ねずみ男

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水木しげるロードに設置されている「ねずみ男」のブロンズ像。

ねずみ男(ねずみおとこ)は水木しげる漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(旧題:『墓場の鬼太郎』)に登場する妖怪。主人公・鬼太郎悪友。人間と妖怪との間に生まれた半妖怪で、善悪の中間に位置するトリックスター

欲に目が眩んで鬼太郎の敵方につき、結局最後に失敗する、鬼太郎や猫娘に懲らしめられる、改心して鬼太郎に味方するというのが『ゲゲゲの鬼太郎』内における典型的な行動パターン。キャラクター像は目玉おやじと同様に、水木しげるによる創作である。

通称は「ゲゲゲの鬼太郎」に対して、「ビビビのねずみ男」。「ビビビの~」の通り名はビンタの音が由来と言われるが、アニメ第5作では金儲けの予感がするとヒゲが「ビビビ」と震える設定になっている。ネズミ男と表記される場合もある。

設定[編集]

プロフィール[編集]

  • 身長:160cm
  • 体重:49kg
  • 年齢:約360歳[1]
  • 居住地:日本

ローブのような布一枚を体にまとった半妖怪で、ねずみに似た顔をしている。鬼太郎とは腐れ縁の友人。日本一不潔な男で「三百年生きているのにまだ一度も風呂に入ったことがない」と自称する。実際は原作・アニメ共に入浴場面が何回か見られ、単に滅多に入らないだけである。身体中にインキンタムシなど皮膚病が広がっている。吐く息は臭く、その息にかかると十メートル先のハエも落ちると言われる[2]。自称「怪奇大学不潔学科」卒業の怪奇愛好家で、「なまけ学」なる学問を修めて博士号を取得したとうそぶいている。妖怪世界の名門校である妖怪学習院で鬼太郎と同窓だったとの説もある[3]。一人称は基本的に「オレ」か「オレ様」だが、自分より強そうな妖怪を煽てる時や弱気になった時は「アタシ」でオネエ口調になることがある。元来の性格もあり戦闘は不得手だが、機知に富み独自の能力を用いた奇襲を成功させることも多い。カナヅチである。

出自[編集]

人間と妖怪との間に生まれたとされるが[4]ネズミだけが棲息する島になぜか人間が1人産まれ、それがねずみ男だとする説もある[5][6]

原作『鬼太郎地獄編』では人間界と地獄の中間に「ねずみ男の故里」が存在し、彼はそこから現世に迷い込んだものとなっている。「ねずみ男」の名は彼の故里に住む種族名としての総称であり[7]、本名はペケペケ水木しげるの出兵したニューブリテン島トライ族英語版の言葉で「大便」の意味)で、彼の母親も登場した(アニメ版『地獄編』でもねずみ男の世界と母親は登場したが、ぬらりひょんが鬼太郎やねずみ男たちを陥れるために作り出した罠であり、母親もぬらりひょん配下の蠍女が化けたものだった[8])。

初期の登場[編集]

原作は貸本漫画「下宿屋」から登場。最初は四代目ドラキュラの下男という身分で、主人の新居を探す際に夜叉に操られた鬼太郎が営む下宿屋を見付けた。またその直前、雨に流されて気絶していた目玉おやじを拾い、食欲を感じた主人に天ぷらにして食べさせている。鬼太郎親子とは多くのいさかいのすえ、霊電によって恐怖を味わわされて降参する。

リメイク版の「おどろおどろ対吸血鬼」では途中で物語から消えてしまう。最初期は現在とは顔が異なり、頭は縦には長くなく、前方に突き出ていた。髪の毛も額まで生えていた。

鬼太郎親子との出会いについては、別に以下の2通りが描かれている。

  • 貸本版「おかしな奴」では、鬼太郎が父からちゃんちゃんこを授かった直後に現れ「自分は怪奇界の名士を多数育成してきた」と偽って[9]鬼太郎親子に取り入る。小学館の「鬼太郎大百科」における「鬼太郎の誕生」でも同様の説明がなされ、さらにコミックボンボンで連載された「最新版 ゲゲゲの鬼太郎」の回想シーンでも、この展開が語られている。アニメ版は、「墓場」第2話で下宿屋で会うより前にこれを元にした場面がある。鬼太郎親子は原作ではその話を信じた様子だが、アニメでは信じなかった。
  • 講談社刊「小説ゲゲゲの鬼太郎」第1話「鬼太郎の誕生」では、鬼太郎が育ての親の家を出た直後、猫娘から魚を横取りして逃げて来る。ここでは鬼太郎と出会う以前から猫娘や砂かけ婆らと面識があった設定になっている。

性格[編集]

鳥取県境港市水木しげるロードに設置されている「ねずみ男」のブロンズ像。

金と女性のことしか頭に無く、目的達成のためには手段を択ばない。人間界に至るまでの高い情報収集力を発揮しており、日頃より新たなビジネスの発見・開発や人間妖怪問わず社会での怪しげなコネをすぐに見つけてくるなど、ただしい方向に発揮される事は少ないが、人間社会への適応力と対応力の高さ、探求心と想像力、カリスマ性などは随一である。普段はごみ箱をあさるような貧乏暮らしをしているものの、チャンスさえあれば口八丁手八丁を駆使して大金を稼ぎ出す。一方で案外なロマンチストでもあり、貸本『顔の中の敵』でがま令嬢に恋した時には「今まで恋という物を罵り軽蔑してきた」と心情の変化を語っている。それ以降は度々女性に恋心を抱く女好きとして描かれ、『猫娘とねずみ男』以来、金儲けが好調の際は度々結婚願望を口にしている。ただし、女性に嫌われる要素が多いため相手にされず、そうでない場合でも女性側に利用されて終わることがほとんどである[10]

第3作1話でねずみ男自身が言い放ったように、自身を守るために強い者に絶対服従するのが当たり前という考え方を持っており、たとえ鬼太郎の味方に付いていても、悪玉妖怪の口車に乗せられたり金が絡んだり、鬼太郎よりその敵の方が強いと判断するといとも簡単に鬼太郎を裏切る。怪奇趣味が高じて封印された妖怪を蘇らせ、何の罪もない人間を材料にしたり、破滅させることを何とも思わない。鬼太郎に対しても腕を切り落として奈落の底へ突き落としたり、死神と共謀して毒殺しようとする、果ては内臓を売り飛ばそうとするなど、厄介な問題ばかり起こすトラブルメーカー。しかし鬼太郎はその罪に対して、常に軽い折檻程度で許している[11]

