ピーター・パン (アニメ映画)

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ピーター・パン
Peter Pan
監督 ウィルフレッド・ジャクソン
ハミルトン・ラスク
クライド・ジェロニミ
脚本 テッド・シアーズ
アードマン・ペナー
ビル・ピート
ウィンストン・ヒブラー
ジョー・リナルディ
ミルト・バンタ
ラルフ・ライト
ウィリアム・コトレル
製作 ウォルト・ディズニー
ロイ・O・ディズニー
出演者 下記参照
音楽 オリバー・ウォレス
撮影 ボブ・ブロートン
編集 ドナルド・ハリデイ
配給 RKO Radio Pictures
公開 アメリカ合衆国の旗 1953年2月5日
日本の旗 1955年3月22日
上映時間 77分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
次作 ピーター・パン2 ネバーランドの秘密
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ピーター・パン』(Peter Pan)は、1953年2月5日アメリカ合衆国で公開されたディズニーの長編アニメーション作品である。

概要[編集]

ジェームス・マシュー・バリーの戯曲『大人になりたくないピーターパン』が原作。原作ではピーター・パンに子供じみた、フック船長に紳士的な描写があったが、それに対し本作ではパンの性格が勇気ある一本気な青年に変更され欠点がほとんどなく(ただし、女の子にもてる事を少々鼻にかけている)、逆にフックは紳士的な一面が取り払われて阿呆で間抜けな男に貶められて描かれ、原作者バリーの込めた含みや皮肉といった隠し味が削除されている(原作ではピーターは丸腰のフックを殺した)。また、フック船長がワニに食べられるシーンも無い[1]

真っ赤な肌をした粗暴なインディアンの描写[2] や、女の子であるウェンディをのけ者にするマイケルやジョン、女=母しか認めない女性観など、人種差別性差別の論点から批判も多い。

フックの鉤爪は原作では右手であるが、本作では左手とされ、以後このディズニー版に倣って左手が鉤とした舞台や映画が増えることになった。

ストーリー[編集]

ある夜、ウェンディ達(ダーリング家の3姉弟)の家にピーターパンが現れた。彼は、自分の影を探しにこの家にやってきたようだ。一方、長姉であるウェンディは年齢を理由に、翌日からの一人部屋暮らしを父親から言い渡されていた。それまでも彼女の自分に関する話を聞きにこっそりやってきていたピーターは、ウェンディをネバーランドに連れていき、迷子(ロストボーイ、ピーターの子分たち)のママになってもらうと言い出す。ウェンディは弟たちを置いては行けないからと、弟であるジョンとマイケルも一緒に連れて行ってほしいと願い出る。ティンカーベル(ティンク)の粉を浴びて空を飛べるようになった3人は、ピーターとともに右から2番目の星にあるネバーランドを目指して出発した。

その頃ネバーランドでは、かつてピーターに左手を切り落とされたフック船長が、復讐のためにピーターの隠れ家を探していた。ピーターと親しいインディアンの酋長の娘タイガーリリーであれば隠れ家を知っているだろうと踏んだフック船長は、タイガーリリーを誘拐し、隠れ家の場所を聞き出すことを計画する。そこにピーターがウェンディたちを連れて現れた。海賊の砲撃を受け、ピーターはティンクにウェンディらを隠れ家に避難させるよう指示する。ウェンディのピーターへの気持ちに気が付き、ウェンディに嫉妬していたティンクは、ウェンディよりも一足早く隠れ家に赴き、そこで寝ていたロストボーイたちに、ピーターからの命令と偽ってウェンディを撃ち落とさせ、殺害しようとする。命令に背いたティンクに激怒したピーターは、ティンクに永久追放を宣告した(その後ウェンディの頼みで1週間に短縮している)。

その後、ジョンとマイケルはロストボーイたちとともにインディアン狩り(正確には捕まえごっこ。相手を捕まえたら逃がすゲーム)に出かけ、ウェンディはピーターと共に人魚に会いに行くが、そこでタイガーリリーを誘拐したフック船長らを見かける。ピーターはフック船長の声真似でタイガーリリーを救出しようとするもフック船長に見つかってしまい、激しい戦闘になる。が、そこにフック船長の切り落とされた左手を食べたワニが現れ、フック船長を食べようとする。フック船長は部下であるミスター・スミーと共に、ワニに追い回されながら逃げていった。

