Google Fuchsia

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Fuchsia
Google fuchsia3.svg
Screenshot of Google Fuchsia (July 2017).png
開発者 Google
プログラミング言語 C言語C++DartGoPythonRustシェルスクリプトSwiftTypeScript
OSの系統 Zircon[1]
開発状況 開発中
ソースモデル オープンソース
初リリース 2016年8月15日(22か月前) (2016-08-15
使用できる言語 英語
対応プラットフォーム ARMx86-64
カーネル種別 マイクロカーネル
ライセンス BSDライセンスMITライセンスApache 2.0
ウェブサイト fuchsia.googlesource.org
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Fuchsia(フクシャ、フューシャ)は、Googleが開発中のケーバビリティのコンセプトに基づくオペレーティングシステム (OS) である。公式な告知も一切なく、2016年8月に突如としてGitHubにプロジェクトが公開されたことで最初に世に知られることとなった。これまでGoogleが開発してきたChrome OSAndroidなどのOSではLinuxカーネルを採用しているが、それらとは対照的に、Fuchsiaでは新規のマイクロカーネルであるZirconを採用していて、これはHaiku OSが採用しているNewOSカーネル[2]の作成者であるTravis Geiselbrecht[注釈 1]によって開発された、組み込みシステムが対象の小規模なOSであるLittle Kernel (LK)[3][4] から派生している。GitHub上のソースコードを精査したメディアによると、Fuchsiaは組み込みシステムからスマートフォンタブレットPCまで幅広いデバイスで稼働させることが可能とみられる。2017年5月の更新ではユーザインタフェース (UI) が追加されるとともに、このプロジェクトが「残骸置き場ではない」と開発者が証言したことから、このOSがAndroidを置き換える可能性など、Googleの狙いについてメディアの憶測を呼び起こすこととなった。

Fuchsiaはフリーかつオープンソースのソフトウェアとして公開されており、3条項BSDライセンスMITライセンスApache 2.0ライセンスなど複数のソフトウェアライセンスを適用している。

概要[編集]

Fuchsiaはコア部分(カーネル)のZircon(旧称:Magenta)や、UIArmadilloなどから構成されるリアルタイムオペレーティングシステムである。

特徴[編集]

FuchsiaのUIとアプリケーションは、Fuchsia以外にもAndroidとiOSを対象とするクロスプラットフォーム開発が可能な、Flutterと名付けられたソフトウェア開発キット (SDK) によって作成されている。FlutterではDartを用いて、120 fpsでの描画が可能な高性能のアプリケーションを作成できる。また、FlutterにはEscherと名付けられたVulkanベースのレンダリングエンジンも含まれ、 これによってとくに、Ars Technica英語版によると「陰影が多用される、Googleが規定したUIガイドラインのマテリアルデザインに向けた機能強化版とみられる」要素となる、ボリューメトリック・ソフトシャドウ (Volumetric soft shadows) と呼ばれる視覚効果の描画が支援される。

Flutterがクロスプラットフォーム開発に対応しているため、Fuchsiaの一部パーツをAndroidデバイスにインストールすることも可能となっている。もっとも、Ars TechnicaによるとFuchsiaのテストはできるものの全く「機能せず」、加えて「何の役にも立たないUIのプレースホルダーの寄せ集め」であり、最近使ったアプリ欄や設定メニュー、画面分割機能などの、FuchsiaのAndroidとの類似点が確認できる程度という状況だった[5]

その後のArs Technicaによる検証は開発が順調なことを印象付けるものとなっており、何ひとつ機能しないということはなくなっていて、とくにハードウェアのサポートが拡充されている。複数マウスポインタ操作に対応したことは予想外の改善点だった[6]

歴史[編集]

