カリンバ
カリンバ(KalimbaまたはCalimba)とは、箱に並んだ細い金属棒を弾いて演奏するアフリカの楽器[1]。サムピアノ(thumb piano)[1]あるいはハンドオルゴール[1]ともいう(他の名称については#名称を参照)。
板や箱の上に並んだ鉄や竹の棒を親指の爪ではじいて演奏する。形状も作る人によって様々で、並んでいる棒の数すら決まっていない。棒の部分に金属片が付けられたり、箱にビンのふた等が付けられたりして、振るだけでも鳴るものもある。古くは貝殻が多く使用されていた[2]。
概要[編集]
アフリカ・ジンバブエに住むショナ族古来の民族楽器である[2]。ショナ族では、祭礼や儀式の時に先祖の霊やスピリット(精霊)との交信をするために演奏されてきた神聖な役割を持つ楽器である[2]。
歴史[編集]
ショナ族は、太古の昔からムビラを演奏して、先祖たちの魂や自然、精霊などに祈りを捧げてきた[4]。彼らは、雨を降らすためや病気を治すためや冠婚葬祭の時、ムビラを弾いて祈りを捧げていたとされる[4]。
楽器のルーツは3000年ほど前に遡り、最初は竹を用いて作られていた[5]。現在の金属製のものについては、1300年ほど前には存在していたことが確認されている。
ちなみに、ショナ族はジンバブエの人口の82パーセントを占めている[6]。
儀式[編集]
作物の不出来や何か悪いことが起こると先祖に対していけないことをしたという解釈をして、先祖にアドバイスを受けるために儀式を行う[3]。儀式においては霊媒師がムビラの演奏によってトランス状態になり、先祖の霊が乗り移ると集まった人々に忠告などを与える[3]。ムビラ音楽に乗って人々は日没から夜明けまで一晩中踊る[3]。
使い方[編集]
基本的には、中央部が低い音、左右の端にいくほど高い音になるという構造である[5]。楽器は、伝統的なアフリカの調律をもとに作られており、西洋音楽の「ドレミファソラシド」ではない[5]。
木の板に細長い金属片の一端を固定し、反対側を指で弾いて音を出す[7]。本体は共鳴と音の大きさを得るためにデゼと呼ばれる半球形の瓢箪の中に固定される[7]。デゼ、あるいは木の板には金属片(王冠、ナット、貝殻等)が可動状態で取り付けられ、楽器の振動によりジージーと音を出す[7]。
小型の楽器のため、音を増幅するために、「Deze:デゼ」と呼ばれる「ひょうたん」を使うなど、演奏の工夫もされている[5]。
名称[編集]
親指ピアノの名称は地域によって異なり、リンバやムビラ(ンビラ)、デングー、リケンベ、サンジ、サンサ、マリンバ等アフリカの多くの地域で普及している。楽器の分類上では、ラメラフォーンが総称だが、カリンバという商品名が世界で普及したため、これが通称として知られることになる。
カリンバはアース・ウィンド・アンド・ファイアーのモーリス・ホワイトが愛用している楽器でもあり、彼のプレイで世界的に知られることになる。彼はまたカリンバ・エンタテインメントというセルフ・プロダクションを設立している。
メディア[編集]
出典[編集]
- ^ a b c d 楽器紹介 JEI ONE
- ^ a b c “Mbira Junction / ムビラとは”. www.mbirajunction.com. 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b c d “ムビラとは? ムビラの歴史、スピリットを降ろす儀式、現地に伝わる伝説の説明 | MBIRA ZVAKANAKA” (日本語). 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b “ムビラとは”. www.mbira.jeez.jp. 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b c d “ムビラを称えて”. 2020年5月21日閲覧。
- ^ “ムビラとは”. www.mbira.jeez.jp. 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b c “ムビラ図鑑”. home.att.ne.jp. 2020年5月21日閲覧。
関連項目[編集]
- BUN - 日本人のカリンバ奏者
外部リンク[編集]
- スズキキヨシ 日本のカリンバ奏者/アートカリンバ制作者/パーカッショニスト
- カリンバがすき!
- Marimbula Photos
- 山田晴三 - archive.today(2015年8月1日アーカイブ分) 日本のカリンバ、ベース奏者
- ロビン・ロイド 京都在住のカリンバ、打楽器、その他マルチな楽器奏者
- サカキマンゴー 鹿児島県出身の親指鍵盤奏者。ピックアップ付きの電気的増幅可能な親指鍵盤の他、アフリカの民族楽器も演奏している。
- 創作カリンバ工房オリジナルカリンバの製作・販売・演奏