誘拐されたタイガーリリーを救出したピーターはインディアンの酋長から酋長の一人に任命され、フライング・イーグルと名乗ることを許される。ピーターやジョン、マイケル、そしてロストボーイたちは踊り回って宴会を楽しむが、女性であることを理由に薪運びを命じられたウェンディは、怒りや落胆とともに一足先に隠れ家に帰り、ネバーランドから家に帰る決心をする。帰りたくないと訴える弟たちにウェンディは母親の存在の必要性を語り、家に帰るよう説得した。一緒にウェンディの話を聞いていたロストボーイたちもウェンディたちと共にネバーランドを去ることを決め、皆は隠れ家を出た。

一方、ティンクがピーターから追放されたという噂を聞いたフック船長は、今度はティンクの嫉妬心を利用し、ピーターの隠れ家を聞き出すことを計画する。果たして計画は成功し、フック船長はティンクから隠れ家の場所を聞き出すことができた。フック船長はティンクをランプケースに閉じ込め、ウェンディら姉弟やロストボーイを全員捕縛し、ピーターにはウェンディからの贈り物と偽って時限爆弾を贈る。

海賊船に連れてこられたウェンディたちは、フック船長から海賊の子分にならないかと持ちかけられ、子分にならなければ甲板に渡した板から海に飛び込んでもらう(海賊のリンチ)と脅迫される。ジョンたちは脅迫を恐れて子分になろうとするが、ウェンディはピーターの救助を信じていた。が、フック船長の口からピーター殺害の計画を聞かされ、自分たちが罠に嵌められたことに気がつく。そしてその直後、ピーターのもとに届いた時限爆弾が爆発した。

ピーターは爆発寸前にランプケースから脱出したティンクに助けられ、あわやというところで一命を取り留めた。ティンクはウェンディたちが危ないので救出に行ってほしいと訴えるが、ピーターは自分にとって一番大切なのはティンクなので、ティンクを助けるのが先だと主張する。その後共に隠れ家を脱出したピーターらは、最初に板から飛び降りたウェンディを救出。次いで捕縛されたジョンやマイケル、ロストボーイたちを全員解放する。ジョンたちはマストの上の見張り台に立てこもり、襲い来る海賊たちと接戦を繰り広げる。かくてピーターとフック船長の最終決戦が始まった。

登場人物[編集]

