ダース・シディアス

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ダース・シディアス
Darth Sidious
スター・ウォーズ・シリーズのキャラクター
初登場 帝国の逆襲』(1980年)
エレイン・ベーカー
イアン・マクダーミド
クライヴ・レヴィル
ニック・ジェイムソン
イアン・アバークロンビー
ティム・カリー
プロファイル
種族 ヒューマノイド
性別 男性
地位 シスの暗黒卿
銀河帝国皇帝
銀河共和国元老院最高議長
母星 ナブー
所属 シス
銀河帝国

ダース・シディアスDarth Sidious)は、アメリカ映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する架空の人物。

「ダース・シディアス」の名はシスの暗黒卿となった際に授かった名前で、本名はシーヴ・パルパティーンSheev Palpatine)である。

概要[編集]

シスの暗黒卿としての名はダース・シディアス。シスとなる以前の本名はシーヴ・パルパティーンSheev Palpatine)。銀河共和国最後の元老院最高議長であり、銀河帝国の初代皇帝でもある。

「エピソード4~6」では、銀河帝国の最高権力者ゆえ矢面には立たず、弟子のダース・ベイダーが彼の手足となり帝国の恐怖を体現する象徴的存在として働いた。そのため劇中での出番は少ない。しかし、『エピソード4』にてターキン総督が、デス・スターの完成をもって「どの星系も、皇帝には逆らうことはできない」と発言したり、『エピソード5』では「ダース・ベイダーは暗黒面の支配者ですか?」と問うルーク・スカイウォーカーヨーダは「違う」と答える[注釈 1]など、ベイダーの上に君臨する存在が示唆され、『エピソード6』ではヨーダが今際の際にルークへ最期に発した言葉は「皇帝の力を侮るな」であるなど、本人の登場場面が少なくとも、その存在は暗喩的に最大の敵であることが再三示唆されていた。また、ダース・ベイダーがルークに対して「お前なら皇帝にすら勝てる」と発言したのは、自身の力では皇帝には勝てないことを示しており、それゆえベイダーはルークを自身の下へ引き入れようとしていた。

「エピソード1~3」では、元老院議員として登場、銀河皇帝へ登り詰める軌跡が描かれた。『エピソード3』では初めて本格的な戦闘シーンを披露し、ヨーダと互角以上の戦闘を行うなど、その高い実力を見せた。彼こそがダース・ベイダーを作り出した張本人にして、「エピソード1~6」における一連の銀河内乱の元凶であり、「エピソード1~6」は見方を変えれば彼の壮大な野望の実現と消滅を描いた物語ということも出来る。

生涯[編集]

ナブー時代[編集]

パドメ・アミダラと同じ惑星ナブーのEderlathh Pallopidesという地方出身の人間であるが、家族や先祖、更には幼少時代に関する詳しい記録は一切残っていない。苦労の末に政治家への道に進んだものの、その道程は余り順風満帆ではなかったようである。特に若い頃は失態に次ぐ失態続きで、とても将来には元老院議員、ましてや銀河の支配者になろうとは誰も思ってなどいなかった。だが彼は、ジェダイ並みの類い希なる忍耐力を秘めており、シスたるには最早十分であった。その忍耐心は、自身の強固な権力欲に支えられていた。

彼がシスの道へと入った経緯も、その時期もはっきりとは示されていないが、『エピソード3』での自身の発言から、ダース・プレイガスというシス・マスターの下で修行を積み、両手同時にあらゆる武器を使い熟す高い戦闘能力や、人心を巧みに操る能力、フォース・ライトニングに代表される暗黒面のフォースなど、超絶的なシスの技を完全に会得した後、師の寝込みを襲って殺害し、自らシス・マスターとなったとする見方が有力である。

シスの力の賜物なのか、彼はナブーの国政で急速に頭角を現し、君主であるヴェルーナ王をも凌ぐ程の実力者にまで昇りつめた。後にヴェルーナ王が失政により退位を余儀なくされた時には、既に銀河共和国元老院の有力議員ともなっており、彼が実質的なナブーの支配者であることは最早間違い無かった。

元老院議員時代[編集]

彼は普段、銀河元老院議員「シーヴ・パルパティーン」としての表の顔を装いながらも、裏ではシスの暗黒卿「ダース・シディアス」として銀河帝国の樹立とジェダイの殲滅とを狙い、巧みにその手腕を発揮して行った。

