桜花賞 (浦和競馬)

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桜花賞
開催国 日本の旗 日本
主催者 埼玉県浦和競馬組合
競馬場 浦和競馬場
第1回施行日 1955年4月10日
2024年の情報
距離 ダート1500m
格付け 南関東SI
賞金 1着賞金2000万円
出走条件 サラブレッド系3歳牝馬オープン・地方競馬全国交流
負担重量 定量(54kg
出典 [1]
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桜花賞(おうかしょう)は、埼玉県浦和競馬組合浦和競馬場で施行する地方競馬重賞競走(南関東SI)である。正式名称は「農林水産大臣賞典 桜花賞」。

副賞は農林水産大臣賞、埼玉県知事賞、埼玉県浦和競馬組合管理者賞、日本地方競馬馬主振興協会会長賞、全国公営競馬主催者協議会会長賞、東京中日スポーツ賞、また生産牧場賞がある(2024年)[2]

概要[編集]

1955年に創設され、1960年までは牡馬も出走可能であった[3]1961年から牝馬限定戦として施行され、1995年からは南関東G1に格付けされている。1965年創設の関東オークス1987年創設の東京プリンセス賞とともに南関東牝馬三冠の1つに位置付けられており南関東地区所属の3歳牝馬にとっては最初の目標となる競走である。

例年4月に施行されていたが2007年からは3月に施行が変更され、2006年度に限り当競走が2回施行された(地方競馬は会計年度が4月から翌年3月までのため)。

2010年から地方競馬全国交流競走となり、南関東地区以外の地方所属馬でも出走が可能と共にGRANDAME-JAPANの3歳シーズンの指定競走となる。他地区所属馬の出走枠は2019年までは3頭以下であったが、2020年から2頭以下となっている。

かつて施行されていた浦和競馬場の1600mコースは3コーナーと4コーナーの中間からスタートする特徴的なものだが、このレースでも2020年までの過去9回の優勝馬のうち7頭が枠番3より内側の馬であった[4]

2023年より距離を1500mへ変更し、併せて出走可能頭数が12頭に拡大された(浦和1600mの出走可能頭数は11頭であった)[5][6]

条件・賞金等(2024年)[編集]

出走資格
サラブレッド系3歳牝馬、地方競馬全国交流で他地区所属馬の出走枠は2頭以下と定められている[1]
以下の馬に優先出走権がある(詳細後述[1]
  • ユングフラウ賞(南関東SII・浦和競馬場ダート1400m)の3着以上の馬
  • 桃花賞(準重賞・大井ダート1600m)の1着馬
  • URAWAなでしこオープンの1着馬。
負担重量
定量、54kg[1]
賞金額
1着2000万円、2着700万円、3着400万円、4着200万円、5着100万円[2]
優先出走権付与
本競走で上位3着までに入った南関東所属馬には東京プリンセス賞の優先出走権が、優勝馬には関東オークスの優先出走権が付与される[1]

歴史[編集]

  • 1955年 - 浦和競馬場のダート1600mのサラブレッド系4歳(現3歳)の南関東所属の牡馬・牝馬の重賞競走「桜花賞」として創設。
  • 1960年 - 前年の9月1日から日本競馬の計時方式の変更に伴い、時計表示が1/5秒表示から1/10秒表示に変更。
  • 1961年 - 出走条件を「サラブレッド系4歳(現3歳)牡馬・牝馬の南関東所属馬」から「サラブレッド系4歳(現3歳)牝馬の南関東所属馬」に変更。
  • 1970年 - 川崎の佐々木竹見が騎手として史上初の3連覇。
  • 1995年 - 南関東グレード導入により南関東G1に格付け。
  • 1999年 - 10位入線の船橋のスーパールーブルが進路妨害により失格。
  • 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件を「サラブレッド系4歳牝馬の南関東所属馬」から「サラブレッド系3歳牝馬の南関東所属馬」に変更。
  • 2007年 - 施行時期を4月から3月に変更。
  • 2008年 - 南関東重賞格付け表記を南関東SIに変更。
  • 2010年
    • 地方競馬全国交流競走として施行され、出走条件を「サラブレッド系3歳牝馬の地方所属馬」に変更。
    • GRANDAME-JAPAN・3歳シーズンに指定。
  • 2011年 - 3月23日の開催予定が、3月11日に発生した東日本大震災の影響により中止。
  • 2014年 - 断然の1番人気だったノットオーソリティが投票締切後に競走除外(右後肢跛行)となり、総発売票数の約70%が返還される事態となった[7]
  • 2023年 - 施行距離をダート1500mに変更し、フルゲートが11頭から12頭となる。
  • 2025年 - 1着賞金が3000万円に増額。

