ダイオライト記念

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ダイオライト記念
ダイオライト(1927-1951)
開催国 日本の旗 日本
主催者 千葉県競馬組合
競馬場 船橋競馬場
第1回施行日 1956年3月15日
2024年の情報
距離 ダート2400m
格付け JpnII / 国際LR
賞金 1着賞金4500万円
出走条件 サラブレッド系4歳以上(指定交流)
出走資格も参照
負担重量 別定(負担重量を参照)
出典 [1]
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ダイオライト記念(ダイオライトきねん)は、千葉県競馬組合船橋競馬場で施行する地方競馬重賞競走ダートグレード競走)である。格付けはJpnII農林水産大臣より寄贈賞が提供されており、正式名称は「農林水産大臣賞典 ダイオライト記念(のうりんすいさんだいじんしょうてん ダイオライトきねん)」と表記される。

競走名の「ダイオライト」は1935年イギリスから輸入され、日本初のクラシック三冠馬セントライトなどを輩出した種牡馬で、千葉県成田市三里塚宮内庁下総御料牧場に繋養されたことに由来する。

副賞は農林水産大臣賞、日本中央競馬会理事長賞、日本馬主協会連合会長奨励賞、日本地方競馬馬主振興協会会長賞、地方競馬全国協会理事長賞、また船橋競馬生産牧場賞とNAR生産牧場賞がある(2023年)[2]

概要[編集]

ダイオライトの記念碑(三里塚記念公園)

春のダート長距離重賞競走として施行される。

かつて移転前の旧名古屋競馬場で行われていた名古屋グランプリが現在行われているダートグレード競走の中で最長距離(2,500m)だったが、2022年度より現行の名古屋競馬場(弥富市)への移転で名古屋グランプリも距離が短縮(2,100m)されたため本競走が最長距離となった。

1956年に南関東所属の3歳(4歳)・4歳(現5歳)牡馬による重賞競走として創設、第1回は船橋競馬場のダート1800mで施行された。

距離や競走条件は幾度かの変遷を経て、施行距離は1976年よりダート2400m、競走条件は1998年より5歳(現4歳)以上に変更され、現在に至る。 1996年から中央・地方全国指定交流競走となり、日本中央競馬会 (JRA) および他地区地方競馬所属馬も出走が可能になった。

1995年から南関東G1に格付けされた後、1998年からダートグレード競走(GII)に格付け。格付表記は日本がパートI国に昇格した2007年より、JpnIIに変更された。

2024年より古馬中距離路線のローテーション整備の一環で、グレード別定重量に変更することが発表されている[3]。本競走の1か月後に川崎記念が移設されることにより、川崎記念の前哨戦となる。

1995年まではハンデキャップ競走であり[4]、50kg以下の負担重量で優勝した馬もいた。

条件・賞金(2024年)[編集]

出走条件
サラブレッド系4歳以上、中央・地方選定馬
負担重量
別定。基本重量は4歳55kg(南半球産馬は1kg減)、5歳以上56kg、牝馬2kg減(南半球産4歳1kg減))で、2023年3月6日から2024年3月1日の間のGI/JpnI競走1着馬2kg増、GII/JpnII競走1着馬1kg増、2023年3月5日以前のGI/JpnI競走1着馬1kg増となる[1]
賞金
1着4500万円、2着1575万円、3着900万円、4着450万円、5着225万円[1]

過去の賞金額[編集]

中央競馬地方競馬全国指定交流競走に指定された1996年以降。

回数 総額賞金
(万円)
1着賞金
(万円)
2着賞金
(万円)
3着賞金
(万円)
4着賞金
(万円)
5着賞金
(万円)
第41回(1996年) 6,800 4,000 1,400 800 400 200
第42回(1997年)
第43回(1998年) 7,650 4,500 1,575 900 450 225
第44回(1999年)
第45回(2000年)
第46回(2001年)
第47回(2002年)
第48回(2003年)
第49回(2004年)
第50回(2005年)
第51回(2006年) 6,800 4,000 1,400 800 400 200
第52回(2007年)
第53回(2008年)
第54回(2009年)
第55回(2010年)
第56回(2011年)
第57回(2012年)
第58回(2013年) 5,440 3,200 1,120 640 320 160
第59回(2014年)
第60回(2015年)
第61回(2016年)
第62回(2017年)
第63回(2018年)
第64回(2019年)
第65回(2020年)
第66回(2021年)
第67回(2022年)
第68回(2023年) 6,800 4,000 1,400 800 400 200

歴史[編集]