ピーター・パン
ピーター・パン#ディズニー版を参照。
ウェンディ・モイラ・アンジェラ・ダーリング(ウェンディ)
ウェンディ・モイラー・アンジェラ・ダーリング#ディズニー版を参照。
ジョン・ダーリング
ダーリング一家の3姉弟の2番目。年齢は10歳前後。
太縁の丸メガネとシルクハット、コウモリ傘を持った少年。弟のマイケルと共に毎晩ピーター・パンごっこをして遊んでいる。作中ではロストボーイたちのリーダー格としてふるまう。
頭脳派で、何事にもまず計画を立てて挑もうとする性格。だがそのために周りが見えなくなることもあり、インディアン狩りの際にはそれが原因で逆に包囲され、捕まってしまう。
マイケル・ダーリング
ダーリング一家の3姉弟の末っ子。年齢は5~6歳。
クマのぬいぐるみを持った短髪の少年。兄のジョンと共に毎晩ピーター・パンごっこをして遊んでいる。
ティンカーベル
ティンカー・ベル#ディズニー版を参照。
フック船長
フック船長#ディズニー版を参照。
ミスター・スミー
フック船長の部下で、海賊船の水夫長。青い横じまのTシャツと赤い短パン、鼻眼鏡をかけた小太りの男性。泣き上戸。
間抜けで臆病なところはあるが、フック船長の良きパートナー。劇中では何度かフック船長の手助けをしようとするが、ドジを踏んでしまい結果的にフック船長にとってマイナスの結果となってしまう事が多い。
胸に「MOTHER」と書かれたハートの刺青があり、作中ではウェンディの歌を聞いて泣き出し、フック船長に窘められている。
ワニ
ネバーランドの海に棲む大きなワニ。ピーターが切り落としたフック船長の左手を食べ、味を覚えてからはフック船長本人を食べようと追い回している。
フック船長本人の代わりに目覚まし時計を飲み込んだことがあり、ワニが近づくとこの目覚まし時計の音でわかる。
迷子(ロストボーイ)
ピーター・パンの部下の少年たち。全て動物の形の衣装を着ている。
2で名前が明かされており、それぞれキツネがスライトリー、クマがカビー、アライグマがツインズ、ウサギがニブス、スカンクがトゥートルズ。
最後はウェンディたちとともに現実の世界に帰ろうとするが、次の機会にすると言ってまたネバーランドに帰った。
酋長
ネバーランドのインディアンの酋長。噓が大嫌い。
ロストボーイたちにタイガーリリー誘拐の嫌疑をかけ、捕縛したが、ピーターがタイガーリリーを救出したことで疑いは晴れた模様。
タイガーリリーを救出したお礼の宴会でピーターを酋長の一人に任命した。作中では宴会で足を激しく動かすダンスをしている。
  • ディズニーランドのピーターパン空の旅では羽の色が緑と赤に統一されている(日本版では白と黒に統一されている)。
  • 様々な部族の文化がごちゃまぜになって描写されているため、批判の対象になっている。
タイガーリリー
前述のインディアンの酋長の娘。ピーターと親しい。
ピーターの隠れ家を聞き出すためにフック船長に誘拐されるが、頑として口を割らなかった。
なお、フック船長は彼女のことを「インディアンのお姫様」と呼んでいるが、現実のネイティブ・アメリカンにおける酋長は首長というよりも調停者と言った方が正しいため、姫という呼び方は誤りである。
インディアン
ネバーランドの一角に住んでいる。ジョンの言うところによるとブラックフット族。樹になりきってマイケル達に近づいた。かなりの荒くれで粗野な部族という設定がなされている。
ロストボーイたちのことを「白人の子供」と呼んでおり、彼らとは何度も戦いを繰り広げてきた。もっとも戦いといっても「戦争」というよりは「戦争ごっこ」とでも言った方が正しく、相手を捕まえては逃がすという一種のゲームのようなもののようである。酋長によると「勝つこともあるし、負けることもある」とのこと。
タイガーリリーを救出したお礼の宴会で据え置き型の太鼓を叩きながら歌を唄った。
彼らによると挨拶の言葉である「ハウ」は何も知らなかったインディアンが質問するときに使った言葉で、気に入らないために使う言葉「アグ」は妻の母(義母)を見たインディアンが驚いたときの言葉、また宴会の歌詞である「ハムナムナンダ」の「ハム」「ナム」「ナンダ」は全て「何?」という意味らしい。
彼らが赤い肌をしているのは、100万年前のインディアンがメイドにキスして赤くなったからとのこと。
人魚
ネバーランドの一角に住んでいる。全て女性。ピーターと親しいが、最近はなかなか会えないでいるらしい。
ピーターがフック船長の左手を切り落とし、ワニに与えた話がお気に入りで何回も聞いている。
ウェンディと遊ぶと称して水の中に引きずりこもうとしたり、水を浴びせかけたりしてウェンディの怒りを買った。
フック船長のことを恐れているらしく、フック船長が近くに来たと知るとあわてて水の中に飛び込んで隠れる。
ナナ
ウェンディたちの子守りの犬。
ウェンディの話を聞きに来ていたピーターの影を奪ったことがある(その影はウェンディが取り上げ、ピーターが取り戻しに来たときのためにしまっておいたとのこと)。
激怒したダーリング氏に外につながれるが、終盤で再び屋内に戻されている。
ジョージ・ダーリング
ウェンディたちの父親。ピーター・パンの物語を子供のおとぎ話だと思っている。
激高すると心にもないことを言ってしまうが、本心では子供たちのことを心から愛している。
作中ではパーティーに遅れそうになってアタフタしていたところに、付けていくカフスボタンをジョンたちに「宝物」として勝手に使われた上、胸当てを「宝の地図」代わりにマーカー(ブエナ・ビスタ版ではチョーク)で落書きされたことで激怒し、ウェンディに一人部屋暮らしを宣告してしまう。だが帰宅後は冷静に前期のことを反省していた。終盤、夜空に浮かぶ海賊船の形をした雲を見て過去に自身もネバーランドへ行っていたことがあることをうかがわせていた。
メアリー・ダーリング
ウェンディたちの母親。ピーター・パンの物語は子供の空想だと思っている。