反省することはあっても、懲りるということが無く、何度失敗しても悪事を働く上、鬼太郎や猫娘に懲らしめられることが多い。オオカミ少年よろしく、自業自得とはいえ犯していない悪事の疑いをかけられてしまう事も度々ある。人間社会の事物に詳しく、頭の回転は速いが、学習能力は低く、同じような悪事を何度でも行う。さらに鬼太郎が有利になるとすぐに掌を返して鬼太郎側に戻ってくる。そのくせ、恩というものを感じることが無く、鬼太郎たちに助けられても口だけの感謝で済ませることがもっぱら。アニメ第4作第114話では、死神とヒ一族の巫女に殺されそうになった挙句、亡き妻との再会を果たせなかったものの、この程度で済んでよかったという目玉おやじに対し、「そうそう、その通り」と、まるでねずみ男が目玉おやじを助けたかのようにとぼけたりもしている。恩を感じてもピントのずれた報い方をすることがあり、第3作55話では悪質商法で閻魔大王に死刑にされるところを鬼太郎のおかげで財産没収と保護観察に減刑されるが「鬼太郎の友情に報いるためにもう一度金儲けだ」と言い全く懲りていなかった。

金には汚いが気前の良い一面もあり、羽振りが良い時には仲間の妖怪達に食事をおごったり小遣いを渡したりすることもある(ただ、「あの時のおごりで借りは返した」と火急の助けを渋る言い訳にしたこともある)。貧富に関して独自の美意識を持っており、何十年も前に一文無しになった際、鬼太郎親子がお茶漬けを食べさせてくれたことを「金持ちがおごるステーキより、貧乏人が食わせてくれるお茶漬けの方が何倍も価値がある」とし、この時ばかりは恩を感じている。第6作ではインチキ商売で儲けた時は頻繁に鬼太郎たちも誘ったり奢ろうとしたりする他、17話で境港の人から大量のカニを貰った際も独り占めせず鬼太郎たちと分け合って楽しく食べていた。

『不思議な家』(KCスペシャル 新ゲゲゲの鬼太郎第1集より)にて人間を調べている事件の黒幕たる存在より「理想的な心を持つ人間」と評されており、ラストでも目玉おやじもそのことを認めていたためこの事件調査にねずみ男を同行させたと述べていることから、善悪込みで人間の本質を示す存在であることが示唆されている。

発言・行動[編集]

普段の所持品は着衣の他は皆無だが、金儲けのために「ビビビのねずみ男」(『ひでり神』では「長井風天」なる偽名)と書かれた名刺そろばんなどの小道具を持ち歩くこともある。自動車の運転の心得があり、自家用車として明治時代の霊柩車を所有している。金儲けのために様々な肩書を自称する。主な例として妖怪研究家、探偵、ボディーガードなど。鬼太郎の代理人を名乗ることも多く、時には自分が鬼太郎本人であると詐称することもある。

金を稼ぐ手段としては、特に初期は「妖怪研究家」の肩書きのもと鬼太郎を妖怪退治に利用し、被害者や村人に対し妖怪退治の仲介料を要求するのが常套手段。鬼太郎にばれてしまい返金するのが大半である。更に、アニメ第3作11話のように平気で盗みを働くこともある(この時は盗みを働いている最中に猫娘に見つかり、ボロボロになるまで引っ掻き回されたにも関わらず全く反省せず、春子の父親が自身の家などを「恵まれない人たちに寄付しようと思う」と話した時に、木に縛り付けられた状態である上、すぐ横に猫娘がいるにも関わらず「私が引き取ります!」などと言い、激怒した猫娘に巨大な木槌で頭を思いっきり殴られた)。

エッセイ『カランコロン漂泊記』所収「死神教」では、死神と共謀で自殺幇助のアルバイトを行っており、「聖なるアルバイトで、長年の悪い心が晴れたような気持ちです」と言っていた。岩波新書『続・妖怪画談』に収録された、鬼太郎の名勝負を紹介した「鬼太郎血戦録」ではねずみ男の愛読書として『清貧の思想』の名が挙げられている。ねずみ男単独出演の短編では忍者仙人錬金術師神社の神、国会議員腰巻売りなど多様な存在として登場する[12]

原作では定住している場所は不明。第3作では古アパートやテントに住んでおり、第5作では妖怪横丁で家を作って移り住んでいる(38話では長屋の裏に小屋を建てていた)。第6作9話では河童に尻子玉を抜かれた後、古アパートの一室で腑抜けになっているところを鬼太郎たちに発見されているが、そのアパートはその後登場しないため、定住しているかは不明。20話では出した名刺に「住所不定」と記載されていた。

鬼太郎との友情[編集]

鬼太郎とは周囲が「切っても切れない仲」「典型的な腐れ縁」と評する悪友同士。子泣き爺の弁によると、昔はよくねずみ男が運転する車に乗って日本中を渡り歩いていたという。鬼太郎を呼ぶ時は呼び捨てだが、鬼太郎に助けを求める時は「鬼太郎ちゃん」「鬼太ちゃん」と呼ぶ。

しょっちゅう裏切るせいで、鬼太郎に対しての友人としての振る舞いは、利用価値があるゆえの見せかけ・演技に見られることもあるが、それでも鬼太郎の友人(悪友)である事には間違いない。原作、アニメ双方において、時には損得勘定なしに素直に協力し(「大海獣」「かさ地蔵」等)、鬼太郎のために尽力している。また、このような時は、仲間の誰よりも進んで行動する節がある。鬼太郎もねずみ男の言動に辟易しているものの、彼が命の危機に瀕すると必ず救いの手を差し伸べている。

第1作の初期においては第10話で西洋妖怪軍団に捕らわれ、鬼太郎を裏切るように脅迫されながら、ハッキリと拒否する(ただしバックベアードの催眠術により無理矢理裏切らされる)など、鬼太郎との友情には厚い描写があった[13]

第2作の15話「牛鬼」では牛鬼に乗っ取られた鬼太郎が迦楼羅さまの笛によって火山に誘導されて落とされた時に、「こんなことになるんならもっと鬼太郎に親切にしてやればよかった」と涙ぐみながら後悔し、「鬼太郎は村のみんなの為に死んだんだ」と語る目玉おやじに「バカ言え!みんなの幸せなんかどうだっていいんだ!俺は鬼太郎が生きててくれた方がいいんだ!」と真顔で言っていた。

第3作では他シリーズと比べ鬼太郎の態度や折檻が厳しく、原作以上に鬼太郎を裏切り厳しく懲らしめられる部分(鬼太郎に散々殴られ、罪滅ぼしとしてただ働きさせられるなど)も垣間見えた。ただし鬼太郎も彼のことを仲間だと思っており、熱を出して寝込んでいた際にねずみ男から手厚く看病を受ける等、友情も強く感じている(55話「マル秘指令!!ねずみ男は死刑だ」)。

第4作では鬼太郎と共に行動することは少なかった。事件先に既にねずみ男がいて敵対関係になったり、彼が原因を引き起こしたり、鬼太郎を利用した金儲けを思いついたり、バイト先などで事件に巻き込まれ鬼太郎に助けを求めたりすることで再会するということが多くなっている。距離もこれまで以上に離れており、鬼太郎に「親友だろ?」と言っても「誰が親友?」と受け流されている。

