ルーカスフィルム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルーカスフィルム・リミテッド
Lucasfilm Ltd. LLC
サンフランシスコのレターマン・デジタル・アーツセンター。本社機能の大部分が入る。
サンフランシスコのレターマン・デジタル・アーツセンター。本社機能の大部分が入る。
種類 LLC
略称 LFL
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州マリンカウンティ
設立 1971年12月10日
業種 公開会社
事業内容 映画アニメーション
代表者 キャスリーン・ケネディ
従業員数 2,000人
所有者 ウォルト・ディズニー・スタジオ
主要株主 ウォルト・ディズニー・カンパニー
主要子会社 インダストリアル・ライト&マジック
ルーカスフィルム・アニメーション
スカイウォーカー・サウンド
ルーカスアーツ
Singapore B.V.
ルーカス・デジタル
ルーカス・ライセンシング
ルーカス・ブックス
ルーカス・ラーニング
ルーカス・オンライン
関係する人物 ジョージ・ルーカス
テンプレートを表示

ルーカスフィルム・リミテッド(Lucasfilm Ltd. LLC)は、1971年ジョージ・ルーカスが設立した映像製作会社である。2012年ウォルト・ディズニー・スタジオに約40億ドルで買収された。

概要[編集]

スター・ウォーズシリーズ』をはじめ、『インディ・ジョーンズ シリーズ』、『アメリカン・グラフィティ』、『ウィロー』などの映像作品製作とメディアフランチャイズを行っている。本社はカリフォルニア州マリンカウンティにあるスカイウォーカーランチ内に設置されている。 映画における特殊撮影視覚効果や、サウンドコンピューター・アニメーションのパイオニアとしても有名で、他社の映画制作に数多く参加している。1980年代~90年代にかけては、『E.T.』、『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』、『ターミネーターシリーズ』、『ジュラシック・パーク』、『タイタニック』といった作品で革新的技術を世に見せ、映像製作会社としての地位を確立した。2000年代以降も、ピクサー・アニメーション・スタジオの各種作品や、『ハリー・ポッターシリーズ』、『トランスフォーマー』、『マーベル・シネマティック・ユニバース』などの人気映画に参加している[1][2][3]

歴史[編集]

映像技術[編集]

1977年公開の『スター・ウォーズ』に、それまでの映画で見られなかった特撮を取り込みたいとルーカスは考えていた。しかし、配給会社である20世紀フォックスの特撮部門は当時閉鎖していたので、プロデューサーのゲイリー・カーツと協力し、独自のチームを作ることになった。まず、ダグラス・トランブルのアシスタントだったジョン・ダイクストラを招き、彼を通じて、大学生やエンジニアなどを集めた。そのメンバーは、インダストリアル・ライト&マジック(略称:ILM)と名付けられた。『スター・ウォーズ』の公開後にチームは解散したが、1978年に新しいILMが開設された。 1979年には、ニューヨーク工科大学よりエドウィン・キャットマルをヘッドハントし、コンピューター・アニメーション部門が設立された[4]。後にCG部門は独立しピクサーとなる。

その後もILMはルーカスフィルムの映画制作を通して、CGIデジタル合成デジタルリムーバルモーフィングなど、昨今の大作映画に欠かせない映像技術の研究と開発に大きく貢献した。長年、サン・ラファエルに置かれていたが、2005年にマーケティング、オンライン、ライセンシング部門と共にレターマン・デジタル・アーツセンターに移動した。

ディズニーとの関係[編集]

ディズニーのアトラクションキャプテンEO』の映像製作をルーカスフィルムが務めたことで、両社の繋がりが生まれた。1987年に『スター・ツアーズ』、1995年に『インディ・ジョーンズ・アドベンチャー』がディズニーパークにオープンした。 2012年10月31日ウォルト・ディズニー・カンパニーは現金と株式40億5000万ドル相当でルーカスフィルムを買収した[5][6][7][8]。ルーカス本人も会社から身を引き、後任の社長として映画プロデューサーのキャスリーン・ケネディを指名[9][10][11]。幼い頃からディズニーのファンだったと公言しているルーカスは、「ディズニーは巨大な企業で、あらゆる能力や設備が整っている。今回の買収によりルーカスフィルムが得られる強さは大いにあるだろう」「自分が会社を去っても『スター・ウォーズ』は今後100年続く」と語っていた[12][13]。 買収から6年経った2018年にはディズニー最高経営責任者ボブ・アイガーから、ルーカスフィルムの買収額は既に回収済みと発表された[14][15][16]