  • 1956年 - 船橋競馬場の4歳(現3歳)・5歳(現4歳)牡馬限定・南関東地区の重賞競走、ダイオライト記念として創設。
  • 1957年 - 出走資格を4歳(現3歳)・5歳(現4歳)に変更。
  • 1961年
    • 出走資格を5歳(現4歳)以上に変更。
    • 施行距離をダート2000mに変更。
  • 1962年 - 出川己代造調教師として史上初の連覇。
  • 1965年 - 出走資格を4歳(現3歳)以上に変更。
  • 1976年 - 施行距離をダート2400mに変更。
  • 1979年
    • 農林水産大臣賞典となる[5]
    • エドノボルが史上初の連覇。
    • 川島正行騎手として史上初の3連覇。
    • 石川忠良が調教師として2人目の連覇。
  • 1982年
    • ホツカイサツケンが2頭目の連覇。
    • 太田進が調教師として3人目の連覇。
  • 1995年 - 南関東グレード施行によりG1に格付け。
  • 1996年
    • 中央・地方全国指定交流競走に指定。
    • 負担重量をハンデキャップから定量に変更。
  • 1998年
    • ダート競走格付け委員会にGII(統一GII)に格付け。
    • 出走資格を5歳(現4歳)以上に変更。
  • 1999年
  • 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件が「5歳以上」から「4歳以上」に変更。
  • 2007年 - 国際セリ名簿基準委員会 (ICSC) の勧告にともない、重賞格付け表記をJpnIIに変更。南関東グレードは併記しないことになった。
  • 2009年
    • フリオーソが4頭目の連覇。
    • 川島正行が調教師として5人目の連覇。
  • 2011年 - 東北地方太平洋沖地震の影響により当初の3月16日から5月2日に延期[6]。「震災復興支援競走」として実施。
  • 2016年
  • 2017年
    • この年からナイターで実施。
    • クリソライトが初の3連覇。
    • 音無秀孝が調教師として初の3連覇。
    • 武豊が騎手として2人目の3連覇。
  • 2020年 - COVID-19の流行により客を入れずに「無観客競馬」として開催。
  • 2021年 - 船橋競馬場の大規模改修工事のため客を入れずに「無観客競馬」として開催。
  • 2022年 - ノーヴァレンダが優勝し、地方競馬所属馬として2009年のフリオーソ以来13年振りの勝利。
  • 2024年 - 「全日本的なダート競走の体系整備」で負担重量が定量からグレード別定に変更[7]

歴代優勝馬[編集]