第5作では共に旅行やドライブに出かけたりもするなど、互いの友誼がしばしば描かれた。14話では牛鬼に憑りつかれ、体を乗っ取られたねずみ男を救うため鬼太郎が身代わりとなり、活火山の火口に身を投じた。27話ではねずみ男が黄泉の国の霊石を盗んだ罪で無間地獄に落とされそうになった際に「どうしようもない最低の奴だが、地獄に落ちるほどの悪党ではない」と評している。その他の親しい知り合いには白山坊がおり、11話で彼が営んでいる寄席について「何百年同じネタをやってるんだ」と苦言を呈していることからかなり古い付き合いのようである。

第6作では妖怪を利用した商売で羽振りが良くなった際に鬼太郎に気前よく奢ったり、「親友のよしみで」と儲け話に誘ったりと、本人なりに鬼太郎に親切にする様子も見られる。13話では輪入道と共謀しての儲け話に鬼太郎を誘おうとするも、激しい調子で詰問されたことで怒り、一度は絶交を宣言する。しかしその後輪入道の暴走に遭い、犬山まなの名を騙って鬼太郎に救援を求める手紙を送り、また鬼太郎もその意図を見抜いた上で助けに応じ、協力してこれにあたった。その際には自分の危険も顧みず挺身して鬼太郎を庇うという行動も見られた。

妖怪仲間たちとの関係[編集]

妖怪仲間からはあまり信用されていないのだが、お祭り騒ぎをする時はねずみ男がいないと盛り上がらないらしく、ムードメーカー、幹事役としてはその能力を買われているようである。競走系の大会(『妖怪ラリー』『地獄マラソン』など)では実況役として大いに活躍する。本人もお祭り好きなようで、わたあめ屋やタコ焼き屋といった露店商に精を出すことも多い。『妖怪軍団』で一時倒れた時は、よく彼を怒る砂かけ婆にすら「宇野重吉に並ぶ名脇役だったのに」と惜しまれている。アニメ第2作26話『大首』でポックリ病で死んだ(大首とその配下の骨女に魂を抜かれた)時も、子泣き爺の家で葬式がとり行われ、戒名に「伊蚊様院小悪党居士(いかさまいんこあくとうこじ)」と付けるなど小バカにした発言も多少挟んだが、皆がねずみ男を悼んだ。特に猫娘は泣き伏すほどの悲しみようだった(片やアニメ第4作3話で夜叉に魂を抜かれた時は、ねこ娘は悲しんでいたものの他の仲間からは「死んでも悲しい気がしない」「生き返っても嬉しい気がしない」と散々な言われ様だった)。

や猫系妖怪に弱く、特に猫娘に対しては「我が生涯の天敵」と語る(第5作2話)ほど苦手にしている。また、アニメ第3作3話の中に於いては、「猫は猫娘だけでコリゴリだ」という発言もしている。第4作65話「脅威!マンモスフラワー」では、巨大樹マンモスフラワーに変化し、傷つき絶命間近の今際の時に「一度で良いから思いっきり猫の頭を引っ叩いてみたかった」と遺言で鬼太郎に伝えている。

キャラクターの背景[編集]

幾度も周囲に迷惑を掛ける存在だが、鬼太郎親子と出会う以前、半妖怪であるという理由で人間と妖怪の両方から蔑まれた経験を持っている。アニメ第4作26話では「でなきゃ(金にすがるしか)、俺は生きていけねえんだよ。他に方法を知らねえんだ! けどよ、俺はこれでも必死に生きているんだ!」と、悔しさすら滲ませて語っていた。第6作13話では輪入道と共謀し、欲に目が眩んだ人間をエサに格安ダイヤモンドを作り出す商売を始めるが、その事で鬼太郎に拒絶されてしまった際、「いつも仲間に囲まれてるお前とは違うよ」「妖怪からも人間からも鼻つまみ者なんだよ」「俺はずっと一人でやってきたんだ」と吐露するなど、半妖怪という立場のため妖怪と人間から長年疎まれ、価値観の違いに苦しんできた過去を匂わせ、半妖怪という境遇に強いコンプレックスと孤独感を抱いている事がはっきり描写された。

身内も存在しない天涯孤独の存在(水木しげるの短編のひとつ『不思議な手帖』には妹「ねずみ女」[14]、2014年初頭の読切には甥「ねずみ猫」が登場している)だが、家族に対する憧れは強く、「おりたたみ入道」で生き別れの弟と出会った時には、弟が盗んだ金を立て替え、第4作版では兄弟で暮らすため真面目に働いた事もあった(しかしこれは後にむじなが化けたものだということが判明する。それでもアニメ第1、4作版ラストでは贋者でも兄弟として過ごした時間を懐かしんでいる)。また鬼太郎の命を狙う死神に「俺はお前の兄だ」と騙されて計画に加担させられるなど、内面に潜む寂しさを利用される事もある。ねずみ男本人も「親子の愛情とかそういうのには弱いんだよ」と認めており、特に子供にだけは甘いところがあり、損得抜きで優しく接することも少なくない。原作「オベベ沼の妖怪」では、かわうそが化けた少年の境遇に同情して「おれだって妖怪愛を持っている」と無償で援助を行い、そのことで酷い目に遭っても少年に恨み言の一つも言わなかった。(後で騙されたと知った際には怒った)第5作でのぬりかべ一家に対しては、心底嫌っているはずの無償労働まで施している。後々悲劇や裏切りに終わる事が多いが、たとえば妻や家族、同居人など扶養対象が現れた際には、血のつながりや種族の壁を越えて真摯に世話を焼き、朝から晩まで苦労して就労する事も厭わないなど責任感に溢れ、差別を受ける等の不憫な幼少時代を送って捻くれただけであり、根はむしろ善人に近い部分がある。

ただしその一方で鬱屈した面はあまり見られず、むしろ逆境に強い精神的なタフさが目立つ。『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』では寝返りを勧めるヤトノカミに「俺は誰も憎んでいないし孤独でもない。自分を慕ってくれる友達もいる」と言い返し、鬼太郎たちとの友情を吐露するシーンがある。

アニメでのねずみ男[編集]

アニメでは、原作で見せる異常性や冷酷非道さはほぼ封印され、陰湿さの少ない、”小悪党だがどこか憎めないお調子者”として描かれている。特に第3作では、想いを寄せる天童夢子の歓心を買うため、積極的に鬼太郎に協力する場面も多く見られた。『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』の同時上映の短編『おまけ上映 ゲゲゲ祭りだ!!五大鬼太郎』では映像のみながらもアニメ歴代の5人のねずみ男の競演も果たしている。
※『映画 妖怪ウォッチ』における客演については本項#他作品への登場を参照。

