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[[ファイル:Fishtail Parka.jpg|thumb|M-51 Fishtail Parka]]
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[[File:M-1951 PARKA SHELL.JPG|thumb|M-1951 PARKA SHELL]]
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'''M51'''は、[[1950年代]]に採用された米国地上軍の極寒防寒衣料の[[1951年]]型モデルを指す。「'''モッズコート'''」という呼び名でも知られているが、その由来については後述する。
'''M-51'''は、[[1950年代]]に採用された米国地上軍の極寒防寒衣料の[[1951年]]型モデルを指す。「'''モッズコート'''」という呼び名でも知られているが、その由来については後述する。


== 概要 ==
== 概要 ==
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;フィッシュテール
;フィッシュテール
:特徴的な造りとして、裾の後ろが燕尾状に先割れしており、これは「フィッシュテール({{lang-en-short|fishtail}})」などと呼ばれている。この特徴あるフィッシュテールを持つコートは、このM-51シェルパーカのほか、前身である「M-48シェルパーカ」、後継である「[[M65 (パーカ)|M-65シェルパーカ]]」などがある。裾に縫い込まれたドローコード(絞り紐)下腿に巻きつけ、風によるバタつきを抑えられるようになっている。
:特徴的な造りとして、裾の後ろが燕尾状に先割れしており、これは「フィッシュテール({{lang-en-short|fishtail}})」などと呼ばれている。この特徴あるフィッシュテールを持つコートは、このM-51シェルパーカのほか、前身である「M-48シェルパーカ」、後継である「[[M65 (パーカ)|M-65シェルパーカ]]」などがある。裾に縫い込まれたドローコード(絞り紐)にて下腿に巻きつけられるようになっている。
;生地など
;生地など
:生地はオリーブグリーン色の薄手の[[コットン]][[ナイロン]][[平織|オックスフォード]]地である。
:生地はオリーブグリーン色の薄手の[[平織り]][[コットン]][[ナイロン]]地である。
:生地のバリエーションとして、厚手のコットン[[繻子織|サテン]]地の製品も見られ、この厚手生地のタイプは一般的に「初期型」とされていたが、米軍仕様書では1951年3月の初版スペックからすでにコットンナイロンオックスフォード地を指定している<ref name="MIL-P-11013(QMC)"/>ことが確認された。したがって厚手生地の製品の位置付けについては、謎が残されているが、厚生地(コットンサテン、コットン[[綾織|ツイル]])の製品は、確認できる全例が1951年[[5月21日]]付もしくは[[5月24日]]付コントラクトであり、また同年の[[7月31日]]付コントラクトにはすでに薄生地(コットンナイロンオックスフォード)の製品が観察される。このことにより、初年度においては5月コントラクトのみが厚生地で、7月には薄型に移行したのではないかと考察される<ref>[http://parkashell.exblog.jp/19697897/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 MIL規格P-11013(QMC)における初期コントラクト年月日と生地の関係について]</ref>。
:生地のバリエーションとして、厚手のコットンサテン地の製品も見られ、この厚手生地のタイプは一般的に「初期型」とされていたが、米軍仕様書では1951年3月の初版スペックからすでにコットンナイロンオックスフォード地を指定している<ref name="MIL-P-11013(QMC)"/>ことが確認された。したがって厚手生地の製品の位置付けについては、謎が残されているが、厚生地(コットンサテン、コットンツイル)の製品は、確認できる全例が1951年[[5月21日]]付もしくは[[5月24日]]付コントラクトであり、また同年の[[7月31日]]付コントラクトにはすでに薄生地(コットンナイロンオックスフォード)の製品が観察される。このことにより、初年度においては5月コントラクトのみが厚生地で、7月には薄型に移行したのではないかと考察される<ref>[http://parkashell.exblog.jp/19697897/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 MIL規格P-11013(QMC)における初期コントラクト年月日と生地の関係について]</ref>。
;ファスナー、スナップボタン
;ファスナー、スナップボタン
:正面は大型の[[線ファスナー|スライドファスナー]](ジッパー)およびスナップボタン(ドットボタン)にて閉じる仕様となっている。ファスナーは[[アルミニウム合金|アルミ]]または[[黄銅|真鍮]]
:正面は大型の[[線ファスナー|スライドファスナー]](ジッパー)およびスナップボタン(ドットボタン)にて閉じる仕様となっている。ファスナーは、[[コンマー・プロダクツ]]製の[[アルミ]]または[[真鍮]]、[[タロン|タロン・ジッパー]]製のアルミまたは真鍮、CROWN製[[亜鉛]]仕上げなどが観察される。またスナップボタンの主なメーカー[[RAUファスナー]]、[[スコービル・ファスナー]]、ユナイテッドカー(日本のアパレルブランドとは無関係の米国メーカー)などが観察される
:なお、この本体(シェル)にはアタッチメントとして、[[ウール]][[パイル織物|パイル]]地の防寒[[ライナー]]と[[毛 (動物)|獣毛]]でトリミングされた防寒フードを取り付け、より防寒機能を向上させることができる。
:なお、このパーカ本体(シェル)にはアタッチメントとして、[[ウール]][[パイル織物|パイル]]地の防寒[[ライナー]]と獣毛でトリミングされた防寒フードを取り付け、より防寒機能を向上させることができる。