やがて共和国内部の政治腐敗が進み、日常的に賄賂が横行していた元老院に於いて、各議員に対する根回しは早くから行っていたものと考えられる。彼は水面下で、議長の座を得る為の機会を密かに窺っていた。

次第に分裂し弱体化しつつあった銀河共和国に於いて、分離主義者による脅威を煽り、それを現実問題として利用する為に暗躍。エピソード1では、表向きは惑星ナブーのアミダラ女王の側近として活動し、裏ではシディアスとして、弟子のダース・モールと共に通商連合ヌート・ガンレイ総督を利用し、ナブーを侵略させた(ナブーの戦い)。更には、この侵略を利用してフィニーズ・ヴァローラム最高議長を失脚させ、同情票を集める形で思惑通りに元老院最高議長の座を掴んだ。

しかし、その混戦の中で「ジェダイですら敵うまい」と絶賛していた愛弟子のダース・モールを倒されたことで、新たな弟子に相応しい者、即ちモールをも越える強力なフォースを持ち、更にフォースの暗黒面に染まり易い者を強く求める様になる。

元老院最高議長時代[編集]

パルパティーンは、自らクローン大戦への布石に着手した。元老院最高議長として、ジェダイ・マスターのサイフォ=ディアスと秘密裏に協議した彼は、来たるべき危機に備えると云う名目で、膨大なクローン・トルーパーを惑星カミーノに発注する様に要請した。これが後に、共和国軍の兵士となるクローン兵である。永らく共和国を案じていたサイフォ=ディアスは、自身の名義でクローン軍を発注したことを最高議長とカミーノ人以外には極秘にしていた。だがシディアスは、密かにこの発注計画の乗っ取りを画策する。

そして同じ時期に、元ジェダイ・マスターのドゥークー伯爵(ダース・ティラナス)をシスの新たな弟子に迎えた。ドゥークーは、彼の高名なジェダイ・マスターヨーダの直弟子であり、またダース・モールにより殺されたクワイ=ガン・ジンの師でもあった。ここでパルパティーンは、ドゥークーの旧友であったサイフォ=ディアスの殺害を、ドゥークー本人に命じた。これはサイフォ=ディアスが最高議長とカミーノ人以外には極秘としていた、クローン軍団の発注計画を乗っ取ると同時に、ドゥークー伯爵がシスに対して、どれ程の忠誠を尽くしているかを試すテストでもあった。

また最高議長としては、親子程も年の離れた、若きジェダイのアナキン・スカイウォーカーに特別目を掛ける様になり、一方のアナキンもまた、父を持たぬ身としてパルパティーンを深く慕い始めていた。当時、アナキンから「父」と見做されていたオビ=ワン・ケノービは、師と云う立場から、アナキンに家族としての愛情を表現することは出来ず、対照的にパルパティーンはあからさまにアナキンを可愛がった。数年後には、アナキンのオビ=ワンに対する表現は「父」から「兄弟」へと変化する様になる。以前にアナキンがタスケン・レイダーを虐殺したこともパルパティーンは知っており、ジェダイはおろか、妻のパドメよりも多くの事をアナキンから打ち明けられる立場となっていたのである。

そして時が過ぎ、彼のクローン大戦への布石が漸く効果を発揮する。共和国と度々衝突していた、通商連合等を始めとする大規模な企業グループから成る独立星系連合が、惑星ジオノーシスで大量のバトル・ドロイド等の兵器を量産し、共和国との開戦が可能になっているとの報告がもたらされたのである。これを受け、「分離主義者達との戦争は最早避けられない状況であり、非常時には強力な権力が必要である」として、元老院のジャー・ジャー・ビンクス代議員(パドメの代理)からパルパティーンに対し、非常時大権を与えるとの内容の動議が提出され、結果満場一致で可決された。だが実際には、パルパティーンがジャー・ジャーの人の良さに付け込んで根回しをし、無理やり提出させたと言っても過言ではないものであった。パルパティーンはこの権限をあくまで一時的なものとは断りながらも、早速共和国軍の創設を宣言し、手に入れたばかりの非常時大権を行使して、クローン軍を共和国の正規軍として採用し、こうして創設された共和国軍は、激戦地のジオノーシスで独立星系連合軍と交戦し勝利した。この戦いを発端に、後世に至る迄銀河史上稀に見る壮大な戦いとして歴史家に認識されているクローン大戦が勃発した。

クローン大戦[編集]