1作目・2作目[編集]

原作同様、悪い手で金儲けを企んでいる。この当時はよく鬼太郎の住まいに入り浸り、新聞を読んだり食事にありついたりするシーンが見られた。また、原作同様に鬼太郎と一緒に行動することが比較的多いのも、この2作の特徴の1つである。妖怪研究家であることをよく自称する傾向があり、研究などの名目であくどい金儲けをすることも多々あった。またそうやって知識人ぶる割に、常識的な教養を欠いた発言で呆れられることもある。第1作前期では模倣犯的行動を取って警戒していた人間達に捕まり、鬼太郎親子を呆れさせるパターンも多かった。自分の調子の良い時に鬼太郎の親友であることをよく強調し、鬼太郎のマネージャーや、鬼太郎自身の名をよく騙ったりしている。が、自分の身が危うくなるとその鬼太郎を平然と見捨て、奈落に突き落としたり、毒を盛ったり、生きる気力を無くさせて自殺に追い込んだりなど、原作同様鬼太郎を容赦なく始末しようとすることも多かった。多額の報酬目当てで鬼太郎をおびき寄せるパターンも多々ある。それ故目玉親父からはほぼ毎回散々な物言いをされ、鬼太郎からも何度か「絶交」されている。逆に目論見を邪魔されてねずみ男が絶縁を宣言することも多い(もっとも、別エピソードではそういったことはリセットされている)。

衣の色は、第1作ではモノクロ作品であるため「色」としては不明であるが、どちらかというと明るい色(すなわち黄色に近い)で表現されており、2作目では灰色である(放映前後の一部のイラストでは原作のとおり黄色になっているものもある)。後の墓場鬼太郎の一部でも引き継がれているが、大塚周夫版のみ、自分が劣勢に陥ると鬼太郎に対して女のような喋り(いわゆるオネエ言葉)になることがある。

3作目[編集]

前作の大塚の演技を継承してアドリブも入れながら、担当声優富山敬独自のねずみ男を作り上げている[要出典]。本作から鬼太郎と共に行動することは少なめになっている。天童夢子に惚れており、彼女の為ならば何でもしようとすることもあり、その為に身体を張ったシーンも見受けられた。だが夢子の歓心を買う為にした事が、結果として却って彼女や周囲の迷惑になった例も少なくない。一度、夢子が鬼太郎を庇って死んだ時は誰よりも彼女の死を悲しみ、猫娘に泣きついた。アパートまたはテントに住んでおり、第2作までと異なり、金儲けをする際にもきちんとした店舗、事務所をかまえているシーンが見られるようになった。正装時など洋服を着ているシーンも比較的多く、その際には頭髪を中分けの金髪にしている。第8話や第27話など、原作以上に折檻されることもあり、後期ではラストで怒った人間たちに追い回されることもあった。風呂嫌いの設定は「自分で風呂を沸かすのが面倒くさい」という解釈らしく、温泉につかる場面は多い。

劇場版の第4作では、鬼太郎に次ぐ準主人公的な活躍を見せた。妖怪に襲われた電車の中で出会った少女カロリーヌを保護したねずみ男は、助けた自分を慕ってくれる彼女と心を通わせる。以降は彼女を救う為に、自らの危険を顧みずに行動するが、彼女は妖怪皇帝(正体はぬらりひょん)の部下である妖怪総理大臣ぐわごぜの娘であったという事実を知り、衝撃を受ける。だが、カロリーヌが知らなかったとはいえ鬼太郎を追い込んでしまった罪の意識に捕らわれていた事から、ねずみ男は彼女を優しく許す。その後、彼女と共に鬼太郎を救う為、朧車の涙を手に入れるが、カロリーヌは朧車に轢かれ致命傷を負い、「また妖怪に生まれ変わったら、ねずみ男ちゃんのお嫁にして」という言葉を最後に、息を引き取った。ねずみ男は涙とともに絶叫、妖怪皇帝への怒りを燃やし、ぐわごぜにカロリーヌが死んだ事実と、彼女が最後まで父親を許してほしいと望んでいた思いをぶつけた。そして鬼太郎復活後、怪気象の原因が朧車にある事を彼に伝え、朧車を倒した鬼太郎は国会議事堂を中心とした自衛隊の爆撃作戦を中止させる事に成功する。事件後、ねずみ男はカロリーヌと妖怪皇帝に殺されたぐわごぜの墓を造り、親子の冥福を祈った。

第10話では「日本有数の音痴ゆえ、音楽による妖術が効かない」という他の作品にはない設定があった(ただしオープニングの映像ではボーカルを担当している)。衣の色は灰色がかった水色。

4作目[編集]

担当声優千葉繁の個性が反映され、歴代以上にアドリブも多い独自のねずみ男を作り上げている[要出典][15]。全体的にきっぷの良い印象で、江戸弁に似た口調が特徴。この時、初めてねずみ男の衣が原作に合わせて黄色になった。本作のみ袖口が小さくなり、裾がズボン型にデザインされている。また、キャラクターデザイン・設定資料での表情も原作を忠実に再現している。悪い商売をしているのは相変わらずで、演じ手の千葉によってより露天商のような口調で商売をすることも多い。ただし多額の借金を抱え借金取りに追われることも。後半ではビルの清掃業や弁当配達など、比較的真面目にアルバイトする場面もしばしば見られた。彼がメイン(第16話、第24話、第26話、第36話、第42話等)のほとんどは感動系に収まっている。事件の後、自分の責任を棚に上げた言動(他に過ちを犯した人間を説教したり、責任を取ったに過ぎない貢献を自慢したりなど)をして、猫娘に怒られ引っ掻かれるパターンも少なくはない。また、鬼太郎達の事件捜査に対して非協力的な態度を取った際に、猫娘にヒゲを掴まれて引っ張られ「ヒゲ(を引っ張るの)だけはやめてくれ」と泣きつく描写がいくつかあった。人気アイドル渡辺千里の大ファンの一人。第6話「暴走!鬼太郎牛鬼」や第11話「毛羽毛現とがしゃどくろ」を始め、いくつかの回ではバスガイドや巫女、芸者などの変装(女装)も公開している。実は主役の座を狙っているらしい(第58話「冷凍妖怪・雪ん子!」)。

第70話では、二輪車用の運転免許を取得した。

5作目[編集]