声の出演[編集]

役名 原語版声優 日本語吹き替え
TBS版 再上映/BVHE版 ポニー/バンダイ版
ピーター・パン ボビー・ドリスコール 榊原郁恵 岩田光央 後藤真寿美
ウェンディ・ダーリング キャサリン・ボーモント 岡本茉莉 渕崎ゆり子 土井美加
ジョン・ダーリング ポール・コリンズ 池田真
マイケル・ダーリング トミー・ラスク 鈴木一輝 下川久美子
ジョージ・ダーリング ハンス・コンリード 阪脩 内田稔
フック船長 大塚周夫 江原正士
ナレーション トム・コンウェイ 大木民夫 池水通洋
ミスター・スミー ビル・トンプソン 八奈見乗児 熊倉一雄 牛山茂
ブラック・マーフィ 石森達幸 沢りつお 逢坂秀実
ターク 山下啓介
ビル・ジュークス 槐柳二 関時男
スターキー 塩屋浩三 峰恵研
スカイライツ 林一夫
マリンズ 堀内賢雄 梶哲也
メアリー・ダーリング ヘザー・エンジェル 太田淑子 鈴木弘子
酋長 キャンディ・キャンディード 辻親八 石田太郎 西本裕行
タイガー・リリー コリンヌ・オル 勝田治美
カビー ロバート・エリス 筒井修平
スライトリー スタフィー・シンガー 石橋剣道
ツインズ ジョニー・マクガヴァン 高柳潤
佐藤隆浩
ニブス ジェフリー・シルヴァー 杉元直樹
スコー ジューン・フォーレイ
人魚A 勝生真沙子
人魚B コニー・ヒルトン 重田千穂子
人魚C マーガレット・ケリー   野口絵美
人魚D カレン・ケスター 渡辺真砂子
インディアン エディ・コリンズ 松永大
金丸祐一

スタッフ[編集]

日本語版音声制作[編集]

主題歌・挿入歌[編集]

使用箇所 曲名 作詞 作曲 翻訳詞 歌手
オープニングテーマ 右から2番目の星
The Second Star to the Right
サミー・カーン サミー・フェイン 海野洋司 ザ・ジャド・コンロン・コーラス
挿入歌 きみも飛べるよ!
You Can Fly!
ザ・ジャド・コンロン・コーラス
ボビー・ドリスコール
キャサリン・ボーモント
ポール・コリンズ
トミー・ラスク
海賊ぐらし
A Pirate's Life
アードマン・ペナー オリヴァー・ウォーレス ザ・ジャド・コンロン・コーラス
リーダーにつづけ
Following the Leader
テッド・シアーズ
ウィンストン・ヒブラー
ポール・コリンズ
トミー・ラスク
ロバート・エリス
スタフィー・シンガー
ジョニー・マクガヴァン
ジェフリー・シルヴァー
なんでインディアンの顔は赤い
What Made the Red Man Red?
サミー・カーン サミー・フェイン ザ・ジャド・コンロン・コーラス
キャンディ・キャンディード
あなたと私のママ
Your Mother and Mine
キャサリン・ボーモント
フック船長はエレガント
The Elegant Captain Hook
ザ・ジャド・コンロン・コーラス
ビル・トンプソン
ワニをひやかすな
Never Smile at a Crocodile
ジャック・ローレンス フランク・チャーチル

備考[編集]

  • 日本では、公開当時1955年3月22日から約6ヵ月経った同年9月23日に『ファンタジア』が公開されている。

脚注[編集]

  1. ^ 正確には食べられるが、ワニに丸呑みにされた後自力で腹から脱出し、ボートで部下と共に逃げている。
  2. ^ インディアンの服装などだけでなく、平原インディアンのティーピーとカナダ・インディアンのトーテムポール、南西部インディアンの据え置き型の太鼓を混在させて描くなど、風俗もデタラメなものであり、アメリカの人権組織「児童教育のための全米協会(NAEYC)を始め、この映画をインディアンのステレオタイプを助長する映画として批判する団体・識者は多い。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]