歴代優勝馬[編集]

2022年まではダート1600m、2023年からはダート1500mで施行。

回数 施行日 優勝馬 性齢 所属 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1955年4月10日 イースタオー 牝3 船橋 1:44 0/5 木村万吉 木村万吉 大下常
第2回 1956年4月5日 ミナミパーク 牡3 川崎 1:43 4/5 勝又衛 鈴木春吉 篠田光江
第3回 1957年4月17日 キクハマ 牡3 大井 1:43 4/5 長沢保作 小暮嘉久 北沢元男
第4回 1958年4月15日 ダイニコトブキ 牡3 船橋 1:44 1/5 須田茂 出川己代造 出川日出
第5回 1959年4月1日 グローリーワイン 牝3 船橋 1:45 2/5 荒山徳一 佐竹海治 白井新平
第6回 1960年4月7日 イチトミシヨウ 牡3 大井 1:43.4 赤間清松 遠間波満行 富田庄吉
第7回 1961年4月10日 アリゾナホープ 牝3 大井 1:41.5 古野重孝 栗田武 吉田善一
第8回 1962年4月7日 ダイサンキヨサチ 牝3 大井 1:43.6 須田茂 阪本正太郎 佐藤清之助
第9回 1963年4月3日 ラツキーマミー 牝3 大井 1:42.2 渥美忠男 栗田金吾 井門昭二
第10回 1964年4月2日 イソゴ 牝3 川崎 1:44.1 松浦備 小笠原円之助 門倉肇
第11回 1965年4月4日 キヨクトー 牝3 大井 1:44.5 須田茂 長尾潔 長尾孝子
第12回 1966年4月19日 オリコ 牝3 川崎 1:42.7 佐々木竹見 三橋三吉 大塚喜久雄
第13回 1967年4月13日 ローレライ 牝3 船橋 1:41.8 木村和男 木村万吉 木村てる
第14回 1968年4月9日 ネバーマンナ 牝3 川崎 1:44.2 佐々木竹見 高月由次 鈴木よ志
第15回 1969年4月15日 トキヒノエ 牝3 川崎 1:41.0 佐々木竹見 新貝一雄 山口昭
第16回 1970年4月2日 ブレイブリー 牝3 川崎 1:43.4 佐々木竹見 大和田明 根岸寛
第17回 1971年4月4日 タニノカツヒメ 牝3 船橋 1:41.5 内野健二 岡林喜和 谷中勇
第18回 1972年4月9日 ヒンドライン 牝3 川崎 1:43.6 佐々木吉郷 河津晴一 安西競走馬(有)
第19回 1973年4月2日 ワールドビツト 牝3 川崎 1:42.2 佐々木竹見 高橋満夫 松岡正雄
第20回 1974年4月3日 ミスフアラリス 牝3 船橋 1:44.1 高橋三郎 熊坂明 渡邉俊彦
第21回 1975年4月14日 ピープルクイン 牝3 浦和 1:43.4 本間茂 中島正治 伊藤三郎
第22回 1976年4月7日 ニツトウザクラ 牝3 川崎 1:42.3 竹島春三 勝又専次郎 村本豊
第23回 1977年4月6日 エビフブキ 牝3 大井 1:43.2 岡部盛雄 武森辰己 海老沼重雄
第24回 1978年4月4日 エースライン 牝3 船橋 1:41.4 田部和廣 熊坂明 安西競走馬(有)
第25回 1979年4月10日 シヤドウ 牝3 川崎 1:41.3 橘真樹 高橋正豪 山内正孝
第26回 1980年4月3日 ベークルイーズ 牝3 船橋 1:42.9 岡島茂 谷口源吾 山本康久
第27回 1981年4月2日 コーナンルビー 牝3 大井 1:41.4 堀千亜樹 遠間波満行 越路玄太
第28回 1982年4月2日 セイダイカゲツ 牝3 船橋 1:43.0 伊藤修 金澤秀行 成恵不動産(株)
第29回 1983年4月6日 ミルトツプ 牝3 大井 1:42.2 武井秀治 福永二三雄 田中治子
第30回 1984年4月4日 グレイスタイザン 牝3 川崎 1:41.8 森下博 佐々木國廣 船橋泰三
第31回 1985年4月10日 ハナブサクイン 牝3 大井 1:42.5 佐々木忠昭 高柳恒男 飯島英夫
第32回 1986年4月23日 ミネノオウカン 牝3 川崎 1:41.5 森下博 三潟隆五郎 菊池高嶺
第33回 1987年4月28日 タカネピニオン 牝3 船橋 1:43.0 柿本政男 松葉照雄 小山康則
第34回 1988年4月6日 レデイシヤイン 牝3 船橋 1:42.3 渡辺市郎 大河内敏雄 織戸光男