歴代のアドリブ演技も継承しつつ、担当声優高木渉独自のねずみ男を作り上げている[要出典]。衣の色は黄色。ヒゲが太くなっている。シリーズ初期のエピソードで妖怪横丁の面々が「半分は妖怪、半分は人間で、人間と妖怪の悪いところだけ合わせたような奴」と話す場面がある程度で、以前に比べて半妖怪という設定描写はほとんど無く、全体的にも妖怪として扱われている。慢性の全身皮膚病も無くなっており、不潔技も使用機会が減少した。ストーリーテラー的なポジションは猫娘が担当することが多くなり、全く出演しない話や出演しても1シーン程度ということもある。裏切ることも悪事を働くことも歴代のシリーズよりは減少気味(とはいえ鬼太郎を裏切り罠に嵌めることも少なからずある)で、アマビエやかわうそといった準レギュラーと共に、コミックリリーフとしての活躍が目立つようになった。猫娘とともに閻魔大王から鬼太郎の片腕として彼を支えていくよう指示を受けた。手先が器用な鍵開けの名人でもあり、68話で地獄の牢の鍵を、針金一本でものの数秒で開けており、また勘が鋭い所がある。好みではない女性妖怪に好かれては難儀している。年代物のオープンカーに乗り換えているが、これは白山坊から譲り受けたものである。携帯電話やノートパソコンといった近代的なアイテムも難なく使いこなし、鬼太郎親子もその器用さには一目置いている。

鬼太郎との友情が強調されたほか、家族に対する憧れや、子供に弱い面も描かれた。第13話ではマイホーム建築のため現金を必要としていたぬりかべに、(自分も稼ぐためとはいえ)妖怪退治の仕事を斡旋したばかりか、最後には自分の取り分を投げ出している。第38話においては見越し入道の子ども(ネズミージュニアと名付けた)を拾い面倒を見て、ジュニアが無事親に引き取られ別れた際には純真な涙を見せた。鬼太郎は「それがあるから、あいつはずっと僕たちの仲間でいられるんですよ」と語っている。

6作目[編集]

担当声優の古川登志夫は前作でもねずみ男役のオーディションを受けていたが落選しており(そちらでは準レギュラーの蒼坊主を演じた)、今作で念願叶ってねずみ男を演じることになった[16]。衣の色は第3作以来の青に近い灰色。前作同様ヒゲが太く全身皮膚病が無い。江戸っ子風の口調となっている。事あるごとに善悪をわきまえず金儲けを企むなど性格は相変わらずで、妖怪の能力を利用した金儲けを始めるがやがて妖怪が暴走しそこへ鬼太郎が駆けつけるというパターンが多い。鬼太郎らにとっちめられる前に逃げおおせるという小狡さも目立つ。今作は特に人間の恐ろしさや愚かさを描写する傾向が強く、ねずみ男のパートナーになったり、ビジネスを利用しようと企む人間が介入することで、ねずみ男の思惑を超えて被害をさらに拡大させてしまうこともある。画面にひびの入った黄色いスマートフォンを常用し、インチキ商売でネット広告を打つ、ステルスマーケティングを行う、仮想通貨事業を立ち上げるなど、(悪い意味で)ネット社会に精通している。悪臭を放つ描写もほぼ無く、人間に捕まっても抵抗できないなど非力な描写が目立つ。また、ねこ娘と天敵関係なのは変わらないが直接暴力を受ける描写は減っている。犬山まなとは第2話が初対面だが、一部エピソード[17]を除き殆ど無関心。第13話では半妖怪である境遇に苦しんだ過去を匂わせる面や、鬼太郎との友情に厚い一面も描かれた。また皮肉屋な面が強く、欲深い人間に対し「価値なんて本当に分かってないくせに高級品を有難がって、他人の口車に簡単に乗って真実なんて考えもしない」、フランス料理と高級ワインを口にしても「所詮小便の原料になるだけ」と言い放っている。一方でゲゲゲの森に迷い込んだ裕太を「人間を森の中に入れてはならない」という掟や人間を喰らおうとする危険な妖怪も存在している事実から早々に人間界へ送り返すべきだと主張する、南方の島で弔われないままになっていた戦没者の遺骨が発見された際に手を合わせその遺骨を捨てるよう指示を受けた伐採業者に対して「国のために戦って死んだご先祖の亡骸を捨てろってのか」と非難するなど、良識的な意見を述べることもある。

墓場鬼太郎[編集]

演 / 大塚周夫

衣の色は原作と同じ黄色。金儲けを企む卑怯でずる賢いイメージだが、名士であることを鼻にかけることもある怪奇愛好家の側面も多く描かれており、幽霊電車に乗った際にも、奇怪な現象を恐れる人狼とは対照的に、ねずみ男はしれっとしていた。出会った頃の鬼太郎からは「虫の好かないヤツ」と言われており、その後もあまり関わりたくないように言っており、何かと争いが絶えない付かず離れずの仲。口臭による攻撃は勿論のこと、体から大量の垢を落としたりとかなり不潔で、フケの入った饅頭を食べた鬼太郎は気を失った。お化け大学を卒業したと語っていたが、それは虚言であることが判明する。半妖怪であることから生命力が高く、ヒゲを煎じた毛生え薬は死に掛けの老人を生き返らせている(墓場鬼太郎の漫画版ではねずみ男の血液を輸血してもらったヤクザの親分が若返っている。なお、この場合はアニメ版とは違ってねずみ男と同じヒゲは生えていない)。

能力[編集]

不潔であることが特徴かつ習性(ただし、しばしば温泉に入ることがある)。全身に白癬(銭たむし)や疥癬などの皮膚病が出来ている(「タムシの歌」なるものを作詞・作曲したことも)。この全身の皮膚病は学会でも命名されていない、ねずみ男にしかない皮膚病だとする説もある[18]。口臭や放屁、不潔な衣服は武器にもなる(妖術・技の項を参照)。『二人狸』で狸の罠にはまり、行きがかりで切腹した際には、腹から巨大なサナダムシがうじゃうじゃと這い出している。

単に寿命が長いだけで、上記の悪臭技(妖力を使用する事で威力を増す)やネズミと話せる以外の妖術や特殊能力はほぼ皆無。だが、妖力は備えており、人間では開ける事が絶対に不可能な刑天の封印を解いたり(第4作102話「凶悪!中国妖怪刑天」より。ほんの少しでも妖力があれば解封が可能)、人間よりも遥かに強力な生命力や後述の特殊能力も披露している。その弁舌は天才的で、鬼太郎や敵妖怪を上手く丸め込むことも多いが、基本的にその口の上手さは金儲けのために使われる。しかし大抵の場合は鬼太郎にバレたり、他妖怪の妨害などで、全額返すか盗られるかなどして結局もとの貧乏に戻ってしまうのがお決まりである。ネズミらしく生命力も強いようで、幾度となく妖怪に食べられたり吸い取られたりしても結果的には無事に戻ってくる。また貸本「アホな男」では彼から輸血された瀕死の老人が若返っている。

