加爾基 精液 栗ノ花

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加爾基 精液 栗ノ花
椎名林檎スタジオ・アルバム
リリース 2003年2月23日
2003年5月27日(アナログ盤)
2008年7月2日(CD-DA再発盤)
録音 黒猫堂スタヂオ
東芝EMI第参スタヂオ
東京オペラシティ コンサートホール
熱海 かじか荘 和楽亭
スタヂオ テラ
ジャンル J-POP
時間 44分44秒
49分8秒(アナログ盤)
レーベル 東芝EMI(当時)/Virgin Music
プロデュース 化猫キラー
チャート最高順位
  • 週間1位(2週連続、オリコン
  • 週間263位(アナログ盤・オリコン)
  • 2003年度年間28位(オリコン)
ゴールド等認定
椎名林檎 年表
唄ひ手冥利
〜其ノ壱〜

(2002年)
加爾基 精液 栗ノ花
(2003年)
平成風俗
(2007年)
加爾基 精液 栗ノ花収録のシングル
  1. 茎(STEM)〜大名遊ビ編〜
    リリース: 2003年1月22日
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加爾基 精液 栗ノ花』(カルキ・ザーメン・くりのはな 英題:Kalk Samen Kuri-no-Hana)は、2003年2月23日東芝EMI(当時)より発売された日本シンガーソングライター椎名林檎の3作目のスタジオ・アルバム。初回生産分のみ「林檎クン眉唾ステツカー」封入(シールを剥がすと24歳当時の椎名の直筆メッセージが見られる仕組み)。ボーナストラックが収録された2枚組仕様のアナログ盤はデビュー5年目の記念日である同年5月27日に発売された。

自身初となるコピーコントロールCD仕様で発売されたが[注 1]、2008年7月2日にデビュー10周年記念アルバム『私と放電』の発売に併せ廃盤となり、新たに通常のCD-DA盤(品番:TOCT-26578)が再発売された。

概要[編集]

本作は2000年に発表された2作目のアルバム『勝訴ストリップ』以来、妊娠出産による活動休止を経て、約3年ぶりに発売されたスタジオ・アルバムである[注 2]。本作は今までの椎名のアルバムでのスタイル「バンド演奏による一発録り」ではなく、オーケストラの演奏やプログラミング等をふんだんに用いて多重録音で成された作品である。当時、引退しようと思っていた椎名は「その場のセッションだけでOKというアルバムを2枚作ったので、やめる前にもう少し楽器の音色や録音技術、その他いろいろな方法を使ったものを一枚くらい作ろう(と思って作った)」と語っている[1]

また椎名本人のセルフ・プロデュースで、過去2枚のアルバムより製作期間が長く、約1年の月日をかけて製作された。編曲については、それまでの椎名の作品ほとんどに関わってきたアレンジャーベーシストである亀田誠治ではなく、レコーディング・エンジニア井上雨迩が椎名とともに担当している[注 3]。また「やつつけ仕事」およびその他収録曲のオーケストラ・パートに関しては、カバーアルバム『唄ひ手冥利~其ノ壱~』の「森パクトディスク」で編曲を担当した森俊之が編曲している。

椎名は予算を気にしながら製作し、なるべく節約するため、自身が所有するマッキントッシュと安価な録音機材と作曲・編集ソフトを用い、大まかなアレンジを井上雨迩と交換しながらしていったという。民族楽器など単品の楽器は自宅の一室で録音し、ストリングスなど大人数を要する物は別々の部屋で同時収録をした。ボーカル・トラック録音の際は「太宰治的体験」をしたいという椎名の要望で、わざわざ熱海の旅館の一室を借りて機材を持ち込んで録音したと話している。

タイトルと構成[編集]

加爾基 精液 栗ノ花
01. 宗教 11. 葬列
02. ドツペルゲンガー 10. ポルターガイスト
03. 迷彩 09. 意識
04. おだいじに 08. おこのみで
05. やつつけ仕事 07. とりこし苦労
06. 茎
合計収録時間四四分四四秒