すべて船橋競馬場ダートコースで施行。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

回数 施行日 距離 優勝馬 性齢 所属 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1956年3月15日 1800m フリスコダウ 牡4 大井 1:54.2 須田茂 田中利衛 長沢広吉
第2回 1957年3月6日 1800m コスモライト 牡4 大井 1:55.1 長沢保作 小暮嘉久 北沢元男
第3回 1958年3月5日 1800m ヴアイオラ 牝4 船橋 1:54.4 須田茂 佐竹梅治 白井新平
第4回 1959年3月12日 1800m シヤチオー 牡4 大井 1:54.2 武智一夫 栗田金吾 大久保常吉
第5回 1960年3月3日 1800m オパールオー 牡4 大井 1:55.7 朝倉文四郎 三坂博 三坂成行
第6回 1961年5月4日 2000m ダイサンコトブキ 牡4 船橋 2:06.8 宮下哲朗 出川己代造 出川日出
第7回 1962年3月2日 2000m ダイニコトブキ 牡7 船橋 2:07.8 勝又衛 出川己代造 出川日出
第8回 1963年2月5日 2000m ソウルユートピア 牡6 大井 2:08.1 宮下紀英 大久保周造 小林国威
第9回 1964年3月3日 2000m ゲイリング 牡5 船橋 2:05.8 溝辺正 出川己代造 鈴木晴
第10回 1965年3月3日 2000m デイジーマサル 牡6 川崎 2:06.3 大和田五郎 細川一吉 倉本史士
第11回 1966年3月13日 2000m ヒデミドリ 牡6 船橋 2:06.3 溝辺正 滝沢久夫 滝沢正子
第12回 1967年3月8日 2000m フシミカブト 牡4 川崎 2:05.6 佐々木竹見 八木正雄 酒井光男
第13回 1968年3月27日 2000m シントー 牡6 浦和 2:05.8 泉孝 米山仲司 藤代由太郎
第14回 1969年3月1日 2000m タケデンボー 牡4 船橋 2:05.0 溝辺正 宮下佐平 武市伝一
第15回 1970年3月8日 2000m アポスピード 牡4 大井 2:08.3 須田茂 阪本正太郎 佐藤清之助
第16回 1971年3月17日 2000m オーナーズラツク 牡4 川崎 2:07.6 佐々木竹見 大沼五郎 米元幹男
第17回 1972年3月22日 2000m サンヒコー 牡6 船橋 2:06.8 赤間清松 粕谷清隆 平野修一
第18回 1973年3月14日 2000m マルイチキング 牡4 船橋 2:07.9 角田次男 宮下仁 松本雄吉
第19回 1974年1月14日 2000m ダイニカツハル 牡5 船橋 2:06.6 桑島孝春 佐々木昭 山崎一利
第20回 1975年3月6日 2000m マルイチダイオー 牡4 船橋 2:06.6 角田次男 宮下仁 松本雄吉
第21回 1976年3月25日 2400m ヒデノアラシ 牡4 川崎 2:31.4 佐々木竹見 勝又泉 横山秀男
第22回 1977年3月23日 2400m ホウユウヒダカ 牡4 船橋 2:31.8 川島正行 谷口源吾 竹田巌
第23回 1978年3月21日 2400m エドノボル 牡4 船橋 2:34.4 川島正行 石川忠良 越塚義昌
第24回 1979年3月22日 2400m エドノボル 牡5 船橋 2:33.0 川島正行 石川忠良 越塚義昌
第25回 1980年3月20日 2400m カツアール 牡4 大井 2:31.6 松本勉 秋谷元次 栗林英雄
第26回 1981年3月18日 2400m ホツカイサツケン 牡5 大井 2:33.4 赤間清松 太田進 石田允泉
第27回 1982年3月24日 2400m ホツカイサツケン 牡6 大井 2:33.2 赤間清松 太田進 石田允泉
第28回 1983年3月23日 2400m クリダンサス 牡6 大井 2:34.7 的場文男 倉内賢 栗崎清治
第29回 1984年3月20日 2400m ユーモアエース 牡6 船橋 2:34.6 石崎隆之 出川己代造 柴順一
第30回 1985年3月21日 2400m ロツキータイガー 牡4 船橋 2:30.9 桑島孝春 泉孝 児玉孝
第31回 1986年3月19日 2400m アイランドテリオス 牡5 船橋 2:31.3 張田京 波多野高次 嶋村二三男
第32回 1987年3月18日 2400m アイランドハンター 牡4 船橋 2:29.7 木村騎一 安藤栄作 嶋村二三男
第33回 1988年3月23日 2400m クリノサンフオード 牡6 大井 2:32.7 秋田実 久保與造 栗山道郎
第34回 1989年3月22日 2400m ハイエースボーイ 牡5 船橋 2:36.3 森勇 栗原清 中村和夫
第35回 1990年3月28日 2400m フジノダンサー 牝4 船橋 2:37.3 石崎隆之 須永和良 白井勇
第36回 1991年3月27日 2400m ニホンベレーザ 牝4 船橋 2:36.1 佐藤隆 吉田馨 原山幸男
第37回 1992年3月20日 2400m ハセカツトップ 牡4 大井 2:37.6 的場文男 大山一男 長谷川泰一
第38回 1993年3月25日 2400m モガミキッカ 牡5 船橋 2:37.8 石崎隆之 川島正行 (株)モガミホースクラブ
第39回 1994年3月10日 2400m ハセカツトップ 牡6 大井 2:34.8 的場文男 大山一男 長谷川泰一