ドゥークー伯爵率いる独立星系軍は、共和国軍との戦争で銀河各地に争いの種を蒔いた。結果、多くの文明的な惑星を荒廃させ、共和国の政治・行政指導能力を壊滅寸前にまで追い込んだ。疲弊した民主主義の中で、大権によりあらゆる手続きを省き迅速に対処するパルパティーンの強権政治は人気を博した。少なくとも表向きには平等な人物であったパルパティーンは強い指導者として銀河に欠かせぬ存在となっていた。戦争の早期終結の大義名分の元、任期満了後も元老院から留任を求められる形で最高議長の座に留まり続け、幾度も法律を改正して多くの権限を手中に収めていった。

そして、独立星系軍が劣勢となりつつあったクローン大戦末期、パルパティーンは一つの大きな賭けに出た。ドゥークーとグリーヴァス将軍が率いる大艦隊に、共和国の首都惑星であるコルサントを襲撃させ、自分自身を誘拐させる自作自演に出る。片やドゥークーは、ジェダイを誘き寄せて殲滅し、アナキン・スカイウォーカーを暗黒面に誘惑すると云う作戦と聞いていたが、そこにはドゥークーよりも更に若く、より強力な力を見せていたアナキンを据えようとしていたパルパティーンの二重の陰謀があった。パルパティーンの思惑通り、アナキンは無抵抗のままのドゥークーを殺害し、暗黒面へと堕ちる片鱗を見せた。ここで、殺害を悔いるアナキンに対し「前に話してくれただろう、母と彼女を殺したサンド・ピープルについて」と語っていることから、パルパティーンがサンド・ピープルを虐殺した一件をアナキン本人から打ち明けられていたことが分かる。この際、始末される筈であったオビ=ワンは生き延び、逆に捕らえる筈のグリーヴァスは逃亡すると云う二つの誤算が生じた。

ともあれ、謀られた救出劇でのアナキンの活躍を絶賛したパルパティーンは、ジェダイ評議会に対して彼を「最高議長の代言人」として評議員に加えるよう提案。ジェダイ評議会はこれを渋々承認するが、逆にアナキンに対してパルパティーンのことをスパイするよう命じた。評議会はパルパティーンの独裁的な姿勢に疑問を持ち、彼の近くにシスがいるのではないかと疑っていたのである。アナキンはパルパティーンへのスパイ任務を承諾したが、評議会への不信感を抱くようになる。反対に長年父のように慕い、常に自分の実力を評価し、励ましてくれるパルパティーンをアナキンはこれまで以上に信頼するようになっていた。また、評議員に加えながらマスターの地位は与えないというジェダイ評議会の決定もスパイ任務と同様にアナキンのジェダイに対する不信感を増大させた。

そんなアナキンの立場を見透かしたかのようにパルパティーンはアナキンに繰り返し助言し、シスには人を死から守る術(ダース・プレイガスの秘技)が存在すると吹き込んだ。そしてアナキンが分離主義者達の最後の柱であったグリーヴァス将軍と共和国軍が交戦状態に入ったと報告に現れた時、パルパティーンは自分がシスの暗黒卿「ダース・シディアス」であることを暴露し、自分の弟子になれと提案する。自分の人柄に心酔し、最愛の妻であるパドメ・アミダラの死を恐れ死人を生き返らせる術を会得したがっているアナキンが既に弓を引くことができないとの確信があったからである。

アナキンから報告を受け、ジェダイ・マスター、メイス・ウィンドゥは、同行を申し出たアナキンをジェダイ聖堂に留め置き、エージェン・コーラーセイシー・ティンキット・フィストーらジェダイの騎士と共にパルパティーンを拘束するため、彼の元へ乗り込んだ。メイス達と対面したパルパティーンは、自分が逮捕されることを聞くと、長い間溜め込んでいたジェダイに対する憎悪を開放するかのごとく奇声を上げて跳躍しながらジェダイに襲い掛かった。真紅のシスのライトセーバーを振るい、瞬時にエージェン・コーラーを倒し、次いで仲間の死にひるんだセイシー・ティンを殺害し、続いて数太刀打ち合っただけでキット・フィストーも倒した。だが、ジェダイの中でも屈指の実力を誇り、特にライトセーバー戦においては最強とも評されたメイスには苦戦し、ライトセーバーを蹴り落とされて(小説版では斬り捨てられて)危機に瀕した。