人間の食べ物を特に好むが、ナメクジが好物でもある。普段は芋虫の天ぷらやガマガエルを食べたり、人家のごみ箱をあさったりして食料を得ている[19][3]ゴキブリもお気に入りのようでポリポリして美味いと評している。しかし水は天然の綺麗な川の水を好み、「都会の小便の混じった水と違って美味い」と評している(『天邪鬼』にて)。腐った物を食べても平気でいられるのは、胃腸の殺菌能力が発達しているためである[20]

妖術・技[編集]

最も特徴的なのがその「武器になるほどの強烈な体臭」である。なかなかの威力を持ち、彼(の臭い)無しには勝てない、全滅に陥るであろうなどの状況も多々あったのも事実である。また、血が薄いとはいえ妖怪であるからなのか、劣悪な環境で生まれ育ってきたからなのか、鬼太郎も認めるしぶとさは天性のものがある。逃走する事も多いが、逃げられなくなった際の咄嗟の頭の切れや馬鹿力も捨てたものでもない。全体として、披露してきた能力や技は鬼太郎や砂かけ婆ほどではないが多彩であり(有用性や格好の良し悪しはさておき)、その意味では猫娘と対照的である。吸血鬼エリートや八百八狸等との戦いでは鬼太郎が戦闘不能になった後に目玉おやじと行動して倒すなど、強敵相手に勝ち星を上げることもあり、敵妖怪相手の戦力としては猫娘よりも活躍が目立っている。

アニメにおいては、5期から近づいただけで周囲の人間が鼻をつまむほどの悪臭を放つなどといった描写が少なくなる(5期の2話で久々に衣服を着た際悪臭で人間が気絶する程度)。またアニメ6期では人間から高所から突き落とされて殺されかけたり、拳銃を突きつけられて大人しく従わされたり、致命傷を負う事を恐れるなど非力な描写が目立っている。

口臭
がまおけらを常食し、10年間歯を磨いていないため強烈な悪臭を放つ[21]。その威力は凄まじく、10メートル離れたところを飛ぶ蝿を落とし、至近距離なら人間を即時に卒倒させる程。原作『妖怪反物』では中国妖怪の首領チーに操られた人々を一吹きで全員失神させ、井戸仙人からも「催涙弾よりも効く」と評される。アニメ第1、2作では武器として使い、第4作40話では猫娘に引っ掻かれたお返しに反撃した。劇場版『妖怪特急! まぼろしの汽車』では魔女相手に放つが香水の香りと思われ通じなかった(ただし一週間ため込んだ熟成の屁で倒すことができた)。
自他共に認めるねずみ男最大の必殺技。口臭と同様に強烈な悪臭で、嗅いだ者は総じて意識が遠のき、更には目にしみて涙が止まらなくなる。ロケット噴射に近い風圧[22]で放たれるため、まともに喰らえばショックで心臓麻痺を起こすこともある。人間ならあまりの悪臭に発狂や即死に至る危険があり(『アホな男』ではヤクザを全滅させた)、鬼太郎や吸血鬼エリート、夜道怪や鏡爺のような強豪妖怪ですら失神させる。伝説の西洋妖怪、初代ドラキュラ伯爵も怯むほどの威力。また、ぬらりひょんも何度か形勢逆転されるなどの辛酸を味わわされている。
その圧力とメタン濃度ゆえ、屁に点火すれば原子力ならぬ「屁子力(へしりょく)」と呼ばれるほどの火力・爆発力を発揮する。
このガスを生成する消化管は、「生物なら生きては出られない」と『おかしな奴』にて豪語(ただし、目玉親父は『妖怪軍団』や『決闘コロセウム』で口から肛門へ抜け生還しており、『二人狸』では多数の寄生虫が住み着いている)。
ねずみ男の弁によると腹の中で熟成させることで威力を増すという。古い傷んだ食べ物を「燃料」として消化することで、体内にガスが蓄積される。「燃料」は本人曰く「さすがの俺でも3年前くらいが限度」と述べているが、アニメ第5作52話「恐怖!夜道怪」では夜道怪を倒すために用意された100年前の食べ物を非常に美味しそうに平らげている(なぜ百年前の食べ物が保存されていたのか、どこから持ってきたのかは不明)。
ネズミだけに歯が丈夫。壁を齧って穴をあけたり(『霧の中のジョニー』、アニメ第1作16話)、仲間を縛った縄を噛み切ったりしている。『千年呪い歌』では岩戸まで食い破った。卑しいから強い歯が育ったのか強い歯を持つから卑しくなったのか判からないらしい。目玉おやじ曰く「まるでノコギリ」。
ビンタ
通り名の「ビビビの~」はこのビンタ(ビビビンタ)に由来すると言われる[要出典](要は往復ビンタ)。吸血鬼エリートですら「強烈なパンチ」と評しているが、所詮は砂かけばばあの見よう見まね。3期では鬼太郎ですらビビビンタを食らっており、しばしばねずみ男と大喧嘩になる。
ヒゲ
顔から生えた4本のヒゲ(シリーズによっては3本の場合もある)。匂いを嗅ぎわけることができる。第5作では金儲けの予感がすると「ビビビ」と音を立てるようになった。第4作までは細いが、第5作以降は原作同様太く描かれた。
衣服
非常に不潔な布切れ一枚(原作では「ガウン」と表記される)で、唯一の常備財産。200年洗濯した事がないそうで、これを被せられたさら小僧は余りの不潔さに発狂してしまった。アニメ第2作30話では着たまま温泉に飛び込み中で洗うと、温泉がドブのように汚れてしまった。第3作105話ではうっかりハンカチ代わりにユメコの涙を拭いて失神させ「ユメコちゃんを殺す気か!?」と猫娘に怒られる。またこれを広げてムササビのように滑空も出来る(通称パラシュート)。
皮膚粉
インキンタムシを患っており、皮膚を掻くと不潔な粉が落ちる。『鬼太郎夜話』では鬼太郎に向けて粉を落とした際、目玉親父が「漆にかぶれたようになる」と忠告した。
マタタビ
猫に襲われた時に酔わせて難を逃れるため、懐に忍ばせている。『ばけ猫』にて、猫の亡霊達に襲われた鬼太郎をこれの煙で助けた。
寄生能力
どんなに困窮しても、他人の生活に擦り寄って最低限の生活を確保する能力がある。小学館『鬼太郎大百科』で解説された。
霊界電話
「鬼太郎霊団 阿部の奉連想」「セクハラ妖怪いやみ」で使用。骨のようなデザインの携帯電話状の機具で、霊界にいる鬼太郎達に連絡する際に使う。受信する鬼太郎側は特に機具を使っている様子はない。
屁バリング(ヘバリング)
アニメ第5作38話で使用。衣服の中に屁を充満させて膨らませ、即席の救命エアマットにする。転落した見越し入道の赤ん坊を受け止めた。ねずみ男には珍しい、自身を投げ打って他者を守る技。
妖力波放射(妖力付与)
体内で貯めた妖怪エネルギーを様々な形で撃ち出す技。仲間妖怪に放射する事で強化する事などできるが、ねずみ男のエネルギーは黄土色でくねくねした弱いもの(時には「臭い」と言われることも)。攻撃に使った事は一度もなく、ねずみ男のそれは(臭いはともかく)攻撃に転用できるほどの威力があるのかは不明。詳しくは鬼太郎の項目を参照。アニメ第4作の52話や77話では他の妖怪と同時に妖力波を放っているが、ねずみ男の妖力はあまりまともに飛ぶことができなかった(しかし、104話では他の妖怪と同等の妖力を放出している)。
透明化
鬼太郎のカメレオンの術に相当。アニメ第3作6話では透明になる(あるいはカメレオンのように身体の色を変えて背景に溶け込む)技を披露している。他にも4作53話では他の仲間同様、姿を瞬時に闇の中に溶け込ませている。第6作10話では、犬山まなを陰で助けるために、姿を消して彼女の学校へ侵入し、天井にへばりつくなどしていた。このときは一般生徒たちはもちろん、妖怪が見えるはずのまなにも「天井の人型の染み」や「見えない何者かの声」としか認識されていなかった。
痰壷地獄
劇場版『日本爆裂!!』で使用。口から黄色い痰を吐きつける。鏡爺が鏡を使えないようにした。
擬態・変形
第6作10話にて使用。体を変形させて狭い場所に身を隠したり、蛇のように細長い姿で這って逃げたり、机などの身近なものに擬態する。妖怪としての能力かどうかは不明だが、これで猫娘の目を欺いて逃げ切る程度には高い隠密性を持つ。