== 呼称 ==
== 呼称 ==
米軍[[MIL規格]]仕様番号MIL-P-11013(1951年[[3月14日]])<ref name="MIL-P-11013(QMC)">[http://parkashell.exblog.jp/11699532/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 MIL-P-11013 (初版) 14 March 1951]</ref>により規定される名称は、「PARKA SHELL M-1951」となっている。
米軍[[MIL規格]]mil-p-11013(1951年[[3月14日]])<ref name="MIL-P-11013(QMC)">[http://parkashell.exblog.jp/11699532/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 MIL-P-11013 (初版) 14 March 1951]</ref>により規定される名称は、「PARKA SHELL M-1951」となっている。


モッズコートという呼称は、[[イギリス]]の[[モッズ]]に愛用されていたことが由来である。[[朝鮮戦争]]で使用するため大量に発注、製造されたものの、戦争が早期に終息したために大量の在庫が発生。その結果、市場に大量に放出されることとなり、当時のイギリスの若者の間で丈夫で安く手に入るコートということで人気になり、普及するに至った。
モッズコートという呼称は、[[イギリス]]の[[モッズ]]に愛用されていたことが由来である。[[朝鮮戦争]]で使用するため大量に発注、製造されたものの、戦争が早期に終息したために大量の在庫が発生。その結果、市場に大量に放出されることとなり、当時のイギリスの若者の間で丈夫で安く手に入るコートということで人気になり、普及するに至った。
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現在ではモッズコートという呼称が定着しているが、[[1990年代]]までは「モッズパーカ」「シェルパーカ」などと呼ばれることが一般的であった。この呼称は、1990年代以降の日本のアパレル・ファッション業界が発祥と思われる<ref>[http://parkashell.exblog.jp/11640406/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 モッズコートとは何か?  或いはM-51PARKAは如何にして「モッズコート」となりし乎]</ref>。欧米では裾の独特の形状から「フィッシュテールパーカ」などと呼ばれている。
現在ではモッズコートという呼称が定着しているが、[[1990年代]]までは「モッズパーカ」「シェルパーカ」などと呼ばれることが一般的であった。この呼称は、1990年代以降の日本のアパレル・ファッション業界が発祥と思われる<ref>[http://parkashell.exblog.jp/11640406/ M-51Parkaに関する2,3の事柄 モッズコートとは何か?  或いはM-51PARKAは如何にして「モッズコート」となりし乎]</ref>。欧米では裾の独特の形状から「フィッシュテールパーカ」などと呼ばれている。


