級に分類している資料も存在する[要出典]

エイジャックス

漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場したラー・カイラム級戦艦。ネオガンダムを搭載し、そのテストも兼ねたネオ・ジオン残党討伐の名を借りた難民虐殺を行なっていた。それを知ったトキオ・ランドールたちの実験船ブレイウッドに向けて砲撃しようとしたところ、ネオガンダム2号機にコロニー内から狙撃され、艦橋を破壊されたと同時に爆散する。艦長のバズ・ガレムソンが出撃してからは、副官のドーフマンが指揮を執った。

漫画『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ』では、U.C.0116に連邦軍第2特別実験戦団「ファステストフォーミュラ (FF)」の旗艦として就航した事が判明している。

ラー・グスタ

アニメ映画機動戦士ガンダムF91』に登場したラー・カイラム級戦艦。フロンティアサイド駐留軍所属の艦艇で、クロスボーン・バンガードにフロンティア・サイドが占領された際には、ダミー隕石に艦体を隠してフロンティアIVに接近し、クロスボーンの中心人物がいる迎賓館近くをコロニーの外から直接メガ粒子砲で攻撃したため、迎賓館周辺に集まっていた避難民に多数の死傷者を出した。その後の行方は不明である。

なお、フロンティアサイド駐留軍にはこの他にも1隻(艦名不明)が所属しており、クロスボーン艦隊との艦隊戦に参加している。またこれとは別に1隻(艦名不明)が月からの増援艦隊の一艦として出撃したが、こちらはラフレシアの攻撃を受け、撃沈された。

なお、小説版ではクラップ級巡洋艦が代わりにこの役割を担っており、一部ではクラップ級に分類している資料も存在する[要出典]

ジャンヌ・ダルク

アニメ機動戦士Vガンダム』に登場したラー・カイラム級戦艦。基礎設計より50年以上が経過しており、戦艦としては旧式化しているが、同時代の戦艦に標準搭載のビームシールドを搭載するなど、新世代化改装を施されている。オレンジ色に塗装されているカタパルトデッキ周りが特徴。ムバラク・スターン提督の乗艦で、当時の連邦軍主力宇宙艦隊の総旗艦だった。

艦隊共々リガ・ミリティアに協力する。クライマックスではザンスカール艦隊に特攻を仕掛け、クロノクル・アシャーリグ・コンティオに通常ブリッジを破壊されたが、そのままズガン艦隊旗艦ダルマシアンに突貫し、ズガン艦隊を道連れに爆沈する。

なお、テレビシリーズへの登場にあたり、劇場版での設定画より描線を簡略化した画稿が新たに用意された。

脚注

注釈

  1. ^ 宇宙世紀0093年時点。カットによっては後部着艦専用甲板の裏面にもこの砲らしきものが描かれていることがある。
  2. ^ 宇宙世紀0096年時点。小説『機動戦士ガンダムUC』第6巻の挿絵では、前部のメガ粒子砲が2基しか描かれていない。ミノフスキー・クラフト搭載時の改修で撤去されたのかは不明。OVA『機動戦士ガンダムUC』では改修後のネェル・アーガマと同じ新型のものに換装されており、着艦専用甲板裏面にも1基増設されていることが、EP7終盤のミネバの演説中にシャイアン基地上空に滞空しているシーンなどで確認できる。
  3. ^ 艦下方、両舷エンジンブロックに挟まれるように後方を向いて設置されている。
  4. ^ OVA『機動戦士ガンダムUC』では改修後のネェル・アーガマと同型のものに換装されている。
  5. ^ 搭載数は『逆襲のシャア』時点では12機、『UC』時点では16機であるとされる。
  6. ^ 戦闘ブリッジは通常ブリッジの下部に存在する。
  7. ^ それぞれ前方主砲3基の周辺、左右カタパルトの裏面の一部及び後方上部主砲両脇の機銃周辺が赤色から白色、カタパルトデッキ先端の傾斜部が黄色から白色、艦橋左右のアンテナが黄色から灰色、2枚の放熱板、格納庫・カタパルトデッキ間の機密扉及び艦体下部のシャッター状の構造が白色から灰色に変更されている。
  8. ^ 小説『機動戦士ガンダムUC』第7巻で、ザクI・スナイパータイプガルスKなどから攻撃を受けている[要ページ番号]
  9. ^ OVA版『機動戦士ガンダムUC』のepisode4にジェスタと並んで艦載されている。ただし、0093時の機体とは若干カラーリングが異なる。

出典

  1. ^ a b 『週刊 ガンダムファクトファイル』艦艇:ラー・カイラム/クラップの項目。
  2. ^ 講談社Official Magazine 機動戦士Ζガンダムヒストリカ第7巻(2005年10月7日)他。 
  3. ^ ラー・カイラム”. 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』公式サイト. 創通サンライズ. 2021年9月18日閲覧。
  4. ^ 小説『機動戦士ガンダムUC』第6巻[要ページ番号]

関連項目