その他、各々の使用回数は少ないものの以下のような特殊能力を見せており、妖怪としての基本能力は持っている。

  • 原作『妖怪大統領』では、鬼太郎のちゃんちゃんこの力もあるが、自分のヒゲを髪の毛針のように飛ばしていた。
  • 『牛鬼』で牛鬼に呑み込まれた時は体内でその脳波を感知し、それで得た情報を脱出後に鬼太郎に話している。
  • 『幽霊家主』では、目玉親父から魂を離脱する術を習得している。ただし離脱中の肉体の用心を怠り、後でひどい目に遭った。
  • 原作『鬼太郎の世界お化け旅行』では、ブードーの神に全身を溶かされるが、両の目玉だけで目玉おやじのような姿となって生き残る[23]
  • 漫画原作『地上絵の秘密』では古代語の「雲語(クモ語)」なるものを理解し話すことができるとされ、古代書を理解することが目玉おやじほどではないができる。「これができるものは俺と目玉おやじくらいだ」と話している場面がある。しかし理解があまかったため読み違い、古代書の中に閉じ込められたが、目玉おやじが呪文を逆さまにとなえると本から飛び出てきた。

また、半妖怪ゆえに妖怪に有害なものが彼には効果半減、あるいは無効になる事がある。

  • 『ふくろさげ』でふくろさげの封印を解いて妖怪エネルギーを吸い取られた際、人間としてのエネルギーは残って助かった(アニメ第3作版では、子泣き爺達がエネルギーを吸われて全身青白く萎れる所を、ねずみ男は右半身だけ萎れた)。
  • 『こま妖怪』では妖力を吸引する岩をものともせずに動かして、行動不能になっていた鬼太郎を救出している(ただし、その岩を投げて鬼太郎を下敷きにしたのは妖怪あまめはぎである)。
  • アニメ第3作100話では鬼道衆の本拠地を囲む結界(純粋な妖怪は衝撃を受け通れない)を素通りできた。目玉親父はこれを利用して、ねずみ男を貢ぎ物に隠して敵に運び込ませる「トロイの木馬作戦」を発案。この性質により妖怪を封印した所にも支障なく触れる事ができる。

水木による評[編集]

アニメでは第1作からのレギュラーで、第2話「夜叉」から登場する。俗っぽく、人間味溢れるねずみ男は水木しげるのお気に入りで、『鬼太郎』シリーズ以外にも短編作品に多く登場する。水木はインタビューなどで「最も好きなキャラクターは」等の質問には必ず「ねずみ男」と即答している[24](他に気に入りのキャラは特にいないという。鬼太郎ファミリーや妖怪全体に愛着があるため、しいてあげられないとのこと)。水木はゲゲゲの鬼太郎という物語中でのねずみ男について

鬼太郎は馬鹿でしょう。正義の味方だから、スーパーマンみたいなもんだから。(中略)…金とか幸せについて考えないのです。だからねずみ男を出さないと物語が安定しないのです

と解説している[25]。もともと水木は勧善懲悪のヒーローを好んでおらず、当初社会風刺的な色合いの強かった鬼太郎が、編集サイドの要望により水木の意志に反して次第に超能力で妖怪と戦うヒーローと化していったことから、水木自身のスタンスに近いねずみ男の活躍が増えていったという見方もある[26]。また、週刊実話版では回によっては事実上ねずみ男が主役で、鬼太郎親子は僅かしか(あるいは全く)登場しない話もある。

モデル[編集]

モデルは水木自身だけでなく、友人であり貸本時代の先輩漫画家にあたる「梅田栄太郎」がモデルでもあるとされる。当時、水木同様に貧しい生活を強いられ窮乏を切り抜けようと策を練る梅田の逞しさと、ひょうきんで憎めない梅田の人柄を反映したのだという。その後、梅田は画業から印刷業に転身して成功を収め、穏やかな生活を送っている。水木の作品については時々読んでいると語っている[24]

なお、2010年度上半期(3 - 9月)に放送されたNHK連続テレビ小説ゲゲゲの女房』の作中では、水木の境港の幼なじみで儲け話に目ざといが、憎めない人柄の「浦木克夫」(配役:杉浦太陽)に人物設定を変え、「ねずみ男」のモデルとしている。

同作品では、オープニング画面のアニメ合成で鬼太郎や目玉オヤジ、猫娘など、水木作品の主要キャラクターとともに登場しており、最終回のラストシーンでもアニメ合成で水木作品の主要キャラクターとともに登場する。

他作品への登場[編集]

水木しげるの『コミック昭和史』には、ストーリーの進行役として登場。実際の報道写真の中に書き込まれていたり、当時の出来事に関する解説を行なう。「話がなめらかにゆきかねるとき、この俺が登場して語ることになっているのだ」[27]と読者に話しかけているように、狂言回しとしての出演になっている。

水木しげるのアシスタントをしていたことがあるつげ義春の短編漫画『噂の武士』には、宮本武蔵らしき男の噂を聞きつけて宿に集まった野次馬の中に、ネズミ男がまぎれこんでいる。