その時、アナキンが現れた。アナキンはパルパティーンがメイスによって殺され、愛する妻の死を避ける唯一の方法である死人を生き返らせる秘術が永遠に失われてしまうことを恐れてやってきたのである。パルパティーンは、メイスの勝利宣言に怒りを覚え、フォース・ライトニングを放つが、メイスのライトセーバーで偏向され、顔は醜く歪み、顔色は白く、黄色い眼となった。メイスと、パルパティーンは互いを反逆者と呼び合いアナキンは混乱する。だが、アナキンの目にはパルパティーンはメイスに必死に抵抗する丸腰の弱々しい老人にしか見えなかった。そして必死に命乞いをするパルパティーンを殺そうとするメイスを説得しようと試みるが、それに構わずメイスはパルパティーンを殺そうとしたその時、アナキンはとっさにライトセーバーを振るいメイスの手をライトセーバーごと切り落としていた。この時を待っていたパルパティーンは全身全霊を込めたフォースの電撃を放ち、メイスはコルサントの摩天楼に向かって吹き飛ばされた。弱ったふりをしていたのは、アナキンを暗黒面へと引き込むための作戦であり、嘘の命乞いであった[1]。こうして許されざる行為に全てを失ってしまったアナキンをシスの暗黒面に引き入れることに成功し、シディアスはアナキンをシスの弟子としダース・ベイダーという名を与えた。

機は熟したと見たシディアスは、全銀河のクローン・トルーパーに対して「オーダー66」を発令した。これは銀河各地のジェダイを共和国に反旗を翻した反逆者として急襲し抹殺せよという、クローンに製造段階で密かに組み込まれたプログラムである。ベイダーことアナキンに対しては、ジェダイ聖堂に残る全てのジェダイの抹殺と、惑星ムスタファーに立て籠もるヌート・ガンレイ総督をはじめとする分離主義勢力の幹部たちの殺害を命令した。オーダー66によって、銀河全体に広く散らばっていたジェダイは大半が殺され、ジェダイ聖堂にいた者たちはベイダーとクローン・トルーパーの特殊部隊・第501大隊によって、子供のパダワンまでもが皆殺しとなった。

ここで元老院に立ったパルパティーンは、ジェダイに襲われて自らの顔が醜く歪んだと非難し、ジェダイが共和国に対し反乱を起こしたことを議員達に説明して、ジェダイ抹殺を正当化した。そして銀河の平和と新たな秩序の構築の為に、自ら全権を以て事にあたる為、旧来の共和国による統一的支配を継承する旨を宣言した。この提案は、元老院での彼の支持者達の大喝采により承認され、銀河共和国を法的に継承する銀河帝国の終身皇帝として全銀河の頂点に君臨した。尚、この宣言とほぼ同時に、以前からパルパティーンへの権力集中を危惧し、その独裁に異議を唱えていた元老院議員達は、一方的に「国家の敵」とのレッテルを貼られ、全員身柄を拘束されたとされる(ただし、ベイル・プレスター・オーガナモン・モスマのように、表面上は新帝国の支持者を演じることで、その難を逃れた者もいる)。こうしてシディアスは歴代のシス卿達が果たせなかった、ジェダイの殲滅と銀河系支配の確立とを、合法的に行うことに成功したのである。

こうして、長きに亘り共和国の平和と秩序を守って来たジェダイ騎士団が壊滅し、銀河系の経済に大きな影響力を持つ通商連合等の巨大企業(分離主義勢力を構成)の巨頭達が命を落とし、更に、自らに異議を唱える元老院議員達を排除したことで、シディアスの銀河支配の障害となる存在の大半は消滅した。

しかし、銀河皇帝となったパルパティーンの下へ、ジェダイ・マスターヨーダが単身乗り込んで来る。彼は「オーダー66」から逃れたジェダイの一人であり、銀河唯一のグランド・マスターの称号を持つ実力者であった。ヨーダは「お前の支配は今日限りだ」と宣告し、皇帝もこの最後の障害を取り除くべく全力で迎え撃った。だがシスの暗黒卿の力は、ヨーダの予想を遥かに上回っていた。激闘の末に最早勝ち目は無いと悟ったヨーダは、クローン・トルーパーによる捜索の手を逃れ、密かにベイル・オーガナ議員の手引きによって元老院ビルから脱出した。とうとう決着を付けることは出来なかったが、皇帝は最後の障害を取り除くことに成功したのであった。