サイト[編集]

部門会社[編集]

ルーカスフィルムの関連会社には、以下のものがある。

かつての傘下会社[編集]

主な製作作品[編集]

スター・ウォーズ[編集]

インディ・ジョーンズ[編集]

フィクションの出来事[編集]

ルーカスフィルムは日本のお笑い番組『笑う犬の生活』の中のコントである「小須田部長」の第一部第六話の劇中において、ルーカスフィルムの名こそ出ないものの言及されている。日本企業の「ヨシダ・エンタープライズ」の社員である主人公の小須田義一は戦場の某砂漠地帯から新しい任地へ引っ越すに当たって手伝いに来た元部下の原田淳一郎との会話の中で、小須田は原田にわざわざ砂漠のど真ん中へと来てくれたことを労うが、これに対して原田は遡ること半年前から本社を離れてロサンゼルスへ異動しており、会社から命じられた「映画会社の買収」という仕事を遂行していると語るが、原田曰く「ルーカスが最後までゴネていた」ものの一応は成功し、これによって映画『スター・ウォーズ』の次回作はヨシダ・エンタープライズが全て仕切ることになったと説明する。そしてこれを聞いた小須田は「うちの会社、拡張したね」と感心した。 この、「ルーカスフィルムが日本企業に買収される」という出来事自体は完全なフィクションであるが、このエピソードが放送されてから十数年の時を経てからルーカスフィルム自体はアメリカ企業のウォルト・ディズニー・カンパニーの手によって先述の通り2012年10月31日に買収されている。

脚注[編集]

  1. ^ 映画上映前に流れるTHXロゴの「ブゥゥウウンン」という音の正体とは? - GIGAZINE”. gigazine.net. 2020年4月8日閲覧。
  2. ^ 『スター・ウォーズ』史上最高の音を日本唯一の劇場で!ルーカスが認めたTHX”. シネマトゥデイ. 2020年4月8日閲覧。
  3. ^ 岡本玄介 (2019年8月23日). “映画音響THXの新しいディープ・ノート・トレイラーは映画館に行った気分になれるよ”. www.gizmodo.jp. 2020年4月8日閲覧。
  4. ^ 『ピクサー 早すぎた天才たちの大逆転劇』早川文庫〈ハヤカワ文庫NF〉、2015年。ISBN 978-4150504243 
  5. ^ "Disney to Acquire Lucasfilm Ltd."(ウォルト・ディズニーによるプレス・リリース)
  6. ^ 「ディズニー、スター・ウォーズの『ルーカス』買収 15年にも新作上映」日本経済新聞、2012年10月31日、9時25分)
  7. ^ Inc, mediagene (2012年10月31日). “ディズニーがルーカスフィルム買収、「スター・ウォーズ エピソード7」制作へ着手”. www.gizmodo.jp. 2020年4月8日閲覧。
  8. ^ なぜルーカスフィルムを買収したのか、“放送事業者”としてのディズニー (1/4)”. ITmedia ビジネスオンライン (2012年12月4日). 2020年4月8日閲覧。
  9. ^ ディズニーがルーカスフィルムを買収” (2012年10月31日). 2012年11月2日閲覧。
  10. ^ ルーカスフィルム、40億ドル。それはディズニーにとって「いい買い物」だった|WIRED.jp”. WIRED.jp. 2020年4月8日閲覧。
  11. ^ ディズニーがルーカスフィルム買収、スター・ウォーズ新作に着手”. CNN.co.jp. 2020年4月8日閲覧。
  12. ^ 『スター・ウォーズ』ルーカスフィルム社長、2021年まで任期延長”. シネマトゥデイ. 2020年4月8日閲覧。
  13. ^ ルーカスフィルム社長が「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」の新企画について発言 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)”. screenonline.jp. 2020年4月8日閲覧。
  14. ^ ルーカスフィルムの買収から6年、ディズニーはすでに投資額を回収 | 未知領域” (2018年12月10日). 2020年4月8日閲覧。
  15. ^ ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックス買収の舞台裏とは? ロバート・アイガー『ディズニーCEOが実践する10の原則』4月7日刊行|Hayakawa Books & Magazines(β)”. Hayakawa Books & Magazines(β). 2020年4月8日閲覧。
  16. ^ ディズニーが買収を繰り返したことによる成功と戦略とは? - GIGAZINE”. gigazine.net. 2020年4月8日閲覧。

外部リンク[編集]