このほか、水木が直接手がけた事例ではないが、2017年の長編アニメーション『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』では、鬼太郎と仲間たちと共に「コラボ出演」という形で登場。声はアニメで声の初代担当だった大塚周夫の息子・大塚明夫が担当する。 30年後の未来の世界が舞台ゆえ、鬼太郎の存在を知る者ははごく限られているため、主人公らを危険分子と見なし鬼太郎を守るため仲間とともに現れる。 しかし相手が子どもであり、目的が妖怪退治であると分かると、小金をせしめようと「自分が鬼太郎だ」と騙そうとする。 (もっとも仲間の目前での詐欺行為であるため、鬼太郎を知らない子どもたちをからかっているつもりであった可能性もある) 背後で鬼太郎の下駄の音を聞くと、無条件で怖がるような描写がある。 その後鬼太郎が最小限の助太刀はしたものの、彼らの敵を倒すのは本来の自分の役目ではないと言い残し去っていこうとした時は、「ここは恩を売ってお礼をもらえばいいんじゃないのか」と、がめつさを出しつつも遠まわしに彼らを心配しているともとれる言動をしている。

キャスト[編集]

脚注[編集]

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  • 『鬼太郎大全集』は水木プロダクション刊行の電子書籍版『鬼太郎大全集』を指す。
  1. ^ 原作および第2作20話・第3作27話「ふくろさげ」での「360年も生きていますと…」という台詞より。第1作10話「妖怪大戦争(前編)」でも「俺は300年生きているんだ」という台詞がある。2007年に公開された実写版映画では1000歳と設定されており、オールナイトニッポンにおいて初代ネズミ男を演じた大塚周夫も「1000歳だから」と語っている。しかし、映画版は青年期の体格であるウエンツ瑛士田中麗奈の出演を考慮し、原作と年齢設定だけは違うということになっており、大塚周夫も番組で終始「ネズミ男はいい加減だから」と語っているため、このことについては明確になっていない。
  2. ^ 『愛蔵版 ゲゲゲの鬼太郎』第2巻、809ページ。
  3. ^ a b 水木しげる 『ねずみ男の冒険』 筑摩書房ちくま文庫〉、2007年、339頁。ISBN 4-480-03061-1
  4. ^ 『鬼太郎大全集』4巻、163頁。『愛蔵版 ゲゲゲの鬼太郎』第2巻、809ページ。
  5. ^ 水木しげる 『水木しげる 鬼太郎大百科』 小学館、2004年、42頁。ISBN 4-092-20322-5
  6. ^ ねずみ男に限らず、同じ半妖怪の猫娘も『鬼太郎国盗り物語』では純粋な妖怪として描かれたり、逆に本来純粋な妖怪である鬼太郎や子泣き爺が、『鬼太郎地獄編』や『国盗り物語』などで人間の血縁とされるなど、基本的な公式設定はあっても作品ごとで時に曖昧な描写もなされる事が多い。
  7. ^ 水木しげる 『ゲゲゲの鬼太郎(7)─鬼太郎地獄編』 中央公論新社中公文庫〉、2007年、181頁。ISBN 4-122-04905-9
  8. ^ 『ゲゲゲの鬼太郎』第3作第109話「母を求めて地獄旅」 Archived 2009年8月5日, at the Wayback Machine.
  9. ^ 自分の息がかかっている名士としてフランケンシュタインやドラキュラなどを挙げているが、他の話では彼らにこびへつらう様子が見られる。
  10. ^ アニメでは稀に相思相愛になったこともある(第3作劇場版第4弾や第4作24話など)が、いずれも一話の内に哀しい結末を迎えている。
  11. ^ 最も過激な罰は原作『煙羅煙羅』での「ハリツケ火あぶり」だが、これは執行時に十年溜め込んだが大爆発する騒ぎで有耶無耶になった)。実行された中では「猫娘に腕の肉を半分食い千切られる(『妖怪危機一髪』。ただし猫娘の独断)、「置き去りにされる(主に事件現場が多い。アニメ第3作劇場版第1弾や第5作63話では海上、第4作65話ではマンモスフラワーの島、第6作12話では崩壊する洞窟)」などがある
  12. ^ 短編集「ねずみ男の冒険」
  13. ^ 第1作の後期になるに従い、友情を簡単に金で売るようなキャラクターとして描写されるようになっていった
  14. ^ 水木しげる 『妖怪パラダイス4 コケカキイキイ』 嶋中書店、2002年、161-184頁。ISBN 4-901-81908-9
  15. ^ アニメ公開直前に千葉がレギュラー参加していた『週刊ファミ通』誌上のコラムにて「先代のイメージを継承しつつ独自の演技で新たなネズミ男像を模索したい」旨の発言が為されている
  16. ^ @TOSHIO_FURUKAWA (2018年1月19日). "🔷ねずみ男のオーディションを受けたのは今回が2回目。前回は落ちたが今回は決まった!念願のねずみ男を演れる!やった~٩(^‿^)۶‼️" (ツイート) – Twitterより. 
  17. ^ 第10話では7日間絶食の末にカビだらけで行き倒れていた所へ菓子パンを恵まれて好意を抱いた。もらったパンは食べず、カビが生えて食べられなくなっても後生大事に抱えており、「世間では関係が認められないだろうから、せめてまなちゃんを見守る」と称して学校で贈り物をしたり彼女の机を掃除したりと隠れながら付き纏った。しかし、まなにしてみれば怪談じみた不気味な現象としか映らず、ねずみ男に自覚は無いながら、やってる事はストーカー行為に近かった。結局「友達…でもないただの知り合い」と言われてしまいショックを受ける。ただし立ち直りは早く、翌第11話では再びまなの身柄を躊躇なく敵の妖怪に売り渡していた。
  18. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 40頁。
  19. ^ 『鬼太郎大全集』1巻、147頁。
  20. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 41頁。
  21. ^ 『鬼太郎大全集』1巻、191頁。
  22. ^ 「霧の中のジョニー」作中解説より抜粋。
  23. ^ 『鬼太郎大全集』19巻、174頁。
  24. ^ a b 中公文庫「ゲゲゲの鬼太郎(2)-妖怪反物」 ISBN 4122048265 内の後書『ねずみ男の役割』足立倫行
  25. ^ 「水木しげる画業40周年」
  26. ^ 『鬼太郎大全集』22巻、187頁。
  27. ^ 「コミック昭和史」文庫版第一巻94頁。
  28. ^ キャストコメント到着!”. 新番組「ゲゲゲの鬼太郎」. 東映アニメーション (2018年1月19日). 2018年1月19日閲覧。
  29. ^ 『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』ジバニャン役に黒田崇矢さん、ねずみ男役に大塚明夫さん決定! 待望の本予告映像が解禁- アニメイトタイムズ(株式会社アニメイトラボ)” (2017年10月27日). 2017年10月27日閲覧。
  30. ^ DVD『月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』 東映ビデオ、2007年。
  31. ^ DVD『妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム』 東映ビデオ、2007年。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]