一方同じ頃、ムスタファーではダース・ベイダーがもう一人のジェダイの生き残りオビ=ワン・ケノービと戦って敗北し、サイボーグになることを余儀なくされた。シディアスはそれより少し前にベイダーの危機をフォースで予見し、ヨーダの捜索をクローン・トルーパーに任せ、自ら救援を指揮して彼の命を救った。彼はベイダーがかつての自分と同じように、師である自分を倒し、皇帝の座と銀河の支配権を手に入れようと欲していることもまたフォースによって見抜いており、以後、サイボーグ化されていない完全な、そしてより従順な弟子を手に入れることを密かに望み始めたのだった。

銀河帝国皇帝時代[編集]

銀河皇帝の権力は、共和国最高議長としての権力に、クローン大戦時に掌握した非常時大権を常時大権として付加したものである。これにより皇帝は、最高指揮官として軍を思う儘に動かす事が出来、更に、法廷に於いては絶対的な権限を持つ裁定者となった。新たな秩序を求めた人々は銀河帝国の建国を喜び、銀河皇帝の誕生を心の底から喜んだ。しかし、権力を無暗に行使しなかった最高議長時代とは違い、今や皇帝は自らの欲望の儘に権力を自由に用いた。

人間種族である彼は、自身の政権や軍事力を構成するにあたり当り、同じ人間(特に男性)のみを重用し、幾つかの例外を除き殆どのエイリアンを公式に奴隷化することを許可した。皇帝となった彼はその絶対権力の名の下に、これらの勢力を力で弾圧し始めた為、帝国に対する反対勢力の軍事蜂起が始まるのにそう時間は掛からなかった。とは言え、有能なエイリアンに対しては個人的に目を掛けることもあった。また、シディアス時代にはダース・モールを、元老院最高議長としてはマス・アミダやスライ・ムーアらを重用している様に、本質的には種族の違いよりも、自身に忠実且つ利用価値の有るか否かが重要であり、例え人間であっても逆らう者は皆殺しにしたことから、この人間中心主義は帝国による分割統治や、銀河の大多数を占める人間種族の不満を逸らす為の政策と云う面も強い。また、正史の小説「ターキン」では独立星系連合の大多数を人間以外の種族が占めていた事から、クローン大戦時に独立星系連合側に加担した種族への報復や、こうした種族が独立星系連合の残党として帝国への反抗活動を行う事を牽制する意味もあった事が示唆されている(しかし、一方でクローン大戦時に共和国側に加担した種族の中にも同様に奴隷化や弾圧の標的となった種族が数多く存在している)。


銀河各地で蜂起した反乱同盟軍にかつての銀河元老院の影を見たシディアスは、ここで元老院を永久に解散し、各星系に帝国軍の総督を置いて、軍事的威圧による直接支配に乗り出した。その象徴として、惑星さえ破壊可能な巨大宇宙要塞、デス・スターを建造したが、反乱同盟軍の起死回生的な作戦によって敢え無く破壊されてしまった。やがて、デス・スターを破壊した反乱軍兵士がベイダーの息子のルーク・スカイウォーカーであることを知ったシディアスは、若き日のアナキンに比肩し得る強力なフォースを見せていたルークを自陣に引き入れようと画策し始める。

エンドアの戦いの最中、第二デス・スターに於いてルークとベイダーが遂に対決を果たす。ベイダーを追い詰めたルークに、シディアスはかつてベイダーにドゥークーを殺させて暗黒面へと引き込んだ時の様に、父であるベイダーを殺す様彼に促すが、ルークは強い意志でそれを拒否した。ここに至ってシディアスは、最早ルークをシスの新たな弟子とするのは不可能と判断し、フォース・ライトニングによってルークを殺そうとした。しかしそれを見ていたベイダーが、かつてパルパティーンに言われるがままに、ドゥークーやメイスを殺めた若き日の自分とは全く違う、息子のジェダイとしての毅然とした姿と、ただ一心に父を信じ続ける強い叫びに心を打たれ、遂にジェダイ騎士アナキン・スカイウォーカーとして復活。シディアスは彼の捨て身の行動で滅ぼされた。一方のベイダーも皇帝の電撃によって生命維持装置が破壊され、間も無く命を落とした。これにより、史上初めて銀河の恐怖支配に成功したシス帝国は、遂に終焉を迎えたのである。帝国誕生から約23年後のことであった。

能力[編集]

