レバー (食材)

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レバー&オニオン
レバー (Beef, variety meats and by-products, liver, raw)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 564 kJ (135 kcal)
3.89 g
糖分 0 g
食物繊維 0 g
3.63 g
飽和脂肪酸 1.233 g
トランス脂肪酸 0.17 g
一価不飽和脂肪酸 0.479 g
多価不飽和脂肪酸 0.465 g
0.007 g
0.318 g
20.36 g
トリプトファン 0.263 g
トレオニン 0.869 g
イソロイシン 0.967 g
ロイシン 1.91 g
リシン 1.607 g
メチオニン 0.543 g
シスチン 0.376 g
フェニルアラニン 1.084 g
チロシン 0.807 g
バリン 1.26 g
アルギニン 1.241 g
ヒスチジン 0.629 g
アラニン 1.164 g
アスパラギン酸 1.927 g
グルタミン酸 2.612 g
グリシン 1.164 g
プロリン 0.961 g
セリン 0.905 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(621%)
4968 μg
(2%)
232 μg
0 μg
チアミン (B1)
(16%)
0.189 mg
リボフラビン (B2)
(230%)
2.755 mg
ナイアシン (B3)
(88%)
13.175 mg
(143%)
7.173 mg
ビタミンB6
(83%)
1.083 mg
葉酸 (B9)
(73%)
290 μg
ビタミンB12
(2471%)
59.3 μg
コリン
(68%)
333.3 mg
ビタミンC
(2%)
1.3 mg
ビタミンD
(8%)
49 IU
ビタミンE
(3%)
0.38 mg
ビタミンK
(3%)
3.1 μg
ミネラル
カルシウム
(1%)
5 mg
鉄分
(38%)
4.9 mg
マグネシウム
(5%)
18 mg
マンガン
(15%)
0.31 mg
セレン
(57%)
39.7 μg
リン
(55%)
387 mg
カリウム
(7%)
313 mg
ナトリウム
塩分の可能性あり)
(5%)
69 mg
亜鉛
(42%)
4 mg
他の成分
水分 70.81 g
コレステロール 275 mg

成分名「塩分」を「ナトリウム」に修正したことに伴い、各記事のナトリウム量を確認中ですが、当記事のナトリウム量は未確認です。(詳細

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

レバードイツ語: Leber英語: liver)とは、肝臓のことである。(きも)と呼ばれることもある。日本でレバーというと、食用の、家畜や家禽の肝臓を指すことが多い。

概要[編集]

各動物のレバー[編集]

日本で主に食用にされているレバーには、のものがある。

ほかに、地方によっては山羊などのものが食用にされる例がある。

世界の三大珍味として有名なフォアグラも、ガチョウに特殊な餌を与えて脂肪肝にさせた肝臓で、レバーの一種である。

アンコウカワハギマダラなど、魚類の肝臓も日本でよく食用にされているが、多くは(きも)と呼ばれ、レバーと呼ばれることは少ない。鶏のレバーは焼き鳥店では肝と呼ばれることも多く、他に(あか)と呼ぶ例もある。

アワビの肝、イカの肝(別名ゴロ)など、軟体動物の内臓で食用にするものもあるがこれは生理機能が少し異なり、正しくは中腸腺というものである。

白レバー[編集]

フォアグラと同じようなものに、白レバーというものもある。これはの脂肪肝で、レバー臭さが少ないが生産量が少なく、飲食店では限定メニューなどになっている場合が多い。

一般に白レバーは栄養を蓄えた雌鳥のものである。卵を産まない雄は栄養を蓄える必要がないので、無理に餌を食べさせでもしない限り白レバーとなりにくく、また雄は若鶏のうちに精肉とされるため白レバーは必然的にメスに多くなる。

そして、雌鳥は卵用となり肉用に回るケースが少ないため、必然的に白レバーは出回りにくくなる。

栄養価と調理[編集]

栄養価[編集]

