Vulkan (API)

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Vulkan
開発元 クロノス・グループ
初版 2016年2月16日(17か月前) (2016-02-16
最新版
Vulkan

1.0.41 - 2017年2月17日(5か月前) (2017-02-17[1]

[±]
対応OS WindowsLinuxAndroid、その他
プラットフォーム クロスプラットフォーム
対応言語 C/C++
種別 3DグラフィックスAPI
公式サイト www.khronos.org/vulkan/
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Vulkan(ヴァルカン)は、クロノス・グループ: Khronos Group)が策定している、オープンスタンダードロイヤリティフリークロスプラットフォームなリアルタイム3次元コンピュータグラフィックス・コンピュートAPIである。グラフィックスハードウェア層に近いローレベル (low level) な制御を目的としており、これによりオーバーヘッドを低減し、ハードウェア限界性能を引き出すことが可能となる。VulkanはアップルMetalマイクロソフトDirect3D 12といった先発のローレベルAPIと競合するが、プラットフォーム独自の固有仕様ではなく、様々なデバイスやオペレーティングシステムをターゲットにできることが特徴である。

経緯[編集]

Vulkanが出現する以前、クロスプラットフォームなグラフィックスAPIとしてOpenGLおよびOpenGL ESがすでに存在していた。しかし、OpenGL黎明期のハードウェア設計に由来する互換性重視のAPI設計は徐々に陳腐化し、OpenGL 4に至る頃にはすでに最新のハードウェアとの乖離が発生してしまっていた。また、OpenGL/OpenGL ESはハードウェアを高度に抽象化しており、そのためプラットフォーム間の移植性やアプリケーション開発者にとっての利便性は高いものの、AAAタイトルのゲームなどに代表されるような性能要求の厳しいソフトウェアの開発に利用する場合はオーバーヘッドが大きくなってしまい、ハードウェアの限界性能を引き出すことができなくなってしまうという問題を抱えていた。オーバーヘッドの増加による描画効率の低下はまた電力効率の低下にも直結するため、モバイル機器など電力供給の限られるデバイスにおいても効率面での影響は無視できない。

このため、SIGGRAPH 2014で、レガシーな設計が蓄積しているOpenGLをリセットし、ゼロから構築し直して刷新する、次世代の標準3D API規格 (OpenGL Next Generation, glNext) の策定が始められることがアナウンスされた。このとき、マルチスレッド対応やシェーディング中間言語などの近代的な技術が導入されることが発表された[2]

GDC 2015では、新規格の名称が"Vulkan"(ドイツ語で "火山" すなわちvolcano)となることが発表され[3]Direct3D 12同様のコマンドキューベースのマルチスレッドレンダリング機能や、OpenCLとのプログラミング基盤共通化をもたらすSPIR-V中間表現[4]を導入することが明らかにされた。また、VulkanにはAMD独自のローレベルグラフィックスAPIであるMantleが要素技術として取り込まれることが発表された[5]

2015年8月には、GoogleAndroidにおいてVulkanをサポートする旨を発表した[6]

2016年2月16日、Vulkan 1.0の正式仕様がリリースされた[7]。Vulkan仕様のリリースとともに、AMD、NVIDIAインテルクアルコムイマジネーションテクノロジーズ英語版といった代表的なベンダーはVulkan対応ドライバーのベータ版の提供や認証を開始した[8]

なお、Vulkanはハードウェアの詳細な制御を可能とするローレベルAPIである一方、従来のOpenGLはCPU-GPU間の同期などの煩雑な処理を自動で行なってくれる上位層のAPIとして、今後もメンテナンスおよびアップデートが継続されることになっている[9]

シェーディング言語[編集]

Vulkanがサポートする最初の高レベルシェーディング言語は、OpenGLと同じくGLSLとなる。ただし、VulkanではSPIR-Vを標準的に利用することが可能であるため、GLSLで記述したシェーダープログラムをオフラインコンパイルし、SPIR-Vとしてバイナリに変換してからアプリケーションに同梱することが可能となる。そのほか、Vulkan SDKに付属するオフラインシェーダーコンパイラーglslangValidatorには、入力としてHLSLで書かれたソースコードを使うことができるようになるコンパイルオプションも存在する。

開発環境[編集]

Vulkanの公式ソフトウェア開発キット (SDK) として、Valve社の協力のもとLunarG英語版社がLunarG Vulkan SDKをリリースしている。同SDKはWindowsおよびLinuxに対応している。

また、Vulkanに対応するデバイスドライバーや独自のSDK開発を所望するベンダー向けに、ICD (Installable Client Driver) ローダーやアーキテクチャに関するドキュメントがGitHubにて公開されている。

MoltenVK[編集]

アップルのmacOS/iOS上では、Vulkanは2016年2月時点でサポートされていないが、Metal APIを利用してVulkanを実現するMoltenVK(旧称MetalVK)の開発が進められている[10][11]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]