戦闘能力
ジェダイ騎士団の中でも最高位のマスターであるヨーダと互角以上に戦える高い戦闘力を持ち、ヨーダも暗殺は不可能と撤退を余儀なくされた。また、大火傷が原因で期待された潜在能力の全てが開花しなかったとはいえ、暗黒面のフォースを身に着け、多くのジェダイを死に至らしめるほどの高い戦闘能力を持つダース・ベイダーをもってしても、若い頃の自分と同等の才能を持つルーク・スカイウォーカーの潜在能力を利用せねば、倒すことは不可能と判断させるほどの存在であり、「エピソード1~6」までの登場人物の中では最強クラスの実力を誇る。
ダース・モール曰く「銀河で最も強い力の主[2]」で、並外れた実力を持つドゥークー伯爵でさえ、ダース・モールに匹敵するほどの実力の戦士と組む事で果たして渡り合えるかどうか、という立場に立てるという[3]。そのため、熟練のジェダイやシスでも、単身では勝負を決して挑むべきではない存在と見なされていた。事実、ダース・ベイダーの捨て身の行動で倒された際も、ベイダーが自身を裏切りようがないという皇帝の過信と、ルークを攻撃することに意識が集中していたことでベイダーの命懸けの不意打ちが成功して倒された。
ライトセーバーを「ジェダイの武器」と捉えており、積極的には用いず、フォースを用いた戦闘を好む。特に『エピソード3』や『エピソード6』で使用したフォースによる電撃「フォース・ライトニング」を得意技としている。だが、ライトセーバーにおける戦闘も、エージェン・コーラーらジェダイ・マスターの手練れ3人を一瞬にして斬り捨ててしまうほどにその技量は高い。
基本的には、フォースのみを用いるか、それと併用してライトセーバーの一刀流で戦闘するが、ライトセーバーは服の左右の袖口に各1本づつ、予備分を含めた計2本を携行しており[注釈 2]、使用時には袖口から射出されるように飛び出し手中に収まる。また『クローン・ウォーズ』シーズン5では、かつての弟子ダース・モールとその弟サヴァージ・オプレスの二人と対峙した際には、予備分のライトセーバーも使っての二刀流を披露し二人同時に相手しながらも圧倒している。この戦いの際にも前述の理由からか、戦闘中にも用途が終わる度にライトセーバーの光刃を収納しながら戦っている。
この他にも、フォースで周囲の物体を操り敵へ投げつけたり、人の心を操る「マインドトリック」や予知能力など、フォースのあらゆる力を駆使することができる。これに併せて巧みな話術で、ドゥークー伯爵やアナキン・スカイウォーカーなど熟練のジェダイを説き伏せ暗黒面へと引きずり込んでいる。
ジェダイに匹敵するほどの忍耐力を持ちながら、必要とあれば一気にその凶暴性を爆発させることができ、攻撃の際には一切のためらいを持たないことも最強のシスたる所以だといえる。
『エピソード6』では、ヨーダと同じく戦闘時以外の歩行では杖を突いて歩いていたが、フォースを操る戦闘能力はまるで衰えを見せなかった。ダース・ベイダーも高い実力を保持していながらも、自身の力ではシディアスを倒すことは不可能と諦め、息子ルークの類稀な潜在能力をもって打倒を試みていた。
政治的手腕
知略謀略に極めて優れ、片や分離主義者たちの黒幕ダース・シディアス、片や元老院議長パルパティーンという一人二役を演じ、また周囲の状況と人物達を的確に利用してゆく事で、表面上においては現行法に違反することなく万雷の拍手の中、合法的に銀河帝国を作り上げた。また有能なジェダイを誘惑する際、アナキンに対して自分の弟子となることを強制せず、敢えて自らに選択させて後戻りできなくするなど、単なる策士ではなく、政治的駆け引きに長けた部分も持ち合わせていると言える。
パルパティーンが皇帝になる経緯について、スタッフはヒトラーカエサルなど歴史上の独裁者の手腕を参考にしたという。

レジェンズ[編集]

2012年ウォルト・ディズニー・カンパニーによる『スター・ウォーズ』シリーズの制作会社ルーカスフィルム買収に伴い、それ以前に展開していたスピンオフ(外伝)作品は「レジェンズ(非正史)」として分別されることになった[4]。以下は、それら「レジェンズ」に属するスピンオフ作品での設定を挙げる。

