学歴難民

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学歴難民(がくれきなんみん)とは、主に一流大学大学院を卒業したにもかかわらず、、無職ニートになったり、一流企業など自分の希望する職に就けず、不本意な就職を強いられたり、不安定雇用(プレカリアート)に泣き寝入りしているような人々を指す。このような例は多くの国や地域でみられるが、日本では『ニューズウィーク』日本語版2006年6月7日号の題名「学歴難民クライシス」から流行した。また、1930年代前半の日本では「大学は出たけれど」と呼ばれていた。博士号を取得したにも関わらず定職に就けない(オーバードクター)人間を含む場合もある。


目次

[編集] 背景

こうした状況がみられるようになった原因としては以下の4つが考えられる。

  • 難関と言われる大学に入る為に必要な、ペーパーテストで高得点を取るためだけに特化した勉強(受験テクニック)と、社会人や組織人として求められる資質(コミュニケーション能力、発想の柔軟性、組織や環境への順応性、様々な局面に於いての対処能力や機転、交渉力や問題解決能力など)が、堪え性を除けば全く別物である。
  • 大学の定員が増加していったことで高学歴者が増えてしまった(学歴のインフレが起こった)。また、近年では少子化によって高学歴率も上がるなど更に拍車がかかっている。選考では学校名が重視されることが多く、同じ有名大学の学生同士で就職先のパイを奪い合うことも少なくない。
  • どの学歴にもいえることだが、平成に入ってからの長期不況による人件費削減から採用を削減する企業が多かったため。大学・大学院卒業時に就職が決まらず、卒業後やむなく就職浪人になって中途採用に応募する際、高校卒以上と書かれている求人に応募しても、それが表向きで、書類選考の段階で足切りされるというケースが少なくない。
  • 小学校-大学・大学院などの教育機関での教育研究活動は民間企業が求める人材(ニーズ)とは直接の連続性がないと見なされることがある。また、大学卒業生や大学院修了者のうち、仕事に携わるうえでの能力や、社交性を欠いている者(当人が発達障害などを抱えていることが原因の場合もある)は企業の経済活動にそぐわない存在である[要出典]

[編集] 博士号取得者の就職難

博士号取得者(ドクター)の余剰によって、大学院修了後の就職も困難化しているとされる。

[編集] 解決案の議論

元々、ヨーロッパ型の教育制度を輸入した日本は義務教育終了の段階で職業学校が大きな役割を占めていた。ところが、第二次大戦後になると職業教育が軽視され一般教養を重視する教育制度が採られた。これを象徴する詞は1947年当時の文部大臣であった高橋誠一郎学校教育法の提案理由で挙げた「心身の発育不充分なうちから職業教育を施しまして」という詞である。これに中央集権的システムによる多様性と柔軟性の缺乏が重なって、多くの学生が商業高校や工業高校に行かずに、「普通」高等学校から大学に進む形で学術的な教養の習得に大半を費やす結果になっている。

高等学校以上の後期中等教育や、大学受験に向けての学習が職業に直結して即戦力となる、あるいは職業に直結しやすい内容に変えていくことがよいと考えられることが多い。例えば、福祉科高校など多様な職業高校の設置、プログラミングなどのIT教育、コミュニケーション能力を向上させるための教育などが真っ先に挙げられる[要出典]

しかし、多くの新設大学や新設学部はビジネスや情報科学、外国語やコミュニケーションを重視するが、その内容と実績が必ずしも十分ではない。外国語に至っては目標水準が著しく低いリメディアル教育といわざるをえないものが広まる一方、バイリンガル環境が無理なく定着しているのはごく少数の大学に過ぎないという意見もある。

そして、一方で、一流大学とされる大学の文系学部ではそうした実学教育がほぼ皆無であることも事実である[要出典]。むろん、一流大学の場合も一定数は一流企業に入社しているが、一定数がフリーターになったり中小企業に入社していたりする事実もある。ここは個人の選好にもよるところでもある。

なお、「解決策を教育機関に求めるべきか?」という意見がある。OJTを有効に活用することで各企業はニーズと状況に応じた職業訓練を行えばよいのであるということであるが、入社時点で企業が求めるニーズを満たした従業員と満たしていない従業員では「育成コスト」に大きな差が出てくる。

また、コミュニケーション能力などの基本的なヒューマンスキルはOJTでは能力の向上が難しいという面がある。小学生程度の年齢から一つ一つステップアップしていくことが望ましいため、学校教育がこうした「ビジネスに向いたヒューマンスキル」向上の役割を持っていることもある。

ただ、平成に入ってからの長期不況による人件費削減を理由に、訓練などに時間をかけられないことから即戦力を採用したり、高学歴者の中途採用を敬遠したりする傾向も強く、根本的な解決にはなっていない。

イギリスの社会学者ロナルド・ドーアは、就職年齢をはやめ、全員を下級事務員や工員として採用してから、成績優良者に専門教育をうけさせて上級管理職やエンジニアにする方法を提案している[1]

[編集] 諸外国での状況

東アジア諸国、例えば、中国韓国においても高学歴の青年の雇用を巡る環境は日本と似た状況下にある。中国では大卒者の就職難が大きな問題となっている。韓国でも大学院で博士号をとった者が就職先がなく、タクシー運転手をしているなどの報道もなされている。

ヨーロッパ諸国、特にフランスドイツといった大国においては日本の学歴難民に相当する現象が1970年代後半からすでに常態化していた。それが社会問題化したことから各国がそれぞれ独自の方策を打ち出している。

例えば、フランスでは労働組合が若年層の雇用を強固に保護するよう雇用者や国家と交渉してきた。また、スウェーデンフィンランドといった北欧諸国では手厚い社会保障で「若者が社会に挑戦し続けられる環境作り」を進めるという社会的連帯の精神にもとづく政策を実行してきた。さらに、オランダのようにワークシェアリングなどの新しい労働政策を取り入れている国もある。

しかし、どの方策も一長一短であるとされている。フランスでは保護政策(現状ではいったん雇用した労働者を解雇するのはむずかしいため、企業は新規雇用に慎重になる)を緩和しようとする政府の方針に反対し、青年を中心とした労働者による暴動の発生(新規に導入される予定だった試験雇用期間が終わったあと、若年層が正規雇用へ移行することなく企業から切り捨てられることを恐れた)という社会問題に発展している。またワークシェアリングは既得権者の利害が衝突し同意が難しくなる。

一方、イギリスにおける状況は他の欧州諸国とは異なる。イギリスでは「小さな政府」を標榜するサッチャー以降の保守党政権の基本方針に従い、青年の雇用を保護する目的の社会保障政策はほとんど取られてこなかった。その影響で、十分な教育を受けてきた若者であっても社会で活躍できる機会が与えられず、「社会的疎外」とも言われる危機的状況に陥りつつある。特に、イスラム系移民(二世)の若者たちは、「どんなに良い教育を受けたとしても社会的に恵まれない」という背景が、社会に対する不満の捌け口として、彼らをテロリズムへと参加させているという懸念がある。

[編集] 脚注

  1. ^ 『学歴社会 新しい文明病』 202-203頁。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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