本作の先行シングルとして、2003年1月22日に『茎(STEM)~大名遊ビ編~』が発売された。表題曲の「茎(STEM)」は本作の中心の曲となっている「茎」として、アルバムバージョンが収録された(歌詞も日本語になっている)。カップリング曲の「迷彩~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~」と「意識~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~」も、それぞれアレンジの異なる「迷彩」「意識」が収録された。また2000年のライブツアー「下剋上エクスタシー」で披露され、シングル集「絶頂集」に収録されていた「やっつけ仕事」が「やつつけ仕事」とされ、森俊之が編曲したものが収録された。当初、2001年に発売されたシングル「真夜中は純潔」より、表題曲「真夜中は純潔」とカップリング曲の「愛妻家の朝食」を対にして収録する予定だったが、製作が進むにつれて本作の世界観に合わないと判断したため収録が見送られた。そのため「真夜中は純潔」はシングル曲でありながら、未だにオリジナルアルバムには収録されていない。

『勝訴ストリップ』発売の際、椎名は3枚目のアルバムタイトルを「不思議・猥雑・エキセントリック」と付け、全編ドイツでのレコーディングで製作し、リリースするつもりだった。なお、後に放送されたスペースシャワーTVによる本作の発売記念特別番組のインタビューによると、「加爾基」が「不思議」、「精液」が「猥雑」、「栗ノ花」が「エキセントリック」の役目を果たしていると語っている。『加爾基 精液 栗ノ花』というタイトルの由来は、スタッフとの雑談中にある二名のスタッフの「精液ってカルキ臭いよね?」「いやの臭いとも聞くよ」というやりとりを聞き、言葉の語感が綺麗だと感じ、タイトルに採用したという[2]

通称は「カルキ」で、略称はタイトルの英題訳からの三つの単語の頭文字を取った「KSK」(ただし「カルキ」はオランダ語である「Kalk」、「ザーメン」はドイツ語 である「Samen」)。また、前作同様、曲目の配置・ブックレットの写真など全てシンメトリーに配置されているが、今作はさらに徹底し、収録曲の使用楽器までもシンメトリーになるようにし、収録総合時間も「44分44秒」と編集作業で調整。ブックレットの歌詞表記に関しては、椎名が歌詞も本作の重要なツールのひとつと考えているため、スタッフの手を借りて旧字体歴史的仮名遣により記載(楽曲の曲番号も統一)。また、ジャケット写真に使われている磁器は、椎名が好きな窯元「館林古琳庵」に特別にオーダーメイドで製作してもらったもの。

プロモーション[編集]

発売直前の2003年2月21日「筑紫哲也 NEWS23」の「金曜深夜便」に出演し、筑紫哲也と対談。「茎(STEM)」も披露された。3月26日には「ニュースステーション」で久米宏と対談、「歌舞伎町の女王」「茎(STEM)」を披露した(斎藤ネコ編曲)。その他、新聞雑誌などでもかなり大きく取り上げられた。本作のCMは「浄瑠璃」を使った国内版・海外版全6種類が製作されたが(同年5月に発売された「賣笑エクスタシー」に特典映像として収録)、さすがにタイトルをそのまま言うのは露骨すぎるため、CM上ではタイトルの代わりに「椎名林檎 三発目自作アルバム」というナレーションと発売日の告知のみをした。また、当時のオリコンランキングを紹介するラジオ番組などでも「椎名林檎新アルバム」とのみ紹介されることもあった。

楽曲について[編集]

壱、宗教 (伍分捌秒)

椎名が一人の日本人として感じた宗教のイメージを表現した曲。椎名本人の演奏するの音色から始まり、Aメロからサビ付近のバンドによるハードな演奏、サビはオーケストラの演奏になっている。なお、バンドパートは椎名、サビのオーケストラのパートは森俊之が編曲している。 この曲は2000年に行った全国ツアー「下剋上エクスタシー」のリハーサル中に出来たもので、サポートメンバーである皆川真人所有のシンセサイザー内蔵のストリングスの音色が綺麗だったことから出来た模様。歌詞中の「振り向くべからず」と「色彩」は「カラーズ」、「覚悟を極めろ」と「芳醇」は「メロウ」という言葉遊びコーラスで繋がっている。また、この曲は「椎名林檎 (生)林檎博'08 ~10周年記念祭~」にて、インストとして披露された。

貳、ドツペルゲンガー (參分肆拾陸秒)

プログラミングが多用されている曲で、過去に発表された曲をサンプリングし収録したメロトロンで演奏されている。なおサンプリングされた楽曲は以下の通り。

參、迷彩 (參分肆拾肆秒)