第35回 1989年4月4日 ロジータ 牝3 川崎 1:41.7 野崎武司 福島幸三郎 加藤富保
第36回 1990年4月4日 コトブキトミオー 牝3 大井 1:43.6 赤嶺本浩 五百藏幸雄 栗原富男
第37回 1991年4月11日 スピードデオール 牝3 川崎 1:42.7 久保秀男 新貝啓介 市川不動産(株)
第38回 1992年4月8日 エースポポ 牝3 船橋 1:43.4 佐藤正人 木村和男 榊原秀雄
第39回 1993年4月14日 ホワイトアリーナ 牝3 浦和 1:41.6 桑島孝春 野口孝 小野田健治
第40回 1994年4月21日 リワードルンゼ 牝3 大井 1:41.5 堀千亜樹 太田進 宮崎忠比古
第41回 1995年4月5日 ナイキグレース 牝3 大井 1:43.2 的場文男 長沼正義 小野誠治
第42回 1996年4月3日 ミキノダンサー 牝3 浦和 1:41.5 佐藤隆 廣瀬龍夫 谷口久和
第43回 1997年4月16日 シルバーアクト 牝3 船橋 1:43.5 石崎隆之 北川亮 片田静惠
第44回 1998年4月22日 ダイアモンドコア 牝3 川崎 1:43.5 森下博 井上宥蔵 (株)システムコア
第45回 1999年4月21日 ワンダールナ 牝3 浦和 1:42.3 見澤譲治 鈴木勝文 山本信行
第46回 2000年4月19日 アミー 牝3 船橋 1:42.8 山中尊徳 金澤豊 大野肇江
第47回 2001年4月11日 ナミ 牝3 大井 1:41.8 的場文男 蛯名末五郎 中田和宏
第48回 2002年4月3日 ラヴァリーフリッグ 牝3 船橋 1:41.5 石崎隆之 出川克己 村中徳広
第49回 2003年4月3日 メモリヒメ 牝3 大井 1:42.1 堀千亜樹 鈴木冨士雄 白瀬常雄
第50回 2004年4月6日 カネマサヴィーナス 牝3 川崎 1:42.5 左海誠二 三橋三吉 前田政雄
第51回 2005年4月13日 ミライ 牝3 川崎 1:39.5 金子正彦 安池成実 小笠原啓一
第52回 2006年4月26日 チャームアスリープ 牝3 船橋 1:40.8 内田博幸 佐藤賢二 山口美樹
第53回 2007年3月21日 マルノマンハッタン 牝3 浦和 1:44.2 石崎隆之 阿部秀一 齋藤實
第54回 2008年3月19日 フィリアレギス 牝3 川崎 1:43.9 戸崎圭太 池田孝 (有)市川ファーム
第55回 2009年3月20日 ネフェルメモリー 牝3 船橋 1:41.0 戸崎圭太 川島正行 木谷ツヤ
第56回 2010年3月24日 ショウリダバンザイ 牝3 大井 1:42.5 真島大輔 高岩孝敏 林正夫
第57回 開催中止
第58回 2012年3月21日 コテキタイ 牝3 川崎 1:43.8 張田京 内田勝義 (有)グランド牧場
第59回 2013年3月21日 イチリュウ 牝3 川崎 1:41.5 的場文男 内田勝義 (有)グランド牧場
第60回 2014年3月27日 シャークファング 牝3 大井 1:42.8 矢野貴之 秋吉和美 鮫島明洋
第61回 2015年3月25日 ララベル 牝3 大井 1:42.3 真島大輔 荒山勝徳 吉田照哉
第62回 2016年3月23日 モダンウーマン 牝3 川崎 1:41.9 山崎誠士 佐々木仁 (有)グランド牧場
第63回 2017年3月29日 スターインパルス 牝3 浦和 1:42.8 石崎駿 小久保智 坂本順子
第64回 2018年3月21日 プロミストリープ 牝3 大井 1:41.6 御神本訓史 藤田輝信 (有)シルクレーシング
第65回 2019年3月27日 トーセンガーネット 牝3 浦和 1:40.4 左海誠二 小久保智 島川隆哉
第66回 2020年3月25日 アクアリーブル 牝3 船橋 1:41.2 山本聡哉 佐藤賢二 (有)新生ファーム
第67回 2021年3月31日 ケラススヴィア 牝3 浦和 1:42.1 森泰斗 小久保智 小田吉男
第68回 2022年3月17日 スピーディキック 牝3 浦和 1:41.8 御神本訓史 藤原智行 加藤鈴幸
第69回 2023年3月22日 メイドイットマム 牝3 船橋 1:35.0 本橋孝太 石井勝男 (有)木村牧場
第70回 2024年3月27日 プリンセスアリー 牝3 浦和 1:36.9 森泰斗 岡田一男 ライフエンタープライズ(株)