  • 2016年8月15日 - Googleは新たなプロジェクトとしてFuchsiaをGitHub上で発表した[7]。このさい公式な告知は一切なく、ソースコードをメディアが精査してみたところ、このOSが「車載インフォテインメント、信号機デジタル時計などへの組み込みシステムから、スマートフォン、タブレットやPCまで」を含む幅広いデバイスで稼働できる能力があることを示唆していた。FuchsiaではLinuxカーネルではなくZircon(旧称:Magenta)[8]を採用する点がChrome OSやAndroidとは異なっていた[9][10]
  • 2017年
    • 5月 - 初期バージョンではコマンドラインシェルのみを備えていたが、新たにArmadilloと名付けられたカード型のGUIがFuchsiaに追加された[5]。このさいArs Technicaは「これは玩具でもなく、20%ルール[注釈 2]によるプロジェクトでもなく、誰にも顧みられることのない残骸置き場でもない」と開発者が証言した、との記事も掲載した。多くのメディアによって、このプロジェクトがAndroidと密接に関連しているように見受けられると指摘され、さらにAndroidプラットフォームにおける課題を解決する手段として[5]、FuchsiaがAndroidの「仕切り直し」[11]もしくは置き換え[12][13][14]を狙った取り組みなのかも知れない、などと憶測が巡らされた。
    • 9月 - それまでMagentaと呼ばれていたOSのコア部分をZirconに改名した[1]
    • 11月 - Swiftプログラミング言語の初期サポートが導入された[15]
  • 2018年1月 - GoogleはFuchsiaをPixelbookで動作させる手順のガイドを発表した[16][17]Ars Technicaはこの手順の追試に成功した[6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Be社員としてBeOSカーネルの開発を担当、その後DangerHiptopHPwebOS、GoogleでAndroidの開発に携わり、現在Fuchsiaのコア部分の開発を担当している。
  2. ^ 就業時間の20%を個人的な関心に基づく研究に割り当ててよいとするGoogleの社内ルール。

出典[編集]

  1. ^ a b “Google,IoT向けOS「Fuchsia OS」のコアを「Zircon」にリネーム”. gihyo.jp. (2017年9月14日). https://gihyo.jp/admin/clip/01/linux_dt/201709/14 2018年5月5日閲覧。 
  2. ^ Travis Geiselbrecht (Projects section)” (2016年10月24日). 2017年11月21日閲覧。
  3. ^ Sims, Gary (2016年8月17日). “What we learned from running Fuchsia, the mysterious new OS from Google”. Android Authority. 2017年5月9日閲覧。
  4. ^ Mahate, Shakeel (2016年10月24日). “Introduction”. GitHub. 2017年5月9日閲覧。
  5. ^ a b c Amadeo, Ron (2017年5月8日). “Google’s “Fuchsia” smartphone OS dumps Linux, has a wild new UI”. Ars Technica. Condé Nast. 2017年5月9日閲覧。
  6. ^ a b Amadeo, Ron (2018年1月8日). “Google’s Fuchsia OS on the Pixelbook: It works! It actually works!”. Ars Technica. Condé Nast. 2018年1月22日閲覧。 “Right now, Google's built-from-scratch kernel and operating system will actually boot on the Pixelbook, and some things even work. The touchscreen, trackpad, and keyboard work and so do the USB ports. You can even plug in a mouse and get a second mouse cursor.”
  7. ^ “Google,ナゾの新OSプロジェクト「Fuchsia」をローンチ”. gihyo.jp. (2016年8月17日). https://gihyo.jp/admin/clip/01/linux_dt/201608/17 2018年5月5日閲覧。 
  8. ^ [zx] Magenta -> Zircon”. zircon - Git at Google (2017年9月12日). 2017年9月19日閲覧。
  9. ^ Etherington, Darrell (2016年8月15日). “Google’s mysterious new Fuchsia operating system could run on almost anything”. TechCrunch. AOL. 2016年10月5日閲覧。
  10. ^ Fingas, Jon (2016年8月13日). “Google's Fuchsia operating system runs on virtually anything”. Engadget. AOL. 2016年10月5日閲覧。
  11. ^ Fingas, Jon (2017年5月8日). “Google's mysterious Fuchsia OS looks like an Android re-do”. Engadget. AOL. 2017年5月9日閲覧。
  12. ^ Gartenberg, Chaim (2017年5月8日). “Google’s mysterious new Fuchsia OS has a UI now”. The Verge. Vox Media. 2017年5月9日閲覧。
  13. ^ Davenport, Corbin (2017年5月8日). “Google's "Fuchsia" operating system is taking shape with a new design”. Android Police. 2017年5月9日閲覧。
  14. ^ First Look at all new Fuchsia OS from Google”. IB Computing. IB Computing (2018年1月18日). 2018年1月18日閲覧。
  15. ^ Add Fuchsia OS support. GitHub PR for Swift (2017年11月15日).
  16. ^ “Yes, Google Is Running Fuchsia On The Pixelbook: Calm Down” (英語). Chrome Unboxed - The Latest Chrome OS News. (2018年1月1日). https://chromeunboxed.com/news/fuchsia-pixelbook-install-google-developer 2018年1月3日閲覧。 
  17. ^ Contribute to docs development by creating an account on GitHub, Fuchsia, (2018-01-03), https://github.com/fuchsia-mirror/docs 2018年1月3日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]