先行シングル「茎(STEM)~大名遊ビ編~」にカップリング曲として収録されている「迷彩~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~」のアルバム・バージョン。
この曲と対になっている「意識」でのアレンジに関しては井上雨迩と相当議論をしたとのこと。椎名が「エレキギターを入れたアレンジにしたい」と最初に提言したが、井上雨迩が「ギターを入れると今までの「椎名林檎」のアレンジと一緒だからピアノ1本の演奏にしよう」と議論したという。最終的には椎名の要望通りギターが入ったアレンジで、「迷彩」のアレンジはジャズロカビリーが混在したようなアレンジになっている。なおこの曲と「意識」のギターを弾いているのは後の東京事変の2代目ギタリスト浮雲である。プロモーションビデオにも生ヴァイオリンで参加した斎藤ネコと共に出演している。

肆、おだいじに (參分壱秒)

椎名のピアノと井上雨迩のギターによる曲。最初製作時にはドラムスベースなどが入っていたが、椎名曰く「可笑しいアレンジ」になってしまったのでピアノとギターでの編成に変更。

伍、やつつけ仕事 (伍分捌秒)

2000年に行われたツアー「下剋上エクスタシー」で新曲として披露され、3枚組シングル集「絶頂集」に収録された「やっつけ仕事」のアルバム・バージョン。この曲の編曲は森俊之が担当しており、椎名曰く映画ラヂオの時間」風とのこと。冒頭の外国人アナウンサー取材音声はライブ音源で製作した「やっつけ仕事」のミュージック・ビデオ(ミュージック・ビデオ集「性的ヒーリング~其ノ参~」収録)冒頭部分である。また同じく冒頭部分で流れる掃除機の吸引音は兄である椎名純平プレゼントの東芝製の掃除機による音。この曲も「椎名林檎 (生)林檎博'08 ~10周年記念祭~」にて、インストとして披露された。
この曲は舞台俳優脚本家演出家であるケラリーノ・サンドロヴィッチ率いるバンド「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」のカバーアルバム『隣の女』でカバーされている。

陸、茎 (參分伍拾秒)

先行シングル「茎(STEM)~大名遊ビ編~」のアルバム・バージョン。またアナログ盤には「茎(ステム)」を収録(茎のバージョン違い参照)。
この曲は当初「性」というタイトルで製作されており、2000年の頃にはすでに完成していたが、2001年アメリカ同時多発テロ事件で一時期精神的に不安に陥りその時の心情など交えた現在の歌詞に書き変えて収録。なおタイトルの意味は「陰茎」で、性的な意味ではなく種族存続などのことを意味する。

漆、とりこし苦労 (貳分參拾陸秒)

「やつつけ仕事」との対の曲。この曲は民族楽器がふんだんに使用されていたが、編集作業で必要の無い音をだいぶ削ったとのこと。この曲にも浮雲が「口リヅム」というボイスパーカッションで参加している。

捌、おこのみで (伍分肆拾伍秒)

「おだいじに」との対の曲。この曲では椎名の曲では珍しく電子ドラムが使用されている。またピアノにも工夫し、弦に木片やゴムなど挟め金属的な音にする「プリペアド・ピアノ」を使用している。アウトロが次の曲「意識」のイントロと繋がっている。また間奏の車内放送と思しきアナウンスは太田有美によるもの。
オリジナル・ラヴが「“踊る太陽”ツアー」(2003年6月29日~7月21日)にてカバーした。

玖、意識 (貳分肆拾伍秒)

「迷彩」との対の曲で先行シングル「茎(STEM)~大名遊ビ編~」の収録の「意識~戦後最大級ノ暴風圏内歌唱~」のアルバム・バージョン。
なお「迷彩」と「意識」は2007年2月21日発売の斎藤ネコとの共同作品である4枚目のアルバム『平成風俗』にも斎藤ネコのアレンジにより収録されている。

拾、ポルターガイスト (參分肆拾壱秒)

「ドツペルゲンガー」との対の曲。1番はキーボードの演奏で2番からオーケストラによる演奏。会議中にスタッフとの雑談であるスタッフが「ワルツ聴くとついCDを買いたくなる」と発言したことから、全体的にワルツ調のアレンジが施されている。イントロの電車と踏切の音は小田急線のものであり、歌詞も「小田急線の途中というストーリー」であることが当時のインタビューで語られている。また、踏切の音の収録の行きと帰りで、「ドツペルゲンガー」で用いられているバスの音も録られたという。
この曲も『平成風俗』にて斎藤ネコのアレンジにより収録され、そちらは全編ストリングスによる演奏となっている。

拾壱、葬列 (伍分拾貳秒)