※優勝馬の馬齢2000年以前も現表記を用いている。

トライアル競走[編集]

ユングフラウ賞[編集]

桃花賞[編集]

1991年から桜花賞のトライアル競走として[要出典]南関東準重賞競走(1994年まではオープン特別競走)「桃花賞」が大井競馬場ダート1600mで施行されている。この競走で上位2着までには本競走への優先出走権が与えられていたが2012年は桜花賞に優先出走できるのは優勝馬に限られ、加えて上位2着までにユングフラウ賞の優先出走権を与える形に変更された。2018年はトライアル競走から外れたが、2019年には優勝馬に桜花賞の優先出走権が与えられるトライアルに戻された。なお、桃花賞に出走した競走馬の中で8頭が本競走を制している。

ティアラカップ[編集]

2003年まで、桜花賞のトライアル競走として「ティアラカップ」という特別競走が浦和競馬場ダート1600m(1992年はダート1400m)で施行されていた。この競走で1着馬のみ、本競走への優先出走権が与えられていた。トライアル競走でありながら出走条件は3歳牝馬オープンではなく、3歳牝馬の条件選抜として行われ優先出走権を争う競走の中で日本で唯一オープン馬の出走ができないトライアル競走であった。なお、ティアラカップに出走した競走馬の中で本競走を制した馬は1頭も出ていない(1993年に制した浦和のイチナリクリゲの2着入賞が最高入着)。

ティアラカップは2021年においてはしらさぎ賞トライアルの準重賞(A2以下)として施行されている[8]

URAWAなでしこオープン[編集]

2024年からトライアルとなったオープン特別競走。浦和競馬場のダート1400mで1月に施行されており、優勝馬に本競走の優先出走権が付与される。

他地区所属馬の成績[編集]

回次 馬名 所属 着順
第56回(2010年) コロニアルペガサス 笠松 4着
ラブミーチャン 笠松 取消
第58回(2012年) アルドラ 金沢 7着
第59回(2013年) エイシンルンディー 笠松 5着
ルード 笠松 10着
第61回(2015年) トーコーヴィーナス 園田 2着
第63回(2017年) ハリアー 笠松 10着
第64回(2018年) プリムラジュリアン 北海道 10着
第65回(2019年) ナラ 笠松 6着
第67回(2021年) ニジイロ 愛知 5着

第60回、第62回、第66回、第68回、第69回は他地区所属馬の参戦なし。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 令和5年度第13回浦和競馬競走番組【決定】” (PDF). 浦和競馬. 2024年3月25日閲覧。
  2. ^ a b 浦和競馬出走馬一覧表 令和5年度埼玉県浦和競馬組合営第13回浦和競馬第3日3月27日(水)” (PDF). 名古屋けいばオフィシャルサイト. 2024年3月25日閲覧。
  3. ^ 第12回浦和競馬 開催情報”. 浦和競馬. 2016年3月21日閲覧。
  4. ^ ~南関重賞を解く~ 南関データ分析”. SPAT4プレミアムポイント. 2021年3月29日閲覧。
  5. ^ 2022年度(令和4年度) 開催日程及び重賞競走日程について - nankankeiba.com 2021年11月9日
  6. ^ 浦和桜花賞が1500mに距離短縮へ、南関東地方競馬が2022年度の開催日割等発表 - netkeiba.com 2021年11月9日
  7. ^ “【浦和・桜花賞】1番人気ノット、ハ行で競走除外…70%が返還”. スポーツニッポン. (2014年3月28日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/03/28/kiji/K20140328007859550.html 2015年3月23日閲覧。 
  8. ^ 第68回 桜花賞競走 予備登録馬” (PDF). 浦和競馬. 2022年3月8日閲覧。

各回競走結果の出典[編集]

関連項目[編集]