第40回 1995年3月15日 2400m アクアライデン 牝4 大井 2:38.2 桑島孝春 五百藏幸雄 坪野谷和平
第41回 1996年3月20日 2400m ホクトベガ 牝6 JRA 2:31.3 横山典弘 中野隆良 金森森商事(株)
第42回 1997年3月5日 2400m デュークグランプリ 牡6 JRA 2:35.0 岡部幸雄 小西一男 石原春夫
第43回 1998年3月18日 2400m アブクマポーロ 牡6 船橋 2:35.3 石崎隆之 出川克己 鑓水秋則
第44回 1999年3月17日 2400m アブクマポーロ 牡7 船橋 2:32.0 石崎隆之 出川克己 (株)デルマークラブ
第45回 2000年3月8日 2400m マイターン 牡5 JRA 2:36.7 橋本美純 宮徹 下井道博
第46回 2001年3月14日 2400m リージェントブラフ 牡5 JRA 2:33.5 吉田豊 大久保洋吉 大原詔宏
第47回 2002年3月27日 2400m インテリパワー 牡7 船橋 2:30.7 張田京 川島正行 佐橋五十雄
第48回 2003年3月26日 2400m カネツフルーヴ 牡6 JRA 2:29.6 松永幹夫 山本正司 (株)ローレルレーシング
第49回 2004年3月24日 2400m ミツアキタービン 牡4 笠松 2:30.2 東川公則 田口輝彦 山本光明
第50回 2005年3月16日 2400m パーソナルラッシュ 牡4 JRA 2:36.4 安藤勝己 山内研二 深見富朗
第51回 2006年3月15日 2400m ヴァーミリアン 牡4 JRA 2:34.9 内田博幸 石坂正 (有)サンデーレーシング
第52回 2007年3月7日 2400m キクノアロー 牡4 JRA 2:33.5 安藤勝己 目野哲也 菊池五郎
第53回 2008年3月5日 2400m フリオーソ 牡4 船橋 2:34.7 戸崎圭太 川島正行 ダーレー・ジャパン・ファーム(有)
第54回 2009年3月11日 2400m フリオーソ 牡5 船橋 2:32.1 戸崎圭太 川島正行 ダーレー・ジャパン・ファーム(有)
第55回 2010年3月10日 2400m フサイチセブン 牡4 JRA 2:31.3 内田博幸 松田国英 関口房朗
第56回 2011年5月2日 2400m スマートファルコン 牡6 JRA 2:33.2 武豊 小崎憲 大川徹
第57回 2012年3月14日 2400m ランフォルセ 牡6 JRA 2:34.7 横山典弘 萩原清 (有)キャロットファーム
第58回 2013年3月13日 2400m オースミイチバン 牡4 JRA 2:35.1 川島信二 荒川義之 (株)オースミ
第59回 2014年3月19日 2400m ニホンピロアワーズ 牡7 JRA 2:34.6 酒井学 大橋勇樹 小林百太郎
第60回 2015年3月11日 2400m クリソライト 牡5 JRA 2:33.6 武豊 音無秀孝 (有)キャロットファーム
第61回 2016年3月9日 2400m クリソライト 牡6 JRA 2:36.4 武豊 音無秀孝 (有)キャロットファーム
第62回 2017年3月15日 2400m クリソライト 牡7 JRA 2:37.8 武豊 音無秀孝 (有)キャロットファーム
第63回 2018年3月14日 2400m ケイティブレイブ 牡5 JRA 2:34.8 福永祐一 杉山晴紀 瀧本和義
第64回 2019年3月13日 2400m チュウワウィザード 牡4 JRA 2:37.3 川田将雅 大久保龍志 中西忍
第65回 2020年3月11日 2400m アナザートゥルース セ6 JRA 2:36.6 C.ルメール 高木登 (株)ノルマンディーサラブレッドレーシング
第66回 2021年3月17日 2400m ダノンファラオ 牡4 JRA 2:34.5 川田将雅 矢作芳人 (株)ダノックス
第67回 2022年3月23日 2400m ノーヴァレンダ 牡6 川崎 2:37.2 森泰斗 内田勝義 (有)キャロットファーム
第68回 2023年3月15日 2400m グロリアムンディ 牡5 JRA 2:37.2 川田将雅 大久保龍志 吉田和美
第69回 2024年3月6日 2400m セラフィックコール 牡4 JRA 2:33.9 B.ムルザバエフ 寺島良 (有)キャロットファーム

脚注・出典[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 令和5年度第12回船橋競馬競走番組表(決定)” (PDF). 船橋ケイバ. 2024年3月3日閲覧。
  2. ^ 船橋競馬出走馬一覧表 令和4年度第12回船橋競馬第3日3月15日(水)” (PDF). 名古屋けいばオフィシャルサイト. 2023年3月13日閲覧。
  3. ^ 全日本的なダート競走の体系整備について - 地方競馬情報サイト(地方競馬全国協会)2022年11月28日
  4. ^ 日本中央競馬会優駿』1995年5月号、118頁
  5. ^ 船橋ケイバ3/7(月)-11(金)開催リリース”. 船橋ケイバ (2016年3月3日). 2016年3月7日閲覧。
  6. ^ 東北地方太平洋沖地震による地方競馬の開催への影響について”. 地方競馬全国協会 (2011年3月29日). 2011年3月29日閲覧。
  7. ^ 全日本的なダート競走の体系整備”. 地方競馬全国協会. 2024年3月3日閲覧。

各回競走結果の出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]