この曲は椎名が16歳の時には出来ており、1作目のアルバム『無罪モラトリアム』に収録しようか迷った際、プロデューサーの亀田誠治に相談したところ、「迷うなら良い機会まで取っておきなさい」と助言され本作まで取っておいたとのこと。なお歌詞に関しては深い意味は無いとのこと。長らくソロのライブでは披露していなかったが、2006年に行われた東京事変のコンサート「東京事変 DOMESTIC! Virgin LINE」での演奏後、2014年には「(生)林檎博'14 ―年女の逆襲―」でソロでもライブ初披露となった。

拾貳、映日紅の花(肆分參拾貳秒)

本作のアナログ盤に「伍周年大感謝メモリヤル単曲」として収録された楽曲(同日に発売された九段会館でのコンサートイベントを収録したDVD「賣笑エクスタシー」に付属されているCD「御宝コンパクトディスク」、2008年に発売された10周年記念アルバム『私と放電』にも収録された)。本作の収録曲「迷彩」、「とりこし苦労」、「意識」にも参加している浮雲が椎名のために書き下ろし、編曲も担当している。これまでにも、椎名の作品に於いて共作曲は発表されたことはあったが(例として「メロウ」や、発育ステータスとして発表した楽曲)、椎名以外の人物が単独で作曲をした楽曲が発表されたのは2011年時点で本楽曲のみ。後に浮雲は、2007年に椎名林檎×斎藤ネコ名義で発表された『平成風俗』でも楽曲を提供している。
全作詞
  • 椎名林檎
作曲
  • 椎名林檎
  • 浮雲(アナログ盤のみ収録の「映日紅の花」)
編曲・録音
  • 化猫キラー(椎名林檎と井上雨迩のユニット名)(M5以外全て)
  • 森俊之(M1.2.5.10)
  • 浮雲(アナログ盤のみ収録の「映日紅の花」)

収録曲[編集]

CD
# タイトル 作詞・作曲 編曲 時間
1. 宗教 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
2. ドツペルゲンガー 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
3. 迷彩 椎名林檎 化猫キラー
4. おだいじに 椎名林檎 化猫キラー
5. やつつけ仕事 椎名林檎 森俊之
6. 椎名林檎 化猫キラー
7. とりこし苦労 椎名林檎 化猫キラー
8. おこのみで 椎名林檎 化猫キラー
9. 意識 椎名林檎 化猫キラー
10. ポルターガイスト 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
11. 葬列 椎名林檎 化猫キラー
合計時間:

アナログ盤

Side A
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
1. 宗教 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
2. ドツペルゲンガー 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
3. 迷彩 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
Side B
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
4. おだいじに 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
5. やつつけ仕事 椎名林檎 椎名林檎 森俊之
6. 茎(ステム) 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
Side C
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
7. とりこし苦労 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
8. おこのみで 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
9. 意識 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
Side D
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
10. ポルターガイスト 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー、森俊之
11. 葬列 椎名林檎 椎名林檎 化猫キラー
12. 映日紅の花 椎名林檎 浮雲 浮雲
合計時間:

演奏[編集]

宗教 と 葬列


ドツペルゲンガー と ポルターガイスト

  • 栗ノ花薫オーケストラ(統率:後藤勇一郎):管弦樂
  • 森俊之:管弦樂アレンヂ
  • 井上雨迩:電子メロトロン、電気式ベース


迷彩 と 意識

  • 秘密部隊(統率:椎名林檎)
浮雲常用テレキャスター
鰰澤亜人:生ドラム
渡辺等:電気式ベース、生ウッドベース


おだいじに と おこのみで


やつつけ仕事


とりこし苦労



映日紅の花

  • 林檎:ボイス
  • 浮雲:ギター
  • 雨迩:ベース

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 先行シングル『茎(STEM)~大名遊ビ編~』では通常盤のみコピーコントロールCD
  2. ^ ただし2002年5月に2枚組のカバーアルバム『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』を発表しているため、アルバムとしては約9ヶ月ぶりとなる
  3. ^ ユニット名は「化猫キラー」。

出典[編集]

  1. ^ 「椎名林檎 ソロ5年半ぶりの傑作『日出処』のすべて」、『ROCKIN’ON JAPAN 12月号』第28巻第17号、ロッキング・オン、2014年12月、 48-72頁、2014年11月23日閲覧。
  2. ^ 2003年1月21日放送『筑紫哲也 NEWS23』(TBS)。