レバーはビタミンAビタミンB群鉄分葉酸等を多く含む。なかでも、葉酸、鉄分は造血を助ける働きがあり、貧血防止や妊婦など、多量の鉄分摂取が必要な人には理想的な食べ物であるといわれている(妊婦のビタミンAの過剰摂取は催奇形性がある為、摂取は慎重に行う必要がある)。また、レバーには、ビタミンB6の一種であるピリドキサミンが、他の部位や他の食品に比べて多く含まれている[1][2]。牛や豚のレバーは消化酵素を加えて加水分解され、肝臓水解物として二日酔いや慢性肝疾患治療の医薬品原料となる。

臭み取り[編集]

栄養価は高いが、の味がするなど、癖が強く、また、火を通しすぎるとボソボソした食感となるので、好き嫌いがはっきりしやすい。加熱調理の場合には、水に晒すなど、血抜きをしなければならない。この下処理をしなければ、血の味が強く残ってしまい、美味しく仕上がらない。レバーの臭みは、肝臓に含まれるアラキドン酸が、血液の鉄分と反応して起きる[3]ためである。血抜き以外では、牛乳などに浸して、マスキングで臭みを消す方法もある。またを使って臭みを取るという方法もある。揚げて、スパイスを利かせると、臭みもあまり気にならない。

日本での調理法[編集]

主な調理法は、焼肉の焼きレバー、焼き鳥の串レバーなどが挙げられる。牛レバーの料理の定番としては、ニラと合わせて炒める中華風レバニラ炒めがある。茨城県スタミナラーメンなど、中華風の麺料理に使われることもある。鶏のレバーはショウガで臭みを消して、甘辛い煮物にされることが多い。また、レバーを生のまま刺身状にスライスし、胡麻油などにつけて食べるレバ刺しがある(ただし、後述の通り2012年7月から飲食店での提供は禁止となった)。

日本の郷土料理では、沖縄料理に豚のレバーやニンジンを使った「チムシンジ(肝煎じ)」という汁物があり、奄美料理では茹でた豚レバーの粒味噌漬けがある[4]。また、山梨県のレバーを含む鶏の内臓を煮た甲府鳥もつ煮も有名となった。

日本で考案されたものに、鶏レバーをマヨネーズ漬けにすることで、フォアグラの味に似せるという料理法がある[5][6]

各国での調理法[編集]

中華料理では、レバニラ炒めなど、野菜との炒め物が一般的である。またスープの具のひとつにされることも多い。また、茹でてスライスし、豆豉(トウチ)などのたれをかけて食べる前菜もある。福建省莆田市には福建料理には「撈興化粉」という豚のレバー、血、腸などを入れたライスヌードル料理があり、広東料理でも類似の麺料理がある。北京ダック専門店では、コース料理でアヒルのレバーを素揚げして、塩・胡椒などで味付けした料理が定番で出される。

フィリピンの西ビサヤ地方には、豚のレバーと腸の小口切り、揚げニンニクチップ、長ネギなどを載せた甘い汁の麺料理「バッチョイ」がある。

インドネシア料理にはサンバル・ゴレン・アティ(sambal goreng hati)というサンバル風味の鶏レバー炒めがある。

トルコ料理では、アルナヴート・ジーエリ(arnavut ciğeri)という、牛のレバーを切って小麦粉唐辛子をまぶして揚げた、アルバニアから揚げ料理が一般的。

フランスデンマークなど、欧米では、レバーペーストにし、パンに塗って食べることも一般的で、瓶詰め缶詰の製品も多く市販されている。また、ハムやソーセージなどのように、レバーペーストをケーシングに詰めて調理したものもある。

食中毒と寄生虫[編集]

食中毒と寄生虫[編集]

他の部位と同様にと殺・精肉加工される以前に動物が感染していた病原体および、と殺以降の流通過程で付着した病原体がレバー中にも存在するものがあり、非加熱のレバーを食用にする事により感染症を発症する恐れがある。鶏、牛、豚の生レバーの一部は中にカンピロバクターなどの食中毒の原因となる病原体を含んでいる[7]。特に、豚の生レバーにおいては豚自体が保有しているE型肝炎ウイルスなどの病原体により豚肉の生食と同等の危険性がある[8]。危険性については豚肉#生食の危険を参照。またそれ以外に無鉤条虫などの寄生虫に侵されているものもあり、特に個人が家庭で調理する際には十分注意する必要がある。