  • 最高議長への急激な権力集中を危惧し、パルパティーンに異議を唱えた元老院議員達も少なからず存在し、パドメを筆頭に2000名が名を連ねる請願書が提出されたが、それでも議長の独裁を食い止めることは出来なかった。この設定は映画から削除された未公開シーンとして収録され、現在はレジェンズとなった小説などでも言及されているが、正史の作品には登場していない。
  • スター・ウォーズ クローン大戦』では誘拐事件の詳細が描かれ、グリーヴァス将軍はダース・シディアスとパルパティーンが同一人物とは知らなかったため、逃亡する際に艦船の窓を割り、パルパティーンを殺しかけている。
  • 銀河帝国時代には数多くのダーク・ジェダイを訓練し、マラ・ジェイド、エグゼクター・セドリス、ジェレクのように裏工作を専門とする刺客“皇帝の手”など、ダーク・ジェダイにより構成された役職をいくつも創設している。正史の作品ではそうした役職のうちジェダイの生存者の抹殺やダークサイドへの誘惑を専門とする“尋問官”のみが存在を確認されている。
  • ジェダイの帰還』の小説版では、彼の口元からは「腐臭が漂う」という表現がある。『シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア』では、犯罪組織「ブラック・サン」の首領プリンス・シゾールの印象では「生ける屍」と語られている。
  • 彼はダース・ベインの掲げた2人の掟に従った最後のシスの暗黒卿であり、銀河系の歴史上において最も強大なシス卿の一人であると考えられている。コミック『ダーク・エンパイア』(邦訳版は小学館より)では、パルパティーンの魂は生き残り、ディープ・コアの惑星ヴィスに作っておいたクローン施設で自分のクローンを作り、自身の魂を乗り移らせて復活する[5]
  • スローン大提督による攻勢で疲弊した新共和国の隙を突いて再び銀河の覇権を手に入れようとし、「ワールド・デヴァステイター」や超弩級スーパー・スター・デストロイヤー「エクリプス」などの軍事力を温存していた。一時はルークをダークサイドに引き込み自分の弟子とする。しかし、ルークやレイアハン・ソロなどの反乱軍の英雄たちやジェダイによる反撃、また内部からの裏切りによって失敗し、その魂は永遠の苦しみを味わうこととなる。現在未邦訳である『Empire's End』が一連のシリーズの最後のエピソードとなり、この作品で皇帝の本当の最期が描かれている。
  • 『ダーク・エンパイア』においては、ロイヤル・ガード、カノア・ジャックスの裏切りによりクローンの元となった遺伝子が傷つき肉体の老化が進行していたことと、ダークパワーの酷使でパルパティーンの身体はほぼ使い物にならなくなっていた。最終局面でルーク率いる若きジェダイたちとの戦いに敗れ、その肉体をソロのブラスターで撃ち抜かれたパルパティーンは、自らの魂をソロとレイアの息子であるアナキン・ソロに宿らせようとするが、皇帝の攻撃で重傷を負ったサイボーグ・ジェダイであるエンパトジェイオス・ブランドがパルパティーンのダークサイドの力を肉体にとどめて共に死んだことで、長きに渡るパルパティーンの野望は砕かれることとなる。

配役[編集]

実写[編集]

2013年の「スター・ウォーズ セレブレーション ヨーロッパ」でのイアン・マクダーミド

1983年の『エピソード6』から(公開時)『エピソード3』までは、舞台俳優として有名なスコットランド出身の名優、イアン・マクダーミドが演じている。

『エピソード5』では、ホログラム映像および声のみで皇帝が登場するが、公開当初は無名の役者であるエレイン・ベーカーが演じている映像にチンパンジーの目を合成し、クライヴ・レヴィルが声を当てた物が使われていた。後にDVD化される際にCGおよび吹き替えでイアンに差し替えられ[注釈 3]、全体の整合性を図られている。

ジョージ・ルーカスが『エピソード1』の撮影を始める前に英国に訪問した際、それを聞きつけたイアンは彼に会いに駆け付けた。するとジョージは「パルパティーンの役者を探してるんだ。誰か適任者に心当たりないかな」と聞く。その時イアンは「ひょっとして今目の前にいる奴がそうじゃないかい?」と答えたと言う。こうして『エピソード1』から若き日のパルパティーンを演じることになったが、歳を重ねてから、既に初老とはいえかつて演じた役の若い頃を演じるという、非常に珍しいケースとなった。マクダーミドはインタビューで「役作りに25年かかったよ」と語っている。『エピソード6』公開当時、イアンはまだ39歳だった。

