傀儡政権

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傀儡政権(かいらいせいけん、英語:puppet government)は、ある領域を統治する政権が、名目上の主権国家を統治している政権ではあるが、実態では事実上の支配者である他の権力者、政権、外部の国家によって樹立され、支配者が背後から管理・統制・指揮している政権である[1][2][3][4]。内政も外交も自己決定権が無く、支配者の利益のために支配者に操作・命令され統治される[5]。その性格上、必然的に軍事政権のような独裁政権という形態である。国民が選挙で選出した政府、独裁政権であっても国民が独立運動や革命運動により自ら樹立した政府の場合は、その樹立過程や支持基盤が国民にあるので傀儡政権の定義に合致しない。

元からある独立国家に建てられたり、名目であっても主権国家の形を取って独立させ、その支配を行っている傀儡政権の国家は、傀儡国家(かいらいこっか、puppet state)とも呼ばれる。

語法

傀儡」という語は、「操り人形」を意味する。実態としての傀儡政権とは実際の支配者の操り人形(傀儡)であることを意味する。ただし、実態として傀儡政権ではない政権でも、その政権に批判的な人が、非難や糾弾や侮蔑の感情を込めた主観的なレッテル貼り言葉として「傀儡政権」と表現されることもある。例えば、一つの国家を分断して複数の政権が成立した場合(分断国家)、互いの政権は相手の政権を、その後盾となっている外国の「傀儡政権」と非難し合う。

既に消滅した政権については、歴史的に評価が定まり、やはり外国の支配下に置かれていたと判断され、「傀儡政権」との評価が広く受け入れられる事も度々有る。しかし、ある政権が傀儡政権であるかどうかを評価することには、価値判断がともなうことも多く、しばしば過去の歴史の評価をめぐる論争の種となることもある。

傀儡政権の例

以下に示すのは、世界の地域別に分別した「傀儡政権」「傀儡国家」と見なされる政権の一覧である。 略記された項目では左から順に、当時の国家・地域名、傀儡と称される国家・政権名(存在期間)、傀儡政権を支配しているとされた国家・勢力名、である。なお、政権の羅列は順不同である。

日本

平安時代

藤原冬嗣が人臣として初めて太政大臣に就任し、他の有力貴族を失脚させ天皇家に娘を嫁がせ子を産ませ、天皇の外祖父として権力を握った。その後も代々藤原氏は娘を天皇家に嫁がせる手法で確固たる権力を掌握した。
平清盛を中心とする伊勢平氏による政権。保元の乱に勝利し朝廷内での政治基盤をつくり、娘の平徳子高倉天皇に嫁がせ1180年にはその子である安徳天皇が即位し完全に権力を掌握した。

鎌倉時代

度重なる摂関政治院政などにより天皇の権力の分散化が顕著となり、源頼朝が平家追討をきっかけに侍所を設置し武士の支配機構を作り、1183年寿永二年十月宣旨により土地支配権を認められ、翌年には政所と問注所を設置。壇ノ浦の戦いで平家を滅ぼし1185年文治の勅許1192年には頼朝が征夷大将軍に任じられ警察、軍事指揮権を獲得する。頼朝死後、1221年後鳥羽上皇が権力の巻き返しのため承久の乱を起こすが、北条氏が中心となりこれを打ち破り朝廷の掌握をし鎌倉幕府による完全なる全国の支配が成立する。これにより、大政奉還まで武家政権が続いていくことになる。
源頼朝死後、北条時政北条義時親子が執権として政権を握り源実朝暗殺後、傀儡の将軍を擁立し承久の乱に勝利後確固たる地位を獲得し執権政治が始まった。

室町時代~安土桃山時代

明応の政変により第11代将軍足利義高を擁立。
永禄の変により第13代将軍足利義輝が殺され三好三人衆によって第14代将軍として足利義栄が擁立される。
永禄の変後、織田信長が天下布武への大義名分として第15代将軍に足利義昭を擁立し、三好三人衆を押しのけ上洛室町幕府を再興する。

アジア

第二次世界大戦前・中に日本の影響圏にあった政権

第二次世界大戦終結以降にアメリカ合衆国の勢力圏内に入った国々

ソビエト連邦勢力圏内にあった国々

1946年 - 1976年にかけて南ベトナムに存在した諸政府

1970年から1992年まで存在したカンボジアの諸政府

1979年以降のアフガニスタンの諸政府

その他

ヨーロッパ

ナポレオン戦争中にフランスの勢力圏内にあった国々

姉妹共和国

ブレスト=リトフスク条約により成立し第一次世界大戦終結までドイツ帝国の勢力圏内にあった国々

第二次世界大戦中にナチス・ドイツの勢力圏内にあった国々(衛星国

第二次世界大戦後から冷戦終結までソビエト連邦勢力圏内にあった国々(衛星国

その他

アフリカ

アメリカ

脚注

関連項目

外部リンク