日本での規制[編集]

日本の厚生省1996年O157の感染多発を受けてレバーなどの食肉の生食を避けるよう通達し、1998年に生食用のレバー及び食肉の加工基準を策定した[9]。日本各地の自治体保健所は、レバ刺しには生食用基準に沿って加工されたレバーを用いるよう指導した[10]

2012年3月30日、厚生労働省は飲食店や販売業者が「牛」のレバーを生食用で提供することを禁止する方針を打ち出し[11]内閣府食品安全委員会においても「提供禁止は妥当」とする見解が出たことを受け、同年7月1日から食品衛生法に基づき提供禁止とすることとなった。違反すれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金の刑事罰が科される[12]。また、厚労省は「豚」のレバーについても加熱して食べるよう注意を喚起した[13]

生レバーの提供禁止に反対する消費者も多かった[14]こともあり、一部の飲食店では「焼きレバー」用として生レバーの提供が行われていたが[15][16]、2013年8月に生レバーの提供が原因とみられる食中毒事件が発生[17]。同年10月15日、牛の生レバーを提供したとして食品衛生法違反の疑いで京都府の焼き肉店の経営者らが逮捕され[18]、同月26日に京都簡易裁判所は社長に罰金100万円、店長に罰金50万円の略式命令を出した[19]。また、2015年5月には、牛の生レバーを提供したとして、兵庫県警察居酒屋チェーンの経営者を逮捕したが、焼肉店以外の摘発は初のことになった[20]

2015年6月中旬より、についても、生レバーを含む生肉の提供が禁止されることになった[21]

脚注[編集]

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  1. ^ 抗糖尿病合併症食品の検索、機能性とその機構の解明 八木年晴, 戸田勝巳 2009年
  2. ^ All-enzymatic HPLC method for determination of individual and total contents of vitamin B6 in foods Huong Thi Viet Do, Youhei Ide, Andrew Njagi Mugo, Toshiharu Yagi 2012
  3. ^ ためしてガッテン:過去の放送:夏バテ解消! レバー料理の鉄則 NHK 2000年7月5日
  4. ^ 藤井つゆ、『シマヌジュウリ 奄美の食べものと料理法』、p60、1980年、鹿児島、南方新社。
  5. ^ まるで本物!?なんちゃってフォアグラ All About 2006年08月31日
  6. ^ おもいッきりDON! 昼得ファイル "サイエンス・レシピ"で"おいしい"を科学する 日本テレビ 2009年11月23日
  7. ^ 市販食肉等からのカンピロバクター検出と低温保存での菌消長 (PDF) - 宮城県保健環境センター
  8. ^ 食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について 厚生労働省
  9. ^ 生食用食肉の衛生基準
  10. ^ 例:島根県:生食用食肉の規格基準(2011年10月1日)
  11. ^ 牛の生レバー提供、6月にも禁止 加熱を義務化 厚労省 - 朝日新聞、2012年3月30日。
  12. ^ レバ刺し禁止を正式決定、厚労省 7月以降、焼き肉店など - 47NEWS、2012年6月12日。
  13. ^ 豚レバーの生食は、やめましょう 厚生労働省
  14. ^ Yahoo!意識調査
  15. ^ 7月1日からの牛レバ刺し禁止で焼き肉店が考えた「抜け道」 - ニコニコニュース・2012年7月1日
  16. ^ 生食用の牛レバーの提供が禁止になってから1年……牛レバ刺しは今 ガジェット通信 2013年7月1日
  17. ^ 生レバー:提供容疑で焼き肉店経営者ら逮捕 京都府警 毎日新聞 2013年10月15日
  18. ^ 京都で生レバー提供、初の逮捕者 共同通信 2013年10月15日
  19. ^ 生レバー提供:経営者らを略式起訴→罰金を即日納付 毎日新聞 2013年10月25日
  20. ^ 牛生レバー提供:兵庫県警、容疑の居酒屋経営者逮捕 毎日新聞 2015年5月28日
  21. ^ 豚肉:生食を禁止 6月中旬から 加熱を義務付け 毎日新聞 2015年5月27日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]