イアンはシェイクスピア作品を始めとする古典演劇で実績ある舞台俳優であり(2006年にはトニー賞の最優秀助演男優賞を受賞している)巧みな台詞回しや、パルパティーン議長の時と、ダース・シディアスとしての本性を現してからでは全く違う声を出す発声の変え方で、温厚で威厳ある元老院議長と、狡猾・邪悪・凶暴なシスの暗黒卿という二面性のある役柄を見事に演じきっている。ヨーダとの対決シーンの撮影は、実際にはいない存在と戦うことになるためためマクダーミドにとっては非常に骨の折れた演技だったという。

なお、2005年ローマ教皇となったベネディクト16世と、イアンが演じたダース・シディアスの外見が似ていることがニューヨークの週刊紙『The Village Voice』で取り上げられた[注釈 4]

アニメ[編集]

アニメ『スター・ウォーズ クローン大戦』やゲーム作品(2006年まで)ではニック・ジェイムソンが声を演じている。

アニメ映画『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』とその続編となる同作テレビアニメシリーズでは、イアン・アバークロンビーが声を演じている。第5シーズン以降はティム・カリーが担当。アニメレゴ・スターウォーズではトレバー・デュバルが声を担当している。

吹き替え[編集]

日本語吹き替え版の声優は以下の通り。

備考[編集]

  • 「エピソード4~6」では劇中にて終始「皇帝」としか呼ばれていなかったが、当時から本名が「パルパティーン[注釈 5]」で、元々は元老院議員だったという設定は、小説版などで言及されていた。『エピソード1』公開時にもマクダーミドが演じていることや、パンフレットに「後に銀河皇帝となるパルパティーンは~」といった記述があったことから[6]、パルパティーン=後の皇帝は周知の事実となっていた。しかし、パルパティーンとダース・シディアスが同一人物(つまり皇帝=シディアス)と明言されたのは『エピソード3』が初めてであり、それ以前の劇中ではほのめかす程度の描写しかなかった[注釈 6]。『エピソード2』時点での人物相関図でも、パルパティーンの後年の姿が皇帝と明確にされている一方で、パルパティーン(皇帝)とシディアスの関係については曖昧に描かれていた[7]
  • ジョージ・ルーカスは、2005年の『エピソード3』公開時の来日記者会見で、記者に好きなスター・ウォーズキャラクターを聞かれた際、「特にヨーダ、アナキン、皇帝が好きだ」と答えている[8]

参考資料[編集]

  • ケヴィン・J・アンダースン/ダニエル・ウォーレス 共著 横沢雅幸/高貴準三 監訳『スター・ウォーズ クロノロジー(上・下)』ソニー・マガジンズ、2002年

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ただし、このヨーダの台詞は原語版である英語版には全く存在しないものである。英語版はルーク「暗黒面の方が強いのですか?(Is the dark side stronger?)」ヨーダ「違う。暗黒面の方が入りやすいのだ。(No, no. Quicker, easier, more seductive.)」といった皇帝とはあまり関係ない会話である。
  2. ^ その内の1本は『エピソード3』におけるメイス・ウィンドウとの戦闘で紛失しており、残りの1本もヨーダとの対決以降は劇中使用していない。
  3. ^ この時に、彼のセリフもラストシーンの展開などを踏まえた物に変更された。ただし、エンドロールにはレヴィルもクレジットされている。
  4. ^ ちなみにローマ教皇を指す形容詞は「papal」であり、「Palpatine」と非常に近い発音である。
  5. ^ 書籍によりパルパティン、パルパタインといった表記の揺れがあった。
  6. ^ 前述のように、『エピソード1』では日本語吹き替え版の担当声優もパルパティーンとシディアスでそれぞれ異なっていた。

出典[編集]

  1. ^ 『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』DVDオーディオ・コメンタリー、1時間5分頃。
  2. ^ 『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』テレビシリーズ、シーズン4、第22話「復讐の狼煙」。
  3. ^ 『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』テレビシリーズ、シーズン3、第13話「新たなる脅威」。
  4. ^ 『スター・ウォーズ ニューズウィーク日本版 SPECIAL EDITION 「フォースの覚醒」を導いたスター・ウォーズの伝説』MEDIA HOUSE MOOK、78頁。
  5. ^ ケヴィン・J・アンダースン、ダニエル・ウォーレス『スター・ウォーズクロノロジー 上巻』208頁、ソニーマガジンズ、2002年
  6. ^ 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』劇場パンフレット、36頁。
  7. ^ 『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』劇場パンフレット、30頁。
  8. ^ ジョージ・ルーカス監督、来日記者会見リポート(朝日新聞 2005年7月20日)

外部リンク[編集]