国内におけるモッズコートという呼称は、その定義そのものに混乱が見られ、広義のモッズコートは、ミリタリー風コートとほぼ同義で使われていることがある。また、米軍のM-51を冠する衣料は「シェルパーカ」のほかに「ウールフランネルシャツ」、「フィールドジャケット」、「ウールフランネルトラウザー」、「フィールドトラウザー」なども存在し、このことが混乱に一層の拍車をかけている。
国内におけるモッズコートという呼称は、その定義そのものに混乱が見られ、広義のモッズコートは、ミリタリー風コートとほぼ同義で使われていることがある。また、米軍のM-51を冠する衣料は「パーカ」のほかに「ジャケット」、「トラウザー」なども存在し、このことが混乱に一層の拍車をかけている。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2018年11月29日 (木) 12:20時点における版

M-51 Fishtail Parka
M-1951 PARKA SHELL

M-51は、1950年代に採用された米国地上軍の極寒防寒衣料の1951年型モデルを指す。「モッズコート」という呼び名でも知られているが、その由来については後述する。

概要

フィールドジャケット」の上に羽織るコートとして使用し、にはフードが縫い付けられ、フラップ付き大型ハンドポケットが両脇に設置されている。両肩にはショルダーループ(ショルダーストラップやエポレットとも呼ぶ)がある。その他の特徴的なディテールは次の通りである。

フィッシュテール
特徴的な造りとして、裾の後ろが燕尾状に先割れしており、これは「フィッシュテール(: fishtail)」などと呼ばれている。この特徴あるフィッシュテールを持つコートは、このM-51シェルパーカのほか、前身である「M-48シェルパーカ」、後継である「M-65シェルパーカ」などがある。裾に縫い込まれたドローコード(絞り紐)にて下腿に巻きつけられるようになっている。
生地など
生地はオリーブグリーン色の薄手の平織りコットンナイロン地である。
生地のバリエーションとして、厚手のコットンサテン生地の製品も見られ、この厚手生地のタイプは一般的に「初期型」とされていたが、米軍仕様書では1951年3月の初版スペックからすでにコットンナイロンオックスフォード地を指定している[1]ことが確認された。したがって厚手生地の製品の位置付けについては、謎が残されているが、厚生地(コットンサテン、コットンツイル)の製品は、確認できる全例が1951年5月21日付もしくは5月24日付コントラクトであり、また同年の7月31日付コントラクトにはすでに薄生地(コットンナイロンオックスフォード)の製品が観察される。このことにより、初年度においては5月コントラクトのみが厚生地で、7月には薄型に移行したのではないかと考察される[2]
ファスナー、スナップボタン
正面は大型のスライドファスナー(ジッパー)およびスナップボタン(ドットボタン)にて閉じる仕様となっている。ファスナーは、コンマー・プロダクツ製のアルミまたは真鍮タロン・ジッパー製のアルミまたは真鍮、CROWN製亜鉛仕上げなどが観察される。またスナップボタンの主なメーカーは、RAUファスナースコービル・ファスナー、ユナイテッドカー(日本のアパレルブランドとは無関係の米国メーカー)などが観察される。
なお、このパーカ本体(シェル)にはアタッチメントとして、ウールパイル地の防寒ライナーと獣毛でトリミングされた防寒フードを取り付け、より防寒機能を向上させることができる。

呼称

米軍MIL規格mil-p-11013(1951年3月14日[1]により規定される名称は、「PARKA SHELL M-1951」となっている。

モッズコートという呼称は、イギリスモッズに愛用されていたことが由来である。朝鮮戦争で使用するため大量に発注、製造されたものの、戦争が早期に終息したために大量の在庫が発生。その結果、市場に大量に放出されることとなり、当時のイギリスの若者の間で丈夫で安く手に入るコートということで人気になり、普及するに至った。

現在ではモッズコートという呼称が定着しているが、1990年代までは「モッズパーカ」「シェルパーカ」などと呼ばれることが一般的であった。この呼称は、1990年代以降の日本のアパレル・ファッション業界が発祥と思われる[3]。欧米では裾の独特の形状から「フィッシュテールパーカ」などと呼ばれている。

国内におけるモッズコートという呼称は、その定義そのものに混乱が見られ、広義のモッズコートは、ミリタリー風コートとほぼ同義で使われていることがある。また、米軍のM-51を冠する衣料は「パーカ」のほかに「ジャケット」、「トラウザース」なども存在し、このことが混乱に一層の拍車をかけている。

脚注

関連項目